JP4608311B2 - 熱転写リボンリサイクルシステム - Google Patents

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Description

本発明は、熱転写プリンタに使用する熱転写インクリボン(以下、「熱転写リボン」という)のリサイクルシステムに関する。
現代社会においては、環境問題に関する重要性が以前に増して認識されてきている。そのため、消費者や投資家は、環境への配慮を切り口に企業を厳しく選別するようになってきている。それ故に、企業にとっては、これまで行ってきた利益創出活動と共に、今後は環境保全活動をも行うことが課題となる。
したがって、資源の有効活用および廃棄物の削減の点から、企業は、製品、部品、材料をリサイクルして活用することが急務となっている。消費エネルギー削減や有害物質の排出防止と同時に、このリサイクルの領域で率先して取組む企業ほど成長の道が開けてくると言える。
ところで、このリサイクルに関して、そのリサイクル処理手段を大別すると以下のようなものがある。
1.自家再使用
製品を使用するユーザ自身が、製品内の一部(部品等)を再使用するリサイクル処理である。この自家再使用は、ユーザが簡易に実施できるという前提で行われるものとなるので、環境負荷低減効果が最も大きく、かつ、コストが最も小さい処理の仕方であるといえる。
2.製品再使用
使用済みとなって市場から回収される製品(以下、「回収機」という)に対して、所定の再生処理を施して「再生機」として再使用するリサイクル処理である。この処理の場合は、製品を構成する大部分はそのまま再使用されるので、環境負荷低減効果が非常に大きい。
3.部品再使用
回収機から部品またはユニットを取り出し、新規の製品内の部品またはユニットとして再使用するリサイクル処理である。この処理の場合、本来は加工等の相当量のエネルギーを注いで製造される部品、ユニットに対し、その製造工程が省略されるという点で、環境負荷低減効果は大きい。
4.マテリアルリサイクル
回収機を材料単位に分解・分別し、その後何らかの処理をして再生材料として使用するリサイクル処理である。なお、この処理の場合、同一分野の製品の材料として再利用するクローズドループマテリアルリサイクルと、他分野の製品の材料として再利用するオープンループマテリアルリサイクルとがある。
5.再原料化
回収機を分解・分別し、最終的に原材料まで戻して再使用するリサイクル処理である。この処理を行うことにより、廃棄物ゼロを具現化することができる。
6.エネルギーリカバリ
プラスチックを燃焼させる等で、熱エネルギーを有効活用する処理である。
上記1〜6のリサイクル処理手段においては、環境負荷低減効果の点で、一般に最も望ましいのが1で、以下2、3、・・・、6 の順となっている。したがって、いかに上位の手段で継続的にリサイクルを可能とさせていくかが、企業が具体的にリサイクルを推進していく上での重要なポイントとなる。
しかし、実際は、上位にあるもの、例えば「1.自家再使用」のみで半永久的に処理し続けることは不可能で、ある一定の期間後には必ずその手段を断念しなければならない。何故ならば、その製品が有している機能そのものが、ある一定の期間後には陳腐化し、もはや市場またはユーザに対してその機能が有用なものではなくなってしまうので、その手段でリサイクルをすることに経済的価値がなくなってしまうからである。
その場合、これまで上位の手段で行われていたリサイクルが、下位の手段(例えば、これまで上記「1.自家再使用」のリサイクルを行っていた物は、2.以下の手段)になっていくことになる。そのようにして、下位に下がった手段でまた一定の期間リサイクルが行われ、それが陳腐化したらまた下位へ、・・・・という推移を示していくことになる。
よって、リサイクルにおいては、上記1〜6のどれかのリサイクル処理手段のみを実施していればよいというわけではなく、その全ての手段が実施されていかなければならない。また実際、それら1〜6のリサイクル処理手段は、同時並行で実施されなければならない。
何故なら、製品の種類毎によって、手段の段階(上記1〜6のリサイクル処理手段のこと)は異なってくるだろうし、また、一つの製品に限定しても、その内部の部品、ユニットによって各々リサイクル手段の段階は違ってくると考えられるからである。
以上のリサイクル処理は、例えば本願出願人が提案した特開2000−181958号公報記載のリサイクルシステムにて開示されていて、図13に示すように、リサイクルシステムの概念をフロー(コメットサークル)として明確化している。但し、リサイクルの実際の運用においては、この基本概念であるコメットサークルをどのように具体化させるかが重要となる。なお、図13における各符号1〜20は、上記特開2000−181958号公報の図1に記載されたものであって、後述する各実施例等とは関係ないことを付記しておく。
ところで、近年プリンタの需要が年々増加している。このプリンタの記録方式としては、電子写真方式、インクジェット方式、感熱転写方式等があるが、この中で保守が容易で騒音がない等の理由により、感熱転写方式、すなわち熱転写プリンタが注目されている。
そして、前述のリサイクルにおけるコメットサークルに関する記載中、特に、「よって、リサイクルにおいては、上記1〜6のどれかのリサイクル処理手段のみを実施していればよいというわけではなく、その全ての手段が実施されていかなければならない。また実際、それら1〜6のリサイクル処理手段は、同時並行で実施されなければならない。」という記載は、熱転写プリンタに用いるインクリボン(以下、「熱転写リボン」という)においても当てはまる。以下、これを説明する。
従来において、熱転写リボンのリサイクル方法としていくつかの技術提案(以下、単に「提案」という)がある。第一の提案としては、特開平6−48049号公報記載の熱転写インクリボンとその再生方法が挙げられる。これは、印字品質の劣化を抑えて熱転写リボンを再生して提供することを目的として、熱転写リボンのインク層を工夫している。具体的には、溶融した熱転写インクに対する後退接触角が90度以内となる剥離層を熱転写リボンの支持基板(基材)の上に形成し、剥離層上に熱転写インク層を設ける構成を採っている。この技術は、技術的内容そのものは優れたものであるといえる。
第二の提案としては,特開2001−293922号公報記載の画像記録装置およびインクリボンが挙げられる。これは、熱転写リボンの構造に関する提案であり、具体的には、熱転写プリンタ側に熱転写リボン巻取りコアを設け、これによって熱転写リボンを巻き取ることにより、熱転写リボンの巻取り側リボンコアを廃止(省資源化)したものである。また、熱転写リボン巻取りコアおよび熱転写リボンの構造を取り付け・取り外しの容易なものとし、さらに、自動ローディング機構を設けることによって、熱転写リボンの取り付け取り外しを一層容易なものとしている。
特開2000−181958号公報 特開平6−48049号公報 特開2001−293922号公報
しかしながら、第一の提案(特開平6−48049号公報)に係る技術では、新品で熱転写リボンで製造販売していた時期と再生する時期とでは、熱転写リボンの仕様(スペック)が必ずしも同じではない。例えば、インクの素材などがこれに該当する。熱転写プリンタは、工場内で使用するバーコ−ド用などに使用されるため、熱転写リボンの外形形状、例えば芯材であるコアの大きさ、リボンの幅などに関してはその設計的な仕様が変わることはほとんどないが、インクそのものについての商品スペックの変化は、耐久性を向上させる等の目的があるため、日進月歩である。その結果、旧来の熱転写リボンから印字によってインクが抜けた箇所に新たなインクを補充するという方式は、実用面からみて汎用性が高いとは言えない。
但し、比率的に少ないとはいえ一部の製品に関しては、インクが共通化されていて、その結果、この提案の技術が使用できるであろう。つまり、第一の提案はリサイクルを実践する上で補助的な役割を担うことはできるが、本質的な役割を担うことはできない。すなわち、何か別のリサイクル提案があって、初めて第一の提案は補助手段として生きてくるという意味合いのものである。その結果、第一の提案は、技術的に秀でているにもかかわらず汎用性の理由などで、発明者が特許権利化を放棄してしまっている。
第二の提案(特開2001−293922号公報)では、構造上、一方で熱転写リボンの芯材を不要としている。しかしながら、他方でプリンタ本体側に複雑な機構を追加している。それ故に、省資源という観点からみれば、この提案では十分であるとは言えない。
また、第二の提案では、資源を循環させるという概念が含まれていない。仮に、プリンタ本体の部品点数が増えていたとしても、プリンタ本体が循環活用できる提案になっていれば良いが、第二の提案はそうではない。それ故に、トータルで見た場合、省資源化されているとは言えない。さらに、プリンタ側での部品追加は、プリンタ本体のコスト上昇、延いては価格上昇に繋がる。本来ならば、プリンタ本体の構造をできるだけ変えず、あるいは部品点数を減らして、かつ、熱転写リボンのリサイクルを行うことが望ましいのである。
総じて、上記第一、第二の提案に共通する問題点は、ある工程の一面のみを捉えているだけで資源循環を俯瞰的に捉えていないことであると言える。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、前述の従来技術における課題を解決し、前述の「コメットサークル」の概念を捉えて具現化し、かつ、熱転写リボンの構成(構造)を把握して熱転写リボン特有のリサイクルのありかたをビジネスモデルとして捉えることにより、熱転写リボンのリサイクルを経済的に実践する提案を提供することを主な目的としている。その他、後述する効果を奏する熱転写リボンリサイクルシステムを提供することも目的としている。
前述した課題を解決すると共に前述した目的を達成するために、本発明では、以下のような特徴ある手段・発明特定事項(以下、「構成」という)を採っている。
請求項1記載の発明は、熱転写プリンタに使用する熱転写リボンの使用済みの熱転写リボンを市場から回収し、必要に応じ、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解分別する熱転写リボン回収・分解・分別工程と、使用済みの熱転写リボンを用いて新規の熱転写リボンを作る熱転写リボン再生工程とを有する熱転写リボンリサイクルシステムにおいて、前記熱転写リボン回収・分解・分別工程では、前記熱転写リボン再生工程から出されるリサイクル対象品に関する情報に基づいて、熱転写リボンの種類毎に、使用済みの熱転写リボンを分解しないでそのまま前記熱転写リボン再生工程に送る処理、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該芯材を前記熱転写リボン再生工程に送る処理、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該インクリボンを前記熱転写リボン再生工程に送る処理および使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該芯材と該インクリボンとを前記熱転写リボン再生工程に送る処理の何れか一つの処理を選択し実行し、かつ、前記熱転写リボン回収・分解・分別工程では、前記熱転写リボン再生工程から出される使用済みの熱転写リボンの需要量に関する情報に基づく使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの需要量が回収量に対して不足している場合、前記需要量に応じた必要量の使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンを前記熱転写リボン再生工程に送ると共に、使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの回収量の一部をマテリアルリサイクル業者またはエネルギーリカバリ処理施設へ転用することを特徴とする。
ここで、「市場」とは、ユーザを含む広い概念を意味する。また、「必要に応じ」とは、熱転写リボン再生工程から伝達されるリサイクル対象品に関する情報によって決まってくるものであり、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解しない、使用済みの熱転写リボンその物自体を含む広い概念を意味する。
本発明によれば、前記課題を解決して新規な熱転写リボンリサイクルシステムを提供することができる。すなわち、本発明によれば、単に一種類の熱転写リボンに着目し改良するのではなく、複数種類の熱転写リボンの特徴を俯瞰的に捉えてシステム化することで、複数種の製品によるリユース等の組み合わせの最適化を行うことができるので、熱転写リボン自体や熱転写プリンタ本体の構成(構造)を複雑化することなく、リサイクルを経済的に行うことが可能となることは勿論のこと、使用済みの熱転写リボンの需要量に関する情報に基づいて、次工程にて要求される品目や生産計画を把握することができることにより、使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの需要量が回収量(供給量)に対して不足している場合、需要量に応じた必要量の使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンを熱転写リボン再生工程に送ると共に、使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの回収量の一部をマテリアルリサイクル業者またはエネルギーリカバリ処理施設へ転用することで、需要と供給とのバランスを取ることができ、これによりオンデマンドな供給が可能となり、円滑なリサイクルを行うことができる
以下、図を参照して、本発明を実施するための最良の形態を含む実施例を説明する。各実施例および変形例等に亘り、同一の機能等を有する工程や情報、あるいは同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明をできるだけ省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき工程や情報あるいは構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がないものは適宜断わりなく省略することがある。
まず、図1ないし図3を参照して、熱転写リボンの基本的構成(構造)を説明する。
図1に示すように、熱転写リボン10は、コアとも呼ばれる芯材11とインクリボン12とから成る。芯材11は、円筒形であり、その材質としては、通常は塩化ビニル樹脂、ポリスチレンまたは厚紙等であるが、品種によってはアルミニウム等の金属を使用する場合もあり、適応材料は多い。但し、何れの材料を芯材11に用いるにせよ、通常は単一の材料で構成されることが多い。
一方、インクリボン12に関しては、複数の薄い層からなり、その層の構成はインクリボンの種類によって数分類に分かれる。例えば、図2(a)に示すように、図において下の層から上へ順に、バック層24、基体21、剥離層22およびインク層23から成るものや、図2(b)に示すように、バック層24、基体21、インク層23および梨地模様で示すバリヤ性層25から成るものがある。
インクリボン12の各層に用いられる材料は非常に多い。これは、印字される側の媒体が、紙ベース、布ベースまたはフィルムベースと多岐に渡っていることに起因する。但し、図2(a)、(b)に共通して、基体21には、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂あるいはポリエチレンナフタレート樹脂等公知の有機樹脂フィルムが使用されることが多い。なお、基体21の厚さは、通常、0.5〜20μmが適当である。
この熱転写リボン10の印字方式(感熱転写方式)には、熱溶融性物質をリボンの着色剤に用いる溶融型熱転写記録法と、昇華性染料を用いる昇華型熱転写記録法とがある。これらは、前者が主としてバーコード等の単色用として用いられ、後者がフルカラー用として用いられることが多い。そして、一般には、熱溶融型が図2(a)のタイプ、昇華型が図2(b)のタイプで構成することが多い。
ところで、画像記録装置としての熱転写プリンタの本体(図示せず)内では、熱転写リボン10は、図3に示すように巻き取り側コア31と送り側コア32との、いわゆる2ロール方式を取っているものが多い。したがって、熱転写リボンの使用前(熱転写プリンタへの取り付け前)の構造と、使用後(熱転写プリンタからの取り外し後)の形状は、共に図1に示す状態のもので、共通の構造となっている。
以下、熱転写リボンをリサイクルするシステムを説明する。
図4において、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、ユーザ(市場)から使用済みの熱転写リボン10を回収して集める。そして、集まった熱転写リボン10に対して必要に応じ分解分別し、一定量確保した後、特定の品目については、次の熱転写リボン再生工程42に供給する。ここで、上述の「必要に応じ」および「特定の品目」とは、熱転写リボン再生工程42から出され伝達される情報によって決まってくる。
そして、熱転写リボン再生工程42では、熱転写リボン回収・分解・分別工程41から搬入した前記「特定の品目」をリユース部品として活用し、必要に応じて新品の部品(または材料)も合わせて、再生熱転写リボンを製造する。
ここで、図4のシステム運営を円滑に行うために、各工程41、42では色々な情報伝達が行われる。伝達される情報の一つとして、リサイクル対象品に関する情報としてのリサイクル対象品情報4a、すなわち、「回収された使用済みの熱転写リボンから何を再使用(リユース)する対象品とするか?を明確にした情報」がある。このリサイクル対象品情報4aは、熱転写リボン再生工程42から発信される。例えば、図5に示すように、再使用(以下、「リユース」というときがある)する対象品が芯材11の場合、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、回収した使用済みの熱転写リボン10を使用済みの芯材11(以下、単に「芯材11」という)と使用済みのインクリボン12(以下、単に「インクリボン12」という)とに分解分別する。そして、芯材11のみを熱転写リボン再生工程42に送り、残ったインクリボン12は他の処理施設、例えばエネルギーリカバリ処理施設等に送って処理する。この場合、芯材11は、少なくとも再使用可能な程度の機能を保持している必要がある。
一方、熱転写リボン再生工程42では、供給された芯材11に新品のインクリボン(図5では「新品インクリボン」と記載)を取り付けて、すなわち熱転写リボン回収・分解・分別工程41から供給された芯材11に対して、これを再使用して、新品のインクリボンを巻き取って再生熱転写リボンとして出荷する。
このとき、リサイクル対象品情報4aの情報伝達方式の一例としては、熱転写リボン再生工程42にて、リサイクル対象品情報4aをパーソナル・コンピュータ(以下、「パソコン」と略称する)43等にてインターネット通信にて情報発信し、そして、熱転写リボン回収・分解・分別工程41にて、他のパソコン43で受信し、そのパソコン43の画面上で再使用(リユース)する対象品が芯材11であることを確認するという手段がある。このように、熱転写リボン回収・分解・分別工程41と熱転写リボン再生工程42との間では、情報処理機器を用いたインターネット通信である通信手段の一例としてのパソコン43を用いた情報の伝達が行われる。
なお、リサイクル対象品情報4aの情報伝達の他の方法・通信手段としては、インターネット・ファクシミリ(FAX:図示せず)等での入力(情報発信)や、プリンタ44等で出力して紙にて確認(情報受信)する手段等を用いてもよい。
ところで、これまでの説明では、熱転写リボン回収・分解・分別工程41は一箇所で全作業を行うことを想定しているが、これに限定する必要はなく、回収を担当する回収センターと分解分別を担当するリサイクルセンターとに工程分割してもよい。
また、使用済みの熱転写リボンの回収の仕方に関しては、特に、固定した方法である必要はない。例えば、新品熱転写リボンをユーザに届ける際に、同時にユーザにおいて生じた使用済みの熱転写リボンを回収して熱転写リボン回収・分解・分別工程41まで搬送するという方法をとってもよいし、また電話等でユーザから連絡(使用済みの熱転写リボンが一定量溜まったという連絡)を受けた後に、熱転写リボン回収・分解・分別工程41に運ぶ方法をとってもよい。また、特にユーザとの連絡は行わず、定期的にユーザのところに回収に行く方法をとってもよい。
図6を参照して、前述のリサイクル対象品情報4aに関して、リユースの対象が実施例1と異なる場合を、実施例2として、以下説明する。
実施例2として、リユースする対象品がインクリボン12の場合、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、回収し分解分別した後、インクリボン12のみを熱転写リボン再生工程42に送り、残った芯材11は他の処理施設、例えばエネルギーリカバリ処理施設等に送って処理する。この場合、インクリボン12は、少なくとも再使用可能な程度の機能を保持している必要がある。
但し、芯材11は単一の素材であることが多いので、マテリアルリサイクル業者に送るという方法も可能である。そして、熱転写リボン再生工程42では、供給されたインクリボン12と新品の芯材(図6では「新品芯材」と記載)とを取り付けて、再生熱転写リボンとして出荷する。
上記例の場合は、熱転写リボン再生工程42に供給されたインクリボン12は、前回使用時の印字部分のインクが抜けているため、これを再生する必要がある。この時のインク剥離部分であるインク抜け部の再生には、例えば、前述の従来技術例、すなわち特開平6−48049号公報記載の熱転写インクリボンとその再生方法等を活用・利用してインクを充填することも可能である。
実施例2の別の例として、図7に示すように、熱転写リボン10を丸ごとリユースする場合がある。
この例の場合、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、市場から使用済みの熱転写リボン10を回収するのみで、分解は行わない。そして分別後の使用済みの熱転写リボン10を一定量確保の後、回収した使用済みの熱転写リボン10を熱転写リボン再生工程42に送る。そして熱転写リボン再生工程42では、そのインクリボンのインク抜け部の再生処理を上述した例と同様の従来技術例を利用して行って、再生熱転写リボンとして出荷する。
さらに別の例として、前述の実施例1や実施例2の上記例が複合される場合がある。すなわち、熱転写リボンの製品品種別、あるいはカラーの色別等で再使用(リユース)する対象が、芯材11、インクリボン12、熱転写リボン10丸ごとに分かれる場合には、熱転写リボン再生工程42にて、対象品目別に供給形態(芯材、インクリボンまたは熱転写リボン丸ごと)が明確になるような情報発信を行う。
この一例としては、リサイクル対象品情報4aを図8に示す図表のように一覧表化する手段がある。この図表を、熱転写リボン再生工程42のパソコン43(図4参照)で作成してインターネット通信をする。そして、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、別のパソコン43の画面上で図8に示されている一覧表を確認して、指示に従った分解分別を行うものである。
次に、図9を参照して、システム運営を円滑に行うための情報伝達の別の例として実施例3を説明する。図9に示す実施例3では、生産計画を満足するための情報伝達が行われる例を示している。
熱転写リボン再生工程42において、再生熱転写リボンを所望量生産するためには、使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンが所望量必要となる。そこで、それらは使用済みの熱転写リボンの需要量に関する情報としての使用済み熱転写リボン需要量情報9aとして、熱転写リボン再生工程42から熱転写リボン回収・分解・分別工程41へと要求量が伝達される。例えば、月毎に使用したい重量または個数が前記インターネット通信等と同様の通信手段を介して伝達される。そして、その熱転写リボン需要量情報9aに基づき、熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、使用済みの熱転写リボンの分解分別量を決定する。
なお、上記情報伝達形式の一例として、使用済み熱転写リボン需要量情報9aに関して、図10に示す図表のようにするものがある。この図10に示した表を、熱転写リボン再生工程42のパソコン等にて作成してインターネット通信をする。そして、熱転写リボン回収・分解・分別工程41の別のパソコン等で表の確認を行う。この図10に示した表では、使用したい使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの量を例えば月毎で記載する。
さらに、図11に示すように、使用済み熱転写リボン需要量情報9aに関して、使用済みの熱転写リボン、芯材、インクリボンの各種類毎に、商品コード11aを設けると共に、月毎などでロットNO.11bを設けることにより、熱転写リボン再生工程42と熱転写リボン回収・分解・分別工程41との双方が、より管理をし易くすることも可能である。
なお、熱転写リボン再生工程42や熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、インターネット通信等で伝達された表をプリンタ等で予め紙に出力しておき、紙にて照らし合わせを行ってもよい。
但し、本実施例で注意すべきことは、使用済みの熱転写リボンの回収量によって決まる供給能力に対して、使用済み熱転写リボン需要量情報9aの需要量が不足しているようなケース、つまり需要と供給とのアンバランスが生じることはありうる。つまり、回収量があまり多いと、リサイクル対象品情報4aで対象となる品目であっても、熱転写リボン再生工程42には供給できなくなる。上記のようなケースの場合には、その一部をエネルギーリカバリ処理施設やマテリアルリサイクル業者へ転用する対応をとる必要がある。
次に、図12を参照して、システム運営を円滑に行うための別の例として、リサイクル実施状況の把握を可能とする実施例4を説明する。
熱転写リボン回収・分解・分別工程41では、熱転写リボン再生工程42で再使用する内容も含め、熱転写リボンの処理に関する情報、すなわちリサイクル実施に関する情報としてのリサイクル実施情報12aをパソコン等の情報処理機器にてデータ管理している。図12において、「使用済TTR回収量」とは、使用済みの熱転写リボンの回収量の略語を意味し、また「〜」という記号は、具体的な数値等を意味する。
このリサイクル実施情報12aとは、具体的には、
1.市場から回収した使用済みの熱転写リボンの量データインプット(INPUT)データ
2.それら回収した使用済みの熱転写リボンのうち、熱転写リボン再生工程42に送った量、すなわちリユース量のデータ
3.熱転写リボン再生工程42に送った量以外の別手段(例えば、エネルギーリカバリ処理施設等の活用)にて処理した場合の、各処理手段内容/処理量のデータ等が含まれる。
さらには、上記各データから算出されるリサイクル率データ、リユース率データ、マテリアルリサイクル率データ、エネルギーリカバリ率データ等もリサイクル実施情報12aに含まれる。
このように、実施例2ないし4では、熱転写リボン回収・分解・分別工程41および熱転写リボン再生工程42は、各々、送/受信される情報を保管するためのデータ保管手段としての例えばパソコン43のハードディスク等の不揮発性メモリを有し、かつ、各々、情報を出力する出力手段としてのパソコン43の画面(CRTや液晶表示画面)やプリンタ44等を有するものである。
以上述べたとおり、本発明を特定の実施例等について説明したが、本発明が開示する技術的範囲は、上述した各実施例等に例示されているものに限定されるものではなく、それらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や変形例あるいは実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。

本発明の実施例に係る熱転写リボンの外観構造を示す斜視図である。 (a)は熱溶融型、(b)は昇華型、熱転写印字方式にそれぞれ用いられるインクリボンの断面図である。 熱転写プリンタ本体で使用される熱転写リボンの構造を示す斜視図である。 実施例1における熱転写リボンリサイクルシステムの要部の工程図である。 実施例1の別の例における熱転写リボンリサイクルシステムの要部の工程図である。 実施例2における熱転写リボンリサイクルシステムの要部の工程図である。 実施例2の別の例における熱転写リボンリサイクルシステムの要部の工程図である。 実施例1、2および図7に示した別の例が熱転写リボンリサイクルシステムに複合された場合のリサイクル対象品情報を一覧表で表した図表である。 実施例3における熱転写リボンリサイクルシステムの要部の工程図である。 実施例3における使用済み熱転写リボン需要量情報の一例を示す図表である。 図10の使用済み熱転写リボン需要量情報において、使用したい使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの量を月毎に記載した図表である。 実施例4におけるリサイクル実施情報の一例を示す図表である。 従来の一般的なリサイクルシステムの概念をフロー化して示した図である。
符号の説明
4a リサイクル対象品情報(リサイクル対象品に関する情報)
9a 使用済み熱転写リボン需要量情報(使用済みの熱転写リボンの需要量に関する情報)
10 熱転写リボン
11 芯材
11a 商品コード
11b ロットNO
12 インクリボン
12a リサイクル実施情報(リサイクル実施に関する情報)
31 巻き取り側コア
32 送り側コア
41 熱転写リボン・回収・分解・分別工程
42 熱転写リボン再生工程
43 パソコン(通信手段の一例、データ保管手段、情報処理機器の一例)
44 プリンタ(出力手段、情報処理機器の一例)

Claims (1)

  1. 熱転写プリンタに使用する熱転写リボンの使用済みの熱転写リボンを市場から回収し、必要に応じ、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解分別する熱転写リボン回収・分解・分別工程と、使用済みの熱転写リボンを用いて新規の熱転写リボンを作る熱転写リボン再生工程とを有する熱転写リボンリサイクルシステムにおいて、
    前記熱転写リボン回収・分解・分別工程では、前記熱転写リボン再生工程から出されるリサイクル対象品に関する情報に基づいて、熱転写リボンの種類毎に、使用済みの熱転写リボンを分解しないでそのまま前記熱転写リボン再生工程に送る処理、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該芯材を前記熱転写リボン再生工程に送る処理、使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該インクリボンを前記熱転写リボン再生工程に送る処理および使用済みの熱転写リボンを芯材とインクリボンとに分解して、該芯材と該インクリボンとを前記熱転写リボン再生工程に送る処理の何れか一つの処理を選択し実行し、かつ、前記熱転写リボン回収・分解・分別工程では、前記熱転写リボン再生工程から出される使用済みの熱転写リボンの需要量に関する情報に基づく使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの需要量が回収量に対して不足している場合、前記需要量に応じた必要量の使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンを前記熱転写リボン再生工程に送ると共に、使用済みの熱転写リボン、芯材またはインクリボンの回収量の一部をマテリアルリサイクル業者またはエネルギーリカバリ処理施設へ転用することを特徴とする熱転写リボンリサイクルシステム。
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