JP4608066B2 - 印刷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、孔版印刷装置等を含む印刷装置に関し、さらに詳しくは複数の印刷ドラムおよび圧胴を有して多色印刷等を行える印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より簡便な印刷方式として、印刷装置の一例としての感熱デジタル製版式の孔版印刷装置が知られている。この孔版印刷装置では、サーマルヘッドの微細な発熱素子にマスタを接触させ、サーマルヘッドの発熱素子にパルス的に通電させながらマスタを搬送することで、画像信号に応じてマスタを溶融穿孔・製版し、この製版済みのマスタを多孔性円筒状の版胴(以下、「印刷ドラム」というときがある)の外周面に巻き付け、印刷ドラム内部のインキ供給手段よりインキを供給し、給送されてくる印刷用紙をプレスローラや圧胴等の押圧手段で製版済みのマスタを介して印刷ドラムに連続的に押し付けることにより、印刷ドラムの開孔部分、さらにはマスタの穿孔部分よりインキを滲み出させ、そのインキを印刷用紙に転移させることによって印刷画像を形成するものである。
【0003】
このような孔版印刷方式を使用する印刷技術として、次の三つのものが知られている。
▲1▼特開平11−208085号公報には、二つ(またはそれ以上)の印刷ドラムを用紙搬送方向に略水平状態に並べて配置し、印刷用紙(以下、単に「用紙」という)を二つの印刷ドラム(またはそれ以上)の印刷部に給送し、印刷部において押圧手段として用いたプレスローラで印刷ドラム上の製版済みのマスタに用紙を押し付けることにより、2色(または多色)印刷を行う多色孔版印刷装置が開示されている。この印刷技術では、印刷部がプレスローラによるものなので、構成が簡略化でき低コストになるという利点がある(以下、「第1の印刷技術」という)。
【0004】
▲2▼特開平4−105984号公報には、印刷ドラムの外径と略同径の裏押しローラ(以下、「圧胴」または「紙くわえ胴」という)とを用いた多色孔版印刷装置が開示されている。特に、前記公報の第7図に示されているような単一の紙くわえ胴を中心に、その回転方向に複数の印刷ドラムを配置した多色孔版印刷装置の例も開示されている。
この例では、印刷ドラムとして、特開平1−204781号や特開平3−197078号あるいは特開平3−254984号公報に記載されている印刷ドラムを用いることとされている。これらに開示されている印刷ドラムは、例えばステンレススチール製ワイヤ等の金属製スクリーン等からなるインキ通過性の網材で形成され紙くわえ胴に接離可能な多孔性円筒体(以下、この部分を総称して印刷ドラムにおける「版胴」というときがある)と、印刷ドラム内に配置され多孔性円筒体の内周面に一つの母線に沿って接触し、印刷時に、紙くわえ胴の外周面に押圧すべく多孔性円筒体を紙くわえ胴に向けて半径方向外方へ押し出す中押しローラとを有しているものである。
【0005】
前記中押しローラを有する印刷ドラムでの印刷は、印刷時において、中押しローラを印刷ドラムの版胴の外に向けて押し出すことにより多孔性円筒体を半径方向外方へ膨出させ、金属製スクリーン上に保持された製版済みの孔版原紙(マスタ)を、紙くわえ胴に保持された用紙に接触させてインキ転写を行い、印刷を行う印刷方式である(以下、「第2の印刷技術」という)。
【0006】
▲3▼特開2000−198262号公報には、紙くわえ胴の周囲に4つの印刷ドラムを配置して、多色印刷や多色両面印刷を行う孔版印刷装置が開示されている(以下、「第3の印刷技術」という)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1の印刷技術では、相隣る印刷ドラムの間隔(距離)は印刷ドラムの直径以上は必要であるという制限があるために、これよりも用紙搬送方向に短い用紙では、中間搬送部においてプレスローラで拘束されないタイミングがある。そのタイミングでは、印刷ドラムの周速度よりも速い速度で駆動される中間搬送部での、搬送速度精度が確保しにくく(ベルト搬送される場合が多くスリップ等が生じるため)、また、用紙は1色目印刷ドラムに巻き付き気味になって搬送されたりするので用紙搬送経路が安定せず、結果として、2色目印刷ドラムヘの用紙先端の進入同期が取りにくく、2色目での印刷画像位置精度が得にくいという問題点がある。
【0008】
また、孔版印刷の場合、印刷インキ(以下、単に「インキ」という)としては、いわゆるエマルションインキを使用されることが多く、エマルションインキはその重量の50〜75%程度は水分であり、用紙に転移された後の乾燥方法は、水分の用紙中への自然浸透によるものであり、転移後の時間が短い場合には、未乾燥のままとなっている。
したがって、この例のように1色目印刷後に連続して2色目以降の印刷を行う場合には、2色目印刷までの時間が非常に短いので、1色目印刷後は用紙上のインキは完全に用紙中には浸透せず、未乾燥のままとなっている。
【0009】
1色目の印刷ドラムで用紙上に転移されたインキが未乾燥のまま、2色目印刷ドラムに用紙が接触して2色目の印刷を行うために、前述の未乾燥インキが2色目印刷ドラム上のマスタに転移し、それが次の用紙上に転移するが、その時に、印刷毎に二つの印刷ドラム間での位相ずれが生じたり、前述のように中間搬送部から2色目印刷ドラムヘの用紙タイミングがずれると、前の用紙上の印刷画像から2色目印刷ドラム上のマスタに転移した1色目未乾燥インキによる印刷画像と、次の用紙での1色目印刷ドラムによる本来の印刷画像との間に位置ずれが生じ、2色目印刷ドラム上のマスタから転移した印刷画像が本来の印刷画像の周囲に薄く転写され、印刷画像のニジミあるいはボケ(以下、「オフセットゴースト」と呼ぶ)が生じ、印刷画像品位を低下させてしまうという問題が生じる。
【0010】
以上述べたように、孔版印刷では、その印刷プロセスおよびインキ特性上から、上述のようなオフセットゴーストが非常に発生しやすい。孔版印刷機では、マスタの穿孔された孔の内側から、インキがプレスローラ等の押圧手段の圧力で押し出されて用紙上に転移されるので、穿孔径バラツキやマスタを構成している熱可塑性樹脂フィルムの裏側の和紙ベースに保持されているインキの量のバラツキなどから、インキの転位量がコントロールしにくく、どうしてもインキ転位量が多くなり、前述の未乾燥インキの量自体も多くなってしまうので、オフセツトゴーストを発生させるインキも多くなり、前述のオフセットゴースト発生プロセスと相まって、他の印刷プロセスに比べてオフセットゴーストが目立ってしまうという問題点がある。
【0011】
第2の印刷技術では、用紙を紙くわえ胴(裏押しローラ)に保持するので、印刷ドラム間の間隔よりも短い用紙に印刷する場合でも、1色目印刷ドラムでの印刷が終了した後、2色目以降の印刷ドラムで印刷を行うときにも、用紙は紙くわえ胴にくわえられ・保持されて搬送されるので、搬送速度精度や用紙搬送経路の安定性が確保でき、2色目印刷ドラムヘの進入タイミング精度が確保できる。 したがって、第1の印刷技術で述べたような用紙搬送精度悪化や用紙搬送経路の不安定による前述のオフセットゴーストは発生しにくい。
しかしながら、複数の印刷ドラム間での駆動機構(駆動装置)の精度に起因する回転駆動ムラ、あるいは紙くわえ胴と印刷ドラム間での駆動機構の精度に起因する回転駆動ムラは生じるため、印刷ドラム同士の回転方向の位相(以下、「回転位相」または単に「位相」という)の、印刷毎の微少ずれは発生する。したがって、これに起因するオフセットゴーストは発生してしまうという問題点がある。
【0012】
一方、第3の印刷技術では、紙くわえ胴と各印刷ドラムは、各々に設けられたギヤで直接連結されており、紙くわえ胴と各印刷ドラムの回転位相精度は比較的得られやすい。したがって、前述のオフセットゴーストの発生も、前記二つの従来例に比べれば発生量を小さくできる。
しかしながら、ギヤで直接連結した構成となっているために、各印刷ドラム同士、あるいは紙くわえ胴と印刷ドラムの位相調整を行う機構が無く、各印刷ドラムで印刷する色間の微妙な位置調整ができない上に、紙くわえ胴と印刷ドラムの位相の調整も行うことができず、結局、印刷画像の画像位置調整を行うことができないという大きな問題点を有している。
【0013】
したがって、本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、印刷ドラムの直径よりも短い長さの用紙でも、2色目以降の印刷ドラムに対する進入タイミング精度を確保できるとともに、印刷ドラム間または印刷ドラムと紙くわえ胴間の位相調整が可能であり、色間の画像印刷位置の微調整と、用紙に対する全体の画像印刷位置の調整を可能とした上で、印刷毎の印刷ドラム間または印刷ドラムと紙くわえ胴間の位相ずれを抑えて、オフセットゴーストの低減が可能な(多色)印刷装置を実現することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決すると共に前述した目的を達成するために、各請求項記載の発明では、以下の特徴ある構成を採っている。
請求項1記載の発明は、複数の印刷ドラムと、前記各印刷ドラムの外径と略同径の圧胴とを具備し、前記圧胴の周囲に前記複数の印刷ドラムを配置し、前記圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで印刷後、この印刷された用紙上のインキが未乾燥のまま、前記圧胴の回転方向の下流側に配置された印刷ドラムで印刷を行う印刷装置において、前記各印刷ドラムは、印刷装置本体に対して着脱自在な印刷ドラムユニットとして構成されており、前記圧胴と前記各印刷ドラムとの間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段を備えた駆動装置と、前記各印刷ドラムユニットに対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各印刷ドラムユニットを保持する保持部材と、前記各保持部材に対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各保持部材ごと前記各印刷ドラムユニットの前記印刷ドラムを前記圧胴に対して接離動作させる接離手段とを有し、前記駆動装置は、駆動力を伝達する駆動伝達部材を具備し、該駆動伝達部材は、前記各印刷ドラムの回転数に対して、等倍を含む整数倍の回転数で回転するものであり、前記駆動装置により前記圧胴および前記各印刷ドラムが駆動されることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、複数の印刷ドラムと、前記各印刷ドラムの外径と略同径の圧胴とを具備し、前記圧胴の周囲に前記複数の印刷ドラムを配置し、前記圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで印刷後、この印刷された用紙上のインキが未乾燥のまま、前記圧胴の回転方向の下流側に配置された印刷ドラムで印刷を行う印刷装置において、前記各印刷ドラムは、印刷装置本体に対して着脱自在な印刷ドラムユニットとして構成されており、前記複数の印刷ドラム間、および前記複数の印刷ドラムのうちの一つの印刷ドラムと前記圧胴との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段を備えた駆動装置と、前記各印刷ドラムユニットに対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各印刷ドラムユニットを保持する保持部材と、前記各保持部材に対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各保持部材ごと前記各印刷ドラムユニットの前記印刷ドラムを前記圧胴に対して接離動作させる接離手段とを有し、前記駆動装置は、駆動力を伝達する駆動伝達部材を具備し、該駆動伝達部材は、前記各印刷ドラムの回転数に対して、等倍を含む整数倍の回転数で回転するものであり、前記駆動装置により前記圧胴および前記各印刷ドラムが駆動されることを特徴とする。
請求項1および請求項2において、「圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで印刷後」には、「圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで1色目印刷後」を含むことを意味する。また、「印刷ドラムの外径と略同径の圧胴」とは、圧胴の外径(直径)寸法が印刷ドラムの外径(直径)寸法と同じであるものの他、設計上の許容寸法公差範囲内にある場合も含む。
【0018】
請求項記載の発明は、請求項1または2記載の印刷装置において、前記駆動装置の前記駆動伝達部材は、全てギヤで構成されていることを特徴とする。
【0019】
請求項記載の発明は、請求項1ないしの何れか一つに記載の印刷装置において、前記駆動装置の前記駆動伝達部材は、少なくとも一つの歯付きベルトを含むことを特徴とする。
【0021】
請求項記載の発明は、請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置において、前記各印刷ドラムの回転駆動は、前記印刷ドラムの回転駆動軸と印刷装置本体側駆動部との間に、オルダム継手を介在させて、駆動を行うことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
(第1の実施形態)
図1および図2に、本発明の第1の実施形態を示す。図1において、符号100は、本発明を適用した印刷装置の一例としての多色孔版印刷装置を示す。符号101は多色孔版印刷装置100の装置本体としての本体フレームを示す。本体フレーム101は、後述する各装置・ユニット・保持フレームを覆うように配置された外装パネルおよび内部に配設された不動部材である各種側板を連結固定していて、その外側形状が略筐体状をなしている。以下、前記外装パネルおよび前記各種側板を総称して、単に本体フレーム101というときがある。
多色孔版印刷装置100は、図1に示すように、後述する保持部材を介して本体フレーム101に対して着脱自在に構成され、1色目印刷ドラム1a(以下、単に「印刷ドラム1a」というときがある)を有する印刷ドラムユニット70aと、同じく後述する保持部材を介して本体フレーム101に対して着脱自在に構成され、2色目印刷ドラム1b(以下、単に「印刷ドラム1b」というときがある)を有する印刷ドラムユニット70bと、給送されて来た用紙32の先端部を保持する保持手段としての用紙クランパ7を備え、各印刷ドラム1a,1bの外径と略同径の圧胴6(以下、「紙くわえ胴6」と言い替える)とを具備し、紙くわえ胴6の周囲に各印刷ドラムユニット70a,70bを介して各印刷ドラム1a,1bを装着・配置した構成を有する。
【0024】
多色孔版印刷装置100では、各印刷ドラムユニット70a,70bを介して紙くわえ胴6の周囲に装着・配置された各印刷ドラム1a,1bは、後述する保持部材および接離手段を介して、紙くわえ胴6に対して接離可能に構成されており、各製版済みのマスタ12a,12bを各印刷ドラム1a,1bの版胴に巻き付け、各印刷ドラム1a,1bの版胴上の製版済みのマスタ12a,12bにインキを供給されながら、印刷時に、紙くわえ胴6側に変位して押圧動作を行い、紙くわえ胴6の外周面上に保持された用紙32に各印刷ドラム1a,1bの版胴上の製版済みのマスタ12a,12bを順次押し付けることにより連続的に印刷を行って、同時多色印刷(第1の実施形態では同時2色印刷である)をすることが可能なように構成されている。
このように、第1の実施形態では、製版済みのマスタ12a,12bを介して、紙くわえ胴6に対して各印刷ドラム1a,1bを押し付けて印刷を行う印刷ドラム接離方式を採用している。
したがって、第1の実施形態によれば、上述した構成を有することにより、従来の第2の印刷技術と同様の利点、すなわち用紙搬送方向Xに長さの短い小サイズの用紙32を使用しても、各印刷ドラム1a,1bとの同期が取りやすく、印刷しやすいという利点がある。
【0025】
多色孔版印刷装置100は、前記した各印刷ドラムユニット70a,70bおよび紙くわえ胴6の他に、図1に示すように、前記各印刷ドラムユニット70a,70bに対応して前記保持部材側にそれぞれ配設され、各印刷ドラムユニット70a,70bを各印刷ドラム1a,1bの軸線方向に移動可能に案内・保持する案内保持手段としての本体側レール69a,69bと、各印刷ドラムユニット70a,70bに対応して本体フレーム101に配設され、本体フレーム101に装着される各印刷ドラムユニット70a,70bを保持する保持部材としての1色目保持フレーム104aおよび2色目保持フレーム104bと、1色目保持フレーム104a、2色目保持フレーム104bに対応して本体フレーム101に配設され、1色目保持フレーム104a、2色目保持フレーム104bごと各印刷ドラムユニット70a,70bの印刷ドラム1a,1bを紙くわえ胴6に対して接離動作させる接離手段130a,130bと、紙くわえ胴6と各印刷ドラム1a,1bとの間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段としての天地移動機構を備えた駆動装置としての駆動機構110とを具備している。
多色孔版印刷装置100では、前記した駆動機構110により、紙くわえ胴6および各印刷ドラム1a,1bが駆動されることを一つの特徴としている。
【0026】
また、多色孔版印刷装置100は、本体フレーム101に装着される各印刷ドラムユニット70a,70bにおける相隣る印刷ドラム1a,1bの略中間位置に配置され、マスタ12を製版し各製版済みのマスタ12a,12bを各印刷ドラム1a,1bに給版する一つの製版・給版装置としての製版・給版ユニット10と、印刷ドラム1aの右下方に配置され給紙台31上に積載された用紙32を紙くわえ胴6の用紙クランパ7に向けて給送する給紙装置30と、本体フレーム101に装着される印刷ドラム1bの左下方に配置され各印刷ドラム1a,1bの印刷部で多色印刷された印刷済みの用紙32を排紙台(図示せず)上に排出・排紙する排紙装置40と、製版・給版ユニット10の両側に配置され本体フレーム101に装着される各印刷ドラム1a,1b上の各使用済みのマスタ12a,12bを剥離し収納する排版装置としての排版ユニット(図示せず)と、製版・給版ユニット10の上方に配置され原稿の画像を読み取る原稿読取装置としてのスキャナユニット(図示せず)等とを具備している。
【0027】
本体側レール69aと本体側レール69bと、印刷ドラムユニット70aと印刷ドラムユニット70bと、1色目保持フレーム104a(以下、単に「保持フレーム104a」という)と2色目保持フレーム104b(以下、単に「保持フレーム104b」という)と、接離手段130aと接離手段130bと、はそれぞれ配置位置を除き略同一の機能および同じ構成要素をもって構成されているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明をできるだけ省略する。
【0028】
本体側レール69aは、例えば板金でできていて、図3に拡大して示すように、断面が正面視でチャンネル状に形成されている。本体側レール69aは保持フレーム104aに、本体側レール69bは保持フレーム104bに、それぞれ取り付け・固定されている。
【0029】
各印刷ドラムユニット70a,70bは、本体フレーム101に装着されたとき、用紙搬送方向Xの上流側から下流側に沿って並んで配置される。
印刷ドラムユニット70aは、図1および図2に示すように、印刷ドラム1aと、本体側レール69aに係合して本体フレーム101内の所定位置に案内される移動可能な被係合レール部(図示せず)と、この被係合レール部に一体的に形成され、印刷ドラムユニット70aの重心73aよりも略鉛直方向の印刷ドラムユニット70aの上部に設けられ、印刷ドラムユニット70aの着脱操作時に用いる把手手段としての取っ手72aと、印刷ドラム1aの両側の端板(図示せず)を挟んで前記被係合レール部の図1および図2の紙面の手前側に垂設された前フレーム74aおよび図1および図2の紙面の奥側に垂設された後フレーム(図示せず)と、前フレーム74aおよび図示しない後フレームの両側部に一体的に形成され、保持フレーム104aに位置決めされる図1において左右一対の被位置決め部75a,75aとから主に構成されている。
【0030】
前記被係合レール部は、例えば板金でできていて、断面が正面視でチャンネル状に形成されている。取っ手72aは、前記被係合レール部の図1および図2における紙面手前側で折り曲げ形成されていて、その断面が側面視で倒立したL字状をなす。取っ手72aは、本体側レール69aと係合して印刷ドラムユニット70aを印刷ドラム1aの軸線方向に移動可能にする機能を有する。印刷ドラムユニット70aの取っ手72aを把持・操作して、印刷ドラムユニット70aを印刷ドラム軸線方向にスライドさせて前記印刷位置と前記離脱位置とを占めることができる。各被位置決め部75a,75bは、外方に突出した凸形状をなす。
【0031】
1色目印刷ドラム1aと2色目印刷ドラム1bとは、インキの色や動作タイミング等を除き、それぞれ同一の機能および構成を有し、直径を始めとする各部位の寸法形状も同じである。これと同様に、印刷ドラム1aの内外周りに配設された後述するクランパ5aおよびインキ供給手段と、印刷ドラム1bの内外周りに配設された後述するクランパ5bおよびインキ供給手段とは、配置位置を除き略同一の機能および構成を有しているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明をできるだけ省略する。
【0032】
各印刷ドラム1a,1bは、後で詳述するように、印刷ドラムユニット70a、70bを介して、各本体側レール69a,69bおよび保持フレーム104a,104bに案内・保持されて本体フレーム101内に装着される装着位置と、本体フレーム101から離脱される離脱位置との間に移動可能となっている。
【0033】
印刷ドラム1aは、外周部に周知の多孔性円筒状部(この部分を版胴と呼ぶこともある)を有し、図示しない端板およびドラム軸2aに装着された図示しない軸受を介して、前フレーム74aおよび前記後フレームに回転可能に支持されていて、ドラム軸2aの周りに回動する。
印刷ドラム1aは、ドラム軸2aの中心軸線方向に延在して設けられていて、例えば特開平10−297074号公報の図4に示されている版胴1a,1bと同様の、インキ通過性の多数かつ微細な開孔部(図示せず)が形成された金属薄板層状の支持円筒体(図示せず)と、その外周面に巻き付けられた樹脂もしくは金属製のメッシュスクリーン層(図示せず)との2層構造となっている。前記支持円筒体には、クランパ5aの周辺を除くその円周上の所定の範囲にわたり前記開孔部が形成された印刷可能領域と、前記開孔部が形成されていないインキ不通過性の非印刷領域とが形成されている。
金属薄板層状の前記支持円筒体としては、厚さ0.05mm〜0.3mm程度のステンレス板を丸めたものが、印刷時に必要な剛性を確保しインキ通過の微細孔を加工する上でバランスが良く好ましい。
【0034】
第1の実施形態における印刷ドラム1aは、少なくともインキ通過性の金属薄板層(前記支持円筒体に同じ)を有していればよく、メッシュスクリーン層は無くても、あるいは複数層有していても構わない。
【0035】
印刷ドラム1a外周部の一母線上には、図1および図2に示すように、製版済みのマスタ12aの先端部をクランプ(挟持)・保持するマスタ保持手段としての開閉自在なクランパ5aが設けられている。クランパ5aは、クランパ軸で印刷ドラム1a上に枢着されている。
クランパ5aは、それ自身が図1において略真上に位置する給版位置に印刷ドラム1aが停止したときや、印刷ドラム1a上の使用済みのマスタ12aを排版すべく排版位置に停止したとき、図示しない開閉装置により開閉される。同様に、クランパ5bは、それ自身が図1および図2において右斜め上方に位置する給版位置に印刷ドラム1bが停止したときや、印刷ドラム1b上の使用済みのマスタ12bを排版すべく排版位置に停止したとき、図示しない開閉装置により開閉される。
【0036】
各印刷ドラム1a,1bが本体フレーム101内にあるとき、図1および図2に示すように、各クランパ5a,5bの位置(位相)が異なるように、1色目印刷ドラム1aと2色目印刷ドラム1bとの間には予め初期位相差が設けられている。この初期位相差を設けた理由は、例えば特開平11−138961号公報の明細書の段落番号(0105)〜(0106)に記載されていることに基づく。
【0037】
印刷ドラム1aの内部には、図1に示すように、インキを保持するインキ貯容部としてのインキ溜まりIaを形成しながら印刷ドラム1aの内周面にインキを供給するインキ供給手段が配設されている。1色目印刷ドラム1aにおけるインキ供給手段では1色目のインキとして例えばブラック(Bk)色(以下、「黒色」と言い替える)のインキが、2色目印刷ドラム1bにおけるインキ供給手段では2色目のインキとして例えばマゼンタ(M)色(以下、「赤色」と言い替える)のインキがそれぞれ供給されるようになっている。
【0038】
印刷ドラム1aにおけるインキ供給手段は、印刷ドラム1aの内周面に黒色のインキを供給するインキ供給ローラ3aと、このインキ供給ローラ3aと僅かな間隙を置いて平行に配置され、インキ供給ローラ3aとの間にインキ溜まりIaを形成するドクターローラ4aと、インキ溜まりIaへインキを供給する図示しないインキディストリビュータ等とから構成されている。
インキは、各印刷ドラムユニット70a,70bに設けられたインキ容器(図示せず)からインキポンプ(図示せず)により圧送され、前記インキディストリビュータを介してインキ溜まりIaへ供給される。インキ溜まりIaに供給されるインキの量は、インキ検知手段としてのインキセンサ(図示せず)やインキ検知回路(図示せず)によって検知・測定され、前記インキポンプによってインキ圧送量をコントロールされる。インキとしては、例えばW/O型のエマルションインキが良好な印刷画像品質を得る上から好ましく用いられる。
【0039】
インキ供給ローラ3aは、例えばアルミニウム、ステンレススチールなどの金属またはゴム等で形成されている。インキ供給ローラ3aは、ドラム軸2aに垂設されたインキ側板(図示せず)に、軸を持って回転自在に支持されている。インキ供給ローラ3aは、図示しないギヤ列により印刷ドラム1aと共に時計回り方向に回転する。インキ供給ローラ3aと印刷ドラム1aとの回転速度の比は、所定の値に設定されている。
【0040】
ドクターローラ4aは、例えば鉄やステンレススチールなどの金属で形成されている。ドクターローラ4aは、前記インキ側板に軸を持って回転不能に固定されている。ドクターローラ4aは、インキ供給ローラ3a上のインキ膜の厚さを所定の厚さに規制・計量する機能を有する。
なお、ドクターローラは、前記したような回転不能に固定されているものに限らず、例えば前記インキ側板に軸を持って回転可能(間欠的に回転するもの含む)に支持されていて、図示しないギヤ列等により反時計回り方向に回転するものであってもよい。このような場合、ドクターローラと印刷ドラム1aとの回転速度の比も所定の値に設定される。
【0041】
紙くわえ胴6は、前記したように用紙搬送方向Xに沿って短い小サイズの用紙32を使用可能にすること、用紙32に対する印刷レジスト精度の向上、画像濃度の安定および印刷時の静音化等を図る目的で用いている。紙くわえ胴6は、前記印刷ドラム接離方式を採用したことに伴い、被押圧手段(被押圧部材)となっている。紙くわえ胴6は、図1にその概略を示すように、その外径寸法(直径)が印刷ドラム1aの外径寸法(直径)と略等しく形成されている。印刷ドラム1aが1回転したとき、紙くわえ胴6も1回転する。このため、給送されて来た用紙32の先端部をクランプ(挟持)する用紙クランパ7を紙くわえ胴6上に設けることができ、用紙32の先端を用紙クランパ7に突き当てながら給紙することで、用紙32に対する印刷レジスト精度を向上することができる。
【0042】
図1において、紙くわえ胴6が反時計回り方向に回転し、紙くわえ胴6における用紙クランパ7の回転位置(以下、「用紙くわえ位置」というときがある)で、用紙32の先端を用紙クランパ7に突き当てた後、用紙クランパ7が閉じることで、用紙32の先端部が用紙クランパ7によりクランプ・保持される。次いで、紙くわえ胴6がさらに反時計回り方向に回転し、紙くわえ胴6における用紙クランパ7が印刷ドラム1bのインキ供給ローラ3bと対向する位置から若干進んだ回転位置(以下、「用紙排出位置」というときがある)で用紙クランパ7が開き、インキが用紙32に転写される各印刷ドラム1a,1bの印刷部(ニップ部)よりすぎた位置で用紙32の先端部が排出されるので、用紙32がインキの粘着力により各印刷ドラム1a,1bに巻き上がらないという利点もある。
【0043】
紙くわえ胴6の外周部には、各印刷ドラム1a,1bの外周面に製版済みのマスタ12a,12bを介して接触する円筒部と、各印刷ドラム1a,1bにおけるクランパ5a,5bとの接触・衝突を避けるためにくぼんだ凹部8とが形成されている。紙くわえ胴6は実施例的にいうと、その本体部分には合成樹脂が使用されていて軽量化を図っていると共に、前記円筒部の外周には例えばニトリルゴムが巻着されていて紙くわえ胴6の回転ムラを低減している。紙くわえ胴6は、自身の中心に配設された軸9の周りに回転自在に支持されている。
【0044】
紙くわえ胴6の凹部8には、用紙32の先端部をクランプ・保持する開閉自在な用紙クランパ7が設けられている。用紙クランパ7にはマグネットを用いたクランプ方式が採用されていると共に、用紙クランパ7は、凹部8に配置された用紙クランパ軸にその基端部を固定されていて、図示しないスプリングにより常に閉じる向きに付勢されている。用紙クランパ7は、本体フレーム101側に配置された図示しないカムにより所定のタイミングで開き、用紙32の先端部をくわえた後閉じることで、紙くわえ胴6の外周面上に用紙32を保持する。
用紙クランパ7周りの細部の構造は、例えば本願出願人が提案した特開平11−99735号公報の図1ないし図6および図8ないし図10や、特開平11−147358号公報の図23ないし図25、あるいは特開2000−33764公報の図1、図2、図22および図26等に開示されているものと同様である。また、紙くわえ胴6の凹部8の形成範囲は、各印刷ドラム1a,1bのクランパ5a,5bとの接触・衝突を避ける特有の範囲および位相関係をもって設定されている。
【0045】
保持フレーム104aは、例えば板金等で形成されている。保持フレーム104aは、本体側レール69aを図1の紙面の手前側において固定している手前側側板(図1に表されている保持フレーム104aの部分)と、本体側レール69aを図1の紙面の奥側において固定している図示されていない奥側側板と、図1の紙面の奥側においてドラム軸2aを保持する図示しない奥側位置決め部とを含み、これらが一体化されたユニットをなしている。
【0046】
保持フレーム104aの前記手前側側板には、印刷ドラムユニット70aを着脱する際に干渉することなく逃がすための保持フレーム窓105aが形成されている。また、保持フレーム104aの前記手前側側板および前記奥側側板には、印刷ドラムユニット70aの両側の被位置決め部75aと摺接・係合して印刷ドラムユニット70aを保持フレーム104aの装着位置に位置決めする凹部状の位置決め部106a,106aが形成されている。
【0047】
一方、本体フレーム101には、保持フレーム104aの前記手前側側板および前記奥側側板の外周輪郭部、ならびに保持フレーム104bの前記手前側側板および前記奥側側板の外周輪郭部と接触することなく各保持フレーム104a,104bを逃す本体フレーム窓102が形成されている。本体フレーム窓102側の本体フレーム101には、各保持フレーム104a,104bの外周端面側に突出した態様で複数の支持コロ103が転動自在に取り付けられている。
これらの構成により、保持フレーム104aは、複数の支持コロ103の転動動作を介して、紙くわえ胴6の軸9の中心と本体フレーム101に装着された1色目印刷ドラム1aのドラム軸2aの回転中心とを通る直線に沿ってこれと平行に、紙くわえ胴6の外周面に対して進退自在になされている。同様に、保持フレーム104bは、複数の支持コロ103の転動動作を介して、紙くわえ胴6の軸9の中心と本体フレーム101に装着された2色目印刷ドラム1bのドラム軸2bの回転中心とを通る直線に沿ってこれと平行に、紙くわえ胴6の外周面に対して進退自在になされている。また、保持フレーム104aには、前記直線近傍の位置に、印圧支点部131aが設けられている。
【0048】
次に、接離手段130a,130bを説明する。
この第1の実施形態では、上述した目的を達成し後述する利点・効果を得る上から接離手段130a,130bを設けているが、その他に以下のような点も理由として挙げられる。すなわち、紙くわえ胴6を用いた印刷装置では、印刷が行われている状態、つまり、用紙32が印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bと紙くわえ胴6との間に存在する状態のもとでは、印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bが紙くわえ胴6の外周面(前記凹部8および用紙クランパ7を除く前記円筒部)に押し付けられていなければならないが、電源オフ時や給排版時、あるいは色替えや、用紙32やマスタ12のジャム処理時や保守整備時等の印刷ドラム交換時において、用紙32が印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bと紙くわえ胴6との間に存在しない状態のもとでは、印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bが紙くわえ胴6の外周面に直接接触すると印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bの版胴上の表面のインキが紙くわえ胴6の外周面に付着して印刷時に裏汚れなどの不都合を生ずるので、これを避けるため、印刷ドラム1aおよび/または印刷ドラム1bを紙くわえ胴6から離間させなければならない。
【0049】
そこで、紙くわえ胴6に対する各印刷ドラム1a,1bの接離を制御するために、接離手段130a,130bが設けられている。
また、紙くわえ胴6を用いた前記理由から当然に紙くわえ胴6に対する解除量が小さく設定されるので、各印刷ドラムユニット70a,70bを引き出し・離脱する際には、各クランパ5a,5bを含めて各印刷ドラム1a,1bが紙くわえ胴6の如何なる部分(前記円筒部や用紙クランパ7の突出部分)にも接触しないようにする必要があることからも、接離手段130a,130bが設けられている。
【0050】
接離手段130aは、1色目印刷ドラム1aを紙くわえ胴6に向けて接離自在に移動させる機能・構成を有する。同様に、接離手段130bは、2色目印刷ドラム1bを紙くわえ胴6に向けて接離自在に移動させる機能・構成を有する。 接離手段130aは、レバー支点ピン132a、印圧レバー133a、印圧スプリング134a、印圧カム135a、カム駆動モータ136aから主に構成されている。
【0051】
レバー支点ピン132aは、本体フレーム101に植設されていて、棒板状の印圧レバー133aの略中央部に緩く嵌入されている。印圧レバー133aの一端部は、印圧支点部131aにおいてピンを介して所定角度回動自在、かつ、摺動自在に取り付けられ、印圧レバー133aの他端部は、印圧カム145aの輪郭周面に選択的に摺接されるようになっている。印圧レバー133aにおけるレバー支点ピン132aの支持部と印圧レバー133aの他端との間には、保持フレーム104aを紙くわえ胴6の外周面に接近させる方向(図示矢印方向)に常に付勢する印圧スプリング134a(引張コイルバネ)が設けられている。印圧カム135aの軸には、カム駆動モータ136aの出力軸が連結されている。カム駆動モータ136aの駆動により、印圧カム135aが回転される。このとき、印圧カム135aは、1色目印刷ドラム1aの回転と同期して回転されるようにカム駆動モータ136aが制御される。
【0052】
ここで、説明の都合上から接離手段130aの動作を前もって説明しておく。
各印刷ドラム1a,1bの色替えの際には、例えば、図示しない操作パネルの1色目印刷ドラム離脱キー(図示せず)を押すと、この1色目印刷ドラム離脱キーからの出力信号に基づいて、図示しない制御手段としての制御装置は後述する駆動機構110のメインモータ111が1色目印刷ドラム1aを離脱可能とする所定位置で停止させるように制御することにより、1色目印刷ドラム1aが所定位置に停止される。また、用紙あるいはマスタのジヤムが発生したときには、そのジャムを検知するセンサからの出力信号に基づいて、前記制御装置は上述したと同様に1色目印刷ドラム1aを所定位置で停止させるようにメインモータ111を制御するので、1色目印刷ドラム1aが所定位置に自動的に停止する。1色目印刷ドラム1aが所定位置に停止した後、また停止動作と共に接離手段130aによって、保持フレーム104aごと印刷ドラムユニット70aの1色目印刷ドラム1aを非印刷位置へ移動させる動作が行われる。
【0053】
図1に示す接離手段130aは、非印刷時の動作状態を示している。図1において、印圧スプリング134aの付勢力に抗して、カム駆動モータ136aが駆動されることにより、印圧カム135aが回転され、印圧カム135aの大径部が図1に示すように印圧レバー133aの他端部に摺接しているとき、印圧レバー133aの一端部はレバー支点ピン132aを中心として時計回りに揺動する。これにより、印刷ドラムユニット70aを保持している保持フレーム104aは、複数の支持コロ103の転動動作を介して、図1に破線矢印で示す方向に移動して、印刷ドラムユニット70aにおける1色目印刷ドラム1aのクランパ5a等が紙くわえ胴6に接触しない隙間107が確保され、1色目印刷ドラム1aは印刷位置から離間した非印刷位置を占める。
印刷ドラムユニット70aの1色目印刷ドラム1aが非印刷位置を占めたとき、1色目印刷ドラム1aを含む印刷ドラムユニット70aの如何なる部分も紙くわえ胴6に接触させることなく、保持フレーム104aから印刷ドラムユニット70aを引き出し・離脱することができる。
【0054】
印刷時において、接離手段130aによって、保持フレーム104aごと印刷ドラムユニット70aの1色目印刷ドラム1aを印刷位置へ移動させる動作は以下のように行われる。図1において、カム駆動モータ136aがさらに駆動されることにより、印圧カム135aが回転され、印圧カム135aの小径部が印圧レバー133aの他端部に接触することなく対向したとき、印圧スプリング134aの付勢力によって、印圧レバー133aの一端部はレバー支点ピン132aを中心として反時計回りに揺動する。これにより、印刷ドラムユニット70aを保持している保持フレーム104aは、複数の支持コロ103の転動動作を介して、図1に実線矢印で示す方向に移動して、印刷ドラムユニット70aにおける1色目印刷ドラム1aの外周面(マスタ装着面)が紙くわえ胴6の外周面に図示しない用紙32を介して押圧して、印圧スプリング134aの付勢力により印圧を加える印刷位置を占めることとなる。
【0055】
上述したと同様の接離手段130bの動作によって、印刷ドラムユニット70bを保持している保持フレーム104b側においても、印刷ドラムユニット70bの2色目印刷ドラム1bが、非印刷位置と印刷位置とを選択的に占めることができる。
【0056】
なお、カム駆動モータ136aの代りに、印圧カム135a,135bを、各印刷ドラム1a,1bの回動軸と連結した駆動部材で回転駆動しても良く、この場合、各印刷ドラム1a,1bと正確に同期した回転が得やすい。このとき、印圧レバー133a,133bは、通紙がされていない用紙のない状態のときに、印圧カム135a,135bの最大径で押し下げられた位置で、ソレノイド等のアクチュエータで駆動されるストッパ(図示せず)で位置決めされ、各印刷ドラムユニット70a,70bを介して各印刷ドラム1a,1bが非印刷位置に保持されるようになっている。
【0057】
次に、図2を参照して、本体フレーム101に装着された各印刷ドラムユニット70a,70bの各印刷ドラム1a,1bおよび紙くわえ胴6を回転駆動する駆動機構110および紙くわえ胴6の回転方向の位相に対して各印刷ドラム1a,1bの回転方向の位相を調整するための天地移動機構について説明する。
【0058】
駆動機構110および前記天地移動機構は、図1における紙面の奥側の本体フレーム101側に配設されている。駆動機構110は、本体フレーム101側に固設された単一のメインモータ111と、メインモータ111の出力軸に固設された駆動プーリ小112と紙くわえ胴6の端板に固設された駆動プーリ大113との間に掛け渡された駆動ベルト114と、駆動プーリ大113と同軸に設けられた駆動伝達部材としてのドラム駆動ギヤ116と、ドラム駆動ギヤ116と噛み合い1色目印刷ドラム1aを回転駆動するための1色目駆動機構115aと、ドラム駆動ギヤ116と噛み合い2色目印刷ドラム1bを回転駆動するための2色目駆動機構115bとから主に構成される。
【0059】
ドラム駆動ギヤ116は、駆動プーリ大113と同軸に紙くわえ胴6の端板に固定されていて、例えばモジュール1.5で歯数80のインボリュート歯形からなる。
1色目駆動機構115aおよび2色目駆動機構115bは、メインモータ111からの回転駆動力をドラム駆動ギヤ116を介して各印刷ドラム1a,1bに伝達する後述する駆動伝達部材を具備している。
【0060】
1色目駆動機構115aと2色目駆動機構115bとは、配置位置、後述する伝達手段および駆動伝達部材の違いを除き略同一の機能および同じ構成要素を有しているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明をできるだけ省略する。
【0061】
1色目駆動機構115aは、第1リンク120aによりドラム駆動ギヤ116に連結され、ドラム駆動ギヤ116に噛み合う第1天地ギヤ117a(遊星歯車、以下、「遊星ギヤ」という)と、第2リンク121aにより第1天地ギヤ117aに連結され、第1天地ギヤ117aに噛み合う第2天地ギヤ118a(遊星ギヤ)と、第3リンク122aにより第2天地ギヤ118aに連結され、第2天地ギヤ118aに噛み合う1色目ドラム駆動ギヤ119aとから主に構成される。
同様に、2色目駆動機構115bは、第1リンク120bによりドラム駆動ギヤ116に連結され、ドラム駆動ギヤ116に噛み合う第1天地ギヤ117b(遊星ギヤ)と、第2リンク121bにより第1天地ギヤ117bに連結され、第1天地ギヤ117bに噛み合う第2天地ギヤ118b(遊星ギヤ)と、第3リンク122bにより第2天地ギヤ118bに連結され、第2天地ギヤ118bに噛み合う2色目ドラム駆動ギヤ119bとから主に構成される。
【0062】
第1天地ギヤ117aおよび第2天地ギヤ118a、第1天地ギヤ117bおよび第2天地ギヤ118b、1色目ドラム駆動ギヤ119a、2色目ドラム駆動ギヤ119bは、ドラム駆動ギヤ116の歯形仕様と同様であり、ドラム駆動ギヤ116のピッチ円直径と同じであって、かつ、モジュール1.5で歯数80のインボリュート歯形からなる。
【0063】
第3リンク122aを介して連結された第2天地ギヤ118aと1色目ドラム駆動ギヤ119aとは、1色目印刷ドラム1aの接離手段130aによる図中太矢印で示す移動方向に対して略直交する方向に配置されている。同様に、第3リンク122bを介して連結された第2天地ギヤ118bと2色目ドラム駆動ギヤ119bとは、2色目印刷ドラム1bの接離手段130bによる図中太矢印で示す移動方向に対して略直交する方向に配置されている。
【0064】
メインモータ111としては、駆動トルクを十分に確保する上からDCモータが好ましく用いられ、このDCモータには周知の制動手段が付設されている。 なお、メインモータ111は、DCモータに限らず、ステッピングモータなどのパルス駆動可能なものでもよい。
【0065】
上述した駆動機構110により、紙くわえ胴6は、メインモータ111の駆動によって駆動ベルト114を介して時計回り方向に回転駆動される。また、メインモータ111の駆動により、紙くわえ胴6の回転と同期して、1色目駆動機構115aによって1色目印刷ドラム1aが、2色目駆動機構115bによって2色目印刷ドラム1bがそれぞれ反時計回り方向に回転駆動される。
【0066】
次に、天地移動機構について説明する。
1色目印刷ドラム1a側の天地移動機構は、前記した、第1リンク120aによりドラム駆動ギヤ116に連結され、ドラム駆動ギヤ116に噛み合う第1天地ギヤ117aと、第2リンク121aにより第1天地ギヤ117aに連結され、第1天地ギヤ117aに噛み合う第2天地ギヤ118aと、第3リンク122aにより第2天地ギヤ118aに連結され、第2天地ギヤ118aに噛み合う1色目ドラム駆動ギヤ119aと、第1リンク120aに植設されたピン123aと、このピン123aと係合可能に本体フレーム101側に設けられた図示しない確動カムと、この確動カムを回転駆動する、本体フレーム101側に設けられた図示しない1色目カム駆動モータとから主に構成される。
【0067】
同様に、2色目印刷ドラム1b側の天地移動機構は、前記した、第1リンク120bによりドラム駆動ギヤ116に連結され、ドラム駆動ギヤ116に噛み合う第1天地ギヤ117bと、第2リンク121bにより第1天地ギヤ117bに連結され、第1天地ギヤ117bに噛み合う第2天地ギヤ118bと、第3リンク122bにより第2天地ギヤ118bに連結され、第2天地ギヤ118bに噛み合う2色目ドラム駆動ギヤ119bと、第1リンク120bに植設されたピン123bと、このピン123bと係合可能に本体フレーム101側に設けられた図示しない確動カムと、この確動カムを回転駆動する、本体フレーム101側に設けられた図示しない2色目カム駆動モータとから主に構成される。
【0068】
前記確動カムは、例えば溝を備えた拘束カムからなる。これにより、各第1リンク120a,120bは、1色目確動カム駆動モータや2色目確動カム駆動モータにより変位・駆動された所定位置で保持されることとなる。1色目ドラム駆動ギヤ119aおよび2色目ドラム駆動ギヤ119bの各軸心は、本体フレーム101側に固定されている。
【0069】
1色目印刷ドラム1a側の天地移動動作を説明する。前記1色目カム駆動モータの駆動により、ピン123aが前記確動カムとの摺接・係合によって移動されると、第1リンク120aは紙くわえ胴6を中心に所定の角度分回動し、それにつれて第1天地ギヤ117a、第2天地ギヤ118aが第1リンク120a、第2リンク121a、第3リンク122aで連結されているので、第1天地ギヤ117aが自転しながらドラム駆動ギヤ116の周りを、第2天地ギヤ118aが自転しながら1色目ドラム駆動ギヤ119aの周りを移動する。このとき、ドラム駆動ギヤ116は、メインモータ111の停止時の負荷により1色目印刷ドラム1aの回転負荷よりも相対的に大きいために回転せず、第1天地ギヤ117a、第2天地ギヤ118aおよび1色目ドラム駆動ギヤ119aのみが回転することとなる。この動作によって、第1天地ギヤ117aおよび第2天地ギヤ118aは遊星ギヤ機構をなし、1色目ドラム駆動ギヤ119aはドラム駆動ギヤ116に対して所定の位相差が生じる。これにより、1色目印刷ドラム1aは、紙くわえ胴6に対して所定の位相差を生じて、1色目印刷ドラム1aに巻装された製版済みのマスタ12aの製版画像の回転方向の位置、すなわち用紙32の天地方向における印刷画像位置を移動させることができる。
2色目印刷ドラム1b側の天地移動動作も、上述したと同様にして、紙くわえ胴6に対して所定の位相差を作ることができて、天地移動が可能である。
【0070】
以上のような天地移動機構を、1色目印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との間、および2色目印刷ドラム1bと紙くわえ胴6との間にそれぞれ設けることにより、各印刷ドラム1a,1bで紙くわえ胴6に対する位相調整が可能となり、各色間の画像位置調整や用紙32に対する印刷画像位置の調整が可能となる。
さらには、各印刷ドラム1a,1bで独立して印刷画像位置調整が可能であるので、印刷画像位置調整基準として必要な任意の色(換言すれば任意の印刷ドラム)を、直接的に、用紙32に対して印刷画像位置調整を行うことができる。そして、他の色は、最初に基準として選択した色の画像位置調整値に対して、調整量を決めて印刷画像位置調整を行うことができるので、各印刷ドラム1a,1bでの印刷画像位置調整を行いやすくなるという利点がある。
【0071】
1色目印刷ドラム1a側の接離手段130aを介しての印圧印加方式は、オルダム継手方式である。1色目印刷ドラム1aの端板側の回転駆動軸と本体フレーム101側駆動部である1色目ドラム駆動ギヤ119aとの間には、本願出願人が特開平10−258566号公報で提案した圧胴駆動部の伝達手段と同様のオルダム継手125(前記同公報の図3に示されているオールダム軸継手83に相当する)が介在されていて、滑らかな駆動力の伝達が行われる。
【0072】
印圧スプリング134aの付勢力により、1色目印刷ドラム1aに印圧が加わるときには、軸心が固定されている1色目ドラム駆動ギヤ119aに対して、オルダム継手125の1色目印刷ドラム1aの端板側の回転駆動軸に固定された片側のみが図2中二点鎖線で示す方向に移動して、印刷ドラムユニット70a全体が図中矢印で示す方向に移動して、1色目印刷ドラム1aの外周面が紙くわえ胴6の外周面に向かって押圧される。
【0073】
上述したとおり、1色目印刷ドラム1a側の印圧印加方式は、接離手段130aによる1色目印刷ドラム1aの位置変動に拘らず前記接離動作の過程および前記接離動作の前後を通じて1色目印刷ドラム1aに速度変動を与えることなく1色目印刷ドラム1aを駆動機構110の回転状態に従うなめらかな回転状態で駆動力伝達する伝達手段の一例であるオルダム継手125をもって駆動機構110と1色目印刷ドラム1aとを連結したことを特徴としている(請求項参照)。 伝達手段としては、オルダム継手125の他に、前記機能を果たす物として、特開平10−258566号公報の図4に示されているアメリカン継手等を挙げることができる。
【0074】
一方、2色目印刷ドラム1bの接離手段130aを介しての印圧印加方式は、遊星ギヤによる方式である。換言すれば、2色目印刷ドラム1b側では、保持フレーム104bを介して本体フレーム101に装着された印刷ドラムユニット70bの2色目印刷ドラム1bを回転駆動する駆動系としての1色目駆動機構115bを有し、1色目駆動機構115bと紙くわえ胴6とは、駆動力伝達関係にあり、1色目駆動機構115bと紙くわえ胴6とを連結する駆動伝達部材としては、複数(ここでは二つ)の遊星ギヤ(第1天地ギヤ117bおよび第2天地ギヤ118b)を有することを特徴としている。
【0075】
2色目印刷ドラム1bの端板には、2色目ドラム駆動ギヤ119bが固設されており、接離手段130bの接離動作に伴って2色目ドラム駆動ギヤ119bに移動する。2色目印刷ドラム1bに印圧スプリング134bにより印圧が加わるときには、天地移動は行われていない。このため、第1リンク120bおよび第1天地ギヤ117bは、ピン123bが前記確動カムで拘束・固定されているので、固定状態となっている。
このように第1リンク120bおよび第1天地ギヤ117bが固定状態で、接離手段130bの印圧動作によって、保持フレーム104bごと印刷ドラムユニット70bの2色目印刷ドラム1bを印刷位置を占めるべく紙くわえ胴6の外周面に向けて移動させようとすると、2色目ドラム駆動ギヤ119bは第3リンク122bによって拘束されて、第3リンク122bは図2中二点鎖線で示すように移動すると共に、2色目ドラム駆動ギヤ119bは遊星ギヤである第2天地ギヤ118bの周りを回動しながら2色目ドラム駆動ギヤ119bも図2中二点鎖線で示すように移動するので、2色目印刷ドラム1bは紙くわえ胴6に向かって移動して、2色目印刷ドラム1bの外周面(マスタ装着面)が紙くわえ胴6の外周面に押圧され、2色目印刷ドラム1bが印刷位置を占める。
【0076】
このとき、第2リンク121bおよび第2天地ギヤ118bは、2色目ドラム駆動ギヤ119bと第3リンク122bとの図2中二点鎖線で示す移動に伴い、第2リンク121bに拘束されて、第1天地ギヤ117bの周りを移動することとなる。
【0077】
以上が、オルダム継手125または遊星ギヤによる印圧時の動作となる。なお、図2に示したオルダム継手125および遊星ギヤによる印圧印加方式は、あくまでもその両方を説明する便宜上から組み合わせたものであり、通常的には何れか一方のみが採用される。
【0078】
図2に示したオルダム継手125または遊星ギヤによるどちらの印圧印加方式でも、ドラム駆動ギヤ116、1色目ドラム駆動ギヤ119a、2色目ドラム駆動ギヤ119b、各第1天地ギヤ117a,117b、各第2天地ギヤ118a,118bの歯数は、全て80枚であり、各印刷ドラム1a,1bの1回転での回転数は全て1回転の等倍である。
【0079】
したがって、印刷時の通紙の1枚毎に、用紙32の先端が2色目印刷ドラム1bの外周面と紙くわえ胴6の外周面とのニップ部(印刷部)に挿入されるときには、毎回、前記各ギヤの位置・噛み合い状態は全く同じ位置になる。これにより、前記各ギヤが、歯形精度が悪かったりその軸心の偏心が生じていたとしても、これらによって発生する微小位置ずれは、毎回同じ状態となり、用紙32毎の、用紙進入時の2色目印刷ドラム1bの外周表面の位相ずれを非常に小さく抑えることができる。
これにより、2色目印刷ドラム1b上の製版済みのマスタ12bに転写された前の印刷物の1色目の印刷画像と、次の用紙32に転写された本来の1色目印刷画像のずれは小さくなり、俗に画像ダブリとも呼ばれているいわゆるオフセットゴーストを小さく抑えることができるのである。
ここで、オフセットゴーストという印刷画像不良現象を、もう少し詳しく説明すると次のようである。すなわち、用紙搬送方向Xの上流に配置された印刷ドラム(例えば図1および図2に示す1色目印刷ドラム1a)で印刷された印刷画像のインキが未乾燥状態で用紙搬送方向Xの下流に配置された印刷ドラム(例えば図1および図2に示す2色目印刷ドラム1b)のニップ部へ進入するために、下流の2色目印刷ドラム1bに巻装されている製版済みのマスタ12bへそのインキが転移し、そのマスタ12bへ転移したインキが次の用紙32に転移する現象が起こる。
最初の1枚目の用紙32では、1色目の未乾燥インキは2色目印刷ドラム1bのマスタ12bに転移するだけに終わるので問題はないが、2枚目の用紙32では1色目印刷ドラム1aで印刷された印刷画像上に、1枚目の印刷において2色目印刷ドラム1bのマスタ12bに転移した1色目のインキが転移する。
これは再転写と呼ばれている。再転写は同色インキの重なり現象であるので、本来の印刷画像との間に位置ずれがなければ画像品質上の問題は生じない。しかしながら、再転写が本来の印刷画像に対してずれると、影のように見えるいわゆるオフセットゴーストとなる。オフセットゴーストでは、ずれ量が同じでも太い線はにじみに見え、細い線はダブリに見えるため、画像品質が著しく低下してしまう。
1パス(1回の通紙)方式の多色印刷では再転写現象は避けられないが、オフセットゴーストは再転写位置の位置ずれによるものであるので、上述したような特有の構成によって、上流の1色目印刷ドラム1aと下流の2色目印刷ドラム1bの同期回転精度が高精度に保たれ、用紙32の搬送精度が高精度に保たれれば、オフセットゴーストの発生を高精度に抑制することができると言える。
【0080】
次に、製版・給版ユニット10について説明する。
製版・給版ユニット10は、マスタ12を繰り出し可能に貯容するマスタ貯容手段としてのマスタ支持部材11と、マスタロール13から繰り出されたマスタ12の搬送方向を図1における左斜め下方から右斜め下方に変える回転自在なガイドローラ14と、マスタ12を画像情報に応じて加熱穿孔・製版するための多数の発熱素子を備えた製版手段としてのサーマルヘッド15と、サーマルヘッド15によりマスタ12を押圧されながらマスタ搬送経路Mの下流側にマスタ12を搬送する回転自在なプラテンローラ16と、プラテンローラ16よりもマスタ搬送経路Mの下流側に配設され製版済みのマスタ12a,12bまたは未製版のマスタ12を所定の長さに切断するカッタ17と、カッタ17よりもマスタ搬送経路Mの下流側に配設され製版済みのマスタ12a,12bをマスタ搬送経路Mの下流側に搬送し、切断時等のために製版済みのマスタ12a,12bに張力を与える回転自在なテンションローラ対18と、テンションローラ対18よりもマスタ搬送経路Mの下流側に配設され、各印刷ドラム1a,1bの何れか一方に製版済みのマスタ12a,12bを給送する回転自在な給版ローラ対19と、テンションローラ対18と給版ローラ対19との間に配設され、製版済みのマスタ12a,12bや未製版のマスタ12を給版ローラ対19へ案内するための、可動ガイド板23aと共にマスタ搬送経路Mを形成する固定ガイド板23bと、テンションローラ対18と給版ローラ対19との間に配設され、排版動作中に、製版済みのマスタ12a,12bを略水平方向に延ばして貯容する製版済マスタ貯容手段としてのマスタストック装置20等とを具備している。
多色孔版印刷装置100における製版・給版ユニット10の配置構成は、新規であって特有の効果を有するが、これについては本願出願人が先に提案した特願2000−231142号に詳細に記載されているのでそれを参照されたい。製版・給版ユニット10の各構成要素は、何れも周知であるため、その説明を省略し、後述する動作で補足説明する。
【0081】
マスタ12については、印刷ドラム1a側へ給版するものを製版済みのマスタ12aとし、印刷ドラム1b側へ給版するものを製版済みのマスタ12bとして区別して説明することとする。
マスタ12は、連続シート状をなし、合成樹脂製の芯管13Aに巻き付けられてマスタロール13が形成される。マスタ12としては、例えばポリエステルテレフタレート(PET)系の熱可塑性樹脂フィルムに多孔質支持体(ベース)として和紙等を貼り合わせたマスタが用いられている。マスタロール13は、マスタ12の熱可塑性樹脂フィルム面を内側にして芯管13Aの周りに巻き付けられた前記フィルム面がいわゆる内巻きの例を示す。
マスタ12は、前記のものに限らず、非常に薄い実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものや、実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ(その厚さが約1〜8μm)程ではないが、前記マスタ12(その厚さが約40〜50μm程度)よりも厚さが薄く(厚さ20〜30μm)、かつ、ベースにおける合成繊維の混抄率が高いマスタ、例えば極端に合成繊維の混抄率が高いポリエチレンテレフタレート(PET)100%からなるベースを有する合成繊維ベースマスタを用いることも可能である。また、マスタ12の熱可塑性樹脂フィルム面を外側にして芯管13Aの周りに巻き付けられた前記フィルム面がいわゆる外巻きのマスタロールも使用可能である。
【0082】
図1における右側の給版ローラ19近傍には、製版済みのマスタ12aの先端を1色目印刷ドラム1aへ給送するための1色目給送経路を形成する図示しない1色目給版ガイド板が配置されている。一方、図1における左側の給版ローラ19近傍には、製版済みのマスタ12bの先端を2色目印刷ドラム1bへ給送するための2色目給送経路を形成する図示しない2色目給版ガイド板が配置されている。
【0083】
給版ローラ対19よりもさらに給送経路の下流側には、前記1色目給送経路および前記2色目給送経路のうちの何れか一方に切り替えて、各印刷ドラム1a,1bヘ製版済みのマスタ12a,12bを供給するマスタ給送経路切替手段としての給版切替ガイド(図示せず)が配設されている。
前記給版切替ガイドは、ソレノイド等のアクチュエータおよびバネ等の付勢手段の組み合わせ駆動機構(図示せず)によって、図示しないガイド軸を中心として、時計回り方向または反時計回り方向に揺動するように駆動される。
【0084】
一方の前記排版ユニットは、製版・給版ユニット10の図1において右側に近接して配置されている。他方の前記排版ユニットは、製版・給版ユニット10の図1において左側に近接して配置されている。以下、一方の前記排版ユニット側の構成についてのみ説明する。
一方の前記排版ユニットは、1色目印刷ドラム1aの外周面に近接自在に配置され、1色目印刷ドラム1a上の使用済みのマスタ12aの先端部を剥離し案内するマスタ剥がし爪(図示せず)と、このマスタ剥がし爪により剥離・案内された使用済みのマスタを排版ボックス(図示せず)内に搬送する排版搬送ローラ対(図示せず)と、この排版搬送ローラ対により搬送されてきた使用済みのマスタを収納する排版ボックス(図示せず)とから主に構成されている。
なお、前記各排版ユニットは、前述したものに限らず、例えば実公平2−274号公報の第1図ないし第5図に示されているものや、特開平5−286223号公報の図1ないし図6等に示されている自動排版装置や、特開平8−142484号公報記載の排版装置でもよい。
【0085】
給紙装置30は、エレベータ方式の昇降自在な給紙台31と、給紙側板(図示せず)に回転自在に支持された呼出しコロ33および分離コロ34と、分離コロ34に圧接し用紙32の重送を防止するための分離パッド35と、紙くわえ胴6の用紙クランパ7に向けて所定のタイミングで用紙32の先端を送り出すレジストローラ対36とから主に構成されている。
【0086】
給紙台31は、その上に用紙32を積載され、本体フレーム101に昇降自在に支持されている。給紙台31は、用紙32の増減に連動して図示しないモータ装置により上下動される。呼出しコロ33は、給紙台31上の最上位の用紙32と当接するように設けられており、分離コロ34および分離パッド35は、その協働作用により呼出しコロ33によって送り出されてきた用紙32を1枚に分離する機能を有する。用紙32を1枚ずつ分離してレジストローラ対36に向けて用紙32の先端を給送する給紙手段は、前記した呼出しコロ33、分離コロ34および分離パッド35から構成されている。
呼出しコロ33と分離コロ34とは、プーリおよびベルト等の回転伝達部材を介して回転伝達関係にあり、前記メインモータとは独立して配設された給紙モータ(図示せず)により回転駆動される。レジストローラ対36は、前記メインモータとは独立して配設されたレジストモータ(図示せず)により回転駆動される。前記給紙モータおよび前記レジストモータは、例えばステッピングモータからなる。
【0087】
排紙装置40は、印刷ドラム1bの左下方に配置され各印刷ドラム1a,1bの印刷部で多色印刷された印刷済みの用紙32を受渡・排紙される図示しない排紙爪と、この排紙爪に受け渡された印刷済みの用紙32を多孔性の搬送ベルトで強制的に吸着・搬送して排紙台(図示せず)上に排出する周知の排紙搬送ユニット41と、前記排紙台とから主に構成されている。
排紙搬送ユニット41は、例えば特開平10−297074号公報の図1等に示されているものと同様の構成を有し、周知の動作を行う。
【0088】
前記スキャナユニットは、例えば特開平4−189544号公報の第2図等に記載されている構成と同様のものであり、原稿の表面からミラー群および結像レンズ等を介して結像された反射光に対応して光電変換を行うCCD(電荷結合素子)等からなる画像センサおよびスキャナモータ(図示せず)等を備えた周知の原稿走査用光学系を有する。
また、前記スキャナユニットには、多色重ね刷り印刷に必要な色分解のための諸機能を有する構成、例えば特開昭64−18682号公報記載の複数の色フィルターを切換可能に制御できるフィルターユニットと同様の機能および構成を有するものが、スキャナユニット45のミラー群と結像レンズとの間の光路上に配設されていて、同公報記載と略同様の自動製版等の動作を行えるようになっているものでもよいし、色分解機能のない単色のスキャナでもよい。
【0089】
次に、上述した接離手段130a,130bによる各印刷ドラム1a,1bの接離動作、駆動機構110による各印刷ドラム1a,1bの回転駆動動作および各天地移動機構による各天地移動動作、各印圧印加時の動作に係る部分以外の多色孔版印刷装置100の一般的な動作を説明する。
【0090】
先ず、使用者により前記スキャナユニットに配設されている図示しないADFの原稿載置台あるいはコンタクトガラス上に原稿がセットされ、図示しない操作パネルのスタートキーが押されると製版スタート信号が生成され、これが図示しない制御装置に入力されることによって、排版動作、原稿読み取り動作および製版動作が同時的にスタートする。またこのとき、給紙台31上に積載された最上位面の用紙32を呼出しコロ33に接触させて給紙可能な状態になるまで、給紙台31が上昇される。
【0091】
メインモータ111が駆動されることにより、図1において各印刷ドラム1a,1bが時計回り方向に回転し、まず、1色目印刷ドラム1aがその排版動作を行われるべき排版位置に回転して停止する。この1色目印刷ドラム1aの排版位置は、前記排版ユニットの前記マスタ剥がし爪の先端が図1に示す1色目印刷ドラム1aの略左真横に揺動して1色目印刷ドラム1aの外周面近傍にあるときに、1色目印刷ドラム1aのクランパ5aが前記マスタ剥がし爪の先端近傍にまで回転したときに設定されている。1色目印刷ドラム1aが排版位置を占めると、前記開閉装置によりクランパ5aが開放される。次いで、1色目印刷ドラム1a,1bが時計回り方向に徐々に回転することにより、前記マスタ剥がし爪の先端部が、クランプが開放された使用済み(印刷済み)のマスタ12aの先端部と1色目印刷ドラム1aの外周面との間に差し込まれることで、前記マスタ剥がし爪により使用済みのマスタ12aの先端部が剥離され前記排版搬送ローラ対に案内される。そして、前記排版搬送ローラ対の回転により、使用済みのマスタ12aの先端部が前記排版搬送ローラ対のニップ部に挟持されつつ前記排版ボックス内に搬送され、前記排版ボックス内に収納される。
【0092】
次いで、2色目印刷ドラム1bがその排版動作を行われるべき排版位置に回転して停止する。この2色目印刷ドラム1bの排版位置は、前記排版ユニットbの前記マスタ剥がし爪の先端が図1に示す2色目印刷ドラム1bの左斜め上方近傍にあるときに、2色目印刷ドラム1bのクランパ5bが前記マスタ剥がし爪の先端近傍にまで回転したときに設定されている。以降の2色目印刷ドラム1b側の前記排版ユニットによる排版動作は、1色目印刷ドラム1a側の排版ユニットと同様に行われるため、その説明を省略する。
【0093】
次いで、1色目印刷ドラム1aが、前記給版位置で停止され、クランパ5aが図示しない開閉装置により開放されて給版待機状態となる。同様に、2色目印刷ドラム1bに給版するときには、2色目印刷ドラム1bが前記給版位置で停止され、クランパ5bが図示しない開閉装置により開放されて給版待機状態となる。
【0094】
1色目印刷ドラム1aが前記給版待機状態となったとき、前記ソレノイド等の前記アクチュエータがオンすることにより、前記1色目給送経路が形成される。
このとき、マスタ12の先端は、給版ローラ対19のニップ部を少し出た初期位置にある。
【0095】
前記した排版動作における1色目印刷ドラム1aおよび2色目印刷ドラム1bの回転と並行して、原稿読み取り動作および製版動作が開始される。
この原稿読み取りに係る詳細な動作は、例えば特開平10−297074号公報明細書の段落番号(0064)に記載されている内容と略同じであり、原稿読み取りされた画像は最終的にCCD等の光電変換素子からなる画像センサにより光電変換される。画像センサにより光電変換された電気信号は、図示しないA/D変換装置に送信されることによりデジタル画像信号に変換される。スキャナが前述の色分解機能付きの場合には、次いで、デジタル画像信号は図示しない画像処理装置で、例えば1色目印刷ドラム1aで黒、2色目印刷ドラム1bで赤印刷する場合、黒画像に対応したデジタル画像信号および赤画像に対応したデジタル画像信号に分類されて、赤画像に対応したデジタル画像信号は図示しない画像メモリに一度格納される。
【0096】
一方、前記原稿読み取り動作と並行して、先ず1色目印刷ドラム1aで印刷するための黒画像に対応したデジタル信号化された画像信号に基づき、製版・給版ユニット10において製版・給版動作が行われる。
すなわち、第1ステッピングモータが駆動されることにより、プラテンローラ16およびテンションローラ対18が回転を開始して、マスタロール13からマスタ12が引き出されつつ搬送されると共に、図示しないソレノイド等を備えた可動ガイド板駆動手段がオンすることにより、可動ガイド板23aは、図1に仮想線で示すように、製版済みのマスタ12aを受け入れ貯容するタワミ形成位置を占め、これにより吸引ボックス21の左方が開放されて、製版済みのマスタ12aを導入するための吸引口が形成される。
【0097】
一方、説明が前後するが、プラテンローラ16およびテンションローラ対18の回転開始と同じ頃に、黒画像に対応したデジタル画像信号は図示しない製版制御装置を経由して処理されて送出される黒画像に対応したデジタルの画像データ信号に基づいて、サーマルヘッド15の発熱素子がパルス的に通電されて位置選択的に発熱され、マスタ12が画像情報に応じて位置選択的に加熱溶融され穿孔・製版される。
【0098】
マスタストック装置20の図示しない吸引ファンモータが駆動されることにより吸引ファン22が回転し、これにより図1において吸引ボックス21の内部における左側から右側へと向かう空気流が生じることで、静止状態にある給版ローラ対19と回転・搬送状態にあるテンションローラ対18との間の製版済みのマスタ12aの部分が吸引ボックス21の内部に引き込まれながら貯留されていく。吸引ファン22の継続的な回転により、製版済みのマスタ12aは次々に吸引ボックス21内に引き込まれる形で吸引ボックス21に収納されながら製版が行われる。
【0099】
一方、第1ステッピングモータの所定ステップ数の駆動により、黒画像に対応したデジタルの画像データ信号の所定分についての製版動作が行われたと前記制御装置により判断されると、第2ステッピングモータが駆動されることにより、給版ローラ対19が回転を開始する。
このときには、前述したように、前記給版切替ガイドは反時計回り方向に揺動していて、1色目給送経路が既に形成されているので、製版済みのマスタ12aの先端部が1色目給送経路に案内されてステージと拡開したクランパ5aとの間に挿入される。給版ローラ対19が所定の角度回転して、これに対応して第2ステッピングモータのステップ数がある設定値に達し、製版済みのマスタ12aの先端部がステージと拡開したクランパ5aとの間に届いたと判断されると、前記開閉装置によりクランパ5aが閉じられ、製版済みのマスタ12aの先端部がステージとクランパ5aとの間に挟持される。
【0100】
製版済みのマスタ12aの先端部のクランプ後、メインモータ111の駆動により1色目印刷ドラム1aが時計回り方向に回転を再開して、製版済みのマスタ12aが吸引ボックス21より引き出されながら給版ローラ対19により搬送されて1色目印刷ドラム1aの外周面へ給版されるが、この1色目印刷ドラム1aの外周面への巻装時には巻装シワを発生させることなく行われる。
【0101】
第1ステッピングモータの所定ステップ数の回転駆動および第2ステッピングモータの所定ステップ数の回転駆動により、1版のマスタ12への製版および設定量の製版済みのマスタ12aの搬送が終了したと判断されると、第1ステッピングモータの駆動が停止されることにより、プラテンローラ16およびテンションローラ対18の回転が停止する。これと同時に、第2ステッピングモータの駆動が停止されることにより、給版ローラ対19の回転が停止する。
これと同時的に、カッタ17が作動して製版済みのマスタ12aの後端が切断される。このとき、1色目印刷ドラム1aの回転によって製版済みのマスタ12aが吸引ボックス21より完全に引き出される前にカッタ17による製版済みのマスタ12aの切断が終了するようになっていて、製版済みのマスタ12aの後端部が引きちぎれたりしないような設定になっている。
そして、切断された製版済みのマスタ12aの後端が、1色目印刷ドラム1aの回転によって製版・給版ユニット10内から引き出され、1色目印刷ドラム1aの外周面に完全に巻き取られた段階で1色目印刷ドラム1aへの製版済みのマスタ12aの巻装が終了すると共に、吸引ボックス21の前記吸引口近傍に設けられた図示しないセンサ等により、製版済みのマスタ12aの残り等が判断される。
【0102】
1色目印刷ドラム1aへの製版済みのマスタ12aの巻装が完了すると、直ちに、可動ガイド板23aは次の製版に備えてタワミ形成位置から時計回り方向に揺動変位してガイド搬送位置を占める。これと同時に、前記給版切替ガイドは時計回り方向に揺動して、2色目給送経路を形成する。次いで、プラテンローラ16およびテンションローラ対18が回転を再開して、切断された次に製版されるべきマスタ12の先端が可動ガイド板23aと固定ガイド板23bとに案内されつつ給版ローラ対19のニップ部に向けて送り込まれる。
次いで、給版ローラ対19が回転して、次に製版されるべきマスタ12の先端が給版ローラ対19のニップ部で挟持され前記初期位置を占める。そして、第1ステッピングモータおよび第2ステッピングモータへ供給したパルス数(または所定のステップ数)から、次に製版されるべきマスタ12の先端が前記初期位置を占めたと判断されると、可動ガイド板23aは反時計回り方向へ揺動変位してタワミ形成位置に復帰すると共に、第1ステッピングモータおよび第2ステッピングモータの駆動が一時停止される。
【0103】
次いで、前記画像メモリに格納されている2色目印刷ドラム1bで印刷するための赤画像に対応したデジタル画像信号を呼出しながら、赤画像に対応したデジタル信号化された画像信号に基づき、製版・給版ユニット10において製版・給版動作が前述したと同様に行われる。
赤画像に対応した製版・給版動作は、前述した黒画像に対応した製版・給版動作と比較して、「製版済みのマスタ12a」を「製版済みのマスタ12b」と、「黒画像に対応したデジタルの画像データ信号」を「赤画像に対応したデジタルの画像データ信号」と、「1色目印刷ドラム1a」を「2色目印刷ドラム1bと、「クランパ5a」を「クランパ5b」とそれぞれ読み替えるだけで容易に理解し実施することができるので、以下相違する給版時の動作のみについて説明する。
すなわち、給版時においては、前記給版切替ガイドは時計回り方向に揺動していて、前記2色目給送経路が既に形成されているので、製版済みのマスタ12bの先端部が前記2色目給送経路に案内されてステージと拡開したクランパ5bとの間に挿入される。給版ローラ対19が所定の角度回転して、これに対応して第2ステッピングモータのステップ数がある設定値に達し、製版済みのマスタ12bの先端部がステージと拡開したクランパ5bとの間に届いたと判断されると、前記開閉装置によりクランパ5bが閉じられ、製版済みのマスタ12bの先端部がステージとクランパ5bとの間に挟持される。
【0104】
製版済みのマスタ12bの先端部のクランプ後、メインモータ111の駆動により2色目印刷ドラム1bが時計回り方向に回転を再開して、製版済みのマスタ12bが吸引ボックス21より引き出されながら給版ローラ対19により搬送されて、2色目印刷ドラム1bの外周面への巻装動作が前述した1色目印刷ドラム1aの外周面への巻装動作と略同様に行われる。
【0105】
2色目印刷ドラム1bへの製版済みのマスタ12bの巻装中に、給紙動作が行われる。呼出しコロ33に接触している最上位面の用紙32が、前記給紙モータの駆動により分離コロ34と共に呼出しコロ33が回転動作されることによって送り出されると共に、分離コロ34および分離パッド35の協働作用により1枚に分離され、図示しない上下一対のガイド板に案内されつつレジストローラ対36に向けて用紙搬送方向Xに給送される。このとき、給送された用紙32の先端は、レジストローラ対36のニップ部直前の部位に当接し、前記上部のガイド板に沿って撓んだ状態で停止している。
【0106】
一方、印刷動作が始まると、1色目印刷ドラム1aは、接離手段130aによって上述したように印刷位置を占めると共に、これと同様に、2色目印刷ドラム1bは、接離手段130aによって上述したように印刷位置を占める。そして、各印刷ドラム1a,1bは印刷の回転速度で回転され始める。
印刷ドラム1aの内周側では、前記インキディストリビュータからインキ供給ローラ3aとドクターローラ4aとの間に形成されたインキ溜まりIaに黒色のインキが供給され、その黒色のインキはインキ供給ローラ3aとドクターローラ4aとが回転することによって混練され伸ばされると共に、インキ供給ローラ3aの外周面に均一に付着するようになる。インキの残量は、前記したインキ検知手段によって検知され、インキが少なくなったときには前記インキディストリビュータから補給される。こうして印刷ドラム1aの回転方向と同一方向に、かつ、1色目印刷ドラム1aの回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキ供給ローラ3aにより、黒色のインキが1色目印刷ドラム1aの内周側に供給される。
このとき、2色目の印刷ドラム1b側でも、前記と略同様にして2色目印刷ドラム1bの回転速度と同期して回転しながら内周面に転接するインキ供給ローラ3bにより、赤色のインキが2色目印刷ドラム1bの内周側に供給される。
【0107】
各印刷ドラム1a,1bへの製版済みのマスタ12a,12bの巻装が完了すると、給紙・印刷動作が開始される。前記レジストモータの駆動により、用紙32は、レジストローラ対36により1色目印刷ドラム1aの回転と同期した所定のタイミングをとられた後給送され、これとタイミングを合わせて紙くわえ胴6が反時計回り方向に回転して用紙くわえ位置を占める。紙くわえ胴6が用紙くわえ位置を占めると、紙くわえ胴6の用紙クランパ7が開かれ、用紙32の先端を突き当てた後、用紙32の先端部をくわえる。次いで、用紙クランパ7が閉じられ、紙くわえ胴6の外周面に用紙32が保持されたまま紙くわえ胴6がさらに反時計回り方向に回転され、1色目印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との間の印刷部(ニップ部)に用紙32が送り込まれる。1色目印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との前記ニップ部は、緊縮性の印圧スプリング134aの付勢力によって加圧されており、これにより用紙32は1色目印刷ドラム1aの外周面上に巻装されている製版済みのマスタ12aに押圧される。この押圧の際に、インキ供給ローラ3aにより1色目印刷ドラム1aの内周面に供給された黒色のインキは、1色目の製版画像が形成された製版済みのマスタ12aの穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出たインキが用紙32の表面に転移されて、黒色の印刷画像が形成される。
【0108】
黒色の印刷画像が形成された用紙32を保持した紙くわえ胴6がさらに反時計回り方向に回転されることで、黒色の印刷画像が形成された用紙32は2色目印刷ドラム1bと紙くわえ胴6との間の印刷部(ニップ部)に回転・搬送される。2色目印刷ドラム1bと紙くわえ胴6との前記ニップ部は、緊縮性の印圧スプリング134bの付勢力によって加圧されており、これにより黒色の印刷画像が形成された用紙32は2色目印刷ドラム1bの外周面上に巻装されている製版済みのマスタ12bに押圧される。この押圧の際に、インキ供給ローラ3bにより2色目印刷ドラム1bの内周面に供給された赤色のインキは、2色目の製版画像が形成された製版済みのマスタ12bの穿孔部分を通過して滲み出し、この滲み出た赤色インキが黒色の印刷画像が形成された用紙32の表面に転移されて、黒色および赤色の2色の印刷画像が形成される。
【0109】
2色の印刷画像が形成された印刷済みの用紙32は、紙くわえ胴6がさらに反時計回り方向に回転して用紙排出位置を占めることにより、前記した図示しない排紙爪の手前で用紙クランパ7が開くことにより、前記排紙爪に乗り上げて剥離され、排紙搬送ユニット41の吸引ファンにより吸引されつつ、下方に位置する搬送ベルト上に排出される。搬送ベルト上の印刷済みの用紙32は、吸引ファンで搬送ベルト上に吸引されつつ吸着排紙出口ローラの回転によって搬送され、図示しない排紙台上に排出されていわゆる版付け印刷が終了する。この版付け印刷により排出された印刷物は正規の印刷物として通常はカウントされない。
【0110】
版付け印刷終了後、使用者は排出された印刷物を適宜目視して、通常の正規の印刷動作を行ってもよいかどうかを適宜判断し、画像品質の確認や画像位置の確認等を適宜行う。そして、これらがオーケーであれば、使用者が前記操作パネルに配設されているテンキー(図示せず)で印刷枚数を設定し、プリントキー(図示せず)を押すことにより、正規の印刷動作(工程)が始まり、前記版付けと同様の給紙、印刷および排紙の各工程が設定した印刷速度で設定した印刷枚数分繰り返して行われ、孔版印刷の全工程が終了する。
【0111】
したがって、第1の実施形態によれば、後述する効果を奏する他に、各保持フレーム104a,104bごと各印刷ドラムユニット70a,70bの印刷ドラム1a,1bを紙くわえ胴6に対して接離動作させる接離手段130a,130bを有することにより、各印刷ドラム1a,1bを印刷位置で保持する各保持フレーム104a,104bごと、紙くわえ胴6に向けて移動して印圧を加えるので、印刷時に版胴(少なくともインキ通過性の金属薄板層としての支持円筒体)の剛性を上げて印刷時の変形をより防止できて、製版済みのマスタ12a,12bのしわや大きな伸びなどの著しい印刷画像不具合を防止する利点がある。
加えて、本体フレーム101および各保持フレーム104a,104bに対して着脱自在な各印刷ドラムユニット70a,70bを有していたので、色替えや用紙32あるいはマスタ12のジヤム処理等のために、各印刷ドラム1a,1bを容易に交換できる多色孔版印刷装置100を実現できた。
(第2の実施形態)
図3に、第2の実施形態を適用した多色孔版印刷装置200を示す。
多色孔版印刷装置200は、図1および図2に示した第1の実施形態の多色孔版印刷装置200と比較して、駆動機構110に代えて、紙くわえ胴6と各印刷ドラム1a,1bとの間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段としての天地移動機構(後述する)を備えた駆動装置としての駆動機構210を有すること、印刷ドラムユニット70bに代えて、本体フレーム101に対して着脱自在な印刷ドラムユニット70b’を有すること、本体側レール69bに代えて、印刷ドラムユニット70b’の本体側レール69b’を本体フレーム101側に有すること、印刷ドラムユニット70b’側の2色目印刷ドラム1bの印圧印加方式を第1の実施形態の1色目印刷ドラム1aの印圧印加方式と同じオルダム継手方式としたことが主に相違する。
多色孔版印刷装置200でも、天地移動機構(後述する)を備えた駆動機構210により、紙くわえ胴6および各印刷ドラム1a,1bが駆動されることを一つの特徴としている。
【0112】
駆動機構210および前記天地移動機構は、図3における紙面の奥側の本体フレーム101側に配設されている。駆動機構210は、第1の実施形態の駆動機構110と比較して、第1の実施形態のドラム駆動ギヤ116に代えて、駆動プーリ大113と同軸に設けられた駆動伝達部材としての、歯数の異なるドラム駆動ギヤ216を有すること、1色目駆動機構115aに代えて、ドラム駆動ギヤ216と噛み合い1色目印刷ドラム1aを回転駆動するための、歯数の異なる駆動伝達部材を備えた1色目駆動機構215aを有すること、同じく、ドラム駆動ギヤ216と噛み合い2色目印刷ドラム1bを回転駆動するための、歯数の異なる2色目駆動機構215bを有することが主に相違する。
【0113】
1色目駆動機構215aと2色目駆動機構215bとは、配置位置の違いを除き略同一の機能および同じ構成要素を有しているので、それらを同一符号の末尾に符号aまたはbを付加することで区別することとし、その一方を詳述した場合には重複説明を避けるため他方の説明を省略する。また、1色目駆動機構215aおよび2色目駆動機構215bは、第1の実施形態の1色目駆動機構115aおよび2色目駆動機構115bの構成要素(構成部品)に対して、駆動伝達部材として歯数の異なる各ギヤおよび寸法形状のみが相違しているので、第1の実施形態の1色目駆動機構115aおよび2色目駆動機構115bの構成要素の各符号に自然数100を加えた符号をもって区別することとし、各ギヤ等の相違する点を中心に説明する。
【0114】
図3示す状態は、図2に示した非印刷時状態と異なり、各印刷ドラム1a,1bの印刷時状態を示している。2色目印刷ドラム1b側の接離手段130bを介しての印圧印加方式は、1色目印刷ドラム1a側の接離手段130aを介しての印圧印加方式と同じオルダム継手方式である。2色目印刷ドラム1bの端板側の回転駆動軸と本体フレーム101側駆動部である2色目ドラム駆動ギヤ219bとの間には、本願出願人が特開平10−258566号公報で提案した圧胴駆動部の伝達手段と同様のオルダム継手125を介在させて滑らかな駆動力の伝達が行われる。このため、1色目ドラム駆動ギヤ219aおよび2色目ドラム駆動ギヤ219b回転軸の軸心は、固定されている。
【0115】
このような構成の場合には、各色ドラム駆動ギヤ219a,219b回転軸の軸心は固定されていて、中間の第1、第2天地ギヤ217a,217b、218a,218bも移動の必要がないので、第2天地ギヤ218a、218bの軸心位置は、各印刷ドラム1a,1bの接離する移動方向と略直角に配置する必要がなく、第1、第2天地ギヤ217a,218a、217b,218bを小さくして駆動機構210全体を小型化すると共に、低コスト化することができる。
【0116】
ここでは、ドラム駆動ギヤ216と、1色目ドラム駆動ギヤ219aおよび2色目ドラム駆動ギヤ219bとは、モジュール1.5で歯数75枚のインボリュート歯形であるが、第1、第2天地ギヤ217a,217b、218a,218bはモジュール1.5で歯数25枚のインボリュート歯形である。したがって、ドラム駆動ギヤ216が1回転する間に、1色目ドラム駆動ギヤ219aと2色目ドラム駆動ギヤ219bとは同様に1回転するが、第1、第2天地ギヤ217a,217b、218a,218bは歯数比が1/3であるので、3回転する。
【0117】
したがって、印刷時の通紙1枚毎に、用紙先端が、2色目印刷ドラム1bと紙くわえ胴6のニップ部に挿入されるときには、ドラム駆動ギヤ216と1色目ドラム駆動ギヤ219aと2色目ドラム駆動ギヤ219bとは、毎回各ギヤの噛合位置(噛み合い状態)は全く同じ噛み合い位置になる。さらに、第1、第2天地ギヤ217a,217b、218a,218bは、この間3回転という整数回回転するので、やはり、通紙1枚毎に同じ噛み合い状態になる。
【0118】
これにより、図1および図2の第の実施形態と同様に、各ギヤが、歯形精度が悪かったり軸心の偏心が生じていても、これらによって発生する微少位相ずれは毎回同じ状態となり、1枚通紙印刷毎の、用紙進入時の2色目印刷ドラム1bの表面の位相ずれを非常に小さく抑えることができ、オフセットゴーストを小さく抑えることができる。
【0119】
その理由を図4および図5に基づいて説明する。
図4および図5において、縦軸は、各々のギヤのピッチ円上での回転方向の位相ずれ量(mm)を表す。横軸は、印刷ドラムの回転角度を表す。図4において、実線S1は、1色目ドラム駆動ギヤ219a(歯数75)の回転中の位相ずれ量を示す。破線S2は、紙くわえ胴6のドラム駆動ギヤ216(歯数75)の回転中の位相ずれ量を示す。一点鎖線S3は、第2天地ギヤ218a(歯数25)の回転中の位相ずれ量を示す。二点鎖線S4は、第1天地ギヤ217b(歯数25)の回転中の位相ずれ量を示す。
2色目ドラム駆動ギヤ219b(歯数75)、第2天地ギヤ218b、第1天地ギヤ217aに関しては、図を簡略化して説明を分かりやすくするために省略した。
【0120】
図4において、実線Slの1色目ドラム駆動ギヤ219aは、位相ずれ量の振幅が0.4mmであり、この実線S1に対して、破線S2のドラム駆動ギヤ216は、約45°位相が遅れており、位相ずれ量の振幅は0.3mmとなった状態である。
一点鎖線S3の第2天地ギヤ218aは、位相が0°で丁度合っていて、位相ずれ量の振幅は0.2mmとなった状態であり、二点鎖線S4の第1天地ギヤ217bは約45°位相が進んだ状態となっていて、位相ずれ量の振幅は0.25mmとなった状態である。
【0121】
一点鎖線S3および二点鎖線4は、実線S1および破線2に対して1/3の周期で回転している(回転数=周波数で3倍)。このような状態で駆動部が回転している時の、各々の位相ずれが合成された状態を示すのが、図5である。
図4における実線S1と破線S2と一点鎖線S3と二点鎖線S4との合成波形を示すのが、図5に示す実線S5である。実線S5は、1色目印刷ドラム1aに対する2色目印刷ドラム1bの回転時の位相ずれ量の変化を示すこととなる。
【0122】
図5において、1色目印刷ドラム1aが0回転(0°)から3回転(1080°)したときの実線S5の値は、a,b,c,dであるが、どの値も同じ値となっており、1色目印刷ドラム1aの1回転毎に、2色目印刷ドラム1bの位相ずれ量は同じ値に戻り、回転毎(1枚印刷毎)での位相ずれ量に変化はなく、常に同じ位相で回転できることになる。
【0123】
したがって、上述のように、各ギヤが、歯形精度が悪かったりや軸心の偏心が生じていても、これらによって発生する微少位相ずれは、毎回同じ状態となり、1枚通紙印刷毎の、用紙進入時の2色目印刷ドラム1bの表面の位相ずれを非常に小さく抑えることができるから、オフセットゴーストを小さく抑えることができる。
【0124】
各ギヤが整数倍ではなく、印刷毎にギヤの位相変動が生じる場合を示したのが、図6および図7である。この場合、第1天地ギヤ217bおよび第2天地ギヤ218aの歯数は23枚であり、1色目ドラム駆動ギヤ219a(歯数75)に対して、75/23≒3.26087の回転数で回転しており、整数倍の回転数となっていない。
【0125】
図6において、実線S6は、1色目ドラム駆動ギヤ219a(歯数75)の回転中の位相ずれ量を示す。破線S7は、紙くわえ胴6のドラム駆動ギヤ216(歯数75)の回転中の位相ずれ量を示す。一点鎖線S8は、第2天地ギヤ218a(歯数25)の回転中の位相ずれ量を示す。二点鎖線S9は、第1天地ギヤ217b(歯数25)の回転中の位相ずれ量を示す。図7における実線S10は、図6における実線S6と破線S7と一点鎖線S8と二点鎖線S9との合成波形を示す。
各ギヤの、1色目ドラム駆動ギヤ219aに対する位相ずれ角度は同じである。図7を見ると、1色目印刷ドラム1aが0回転(0°)から3回転(1080°)した時の実線S10の値は、e,f,g,hであるが、どの値も異なる値となっており、1色目印刷ドラム1aの1回転毎に、2色目印刷ドラム1bの位相ずれ量は毎回異なり、回転毎(1枚印刷毎)での位相ずれ量が変化して回転することになる。
【0126】
したがって、上述のように、各ギヤが、歯形精度が悪かったり軸心の偏心が生じていると、これらによって発生する微少位相ずれは、毎回異なる状態となってしまい、印刷毎の、用紙進入時の2色目印刷ドラム1bの表面の位相ずれはバラツキ、前の印刷時とは異なり、これによって本来の印刷画像と、前の印刷で生じた2色目印刷ドラム1bにおける製版済みのマスタ12b上の転移インキによる印刷画像の位置ずれが生じてしまい、オフセットゴーストが発生してしまうのである。
【0127】
図4および図5の状態をさらに分かりやすく図示したのが、図8および図9である。
図8では、実線S1の1色目ドラム駆動ギヤ219aと、一点鎖線S3の第2天地ギヤ218aとは、位相が0°で丁度合っていて、実線S1に対して、破線S2のドラム駆動ギヤ216は丁度180°位相が遅れており、二点鎖線S4の第1天地ギヤ217bは丁度180°位相が進んだ状態となっている。
【0128】
したがって、図9に示すように、0°の時の合成波形である実線S5の位相ずれ量は0mmである。そして、1色目印刷ドラム1aが1回転(360°)から3回転(1080°)したときの実線S5の値は、b,c,dであるが、どの値も0mmであり、1色目印刷ドラム1aの1回転毎に、2色目印刷ドラム1bでの位相ずれ量に変化はなく、常に同じ位相で回転できることになる。
【0129】
なお、図2に示した第1の実施形態でも、第1、第2天地ギヤ117a,117b,118a,118bだけでなく、これらの中間にさらにギヤを追加すれ、各天地ギヤの歯数を図3に示した第2の実施形態のように少なくすることは可能である。
また、この第2の実施形態では、各印刷ドラム1a,1bの回転駆動軸と、本体フレーム101側の1色目、2色目ドラム駆動ギヤ219a,219bの付いている印刷装置本体側駆動軸部の間に、オルダム継手125を介在させて、駆動を行っている。このようなオルダム継手125を用いることにより、各印刷ドラム1a,1bが紙くわえ胴6に対して接離動作を行っても、途中の駆動伝達部材の回転変動は発生せず、これにより各印刷ドラム1a,1bの回転ムラも発生させずに安定させる効果もある。
【0130】
遊星ギヤを用いたときは、印圧印加時の遊星ギヤ全体の揺動による、遊星ギヤの±両方向の回転変動が繰り返されることにより、前述の各印刷ドラム1a,1b間や、各印刷ドラム1a,1bと紙くわえ胴6間の、振動等による動的な微少位相ずれが発生することがあるが、オルダム継手125の場合、軸心が平行移動しても、オルダム継手125の人力側(印刷装置本体側駆動軸部)と出カ側(印刷ドラムの回転駆動軸)との間での、回転中の角度変化はないので、上述のような回転変動が発生せず、振動等による動的な微少位相ずれも発生しにくく、前述の各印刷ドラム1a,1b間や、各印刷ドラム1a,1bと紙くわえ胴6間の位相ずれ発生防止効果が高くなる。
【0131】
本体側レール69b’ の断面形状は、本体側レール69bの断面形状と比較すると、本体側レール69b’の方が、本体側レール69bの断面形状に対して、図10における左右方向に小さくかつ上下方向に大きいことのみ相違する。 印刷ドラムユニット70b’は、印刷ドラムユニット70bと比較すると、被係合レール部(図示せず)および取っ手72bに代えて、被係合レール部(図示せず)および取っ手72b’を有することのみ相違する。前記被係合レール部および取っ手72b’ の各断面形状は、被係合レール部(図示せず)および取っ手72bの断面形状と比較すると、印刷ドラムユニット70b’の前記被係合レール部および取っ手72b’の方が、印刷ドラムユニット70bの前記被係合レール部および取っ手72bの断面形状に対して、図3における左右方向に小さくかつ上下方向に大きいことのみ相違する。
【0132】
これにより、例えば、印刷ドラムユニット70aを誤った本体フレーム101内の本体側レール69b’を介して装着しようとしても、本体側レール69b’の断面形状と前記被係合レール部および取っ手72a の各断面形状とが異なることにより、前記被係合レール部および取っ手72aが本体側レール69b’に入らず(係合することができず)印刷ドラムユニット70aを本体フレーム101内に挿入・装着できないので、誤った印刷ドラムユニット70a自体を挿入することが回避できて、これにより誤った印刷ドラムユニット70aを装着してしまって、紙くわえ胴6や印刷ドラム駆動系などを損傷させたり、インキ溜まりにインキを保持できなくなって正常な印刷ができなくなったり、インキが漏れてきたりすることを未然に防止することができる。
【0133】
第2の実施形態における接離動作および天地移動動作を補足説明しておく。 前記1色目カム駆動モータの駆動により、ピン223aが前記確動カムとの摺接・係合によって移動されると、第1リンク220aは紙くわえ胴6を中心に所定の角度分回動し、それにつれて第1天地ギヤ217a、第2天地ギヤ218aが第1リンク220a、第2リンク221a、第3リンク222aで連結されているので、第1天地ギヤ217aが自転しながらドラム駆動ギヤ216の周りを、第2天地ギヤ218aが自転しながら1色目ドラム駆動ギヤ219aの周りを移動する。このとき、ドラム駆動ギヤ216は、メインモータ111の停止時の負荷により1色目印刷ドラム1aの回転負荷よりも相対的に大きいために回転せず、第1天地ギヤ217a、第2天地ギヤ218aおよび1色目ドラム駆動ギヤ219aのみが回転することとなる。この動作によって、第1天地ギヤ217aおよび第2天地ギヤ218aは遊星ギヤ機構をなし、1色目ドラム駆動ギヤ219aはドラム駆動ギヤ216に対して所定の位相差が生じる。これにより、1色目印刷ドラム1aは、紙くわえ胴6に対して所定の位相差を生じて、1色目印刷ドラム1aに巻装された製版済みのマスタ12aの製版画像の回転方向の位置、すなわち用紙32の天地方向における印刷画像位置を移動させることができる。
2色目印刷ドラム1b側の天地移動動作も、上述したと同様にして、紙くわえ胴6に対して所定の位相差を作ることができて、天地移動が可能である。
【0134】
図3に示す印刷時状態における各印刷ドラム1a,1bが印刷位置から非印刷位置への移動は、図1に示した接離手段130a,130bにより同様に行われる。すなわち、軸心が固定されている1色目ドラム駆動ギヤ219aや2色目ドラム駆動ギヤ219bに対して、1色目印刷ドラム1aや2色目印刷ドラム1bの端板側の回転駆動軸に固定されたオルダム継手125の片側のみが図3中二点鎖線で示す方向に移動し、印刷ドラムユニット70aや70b’全体が図中矢印で示す方向に移動して、1色目印刷ドラム1aや2色目印刷ドラム1bが紙くわえ胴6の外周面および用紙クランパ7等に接触しない非印刷位置に保持される。
(第3の実施形態)
図10に、第3の実施形態を適用した多色孔版印刷装置300を示す。
多色孔版印刷装置300は、図3に示した第2の実施形態の多色孔版印刷装置200と比較して、駆動機構110に代えて、各印刷ドラム1a,1bの間および各印刷ドラム1a,1bのうちの印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段としての天地移動機構(後述する)を備えた駆動装置としての駆動機構310を有することが主に相違する。
多色孔版印刷装置300でも、天地移動機構(後述する)を備えた駆動機構310により、紙くわえ胴6および各印刷ドラム1a,1bが駆動されることを一つの特徴としている。
【0135】
駆動機構310および前記天地移動機構は、図10における紙面の奥側の本体フレーム101側に配設されている。駆動機構310は、第2の実施形態の駆動機構210と比較して、2色目駆動機構215bを除去したこと、各印刷ドラム1a,1bの間に天地移動機構を備えたドラム間駆動機構320を配設したことが主に相違する。
【0136】
第3の実施形態は、色間の印刷画像位置調整を行う天地移動機構を、各色印刷ドラム1a,1bの駆動ギヤ間に設けた例である。
【0137】
図10示す状態は、図3に示したと同様の印刷時状態を示している。1色目印刷ドラム1aおよび2色目印刷ドラム1bの印圧印加方式は、各接離手段130a,130bを介しての、第2の実施形態と同じオルダム継手方式である。このため、1色目ドラム駆動ギヤ219aおよび2色目ドラム駆動ギヤ219b回転軸の軸心は、固定されている。
【0138】
この例では、第2の実施形態と同様に、紙くわえ胴6の端板には、モジュール1.5で歯数75枚のインボリュート歯形からなるドラム駆動ギヤ216が固定されている。1色目駆動機構215aは、第2の実施形態と同様であり、第1、第2天地ギヤ217a,218aはモジュール1.5で歯数25枚であり、1色目ドラム駆動ギヤ219aはモジュール1.5で歯数75枚となっている。
したがって、紙くわえ胴6(ドラム駆動ギヤ216)や1色目印刷ドラム1a(1色目ドラム駆動ギヤ219a)が1回転する間に、第1、第2天地ギヤ217a、218bは歯数比が1/3であるので、3回転し、整数倍の回転数となるように構成されている。
また、1色目駆動機構215aにおける天地移動動作は、第2の実施形態と同様に行われる。
【0139】
上述したとおり、2色目印刷ドラム1bの天地移動機構は、ドラム間駆動機構320に含まれており、以下のようになっている。
1色目ドラム駆動ギヤ219aには、2色目印刷ドラム1bを駆動する第1天地ギヤ321と第2天地ギヤ322とが、第1リンク323、第2リンク324で連結されている。第1、第2天地ギヤ321,322は、1色目駆動機構215aの第1、第2天地ギヤ217a,218aと同様に、モジュール1.5で歯数25となっている。
【0140】
2色目印刷ドラム1b側には、2色目ドラム駆動ギヤ219bが設けられており、ドラム駆動ギヤ216と同様にモジュール1.5で歯数75となっている。第2天地ギヤ322は、第3リンク325で2色目ドラム駆動ギヤ219bに連結され、2色目印刷ドラム1bを矢印の方向へ回転駆動する。
【0141】
第1リンク323には、ピン326が設けられている。1色目ドラム駆動ギヤ219aは、メインモータ111側に連結されていて、2色目ドラム駆動ギヤ219bに対して回転駆動負荷が大きくなっている。1色目駆動機構215aと同様に、溝を有する図示しない確動カム等によって、ピン326が移動されることで、第1リンク323は不動状態の1色目ドラム駆動ギヤ219aを中心に回動し、それにつれて第1天地ギヤ321、第2天地ギヤ322も第1リンク323,第2リンク324、第3リンク325で連結されているので、それぞれ、1色目ドラム駆動ギヤ219a、2色目ドラム駆動ギヤ219bの周りを移動する。この動作によって、天地ギヤは遊星ギヤ機構をなし、2色目ドラム駆動ギヤ219bは、1色目ドラム駆動ギヤ219bに対して位相差が生じる。これにより、2色目印刷ドラム1bは、1色目印刷ドラム1aに対して位相差が生じて、印刷画像位置を移動させることができ、1色目と2色目との間の印刷画像位置調整を行うことができる。
【0142】
以上のような構成であり、この第3の実施形態の場合には、1色目印刷ドラム1aを基準ドラムとして、全体的な印刷画像位置調整は、1色目印刷ドラム1aを基準ドラムとしてこれに対する紙くわえ胴6の位相調整で行い、各色間の印刷画像位置調整は、1色目印刷ドラム1aに対する2色目印刷ドラム1bの位相調整で行うようになっている。
【0143】
以上のように、天地移動機構を、一つの印刷画像位置基準ドラムと紙くわえ胴6との間、および各印刷ドラム1a,1b間に設けることにより、一つの印刷画像位置基準ドラムと紙くわえ胴6の位相調整が可能であり、さらに二つの基準ドラムに対する他の印刷ドラムの位相を調整して、各色間の位置調整を行うことが可能となる。この実施形態では、印刷ドラムは二つであるが、三つ以上の場合も同様である。
【0144】
そして、このような構成の場合、印刷画像位置基準ドラムと紙くわえ胴6間の駆動伝達部材は、位相調整機構を含んだ最小限の駆動伝達部材で構成できるので、印刷画像位置基準ドラムと紙くわえ胴6間のガタを小さくでき、位置調整入力値に対する位置調整値再現精度が向上する。
なおかつ、各印刷ドラム1a,1b間の駆動伝達部材も、紙くわえ胴6間の駆動伝達部材を介さずに、直接各印刷ドラム1a,1b間で、位相調整機構を含んだ最小限の駆動伝達部材で構成できるので、各印刷ドラム1a,1b間の駆動部ガタが小さくなり、色間の位置調整人力値に対する位置調整値再現精度が向上できる。つまり、機構部のガタが小さくできるの、入力指示に対する、実際の位置調整レスポンスの精度が良くなる。
【0145】
そして、この第3の実施形態でも、紙くわえ胴6のドラム駆動ギヤ216と1色目ドラム駆動ギヤ219a、2色目ドラム駆動ギヤ219bは、モジュール1.5で歯数75枚であり、第1天地ギヤ217a、第2天地ギヤ218a、第1天地ギヤ321、第2天地ギヤ322はモジュール1.5で歯数25枚である。したがって、ドラム駆動ギヤ216が1回転する間に、1色目ドラム駆動ギヤ219aと2色目ドラム駆動ギヤ219bとは同様に1回転するが、各々の天地ギヤ217a,218a,321,322は歯数比が1/3であるので、3回転の整数回だけ回転するので、やはり、印刷時の通紙1枚毎に全てのギヤの噛み合いは同じ噛み合い位置になる。
【0146】
これにより、第1および第2の実施形態と同様に、各ギヤが、歯形精度が悪かったり軸心の偏心が生じていても、これらによって発生する微少位相ずれは、毎回同じ状態となり、1枚通紙印刷毎の、用紙進入時の2色目印刷ドラム1bの表面の位相ずれを非常に小さく抑えることができ、オフセットゴーストを小さく抑えることができる。
【0147】
なお、この第3の実施形態では、紙くわえ胴6から1色目印刷ドラム1aの駆動を行ったが、紙くわえ胴6から2色目印刷ドラム1bを駆動して、2色目印刷ドラム1bを基準ドラムにしてもよい。この場合、紙くわえ胴6と2色目印刷ドラム1bが直接駆動力が伝達されるように連結され、この間に他の印刷ドラムを介した駆動機構が介在しないので、振動等の動的な要因が発生した場合でも、誤差がより少なくなって、用紙32の先端が2色目印刷ドラム1bのニッブ部に進入する際の紙くわえ胴6の回転バラツキもより小さく安定する。
(第4の実施形態)
図11に、第4の実施形態を適用した多色孔版印刷装置400を示す。
多色孔版印刷装置400は、図10に示した第3の実施形態の多色孔版印刷装置300と比較して、駆動機構310に代えて、各印刷ドラム1a,1bの間および各印刷ドラム1a,1bのうちの印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段としての天地移動機構(後述する)を備えた駆動装置としての駆動機構410を有することが主に相違する。
多色孔版印刷装置400でも、天地移動機構(後述する)を備えた駆動機構410により、紙くわえ胴6および各印刷ドラム1a,1bが駆動されることを一つの特徴としている。
【0148】
駆動機構410および前記天地移動機構は、図11における紙面の奥側の本体フレーム101側に配設されている。駆動機構410は、第3の実施形態の駆動機構310と比較して、ドラム間駆動機構320に代えて、各印刷ドラム1a,1bの間に歯付きベルト方式の天地移動機構を備えたドラム間駆動機構420を配設したことが主に相違する。各印刷ドラム1a,1bの駆動をベルトで行い、1色目印刷ドラム1aと2色目印刷ドラム1bの位相調整もベルトで行う方式である。紙くわえ胴6と1色目印刷ドラム1aの駆動は、図10に示した第3の実施形態の1色目駆動機構215aと同様であるので、その説明を省略する。
【0149】
2色目印刷ドラム1bの駆動機構、すなわちドラム間駆動機構420は以下のようである。1色目印刷ドラム1aに対応する本体フレーム101側の回転駆動軸部には、歯付きベルトであるタイミングベルト421と噛み合う1色目ドラムプーリ422が回動可能に設けられている。2色目印刷ドラム1bに対応する本体フレーム101側の回転駆動軸部にも、同様な2色目ドラムプーリ423が回動可能に設けられている。1色目ドラムプーリ422と2色目ドラムプーリ423との間には、それぞれ軸心位置を固定された4つの、アイドラ424a,424b,424c,424d(以下、「アイドラ424a〜424d」と略記する)が、本体フレーム101側に回転可能に支持されている。
【0150】
アイドラ424a,424b間、およびアイドラ424c,424d間には、回転可能に支持された同じ歯数のアイドルプーリ425,426が設けられている。
タイミングベルト421は、図に示すように、歯面側を1色目ドラムプーリ422と2色目ドラムプーリ423およぴアイドルプーリ425,426に掛け渡されている。
【0151】
アイドラ424a〜424dは、タイミングベルト421の背面側に接触し、タイミングベルト421の位置を規制している。アイドルプーリ425,426を回転可能に支持する軸は、図示しない補助プレート上に固定されている。この補助プレートは、本体フレーム101に対して、アイドルプーリ425,426の軸心を結んだ線と平行に移動可能に支持されている。
したがって、アイドルプーリ425,426は、前記補助プレートの移動に伴い、一体的に移動可能となっている。アイドルプーリ425,426が、各々の軸心を結んだ線上を移動すれぱ、それに伴ってタイミングベルト421も移動する。
【0152】
例えば1色目印刷ドラム1aを基準と考えた場合、図11で、アイドルプーリ425,426が上側に移動した場合、アイドルプーリ425の左側のタイミングベルト421は上側に移動し、2色目ドラムプーリ423に掛け渡されているタイミングベルト421は時計回り方向に移動する。これにより、タイミングベルト421に噛み合っている2色目ドラムプーリ423も、時計回り方向に回転するので、2色目印刷ドラム1bは1色目印刷ドラム1aに対して位相がずれることとなる。
以上のように、アイドルプーリ425,426を共に移動させることで、2色目印刷ドラム1bの1色目印刷ドラム1aに対する位相を調整し(天地移動)、色間での印刷画像位置調整を行うようになっている。このように、各印刷ドラム1a,1b間の駆動伝達と位相調整を、タイミングベルト421で行うことによって、駆動部からの騒音発生を低減させることができる。
【0153】
紙くわえ胴6を用いた多色印刷機構では、特開平11−208085号公報に開示されているようにプレスローラを用いた多色印刷装置とは異なり、紙くわえ胴6の駆動機構とその位相調整を行う機構が必要となるため、全てをギヤ駆動で行うと、ギヤ噛み合いに伴う騷音が大きくなるという問題が顕著になってくる。
【0154】
したがって、この実施形態のように少なくとも一つの駆動機構410を歯付きのベルト駆動を採用することによって、騒音発生を低減させることができ、多色印刷機をオフィス等の、低騷音の条件が求められる環境に設置することも可能となる。
【0155】
また、本実施形態では、タイミングベルト421駆動に伴う、オフセットゴーストの発生を低減させる方法も採用している。
これまで説明したように、1枚通紙印刷毎の、1色目印刷ドラム1aと2色目印刷ドラム1bの位相ずれが生じると、オフセットゴーストが発生する。図2、図3および図10に示したギヤ駆動の実施形態の場合、印刷ドラムの1回転毎に、各駆動伝達部材は印刷ドラムの整数値の回転数で回転しないと、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれが発生することは述べたが、この歯付きベルト駆動の実施形態の場合も同様に、各印刷ドラム1a,1bに対応して設けられたドラムプーリ422,423が1回転する毎に、アイドルプーリ425,426が整数倍の回転数で回転しないと、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれが発生する。
【0156】
アイドルプーリ425,426の1回転中には、アイドルプーリ425,426の偏心や歯形誤差により、タイミングベルト421はアイドルプーリ425,426により引っ張られたり戻されたりして、微少移動を繰り返す。(偏心等により、前述の天地移動機構が微少に作動するのと同様な作用となる)したがって、アイドルプーリ425,426も、印刷ドラムと同じ回転数で回転する各印刷ドラム1a,1bに対応して設けられたドラムプーリ422,423の回転数に対して、整数倍の回転数で回転するように、歯数が設定されていないと、1枚通紙印刷毎に、アイドルプーリ425,426の位相(位置)が異なり、前述の偏心等によるベルト移動による、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれが発生してしまう。
【0157】
この実施形態の場合、タイミングベルト421は、歯ピッチ3mmのベルトを使用し、各ドラムプーリ422,423は、歯数120枚(ピッチ円直径114.59mm)で、アイドルプーリ425,426は共に、歯数30枚(ピッチ円直径28.65mm)に設定されており、各印刷ドラム1a,1bの1回転でアイドルプーリ425,426は4回転するように設定されている。
【0158】
また、アイドラ424a〜424dも同様に整数倍回転しないと、その偏心の影響が同様に出るので、整数倍回転するように設定されている。アイドラ424a〜424dの場合、歯は形成されておらずタイミングベルト421の背面に接触する。
【0159】
したがって、タイミングベルト421の背面からタイミングベルト421のピッチ線までの厚さを、アイドルプーリ425,426の半径に加算して、その状態の仮想直径が、前述の各色目ドラムプーリ422,423のピッチ円直径の整数分の1になるように設定されている。(あるいはアイドルプーリ425,426のピッチ円直径と同じでもよい)この実施形態の場合、タイミングベルト421の背面からピッチ線までの厚さが1.54mmであるので、各アイドラ424a〜424dは、外径を25.57mmに設定してある。この時、前述のアイドラアイドラ424a〜424dの仮想直径は25.57+(2×1.54)=28.65mmであり、アイドルプーリ425,426のピッチ円直径と同じ値になる。したがって、アイドルプーリ425,426と同様に、各印刷ドラム1a,1bの1回転で4回転の整数倍回転し、1枚通紙印刷毎の、偏心等による位相ずれの影響を打ち消すことができる。
【0160】
また、この実施形態のような歯付きベルト方式の場合、タイミングベルト421の歯数は各ドラムプーリ422,423の歯数より多くなるので、各印刷ドラム1a,1bの1回転ではタイミングベルト421は1周できず、タイミングベルト421の持つ誤差(1周内での歯形誤差や、ベルト芯線中心から背面までの厚さのバラツキ)による、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれが発生することがある。
【0161】
これに関しても、本願出願人が提案した特願2000−64950号に記載されているように、一つのタイミングベルトを図の奥行き方向で2分割にして、各々のタイミングベルトを回転方向で180°位相をずらすことにより、歯形誤差やベルト芯線中心から背面までの厚さのバラツキをキャンセルして、タイミングベルト1周内での変動を抑えることで、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれを低減することができる。
あるいは、本願出願人が提案した特願2000−53757号に記載されているように、タイミングベルトの背面を、ベルト歯の先端か、またはピッチ円(芯線中心位置に相当する)を基準として研磨して、ベルト芯線中心から背面までの厚さのバラツキを低減して、タイミングベルト1周内での変動を抑えることで、各印刷ドラム1a,1b間の位相ずれを低減することもできる。
(第5の実施形態)
図12に、第5の実施形態を適用した多色孔版印刷装置500を示す。
多色孔版印刷装置500は、図10に示した第3の実施形態の多色孔版印刷装置300と比較して、駆動機構310に代えて、各印刷ドラム1a,1bの間および各印刷ドラム1a,1bのうちの印刷ドラム1aと紙くわえ胴6との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段としての天地移動機構(後述する)を備えた駆動装置としての駆動機構510を有することが主に相違する。
多色孔版印刷装置500でも、天地移動機構(後述する)を備えた駆動機構510により、紙くわえ胴6および各印刷ドラム1a,1bが駆動されることを一つの特徴としている。
【0162】
駆動機構510および前記天地移動機構は、図12における紙面の奥側の本体フレーム101側に配設されている。駆動機構510は、第3の実施形態の駆動機構310と比較して、1色目ドラム駆動機構215aに代えて、紙くわえ胴6と印刷ドラム1aとの間に歯付きベルト方式の天地移動機構を備えた1色目駆動機構520を配設したことが主に相違する。
【0163】
紙くわえ胴6を用いた多色印刷機の場合、前述のように、1色目印刷ドラム1aのニップ部を通過して、紙くわえ胴6にくわえられた用紙32の先端が2色目印刷ドラム1bのニップ部に進入する際に、1枚通紙印刷毎に、回転量がばらつくと、位相ずれが発生し、やはり、オフセットゴーストが発生する。
【0164】
したがって、紙くわえ胴6と各印刷ドラム1a,1bとの間にベルト駆動を用いる場合でも、図11に示した第4の実施形態で説明したような、アイドルプーリ425,426の歯数整数比やアイドラ424a〜424d直径、タイミングベルト421の1周期バラツキの低減策を施す必要がある。
【0165】
1色目駆動機構520のベルト駆動機構自体は、紙くわえ胴6に、1色目印刷ドラム1a駆動用の紙くわえ胴プーリ522を設けると共に、1色目印刷ドラム1aに対応する本体フレーム101側の回転駆動軸部に、タイミングベルト521と噛み合う1色目ドラムプーリ523を設けたものである。紙くわえ胴プーリ522と1色目ドラムプーリ523との間には、それぞれ軸心位置を固定された4つの、アイドラ524a,524b,524c,524dが、本体フレーム101側に回転可能に支持されている。アイドラ524a,524d間、およびアイドラ524b,524c間には、回転可能に支持された同じ歯数のアイドルプーリ525,526が設けられている。
【0166】
図12では、紙くわえ胴6と1色目印刷ドラム1aをタイミングベルト521で連結して駆動しているが、図10に示した第3の実施形態の際に説明したように、紙くわえ胴6と2色目印刷ドラム1bをタイミングベルトで連結駆動してもよい。
また、図11の第4の実施形態と組み合わせて、紙くわえ胴6と1色目印刷ドラム1a以外に各印刷ドラム1a,1b同士もベルト駆動を行う方法を採用することも勿論可能である。
参考例
図13に、本発明に係る参考例を適用した多色孔版印刷装置600を示す。
多色孔版印刷装置600は、図3に示した第2の実施形態の多色孔版印刷装置200と比較して、印圧印加方式のみが相違する。多色孔版印刷装置600の駆動機構は、多色孔版印刷装置200の駆動機構210と同じである。
図3に示した第2の実施形態では、印圧印加機構にオルダム継手125を用いて、各印刷ドラムユニット70a,70b’全体を、紙くわえ胴6に向けて移動させ印圧を加え、印圧解除時は、同様に各印刷ドラムユニット70a,70b’全体を紙くわえ胴6から離間させ印圧を解除している。
【0167】
しかし、図13に示す参考例の各印刷ドラム62a,62bは、特開平1−204781号、特開平3−197078号、特開平3−254984号公報に開示されているような印刷ドラムを用いている。これらの印刷ドラム62a,62bは、いわゆるインナープレス方式の印刷ドラムであり、印刷ドラム62a,62bの回転軸位置は移動せず、かつ、印刷ドラム62a,62b全体も移動せず、印圧を加える際には、各印刷ドラム62a,62b内の中押しローラ61a,61bを二点鎖線で示すように紙くわえ胴6に向けて押し出し、その版胴を変形させて版胴外表面に装着された製版済みのマスタ12a,12bを紙くわえ胴6にくわえられた用紙32に押し付け、印刷を行う方式の印刷ドラムである。 印刷ドラム62a,62bは、本体フレーム101に対して着脱自在な印刷ドラムユニット60a,60b’を構成している。印刷ドラム62a,62bの構造や中押しローラ61a,61bの駆動方法は、前述の公開公報に記載されているので省略する。
【0168】
このような中押しローラ方式の場合、印刷ドラム62a,62b全体をその保持部ごと、紙くわえ胴6に向けて移動させる必要がないので、駆動機構が比較的小さく簡略化できるという利点があり、特に保持部の移動機構が不要であるので、省スペースとなり、印刷ドラムを近接して配置することができて、印刷装置全体の小型化が図られる。
さらには、質量の大きい印刷ドラム全体を紙くわえ胴6に向けて接触させる必要がないので、騒音発生エネルギーが小さくなり、騒音を低減することも可能となる。
【0169】
そして、このような印刷ドラム62a,62bを用いた方式においても、紙くわえ胴6と印刷ドラム62a,62b間や、印刷ドラム62a,62b同士の駆動機構に、これまで説明したような駆動伝達機構を採用することで、それに伴う効果も同様に得られ、色間の印刷画像位置調整や、オフセットゴーストの低減できる多色印刷機とすることが可能となる。
【0170】
第1ないし第の実施形態および参考例に示した多色孔版印刷装置100ないし600等を構成する前記各ユニット・各装置等の構成およびその配置状態は、あくまでもその一例を示したものであり、他の全ての均等な公知のユニット・装置を種々の配置状態をもって構成したり、公知のユニット・装置を付加してもよいことは言うまでもない。
第1ないし第5の実施形態および参考例では、説明の簡明化のために、二つの印刷ドラム1a,1bや二つの印刷ドラム60a,60bを具備したものとして説明したが、本発明の実施形態は、上述した各実施形態例に限定されるものでなく、三つ以上の印刷ドラムや三つ以上の印刷ドラムユニットを具備して構成できることは勿論、後述する効果を得られるものであることを付記しておく。
以上述べたとおり、本発明を実施形態を含む特定の実施形態等について説明したが、本発明の構成は、前述した実施形態等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施形態を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0171】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、前述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な印刷装置を提供することができる。請求項ごとの効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、上記構成により、各印刷ドラムで、圧胴に対する位相調整が可能となり、各色間の画像位置調整や用紙に対する印刷画像位置の調整が可能となると共に、各印刷ドラムで独立して画像位置調整が可能であるので、画像位置調整基準として必要な任意の色(任意の印刷ドラム)を直接、用紙に対して印刷画像位置調整を行うことができ、そして他の色は、最初に基準として選択した色の位置調整値に対して、調整量を決めて画像位置調整を行うことができるので、各印刷ドラムでの画像位置調整が行いやすく、圧胴との駆動部を介して、印刷ドラム間をつなぐ駆動伝達部材は全て等倍を含む整数倍の回転数で回転することになり、各駆動伝達部材のギヤ歯形精度や偏心による1回転毎の回転ムラによる、用紙1枚の印刷毎の、各印刷ドラム間の位相ずれを小さくすることができ、これにより、オフセットゴースト発生を低減することが可能となる。また、同様に、用紙1枚の印刷毎の、各印刷ドラム、特に2色目以降の印刷ドラムと圧胴の位相ずれが発生するのを防止でき、2色目以降の印刷ドラムに対する用紙先端のタイミングズレを低減することができ、これにより、オフセットゴースト発生を低減することが可能となる。加えて、各印刷ドラムを印刷位置で保持する各保持部材ごと、圧胴に向けて移動して印圧を加えるので、印刷時に、各印刷ドラムの版胴の剛性を上げて印刷時の変形をより防止できて、製版済みのマスタのしわや大きな伸びなどの著しい印刷画像不具合を防止できると共に、印刷装置本体および各保持部材に対して着脱自在な各印刷ドラムユニットを有するので、色替えや用紙あるいはマスタのジヤム処理等のために、各印刷ドラムを容易に交換できる。
【0172】
請求項2記載の発明によれば、複数の印刷ドラム間、および複数の印刷ドラムのうちの一つの印刷ドラムと圧胴との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段を備えた駆動装置により、圧胴および各印刷ドラムが駆動されるので、一つの印刷画像位置基準ドラムと圧胴の位相調整が可能であり、さらにこの基準ドラムに対する他の印刷ドラムの位相を調整することが可能となると共に、印刷画像位置基準ドラムと圧胴間の駆動伝達部材は、位相調整機構を含んだ最小限の駆動伝達部材で構成でき、印刷画像位置基準ドラムと圧胴間のガタを小さくでき、位置調整入力値に対する位置調整値再現精度が向上し、かつ、印刷ドラム間の駆動伝達部材も、圧胴間の駆動伝達部材を介さずに、直接印刷ドラム間で、位相調整手段を含んだ最小限の駆動伝達部材で構成できるので、印刷ドラム間の駆動部ガタが小さくなり、色間の位置調整入力値に対する位置調整値再現精度が向上する。また、駆動装置の駆動伝達部材は、各印刷ドラムの回転数に対して、等倍を含む整数倍の回転数で回転するので、印刷ドラム間をつなぐ駆動伝達部材は全て等倍を含む整数倍の回転数で回転することになり、各駆動伝達部材のギヤ歯形精度や偏心による1回転毎の回転ムラによる、用紙1枚の印刷毎の、各印刷ドラム間の位相ずれを小さくすることができ、さらに、印刷画像位置基準ドラムと圧胴間をつなぐ駆動伝達部材も全て等倍を含む整数値の回転数で回転することにより、印刷画像位置基準ドラムを介して、2色目以降のドラムと圧胴間の駆動部材も、同様に、等倍を含む整数値の回転数で回転することになり、用紙1枚の印刷毎の、2色目以降のドラムと圧胴の位相ずれが発生するのを防止でき、2色目以降のドラムに対する用紙先端のタイミングズレを低減することができ、これにより、オフセットゴースト発生を低減することが可能となる。加えて、各印刷ドラムを印刷位置で保持する各保持部材ごと、圧胴に向けて移動して印圧を加えるので、印刷時に、各印刷ドラムの版胴の剛性を上げて印刷時の変形をより防止できて、製版済みのマスタのしわや大きな伸びなどの著しい印刷画像不具合を防止できると共に、印刷装置本体および各保持部材に対して着脱自在な各印刷ドラムユニットを有するので、色替えや用紙あるいはマスタのジヤム処理等のために、各印刷ドラムを容易に交換できる。
【0175】
請求項記載の発明によれば、駆動装置の駆動伝達部材は、全てギヤで構成されているので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、印刷時の駆動負荷が増大しても、ベルトの変形等の駆動伝達部材の変形等が小さく抑えられ、前述の印刷ドラム間や、圧胴と印刷ドラムの位相ずれが小さく抑えられ、オフセットゴーストの発生を低減させることが可能となる。
【0176】
請求項記載の発明によれば、駆動装置の駆動伝達部材は、少なくとも一つの歯付きベルトを含むので、請求項1ないしの何れか一つに記載の発明の効果に加えて、駆動部での騒音発生を低減することが可能となり、圧胴を用いて多数の印刷ドラムを配置して駆動させることによって通常の孔版印刷装置よりも大きく発生する多色印刷装置の印刷時の騒音を低減することが可能となる。
【0178】
請求項記載の発明によれば、各印刷ドラムの回転駆動は、印刷ドラムの回転駆動軸と印刷装置本体側駆動部との間に、オルダム継手を介在させて、駆動を行うので、請求項1ないし4の何れか一つに記載の発明の効果に加えて、印刷ドラムが圧胴に対して接離動作を行っても、途中の駆動伝達部材の回転変動は発生せず、印刷ドラムの回転ムラも発生せず安定できる。
例えば遊星ギヤを用いたときは、印圧印加時の遊星ギヤ全体の揺動による、遊星ギヤの±両方向の回転変動が繰り返されることにより、前述の印刷ドラム間や印刷ドラムと圧胴間の、振動等による動的な微少位相ずれが発生することがあるが、オルダム継手の場合、軸心が平行移動しても、オルダム継手の入力側(本体側駆動軸側)と出力側(印刷ドラムの回転駆動軸)との間での、回転中の角速度変化はないので、上述のような回転変動が発生せず、振動等による動的な微少位相ずれも発生しにくく、前述の印刷ドラム間や印刷ドラムと圧胴間の位相ずれ発生防止効果が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を適用した多色孔版印刷装置の接離手段を含む要部の正面図である。
【図2】第1の実施形態における駆動機構および各印刷ドラムの天地移動機構等を示す要部の正面図である。
【図3】第2の実施形態における駆動機構および各印刷ドラムの天地移動機構等を示す要部の正面図である。
【図4】第2の実施形態における駆動機構の各ギヤが整数倍の場合の回転方向の位相ずれ量を印刷ドラムの回転角度毎に表した波形図である。
【図5】図4の位相ずれ量を合成した合成位相ずれ量を印刷ドラムの回転角度毎に表した合成波形図である。
【図6】駆動機構の各ギヤが非整数倍の場合の回転方向の位相ずれ量を印刷ドラムの回転角度毎に表した波形図である。
【図7】図6の位相ずれ量を合成した合成位相ずれ量を印刷ドラムの回転角度毎に表した合成波形図である。
【図8】図4の位相ずれ量をさらに分かりやすく表した波形図である。
【図9】図8の位相ずれ量を合成した合成位相ずれ量をさらに分かりやすく表した波形図である。
【図10】第3の実施形態における天地移動機構を備えた駆動機構等を示す要部の正面図である。
【図11】第4の実施形態における天地移動機構を備えた駆動機構等を示す要部の正面図である。
【図12】第5の実施形態における天地移動機構を備えた駆動機構等を示す要部の正面図である。
【図13】 参考例における印刷ドラムの版胴接離機構および天地移動機構を備えた駆動機構等を示す要部の正面図である。
【符号の説明】
1色目)印刷ドラム
2色目)印刷ドラム
6 圧胴としての紙くわえ胴
7 保持手段としての用紙クランパ
8 凹部
32 用
0a,70b,70b’ 印刷ドラムユニッ
00、200,300,400,50 刷装置の一例としての多色孔版印刷装置
101 印刷装置本体としての本体フレーム
104a 保持部材としての1色目保持フレーム
104b 保持部材としての2色目保持フレーム
110,210,310,410,510 駆動装置としての駆動機構
111 メインモータ
115a 駆動機構および天地移動手段を構成する1色目駆動機構
115b 駆動機構および天地移動手段を構成する2色目駆動機構
116 駆動伝達部材としてのドラム駆動ギヤ
117a,117b 駆動伝達部材としての第1天地ギヤ
117a,118b 駆動伝達部材としての第2天地ギヤ
119a 駆動伝達部材としての1色目ドラム駆動ギヤ
119b 駆動伝達部材としての2色目ドラム駆動ギヤ
125 オルダム継手
130a,130b 接離手段
421,521 歯付きベルトとしてのタイミングベルト
X 用紙搬送方向

Claims (5)

  1. 複数の印刷ドラムと、前記各印刷ドラムの外径と略同径の圧胴とを具備し、前記圧胴の周囲に前記複数の印刷ドラムを配置し、前記圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで印刷後、この印刷された用紙上のインキが未乾燥のまま、前記圧胴の回転方向の下流側に配置された印刷ドラムで印刷を行う印刷装置において、
    前記各印刷ドラムは、印刷装置本体に対して着脱自在な印刷ドラムユニットとして構成されており、
    前記圧胴と前記各印刷ドラムとの間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段を備えた駆動装置と、
    前記各印刷ドラムユニットに対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各印刷ドラムユニットを保持する保持部材と、
    前記各保持部材に対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各保持部材ごと前記各印刷ドラムユニットの前記印刷ドラムを前記圧胴に対して接離動作させる接離手段と、
    有し、
    前記駆動装置は、駆動力を伝達する駆動伝達部材を具備し、該駆動伝達部材は、前記各印刷ドラムの回転数に対して、等倍を含む整数倍の回転数で回転するものであり、
    前記駆動装置により前記圧胴および前記各印刷ドラムが駆動されることを特徴とする印刷装置。
  2. 複数の印刷ドラムと、前記各印刷ドラムの外径と略同径の圧胴とを具備し、前記圧胴の周囲に前記複数の印刷ドラムを配置し、前記圧胴の回転方向の上流側に配置された印刷ドラムで印刷後、この印刷された用紙上のインキが未乾燥のまま、前記圧胴の回転方向の下流側に配置された印刷ドラムで印刷を行う印刷装置において、
    前記各印刷ドラムは、印刷装置本体に対して着脱自在な印刷ドラムユニットとして構成されており、
    前記複数の印刷ドラム間、および前記複数の印刷ドラムのうちの一つの印刷ドラムと前記圧胴との間に回転方向の位相差を生じさせる位相調整手段を備えた駆動装置と、
    前記各印刷ドラムユニットに対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各印刷ドラムユニットを保持する保持部材と、
    前記各保持部材に対応して前記印刷装置本体に配設され、前記各保持部材ごと前記各印刷ドラムユニットの前記印刷ドラムを前記圧胴に対して接離動作させる接離手段と、
    有し、
    前記駆動装置は、駆動力を伝達する駆動伝達部材を具備し、該駆動伝達部材は、前記各印刷ドラムの回転数に対して、等倍を含む整数倍の回転数で回転するものであり、
    前記駆動装置により前記圧胴および前記各印刷ドラムが駆動されることを特徴とする印刷装置。
  3. 請求項1または2記載の印刷装置において、
    前記駆動装置の前記駆動伝達部材は、全てギヤで構成されていることを特徴とする印刷装置。
  4. 請求項1ないしの何れか一つに記載の印刷装置において、
    前記駆動装置の前記駆動伝達部材は、少なくとも一つの歯付きベルトを含むことを特徴とする印刷装置。
  5. 請求項1ないし4の何れか一つに記載の印刷装置において、
    前記各印刷ドラムの回転駆動は、前記印刷ドラムの回転駆動軸と印刷装置本体側駆動部との間に、オルダム継手を介在させて、駆動を行うことを特徴とする印刷装置。
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