JP4607042B2 - 油展ゴムの製造方法およびそれにより得られる油展ゴム - Google Patents

油展ゴムの製造方法およびそれにより得られる油展ゴム Download PDF

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Description

本発明は、油展ゴムの製造方法およびそれにより得られる油展ゴムに関する。
従来、ゴムの加工においては、原料ゴムの可塑性を増大させるために、素練りをおこなっていた。とくに、分子量が大きく、粘度が安定しない天然ゴム(NR)は、素練りの程度によって加工性が変化し、薬品の分散性を改善させることができることから、素練りは必要不可欠な工程であった。また、ゴムの素練り工程でオイルを添加しようとすると、オイルの吸収に時間を要し、生産性が悪化するという問題があった。
このような背景から、ゴムの有する高い粘度を低減させて混練りを容易にし、さらに、他の配合材料の分散性を向上させることを目的として、オイルを含有するゴム(油展ゴム)が市販されている。
市販されている油展ゴムは、主として合成ゴムであり、加工性を改善させることを目的として、オイルを合成ゴムと均一に混合し、ブロック化したものが一般的である。
また、近年、環境問題が重視されるようになり、CO2排出の規制が強化され、さらに、石油資源は有限であり、供給量が年々減少していることから、将来的に更なる石油価格の高騰が予測され、合成ゴムなどの石油資源由来の原材料の使用には限界がある可能性がある。そのため、将来石油が枯渇した場合を想定すると、NR、エポキシ化天然ゴム(ENR)などのような石油外資源を使用することが望ましい。
環境に配慮し、将来の石油資源の供給量の減少に備えることができるゴムとして、NRを、前記のような合成ゴムを用いた油展ゴムと同様の混合方法により、油展ゴムとする手法が知られている。
ゴムへオイルを混合して油展ゴムを作製する方法としては、種々のものが知られており、とくに限定されるわけではないが、たとえば、固形ゴムにオイルを混練機上で添加する方法がある。また、溶液重合で得られるゴムについては、重合後の溶媒を含むゴムにオイルを添加して、その後溶媒を除去する手法などが知られており、乳化重合で得られるゴムについては、重合後にラテックス状態のゴムにオイルを直接添加してその後ゴムを凝固させる方法などが知られている。
ゴムを固形化した後に、混練り機を用いて、オイルを混練りする場合、オイルをゴムと一緒に投入すると、ゴムが混練り機の内部で滑りやすいため、最初に、ゴムのみを混練りした後に、オイルを添加し、混練りされている。しかし、その場合、オイルを添加するまでの間に、ゴムの硬度が大きいため、せん断力がかかりやすく、ゴム分子が部分的に切断するため、得られた油展ゴムを用いてゴム組成物を作製した場合、該ゴム組成物の耐摩耗性、強度などが悪化し、そのようなゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、性能が低下してしまうという問題があった。
さらに、ゴムラテックスにオイルを添加して攪拌する場合、ゴムラテックスに対するオイルの溶解度が低く、水相にオイルが残りやすいという問題がある。これを防ぐために、高速でゴムラテックスとオイルとを撹拌させたのち、凝固させる手法が知られている。しかし、この場合、ゴム中に均一にオイルが吸収されるのではなく、オイルが多く含有する箇所とほとんど含有しない箇所が生じるため、上記手法で作製されたゴムは、ゴム組成物の製造において混練りをおこなっても、ゴム組成物を作製した際に、添加剤が均一に分散しにくいという問題があった。
特許文献1には、所定のゴム成分、所定のシリカ、植物由来のオイル、シランカップリング剤および陰イオン界面活性剤を所定量含有することで、シリカの偏在やオイルとの相溶性を改善させることができ、さらに、加工性および耐摩耗性を低下させることなく、転がり抵抗特性およびウェットグリップ性能を向上させたタイヤトレッド用ゴム組成物が開示されている。しかし、所定の製造方法により油展ゴムを製造することで、加工性およびゴムの物性を改善させることについては、考慮されていない。
特開2005−263956号公報
本発明は、加工性およびゴムの物性を向上させることができる油展ゴムの製造方法およびそれにより得られる油展ゴムを提供することを目的とする。
本発明は、(a)植物油またはその誘導体を界面活性剤で乳化することにより水中油滴型エマルションを作製する工程、(b)該エマルションおよび改質天然ゴムラテックスを混合したのち熟成させる工程、および(c)工程(b)により得られた混合物を凝固させる工程を含む油展ゴムの製造方法に関する。
前記改質天然ゴムラテックスは、エポキシ化率が10〜60モル%のエポキシ化天然ゴムラテックスであることが好ましい。
前記植物油の誘導体は、エポキシ化植物油であることが好ましい。
前記界面活性剤は、非イオン系界面活性剤であることが好ましい。
前記界面活性剤は、親水性部分(A)と親油性部分(B)とを有しており、該親水性部分(A)は、オキシエチレンの繰り返し単位を2〜40個有することが好ましい。
前記界面活性剤の親油性部分は、アルキルエーテルまたはアルケニルエーテル構造であることが好ましい。
前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記油展ゴムの製造方法により得られる油展ゴムに関する。
本発明によれば、所定のオイルおよび改質天然ゴムラテックスを使用し、所定の製造方法により、油展ゴムを作製することで、加工性を向上させ、さらに、素練りの必要がないために、生産性を向上させることができ、油展に伴う練りによる物性低下がない油展ゴムの製造方法およびそれにより得られる油展ゴムを提供することができる。
本発明の油展ゴムの製造方法は、(a)植物油またはその誘導体を界面活性剤で乳化することにより、水中油滴型(以下、O/W型とする)エマルションを作製する工程、(b)該エマルションおよび改質天然ゴムラテックスを混合して熟成する工程、および(c)工程(b)により得られた混合物を凝固させる工程を含む。
本発明の油展ゴムの製造方法では、植物油またはその誘導体を改質天然ゴムラテックスと混合させる前に、工程(a)において、オイルをエマルション化させることにより、改質天然ゴムが早く均一に植物油またはその誘導体を吸収し、それにより、得られた油展ゴム中において、植物油またはその誘導体を均一に分散させることができ、さらに、凝固後の液には不溶のオイル分がほとんど存在せず、とくに表面にオイルが浮く現象はまったく見られず、排水処理負荷が小さいという効果が得られる。
工程(a)では、植物油またはその誘導体、水ならびに界面活性剤を用いる。
オイルとしては、アロマオイルなどの石油資源由来のオイルを使用することもできるが、環境に配慮することも、将来の石油資源の供給量の減少に備えることもでき、さらに、使用後のゴム製品を燃焼させた際にも、植物油またはその誘導体であれば、カーボンニュートラルの考え方が適用され、二酸化炭素が発生しないという理由から、石油外資源由来のオイルを用いる。また、一般に、植物油およびその誘導体はそれ自身がグリセリンのエステル化物であり、上記石油資源由来のオイルよりも極性が高いため、ENRとの相溶性に優れている。また、この植物油の二重結合部分をエポキシ化したエポキシ化植物油はエポキシ化率によるが、よりENRと親和性が向上するため、植物油またはその誘導体を使用する。なお、植物油またはその誘導体としては、天然ゴム(NR)より極性の高いエポキシ化天然ゴム(ENR)などの改質天然ゴムと親和性の高いものが好ましい。
植物油としては、具体的には、パーム油、大豆油、菜種油、ひまわり油、コーン油、ひまし油、シナモン油、ユーカリ油、あまに油などがあげられ、これらの植物油はとくに制限はなく、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ENRなどの改質天然ゴムラテックスとの親和性に優れることから、パーム油、大豆油、菜種油、ヒマシ油、ひまわり油、コーン油およびあまに油からなる群から選ばれる少なくとも1種の植物油が好ましく、大豆油、パーム油、菜種油がより好ましい。
植物油の誘導体としては、エポキシ化パーム油、エポキシ化大豆油、エポキシ化菜種油、エポキシ化コーン油、エポキシ化あまに油などの脂肪酸の二重結合をエポキシ化した植物油や、前記植物油をケン化して得られる脂肪酸などがあげられ、これらの植物油の誘導体は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、ENRとの相溶性が高いという理由から、脂肪酸の二重結合をエポキシ化した植物油が好ましく、エポキシ化大豆油、エポキシ化パーム油、エポキシ化あまに油がより好ましい。
植物油の誘導体として、エポキシ化植物油を含有する場合、植物油中の全二重結合を100モル%として、エポキシ化植物油のエポキシ化率は10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。エポキシ化植物油のエポキシ化率が10モル%未満では、エポキシ化することによる効果がみられない傾向がある。
植物油またはその誘導体、水ならびに界面活性剤からなるエマルション中の植物油またはその誘導体の含有率は30重量%以上が好ましく、40重量%以上がより好ましい。植物油またはその誘導体の含有率が30重量%未満では、添加すべきエマルションの量が増大し、エポキシ化天然ゴムラテックス(ENRラテックス)を凝固処理させにくくなる傾向がある。また、植物油またはその誘導体の含有率は80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましい。植物油またはその誘導体の含有率が80重量%をこえると、安定なエマルションを作製しにくい傾向がある。
エマルションを作製する工程(a)において使用する水としては、イオン交換水および/または蒸留水が好ましく、イオン交換水がより好ましい。
植物油またはその誘導体、水ならびに界面活性剤からなるエマルション中の水の含有率は20重量%以上が好ましく、30重量%以上がより好ましい。水の含有率が20重量%未満では、安定なエマルションを作製しにくい傾向がある。また、水の含有率は70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましい。水の含有率が70重量%をこえると、添加すべきエマルションの量が増大し、ENRラテックスを凝固処理させにくくなる傾向がある。
エマルションを作製する工程(a)において使用する界面活性剤としては、油、水との親和性、エマルションの安定性などに優れるものを選択すればよいが、改質天然ゴムならびに植物油またはその誘導体を使用する場合、比較的少量で安定なエマルションを作製できるという理由から、非イオン系界面活性剤が好ましい。また、非イオン界面活性剤には曇点を有するものがあるが、凝固させやすく、ENRを凝固させる際に熱を与えて凝固するという理由から、曇点が比較的低い非イオン性界面活性剤が好ましい。ここで、曇点とは、非イオン性界面活性剤を加熱する際に、界面活性剤が水に不溶化する温度で、外観上は最初に曇りが生じ、混濁する温度のことをいう。
本発明で使用する非イオン系界面活性剤は、親水性部分(A)と親油性部分(B)とを有する。
親水性部分(A)としては、(−CH2−CH2−O−)のオキシエチレン鎖の繰り返し単位を有するポリオキシエチレン化合物が好適に使用される。
親水性部分(A)におけるオキシエチレン鎖の繰り返し単位数nは2以上が好ましく、4以上がより好ましく、5以上がさらに好ましい。親水性部分(A)のnが2未満では、水との親和性が不充分なため、界面活性効果が小さくなる傾向がある。また、親水性部分(A)のnは60以下が好ましく、40以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい。化合物(A)のnが60をこえると、油の乳化作用が不充分になり、安定なエマルションを作製できない傾向がある。
また、親油性部分(B)は、植物油との親和性が高いという理由から、アルキルエーテルおよび/またはアルケニルエーテルが好ましい。
アルキルエーテルとしては、たとえば、ラウリルエーテル、セチルエーテル、ステアリルエーテルなどがあげられるが、本発明で使用できるアルキルエーテルは、これらのみに限定されるものではない。また、炭素数の異なるアルキルエーテルをブレンドしてもよい。
また、アルケニルエーテルとしては、たとえば、オレイルエーテルがあげられる。
上記条件をみたす界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油があげられ、これらの界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記界面活性剤のうち、ソルビタン脂肪酸エステルとしては、たとえば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどがあげられる。
植物油またはその誘導体、水ならびに界面活性剤からなるエマルション中の界面活性剤の含有率は0.1重量%以上が好ましく、0.3重量%以上がより好ましい。界面活性剤の含有率が0.1重量%未満では、充分なエマルションの安定性が得られない傾向がある。また、界面活性剤の含有率は10重量%以下が好ましく、8重量%以下がより好ましい。界面活性剤の含有率が10重量%をこえると、界面活性剤がゴム中に残存しやすくなり、ゴムに吸水性を与えてゴム物性を低下させるうえに、コストも増大してしまう傾向がある。
工程(a)において、O/W型エマルションは通常の手法で作製できる。すなわち植物油またはその誘導体、界面活性剤ならびに水をホモジナイザーなどの高速撹拌装置によって混合し、水中に微細粒径の油を分散させことで作製することができる。
工程(a)における高速撹拌装置の回転数は1000rpm以上が好ましく、2000rpm以上がより好ましい。高速撹拌装置の回転数が1000rpm未満では、充分な微細粒径の油滴が得られない傾向がある。
工程(a)における高速撹拌装置による混合時間は3分以上が好ましく、5分以上がより好ましい。高速撹拌装置による混合時間が3分未満では、充分に安定なエマルションが得られない傾向がある。また、高速撹拌装置による混合時間は5時間以下が好ましく、3時間以下がより好ましい。高速撹拌装置による混合時間が5時間をこえると、撹拌し続けることによる効果がなく、生産性が低下する傾向がある。
工程(b)において、工程(a)で得られたエマルションと改質天然ゴムラテックスとを混合したのち、熟成させる。
ゴムラテックスとしては、改質天然ゴムラテックス以外にも、天然ゴムラテックス、NBR、SBRなどの合成ゴムラテックスなどがあげられるが、石油を消費することなく、1本の木から20年にわたって採取することができ、環境面に優れ、さらに、燃焼時に二酸化炭素が発生せず、さらに、タイヤに適した特性を有しているという理由から、改質天然ゴムラテックスを使用する。
改質天然ゴムラテックスとしては、たとえば、ENRラテックス、水素添加天然ゴムラテックス(H−NRラテックス)、マレイン酸変性天然ゴムラテックスなどの官能基付加型天然ゴムラテックスなどがあげられ、これらの改質天然ゴムラテックスは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、環境に配慮することも、将来の石油の供給量の減少に備えることもでき、さらに、混練り機によるせん断力が一切かからないので、分子鎖を長く保つことができることから、ENRラテックスが好ましい。
ENRラテックスとしては、天然ゴムラテックス(NRラテックス)に界面活性剤、蟻酸および過酸化水素を添加し、NR中の二重結合をエポキシ化して作製してもよいし、得られたENRラテックスは、通常の固形ゴムを作製する際には、高温の水蒸気を利用して凝固させ、その後、水に浸漬させて水溶性物質を抽出し、残存する酸を中和、乾燥して作製してもよい。
ENRのエポキシ化率は10モル%以上が好ましい。ENRのエポキシ化率が10モル%未満では、タイヤ用ゴムとして充分な性能を発揮できない傾向がある。また、ENRのエポキシ化率は60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましい。ENRのエポキシ化率が60モル%をこえると、タイヤの他の部材と接着しにくく、性能面でもバランスが悪化する傾向がある。
工程(b)において、通常の撹拌機を用いて、エマルションと改質したゴムラテックスとを混合することができる。
工程(b)における撹拌機の回転数は5rpm以上が好ましく、10rpm以上がより好ましい。撹拌機の回転数が5rpm未満では、充分な撹拌効果が得られない傾向がある。また、撹拌機の回転数は1000rpm以下が好ましく、800rpm以下がより好ましい。撹拌機の回転数が1000rpmをこえると、不必要に泡立ちが発生する傾向がある。
また、工程(b)における撹拌機による混合時間は10分以上が好ましい。混合時間が10分未満では、エマルションとラテックスとの撹拌効果が不充分になる傾向がある。
前記混合により得られた改質天然ゴムラテックスおよびエマルションの混合液は、さらに熟成させることが好ましい。ここで、熟成とは、オイルをゴムラテックスに吸収させることをいう。熟成時間は30分〜2日が好ましいが、95%以上のオイルが吸収されればよい。
さらに、工程(c)において、工程(b)により得られた混合物に水蒸気を通して凝固させる。
ENRとO/W型エマルションの混合物を凝固させる際には、ラテックスの凝固を助けるために、曇点の低い薬品を添加しても良い。
ENRとO/W型エマルションとの混合物が凝固した後は、その混合物を水に浸漬して水溶性物質を抽出し、ついで中和し、混合物を乾燥させて油展ゴムを作製する。
このように、本発明では、ゴムラテックスとして、改質天然ゴムラテックスを使用することで、タイヤとして相応しい性能を発揮できるという効果が得られる。
本発明の製造方法により得られる油展ゴムは、タイヤ用ゴム組成物などに用いられることが好ましい。
油展ゴムをゴム組成物に使用する場合、該油展ゴムは、シリカなどの補強用充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加硫剤、加硫促進剤など、一般的にゴム組成物の製造において使用される添加剤とともに使用されることが好ましい。そして、該添加剤と油展ゴムとを混練りし、さらに加硫することによってゴム組成物が得られる。
実施例にもとづいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
<エマルションの作製>
(エマルションAの作製)
大豆油50重量部(日清オイリオグループ(株)製の大豆白絞油)、イオン交換水46重量部およびポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製のエマルゲン105、n:5)4重量部を、ホモジナイザーにより6000rpmで1時間撹拌させ、エマルションAを作製した。
(エマルションBの作製)
オイルとして、エポキシ化大豆油を使用した以外はエマルションAと同様に、エマルションBを作製した。
参考例1、2、実施例3および比較例1〜4
<生ゴムシートの作製>
参考例1の生ゴムシートの作製)
エポキシ化天然ゴムラテックス(ゴム分:約30%、エポキシ化率:25モル%)を333.3重量部(うち、ゴム成分100重量部)およびエマルションA10重量部(うち、油分5重量部)を、通常の撹拌機により300rpmで30分間撹拌させることによって混合し、その後、室温で16時間放置して混合物を熟成させた。
つぎに、熟成させた混合物に対して、150℃の水蒸気を吹き込んで凝固させた。このようにして得られたゴムの水分を切って、さらに、純水に1時間浸漬した。その後、3%アンモニア水に5時間浸漬し、その後、表面に溝を切ったロールの間を通しながら水洗してシート状に成形し、50℃で3日間乾燥させることで、参考例1の生ゴムシートを作製した。
参考例2の生ゴムシートの作製)
エマルションAを30重量部含有した以外は、参考例1と同様に、参考例2の生ゴムシートを作製した。
(実施例3の生ゴムシートの作製)
エマルションとして、エマルションBを用いた以外は、参考例1と同様にして実施例3の生ゴムシートを作製した。
(比較例1の生ゴムシートの作製)
エポキシ化天然ゴムラテックスに対して、150℃の水蒸気を吹き込んで凝固させた。このようにして得られたゴムの水分を切って、さらに、純水に1時間浸漬した。その後、3%アンモニア水に5時間浸漬し、その後、表面に溝を切ったロールの間を通しながら水洗してシート状に成形し、50℃で3日間乾燥させることで、比較例1の生ゴムシートを作製した。
(比較例2の生ゴムシートの作製)
エポキシ化天然ゴムラテックス333.3重量部を通常の撹拌翼により、300rpmでゆっくり撹拌しながら、大豆油15重量部をゆっくり添加した。そして、大豆油の添加後、300rpmで24時間撹拌を続けた。さらに、その1時間後、添加した油の大半が分離してきたため、この分離した油を除去したうえで、参考例1と同様にゴムを凝固させて、シート状にして、比較例1の生ゴムシートを作製した。つぎに、熟成させた混合物に対して、150℃の水蒸気を吹き込んで凝固させた。このようにして得られたゴムの水分を切って、さらに、純水に1時間浸漬した。その後、3%アンモニア水に5時間浸漬し、その後、表面に溝を切ったロールの間を通しながら水洗してシート状に成形し、50℃で3日間乾燥させることで、比較例2の生ゴムシートを作製した。
(比較例3の生ゴムシートの作製)
比較例1で得たENR1000gを容量1.7Lの混練機を用いて、回転数77rpmおよび50℃の条件下で、2分間混練し、その後混練を続けながら徐々にと大豆油50gを添加した。この際、大豆油が完全に吸収されてトルクが上がるまで3分間以上要した。
(比較例4の生ゴムシートの作製)
大豆油を150g添加した以外は、比較例3と同様に、比較例4の生ゴムシートを作製した。この際8分経過しても大豆油が完全に吸収されず、試験を中断した。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300「未加硫ゴムの試験方法」に準じて、1分間の予熱によって熱せられた100℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での未加硫ゴム組成物のムーニー粘度を測定した。なお、ムーニー粘度が小さいほど、加工性に優れ、ムーニー粘度が60以下であれば、素練りが不要であることを示す。
(アセトン抽出)
生ゴムシートをアセトン中に96時間浸漬させ、浸漬前のゴムシートの重量に対する浸漬後の重量比率を算出し、アセトン抽出量を測定した。なお、アセトン抽出量は、実際に取り込まれたオイル量がわかる。
ムーニー粘度およびアセトン抽出の測定結果を表1に示す。
Figure 0004607042
アセトン抽出試験より、参考例1、2および実施例3では、添加した大豆油またはエポキシ化大豆油のほぼ全量がエマルションからENR中に移行し、均一に分散していることがわかる。
参考例1、2および実施例3の加硫ゴムシートの作製)
参考例1、2および実施例3の生ゴムシート(油展ENR)、シリカ(デグッサ社製のULTRASIL VN3)、大豆油(大豆白絞油)、エポキシ化大豆油、酸化亜鉛およびステアリン酸を、それぞれ表2に示す配合量添加して、バンバリーミキサーにて常法により混練りし、さらに、硫黄、加硫促進剤TBBS(N−tert−ブチルベンゾチアゾール−2−スルフェンアミド)および加硫促進剤ジフェニルグアニジンをそれぞれ表2に示す配合量添加して、オープンロールにて混練りした。その後、加硫をおこない、参考例1、2および実施例3の加硫ゴムシートを作製した。
(比較例5〜6の加硫ゴムシートの作製)
比較例1の生ゴムシート(ENR)を用い、バンバリーミキサーにて混練りする前に、ENRを2分間素練りした以外は参考例1、2および実施例3と同様に、比較例5および6の加硫ゴムシートを作製した。
(引張試験)
得られた加硫ゴムシートからダンベル3号サンプルを作製し、JIS K6251の引張試験法に基づいて、破断強度(TB)および破断時伸び(EB)を測定した。
(硬度)
デュロメータ(A型)硬度計を用いて、加硫ゴムシートの硬度(Hs)を測定した。
(摩耗試験)
ランボーン摩耗試験機を用いて、荷重2.5kg、スリップ率40%および試験時間2分間の条件下でランボーン摩耗量を測定した。さらに、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、比較例1のランボーン摩耗指数を100とし、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(比較例1の容積損失量)
÷(各配合の容積損失量)×100
加硫ゴムシートの試験の測定結果を表2に示す。
Figure 0004607042
ゴム硬度を同程度にした場合、参考例1、2および実施例3では、TB、EBおよび耐摩耗性に優れることがわかる。

Claims (8)

  1. (a)エポキシ化植物油を界面活性剤で乳化することにより水中油滴型エマルションを作製する工程、
    (b)該エマルションおよび改質天然ゴムラテックスを混合したのち熟成させる工程、および
    (c)工程(b)により得られた混合物を凝固させる工程を含む油展ゴムの製造方法。
  2. 改質天然ゴムラテックスが、エポキシ化率が10〜60モル%のエポキシ化天然ゴムラテックスである請求項1記載の油展ゴムの製造方法。
  3. エポキシ化植物油が、エポキシ化大豆油、エポキシ化パーム油およびエポキシ化あまに油からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載の油展ゴムの製造方法。
  4. 界面活性剤が、非イオン系界面活性剤である請求項1、2または3記載の油展ゴムの製造方法。
  5. 界面活性剤が、親水性部分(A)と親油性部分(B)とを有しており、
    該親水性部分(A)が、オキシエチレンの繰り返し単位を2〜40個有する請求項1、2、3または4記載の油展ゴムの製造方法。
  6. 界面活性剤の親油性部分(B)がアルキルエーテルまたはアルケニルエーテル構造である請求項5記載の油展ゴムの製造方法。
  7. 界面活性剤が、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレン硬化ヒマシ油からなる群から選ばれる少なくとも1種の界面活性剤である請求項1、2、3、4、5または6記載の油展ゴムの製造方法。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7記載の油展ゴムの製造方法により得られる油展ゴム。
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