JP4606789B2 - 軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法 - Google Patents

軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば家具類、寝具類、自動車の座席等を形成するクッション材に用いられる軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法に関するものである。
従来、密度25kg/m3以下の軟質ポリウレタン発泡体を製造する際に、発泡剤を水のみとした場合、水の添加量が増すことから発泡及び反応時における発熱温度が170℃以上に達する。このため、ポリウレタンの酸化劣化(スコーチ)に基づく自己発火の可能性があると共に、スコーチにより、得られる軟質ポリウレタン発泡体に着色が発生する。そのような事態を回避するために、従来の水の添加量のままで発泡助剤として塩化メチレンや液化炭酸ガスを添加することが知られている。
しかし、塩化メチレンは環境等に悪影響を与える物質の一つであって、使用が規制されている。一方、液化炭酸ガスによる発泡は、液化炭酸ガスを高圧で供給する専用の設備が必要であり、発泡を円滑に行うためには製造条件が限定されるうえに、製造コストも上昇する。そこで、吸熱を目的として、ポリエチレンパウダー等のポリオレフィンパウダーを添加する技術が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。
特表2002−532596号公報(第2頁) 特開平6−199973号公報(第2頁及び第3頁)
ところが、前記従来のポリオレフィンパウダーを添加する技術においては、発泡及び反応時における発熱温度の低下に対して効果が認められるが、発熱量を効果的に低減させるためにはポリオレフィンパウダーを増量させることが必要である。その場合、増量されたポリオレフィンパウダーにより、得られる軟質ポリウレタン発泡体の密度が高くなり過ぎると共に、圧縮残留歪等の物性が低下するという問題があった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、発泡及び反応時における発熱温度を効果的に低下させることができ、スコーチを抑制することができる軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項に記載の発明の軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法は、リオール、ポリイソシアネート、発泡剤としての水、並びに3級アミン、有機金属化合物、酢酸塩、及びアルカリ金属アルコラートから選ばれる触媒を含有するポリウレタン原料に対し、吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた状態で配合し、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に発泡させ、前記吸水性材料中に吸水されている水の蒸発によって前記発泡及び反応に基づく発熱温度を170℃以下に抑制する密度10〜25kg/m の軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法であって、前記吸水性材料は、(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂であり、前記発泡剤としての水の量は、ポリオール100質量部に対して5〜10質量部であり、前記吸水性材料に吸水される水の量は、前記発泡及び反応時に前記吸水性材料中の水がその表面に染み出して発泡剤として機能することがないように、ポリオール100質量部に対して1〜30質量部とするとともに、前記吸水性材料に対する質量比を5/3以下とすることを特徴とするものである。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる
請求項に記載の発明の軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法においては、ポリウレタン原料に対し、吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた状態で配合し、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に発泡させる。このため、発泡及び反応時において、吸水性材料中に吸水されている水の蒸発によって気化熱(蒸発熱)が奪われ、発泡及び反応に基づく発熱温度の上昇が抑制される。従って、発泡及び反応時における発熱温度を効果的に低下させることができ、その結果温度の高い部位と温度の低い部位とにおける色差を抑えることができ、得られる軟質ポリウレタン発泡体の着色を抑制することができる。
また、吸水性材料に吸水された水が発泡及び反応時に染み出すことない。
また、吸水性材料として(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂が用いられる。この(メタ)アクリル系吸水性樹脂は、吸水能力が高く、発泡及び反応時に水が染み出すことがないと共に、発熱によって蒸発しやすい。従って、(メタ)アクリル系吸水性樹脂中に保持されている水が発泡剤として機能することなく、発熱を効果的に抑制することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体は、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン原料を発泡及び反応させて得られるものである。得られた軟質ポリウレタン発泡体は、密度10〜25kg/m3、JIS K6400で規定された圧縮残留歪が5%以下、発泡及び反応時における温度の高い部位と温度の低い部位とにおける色差が5以下であり、かつ吸水性材料を含有するものである。ここで、色差は発泡及び加熱反応時における温度の高い部位と温度の低い部位におけるイエローインデックスの差(ΔYI)である。
この軟質ポリウレタン発泡体は密度が10〜25kg/m3の範囲にある低密度のものであり、クッション性が良く、軽量なものである。軟質ポリウレタン発泡体をこのような低密度にするためには、発泡倍率を40〜100倍という高発泡倍率にする必要がある。また、圧縮残留歪が小さく、クッション性が長期間に渡って持続される。更に、色差が小さいため、着色の点でも問題のないものである。また、JIS K6400で規定された硬さは90〜120Nであることが好ましい。圧縮残留歪が5%を越える場合又は硬さが120Nを越える場合には、軟質ポリウレタン発泡体が硬くなり過ぎてクッション性が低下したりするおそれがある。軟質ポリウレタン発泡体には吸水性材料が残留しているが、その吸水性材料は物性に影響を与えず、吸水性や吸着性を発揮できる場合がある。このような物性をもつ軟質ポリウレタン発泡体は、椅子、ソファー等の家具類、ベッド、マットレス、枕等の寝具類、自動車の座席等を形成するクッション材等として好適に用いられる。
このような物性を有する軟質ポリウレタン発泡体は以下のようにして製造される。すなわち、ポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤及び触媒を含有するポリウレタン原料に対し、吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた状態で配合し、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に発泡させることによって製造される。そして、発泡及び反応時における発熱による温度上昇を吸水性材料中に吸水されている水の蒸発によって抑制する。発泡及び反応時の温度が例えば170℃以上に上昇すると、発泡体に酸化劣化すなわちスコーチが起きて着色が発生する。この現象を吸水性材料中に含まれる水の蒸発による気化熱に基づいて抑制するのである。
まず、前記ポリウレタン原料について説明する。
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールが用いられる。これらのうち、ポリイソシアネートとの反応性に優れているという点と、ポリエステルポリオールのように加水分解をしないという点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。ポリエーテルポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、多価アルコールにプロピレンオキシドとエチレンオキシドとを付加重合させた重合体よりなるポリエーテルポリオール、それらの変性体等が用いられる。多価アルコールとしては、グリセリン、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとして具体的には、グリセリンにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたトリオール、ジプロピレングリコールにプロピレンオキシドを付加重合させ、更にエチレンオキシドを付加重合させたジオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール中のポリエチレンオキシド単位は10〜30モル%程度である。ポリエチレンオキシド単位の含有量が多い場合には、その分水酸基が多く含まれ、ポリイソシアネートとの反応性が高くなる。このポリオールは、原料成分の種類、分子量、縮合度等を調整することによって、水酸基の官能基数や水酸基価を変えることができる。
ポリエステルポリオールとしては、アジピン酸、フタル酸等のポリカルボン酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等のポリオールと反応させることによって得られる縮合系ポリエステルポリオールのほか、ラクトン系ポリエステルポリオール及びポリカーボネート系ポリオールが用いられる。
前記ポリオールと反応させるポリイソシアネートはイソシアネート基を複数個有する化合物であって、具体的にはトリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、これらの変性物等が用いられる。ポリイソシアネートのイソシアネートインデックスは100以下又は100を越えてもよいが、通常90〜130程度の範囲である。ここで、イソシアネートインデックスは、ポリオールの水酸基及び発泡剤としての水に対するポリイソシアネートのイソシアネート基の比を百分率で表したものである。
発泡剤はポリウレタン樹脂を発泡させて軟質ポリウレタン発泡体とするためのもので、例えば水のほかペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、炭酸ガス等が用いられる。発泡剤が水の場合には、軟質ポリウレタン発泡体の密度を10〜25kg/m3にするため、その配合量をポリオール100質量部に対して5〜10質量部とすることが好ましい。この配合量が5質量部未満では発泡量が少なく、軟質ポリウレタン発泡体の密度が25kg/m3を越える傾向となり、10質量部を越えると発泡及び反応時の温度上昇を制御することが難しくなる。
触媒はポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応を促進するためのものであり、具体的にはトリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N´,N´−トリメチルアミノエチルピペラジン等の3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が用いられる。ポリウレタン原料にはその他必要に応じて、整泡剤、架橋剤、充填剤、安定剤、着色剤、難燃剤、可塑剤等が配合される。整泡剤としては、シリコーン化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリエーテルシロキサン、フェノール系化合物等が用いられる。
そして、ポリウレタン原料を発泡及び反応させて軟質ポリウレタン発泡体を製造するが、その際の反応は複雑であり、基本的には次のような反応が主体となっている。すなわち、ポリオールとポリイソシアネートとの付加重合反応(ウレタン化反応)、ポリイソシアネートと発泡剤としての水との泡化反応及びこれらの反応生成物とポリイソシアネートとの架橋反応である。
次に、吸水性材料としては、(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、デンプン等の有機質吸水性材料や、ゼオライト、珪藻土、活性炭等の無機質吸水性材料が用いられる。尚、(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルの双方を意味する略号である。また、(メタ)アクリル酸単位は(メタ)アクリル酸を重合した後の残基を意味し、(メタ)アクリル酸塩単位は(メタ)アクリル酸塩を重合した後の残基を意味する。上記の(メタ)アクリル系吸水性樹脂について説明すると、(メタ)アクリル酸塩を形成する塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
この(メタ)アクリル系吸水性樹脂は、例えばアクリル酸を水媒体中で架橋剤の存在下に重合し、得られたゲル状重合体をアルカリ金属の水酸化物で中和することにより製造される。架橋剤としては、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物、エチレン性不飽和基と反応性官能基とを有する化合物、反応性官能基を2個以上有する化合物等が用いられる。この架橋剤として具体的には、N,N−メチレンビス(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル系吸水性樹脂の例としては、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋物〔三洋化成工業(株)製、アクアパール〕が挙げられる。このポリアクリル酸ナトリウムの架橋物は、吸水される水の量に応じて膨潤する。
吸水性材料に吸水される水の量は、ポリウレタン原料の発泡及び反応時に吸水性材料中の水がその表面に染み出して発泡剤として機能することがないように、前記ポリオール100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。この水の量が1質量部未満の場合にはポリウレタン原料の発泡及び反応時における発熱を抑制する効果が不十分であり、30質量部を越える場合にはポリウレタン原料の発泡及び反応時に水が吸水性材料の表面に染み出して発泡剤として機能するおそれがある。ポリウレタン原料に吸水性材料を配合する場合、吸水性材料の配合量は吸水性材料中に含まれる水の量を目安にして決定されるが、ポリオール100質量部に対して通常5〜40部である。
ポリオールとポリイソシアネートとのウレタン化反応を行なう場合には、ポリオールとポリイソシアネートとを直接反応させるワンショット法或はポリオールとポリイソシアネートとを事前に反応させて末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを得、それにポリオールを反応させるプレポリマー法のいずれも採用される。
このようにして得られる軟質ポリウレタン発泡体は、前記のように密度10〜25kg/m3、JIS K6400で規定された圧縮残留歪が5%以下、色差が5以下であり、かつ吸水性材料を含有するものとなる。
さて、軟質ポリウレタン発泡体を製造する場合には、例えばポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤としての水及びアミン触媒を含有するポリウレタン原料に対し、吸水性材料としてポリアクリル酸ナトリウムの架橋物をその吸水能力の範囲内で水を吸水させた状態で配合する。そして、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に、ポリイソシアネートと水とを反応させて発泡させることにより軟質ポリウレタン発泡体が製造される。
この製造過程において、発泡、反応時にはポリウレタン原料に混合され、膨潤しているポリアクリル酸ナトリウムの架橋物中に含まれる水は表面に染み出すことなく、発熱によりポリアクリル酸ナトリウムの架橋物中の水が蒸発し、その蒸発によって気化熱が奪われ、発泡体の温度上昇が抑えられる。このため、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋物中の水が発泡剤として機能することを避けることができる。それと共に、発泡及び反応時における発泡体の温度が、水を含むポリアクリル酸ナトリウムの架橋物を配合しないときに170℃以上に達するのに比べて、発泡及び反応時における温度を170℃以下に抑えることができる。従って、170℃以上の高温に晒されることで発生する発泡体のスコーチを抑制することができる。
以上の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 本実施形態の軟質ポリウレタン発泡体は、ポリウレタン原料に対し、吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた状態で配合し、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に発泡させることによって製造される。この製造過程において、発泡及び反応時には発熱によって吸水性材料中に含まれる水が蒸発し、その際に気化熱が奪われることから、発泡体の温度上昇が抑えられる。従って、発泡及び反応時における発熱温度を効果的に低下させ、発泡体のスコーチを抑制することができ、得られる軟質ポリウレタン発泡体の着色を抑えることができる。
・ また、吸水性材料として(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂は、吸水能力が高く、かつ加熱時における水の蒸発性が良好である。このため、ポリウレタン原料の発泡及び反応時に水が吸水性材料の表面に染み出して発泡剤として機能するおそれがない一方、発熱時に吸水性材料中の水が蒸発して気化熱が奪われることにより発泡体の温度上昇が抑えられる。よって、発泡及び反応時の発熱温度をより効果的に低下させ、発泡体のスコーチを抑制し、軟質ポリウレタン発泡体の着色を十分に抑えることができる。また、(メタ)アクリル系吸水性樹脂は吸水能力が高いため、配合量を少なくすることができ、それによる軟質ポリウレタン発泡体の物性に与える影響を少なくすることができる。
・ 更に、吸水性材料に吸水される水の量を、ポリオール100質量部に対して1〜30質量部に設定することにより、吸水性材料に吸水された水が発泡及び反応時に染み出して発泡剤として機能することがなく、上記の効果を十分に発揮することができる。
・ 上記のようにして得られた軟質ポリウレタン発泡体は、密度10〜25kg/m3、JIS K6400で規定された圧縮残留歪が5%以下、色差が5以下であり、かつ吸水性材料を含有するものである。従って、低密度で、圧縮残留歪が小さく、軟質ポリウレタン発泡体として良好な物性を発揮することができる。また、発泡及び反応時における温度の高い部位と温度の低い部位とにおける色差が少ないため、製品が前記温度の高い内部と温度の低い表面部との双方に渡る場合でも、着色による不具合を防止することができる。加えて、軟質ポリウレタン発泡体に存在する吸水性材料は、軟質ポリウレタン発泡体の物性には影響を与えず、吸水性材料中の水が蒸発してできた細孔により、吸水性や吸着性を発揮できる場合がある。
以下に、参考例、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態を更に具体的に説明する。
(参考例1)
吸水性材料として、ポリアクリル酸ナトリウムの架橋物(SAP)〔三洋化成工業(株)製、アクアパールA3、吸水率(吸水能力)は粉体に対して250質量%未満〕、シリカゲル〔富士シリシア化学(株)製、サイシリア470〕、アエロジル〔日本アエロジル(株)製、AEROSIL130〕、及びゼオライト〔(株)アクシーズケミカル製、平均粒子径200μm、吸水率(吸水能力、最大吸水率)は粉体に対して25質量%〕について、加熱時における水の保持率(放出率、%)を測定した。すなわち、各吸水性材料について、吸水率20%の水を吸水させ、その吸水性材料を100℃の恒温槽に入れて所定の経過時間(分)毎に吸水性材料中の水分量を測定した。そして、経過時間(分)と水の保持率(%)との関係を図1に示した。
図1において、△印はSAP、◇印はシリカゲル、□印はアエロジル及び○印はゼオライトの場合を示す。この図1に示すように、SAPは他の3つの吸水性材料に比べて水の保持率が最も低く、120分後には保持率10%以下にまで達する。言い換えれば、SAPは水の放出率が最も高いことがわかった。
(実施例1〜6及び比較例1〜5)
まず、各実施例及び比較例で用いた粉体について以下に示す。
粉体1: ポリエチレンパウダーのみ
粉体2: 水/ゼオライト(質量比)=5/10
粉体3: 水/ゼオライト(質量比)=2.5/10
粉体4: 水/SAP(質量比)=5/1
粉体5: 水/SAP(質量比)=5/5
粉体6: 水/SAP(質量比)=5/2
粉体7: 水/SAP(質量比)=5/3
粉体8: 水/SAP(質量比)=5/4
上記のポリエチレンパウダーは、平均粒子径50μmの低密度ポリエチレンパウダー〔三井化学(株)製〕である。ゼオライト及びSAPは参考例1で用いたものである。尚、水の蒸発熱は2259J/g、ポリエチレンパウダーの融解潜熱は198J/gであり、水の吸熱効果はポリエチレンパウダーより格段に優れていることがわかる。
そして、表1及び表2に示すポリオール、ポリイソシアネート、発泡剤、整泡剤及び触媒よりなるポリウレタン原料に、前記粉体を混合して混合物を調製した。実施例1〜6においては、吸水性材料としての粉体に水をその吸水能力の範囲内で加えて使用した。一方、比較例1では粉体を加えない例、比較例2では粉体のみを加えた例、更に比較例3、比較例4及び比較例5では粉体に吸水能力以上の水を加えて使用した例を示した。
これらの混合物を縦、横及び深さが各500mmの発泡容器内に注入し、常温、大気圧下で発泡させた後、加熱炉を通過させて加熱反応(硬化)させることにより軟質スラブ発泡体を得た。得られた軟質スラブ発泡体を切り出すことによってシート状のポリウレタン発泡体を製造した。このポリウレタン発泡体について、密度、硬さ、圧縮残留歪、最高発熱温度及び色差を以下の測定方法に従って測定した。それらの結果を表1及び表2に示した。表1及び表2における略号の意味を次に示す。
(測定方法)
密度(kg/m3)、硬さ(N)及び圧縮残留歪(%): JIS K6400に準じて行った。
最高発熱温度(℃): 発泡用容器の中央部に熱電対を差込み、発泡及び反応時において上昇した最も高い温度を示した。
色差: 発泡及び加熱反応時における温度の高い発泡体の部位(中央部)と温度の低い部位(側面部)について、色差計〔スガ試験機(株)製、SMカラーコンピューター SM−4〕により黄変度(白色度)を測定し、それらの色差(ΔYI)で示した。
(略号)
ポリオールGP3000: ポリエーテルポリオール、三洋化成工業(株)製、水酸基価56(mgKOH/g)
アミン触媒LV33: 中京油脂(株)製のアミン系触媒
シリコーン整泡剤 B8110: ゴールドシュミット社製
オクチル酸第1スズ MRH110: 城北化学工業(株)製
ポリイソシアネート T−80: 日本ポリウレタン工業(株)製、トルエンジイソシアネート
Figure 0004606789
Figure 0004606789
表1に示したように、実施例1〜6においては、発泡及び反応時における最高発熱温度を162℃以下に抑えることができ、色差を2.2以下に抑制することができた。従って、得られた軟質ポリウレタン発泡体は、密度が16.9〜18.1kg/m3という低密度で、硬さが95〜115Nで、かつ圧縮残留歪が3.3〜4.3%であった。一般に、マットレス等の家具類に用いられる軟質ポリウレタン発泡体ではスコーチの目安が5以下とされ、そのような基準を満たすことができた。また、圧縮残留歪は一般に5%以下であることが必要とされていることから、そのような基準を満たしていた。その理由は、発泡及び反応時における発熱により吸水性材料中の水が蒸発し、その蒸発に伴い気化熱が奪われて発熱温度が低下することに基づくものと推測される。
これに対し、表2に示したように、吸水性材料としての粉体を含まない場合(比較例1)には、最高発熱温度が182℃に達し、色差が9.1まで増大した。前記のように、色差の目安が5以下とされており、そのような基準を満たすことができなかった。粉体としてポリエチレンパウダーのみを加えた場合(比較例2)には、最高発熱温度が172℃に達し、色差が9.5まで増大すると共に、硬さが122Nで硬くなり、かつ圧縮残留歪が10.8%で歪が大きくなった。更に、粉体にその吸水能力以上の水を加えて使用した場合(比較例3〜5)には、最高発熱温度が179〜193℃に達し、色差が8.1〜10.2まで増大すると共に、圧縮残留歪が8.1〜10.2%で歪が大きくなった。これは、粉体の吸水能力以上に加えられた水が発泡剤として機能し、発泡が進行したためと考えられる。
尚、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 吸水性材料として、エチレン−ビニルアルコール共重合体、N−ビニルアミド重合体、ビニルアミン重合体、アルギン酸等を用いることも可能である。
・ 吸水性材料として、(メタ)アクリル系吸水性樹脂等の有機質吸水性材料と、ゼオライト等の無機質吸水性材料とを組合せて使用することも可能である。
・ 軟質ポリウレタン発泡体は、自動車のドアの内張り材、天井材等の自動車内装材、その他キルティング材等として使用することができる。
・ 吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた後、撹拌等により外部に出た水を濾過し、使用に供することもできる。
更に、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 更にJIS K6400で規定された硬さが90〜120Nであることを特徴とする軟質ポリウレタン発泡体。このように構成した場合には、クッション材等に用いられる軟質ポリウレタン発泡体として適切なものにすることができる。
水を含む吸水性材料を100℃に加熱したときの経過時間と水の保持率との関係を示したグラフ。

Claims (1)

  1. リオール、ポリイソシアネート、発泡剤としての水、並びに3級アミン、有機金属化合物、酢酸塩、及びアルカリ金属アルコラートから選ばれる触媒を含有するポリウレタン原料に対し、吸水性材料をその吸水能力の範囲内にて水を吸水させた状態で配合し、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させると共に発泡させ、前記吸水性材料中に吸水されている水の蒸発によって前記発泡及び反応に基づく発熱温度を170℃以下に抑制する密度10〜25kg/m の軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法であって、
    前記吸水性材料は、(メタ)アクリル酸単位又は(メタ)アクリル酸塩単位を主構成単位とする水不溶性の(メタ)アクリル系吸水性樹脂であり、
    前記発泡剤としての水の量は、ポリオール100質量部に対して5〜10質量部であり、
    前記吸水性材料に吸水される水の量は、前記発泡及び反応時に前記吸水性材料中の水がその表面に染み出して発泡剤として機能することがないように、ポリオール100質量部に対して1〜30質量部とするとともに、前記吸水性材料に対する質量比を5/3以下とすることを特徴とする軟質スラブポリウレタン発泡体の製造方法
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