JP4606690B2 - 光ディスク原盤露光装置および光ディスク原盤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクのプリピット形状を最適化する光ディスク原盤露光装置および光ディスク原盤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高密度、大容量の情報記録媒体として、一般に、光ディスクは広く利用されている。光ディスクにおいて、情報は、光ディスク表面に凹凸ピットあるいは磁気的特性の変化、結晶構造の変化などとして記録される。そして、これに光スポットを照射し、反射してくる光量あるいは偏光度の変化を検出することにより、情報を読み出している。
【0003】
記録、再生用光スポットをトラックに位置決めするための案内用グルーブやピット、トラック上の番地を示すアドレスピット、記録再生用のタイミングを決めるクロックピット、再生専用のデータを示すピットなど(グルーブおよびプリピット)の配列は、ディスク基板表面に、製造時に形成される。
【0004】
光ディスクは、基板成形用スタンパを用いたモールディングにより製造される。基板成形用スタンパには光ディスクの原盤が用いられる。この光ディスクの原盤には、製造する光ディスクのグルーブやプリピットに対応する形状部分(グルーブ部およびプリピット部)が形成されている。
【0005】
即ち、原盤のグルーブ部およびプリピット部の形状は、基板成形用スタンパを用いた射出成形により基板に転写される。
【0006】
そして、グルーブ部およびプリピット部の形状が転写された基板上に、反射膜および保護膜を成膜することにより、光ディスクが製造される。
【0007】
また、ガラス盤上にフォトレジストを成膜してベイキングを行った後、回転駆動させながら、レーザビームレコーダを用いて記録信号(パルス)に応じて露光し、その後、さらに現像液を用いて現像することにより、光ディスクの原盤は製造される。
【0008】
上述したようにして得られた光ディスクの表面に形成されたプリピット情報を再生するとき、ジッタが発生することがある。このジッタは、各種の長さのピットが存在することによる、各ピットの最適露光量からのずれに起因する。再生信号にジッタが増えることにより、エラーレートが悪化する。
【0009】
そこで、このジッタ特性を向上させるために、特開平10−334467号公報には、光ディスクの原盤を製造する際、露光に用いるレーザビームレコーダに入力されるパルス信号に関して、パルス立上り後の所定時間およびパルス立下り前の所定時間を除いた時間だけ、レーザビームによる露光量が低減される光ディスク原盤の製造方法について記載されている。
【0010】
また、特開平10−334468号公報には、光ディスクの原盤を製造する際、露光に用いるレーザビームレコーダに入力されるパルス信号に関して、パルス立上り後の所定時間Thおよびパルス立下り前の所定時間Ttを除いた期間だけ、基本クロックTより短い周期のパルス列でレーザビームによる露光が行われると共に、所定時間ThおよびTtが、基本クロックTの2倍または3倍とする光ディスク原盤の製造方法について記載されている。
【0011】
これにより、ピット中間部において平均光量が小さくなり、ピットエッジに対するピット中間部の露光による影響が減少する。
【0012】
従って、理論ピット長と実際のピット長との差が効果的に低減される。これにより、ジッタ特性の向上を図ることができる。
【0013】
なお、上記2つの公報に記載のレーザビームレコーダは、音響光学効果光変調器(AOM:acousto-optic modulator)から構成されている。
【0014】
また、従来、追記型や書き換え型ディスク用原盤において、グルーブ部およびプリピット部を同時に露光する際には、光変調器(レーザビームレコーダ)としてAOMを用いて、グルーブ部およびプリピット部のAOMへの入力電圧をそれぞれ別の値を取って形状の最適化を行う方法か、あるいは、2ビームを用い、グルーブ部とプリピット部とを別々のビームにて露光を行う方法が採用されていた。
【0015】
ところで、光変調器としてAOMを用いる場合、近年の高密度化に伴う信号パルスの高周波数化にAOMは対応ができない。
【0016】
また、2ビームを用いる方法では、両ビームの位置ずれに注意する必要があり、またビームを分けることでビーム強度が半減するので使用できるレジストに制限ができる。
【0017】
従って、ビーム強度を落とさず高周波数のピットを露光するには、電気光学光変調器(EOM:electro-optic modulator)を利用することが望ましい。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、1ビームにてグルーブ部およびプリピット部を同時に露光する際に、高周波数での変調に有利な光変調器としてEOMを用いると、その変調素子(例えばKDPなど)の特性制限から、入力電圧レベルを2段階にしか取れない。
【0019】
従って、上記特開平10−334467号公報に記載の方法では、光変調器としてAOMのかわりにEOMを用いたとしても、EOMへの入力電圧レベルが3段階になってしまうため、EOMからの出力信号が変動し、所望の信号にならない。
【0020】
また、上記特開平10−334468号公報に記載の方法では、グルーブ部およびプリピット部に対応するそれぞれのEOMへの入力信号の電圧レベルを一定にしなければいけないため、グルーブ部の最適形状となるパワーに設定するとピットが大きくなりすぎてしまう。このようなピットに基づいて情報を再生しても、良好な再生信号は得られない。
【0021】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、良好な再生信号を得ることができる光ディスク原盤露光装置および光ディスク原盤の製造方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、上記の課題を解決するために、レーザ光を出射する光源と、記録信号に対応し、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスを発生させる記録パルス発生手段と、記録パルスを補正して補正パルスとする補正パルス発生手段と、該補正パルスに基づいて上記レーザ光を変調する光変調手段とを備え、該変調されたレーザ光を用いて露光することにより、少なくとも光ディスクに形成するプリピットに対応するプリピット部を、光ディスクの原盤上に形成する光ディスク原盤露光装置において、上記補正パルス発生手段は、上記プリピット部に対応する記録パルスにおける電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、上記電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに、上記記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くすることを特徴としている。
【0023】
上記の構成によれば、プリピット部に対応する記録パルスについて、電圧レベルがハイである時間に基づき、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、上記電圧レベルがハイである期間を分割する分割処理(第1〜第3分割処理)を行った後、記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くする短縮処理を行うこととなる。
【0024】
従って、分割処理を行うことにより、プリピット部において、光ディスクのトラック方向の長さ(ピット長)、および、光ディスク面においてトラック方向とは垂直な方向の長さ(ピット幅)を調節(短く)することができる。また、短縮処理を行うことにより、さらにピット長を調節することができる。
【0025】
これにより、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、再生信号のエラーレートを小さくすることができる。
【0026】
また、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスに、上記分割処理および短縮処理を施すことで補正パルスとしていることにより、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる補正パルスとすることができる。
【0027】
従って、光変調手段は、電圧レベルが2値のみをとる補正パルスに基づいてレーザ光を変調することとなる。これにより、光ディスクのグルーブおよびプリピットに対応するグルーブ部およびプリピット部が混在する光ディスク原盤を露光して作製する際、例えば、光変調手段として、高周波数の変調に有利な電気光学光変調器(EOM)を用いることができる。
【0028】
このとき、電圧レベルのローレベルは光ディスク原盤上でレーザ光のパワーがゼロになる電圧値を設定し、ハイレベルは光ディスク原盤上でレーザ光のパワーが、グルーブが最適形状になる値となる電圧値を設定する。これにより、光ディスク原盤上に、光ディスクのグルーブおよびプリピットに対応するグルーブ部およびプリピット部を形成することができる。
上記の光ディスク原盤露光装置は、上記補正パルス発生手段が、上記プリピット部に対応する記録パルスを、電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、上記電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに、ピット長が最短であるプリピットを除くプリピットに対応する上記記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くすることが好ましい。
上記の光ディスク原盤露光装置は、ピット長が456nm以上であり684nm以下であるピットを形成する際に、上記補正パルス発生手段が、上記プリピット部に対応する記録パルスを、電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより上記電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに、ピット長が最短であるプリピットを除くプリピットに対応する上記記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くすることが好ましい。
【0029】
上記の光ディスク原盤露光装置は、光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間をTとし、nを整数とすると、電圧レベルがハイである時間が、nT以上、かつ、(n+1)T未満のとき、補正パルス発生手段が、電圧レベルがハイである期間をn個に分割することが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、ピット長が長いプリピットに対応する部分(電圧レベルがハイである時間が長い)ほど、多くに分割されることになる。従って、ピット長に応じて、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができる。
【0031】
これにより、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがより小さな光ディスクを提供することができる。
【0032】
上記の光ディスク原盤露光装置は、補正パルス発生手段は、分割された電圧レベルがハイである期間を、それぞれ、さらに2個以上に分割することが好ましい。
【0033】
上記の構成によれば、電圧レベルがハイである時間が、より数多く分割されることとなる。従って、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができる。
【0034】
これにより、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがさらに小さな光ディスクを提供することができる。
【0035】
上記の光ディスク原盤露光装置は、補正パルス発生手段が、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである期間において、電圧レベルがハイとなる周期が、基準クロック信号と同じになるように、電圧レベルがハイである期間を分割することが好ましい。
【0036】
上記の構成によれば、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができるとともに、電圧レベルがハイである期間を分割するときの制御を、より簡単にすることができる。
【0037】
これにより、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがさらに小さな光ディスクを提供することができる。
【0038】
上記の光ディスク原盤露光装置は、両所定時間が、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間に基づいて設定されることが好ましい。
【0039】
上記の構成によれば、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間の長さに応じて、両所定時間を設定することができる。
【0040】
従って、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間の長さに応じて、光ディスクのピット長を調節することができ、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができる。
【0041】
上記の光ディスク原盤露光装置は、第1所定時間と第2所定時間とが等しいことが好ましい。
【0042】
上記の構成によれば、記録パルスの電圧レベルがハイである時間の中心の相対的な時間の間隔を保持することができる。従って、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、再生信号のエラーレートを小さくすることができる。
【0043】
上記の光ディスク原盤露光装置は、光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する両所定時間が、他のプリピットに対応する両所定時間より短いことが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、ピット長が長いほど、そのプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間を短くすることができる。従って、ピット長が長いほど露光量が低減されることとなり、光ディスク原盤に形成されるプリピット部において、例えばピット幅が、所望のピット幅より大きくなることを防止することができる。
【0045】
即ち、ピット長が最短であるプリピット部に対する他のプリピット部の大きさにおける相対的な関係を最適化することができる。
【0046】
この結果、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。
【0047】
上記の光ディスク原盤露光装置は、光変調手段が、電気光学光変調器であることが好ましい。
【0048】
上記の構成によれば、ビーム強度を落とさず高周波数のピットを露光することができる。
【0049】
本発明の光ディスク原盤の製造方法は、記録信号に対応し、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスから生成された補正パルスに基づいてレーザ光を変調し、該変調されたレーザ光を用いた1つのビームスポットで露光することにより、少なくとも光ディスクに形成するプリピットに対応するプリピット部を、光ディスクの原盤上に形成する光ディスク原盤の製造方法において、上記プリピット部に対応する記録パルスにおける電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、上記電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに記録パルスにおいて電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを早くした補正パルスを用いることを特徴としている。
【0050】
上記の構成によれば、分割処理を行うことにより、プリピット部において、光ディスクのトラック方向の長さ(ピット長)、および、光ディスク面においてトラック方向とは垂直な方向の長さ(ピット幅)を調節することができる。また、短縮処理を行うことにより、ピット長を調節することができる。
【0051】
これにより、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがより小さな光ディスクを提供することができる。
【0052】
また、光ディスク原盤を製造する際、例えば、光変調手段として、高周波数の変調に有利な電気光学光変調器(EOM)を用いることができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0054】
図1は、本実施の形態に係る原盤露光装置(光ディスク原盤露光装置)の要部の構成を示す。同図に示すように、本光ディスク原盤露光装置は、光源10、レーザ出力安定化装置11、光変調器(光変調手段)12、ビームエキスパンダ13、対物レンズ14、スピンドル16、記録パターン発生器(記録パルス発生手段)17、制御回路(補正パルス発生手段)18、および、ミラー21・22・23を備え、ガラス盤20を露光する。ガラス盤20は、記録信号に基づいて露光されることにより、光ディスクの原盤となる。
【0055】
光ディスクの原盤には、後述する露光により、製造する光ディスクのグルーブやプリピットに対応する形状部分(グルーブ部やプリピット部)が形成される。
【0056】
光源10は、例えば、クリプトンイオンレーザ発信器などの光源であり、レーザ光を出射する。
【0057】
レーザ出力安定化装置11は、入力されたレーザ光の出力(レーザパワー)の安定化を図る。レーザ出力安定化装置11から出力されたレーザ光は、光変調器12に入力される。
【0058】
記録パターン発生器17は、記録信号に対応した記録パターン(記録パルス)E1を生成し、制御回路18に入力する。記録パターンE1の電圧レベルは、ハイおよびローの2値のみからなる。
【0059】
制御回路18は、電気光学光変調器(EOM:electro-optic modulator)である。制御回路18は、入力された記録パターンE1を補正して変調パターン(補正パルス)E2に変換し、光変調器12に入力する。
【0060】
光変調器12は、制御回路18からの変調パターンE2に応じて、入力されたレーザ光を変調し、ビームエキスパンダ13に入力する。
【0061】
ビームエキスパンダ13は、入力されたレーザ光の光径(ビーム径)を拡大する。
【0062】
対物レンズ14は、レーザ光をガラス盤20上に集光する。
【0063】
ガラス盤20は、光ディスクの原盤となるものであり、スピンドル16によって回転する。また、ガラス盤20は、ガラス基板15および感光膜19からなる。
【0064】
ミラー21・22・23は、入射するレーザ光を反射させる。
【0065】
次に、原盤露光装置の動作について説明する。
【0066】
まず、光源10からのレーザ光は、ミラー21で反射され、レーザ出力安定化装置11に導かれる。そして、レーザ出力安定化装置11において、レーザパワーの安定化が図られた後、レーザ光は、光変調器12に導かれる。
【0067】
一方、記録パターン発生器17において発生した記録パターンE1は、制御回路18に入力され、この制御回路18において、さらに、変調パターンE2に変換される。このとき、制御回路18では、記録パターンE1においてプリピット部に対応する原パルス(電圧レベルがハイである時間)を短パルスに分割し、分割された原パルスの前後を短くすることにより変調パターンE2に変換する。この、記録パターンE1から変調パターンE2への変換(補正)については、後に詳述する。
【0068】
そして、光変調器12ではこの変調パターンE2に応じて透過するレーザ光を変調する。
【0069】
その後、光変調器12から出射されたレーザ光は、ビームエキスパンダ13でビーム径を拡大された後、ミラーM22・23で反射され、対物レンズ14を通して、スピンドル16に取り付けられて回転されるガラス盤20の感光膜19に集光される。
【0070】
これにより、感光膜19が感光し(露光され)、さらに、現像を行うことによって、グルーブ部やプリピット部の形成された光ディスクの原盤が作製される。
なお、露光の際には、レーザ光のビームスポットは1つで用いられる。
【0071】
ここで、光ディスクの原盤(光ディスク原盤)の製造工程の一例について説明する。
【0072】
まず、直径150mm、厚さ1.2mmの石英ガラスからなるガラス基板15の表面が平滑になるように研磨する。そして、そのガラス基板15を、超純水およびイソプロピルアルコールで超音波洗浄した後、イソプロピルアルコールを用いて乾燥する。
【0073】
次に、反応性イオンエッチング装置のチャンバー内にガラス基板15を入れ、真空度2×10-3まで排気した後、O2ガスを導入し、アッシング処理を行う。このときのガス流量は100sccm(1.68875×10-1Pa・m3・S-1)、ガス圧力は3.7Pa、RF電力は200W、自己バイアス電圧は160V、アッシング時間は5分である。
【0074】
続いて、ガラス基板15上に、ヘキサメチルジシラザンを主成分とした前処理剤をスピンコートし、さらに、有機溶剤に溶かされたポジ型感光膜である感光膜19をスピンコートする。
【0075】
その後、ガラス基板15は、110℃のクリーンオーブン内で30分間ベーク処理を行い、感光膜19中の溶剤を乾燥除去する。ここでは、感光膜19の膜厚は約70nmとするが、一般的には30〜1000nmである。また、感光膜19として、PFi−94A6(住友化学工業株式会社製)を用いる。
【0076】
そして、ガラス基板15の表面に感光膜19が形成されたガラス盤20を、光源10から出射されるレーザ光を用いて露光する。この露光パターン、即ち変調パターンE2については、後述する。
【0077】
ここで、光源10は、波長351nmの紫外レーザ光を出射する。光変調器12は、信号応答速度が50MHzのものを採用する。ビームエキスパンダ13は、例えば直径が15mmで焦点距離が60mmと150mmの2個の平凸レンズを、210mm間隔でレーザ光に対して垂直に設置したもので構成する。また、レーザ光のビーム径は、例えば対物レンズ14の開口径に等しい3.6mmとする。対物レンズ14は、例えば焦点距離2mm、開口数(NA)0.9、開口径3.6mmのものを用いる。
【0078】
最後に、露光された感光膜19を現像することにより、光ディスクの原盤を作製することができる。ここで、現像に使用する現像液は、MP351DEVELOPER(シプレイ・ファーイースト株式会社製)を純水で6倍希釈したものを使用する。また、現像は、ガラス盤20をスピンドル16により回転させながら、60秒間ガラス基板15の表面に現像液をかけながら行う。
【0079】
以下、記録パターンE1および変調パターンE2について図2〜4に基づいて説明する。ここで、基準クロック信号の最短パルスを、基準長である1cbとする。
【0080】
記録パターンE1は、光ディスク原盤のグルーブ部とプリピット部に対応する記録パターンが混在している。ここで、光ディスク原盤のグルーブ部は、製造する光ディスクのグルーブに、光ディスク原盤のプリピット部は、製造する光ディスクのプリピットに対応する。記録パターンE1の電圧レベルは、図2〜図4に示すように、ハイおよびローの2値のみからなる。以下、プリピット部に対応する記録パターンE1のうち、電圧レベルがハイである部分、および、その立上り・立下りの部分を、原パルスという。
【0081】
記録パターンE1において光ディスク原盤のプリピット部に対応する部分は、原パルス1T・2T・3Tがランダムに配列して構成されている。また、原パルス1Tのパルス長は3cb、原パルス2Tのパルス長は6cb、原パルス3Tのパルス長は9cbとする。なお、原パルス1T・2T・3Tがこの順に並んでいる記録パターンE1を図2、原パルス1T・2Tがこの順に並んでいる記録パターンE1を図3・図4に示す。図2〜図4において、縦軸は電圧レベル、横軸は時間を示している。
【0082】
このとき、記録パターンE1の電圧レベルは2値のみであり、電圧レベルのローレベルは感光膜19上でレーザ光のパワーがゼロになる電圧値を設定し、ハイレベルは感光膜29上でレーザ光のパワーが、グルーブが最適形状になる値となる電圧値を設定する。
【0083】
制御回路18は、記録パターンE1における原パルスを補正することにより、変調パターンE2を生成する。以下、この補正処理(分割処理、短縮処理)について説明する。
【0084】
補正処理としては、図2に示すように、記録パターンE1の原パルスを分割することにより変調パターンE2aとしてから、さらに、原パルスの前後の部分に対応する部分を短くして変調パターンE2dとする。
【0085】
具体的には、変調パターンE2aは、記録パターンE1における原パルス2T・3Tをそれぞれ2分割・3分割し、分割された短パルスおよび原パルス1Tの立下がりをTOFF分の時間だけ早くすることにより生成される(第1分割処理)。
【0086】
即ち、プリピット部に対応する記録パターンE1を、電圧レベルがハイである時間(原パルスのパルス長)に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、電圧レベルがハイである時間を分割する。
【0087】
これにより、図2に示すように、変調パターンE2aにおいて原パルス1Tに対応するパルス(短パルス1Ta)は、原パルス1Tより立下りがTOFF早く、変調パターンE2aにおいて原パルス2Tに対応するパルスは、パルス1TaがTOFF間隔で2回繰り返され(短パルス2Taとなり)、変調パターンE2aにおいて原パルス3Tに対応するパルスは、パルス1TaがTOFF間隔で3回繰り返される(短パルス3Taとなる)こととなる。
【0088】
即ち、光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間(原パルス1Tに対応)をTとし、nを整数とすると、電圧レベルがハイである時間が、nT以上、かつ、(n+1)T未満のとき、制御手段18は、電圧レベルがハイである期間をn個に分割する。なお、上述した例では、n=2,3である。
【0089】
また、このとき、パルス間隔TOFFは、対応する各原パルス間で一定とする。そのため、原パルス1T・2T・3Tにおける各原パルス中心の相対的な時間間隔は、変調パターンE2aにおいても一定に保たれる。
【0090】
即ち、記録パターンE1の電圧レベルがハイである時間の中心の相対的な時間の間隔を保持することができる。
【0091】
また、図2に示すように、変調パターンE2dは、原パルスの前後の部分に対応する部分、即ち、変調パターンE2aにおける短パルス1Ta・2Ta・3Taにおける最初の立上りをTF(第1所定時間)遅らせ、かつ、最後の立下りをTR(第2所定時間)早くする(短縮処理)。ここでは、TF=TRとし、原パルス1Tに対応する短パルス1Taについては、TF=TR=0とする。
【0092】
なお、TFおよびTRは、各原パルス1T〜3Tにおいて任意に設定することができる。
【0093】
また、原パルス1T〜3T間で、各TFが等しく、かつ、各TRが等しい場合、あるいは各原パルス1T、2T、3TにおいてTF=TRとなる場合、原パルス1T〜3Tの中心の相対的な時間間隔は一定に保たれる。
【0094】
即ち、変調パターンE2dにおいても、記録パターンE1の電圧レベルがハイである時間の中心の相対的な時間の間隔を保持することができる。
【0095】
従って、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、再生信号のエラーレートを小さくすることができる。
【0096】
なお、TF=TRである場合、原パルス1TのTF(TR)<2T,3TのTF(TR)であることが好ましい。即ち、ピット長が長いほど、そのプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間を短くする。
【0097】
従って、ピット長が長いほど露光量が低減されることとなり、光ディスク原盤に形成されるプリピット部において、例えばピット幅が、所望のピット幅より大きくなることを防止することができる。
【0098】
即ち、ピット長が最短であるプリピット部に対する他のプリピット部の大きさにおける相対的な関係を最適化することができる。
【0099】
この結果、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。
【0100】
また、補正処理としては、図3に示すように、記録パターンE1の原パルスを分割することにより変調パターンE2bとしてから、さらに、原パルスの前後の部分に対応する部分を短くして変調パターンE2eとしてもかまわない。
【0101】
具体的には、変調パターンE2bは、記録パターンE1における原パルス1T・2Tをそれぞれ2分割・4分割し、分割された短パルスの立下がりをTOFF早くすることにより生成される(第2分割処理)。即ち、変調パターンE2bは、変調パターンE2aにおける短パルス1Ta・2Taを、それぞれ、さらにTOFF間隔をあけるように2分割したものである。
【0102】
これにより、図3に示すように、変調パターンE2bにおいて原パルス1Tに対応するパルスは、短パルス1Taをさらに2分割されたパルスがTOFF間隔で2回繰り返され、変調パターンE2bにおいて原パルス2Tに対応するパルスは、短パルス1Taをさらに2分割されたパルスがTOFF間隔で4回繰り返されることとなる。
【0103】
また、変調パターンE2eは、変調パターンE2dと同様、原パルスの前後の部分に対応する部分の最初の立上りをTF遅らせ、かつ、最後の立下りTR早くする(短縮処理)。
【0104】
なお、ここでは、パルス間隔TOFFは、各原パルス間で一定とする。また、TF=TRとし、原パルス1Tに対応するTF=TRについては、TF=TR=0とする。
【0105】
また、補正処理としては、図4に示すように、記録パターンE1の原パルスを分割することにより変調パターンE2cとしてから、さらに、原パルスの前後の部分に対応する部分を短くして変調パターンE2fとしてもかまわない。
【0106】
具体的には、変調パターンE2cは、記録パターンE1における原パルス1T・2Tをそれぞれ基準クロック信号に合わせて分割、即ち、1cb単位の短パルスに分割することにより生成される(第3分割処理)。即ち、電圧レベルがハイである時間が、基準クロック信号と同じになるように、電圧レベルがハイである時間をTOFF間隔で分割する。
【0107】
これにより、図4に示すように、変調パターンE2cにおいて原パルス1Tに対応する短パルスは、原パルス1Tより立下りがTOFF早く、また、基準クロック信号と同様、TOFF間隔で3回繰り返され、変調パターンE2cにおいて原パルス2Tに対応する短パルスは、原パルス1Tより立下りがTOFF早く、また、1cb単位の短パルスがTOFF間隔で6回繰り返されることとなる。
【0108】
また、変調パターンE2fは、変調パターンE2d・E2eと同様、原パルスの前後の部分に対応する部分、即ち、変調パターンE2cの原パルス1T・2Tに対応する短パルスにおける最初の立上りをTF遅らせ、かつ、最後の立下りTR早くする(短縮処理)。
【0109】
なお、ここでも、パルス間隔TOFFは、各原パルス間で一定とする。また、TF=TRとし、原パルス1Tに対応するTF=TRについては、TF=TR=0とする。
【0110】
図5(a)は、図4に示す記録パターンE1を光変調器12に入力したときに作製される光ディスク原盤上のプリピット部を示す図である。また、図5(b)は、図4に示す変調パターンE2fを光変調器12に入力したときに作製される光ディスク原盤上のプリピット部を示す図である。図5(a)・(b)では、原パルス1Tおよび2Tに対応するプリピット部のAFM画像を示す。
【0111】
ただし、変調パターンE2fとする際の第3分割処理の条件としてはTOFF=40nsとし、短縮処理の条件は、原パルス1Tに対応するTF・TRは、TF=TR=0ns、原パルス2Tに対応するTF・TRは、TF=TR=10nsとした。
【0112】
この結果、図5(a)に示す原パルス1Tに対応するプリピット部において、光ディスクのトラック方向の長さ(ピット長)は302nm、原パルス2Tに対応するプリピット部において、光ディスク面においてトラック方向とは垂直な方向の長さ(ピット幅)は272nmであった。
【0113】
一方、図5(b)に示す原パルス1Tに対応するプリピット部において、ピット長は228nm、原パルス2Tに対応するプリピット部において、ピット幅は213nmであった。
【0114】
このように、記録パターンE1を制御回路18に入力し、第3分割処理および短縮処理を施して変調パターンE2fに変換することにより、ピット幅およびピット長が適切に調整(補正)され、光ディスク原盤において、より小さいプリピット部を形成することができることがわかる。
【0115】
また、同様に、第1分割処理および短縮処理、あるいは、第2分割処理および短縮処理が施された変調パターンE2d・E2eを用いて露光を行っても、それぞれ、記録パターンE1を用いて露光を行った場合より、光ディスク原盤において、小さいプリピット部を形成することができることがわかった。
【0116】
図5(a)・(b)に示すプリピット部を用いて光ディスクを製造した場合に光ディスクに形成されたプリピットを、波長405nm、開口数(NA)=0.65の評価機にて再生パワー1.5mWで再生したときの再生信号を、それぞれ図6(a)・(b)に示す。ここで、縦軸は電圧レベル、横軸は時間である。
【0117】
この結果、記録パターンE1に第3分割処理および短縮処理を施すことにより、再生信号のシンメトリーのずれが小さくなり、シンメトリーが改善されていることがわかる。
【0118】
また、同様に、第1分割処理および短縮処理、あるいは、第2分割処理および短縮処理が施された変調パターンE2d・E2eを用いても、再生信号のシンメトリーの改善が可能であることがわかった。
【0119】
また、このように、分割処理および短縮処理を行うことにより、同じサイズのプリピット部を作成する際の露光のための投入パワーが、原パルスのときより大きくなるため、プリピット部の側壁のがたつきが抑制される。
【0120】
これにより、各プリピットの大きさのばらつきを抑えることができる。
【0121】
なお、第3分割処理は、原パルスを分割する際の制御に基準クロック信号に合わせるため、短パルス化の制御が第1・2分割処理よりも簡単であり、より好ましい。
【0122】
ここで、上述した補正処理を行った場合における再生信号のエラーレートについて説明する。
【0123】
図7に、図4に示す変調パターンE2fにおいて、原パルス2Tおよび3Tに対応するTF(=TR)を変化させたときの、変調パターンE2fを用いて作製された光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合に光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号のエラーレートを示す。ここで、縦軸はエラーレート、横軸はTF(=TR)である。TF(=TR)=0nsのときは、第3分割処理のみが行われたときを示すものである。
【0124】
この結果、TF(=TR)が大きくなるほど再生信号のエラーレートは小さくなった。これにより、短縮処理を行うことにより、プリピットにおける再生信号のエラーレートが良好になっていることがわかる。
【0125】
なお、上記原盤露光装置においては、感光膜19を露光して現像することにより光ディスク原盤にグルーブ部やプリピット部を形成するものについて記載したが、これに限定されるものではなく、例えば、感光膜19として露光によりグルーブ部やプリピット部が形成される材質のものを採用すれば現像は不要となる。
【0126】
また、光ディスク原盤ではなく、露光による変形や変質を伴って光ディスクそのものを製造する装置にも本発明は適用することができる。
【0127】
以上のように、本実施の形態の原盤露光装置は、レーザ光を出射する光源10と、記録信号に対応し、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パターンE1を発生させる記録パターン発生器17と、記録パターンE1を補正して変調パターンE2(E2d〜E2f)とする制御回路18と、変調パターンに基づいて上記レーザ光を変調する光変調器12とを備え、該変調されたレーザ光を用いて露光することにより、少なくとも光ディスクに形成するプリピットに対応するプリピット部を、ガラス盤20上に形成して光ディスク原盤を作製する。
【0128】
制御回路18は、プリピット部に対応する記録パターンE1における電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、電圧レベルがハイである期間を分割(変調パターンE2a〜E2c参照)し、さらに、記録パターンの電圧レベルがハイである期間(T1〜T3に対応)に対応する期間において、最初のパルス立上りをTF遅らせ、かつ、最後のパルス立下りをTR早くする。
【0129】
これにより、プリピット部に対応する記録パターンE1を、電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、電圧レベルがハイである期間を分割する分割処理(第1〜第3分割処理)を行った後、記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りをTF遅らせ、かつ、最後のパルス立下りをTR早くする短縮処理を行うこととなる。
【0130】
従って、分割処理を行うことにより、プリピット部において、光ディスクのトラック方向の長さ(ピット長)、および、光ディスク面においてトラック方向とは垂直な方向の長さ(ピット幅)を調節することができる。また、短縮処理を行うことにより、ピット長を調節することができる。
【0131】
これにより、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、再生信号のエラーレートを小さくすることができる。
【0132】
また、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスに、上記分割処理および短縮処理を施すことで補正パルスとしていることにより、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる補正パルスとすることができる。
【0133】
従って、光変調手段は、電圧レベルが2値のみをとる補正パルスに基づいてレーザ光を変調することとなる。これにより、光ディスクのグルーブおよびプリピットに対応するグルーブ部およびプリピット部が混在する光ディスク原盤を露光して作製する際、例えば、光変調手段として、高周波数の変調に有利な電気光学光変調器(EOM)を用いることができる。
【0134】
【発明の効果】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、以上のように、補正パルス発生手段が、プリピット部に対応する記録パルスにおける電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに、記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くする構成である。
【0135】
これにより、電圧レベルがハイである期間を分割する分割処理(第1〜第3分割処理)を行った後、記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くする短縮処理を行うこととなる。
【0136】
従って、分割処理を行うことにより、プリピット部において、ピット長および、ピット幅を調節することができる。また、短縮処理を行うことにより、ピット長をさらに調節することができる。
【0137】
この結果、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。従って、再生信号のエラーレートを小さくすることができる。
【0138】
また、光ディスクのグルーブおよびプリピットに対応するグルーブ部およびプリピット部が混在する光ディスク原盤を露光して作製する際、例えば、光変調手段として、高周波数の変調に有利な電気光学光変調器(EOM)を用いることができるといった効果を奏する。
【0139】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間をTとし、nを整数とすると、電圧レベルがハイである時間が、nT以上、かつ、(n+1)T未満のとき、補正パルス発生手段が、電圧レベルがハイである期間をn個に分割する構成である。
【0140】
これにより、ピット長が長いプリピットに対応する部分(電圧レベルがハイである時間が長い)ほど、多くに分割されることになる。従って、ピット長に応じて、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができる。
【0141】
この結果、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがより小さな光ディスクを提供することができるといった効果を奏する。
【0142】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、補正パルス発生手段が、分割された電圧レベルがハイである期間を、それぞれ、さらに2個以上に分割する構成である。
【0143】
これにより、電圧レベルがハイである時間が、より数多く分割されることとなる。従って、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができる。
【0144】
この結果、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがさらに小さな光ディスクを提供することができるといった効果を奏する。
【0145】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、補正パルス発生手段が、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである期間において、電圧レベルがハイとなる周期が、基準クロック信号と同じになるように、電圧レベルがハイである期間を分割する構成である。
【0146】
これにより、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができるとともに、電圧レベルがハイである期間を分割するときの制御を、より簡単にすることができる。
【0147】
これにより、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがさらに小さな光ディスクを提供することができるといった効果を奏する。
【0148】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、両所定時間が、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間に基づいて設定される構成である。
【0149】
これにより、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間の長さに応じて、両所定時間を設定することができる。従って、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間の長さに応じて、光ディスクのピット長を調節することができ、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状をより細かく最適化することができるといった効果を奏する。
【0150】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、第1所定時間と第2所定時間とが等しい構成である。
【0151】
これにより、記録パルスの電圧レベルがハイである時間の中心の相対的な時間の間隔を保持することができる。従って、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、再生信号のエラーレートを小さくすることができるといった効果を奏する。
【0152】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する両所定時間が、他のプリピットに対応する両所定時間より短い構成である。
【0153】
これにより、ピット長が長いほど、そのプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間を短くすることができる。従って、ピット長が長いほど露光量が低減されることとなり、光ディスク原盤に形成されるプリピット部において、例えばピット幅が、所望のピット幅より大きくなることを防止することができる。
【0154】
即ち、ピット長が最短であるプリピット部に対する他のプリピット部の大きさにおける相対的な関係を最適化することができる。
【0155】
この結果、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができるといった効果を奏する。
【0156】
本発明の光ディスク原盤露光装置は、光変調手段が、電気光学光変調器である構成である。
【0157】
これにより、ビーム強度を落とさず高周波数のピットを露光することができるといった効果を奏する。
【0158】
本発明の光ディスク原盤の製造方法は、プリピット部に対応する記録パルスにおける電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、電圧レベルがハイである期間を分割し、さらに記録パルスにおいて電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを早くした補正パルスを用いる構成である。
【0159】
これにより、光ディスク原盤におけるプリピット部の形状を最適化することができ、このような光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号において、ジッタおよびシンメトリーのずれを小さくすることができる。この結果、例えば、光ディスク原盤を用いて光ディスクを製造した場合、再生信号のエラーレートがより小さな光ディスクを提供することができる。
【0160】
また、光ディスク原盤を製造する際、例えば、光変調手段として、高周波数の変調に有利な電気光学光変調器(EOM)を用いることができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る原盤露光装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】記録パターンE1に、第1分割処理を施して変調パターンE2aとし、さらに、短縮処理を施して変調パターンE2dとした場合のパルス波形を示す図である。
【図3】記録パターンE1に、第2分割処理を施して変調パターンE2bとし、さらに、短縮処理を施して変調パターンE2eとした場合のパルス波形を示す図である。
【図4】記録パターンE1に、第3分割処理を施して変調パターンE2cとし、さらに、短縮処理を施して変調パターンE2fとした場合のパルス波形を示す図である。
【図5】(a)は、記録パターンE1を光変調器に入力した場合に光ディスク原盤に形成されるプリピット部を示す図であり、(b)は、変調パターンE2fを光変調器に入力した場合に光ディスク原盤に形成されるプリピット部を示すである。
【図6】(a)は、図5(a)に示すプリピット部を用いて光ディスクを製造した場合に光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号の波形を示す図であり、(b)は、図5(b)に示すプリピット部を用いて光ディスクを製造した場合に光ディスクに形成されたプリピットを再生したときの再生信号の波形を示す図である。
【図7】TFと再生信号のエラーレートとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光源
11 レーザ出力安定化装置
12 光変調器(光変調手段)
13 ビームエキスパンダ
14 対物レンズ
15 ガラス基板
16 スピンドル
17 記録パターン発生器(記録パルス発生手段)
18 制御回路(補正パルス発生手段)
19 感光膜
20 ガラス盤
21〜23 ミラー
E1 記録パターン(記録パルス)
E2 変調パターン(補正パルス)
Claims (8)
- レーザ光を出射する光源と、記録信号に対応し、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスを発生させる記録パルス発生手段と、記録パルスを補正して補正パルスとする補正パルス発生手段と、該補正パルスに基づいて上記レーザ光を変調する光変調手段とを備え、該変調されたレーザ光を用いて露光することにより、少なくとも光ディスクに形成するプリピットに対応するプリピット部を、光ディスクの原盤上に形成する光ディスク原盤露光装置において、
上記補正パルス発生手段は、上記プリピット部に対応する記録パルスを、電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより上記電圧レベルがハイである期間を基準クロック信号に同期した一定周期で分割し、かつ、上記ローとする時間は各記録パルス間で一定であり、さらに、ピット長が最短であるプリピットを除くプリピットに対応する上記記録パルスの電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを第1所定時間遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを第2所定時間早くすることを特徴とする光ディスク原盤露光装置。 - 光ディスクのトラック方向における長さが最も短いプリピットに対応する電圧レベルがハイである時間をTとし、nを整数とすると、
電圧レベルがハイである時間が、nT以上、かつ、(n+1)T未満のとき、上記補正パルス発生手段は、上記電圧レベルがハイである期間をn個に分割することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク原盤露光装置。 - 上記補正パルス発生手段は、電圧レベルがハイである上記分割された期間を、それぞれ、さらに2個以上に分割することを特徴とする請求項2に記載の光ディスク原盤露光装置。
- 上記補正パルス発生手段は、対応する上記記録パルスの電圧レベルがハイである期間において、電圧レベルがハイとなる周期が基準クロック信号と同じになるように、電圧レベルがハイである期間を分割することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク原盤露光装置。
- 上記両所定時間は、対応する記録パルスの電圧レベルがハイである時間に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク原盤露光装置。
- 上記第1所定時間と第2所定時間とは、等しいことを特徴とする請求項1に記載の光ディスク原盤露光装置。
- 上記光変調手段は、電気光学光変調器であることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク原盤露光装置。
- 記録信号に対応し、電圧レベルがハイおよびローの2値のみからなる記録パルスから生成された補正パルスに基づいてレーザ光を変調し、該変調されたレーザ光を用いた1つのビームスポットで露光することにより、少なくとも光ディスクに形成するプリピットに対応するプリピット部を、光ディスクの原盤上に形成する光ディスク原盤の製造方法において、
上記プリピット部に対応する記録パルスにおける電圧レベルがハイである時間に基づいて、電圧レベルがハイである時間のうちの一部をローとすることにより、上記電圧レベルがハイである期間を基準クロック信号に同期した一定周期で分割し、かつ、上記ローとする時間は各記録パルス間で一定であり、さらにピット長が最短であるプリピットを除くプリピットに対応する上記記録パルスにおいて電圧レベルがハイである期間に対応する期間において、最初のパルス立上りを遅らせ、かつ、最後のパルス立下りを早くした補正パルスを用いることを特徴とする光ディスク原盤の製造方法。
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