JP4606623B2 - タイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラム - Google Patents

タイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はタイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラムに関する。さらに詳しくは、たとえばサーキットを走行するレーシングカーにおいて、レースの日の路面状態に最適なスペックのタイヤを選定することができるタイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、サーキットの路面は、その日の天候、気温および日照時間だけでなく前日の天候や、レースが開催される前にどのような車両が走行したかによってもコンディションが変化する。このため、タイヤメーカーは、トレッドコンパウンドやタイヤ構造が異なるスペックのタイヤを数種類準備し、レースの日の路面状態(温度や汚れ具合など)に合わせて最も適していると思われるタイヤを選定している。このときの選定には、ラップタイムおよびその持続性やドライバーの走行感覚を判断基準としている。
【0003】
しかし、レース競技を目的とした車両用のタイヤ(レーシングタイヤ)の性能は、グリップ力とその持続性が代表的であるため、タイヤの選定には、ラップタイムでグリップ力を評価するとともに、ラップタイムの悪化で持続性を評価し、そこにドライバーフィーリングや車両データを加えて、総合的に判断される。
【0004】
また、サーキット走行におけるラップタイムの向上には、駆動力性能の寄与が大きいことが知られており、駆動輪のタイヤが車両の駆動力性能を充分発揮できるか否かが重要なポイントである。
【0005】
また、前記車両データには、エンジン回転やアクセル開度、区間タイム、加速度などさまざまなデータがあり、それらを分析し、組み合わせることでセッティングやタイヤの選定に利用している。
【0006】
なお、レーシングタイヤの性能評価に関しては、前記ラップタイムが最も有効な情報として使用されるが、このラップタイムには、車両のセッティングを含めた総合的な車両要因が含まれることはいうまでもない。
【0007】
以上のように、レーシングタイヤの選定には多くの要因があるため、レースの日のコンディションに最適なタイヤを選定するのが難しいとともに、不適切なタイヤを装着するおそれがある。
【0008】
そこで、タイヤ性能のみを評価し、レースの日のコンディションに最適なタイヤを選定できるような方法や装置が望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、叙上の事情に鑑み、サーキット走行におけるラップタイムの向上のための駆動力性能の観点から、駆動輪のタイヤのサーキット路面に対する摩擦係数の大小を評価することにより、路面を走行するのに適した最適なスペックのタイヤを客観的に選定するタイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のタイヤ選定装置は、車両に装着されるタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を検出する摩擦係数検出手段と、複数種類のタイヤを当該種類ごとに装着して路面を走行したときの摩擦係数に基づいて、当該路面を走行するのに適したタイヤを選定するタイヤ選定手段を備えてなることを特徴とする。
【0011】
また本発明のタイヤ選定方法は、車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する測定値から、スリップ比を演算する工程と、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める工程と、当該求められた関係式の傾きから、車両に装着されるタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を判定する工程と、複数種類のタイヤを当該種類ごとに装着して路面を走行したときの摩擦係数に基づいて、当該路面を走行するのに適したタイヤを選定する工程を備えていることを特徴とする。
【0012】
さらに本発明のタイヤの選定プログラムは、路面を走行するのに最適なタイヤを選定するためにコンピュータを、回転速度検出手段による測定値から、スリップ比を演算する第1演算手段、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める第2演算手段、該第2演算手段により求められた関係式から1次の回帰係数と相関係数を求め、該相関係数の値が設定値以上の場合、前記関係式の傾きである1次の回帰係数の値で摩擦係数を判定する判定手段、前記1次の回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積したのち、摩擦係数である1次の回帰係数の大小からタイヤを選定するタイヤ選定手段として機能させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ選定装置および方法、ならびにタイヤの選定プログラムを説明する。
【0014】
図1は本発明のタイヤ選定装置の一実施の形態を示すブロック図、図2は図1にかかわるタイヤ選定装置の電気的構成を示すブロック図、図3は路面μとスリップ比との関係を示す模式図、図4は本実施の形態にかかわるフローチャート、図5はタイヤの摩擦係数の判定値比と時間との関係を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ選定装置は、4輪車両のタイヤFL、FR、RLおよびRRにそれぞれ設けられた車輪タイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段1を備えており、この回転速度検出手段Sの出力は、ABSなどのコンピュータである制御ユニット2に伝達される。
【0016】
前記回転速度検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から回転速度を測定する車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から回転速度を測定するものを含む角速度センサなどを用いることができる。
【0017】
前記制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0018】
本実施の形態にかかわる装置では、車両に装着されるタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を検出する摩擦係数検出手段と、複数種類のタイヤを当該種類ごとに装着して路面を走行したときの摩擦係数に基づいて、当該路面を走行するのに適したタイヤを選定するタイヤ選定手段を備えている。前記制御ユニット2は、前記摩擦係数検出手段として、前記回転速度検出手段1による測定値から、スリップ比(前輪タイヤの車輪速度と後輪タイヤとの車輪速度の比)を演算する第1演算手段と、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める第2演算手段と、該第2演算手段により求められる関係式の傾きに基づいて、路面とタイヤとのあいだの摩擦係数μを判定する判定手段とを備えている。該摩擦係数判定手段には、前記該第2演算手段により求められる関係式の傾きと予め設定されたしきい値とを比較する比較手段を含んでいる。そして、本実施の形態におけるタイヤの選定プログラムは、制御ユニット2を、回転速度検出手段1による測定値から、スリップ比を演算する第1演算手段、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める第2演算手段、該第2演算手段により求められた関係式から1次の回帰係数と相関係数を求め、該相関係数の値が設定値以上の場合、前記関係式の傾きである1次の回帰係数の値で摩擦係数を判定する判定手段、前記1次の回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積したのち、摩擦係数である1次の回帰係数の大小からタイヤを選定するタイヤ選定手段として機能させる。
【0019】
ここで、レーシングタイヤに要求される性能には、大きい最大横力が得られるようにタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を大きくする必要があり、タイヤのグリップ力は、タイヤと路面のあいだの摩擦力で代表される。したがって、たとえばサーキットを走行するレーシングカーにおいて、種々のスペックのタイヤを装着し、それぞれのタイヤを装着した状態でのタイヤと路面のあいだの摩擦係数の大小を実走行状態から検出し、その摩擦係数の大小をタイヤごとに評価できれば適正なスペックのタイヤを選定することができる。
【0020】
なお、走行中のレーシングカーのタイヤと路面とのあいだの摩擦係数の大小を検出する方法としては、前記タイヤの回転速度(車輪速)を利用し、タイヤのスリップ比と車両の加減速度の関係から摩擦係数の大小を判別する方法以外に、当該タイヤのスリップ比と車両の加減速度を車両に搭載した各種センサの情報を利用して検出することができる。たとえば車両の加減速度とスリップ比の精度を上げるために加速度センサや速度センサを利用する方法、または検出に適した状態を保つためにハンドルの舵角やヨーレートセンサの情報を利用する方法がある。また、車輪回転速を用いずに車輪にかかる前後力と荷重をセンサで検出し、その関係から摩擦係数を算出して判別することもできる。
【0021】
本実施の形態では、前記4輪のタイヤの回転速度を0.1秒以下、好ましくは0.05秒以下で検出する。前記車両の加減速度はGセンサで測定することもできるが、4輪または従動輪の平均車輪速度から演算するのがコスト面から好ましい。
【0022】
ついで前記スリップ比および車両の加減速度を一定時間分のデータ、たとえば少なくとも0.1秒分以上のデータの平均値として、サンプリング時間ごとに移動平均化して求め、この移動平均された値(一定個数のスリップ比と車両の加減速度)を元に、該スリップ比と該車両の加減速度との関係式を求める。
【0023】
さらに前記移動平均されたスリップ比および車両の加減速度のデータ、たとえば少なくとも5個以上のデータを用いて、スリップ比と車両の加減速度との互いの1次の回帰係数と相関係数を求める。
【0024】
ついで前記相関係数の値が設定値以上の場合、該回帰係数を更新および保持し、該回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積する。そして実走行状態から検出した結果、数値が大きいほど摩擦係数が高いと判定し、路面を走行するのに適した最適なスペックのタイヤであると選定する。
【0025】
以下、本実施の形態の路面摩擦係数判定装置の動作を手順▲1▼〜▲6▼に沿って説明する。
【0026】
▲1▼車両の4輪タイヤFL、FR、RLおよびRRのそれぞれの回転速度から車輪速度(V1n、V2n、V3n、V4n)を算出する。
たとえば、ABSセンサなどのセンサから得られた車両の各車輪タイヤFL、FR、RL、RRのある時点の車輪速データを車輪速度V1n、V2n、V3n、V4nとする。
【0027】
▲2▼ついで従動輪および駆動輪の平均車輪速度(Vfn、Vdn)を演算する。
前輪駆動の場合、ある時点の従動輪および駆動輪の平均車輪速度Vfn、Vdnをつぎの式(1)、(2)により求められる。
Vfn=(V3n+V4n)/2 ・・・(1)
Vdn=(V1n+V2n)/2 ・・・(2)
【0028】
▲3▼ついで前記従動輪の平均車輪加減速度(すなわち車両の加減速度)Afnを演算する。
前記従動輪の平均車輪速度Vfnより1つ前の車輪速データから、平均車輪速度Afn-1とすると、従動輪の平均車輪加減速度Afnはそれぞれつぎの式(3)で求められる。
Afn=(Vfn−Vfn-1)/Δt/g ・・・(3)
ここで、Δtは車輪速データから算出される車輪速度VfnとVfn-1の時間間隔(サンプリング時間)であり、gは重力加速度である。前記サンプルング時間としては、データのばらつきを小さくし、かつ短時間で判別するためには、0.1秒以下である必要がある。より好ましくは、0.05秒以下である。
【0029】
▲4▼ついで前記車両の加減速度Afnの値に応じて、スリップ比を演算する。
まず、加速状態で、駆動輪がロック状態で車両が滑っているとき(Vdn=0、Vfn≠0)や、減速状態で、車両が停止状態で駆動輪がホイールスピンを起こしているとき(Vfn=0、Vdn≠0)は、起こり得ないものとして、スリップ比Snをつぎの式(4)、(5)から演算する。
Afn≧0およびVdn≠0である場合、
n=(Vfn−Vdn)/Vdn ・・・(4)
Afn<0およびVfn≠0である場合、
n=(Vfn−Vdn)/Vfn ・・・(5)
前記以外の場合は、Sn=1とする。
【0030】
▲5▼ついでスリップ比および車両の加減速度のデータをサンプリング時間ごとに移動平均化処理する。
実際の走行中の路面μは一定ではなく、刻々と変化するため、短時間で路面μを推定する必要がある。また直線回帰をする場合、一定以上のデータ数がなければ、得られた回帰係数の信頼性が劣る。そこで、単時間のサンプリング時間、たとえば数十msごとにデータをサンプリングし、このサンプリング時間で得られたばらつきの大きいデータを移動平均することにより、データの数を減らさずに、データのばらつきを小さくすることができる。
【0031】
スリップ比については、
MSn=(S1+S2+・・・+Sn)/N ・・・(6)
MSn+1=(S2+S3+・・・+Sn+1)/N ・・・(7)
MSn+2=(S3+S4+・・・+Sn+2)/N ・・・(8)
車両の加減速度については、
MAfn=(Af1+Af2+・・・+Afn)/N ・・・(9)
MAfn+1=(Af2+Af3+・・・+Afn+1)/N ・・・(10)
MAfn+2=(Af3+Af4+・・・+Afn+2)/N ・・・(11)
【0032】
▲6▼ついでスリップ比と車両の加減速度との互いの1次の回帰係数、すなわちスリップ比の車両の加減速度に対する回帰係数K1と車両の加減速度のスリップ比に対する回帰係数K2をそれぞれつぎの式(12)、(13)から求める。
【0033】
【数1】
Figure 0004606623
【0034】
【表1】
Figure 0004606623
【0035】
また、相関係数Rは、
R=K1×K2 ・・・(14)
となる。
【0036】
この相関係数は、設定値、たとえば0.6以上であれば、回帰係数K1の値を更新する。
【0037】
ここで、スリップ比と車両の加減速度との関係というのは、一般的なタイヤと路面のμ−s曲線と同じことで、タイヤと路面の関係(高μ状態R1、中μ状態R2、低μ状態R3)により図3のようになる。そして、前記回帰係数K1、K2とは、μ−s曲線の勾配を求めたものである。このμ−s曲線は、本来曲線であるが、実際の走行時に発生するスリップ比の範囲では、ほぼ直線となっている。すなわち、μ−s曲線は、y=aX+bという方程式で表わすことができる。このときの係数aが回帰係数(K1、K2)で、直線の勾配を意味している。ここで、yをスリップ比とするか、加速度とするかで、a=K1であったりa=K2であったりする。本実施の形態では、yをスリップ比としてK1の値で路面μを判定している。もちろん回帰係数K2からも路面μを判定することもできる。
【0038】
また、相関係数Rを求めている理由は、得られた回帰係数の値が適切であるか否かを判断するためである。すなわち、相関係数Rの値が大きい場合は、スリップ比と加速度のあいだに相関があり、得られた回帰係数は適切であるが、相関係数Rの値が小さい場合は、両者のあいだに相関がなく得られた回帰係数は不適切であるために、その値で路面μを判定しないようにする。
【0039】
つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0040】
【実施例】
本実施例では、回帰係数K1の値を摩擦係数の大きさの判定値として時系列で蓄積できるようにした。そしてタイヤ間の比較のために、基準タイヤで走行した際の回帰係数K1の値を基準値とし、その値との相対比較値を時系列のデータとして表示できるようにし、数値が大きいほど摩擦係数が高いことを示すようにした。
【0041】
サーキットを1周したことの判別は、光電式のトリガ装置(PIリサーチ社製のPIシステムに搭載されている光電式ビーコン装置)を用い、ピットウォールの特定の場所に取り付けた光電発信器と車両側に取り付けた受信機により、信号の授受を行なうようにした。
【0042】
このことにより、各周回ごとの摩擦係数の大きさの判定値の時系列のデータが得られる。
【0043】
つぎに鈴鹿サーキットを走行するレーシングカー(ポルシェ993 RSR)に装着し、つぎの3種類のスペックのタイヤA、B、Cについて、2000年8月25日の適正タイヤの選定を行なった。フロントタイヤのサイズは、260/640R18 SLICKであり、リヤタイヤのサイズは、290/675R18 SLICKである。
【0044】
スペックA(基準タイヤA);スペック名=D10(Hs=57@RT) (タイヤの縦バネ常数はフロント側で314N/mmであり、リヤ側で340N/mmである)
スペックB(タイヤB);コンパウンド変更 オイル成分15%増 (Hs=51@RT)
スペックC(タイヤC);構造変更(ケース角10度反ラジアル方向) (タイヤの縦バネ常数はフロント側で330N/mmであり、リヤ側で360N/mmである)
なお、車両セッティング条件はタイヤ評価中同一で、ガソリン量はタイヤ交換ごとに使用分を追加し、データ採取は連続走行した3ラップ目とした。
【0045】
つぎに図4に示されるように、回転速度検出手段から出力される車輪速パルスに基づいて、車輪速度を取り込み、40msごとの従動輪の平均車輪加減速度(車両の加減速度)および前後輪のスリップ比を計算した(スッテプS1、S2、S3)。ついで、従動輪の平均車輪加減速度および前後輪のスリップ比について、1秒分の25個のデータを平均化し、サンプリング時間(40ms)ごとに移動平均値として求めた(スッテプS4、S5)。そして移動平均された従動輪の平均車輪加減速度とスリップ比の50個分のデータでスリップ比の従動輪の平均車輪加減速度に対する1次の回帰係数K1を演算した(スッテプS6)。さらに、このときの相関係数Rを演算し(ステップ7)、この相関係数Rが0.6以上であれば回帰係数K1の値を更新し、保持した。
【0046】
ついでこの回帰係数K1の値を摩擦係数の大きさの判定値として時系列で蓄積し(ステップS8)、3種類のタイヤA、B、Cのうち、タイヤAを基準タイヤとして周回の時系列のデータ(平均値)の相対比を演算した(ステップS9)。基準タイヤAとタイヤB、Cとのデータを比較して、基準タイヤAより摩擦係数が大きいか否かを判断する(ステップS10、11)。
【0047】
前記タイヤA、B、Cで得られた摩擦係数の大きさの判定値の相対比(摩擦係数の判定値比)を図5に示す。図5から基準タイヤAに対しコンパウンドを柔らかく変更したタイヤBは、一部で交絡が見られるもののほとんどの部分で摩擦係数が高い。剛性を上げたタイヤCはコースのすべてで摩擦係数が低く、良くないことがわかる。
【0048】
このことにより、タイヤBが最適であることが本実施例により客観的に評価できた。
【0049】
さらに、各タイヤにおいて、連続周回ごとの各ラップの摩擦係数の大きさ(判定値)の推移を見れば、タイヤ性能の持続性の評価が行なえることは明らかである。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、サーキットを走行するレーシングカーにおいて、種々のスペックのタイヤを装着した状態でのタイヤと路面のあいだの摩擦係数の大小を実走行状態から検出し、その摩擦係数の大小によって、路面を走行するのに適した最適なスペックのタイヤを選定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤ選定装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】図1におけるタイヤ選定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】路面μとスリップ比sとの関係を示す模式図である。
【図4】本実施の形態にかかわるフローチャートである。
【図5】タイヤの摩擦係数の判定値比と時間との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 回転速度検出手段
2 制御ユニット
FL、FR、RL、RR タイヤ

Claims (7)

  1. 車両に装着されるタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を検出する摩擦係数検出手段と、複数種類のタイヤを当該種類ごとに装着して路面を走行したときの摩擦係数に基づいて、当該路面を走行するのに適したタイヤを選定するタイヤ選定手段を備えてなるタイヤ選定装置であり、
    前記摩擦係数検出手段が、車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する回転速度検出手段と、該回転速度検出手段による測定値から、スリップ比を演算する第1演算手段と、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める第2演算手段と、該第2演算手段により求められた関係式の傾きから摩擦係数を判定する判定手段からなるタイヤ選定装置
  2. 前記判定手段が、前記関係式から1次の回帰係数と相関係数を求め、該相関係数の値が設定値以上の場合、前記関係式の傾きである1次の回帰係数の値で摩擦係数を判定する請求項記載のタイヤ選定装置。
  3. 前記タイヤ選定手段が、前記1次の回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積したのち、摩擦係数である1次の回帰係数の大小からタイヤを選定する請求項記載のタイヤ選定装置。
  4. 車両の4輪のタイヤの回転速度を定期的に検出する測定値から、スリップ比を演算する工程と、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める工程と、当該求められた関係式の傾きから、車両に装着されるタイヤと路面とのあいだの摩擦係数を判定する工程と、複数種類のタイヤを当該種類ごとに装着して路面を走行したときの摩擦係数に基づいて、当該路面を走行するのに適したタイヤを選定する工程を備えているタイヤ選定方法。
  5. 前記関係式を求めるに際し、移動平均されたスリップ比と車両の加減速度のデータを用いて、スリップ比と車両の加減速度との互いの1次の回帰係数と相関係数を求め、該相関係数の値が設定値以上の場合、前記関係式の傾きである1次の回帰係数の値で摩擦係数を判定する請求項記載のタイヤ選定方法。
  6. 前記1次の回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積したのち、摩擦係数である1次の回帰係数の大小からタイヤを選定する請求項記載のタイヤ選定方法。
  7. 路面を走行するのに最適なタイヤを選定するためにコンピュータを、回転速度検出手段による測定値から、スリップ比を演算する第1演算手段、該スリップ比と車両の加減速度との関係式を求める第2演算手段、該第2演算手段により求められた関係式から1次の回帰係数と相関係数を求め、該相関係数の値が設定値以上の場合、前記関係式の傾きである1次の回帰係数の値で摩擦係数を判定する判定手段、前記1次の回帰係数の値を時系列のデータとして蓄積したのち、摩擦係数である1次の回帰係数の大小からタイヤを選定するタイヤ選定手段として機能させるためのタイヤの選定プログラム。
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