JP4605983B2 - タイヤトレッド用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジエン系ゴム組成物に、特定のチタン酸カリウム繊維、特定のチウラム系加硫促進剤および特定のカーボンブラックの所定量を配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ウェットグリップ性能向上のため、シリカおよびシリカに代わるフィラー(水酸化アルミニウムなど)が種々検討されている。シリカ配合では、性能向上は見込めるが、混合時の温度制御が難しいことや加工性が良くないことが欠点である。一方、水酸化アルミニウムなどのシリカに代わるフィラーについては、性能上シリカを凌駕するものではない。また、特開平9−132677号公報および特開2002−20537号公報には、一般ゴム用のカーボンブラックやシリカ以外の代替充填剤として、水酸化アルミニウムなどと共にチタン酸カリウム繊維等を配合できることが開示されているが、その具体的使用態様については一切明らかにされておらず、ましてや、当該チタン酸カリウムのタイヤトレッド用ゴム組成物への充填剤としての有効性については全く開示するところがない。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−132677号公報
【特許文献2】
特開2002−20537号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、従来のシリカに代えて特定のチタン酸カリウム繊維を充填剤として用い、これに特定のチウラム系加硫促進剤と特定のカーボンブラックとを組合せ配合することにより、タイヤトレッド用ゴム組成物におけるウェットグリップ性能を特段に向上させることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に、
(a)一般式:K O・nTiO で示される平均繊維長1〜30μmの白色針状チタン酸カリウム繊維を1〜30重量部、
(b)下式で示されるチウラム系加硫促進剤0.2〜3.0重量部、
【化1】
Figure 0004605983
(式中、R 1 は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R 2 は、芳香族炭化水素基であり、R 3 は、水素、炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)および
(c)CTABが110以上、24M4DBPが95以上のカーボンブラックを50〜150重量部
配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物が提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明では、タイヤトレッド用のジエン系ゴム成分に、特定の平均繊維長1〜30μmのチタン酸カリウム繊維を1〜30重量部配合し、更に、特定のチウラム系加硫促進剤を0.2〜3.0重量部、および特定のカーボンブラックを50〜150重量部配合すると、特に、加工が容易で、ウェットグリップ性能の格段に優れたタイヤトレッド用ゴム組成物が得られることを見出したものである。
【0008】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、慣用のジエン系ゴム成分が使用され、具体的には、例えば、天然ゴム(NR)、各種ブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等が単独で、あるいは2種以上のブレンドとして用いられる。
【0009】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物に用いられるチタン酸カリウム繊維は、一般式 K2O・nTiO2 で示される白色針状結晶のうち、その繊維長が1〜30μm、好ましくは、1〜20μmのものが有効に使われる。かかるチタン酸カリウム繊維は、例えば「ティスモ−D」または「ティスモ−N」(いずれも商品名である)等として大塚化学(株)から市販され、入手可能である。当該チタン酸カリウム繊維の繊維長が1μm未満のものは入手が困難であり、また30μmを超えると分散性が悪化するので好ましくない。また、当該チタン酸カリウム繊維の配合量は、ゴム成分100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜20重量部とすることが重要である。この配合量が1重量部未満では、所期の効果が得られず、また30重量部を超えると、所望の混合加工性および充填剤分散性が得られないので適当でない。
【0010】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物では、ジエン系ゴム100重量部に、上記所定量の特定のチタン酸カリウム繊維と、以下の式:
【化2】
Figure 0004605983
式中、R1は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R2は、芳香族炭化水素基であり、R3は、水素、炭化水素基または芳香族炭化水素基である、
で示されるチウラム系加硫促進剤0.2〜3.0重量部、好ましくは0.2〜2.0重量部とを組合せ使用すると、本発明の効果を向上させることができる。当該加硫促進剤の配合量が0.2重量部未満では、所望のウェットグリップ性能が得られず、また3.0重量部を超えると、加硫速度が速くなり過ぎて加工性が悪化する。
【0011】
更に、本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物では、ジエン系ゴム100重量部に、上記所定量の特定のチタン酸カリウム繊維と上記所定量の特定のチウラム系加硫促進剤と、更に、CTABが110以上で、かつ24M4DBPが95以上のカーボンブラック50〜150重量部、好ましくは50〜110重量部とを組み合せ使用すると、本発明の効果を格段に向上させることができる。当該カーボンブラックのCTABが110未満および/または24M4DBPが95未満では、所望の顕著な性能が得られない。
【0012】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物には、前記した成分に加えて、通常の加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用に配合されている各種添加剤が、従来の一般的な配合量として適宜配合されて用いられる。かかる配合物は、一般的な方法で混練、架橋してゴム組成物とし、本発明のタイヤトレッド部材とすることができる。
【0013】
【実施例】
以下、実施例、参考例および比較例によって本発明を更に説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実施例によって限定するものでないことは言うまでもない。
【0014】
試験サンプルの作製
加硫促進剤と硫黄を除く表1に記載の成分を1.8Lの密閉型ミキサーで3〜5分間混練し、160±5℃に達したときに放出したマスターバッチに加硫促進剤と硫黄を添加して8インチのオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。この組成物を金型中で160℃、20分間プレス加硫して目的とする試験サンプルを作製した。
【0015】
試験および評価方法
1)ウェットスキッド抵抗:ブリティッシュ・ポータブル・スキッドテスターを用いて、室温(25℃)の条件下で測定し、比較例を100として指数表示した。数値は大きい程、ウェットグリップ性能が優れていることを示す。
2)混合加工性:1.8Lの密閉型ミキサーにおいて充填剤を投入したときの取り込まれるまでの所要時間(最大トルクが得られるまでの時間)を測定し、以下の基準によって評価した。
○:比較例1と同等で問題ないもの
×:比較例1よりも取込時間が30秒以上長く、好ましくないもの
3)充填剤分散性:ウェットスキッド抵抗測定用試験サンプルを長さ方向に対して垂直に切断し、断面を目視にて観察し、以下の基準によって評価した。
○:充填剤の不良分散塊がなくて良好なもの
△:不良分散塊が数箇所見られるもの
×:不良分散塊が目立ち、明らかに分散状態が良くないもの
【0016】
実施例1〜2、参考例1〜3および比較例1〜3
結果を、以下の表1に示す。
【表1】
Figure 0004605983
【0017】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、ジエン系ゴム100重量部に、所定のチタン酸カリウム繊維充填剤、所定のチウラム系加硫促進剤および所定のカーボンブラックをそれぞれ所定量配合すれば、混合加工性および充填剤分散性に優れ、かつウェットスキッド特性に格別な性能を有するゴム組成物が得られる。よって、当該ゴム組成物は、タイヤトレッド用ゴム組成物として極めて有用である。

Claims (1)

  1. ジエン系ゴム100重量部に、
    (a)一般式:KO・nTiOで示される平均繊維長1〜30μmの白色針状チタン酸カリウム繊維を1〜30重量部、
    (b)下式で示されるチウラム系加硫促進剤0.2〜2.0重量部
    Figure 0004605983
    (式中、R1は、炭素数1〜3のアルキレン基であり、R2は、芳香族炭化水素基であり、R3は、水素、炭化水素基または芳香族炭化水素基である。)、及び
    (c)CTABが110以上、24M4DBPが95以上のカーボンブラックを50〜150重量部
    配合してなるタイヤトレッド用ゴム組成物。
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