JP4605575B2 - 電子装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばイオンやオゾンを発生させる電極がケーシングの開口に、この開口を閉塞するように取り付けられた電子装置およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の電子装置では、ケーシングの開口に取り付けられる電子部品とケーシング内の基板とを電気的に接続する必要がある。ただし、ケーシングの開口に電子部品を装着した後では、基板に対するハンダ付け等の作業を行うことができない。そこで、電子部品の裏面に予め単線のリード線をハンダ付けしておき、このリード線を基板にハンダ付けした後、電子部品を開口に取り付けている。
【0003】
ところで、リード線は被覆されていないので、電子部品を開口に取り付けた後、ケーシング内でリード線同士がショートし、あるいはリード線が基板に接触してショートすることを防止しなければならない。そのため、従来は電子部品の裏面に適宜突起を形成しておき、リード線をこれらの突起にからげて電子部品の裏面に固定すると共に、電子部品から延設されるリード線の長さが最小になるようにしている。
【0004】
このようにして電子部品と基板とを電気的に接続した後、電子部品で開口を閉塞し、さらに少なくとも電子部品と基板との間に形成される空間にウレタン等の樹脂を注入し空間にこの樹脂を充填している。なお、ウレタン樹脂は加熱することによって硬化反応が促進される。そのため、ウレタン樹脂を注入した後加熱炉内に電子装置を投入し、60℃程度の雰囲気で1時間ほど放置し、ウレタン樹脂を硬化させている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−45611号公報(図1、図8)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されている従来の電子装置では、電子部品を開口に取り付ける際に、リード線を電子部品の裏面にからげて固定するという、きわめて煩雑な作業を行わなければならず、作業工数が多くなる。
【0007】
また、からげかたが悪いとリード線同士がショートするおそれが生じる。また、からげられた部分から基板までのリード線は固定されていないので、樹脂を充填する際に樹脂に押されてリード線が動いてショートするおそれもある。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、電子部品をケーシングに取り付ける際にショートするおそれのない電子装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明による電子装置は、開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に基板が取り付けられると共に、上記開口を閉塞するように取り付けられる電子部品とこの基板とが電気的に接続され、さらに、少なくとも基板と電子部品との間に絶縁性の樹脂が充填されている電子部品において、上記電子部品の裏面に、この電子部品と基板とを連結する連結ピンを設けると共に、電子部品を開口に取り付けた状態でこの連結ピンの先端が基板の所定の接続口に挿入され、接続口の周囲の電極と連結ピンとが相互にハンダ付けされ、さらに、ケーシングの周壁のうち、接続口に対向する部分が開放されており、この開放された部分を、この開放された部分まで上記絶縁性の樹脂を充填することにより閉鎖したことを特徴とする。
【0010】
電子部品をケーシングの開口に取り付けても、ケーシングの開放された部分から接続口を覗くことができる。そしてさらにこの開放された部分からハンダ付け工具を挿入して、接続口の周囲の電極と連結ピンとをハンダ付けすることができる。この開放された部分は電子部品と基板との間に充填される樹脂で閉鎖される。
【0011】
この電子装置は、例えばケーシング内に昇圧コイルを備えており、上記電子部品はこの昇圧コイルで昇圧された高圧電力が印加されることによってイオンまたはオゾンを発生させる電極である。
【0012】
上記充填する樹脂はウレタン樹脂でもよいが、加熱されると溶融するホットメルト樹脂を用いると、樹脂を充填した後10秒から20秒程度で硬化するので、従来のウレタン樹脂を使用する場合に比べてタクトタイムを大幅に短縮することができる。
【0013】
なお、ケーシングの開放された部分を上記絶縁性の樹脂で閉鎖する場合には、この絶縁性の樹脂はケーシングの開放された部分から充填すればよい。
【0014】
また、ケーシングの開放された部分を上記別途の板部材で閉鎖する場合には、この絶縁性の樹脂は電子部品の一部に開設された充填口から充填すればよい。
【0015】
上記課題を解決するために本発明による電子装置の製造方法は、開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に基板を取り付け、そのあと、上記開口を閉塞する電子部品とこの基板とを電気的に接続すると共に電子部品を開口に取り付け、さらに、少なくとも基板と電子部品との間に絶縁性の樹脂を充填する電子部品の製造方法において、上記電子部品の裏面に、この電子部品と基板とを連結する連結ピンを接続し、電子部品を開口に取り付ける際に、連結ピンの先端を基板の所定の接続口に挿入し、ケーシングの周壁のうち、接続口に対向する部分に設けられた開放部分からハンダ付け工具を挿入して接続口の周囲の電極と連結ピンとを相互にハンダ付けしたあと、ケーシングの開放された部分を上記絶縁性の樹脂で閉鎖したことを特徴とする。
【0016】
例えばケーシング内に昇圧コイルを備え、上記電子部品はこの昇圧コイルで昇圧された高圧電力が印加されることによってイオンまたはオゾンを発生させる電極である。
【0017】
上記絶縁性の樹脂は加熱されると溶融するホットメルト樹脂であることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1を参照して、1は本発明による電子装置であるイオン発生器である。このイオン発生器1は射出成型により形成された樹脂製のケーシング2内に収納されている。このケーシング2には図において上方に開口する開口20が形成されている。この開口20には保持板31に保持された電子部品である電極板3が取り付けられている。開口20はこの電極板3と保持板31とによって閉塞されている。
【0020】
本実施の形態では、ケーシング2の側面に開放部4を形成した。この開放部4は樹脂5で閉鎖されているが、樹脂5がケーシング2内に充填される前の時点では、この開放部4を介してケーシング2の内部を覗くことができる。
【0021】
図2を参照して、ケーシング2内には開口20から所定距離内側に位置して基板21が取り付けられている。この基板21の下方には昇圧コイルLがセットされエポキシ樹脂Pによってケーシング2内に密封されている。そして、入力端子INから供給される低圧電力をこの昇圧コイルLで高圧電力に昇圧して基板21から電極板3に供給するように構成されている。
【0022】
図3を参照して、電極板3の裏面には端子3aがプリントされている。保持板31にはこれら端子3aに対応してL字状の連結ピン32が固定されている。電極板3を保持板31の所定位置にセットすると、連結ピン32の基端32aと端子3aとが各々接触する。その状態で基端32aと端子3aとを互いにハンダ付けする。
【0023】
次に、電極板3と保持板31とが一体になったものを開口20にセットし、開口をこの電極板3と保持板31とで閉塞する。その際、連結ピン32の先端32bは基板に予め形成した接続口22に差し込まれる。この接続口22の回りには電極であるランド22aがプリントされている。
【0024】
ところで上記開放部4は接続口22に対応する位置に形成されている。そのため、開口20が電極板3および保持板31で閉塞されても、開放部4を介して接続口22に差し込まれた連結ピン32を目視することができる。さらに、この開放部4からはんだごて等のハンダ付け工具を挿入し、ランド22aと連結ピン32とを相互にハンダ付けすることができる。
【0025】
このハンダ付け作業は作業者が目視しながら行えるので、ショート等のトラブルが生じないように確認しながら作業を行うことができるばかりか、仮にトラブルが発生してもただちにトラブル発生を確認することができる。そして、連結ピン32をランド22aに各々ハンダ付けする工程が終了すると、電極板3と基板21との間の空間に絶縁性の上記樹脂5を充填する。
【0026】
この樹脂5は加熱することによって溶融し、冷却されると硬化する樹脂であって、いわゆるホットメルトとして使用される樹脂を用いた。この樹脂5を充填する治具は、図4に示すように、開放部4に対応する位置に湯口6aを備えた固定治具6と、この固定治具6に対してケーシング2を押し付ける移動治具62とを備えている。
【0027】
また、ケーシング2を下方から保持する下治具61と固定治具6に上方から押接して湯口6aを上方から覆う上治具63とを備えている。上記図3に示したハンダ付け工程が終了したイオン発生器1を下治具61上に載置すると、移動治具62がイオン発生器1に近づく方向に移動し、イオン発生器1と固定治具6と移動治具62とで挟む。ただし、この状態では固定治具6と移動治具62とで挟む力は弱く設定している。
【0028】
続いて上治具63を下降させて固定治具6に上治具63を密着させると共に、少し遅れて下治具61でイオン発生器1を上方に押し上げ、ケーシング2の上縁を上治具63の下面に押し付ける。さらに、移動治具62による加圧力を上昇させて、開放部4の周囲を固定治具6に密着させる。
【0029】
続いて湯口6aから溶融した樹脂を開放部4からケーシング2内に射出する。
この射出された樹脂は電極板3および保持板31と基板21との間の空間充填される。充填が完了すると、10秒から20秒程度で樹脂が硬化する。硬化後、上治具63と移動治具62とを大きく退避させ、さらに下治具61を若干量下降させたあと、イオン発生器1を取り出す。
【0030】
図1に示したように、開放部4は樹脂5で閉鎖されるが、湯口6aの形状のバリが突出しているので、カッターで切除するか曲げて折ることにより切除する。
【0031】
ところで、樹脂5とケーシング2の色は必ずしも同一ではない。そのため、図1に示したように、樹脂5が広く露出することによって樹脂5が目立つ場合が生じる。機能上はまったく問題がないものの外観上好ましくない場合には、図5に示すように、ケーシング2と同じ材質で形成した別途の板部材7で開放部4を閉塞してもよい。ただし、その場合には開放部4から樹脂を充填できないので、保持板31の一部に充填口3aを設け、この充填口3aから樹脂を充填する。なお、充填された樹脂はケーシング2内で板部材7の裏面に接触した状態で硬化するので、板部材7は樹脂5に強固に接着され、板部材7の脱落が防止される。
【0032】
ところで、上述の実施の形態では開放部4は1カ所であったが、接続口22の配置に応じて開放部4を2カ所以上設けてもよい。また、電極板としてオゾンを発生させるための電極を用いたオゾン発生器に本発明を適用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ケーシングに開放部を設けたので、電子部品をケーシングの開口に取り付けた状態で電子部品とケーシング内の基板とを電気的に接続することができる。そのため、電子部品をケーシングに取り付けた後でのショート等のトラブルの発生を防止することができる。なお、開放部は充填する樹脂や別途の板部材で閉鎖されるので、開放部を設けたことが機能上問題となることはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】イオン発生器の断面図
【図3】電極板の取付工程を示す分解斜視図
【図4】樹脂を充填するための治具を示す図
【図5】他の実施の形態におけるイオン発生器を示す図
【符号の説明】
1 イオン発生器
2 ケーシング
3 電極板
4 開放部
5 樹脂
6 固定治具
7 板部材
Claims (6)
- 開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に基板が取り付けられると共に、上記開口を閉塞するように取り付けられる電子部品とこの基板とが電気的に接続され、さらに、少なくとも上記基板と電子部品との間に絶縁性の樹脂が充填されている電子装置において、上記電子部品の裏面に、この電子部品と上記基板とを連結する連結ピンを設けると共に、上記電子部品を上記開口に取り付けた状態でこの連結ピンの先端が挿入される接続口を基板に形成し、さらに、上記ケーシングの周壁のうち、この接続口に対応する部分に開放部を形成し、この開放部からのハンダ付け作業によって上記接続口の周囲の電極と上記連結ピンとを相互にハンダ付けし、上記絶縁性の樹脂をこの開放部から上記ケーシング内に充填して、この開放部まで上記絶縁性の樹脂を充填することにより上記開放部をこの樹脂で閉鎖したことを特徴とする電子装置。
- 上記ケーシング内に昇圧コイルを備え、上記電子部品はこの昇圧コイルで昇圧された高圧電力が印加されることによってイオンまたはオゾンを発生させる電極であることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
- 上記絶縁性の樹脂は加熱されると溶融するホットメルト樹脂であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子装置。
- 開口を有するケーシング内に、この開口から所定距離内側に基板を取り付け、そのあと、上記開口を閉塞する電子部品とこの基板とを電気的に接続すると共に電子部品を開口に取り付け、さらに、少なくとも上記基板と電子部品との間に絶縁性の樹脂を充填する電子装置の製造方法において、上記電子部品の裏面に、この電子部品と上記基板とを連結する連結ピンを接続し、上記電子部品を上記開口に取り付ける際に、この連結ピンの先端を基板に形成した所定の接続口に挿入し、上記ケーシングの周壁のうち、この接続口に対応する部分に設けられた開放部からハンダ付け工具を挿入して上記接続口の周囲の電極と上記連結ピンとを相互にハンダ付けしたあと上記絶縁性の樹脂をこの開放部から上記ケーシング内に充填し、さらに上記開放部を、上記絶縁性の樹脂をこの開放部まで充填することにより閉鎖したことを特徴とする電子装置の製造方法。
- 上記ケーシング内に昇圧コイルを備え、上記電子部品はこの昇圧コイルで昇圧された高圧電力が印加されることによってイオンまたはオゾンを発生させる電極であることを特徴とする請求項4記載の電子装置の製造方法。
- 上記絶縁性の樹脂は加熱されると溶融するホットメルト樹脂であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の電子装置の製造方法。
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