JP4605146B2 - イオンビーム計測装置 - Google Patents

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この発明は、例えばイオン注入装置等のイオンビームを用いる装置に用いられて、そのイオンビームのビーム電流を計測するイオンビーム計測装置に関する。
ファラデーカップと、ファラデーカップからの2次電子の逃げを防止するためにファラデーカップの入口近傍に配置されていて負のバイアス電圧が印加される抑制電極と、ファラデーカップからの2次電子の逃げを抑制するための磁界をファラデーカップ内に発生させる磁石とを有するイオンビーム計測装置が、特許文献1に記載されている。
特表2004−509436号公報(段落0011、0026、0027、図1)
上記従来のイオンビーム計測装置によれば、イオンビームが当たることによってファラデーカップから放出される2次電子の逃げを、負電圧が印加される抑制電極および磁界によって二重に抑制して、イオンビーム電流を正確に計測することができるはずであるが、上記イオンビーム計測装置に相当するイオンビーム計測装置によってイオンビーム電流を計測したところ、未だ比較的大きな計測誤差が生じることが分かった。
そこでこの発明は、イオンビーム電流の計測誤差を小さくして計測精度を高めることができるイオンビーム計測装置を提供することを主たる目的としている。
この発明に係るイオンビーム計測装置は、イオンビームのビーム電流を計測する装置であって、前記イオンビームを受け入れる入口を有するファラデーカップと、前記ファラデーカップの入口の直前に設けられていて接地電位を基準にして正のバイアス電圧が印加され、前記イオンビームが当たることによって前記ファラデーカップから放出される2次陽イオンが前記ファラデーカップ外へ逃げることを抑制すると共に、前記ファラデーカップの外部で発生した、前記イオンビームに比べて低エネルギーの陽イオンが前記ファラデーカップ内へ侵入することを抑制する抑制電極と、前記ファラデーカップの外側に設けられていて前記ファラデーカップ内に前記イオンビームの入射方向と交差する方向の磁界を作る磁石とを備えている。
従来のイオンビーム計測装置に相当するイオンビーム計測装置について詳細に検討したところ、イオンビーム電流の計測誤差の要因として次のものがあることを見出した。
(a)イオンビームが当たることによってファラデーカップから放出される2次陽イオンは、電子に比べて質量が遥かに大きくて磁界による閉じ込め作用が殆ど働かないだけでなく、負電圧が印加される抑制電極によってむしろ外部に引き出されてしまう。
(b)ファラデーカップの外部で発生した、イオンビームに比べて低エネルギーの陽イオンは、負電圧が印加される抑制電極によってファラデーカップ内に引き込まれてしまう。
これに対してこの発明に係るイオンビーム計測装置によれば、次の作用の総合によって、イオンビーム電流の計測誤差を小さくして計測精度を高めることができる。
(a)イオンビームが当たることによってファラデーカップから放出される2次陽イオンは、ファラデーカップの入口の直前に設けられていて接地電位を基準にして正のバイアス電圧が印加される抑制電極によってファラデーカップ内へ押し戻されるので、外部への逃げを抑制することができる。
(b)イオンビームが当たることによってファラデーカップから放出される2次電子は、ファラデーカップ内に作られる磁界に非常に小さなラーモア半径で捕捉(トラップ)されるので、外部への逃げを抑制することができる。
(c)ファラデーカップの外部で発生した、イオンビームに比べて低エネルギーの陽イオンは、正のバイアス電圧が印加される前記抑制電極によって押し戻されるので、ファラデーカップ内への侵入を抑制することができる。
前記磁石は、前記ファラデーカップ内の実質的に全域に前記磁界を作るものが好ましい。
前記磁石は、前記抑制電極の上流側近傍にも前記方向の磁界を作るものであっても良い。
前記磁石は、前記イオンビームの入射方向に沿って配置されていて前記ファラデーカップを挟んで相対向している一対の磁極板と、前記ファラデーカップの下流側近傍に設けられていて前記一対の磁極板間に磁気的に結合されている永久磁石とを有していても良い。
前記磁石は電磁石であっても良い。
請求項1に記載の発明によれば、正のバイアス電圧が印加される抑制電極と磁石による磁界形成とを組み合わせたことによって、放出2次陽イオンおよび放出2次電子のファラデーカップ外への逃げの抑制をうまく両立させることができると共に、外部からの低エネルギー陽イオンのファラデーカップ内への侵入をも抑制することができるので、イオンビーム電流の計測誤差を小さくして計測精度を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、ファラデーカップ内の様々な箇所から2次電子が放出されても、当該放出される2次電子をファラデーカップ内の実質的に全域において磁界によって捕捉することができるので、2次電子の外部への逃げをより効果的に抑制することができる、という更なる効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、ファラデーカップの外部で発生した電子についても、抑制電極の上流側近傍に作られる磁界によって捕捉することができるので、ファラデーカップ内への侵入を抑制することができる。従って、イオンビーム電流の計測誤差をより小さくして計測精度をより高めることができる。
請求項4に記載の発明によれば次の更なる効果を奏する。即ち、磁石が上記のような磁極板および永久磁石を有しているので、ファラデーカップを挟んで一対の永久磁石を設ける必要がなく、永久磁石の数を減らすことができる。また、磁極板は永久磁石に比べて薄いもので良いので、ファラデーカップを挟んで一対の永久磁石を設ける場合に比べて、イオンビーム計測装置全体の厚みを小さくすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、磁石が電磁石であるので、磁界の強さの調整が容易である、という更なる効果を奏する。
図1は、この発明に係るイオンビーム計測装置の一実施形態を示す横断面図である。図2は、図1の線G−Gに沿う縦断面図である。
このイオンビーム計測装置20は、一例として、イオンビーム2の進行方向をZ方向とし、Z方向と実質的に直交する面内において互いに実質的に直交する2方向をX方向およびY方向とすると、X方向の走査を経て、またはX方向の走査を経ることなく、X方向の寸法がY方向の寸法よりも大きいリボン状(これはシート状または帯状とも呼ばれる)のイオンビーム2のビーム電流を計測するものである。但し、イオンビーム2の形状はこれに限られない。例えば、走査を経ることなく小さな断面形状(例えば丸または四角いスポット状)をしているものでも良い。なおこの明細書および図面では、イオンビーム2を構成するイオンは陽(正)イオンの場合を例に説明している。
このイオンビーム計測装置20は、ファラデーカップ22、抑制電極26、磁石30等を備えている。
ファラデーカップ22は、イオンビーム2を受け入れる入口24を有していて、入射したイオンビーム2を受け止めるものである。入口24の反対側に後面23を有している。ファラデーカップ22は、この例では、X方向がY方向よりも長い有底四角筒状をしているが、これに限るものではない。例えば、有底円筒状をしていても良い。このファラデーカップ22は、抑制電極26、磁石30および後述するケース44とは、電流計50を経由する以外は、電気的に絶縁されている。
ファラデーカップ22は、例えば、それに流れるイオンビーム2のビーム電流IB を計測する電流計50を経由して電気的に接地(グラウンド)されている。
ファラデーカップ22の材質は、例えば、カーボン(C)、シリコン(Si )、炭化シリコン(SiC)等が好ましい。これは、このイオンビーム計測装置20を、シリコン基板にイオンビーム2を照射してイオン注入を行うイオン注入装置に用いる場合に、ファラデーカップ22からのスパッタ粒子がシリコン基板に到達しても、コンタミネーション(不所望粒子による汚染)の問題が少ないからである。
抑制電極26は、ファラデーカップ22の入口24の上流側近傍に設けられていて、例えば直流電源48によって、接地電位を基準にして正のバイアス電圧VB が印加される。この抑制電極26は、磁石30および後述するケース44とは電気的に絶縁されている。
なおこの明細書において、上流側、下流側というのは、イオンビーム2の進行方向Zに関しての上流側、下流側の意味である。
抑制電極26は、この実施形態では、ファラデーカップ22の入口24の形状に対応していて入口24よりも若干大きい開口27を有している。より具体的には、抑制電極26はこの実施形態では、X方向がY方向よりも長い枠状をしている。但し抑制電極26の形状は、このようなものに限られない。
抑制電極26に印加する正のバイアス電圧VB の大きさは、例えば、50V〜100V程度である。そのようにすると、開口27内の電位は概ね20V以上100V未満となる。従って、イオンビーム2のエネルギーを、例えば、100eV〜100keVとすると、イオンビーム2は、開口27内の上記電位にあまり影響を受けずに、あるいは殆ど影響を受けずに、抑制電極26を通過してファラデーカップ22内に入射することができる。しかも、イオンビーム2が入射することによってファラデーカップ22から放出される2次陽イオン4(図4参照)のエネルギーは、例えば、数eV〜20eV程度であるので、当該2次陽イオン4を抑制電極26の電界によって押し戻すことができる。
磁石30は、ファラデーカップ22の外側に設けられていて、ファラデーカップ22内にイオンビーム2の入射方向(換言すればイオンビーム2の進行方向Z)と交差する方向の磁界Bを作る(発生する)。即ちこの実施形態では、Y方向に沿う方向の磁界Bを作る。この磁界Bの向きは、この実施形態では図2中の上から下向きであるが、これと逆向きでも良い。
磁石30は、この実施形態では、ファラデーカップ22内の実質的に全域に磁界Bを作る。
ファラデーカップ22内に作る磁界Bの強さ(磁束密度)は、例えば、0.005T〜0.015T程度である。この程度であれば、2次電子6(図5参照)の流出を十分に抑制することができる。しかも、イオンビーム2の軌道に与える影響も小さい。
磁石30は、この実施形態では、イオンビーム2の入射方向に沿って(換言すればXZ平面に沿って)配置されていてファラデーカップ22をY方向において挟んで相対向している一対の磁極板34、36と、ファラデーカップ22の下流側(後方)近傍に設けられていて一対の磁極板34、36間に磁気的に結合されている板状の永久磁石32とを有している。この実施形態では、この永久磁石32のY方向における上側がN極、下側がS極であるが、磁界Bの向きを逆にするならば、これと逆の極性にしても良い。この実施形態では、磁極板34、36の後方端を永久磁石32の磁極に当接させている。
磁極板34、36は、板状の強磁性体から成る。例えば鉄板である。磁石30以外のものは、磁石30がファラデーカップ22内に作る磁界Bを乱さないようにするために、非磁性体で形成するのが好ましく、この実施形態ではそのようにしている。
磁石30は、より具体的にはその磁極板34、36は、この実施形態では、平面的に見て、ファラデーカップ22の全体をカバーしている。これによって、ファラデーカップ22内の全域に磁界Bを作ることができる。なお、図面では図示を簡略化するために、磁界Bの一部のみを図示している。
更にこの実施形態では、磁石30は、より具体的にはその磁極板34、36は、抑制電極26の上流側近傍まで伸びていて抑制電極26の上流側近傍までカバーしている。これによって、磁石30は、抑制電極26の上流側近傍にも上記方向の磁界Bを作ることができる。
上記ファラデーカップ22、抑制電極26および磁石30は、この実施形態のように、導電性のケース44内に収納しておくのが好ましい。ケース44の前面45は、イオンビーム2を通す入口46を有しており、通過するイオンビーム2を整形するマスクを兼ねている。この入口46は、ファラデーカップ22の入口24の形状に対応していてそれよりも若干小さい形状をしている。ケース44は電気的に接地されている。このケース44によって、その入口46以外から荷電粒子がファラデーカップ22等に入るのを防止することができる。
次に、上記イオンビーム計測装置20の作用のシミュレーション結果を説明する。以下のシミュレーションでは、抑制電極26に印加する正のバイアス電圧VB を100V、ファラデーカップ22内の中央付近の磁界Bの強さを0.012T〜0.014T(これは場所によって若干の差があるからである)とした。
図3は、10keVのエネルギーを有するイオンビーム2を上記イオンビーム計測装置20に入射させたときのシミュレーション結果である。イオンビーム2はファラデーカップ22の後面23に入射している。イオンビーム2の軌道は、磁界Bによってわずかに曲げられているが、特に支障はない。
図4は、ファラデーカップ22の後面23から20eVのエネルギーを有する2次陽イオン4を放出させたときのシミュレーション結果である。これは、イオンビーム2が後面23に当たることによって放出される2次陽イオンを模擬したものである。この2次陽イオン4は、正のバイアス電圧VB が印加される抑制電極26によってファラデーカップ22内へ押し戻されていることが分かる。従って、2次陽イオン4がファラデーカップ22外へ逃げるのを抑制することができる。
図5は、ファラデーカップ22の後面23から20eVのエネルギーを有する2次電子6を放出させたときのシミュレーション結果である。これは、イオンビーム2が後面23に当たることによって放出される2次電子を模擬したものである。この2次電子6は、ファラデーカップ22内に作られる磁界Bに非常に小さなラーモア半径で巻き付いて捕捉されていることが分かる。即ち、後面23から発生した2次電子6は非常に小さな半径で円軌道を描くので、すぐに後面23に衝突する。仮に後面23や他の壁面に衝突しないとしても、磁界Bに捕捉される。従って、2次電子6がファラデーカップ22外へ逃げるのを抑制することができる。
磁界B中の荷電粒子のラーモア半径は、その質量に比例し、磁界Bの強さに反比例する。2次電子6の質量は非常に小さいので、そのラーモア半径も非常に小さくなる。
図6は、ファラデーカップ22の外部で発生した、イオンビーム2に比べて低エネルギーの陽イオンの一例として、20eVのエネルギーを有する陽イオン8がイオンビーム計測装置20内に向かったときのシミュレーション結果である。この陽イオン8は、正のバイアス電圧VB が印加される抑制電極26によって押し戻されていることが分かる。従って、陽イオン8がファラデーカップ22内へ侵入するのを抑制することができる。
なお、イオンビーム2の周りには、通常、イオンビーム2と残留ガスとの衝突等によって電子や陽イオンが生成されて、プラズマが存在している。このプラズマはビームプラズマと呼ばれる。上記低エネルギーの陽イオン8は、例えば、このビームプラズマ中のものである。下記の電子10も、例えば、このビームプラズマ中のものである。
図7は、ファラデーカップ22の外部で発生した電子の一例として、20eVのエネルギーを有する電子10がイオンビーム計測装置20内に向かったときのシミュレーション結果である。この電子10は、抑制電極26の上流側近傍に作られる磁界Bに非常に小さなラーモア半径で巻き付いて捕捉されていることが分かる。即ち、上記電子10は非常に小さな円軌道を描くだけであり、従って、電子10がファラデーカップ22内へ侵入するのを抑制することができる。
次に、比較例として、抑制電極26に負のバイアス電圧VB (−100V)を印加し、それ以外は上記実施形態のイオンビーム計測装置20と同条件にしたときのシミュレーション結果を説明する。但し以下においては、上記実施形態のイオンビーム計測装置20と大きな違いがあるもののみを説明する。この比較例は、抑制電極26の上流側近傍にも上記磁界Bを作っていることを除けば、上記特許文献1に記載されている技術に相当する。
図8は、図4に対応するものであるが、ファラデーカップ22内で発生した20eVの2次陽イオン4は、抑制電極26を通過してファラデーカップ22外に流出していることが分かる。これは、2次陽イオン4は電子に比べて質量が遥かに大きいのでそのラーモア半径も電子の場合に比べて遥かに大きくて、磁界Bによる閉じ込め作用が殆ど働かないだけでなく、負電圧が印加される抑制電極26によってむしろ外部に引き出されてしまうからである。これによって、イオンビーム電流の計測に誤差が生じる。
より具体例を数字を挙げて説明すると、ファラデーカップ22に入射するイオンビーム2を構成するイオンの個数を1とすると、放出2次陽イオン4の個数は通常は0.01〜0.1程度になる。比較例ではこの2次陽イオン4の大まかに約100%が流出するので、計測誤差は大きめに見ると約10%になる。ここで、計測誤差は、2次陽イオン4の発生率に流出率を掛けたものである。この計測誤差を、上記実施形態のイオンビーム計測装置20では約0%にすることができる。
図9は、図6に対応するものであるが、外部からの20eVの陽イオン8は、抑制電極26を通過してファラデーカップ22内に流入していることが分かる。これは、当該陽イオン8は、負電圧が印加される抑制電極26によってファラデーカップ22内に引き込まれてしまうからである。これによっても、イオンビーム電流の計測に誤差が生じるので、計測誤差は更に大きくなる。この計測誤差をも、上記実施形態のイオンビーム計測装置20では約0%にすることができる。
上記比較例から分かるように、ファラデーカップ22内に磁界Bを形成しても、抑制電極26に負のバイアス電圧VB を印加したのでは、陽イオン(放出2次陽イオン4および外部からの陽イオン8)によって、イオンビーム電流の計測に誤差が生じる。
これに対して、上記実施形態のイオンビーム計測装置20によれば、正のバイアス電圧VB が印加される抑制電極26と磁石30による磁界Bの形成とを組み合わせたことによって、放出2次陽イオン4および放出2次電子6のファラデーカップ22外への逃げの抑制をうまく両立させることができると共に、外部からの低エネルギー陽イオン8のファラデーカップ22内への侵入をも抑制することができるので、イオンビーム電流の計測誤差を小さくして計測精度を高めることができる。
磁界Bの有無およびバイアス電圧VB の極性を変えたときの作用効果の相違を表1にまとめて示す。
Figure 0004605146
ケースAは上記比較例に相当し、ケースBは上記実施形態のイオンビーム計測装置20に相当し、ケースCは周知技術に相当する。ケースB、即ち上記実施形態のイオンビーム計測装置20のみが、2次陽イオン4の流入抑制、2次電子6の流出抑制、低速(低エネルギー)陽イオン8の流入抑制および外部で発生した電子10の流入抑制の全てを行うことができる。従って、最も、イオンビーム電流の計測誤差を小さくして計測精度を高めることができる。
また、上記実施形態のイオンビーム計測装置20のように、ファラデーカップ22内の実質的に全域に磁界Bを作るようにすると、ファラデーカップ22内の様々な箇所から2次電子6が放出されても、当該放出される2次電子6をファラデーカップ22内の実質的に全域において磁界Bによって捕捉することができるので、2次電子6の外部への逃げをより効果的に抑制することができる。
また、上記実施形態のイオンビーム計測装置20のように、抑制電極26の上流側近傍にも磁界Bを作るようにすると、ファラデーカップ22の外部で発生した電子10についても、抑制電極26の上流側近傍に作られる磁界Bによって捕捉することができるので、ファラデーカップ22内への侵入を抑制することができる。従って、イオンビーム電流の計測誤差をより小さくして計測精度をより高めることができる。
磁石30の構成は、上記実施形態のものに限らない。例えば、磁石30を、ファラデーカップ22を挟んで相対向する一対の永久磁石で構成しても良い。しかし上記実施形態のように、磁石30が上記のような磁極板34、36および永久磁石32を有していると、ファラデーカップ22を挟んで一対の永久磁石を設ける必要がないので、永久磁石の数を減らすことができる。また、磁極板34、36は永久磁石に比べて薄いもので良いので、ファラデーカップ22を挟んで一対の永久磁石を設ける場合に比べて、イオンビーム計測装置20全体の厚みを小さくすることができる。
なお、一つの磁石30等に対して複数のファラデーカップ22を設けても良い。その場合は、例えば、各ファラデーカップ22の上流側近傍に抑制電極26の開口27およびケース44の入口46をそれぞれ設ければ良い。後述する他の実施形態においても同様である。
磁石30は、上記実施形態のように永久磁石を用いて構成する代わりに、電磁石にしても良い。電磁石にした場合の実施形態を図10、図11に示す。以下においては、永久磁石を用いて構成した上記実施形態との相違点を主体に説明する。
このイオンビーム計測装置20における磁石30は、上記磁極板34、36に相当する位置付近に設けられた環状のコイル38、40を有している。即ち空心の電磁石である。両コイル38、40は、例えば、互いに直列接続されていて共通の直流電源42によって励磁されて、前記と同様の磁界Bを作る。即ち、ファラデーカップ22内および抑制電極26の上流側近傍に、イオンビーム2の入射方向と交差する方向の磁界Bを作る。従って、図1および図2に示したイオンビーム計測装置20と同様の作用効果を奏することができる。また、磁界Bの強さの調整が容易である。
両コイル38、40を互いに別の直流電源で励磁しても良い。また、二つのコイル38、40を設けるのが好ましいけれども、一つのコイルによって上記と同様の磁界Bを作るようにしても良い。また、磁石30を、コイルおよび鉄心を有する電磁石にしても良い。
この発明に係るイオンビーム計測装置の一実施形態を示す横断面図である。 図1中の線G−Gに沿う縦断面図である。 図1に示すイオンビーム計測装置に入射するイオンビームの軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 図1に示すイオンビーム計測装置のファラデーカップから放出された2次陽イオンの軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 図1に示すイオンビーム計測装置のファラデーカップから放出された2次電子の軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 図1に示すイオンビーム計測装置に外部から入ろうとする低エネルギーの陽イオンの軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 図1に示すイオンビーム計測装置に外部から入ろうとする電子の軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 比較例として、抑制電極に負のバイアス電圧を印加している場合の、ファラデーカップから放出された2次陽イオンの軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 比較例として、抑制電極に負のバイアス電圧を印加している場合の、外部からの低エネルギーの陽イオンの軌道をシミュレーションした結果の一例を示す図である。 この発明に係るイオンビーム計測装置の他の実施形態を示す横断面図である。 図10中の線H−Hに沿う縦断面図である。
符号の説明
2 イオンビーム
4 2次陽イオン
6 2次電子
8 陽イオン
10 電子
20 イオンビーム計測装置
22 ファラデーカップ
24 入口
26 抑制電極
30 磁石
32 永久磁石
34、36 磁極板
38、40 コイル
B 磁界

Claims (5)

  1. イオンビームのビーム電流を計測する装置であって、
    前記イオンビームを受け入れる入口を有するファラデーカップと、
    前記ファラデーカップの入口の直前に設けられていて接地電位を基準にして正のバイアス電圧が印加され、前記イオンビームが当たることによって前記ファラデーカップから放出される2次陽イオンが前記ファラデーカップ外へ逃げることを抑制すると共に、前記ファラデーカップの外部で発生した、前記イオンビームに比べて低エネルギーの陽イオンが前記ファラデーカップ内へ侵入することを抑制する抑制電極と、
    前記ファラデーカップの外側に設けられていて前記ファラデーカップ内に前記イオンビームの入射方向と交差する方向の磁界を作る磁石とを備えているイオンビーム計測装置。
  2. 前記磁石は、前記ファラデーカップ内の実質的に全域に前記磁界を作るものである請求項1記載のイオンビーム計測装置。
  3. 前記磁石は、前記抑制電極の上流側近傍にも前記方向の磁界を作るものである請求項1または2記載のイオンビーム計測装置。
  4. 前記磁石は、前記イオンビームの入射方向に沿って配置されていて前記ファラデーカップを挟んで相対向している一対の磁極板と、前記ファラデーカップの下流側近傍に設けられていて前記一対の磁極板間に磁気的に結合されている永久磁石とを有している請求項1、2または3記載のイオンビーム計測装置。
  5. 前記磁石は電磁石である請求項1、2または3記載のイオンビーム計測装置。
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