上記したように、特許文献1では、基板91の外形パターン97と溝パターン99を形成するためのフォトレジスト層96,98の露光現像工程がそれぞれ個別に2度行われる。すなわち、まず、フォトレジスト層96における基板91の外形パターン97を形成し、外形パターン97を形成した後にフォトレジスト層96を全て剥離して再度基板91の両主面92全面にフォトレジスト層98を新たに形成する。ここで形成したフォトレジスト層98を用いて、フォトレジスト層98における溝パターン99を形成する。そのため、圧電振動片(水晶振動片)の大量製造において、外形パターン97を形成した状態の基板91上に溝パターン99を形成する際に、外形パターン97に対する溝パターン99のパターンずれが生じる場合がある。この形状パターンのパターンずれは、圧電振動片(水晶振動片)の形状不良や発振周波数のバラツキの原因となる。
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、当該圧電振動片を製造する際の形状パターンのパターンずれを抑制する圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動片の製造方法は、基板素板の両主面に複数の形成層を積層して、この積層した前記形成層を用いて圧電振動片の基板の外形を形成し、かつ、前記基板の少なくとも一主面に少なくとも一つの溝部を形成する圧電振動片の製造方法において、前記基板の形状を形成するための前記形成層として、少なくとも、前記基板素板を露出させて前記外形と前記溝部とのエッチング形成を行うための第1層と、前記外形の外形パターンと前記溝部の溝パターンとの形状パターンを同時に形成するための第2層と、前記外形パターンと前記溝パターンとを区別するための第3層と、を用いて、前記第2層により前記外形パターンと前記溝パターンとの形状パターンを同時に形成した後に、前記第3層により前記外形パターンと前記溝パターンとを区別させながら、前記第1層を用いて前記外形と前記溝部とを形成するために前記基板素板上の前記外形および前記溝部に該当する部分を露出させて前記外形と前記溝部とをエッチング形成する基板形成工程を有し、前記基板形成工程は、前記基板素板の主面に前記第1層を形成する第1層形成工程と、前記第1層形成工程後に、前記第1層上に前記第2層を形成する第2層形成工程と、前記第2層形成工程後に、予め設定した前記基板の形状に基づいて前記第2層に前記外形パターンと前記溝パターンとの形状パターンを同時形成するパターン形成工程と、前記パターン形成工程後に、露出した前記第1層および前記第2層上に前記第3層を形成する第3層形成工程と、前記第3層形成工程後に、前記外形パターンと前記溝パターンとを区別するために、前記外形パターン上の前記第3層を除去し、かつ、前記第1層を除去する第1除去工程と、前記第1除去工程後に、前記外形をエッチング形成し、かつ、前記溝パターン上の前記第3層を除去する第2除去工程と、前記第2除去工程後に、前記溝パターン上の前記第1層を除去する第3除去工程と、前記第3除去工程後に、前記溝部をエッチング形成する溝部形成工程と、前記第3除去工程後に、前記基板から前記第1層と第2層とを除去する第4除去工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記形成層として前記第1層と前記第2層と前記第3層とを用いて、基板形成工程を有するので、当該圧電振動片を製造する際の前記基板の形状パターンのパターンずれを抑制することが可能となる。その結果、前記形状パターンのパターンずれが原因となる当該圧電振動片の形状不良や発振周波数のバラツキを抑制することが可能となる。特に、前記外形パターンと前記溝パターンの形成の際、これらの前記外形パターンと前記溝パターンとの位置検出を周知の画像認識工程により行う場合、前記位置検出がずれて前記外形パターンと前記溝パターンとの正確な位置を検出することができない場合が多い。この場合、周知の圧電振動片の製造方法では前記位置検出のずれが前記形状パターンのパターンずれに直接作用するが、本発明によれば前記位置検出がずれた場合であっても前記形状パターンのパターンずれが生じなくなる。また、本発明によれば、前記形成層として前記第1層と前記第2層と前記第3層との3層を用いて前記基板形成工程を有するので、前記第2層による前記外形パターンと前記溝パターンとの形成時、および前記第3層による前記外形パターンと前記溝パターンとの区別時において、前記第1層により前記基板素板を被覆させることが可能となり、前記形状パターンと前記溝パターンとの形成時および区別時において前記基板素板への不要なエッチングを防止することが可能となる。また、本発明によれば、前記基板形成工程は、前記第1層形成工程と前記第2層形成工程と前記パターン形成工程と前記第3層形成工程と前記第1除去工程と前記第2除去工程と前記第3除去工程と前記溝部形成工程と前記第4除去工程とを含むので、前記パターン形成工程において前記外形パターンと前記溝パターンとの間隔を一定にすることが可能となり、前記外形パターンに対する前記溝パターンの位置ずれ(もしくは、前記溝パターンに対する前記外形パターンの位置ずれ)が起こるのを抑制することが可能となる。また、前記パターン形成工程の後に前記第3層形成工程および前記第1除去工程により、前記溝パターン上に前記第3層を覆っているので、前記第2除去工程において前記溝部のエッチング形成を全くせずに前記外形だけのエッチング形成を確実に行うことが可能となる。
前記方法において、前記基板形成工程では、前記外形と前記溝部とをそれぞれ個別にエッチング形成してもよい。
この場合、前記基板形成工程では、前記外形と前記溝部とをそれぞれ個別にエッチング形成するので、前記基板の外形をエッチング形成するときのエッチング量と、前記溝部をエッチング形成するときのエッチング量を可変させることが可能となり、前記基板の外形と前記溝部とをそれぞれ任意の形状に形成することが可能となる。
前記方法において、前記第1層は金属層であり、前記第2層はネガレジスト層であり、前記第3層はポジレジスト層であってもよい。
この場合、前記第1層は金属層であり、前記第2層はネガレジスト層であり、前記第3層はポジレジスト層であるので、前記パターン形成工程において前記第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第1除去工程において前記第1層と前記第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第2除去工程において前記第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第3除去工程において前記第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第4除去工程において前記第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。前記第2層であるネガレジスト層を除去(剥離除去)する際に用いる剥離液は、ネガレジスト層だけでなく前記第3層であるポジレジスト層も除去(剥離除去)する。これに対して、前記第3層であるポジレジスト層を除去(剥離)する際に用いる剥離液は、前記第2層であるネガレジスト層を除去することはできない。これは、ネガレジスト層の材料が、ポジレジスト層の材料よりも粘着力があるゴム系材料であることに関係し、この粘着力の差を用いて前記第1,2除去工程を行うことが可能となる。また、前記第1層は、前記第2,3層とは材料が異なる金属層であり、前記第1層は前記第2,3層とは異なる除去方式(メタルエッチング)により除去する。そのため、本構成によれば、前記パターン形成工程と前記第1〜4除去工程を行うことが可能となる。
前記方法において、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層はネガレジスト層であってもよい。
この場合、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層はネガレジスト層であるので、前記パターン形成工程において前記第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第1除去工程において前記第1層と前記第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第2除去工程において前記第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第3除去工程において前記第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第4除去工程において前記第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。前記第1,2層である金属層ではその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても前記第1,2層の除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合前記第2層のほうが前記第1層よりも除去量が多い。また、前記第3層は、前記第1,2層とは材料が異なるネガレジスト層であり、前記第3層は前記第1,2層とは異なる除去方式(剥離液による除去)により除去する。そのため、本構成によれば、前記パターン形成工程と前記第1〜4除去工程を行うことが可能となる。また、この場合、除去量の基準の一つを前記第1,2層の硬度に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることが可能となる。
前記方法において、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層はポジレジスト層であってもよい。
この場合、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層はポジレジスト層であるので、前記パターン形成工程において前記第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第1除去工程において前記第1層と前記第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第2除去工程において前記第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第3除去工程において前記第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第4除去工程において前記第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。前記第1,2層である金属層ではその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても前記第1,2層の除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合前記第2層のほうが前記第1層よりも除去量が多い。また、前記第3層は、前記第1,2層とは材料が異なるポジレジスト層であり、前記第3層は前記第1,2層とは異なる除去方式(剥離液による除去)により除去する。そのため、本構成によれば、前記パターン形成工程と前記第1〜4除去工程を行うことが可能となる。また、この場合、除去量の基準の一つを前記第1,2層の硬度に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることが可能となる。
前記方法において、前記第1層は金属層であり、前記第2層はポジレジスト層であり、前記第3層は前記第2層と比較して粘着力が低いポジレジスト層であってもよい。
この場合、前記第1層は金属層であり、前記第2層はポジレジスト層であり、前記第3層は前記第2層と比較して粘着力が低いポジレジスト層であるので、前記パターン形成工程において前記第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第1除去工程において前記第1層と前記第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第2除去工程において前記第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第3除去工程において前記第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第4除去工程において前記第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。前記第2,3層であるポジレジスト層ではその粘着力が異なるために同じ除去方式(剥離液による除去)を用いた場合であっても前記第2,3層の除去量(剥離量)は異なり、この構成の場合前記第3層のほうが前記第2層よりも除去量が多い。また、前記第1層は、前記第2,3層とは材料が異なる金属層であり、前記第1層は前記第2,3層とは異なる除去方式(メタルエッチング)により除去する。そのため、本構成によれば、前記パターン形成工程と前記第1〜4除去工程を行うことが可能となる。また、この場合、除去量の基準の一つを前記第2,3層の粘着量に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることが可能となる。
前記方法において、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層は前記第2層と比較して硬度が低い金属層であってもよい。
この場合、前記第1層は金属層であり、前記第2層は前記第1層と比較して硬度が低い金属層であり、前記第3層は前記第2層と比較して硬度が低い金属層であるので、前記パターン形成工程において前記第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第1除去工程において前記第1層と前記第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第2除去工程において前記第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第3除去工程において前記第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、前記第4除去工程において前記第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。前記第1〜3層である金属層ではそれぞれその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても前記第1〜3層の除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合前記第2層のほうが前記第1層よりも除去量が多く、前記第3層のほうが前記第2層よりも除去量が多い。そのため、本構成によれば、前記パターン形成工程と前記第1〜4除去工程を行うことが可能となる。また、この場合、除去量の基準を前記第1〜3層の硬度に設定して除去量(エッチング量)の設定を容易にすることが可能となる。
前記方法において、前記第2除去工程では、前記外形をエッチング形成した後に、前記溝パターン上の前記第3層を除去してもよい。または、前記方法において、前記第2除去工程では、前記溝パターン上の前記第3層を除去した後に、前記外形をエッチング形成してもよい。
前記方法において、前記圧電振動片は、音叉型圧電振動片であってもよい。または、前記方法において、前記圧電振動片は、厚みすべり振動系の振動片であってもよい。
前記方法において、前記第1層は金属膜であり、前記第1層を引き出し電極の少なくとも一部として用いてもよい。
この場合、前記第1層は金属膜であり、前記第1層を引き出し電極の少なくとも一部として用いるので、前記引き出し電極の重要箇所(例えば、圧電振動片からみて外部となるベースの電極パッドと直接接触する部分)の形成をさらに不具合なく確実に行うことが可能となる。
前記方法において、さらに、前記外形パターンと前記溝パターンの形成の際、これらのパターンの位置検出を行うために画像認識工程を有し、前記第1層は、金属膜であり、前記第1層を残して前記画像認識工程において画像認識部として用いてもよい。
この場合、さらに、前記画像認識工程を有し、前記第1層は金属膜であり、前記第1層を残して前記画像認識工程において画像認識部として用いるので、新たに前記画像認識部を形成する工程を必要せずに、その結果製造工程の短縮を図ることが可能となる。
本発明にかかる圧電振動片の製造方法によれば、圧電振動片を製造する際の形状パターンのパターンずれを抑制することが可能となる。
本実施例1(以下、本実施例ともいう)にかかる水晶振動子1では、図1,2に示すように、音叉型の水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4と、が設けられている。
この水晶振動子1では、ベース3と蓋4とから本体筐体5が構成されている。これらベース3と蓋4とが本体筐体用接合材61(以下、接合材61ともいう)を介して接合されて本体筐体5の内部空間が形成され、この本体筐体5の内部空間内のベース3上に水晶振動片用導電性接合材62(以下、導電性接合材ともいう)を介して水晶振動片2が保持接合されるとともに、本体筐体5の内部空間が気密封止されている。この際、図1,2に示すように、ベース3と水晶振動片2とは導電性接合材62を用いてFCB(Flip Chip BonDing)法により超音波接合されるとともに電気機械的に接合されている。本実施例で用いる導電性接合材62は、金などの金属材料からなる接続バンプである。なお、本実施例では接合材61に金(もしくは銀)と錫とからなる低融点材料が用いられている。次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース3は、図1,2に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した堤部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、堤部32は、図1に示す底部31の表面外周に沿って成形されている。この堤部32の上面は、蓋4との接合領域となり、この接合領域には、蓋4と接合するためのメタライズ層(図示省略)が設けられている。なお、メタライズ層は、例えば、タングステンメタライズ層、あるいはモリブデンメタライズ層上にニッケル,金の順でメッキした構成とからなる。
このベース3には、水晶振動片2の励振電極26それぞれと電気機械的に接合する複数の電極パッド34が形成されている。これら電極パッド34は、ベース3の外周裏面に形成される端子電極35にそれぞれ電気機械的に接合されている。これら端子電極35から外部部品や外部機器と接続される。なお、これら電極パッド34および端子電極35は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これら電極パッド34および端子電極35のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
蓋4は、金属材料からなり、図2に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋4の下面にはろう材からなる接合材61が形成されている。この蓋4は、シーム溶接やビーム溶接等の手法により接合材61を介してベース3に機械的に接合されて、蓋4とベース3とによる水晶振動子1の本体筐体5が構成される。なお、蓋4は、例えば、4層の熱膨張係数の異なる金属材料から形成されている。具体的に、ベース3との接合面となる蓋4の下面から、接合材61である錫と金(錫と金の割合を約2対8とする)、あるいは錫と銀の層、ニッケル層、コバール層及びニッケル層が順に積層されている。なお、本実施例では、接合材61が、蓋4の下面外周縁に沿った環状層に成形されている。
水晶振動片2は、図1に示すように、音叉型水晶振動片であり、異方性材料の水晶素板20(図3〜5参照)からエッチング形成された水晶Z板である。水晶振動片2の基板21は、2本の脚部22と基部23とから構成された外形28からなり、2本の脚部22が基部23から突出して形成されている。また、2本の脚部22の両主面24には、水晶振動片2の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、溝部25が形成されている。この水晶振動片2の両主面24には、異電位で構成された2つの励振電極26と、これらの励振電極26をベース3の電極パッド34に電気機械的に接合させるための引き出し電極27とが形成されている。この引き出し電極27は励振電極26から基部23に引き出されている。そして、基部23に形成された引き出し電極27とベース3の電極パッド34が導電性接合材62により接合されて、励振電極26と電極パッド34とが電気機械的に接合される。なお、水晶振動片2の励振電極26、引き出し電極27は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。
ところで、上記した水晶振動片2の基板21の形状のうち外形28および溝部25は、その両主面24に3つの形成層A,B,C(図3〜5に示す第1〜3層)を積層して、この積層した第1〜3層A,B,Cを用いて形成する。なお、本実施例では、基板21の形状を形成するための形成層A,B,Cとして、基板21を露出させて基板21の外形28と溝部25とのエッチング形成を行うための第1層Aと、基板21の外形パターンDと溝部25の溝パターンEとの形状パターンを同時に形成するための第2層B(本発明でいう同時形成層)と、基板21の外形パターンDと溝部25の溝パターンEとを区別するための第3層C(本発明でいう区別層)と、を用いる。なお、本実施例では、第1層AとしてCr(クロム)とAu(金)とからなる金属層を用い、第2層Bとしてキシレンを主成分とするネガレジスト層を用い、第3層Cとして乳酸エチルと酢酸ブチルとを主成分とするポジレジスト層を用いる。
そして、水晶振動片2の基板21の形成工程では、上記した形成層A,B,Cを用いて、第2層Bにより外形パターンDと溝パターンEとの形状パターンを同時に形成した後に、第3層Cにより外形パターンDと溝パターンEとを区別させながら、第1層Aを用いて基板21の外形28と溝部25とに該当する基板部分を露出させて基板21の外形28と溝部25とをそれぞれ個別にエッチング形成して(本発明でいう基板形成工程)、水晶振動片2の基板21を形成する。
この基板形成工程を更に詳説すると、人工水晶(図示省略)から複数個の板状の水晶素板20(本発明でいう基板素板)に切出し形成し(図3(a)参照)、水晶素板20から複数個の水晶振動片2の基板21を形成する(図5(m)参照)。なお、図3〜5では、水晶素板20および基板21の一部側面を示し、図1に示す基板21のA3-A3線断面図に相当する図である。そして、この水晶素板20は水晶Z板であり、人工水晶から切出し形成する際、直交座標系においてX軸とY軸とからなるXY平面をX軸回りに傾けたものである。
まず、図3(a)に示す水晶素板20の両主面24上に、図3(b)に示すように、第1層Aを形成する(本発明でいう第1層形成工程)。そして、図3(b)に示すように形成した第1層A上に、図3(c)に示すように、第2層Bを形成する(本発明でいう第2層形成工程)。
第2層形成工程後に、図4(d)に示すように、予め設定した基板21の形状に基づいて、第2層Bに外形パターンDと溝パターンEとの形状パターンを同時形成する(本発明でいうパターン形成工程)。具体的に、基板21の外形28および溝部25を形成するために、水晶素板20上の基板21の外形28および溝部25に該当する部分(該当箇所)の第2層Bを露光し、現像液を用いて現像して露光した箇所を除去し、第2層Bにおける水晶振動片2の外形パターンDおよび溝パターンEを形成する。なお、本実施例では、基板21の外形28と溝部25の形状を基板21の形状として設定している。
パターン形成工程後に、図4(e)に示すように、露出した第1層Aおよび第2層B上に第3層Cを形成する(本発明でいう第3層形成工程)。
第3層形成工程後に、第2層Bにおける外形パターンDと溝パターンEとを区別するために、図4(f)に示すように、外形パターンD上の第3層Cを露光し、現像液を用いて現像して露光した箇所を除去し、かつ、第2層Bにおける溝パターンE上の第3層Cを除去せずに形成した状態とする。この状態で、図4(g)に示すように、露出した第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去する(本発明でいう第1除去工程)。
第1除去工程後に、図4(h),図4(i)に示すように、外形28をエッチング形成
し、かつ、溝パターンE上の第3層Cを除去する(本発明でいう第2除去工程)。なお、本実施例にかかる第2除去工程を詳説すると、まず、溝パターンE上の第3層Cを剥離液を用いて除去(剥離)し(図4(h)参照)、その後に外形28をエッチング形成する(図4(i)参照)。
第2除去工程後に、図5(j)に示すように、溝パターンE上の第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去する(本発明でいう第3除去工程)。
第3除去工程後に、水晶素板20から第2層Bを剥離液を用いて除去(剥離)し(図5(k)参照)、第2層Bを除去した後に溝部25をエッチング形成し(図5(l)参照)、溝部25をエッチング形成した後に水晶素板20から第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去して図5(m)に示す水晶振動片2の基板21を形成する(本発明でいう溝部形成工程と第4除去工程)。
なお、本実施例では、上記した第2層Bを剥離(現像)させるために用いる剥離液や現像液と、第3層Cを剥離(現像)させるために用いる剥離液や現像液とは異なる材料を用いる。具体的に、第2層Bであるネガレジスト層を除去する際に用いる剥離液(現像液)は、ネガレジスト層だけでなく第3層Cであるポジレジスト層も除去する材料である。これに対して、第3層Cであるポジレジスト層を除去する際に用いる剥離液(現像液)は、第2層Bであるネガレジスト層を除去することはできない材料である。
また、上記した第1層Aのメタルエッチングには、ウェットエッチングやドライエッチングや電界エッチングなどがある。
上記したように、本実施例にかかる水晶振動片2の製造方法によれば、形成層として同時形成層(第2層B)と区別層(第3層C)とを用いて、同時形成層により外形パターンDと溝パターンEとの形状パターンを同時に形成した後に、区別層により外形パターンDと溝パターンEとを区別させるので、水晶振動片2を製造する際の基板21の形状パターンのパターンずれを抑制することができる。その結果、形状パターンのパターンずれが原因となる水晶振動片2の形状不良や発振周波数のバラツキを抑制することができる。特に、外形パターンDと溝パターンEの形成の際、これらの外形パターンDと溝パターンEとの位置検出を周知の画像認識工程により行う場合、位置検出がずれて外形パターンDと溝パターンEとの正確な位置を検出することができない場合が多い。この場合、上記した図13〜15に示すような従来例(周知)の水晶振動片の製造方法では位置検出のずれが形状パターンのパターンずれに直接作用するが、本実施例によれば位置検出がずれた場合であっても形状パターンのパターンずれが生じなくなる。
また、本実施例にかかる水晶振動片2の製造方法によれば、形成層として第1層Aと第2層Bと第3層Cとを用い、基板形成工程を有するので、上記した作用効果を有するだけなく、第2層Bによる外形パターンDと溝パターンEとの形成時、および第3層Cによる外形パターンDと溝パターンEとの区別時において、第1層Aにより水晶素板20を被覆させることができ、形状パターンDおよび溝パターンの形成時および区別時において水晶素板20への不要なエッチングを防止することができる。
また、基板形成工程では、外形28と溝部25とをそれぞれ個別にエッチング形成するので、基板21の外形28をエッチング形成するときのエッチング量と、溝部25をエッチング形成するときのエッチング量を可変させることができ、基板21の外形28と溝部25とをそれぞれ任意の形状に形成することができる。
また、基板形成工程は、第1層形成工程と第2層形成工程とパターン形成工程と第3層形成工程と第1除去工程と第2除去工程と第3除去工程と溝部形成工程と第4除去工程とを含むので、パターン形成工程において外形パターンDと溝パターンEとの間隔を一定にすることができ、外形パターンDに対する溝パターンEの位置ずれ(もしくは、溝パターンEに対する外形パターンDの位置ずれ)が起こるのを抑制することができる。また、パターン形成工程の後に第3層形成工程および第1除去工程により、溝パターンE上に第3層Cを覆っているので、第2除去工程において溝部25のエッチング形成を全くせずに外形28だけのエッチング形成を確実に行うことができる。
また、第1層は金属層であり、第2層はネガレジスト層であり、第3層はポジレジスト層であるので、パターン形成工程において第2層Bの該当箇所のみを除去することができ、第1除去工程において第1層Aと第3層Cとの該当箇所のみを除去することができ、第2除去工程において第3層Cの該当箇所のみを除去することができ、第3除去工程において第1層Aの該当箇所のみを除去することができ、第4除去工程において第1,2層A,Bを除去することができる。このことは次に示す作用によるものである。第2層Bであるネガレジスト層を除去(剥離除去)する際に用いる剥離液は、ネガレジスト層だけでなく第3層Cであるポジレジスト層も除去(剥離除去)する。これに対して、第3層Cであるポジレジスト層を除去(剥離)する際に用いる剥離液は、第2層Bであるネガレジスト層を除去することはできない。これは、ネガレジスト層の材料が、ポジレジスト層の材料よりも粘着力があるゴム系材料であることに関係し、この粘着力の差を用いて第1,2除去工程を行うことができる。また、第1層Aは、第2,3層B,Cとは材料が異なる金属層であり、第1層Aは第2,3層B,Cとは異なる除去方式(メタルエッチング)により除去する。そのため、本実施例によれば、パターン形成工程と第1〜4除去工程を行うことができる。
また、本実施例にかかる水晶振動片2によれば、上記した水晶振動片2の製造方法により製造されるので、上記した水晶振動片2の製造方法と同様の作用効果を有し、その結果、水晶振動片2を製造する際の形状パターンのパターンずれを抑制することができる。つまり、形状パターンのパターンずれが原因となる水晶振動片2の形状不良や発振周波数のバラツキを抑制した水晶振動片を得ることができる。
また、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、蓋4とベース3との接合により成形される本体筐体5の内部空間のベース3上に、少なくとも上記した水晶振動片2が気密封止されるので、上記した水晶振動片2の製造方法と同様の作用効果を有し、その結果、水晶振動片2を製造する際の形状パターンのパターンずれを抑制することができる。つまり、形状パターンのパターンずれが原因となる水晶振動片2の形状不良や発振周波数のバラツキを抑制した水晶振動子1を得ることができる。
なお、本実施例では、本体筐体5の内部空間のベース3上に水晶振動片2を気密封止した状態で設けているが、本体筐体5の内部空間のベース3上に設ける部材は水晶振動片2単体だけに限定されるものではなく、さらに集積回路素子や別の水晶振動片などの電子部品を設けてもよい。
また、本実施例では、図1,図2に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された蓋4と、凹状に成形されたベース3とを用いているが、これに限定されるものではない。ベース3と蓋4とにより水晶振動片2を気密封止できれば、ベース3と蓋4の形状は任意に設定してもよい。すなわち、ベース3の接合領域は底部31の表面外周に沿って成形された堤部32上に限定されず、蓋4とベース3との接合を行い、かつ、本体筐体5の内部空間を形成するとともに内部空間を気密封止することが可能であれば、任意に設計してもよい。
また、本実施例では、接合材61が蓋4に設けられているが、これに限定されるものではなく、ベース3に設けられてもよい。また、蓋4とベース3とのどちらにも設けられずに、蓋4とベース3との接合の際に用いられてもよい。
また、本実施例では、水晶振動片2を導電性接合材62により直接ベース3に接合しているが、これに限定されるものではなく、他の部材を介して水晶振動片2をベース3に間接的に接合してもよい。たとえば、水晶振動片2への外的な応力を軽減させるためにサポート材を介して水晶振動片2をベース3に接合してもよい。
また、上記した本実施例にかかる水晶振動子1では、導電性接合材62として金などの金属材料からなる接続バンプのみを用いているが、他の金属材料の接続バンプからなってもよい。また、接続バンプに限らずシリコーン樹脂などからなる導電性樹脂接着剤を用いてもよい。
また、本実施例では、第1除去工程後に、図4(h),図4(i)に示すように第2除
去工程を行なっているが、これに限定される工程ではなく、外形28をエッチング形成し、かつ、溝パターンE上の第3層Cを除去すればよく、例えば、図6(h’),図6(i
’)に示すように、まず、外形28をエッチング形成し(図6(h’)参照)、その後に溝パターンE上の第3層Cを除去してもよい(図6(i’)参照)。
また、本実施例では、第3除去工程後に、図5に示すように溝部形成工程と第4除去工程とを行なっているが、これら溝部形成工程と第4除去工程はこれに限定されるものではなく、第3除去工程後に溝部形成工程と第4除去工程を行なえればよい。そのため、溝部形成工程と第4除去工程との工程順は任意に変更してもよく、例えば、第3除去工程後にまず溝部25をエッチング形成し、溝部25をエッチング形成した後に基板21から第2層Bを除去し、第2層Bを基板21から除去した後に基板21から第1層Aを除去して水晶振動片2の基板21を形成してもよい。
また、本実施例では、基板21の両主面24に溝部25を形成するが、これに限定されるものではなく、基板21の少なくとも一主面に少なくとも一つの溝部を形成すればよい。
また、本実施例では、基板21の両主面24に溝部25を形成するが、本発明でいう溝部25の定義はこれに限定されるものではなく両主面24からその基板21内側に窪んでいればよく、例えば、基板21の両主面24を貫通する貫通孔であってもよい。
また、本実施例では、基板21の形状を形成するための形成層として、第1〜3層A,B,Cのみを用いているが、これに限定されるものではなく、第1〜3層A,B,Cを含む4層以上の複数層からなる形成層であってもよい。
また、本実施例では、図4(f)に示すように、第3層形成工程後に、第2層Bにおける外形パターンDと溝パターンEとを区別するために、第2層Bにおける溝パターンE上の第3層Cを除去せずに形成した状態としているが、これに限定されるものではなく、第2層Bにおける溝パターンEを被覆し、かつ、第2層Bにおける外形パターンDを被覆しないように第3層Cを形成すれば、第3層Cの除去しない箇所は任意に設定してもよい。例えば、第3層Cの除去しない箇所は、第2層Bにおける溝パターンE及び、第2層B上としてもよく、この場合、耐フッ酸性を向上させることができる。
また、本実施例では、第1層Aを全てメタルエッチングにより除去しているが、これに限定されるものではなく、第1層Aの一部を残して第1層Aを引き出し電極27の少なくとも一部として用いてもよい。この場合、引き出し電極27の重要箇所(例えば、水晶振動片2からみて外部となるベース3の電極パッド34と直接接触する部分)の形成をさらに不具合なく確実に行うことができる。
また、本実施例では、第1層Aを全てメタルエッチングにより除去しているが、これに限定されるものではなく、第1層Aの一部を残して第1層Aを外形パターンDと溝パターンEの形成の際にこれらのパターンD,Eの位置検出を行う(画像認識工程)ための画像認識部として用いてもよい。この場合、新たに画像認識部を形成する工程を必要せずに、その結果製造工程の短縮を図ることができる。
また、本実施例では、第1層Aとして金属層を用い、第2層Bとしてネガレジスト層を用い、第3層Cとしてポジレジスト層を用いているが、これら第1〜3層A,B,Cの材料はこれに限定されるものではなく、以下にその具体例を示す。
第1例として、第1層Aに金属層を用い、第2層Bに第1層Aと比較して硬度が低い金属層を用い、第3層Cにネガレジスト層を用いてもよい。この場合、パターン形成工程において第2層Bの該当箇所のみを除去することができ、第1除去工程において第1層Aと第3層Cとの該当箇所のみを除去することができ、第2除去工程において第3層Cの該当箇所のみを除去することができ、第3除去工程において第1層の該当箇所のみを除去することができ、第4除去工程において第1,2層A,Bを除去することができる。このことは次に示す作用によるものである。第1,2層A,Bである金属層ではその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても第1,2層A,Bの除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合第2層Bのほうが第1層Aよりも除去量が多い。また、第3層Cは、第1,2層A,Bとは材料が異なるネガレジスト層であり、第3層Cは第1,2層A,Bとは異なる除去方式(剥離液による除去)により除去する。そのため、本構成によれば、パターン形成工程と第1〜4除去工程を行うことができる。また、この場合、除去量の基準の一つを第1,2層の硬度に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることができる。
第2例として、第1層Aに金属層を用い、第2層Bに第1層Aと比較して硬度が低い金属層を用い、第3層Cにポジレジスト層を用いてもよい。この場合、パターン形成工程において第2層の該当箇所のみを除去することが可能となり、第1除去工程において第1層と第3層との該当箇所のみを除去することが可能となり、第2除去工程において第3層の該当箇所のみを除去することが可能となり、第3除去工程において第1層の該当箇所のみを除去することが可能となり、第4除去工程において第1,2層を除去することが可能となる。このことは次に示す作用によるものである。第1,2層である金属層ではその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても第1,2層の除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合第2層のほうが第1層よりも除去量が多い。また、第3層は、第1,2層とは材料が異なるポジレジスト層であり、第3層は第1,2層とは異なる除去方式(剥離液による除去)により除去する。そのため、本構成によれば、パターン形成工程と第1〜4除去工程を行うことが可能となる。また、この場合、除去量の基準の一つを第1,2層の硬度に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることが可能となる。
第3例として、第1層Aに金属層を用い、第2層Bにポジレジスト層を用い、第3層Cに第2層Bと比較して粘着力が低いポジレジスト層を用いてもよい。この場合、パターン形成工程において第2層Bの該当箇所のみを除去することができ、第1除去工程において第1層Aと第3層Cとの該当箇所のみを除去することができ、第2除去工程において第3層Cの該当箇所のみを除去することができ、第3除去工程において第1層Aの該当箇所のみを除去することができ、第4除去工程において第1,2層A,Bを除去することができる。このことは次に示す作用によるものである。第2,3層B,Cであるポジレジスト層ではその粘着力が異なるために同じ除去方式(剥離液による除去)を用いた場合であっても第2,3層B,Cの除去量(剥離量)は異なり、この構成の場合第3層Cのほうが第2層Bよりも除去量が多い。また、第1層Aは、第2,3層B,Cとは材料が異なる金属層であり、第1層Aは第2,3層B,Cとは異なる除去方式(メタルエッチング)により除去する。そのため、本構成によれば、パターン形成工程と第1〜4除去工程を行うことができる。また、この場合、除去量の基準の一つを第2,3層B,Cの粘着量に設定して除去量(剥離量)の設定を容易にすることができる。
第4例として、第1層Aに金属層を用い、第2層Bに第1層Aと比較して硬度が低い金属層を用い、第3層Cに第2層Bと比較して硬度が低い金属層を用いてもよい。この場合、パターン形成工程において第2層Bの該当箇所のみを除去することができ、第1除去工程において第1層Aと第3層Cとの該当箇所のみを除去することができ、第2除去工程において第3層Cの該当箇所のみを除去することができ、第3除去工程において第1層Aの該当箇所のみを除去することができ、第4除去工程において第1,2層A,Bを除去することができる。このことは次に示す作用によるものである。第1〜3層A,B,Cである金属層ではそれぞれその硬度が異なるために同じ除去方式(メタルエッチング)を用いた場合であっても第1〜3層A,B,Cの除去量(エッチング量)は異なり、この構成の場合第2層Bのほうが第1層Aよりも除去量が多く、第3層Cのほうが第2層Bよりも除去量が多い。そのため、本構成によれば、パターン形成工程と第1〜4除去工程を行うことができる。また、この場合、除去量の基準を第1〜3層A,B,Cの硬度に設定して除去量(エッチング量)の設定を容易にすることができる。
また、上記した第1〜3層A,B,Cの材料の変形例では、少なくとも2つの層に金属層を用いた場合、それぞれの硬度を異ならせて除去工程の差異を図っているが、これに限定されるものではなく、それぞれの金属材料個別に対応した対応エッチング液を用いて各金属層のメタルエッチングを行ってもよい。例えば、金属層にCr(クロム)を用いた場合、過塩素酸水溶液を用いて金属層のメタルエッチングを行い、金属層にAu(金)を用いた場合、よう素水溶液を用いて金属層のメタルエッチングを行いて、除去工程の差異を図ってもよい。
次に、本実施例2にかかる水晶振動子1を図面を用いて説明する。なお、本実施例2にかかる水晶振動子1は、上記した実施例1に対して、水晶振動片が異なる。そこで、本実施例2では、上記した実施例1と異なる構成について説明し、同一の構成についての説明を省略する。そのため、同一構成による作用効果及び変形例は、上記した実施例1と同様の作用効果及び変形例を有する。
水晶振動片7は、図7,8に示すように、厚みすべり振動系の振動片であり、本実施例ではATカット水晶片を用いる。この水晶振動片7は、ATカット水晶片の基板71からなり、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。すなわち、基板71の外形76は、直方体形状からなる。
この基板71の両主面72には、水晶振動片7の高周波化に対応するため、例えば、エッチングなどの手法により溝部75(凹部ともいう)が形成されており水晶振動片7の一部が薄肉に構成されている。この薄肉の水晶振動片7の両主面72(溝部75の内部底面)にはそれぞれ励振電極73が形成され、これらの励振電極73を導電性接合材62により外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド34)と電気機械的に接合するために励振電極73から引き出された引き出し電極74が形成されている。
なお、これらの励振電極73及び引き出し電極74は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、基板71側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはクロム、金、クロム(Cr−Au−Cr)の順に、あるいはクロム、金、ニッケル(Cr−Au−Ni)の順に、あるいはクロム、銀、クロム(Cr−Ag−Cr)の順に、あるいはクロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に、あるいはニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層して形成されている。
上記した水晶振動片7の基板71の形状のうち外形76および溝部75は、その両主面74に第1〜3層A,B,C(図9〜11参照)を積層して、この積層した第1〜3層A,B,Cを用いて形成する。
そして、水晶振動片7の基板71の形成工程では、上記した形成層A,B,Cを用いて、第2層Bにより外形パターンDと溝パターンEとの形状パターンを同時に形成した後に、第3層Cにより外形パターンDと溝パターンEとを区別させながら、第1層Aを用いて基板71の外形76と溝部75とに該当する基板部分を露出させて基板71の外形76と溝部75とをそれぞれ個別にエッチング形成して(本発明でいう基板形成工程)、水晶振動片7の基板71を形成する。
この基板形成工程を更に詳説すると、人工水晶(図示省略)から複数個の板状の水晶素板70(本発明でいう基板素板)に切出し形成し(図9(a)参照)、水晶素板70から複数個の水晶振動片7の基板71を形成する(図11(m)参照)。なお、図9〜11では、水晶素板70および基板71の一部側面を示し、図7に示すB3-B3線断面図の基板71に相当する図である。そして、この水晶素板70は水晶Z板であり、人工水晶から切出し形成する際、直交座標系においてX軸とY軸とからなるXY平面をX軸回りに傾けたものである。
まず、図9(a)に示す水晶素板70の両主面74上に、図9(b)に示すように、第1層Aを形成する(本発明でいう第1層形成工程)。そして、図9(b)に示すように形成した第1層A上に、図9(c)に示すように、第2層Bを形成する(本発明でいう第2層形成工程)。
第2層形成工程後に、図10(d)に示すように、予め設定した基板71の形状に基づいて、第2層Bに外形パターンDと溝パターンEとの形状パターンを同時形成する(本発明でいうパターン形成工程)。具体的に、基板71の外形76および溝部75を形成するために、水晶素板70上の基板71の外形76および溝部75に該当する部分(該当箇所)の第2層Bを露光し、現像液を用いて現像して露光した箇所を除去し、第2層Bにおける水晶振動片7の外形パターンDおよび溝パターンEを形成する。なお、本実施例では、基板71の外形76と溝部75の形状を基板71の形状として設定している。
パターン形成工程後に、図10(e)に示すように、露出した第1層Aおよび第2層B上に第3層Cを形成する(本発明でいう第3層形成工程)。
第3層形成工程後に、第2層Bにおける外形パターンDと溝パターンEとを区別するために、図10(f)に示すように、外形パターンD上の第3層Cを露光し、現像液を用いて現像して露光した箇所を除去し、かつ、第2層における溝パターンE上の第3層Cは除去せずに形成した状態とする。この状態で、図10(g)に示すように、露出した第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去する(本発明でいう第1除去工程)。
第1除去工程後に、図10(h),図10(i)に示すように、外形76をエッチング
形成し、かつ、溝パターンE上の第3層Cを除去する(本発明でいう第2除去工程)。なお、本実施例にかかる第2除去工程を詳説すると、まず、溝パターンE上の第3層Cを剥離液を用いて除去(剥離)し(図10(h)参照)、その後に外形76をエッチング形成する(図10(i)参照)。
第2除去工程後に、図11(j)に示すように、溝パターンE上の第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去する(本発明でいう第3除去工程)。
第3除去工程後に、水晶素板70から第2層Bを剥離液を用いて除去(剥離)し(図11(k)参照)、第2層Bを除去した後に溝部75をエッチング形成し(図11(l)参照)、溝部75をエッチング形成した後に水晶素板70から第1層Aをメタルエッチングによりエッチング除去して図11(m)に示す水晶振動片7の基板71を形成する(本発明でいう溝部形成工程と第4除去工程)。
上記した本実施例では、第1除去工程後に、図10(h),図10(i)に示すように
第2除去工程を行なっているが、これに限定される工程ではなく、外形76をエッチング形成し、かつ、溝パターンE上の第3層Cを除去すればよく、例えば、図12(h’),図12(i’)に示すように、まず、外形76をエッチング形成し(図12(h’)参照
)、その後に溝パターンE上の第3層Cを除去してもよい(図12(i’)参照)。
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。