JP4604456B2 - ハイブリットモジュール基板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行うハイブリットモジュール基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、パーソナルコンピュータ、デジタル電話機、ビデオ機器、オーディオ機器等の各種デジタル電子機器には、各種のIC(Integrated Circuit)素子やLSI(Large Scale Integration)素子、メモリ素子等の多数個の集積回路素子が備えられている。集積回路素子は、配線パターンの微細化、ICパッケージの小型化や集積規模の飛躍的な向上、多ピン化或いはCSP(chip size package)実装法等の実装方法の改善によって小型軽量化や薄型化が図られるとともに、高機能化や多機能化、動作速度の大幅な向上による高速処理化等が図られている。
【0003】
集積回路素子等の信号伝送は、一般にボード内に搭載された集積回路素子間等のように比較的短い距離の場合も、電気配線を伝送される電気信号によって行われている。信号伝送においては、今後情報信号の高速伝送化や信号パターンの高密度化等によってさらなる性能の向上が図られているが、電気配線による対応ではその限界がある。すなわち、電気配線による信号伝送は、配線パターン内において発生するCR(Capacitance-Resistance)時定数による信号伝送の遅延、EMI(Electromagnetic Interference)ノイズやEMC(Electoromagnetic Compatibility)或いは各配線パターン間のクロストーク等の問題に対する対応が必要となる。
【0004】
信号伝送においては、上述した電気配線による電気信号の伝送方式の問題を解決するために、光信号配線や光インターコネクション等によって構成される光学配線技術を用いた光信号伝送の採用が注目されている。光信号伝送は、機器間や機器に搭載されたボード間或いはボード内の各集積回路素子間に伝送される情報信号等を高速で伝送することを可能とする。光信号伝送は、特に集積回路素子間のように短距離の信号伝送を行う場合に、集積回路素子を実装した基板上に光導波路を形成することによって、この光導波路を伝送路として光信号を高速かつ大容量を以って伝送し、情報信号等の伝送システムを好適に構築することを可能とする。
【0005】
各種の電子機器等においては、上述した光信号伝送を行う場合に、電気配線と光配線とを混載したハイブリット型配線基板が備えられる。ハイブリット型配線基板は、例えばシリコン基板やガラス基板のように平坦な主面を有する基板を用いて、この基板の主面上に精密かつ微細化された薄膜多層の電気配線パターンを形成するとともに光導波路を形成する。光導波路には、光導波路の形成材料として例えばリソグラフィック技術によってパターン形成が低温プロセスで可能な導光性を有する樹脂材が好適に用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したハイブリット型配線基板においては、複数個の集積回路素子等を備えてこれらの素子間で相互に信号授受等を行う場合に、伝送路の切換制御を行うためのスイッチ手段が設けられる。ハイブリット型基板においては、かかるスイッチ手段に、光配線中を伝送される光信号が電気信号に変換されることなく直接切換えられたり変換されたりする光スイッチを用いることが好ましい。ハイブリット型基板は、光スイッチによって電気信号に変換する際の光信号の伝送ロスを抑制して、高速かつ高容量化を保持して切換或いは変換されて伝送が行われるようにする。
【0007】
光スイッチについては、例えばLiNbO結晶とTi等の強誘電体材料と光半導体材料とを用いた電気光学型スイッチ、半導体材料を用いた光ゲート型スイッチ、表面弾性波による導波光の回析効果を利用した音響・光学型スイッチ、希土類ガーネット材料等の磁気光学効果の大きい材料を用いた磁気・光学型スイッチ或いは誘電体の温度変化による屈折率の変化を利用した熱・光学効果型スイッチ等の各種の光スイッチが提案されている。
【0008】
しかしながら、上述した従来の各光スイッチは、いずれも比較的高価であるとともに光導波路と独立したディバイスとして光配線中に設けられる。従来の各光スイッチにおいては、光配線との接続作業が面倒でありかつ接続部位において損失が生じるといった問題があった。
【0009】
また、ハイブリット型基板においては、各集積回路素子間において例えばコントロール信号、データ信号或いはアドレス信号等の複数の信号伝送が行われることが多い。したがって、ハイブリット型基板においては、複数の光配線を同時にスイッチング可能な光スイッチも望まれている。かかる光スイッチとしては、上述した個別の光スイッチを基板上にマトリックス状に集積して構成したものが提案されているが、構造が複雑であるとともに高価であった。
【0010】
したがって、本発明は、ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、この配線層内に多層化された複数のコア層と光スイッチを有して集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行い、光スイッチにより伝送される複数の光信号の切換や変換を、損失を低減して高精度に行うことが可能な構造簡易で小型かつ廉価なハイブリットモジュール基板及びその製造方法を提供することを目的に提案されたものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成する本発明にかかるハイブリットモジュール基板は、ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行う。ハイブリットモジュール基板は、配線層の光配線が、第1クラッド層と、第1のコア層と、第2クラッド層と、第2のコア層と、第3クラッド層と、光スイッチとから構成される。ハイブリットモジュール基板は、第1クラッド層が、ベース基板の主面上に平坦化された主面を有して形成される。ハイブリットモジュール基板は、第1のコア層が、第1クラッド層の主面上に、その屈折率よりも大きな屈折率特性と熱・光学効果特性を有するコア形成材料によりパターン形成され、第1の光信号を第1の伝播モードで伝送する。ハイブリットモジュール基板は、第2クラッド層が、第1クラッド層上に第1のコア層を封止し、平坦化された主面を有して積層形成される。ハイブリットモジュール基板は、第2のコア層が、第2クラッド層の主面上に、第2の光信号を第2の伝播モードで伝送するとともに光信号の伝播方向の一部で第1のコア層を伝送される第1の光信号との伝播モード分布の重なり結合が生じる対向間隔を保持して積層形成され、この重なり結合が生じる結合領域をスイッチング領域として構成してなる。ハイブリットモジュール基板は、第3クラッド層が、平坦化された主面を有して第2クラッド層の主面上に上記第2のコア層を封止して積層形成される。ハイブリットモジュール基板は、光スイッチが、第3クラッド層の主面上に、スイッチング領域と対向して積層形成された金属薄膜層からなり、電流供給により発熱して第1のコア層と第2のコア層を加熱することによりこれら第1のコア層と第2のコア層との間で熱・光学効果特性による屈折率の変化を生じさせて第1の光信号と第2の光信号の切換や変換を行う。
【0012】
以上のように構成された本発明にかかるハイブリットモジュール基板によれば、例えば第1の集積回路素子と第2の集積回路素子間において電気配線による電気信号の授受とともに、第1の電気−光学変換素子と第2の電気−光学変換素子を介して光配線による光信号の授受を行う。ハイブリットモジュール基板によれば、第1の集積回路素子から出力された電気信号が、第1の電気−光学変換素子により光信号に変換されて光配線を電装される。ハイブリットモジュール基板によれば、スイッチング領域において、電力供給制御手段により光スイッチへの電流供給量を制御して第1のコア層と第2のコア層に対する加熱温度を調整してそれぞれの屈折率の特性を変化させることにより、伝播する複数の光信号から所定の波長を有する光信号の切換や変換を行って当該光信号の光配線を介して接続された第2の電気−光学変換素子への伝送が行われる。ハイブリットモジュール基板によれば、第2の電気−光学変換素子において光信号から変換された電気信号が第2の集積回路素子に入力される。ハイブリットモジュール基板によれば、積層形成された第1のコア層と第2のコア層とをスイッチング領域において光スイッチによりモード結合或いは非モード結合の状態としてそれぞれを伝播する光信号がスイッチング領域において切換或いは変換されて伝送されるようにする。ハイブリットモジュール基板によれば、構造が簡易であるとともに光信号が損失を低減され高速かつ効率的に伝送することを可能とする光スイッチを介して集積回路素子間において信号授受が行われるようにする。
【0013】
また、上述した目的を達成する本発明にかかるハイブリットモジュール基板の製造方法は、 ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、集積回路素子間で電気配線による電気信号の授受とともに光配線による光信号の授受を行うハイブリットモジュール基板を製造する。ハイブリットモジュール基板の製造方法は、ベース基板の主面上にクラッド層形成材料を用いて平坦化された主面を有する第1クラッド層を形成する工程と、第1のコア層をパターン形成する工程と、第1クラッド層上にクラッド層形成材料を用いて第1のコア層を封止するとともに平坦化された主面を有する第2クラッド層を積層形成する工程と、第2のコア層を積層形成する工程と、第2クラッド層の主面上にクラッド層形成材料を用いて第2のコア層を封止するとともに平坦化された主面を有する第3クラッド層を積層形成する工程と、金属薄膜層及び所定の電気配線パターンを形成する工程とを経て、配線層を形成する。ハイブリットモジュール基板の製造方法は、配線層の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を実装する工程を有する。ハイブリットモジュール基板の製造方法は、第1のコア層の形成工程が、第1クラッド層の主面上に、クラッド層形成材料よりも大きな屈折率特性と熱・光学効果特性を有するコア形成材料を用いて第1の光信号を第1の伝播モードで伝送する第1のコア層をパターン形成する。ハイブリットモジュール基板の製造方法は、第2のコア層の形成工程が、第2クラッド層の主面上に、コア形成材料を用いて第2の光信号を第2の伝播モードで伝送する所定パターンからなり、光信号の伝播方向の一部で第1の光信号との伝播モード分布の重なり結合が生じる対向間隔を保持しかつこの重なり結合が生じる結合領域をスイッチング領域として構成する第2のコア層を形成する。ハイブリットモジュール基板の製造方法は、第3クラッド層の主面上に成膜した金属薄膜層にパターン形成処理を施し、スイッチング領域と対向して電流供給により発熱して第1のコア層と第2のコア層を加熱することによりこれら第1のコア層第2のコア層との間で熱・光学効果特性による屈折率の変化を生じさせて第1の光信号と第2の光信号の切換や変換を行う光スイッチを構成する金属薄膜層及び所定の電気配線パターンを形成する工程とを経て光配線と電気配線を混載した配線層を形成する。
【0014】
上述した工程を有する本発明にかかるハイブリットモジュール基板の製造法によれば、例えば第1の集積回路素子と第2の集積回路素子間において電気配線による電気信号の授受とともに光配線による光信号の授受を行い、電力供給制御手段により光配線に形成した光スイッチへの電流供給量を制御して第1のコア層と第2のコア層に対する加熱温度を調整してそれぞれの屈折率の特性を変化させ、スイッチング領域において伝播する複数の光信号から所定の波長を有する光信号の切換や変換を行うハイブリットモジュール基板を製造する。ハイブリットモジュール基板の製造法によれば、一般的な半導体製造工程によりコア層とともに構造が簡易な光スイッチを電気−光学変換素子間の光配線に形成し、小型で薄型でありかつ光信号が損失を低減され高速かつ効率的に伝送することが可能なハイブリットモジュール基板を製造する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。第1の実施の形態として図1に示したハイブリットモジュール基板2は、電気配線と光配線とを混載してなる配線層に、詳細を後述する光導波路型光スイッチ(以下、光スイッチと略称する。)1を光導波路及び配線パターンとともに直接形成してなる。ハイブリットモジュール基板2は、詳細を省略するが同図鎖線で示したマザー基板等の実装ボード3上にベース基板4が実装される。ハイブリットモジュール基板2には、ベース基板4に集積回路素子5A,5Bが実装されており、これら集積回路素子5A,5B間で電気配線と光配線とによって信号伝達が行われる。ハイブリットモジュール基板2は、伝送速度がやや低速であっても支障が少ないコントロール信号や電源供給等を電気配線によって行い、データ信号や画像信号等を光配線によって高速かつ大容量で伝送する。
【0016】
ハイブリットモジュール基板2には、ベース基板4上に電気−光学変換素子6A,6Bが実装されており、これら電気−光学変換素子6A,6Bによって集積回路素子5A,5Bの入出力信号を電気信号から光信号或いは光信号から電気信号へと変換する。ハイブリットモジュール基板2には、ベース基板4に電気−光学変換素子6A,6B間で光信号を伝送する光配線を構成する詳細を後述する光学バス7が形成されている。ハイブリットモジュール基板2は、この光学バス7を構成要件として、詳細を後述する光信号の伝送方向の所定領域(以下、スイッチング領域と称する。)8に沿って金属薄膜層からなる光導波路加熱層9を形成して光スイッチ1を構成する。
【0017】
ベース基板4には、精度の高い平坦面に形成される例えばシリコン基板やガラス基板が用いられ、後述する工程によって主面上に配線層が高精度に積層形成される。また、ベース基板4には、比較的廉価であるとともにスルーホール等を形成することも可能な有機基板も用いられる。ベース基板4は、かかる有機基板を用いた場合に、例えば主面上に形成された第1配線層に研磨処理を施して平坦化を施した後に上層の各配線層が高精度に積層形成される。
【0018】
光学バス7は、詳細を後述するようにベース基板4上に薄膜技術等によって形成され、図2に示すように第1の光導波路10と第2の光導波路11とを上下2層に形成した2層構造からなる。光学バス7は、図4に示すように第1の光導波路10に第1の光信号S1を伝播モードβ1で伝送し、第2の光導波路11に第2の光信号S2を伝播モードβ2で伝送する。光学バス7は、第2の光導波路11上に、さらに光導波路を積層形成して多層化して構成するようにしてもよい。光学バス7は、詳細を後述するようにスイッチング領域8において光スイッチ1によって第2の光導波路11の屈折率が変化されることによって光学的なスイッチングが行われ、第1の光導波路10と第2の光導波路11との間で光信号の切換や変換が行われる。
【0019】
第1の光導波路10は、熱・光学効果特性を有する光導波路材料、例えば石英系材料やポリマー系材料、ポリイミド等の高分子系光導波路材料が用いられて、詳細を後述する工程が施されてベース基板4の主面上に形成される。第1の光導波路10は、図3に示すように同一層内においてアレィ形成された第1個別コア層12a乃至12cからなる第1コア層12と、この第1コア層12よりも屈折率が小さくかつ各第1個別コア層12a乃至12cを一括して封止する第1下部クラッド層(第1クラッド層)13及び第1上部クラッド層(第2クラッド層)14とから構成される。第1の光導波路10は、ベース基板4上に第1下部クラッド層13を形成した後に、この第1下部クラッド層13上に第1個別コア層12a乃至12cがパターン形成される。第1の光導波路10は、これら第1個別コア層12a乃至12cを一括して封止するようにして第1下部クラッド層13上に第1上部クラッド層14が形成されてなる。
【0020】
第1の光導波路10には、各第1個別コア層12a乃至12c内にそれぞれ光信号S1−a乃至S1−cが伝送される。第1の光導波路10においては、各光信号S1−a乃至S1−cが第1下部クラッド層13及び第1上部クラッド層14とによって各第1個別コア層12a乃至12c内に閉じ込められた状態でそれぞれ伝送される。第1の光導波路10においては、各第1個別コア層12a乃至12cが、それぞれに伝送される光信号S1−a乃至S1−cが相互に干渉することなく独立して伝送されるに足る間隔を以って形成されている。
【0021】
第2の光導波路11も、第1の光導波路10と同様に熱・光学効果特性を有する光導波路材料、例えば石英系材料やポリマー系材料,ポリイミド等の高分子系光導波路材料が用いられ、詳細を後述する工程を施されて第1の光導波路10の第1上部クラッド層14上に形成される。第2の光導波路11も、第1上部クラッド層14をベースとして同一層内においてアレィ形成された第2個別コア層15a乃至15cからなる第2コア層15と、この第2コア層15よりも屈折率が小さくかつ各第2個別コア層15a乃至15cを一括して封止する第2上部クラッド層(第3クラッド層)16とから構成される。第2の光導波路11は、第1上部クラッド層14を下部クラッド層として兼用して第2個別コア層15a乃至15cをパターン形成した後に、第2上部クラッド層16を形成してこれら第2個別コア層15a乃至15cを一括して封止してなる。
【0022】
第2の光導波路11には、各第2個別コア層15a乃至15c内にそれぞれ光信号S2−a乃至S2−cが伝送される。第2の光導波路11においては、各光信号S2−a乃至S2−cが第1上部クラッド層14と第2上部クラッド層16とによって各第2個別コア層15a乃至15c内に閉じ込められた状態でそれぞれ伝送される。第2の光導波路11においても、各第2個別コア層15a乃至15cが、それぞれに伝送される光信号S2−a乃至S2−cが相互に干渉することなく独立して伝送されるに足る間隔を以って形成されている。
【0023】
光学バス7においては、上述した第1の光導波路10の第1個別コア層12a乃至12cと第2の光導波路11の第2個別コア層15a乃至15cとが、伝送方向の所定の長さLの領域において互いに上下に対向して対をなすように形成されている。光学バス7においては、対をなす第1個別コア層12a乃至12cと第2個別コア層15a乃至15cとが、この領域内においてそれぞれに伝送される光信号S1−a乃至S1−c及び光信号S2−a乃至S2−cが屈折率摂動によりモード分布を重なり結合する対向間隔を以って形成されることによってスイッチング領域8を構成する。
【0024】
光学バス7においては、第1の光導波路10と第2の光導波路11とが、スイッチング領域8以外の領域でモード分布の結合が生じないように対向間隔を保持されて形成されている。光学バス7は、第1の光導波路10と第2の光導波路11とが、例えば図3に示すようにスイッチング領域8以外の領域でそれぞれ対をなす第1個別コア層12a乃至12cと第2個別コア層15a乃至15cとをそれぞれ上下に対向しないようにしてベース基板4上に適宜に引き回されてパターン形成される。
【0025】
光学バス7には、図3及び図4に示すように、スイッチング領域8に対応する第2上部クラッド層16上に、光スイッチ1を構成する光導波路加熱層9が成膜形成されている。光導波路加熱層9は、例えばチタン,タンタル或いはニッケル−クロム等のように比較的高い抵抗値特性を有する金属の薄膜層からなり、詳細を後述する光導波路加熱層形成工程によって例えば数千Å程度の厚みを以って成膜形成される。光導波路加熱層9は、電源部17から電流が供給されることにより発熱して第2の光導波路11を加熱する。光導波路加熱層9は、上述したように熱・光学効果特性を有する光導波路材料によって形成した第2の光導波路11を加熱してその屈折率特性を変化させることで、この第2の光導波路11と第1の光導波路10との間で光信号S1と光信号S2のスイッチングが行われるようにする。光導波路加熱層9は、屈折率変化手段を構成する。
【0026】
光導波路加熱層9は、加熱部18と、接続部19と、電極部20とが一体に形成されてなる。加熱部18は、図3に示すように、スイッチング領域8内において各第2個別コア層15a乃至15cに対して第2上部クラッド層16を介してそれぞれ所定の長さで対向するように形成された互いに平行な第1の個別加熱部18a乃至第3の個別加熱部18cとからなる。接続部19は、第1の個別加熱部18aの一端部から折曲形成されて第2の個別加熱部18bの相対する端部と接続された第1の接続部19aと、第2の個別加熱部18bの他端部から折曲形成されて第3の個別加熱部18cの相対する端部と接続された第2の接続部19eとからなる。
【0027】
電極部20は、第1の個別加熱部18aの他端部から側方へ折曲形成された第1の電極部20aと、第3の個別加熱部18cの他端部から側方へ折曲形成された第2の電極部20bとからなる。光導波路加熱層9は、第1の電極部20aと第2の電極部20bとがそれぞれ電源部17と接続されることによって、第1の個別加熱部18a乃至第3の個別加熱部18cが第1の接続部19dと第2の接続部19eとを介して互いに直列に接続されている。光導波路加熱層9は、第1の個別加熱部18a乃至第3の個別加熱部18cにより相対する第2個別コア層15a乃至第2個別コア層15cを同時に加熱し、熱・光学学効果によってそれぞれの屈折率を変化させる。
【0028】
光スイッチ1は、上述したように第1の個別加熱部18a乃至第3の個別加熱部18cからなる加熱部18と接続部19と電極部20とを一体に形成した光導波路加熱層9を有して、第1の光導波路10の第1個別コア層12a乃至12cと対をなす第2の光導波路11の第2個別コア層15a乃至15cとを一括してスイッチングするように構成される。したがって、光スイッチ1においては、構造が簡易であるとともに小型化を図って光学バス7中において光学的なスイッチングが行われるようにする。
【0029】
なお、光スイッチ1は、例えば各第2個別コア層15a乃至15cに対して個別に配置されてこれらを加熱する独立した金属薄膜を設けるようにしてもよい。かかる光スイッチ1は、各金属薄膜に対して個別に電流供給を行うことによって第1個別コア層12a乃至12cと対をなす第2個別コア層15a乃至15cとについて個別にスイッチングを行うことを可能とする。
【0030】
ところで、光学バス7においては、第1の光導波路10と第2の光導波路11とを伝送される光信号S1と光信号S2の波長λによって熱・光学効果特性が大きく変化するとともに波長分散性を有する。光学バス7においては、光導波路加熱層9による加熱温度によって、ある波長の光信号ではモード結合が生じるが他の波長の光信号ではモード結合が生じないといった状態を呈する。光スイッチ1は、図2に示すように電源部17を制御する制御部21を設けて光導波路加熱層9に対する供給電流量を制御するように構成してもよい。
【0031】
光スイッチ1においては、光導波路加熱層9が供給電流量に応じて発熱量を制御されることにより、第2の光導波路11の加熱状態を調整する。したがって、光スイッチ1は、制御部21によって電源部17から光導波路加熱層9に供給する電流量を制御することによって、光信号S1と光信号S2の波長λに応じて第1の光導波路10と第2の光導波路11との間の選択的なスイッチングを行うようにする。換言すれば、光スイッチ1は、ある特定波長λの光信号についてのみスイッチングを行う機能を有することで、光学バス7の一部に光フィルタ機能を付加する。
【0032】
以上のように構成されたハイブリットモジュール基板2においては、例えば集積回路素子5Aから出力された電気信号が電気−光学変換素子6Aによって光信号に変換されて光学バス7を伝送される。ハイブリットモジュール基板2においては、光学バス7に設けた光スイッチ1のスイッチング動作により、伝送される光信号が第1の光導波路10と第2の光導波路11との間において適宜切換或いは変換が行われる。ハイブリットモジュール基板2においては、切換等が行われて光学バス7を伝送される光信号が電気−光学変換素子6Bによって電気信号に変換されて集積回路素子5Bに入力される。したがって、ハイブリットモジュール基板2においては、光学バス7に直接設けられた光スイッチ1によって光信号の切換等が行われることで、データ信号や画像信号等が損失を低減されて高速かつ大容量で伝送される。
【0033】
また、ハイブリットモジュール基板2においては、光スイッチ1が制御部21により光導波路加熱層9の発熱量が制御されることで、光学バス7の第2の光導波路11の屈折率変化が調整される。ハイブリットモジュール基板2においては、これによって光学バス7を伝送される光信号の波長λに応じて光スイッチ1が選択的なスイッチング動作を行うことになる。ハイブリットモジュール基板2においては、例えば第1の光導波路10を伝送されるある波長λ1の光信号S1がスイッチング領域8において第2の光導波路11に移行するが、他の波長λ2の光信号S1についてはスイッチング領域8をそのまま通過して第1の光導波路10を伝送されるようになる。
【0034】
光スイッチ1は、以下に説明するスイッチング動作により、光学バス7を伝送される光信号S1と光信号S2との切換等を行う。
【0035】
(1)β1=β2の場合
光学バス7においては、第1の光導波路10と第2の光導波路11とが互いの伝播モードβ1,β2を等しくされて形成されている場合に、通常状態で図4に示すようにスイッチング領域8において屈折率摂動により伝播モードβ1,β2が互いに結合する状態となる。すなわち、光学バス7においては、上述したように第1の光導波路10と第2の光導波路11とがモード結合する対向間隔に設定されたスイッチング領域8において偶対称モードと奇対称モードとを励起する。光学バス7においては、これによりそれぞれの伝播モードがβ1,β2からβ0,βeとなる。
【0036】
光学バス7においては、第1の光導波路10と第2の光導波路11とに光信号S1と光信号S2とがそれぞれ伝送速度zで伝送される場合に、これら光信号S1と光信号S2との伝播モード間に(βe−β0)zの位相差が生じる。この位相差がπとなる、換言すれば位相整合が生じる光信号S1と光信号S2との伝播距離は、π/(βe−β0)である。したがって、光学バス7においては、スイッチング領域8の伝送方向の長さLが、この伝播距離π/(βe−β0)と等しく設定されている。
【0037】
したがって、光学バス7においては、通常状態において、図4に示すように第1の光導波路10を伝送される光信号S1と第2の光導波路11を伝送される光信号S2とがスイッチング領域8で、光信号S1と光信号S2との交換が行われる。すなわち、光学バス7においては、スイッチング領域8を通過することにより、第1の光導波路10を伝送される光信号S1が第2の光導波路11へと移送されるとともに、第2の光導波路11を伝送される光信号S2が第1の光導波路10へと移送されるようになる。光スイッチ1は、上下2層に形成された第1の光導波路10と第2の光導波路11との間において、それぞれに伝送される光信号S1と光信号S2との同時スイッチング動作を行う2対2の光スイッチを構成する。
【0038】
上述した光学バス7に設けられた光スイッチ1は、電源部17から光導波路加熱層9に対して電流が供給されて第2の光導波路11を加熱することによりその屈折率を変化させることで、第1の光導波路10と第2の光導波路11とをそれぞれ伝送される光信号S1と光信号S2のスイッチングを行う。光スイッチ1は、電流が供給された光導波路加熱層9が発熱してスイッチング領域8において第2の光導波路11を部分的に加熱する。第2の光導波路11は、加熱されることによって、熱・光学学効果により加熱部位の屈折率が部分的に低下される。
【0039】
光学バス7は、上述したように光スイッチ1の非動作時には第1の光導波路10の伝播モードβ1と第2の光導波路11の伝播モードβ2とが互いに等しくかつスイッチング領域8において互いにモード結合を生じるように構成されている。光スイッチ1は、スイッチング領域8において第2の光導波路11の屈折率を変化させるように動作することで、第1の光導波路10の伝播モードβ1と第2の光導波路11の伝播モードβ2とを異なった状態とさせる。したがって、光学バス7においては、もはや第1の光導波路10と第2の光導波路11とがスイッチング領域8においても位相整合がとれなくなり、伝播モードの結合が生じない状態となる。光学バス7においては、光スイッチ1により、光信号S1が第2の光導波路11へと移送されることなくそのまま第1の光導波路10を伝送されるとともに、光信号S2が第1の光導波路10へと移送されることなくそのまま第2の光導波路11を伝送されるスイッチングが行われる。
【0040】
(2)β1≠β2の場合
次に、光学バス7が、第1の光導波路10と第2の光導波路11との伝播モードβ1,β2が互いに異にして形成されている場合について説明する。なお、光学バス7は、第1の光導波路10の伝播モードβ1と第2の光導波路11の伝播モードβ2とが、β1<β2に構成されているものとする。光学バス7においては、通常状態ではスイッチング領域8において伝播モードβ1,β2の位相整合がとれておらずモードの結合が生じない状態となっている。したがって、光学バス7においては、第1の光導波路10と第2の光導波路11とをそれぞれ伝送される光信号S1と光信号S2とがそのままスイッチング領域8を通過して伝送される。
【0041】
光学バス7においては、電源部17から光導波路加熱層9に対して電流を供給することにより光スイッチ1が動作することによって、スイッチング領域8において光信号S1と光信号S2とのスイッチングが行われる。光スイッチ1は、電流が供給された光導波路加熱層9が発熱してスイッチング領域8において第2の光導波路11を部分的に加熱する。光スイッチ1は、第2の光導波路11を加熱して熱・光学効果により加熱部位の屈折率を部分的に低下させ、その伝播モードβ2を第1の光導波路10の伝播モードβ1と等しくさせる。
【0042】
したがって、光学バス7においては、スイッチング領域8において第1の光導波路10の伝播モードβ1と第2の光導波路11の伝播モードβ2とが互いに結合する状態となる。光学バス7においては、スイッチング領域8を通過することにより、第1の光導波路10を伝送される光信号S1が第2の光導波路11へと移送されるとともに、第2の光導波路11を伝送される光信号S2が第1の光導波路10へと移送されるようになる。
【0043】
上述した光スイッチ1及び光学バス7の製造方法について、以下図5乃至図10を参照して説明する。製造工程は、供給されたベース基板4の主面上に第1の光導波路10を形成する第1の光導波路形成工程と、第1の光導波路10上に第2の光導波路11を形成する第2の光導波路形成工程と、第2の光導波路11上に光導波路加熱層9を形成する光導波路加熱層形成工程とを有して、光学バス7のスイッチング領域8に沿って光スイッチ1を形成する。
【0044】
第1の光導波路形成工程は、ベース基板4上に第1下部クラッド層13を形成する第1下部クラッド層工程と、第1下部クラッド層13上に第1コア層12をパターン形成する第1コア層形成工程と、第1コア層12を封装して第1下部クラッド層13上に第1上部クラッド層14を形成する第1上部クラッド層形成工程とからなる。第1下部クラッド層形成工程は、図5に示すように高精度の平坦面を形成することが可能なシリコン基板やガラス基板等のベース基板4の主面上に第1下部クラッド層13を形成する。
【0045】
第1下部クラッド層形成工程には、上述したように石英系材料やポリマー系材料、ポリイミド等の高分子系光導波路材料等の熱・光学効果特性を有する液状のクラッド層形成材料が用いられる。第1下部クラッド層形成工程は、クラッド層形成材料を例えばスピンコート法等の均一な膜厚を形成する塗布方法により塗布する工程と、このクラッド層形成材料を硬化させる工程とを経て、ベース基板4の主面上に第1下部クラッド層13を形成する。第1下部クラッド層形成工程は、上述したベース基板4を用いることにより、均一な厚みと平坦化が図られた主面を有する第1下部クラッド層13を形成する。
【0046】
第1コア層形成工程は、図6に示すように第1下部クラッド層13上に複数の第1個別コア層12a乃至12cからなる第1コア層12を形成する。第1コア層形成工程は、第1下部クラッド層13を形成する光導波路材料よりも屈折率が大きな光導波路材料が用いられて、所定の厚みを有する光閉じ込め型の第1コア層12を形成する。第1コア層形成工程は、第1下部クラッド層13の主面上に全面に亘って均一な厚みで光導波路材料層を形成する工程と、この光導波路材料層にパターニング処理を施して各第1個別コア層12a乃至12cを形成する工程とからなる。光導波路材料層形成工程は、第1下部クラッド層13の平坦な主面上に、スピンコート法等により均一な厚みの光導波路材料層を形成する。
【0047】
第1コア層形成工程は、感光性の光導波路材料を用いた場合には、光導波路材料層に対して例えばリソグラフィ処理やその他の適宜の方法を施して各第1個別コア層12a乃至12cをパターン形成する。第1コア層形成工程は、非感光性の光導波路材料を用いた場合には、光導波路材料層に対して例えばドライエッチング処理やその他の適宜の方法を施して第1コア層12をパターン形成する。第1コア層形成工程は、各第1個別コア層12a乃至12cを、上述したようにそれぞれに伝送される光信号S1が相互に干渉することなく独立して伝送されるに足る対向間隔を以って形成する。第1コア層形成工程は、少なくとも所定の長さLのスイッチング領域8の対応部位において互いに平行な各第1個別コア層12a乃至12cを形成する。
【0048】
第1上部クラッド層形成工程は、図7に示すようにパターン形成した第1コア層12を封装するようにして、第1下部クラッド層13上に第1上部クラッド層14を形成する。第1上部クラッド層形成工程には、上述した第1下部クラッド層13と同一の石英系材料やポリマー系材料、ポリイミド等の高分子系光導波路材料等の熱・光学効果特性を有する液状のクラッド層形成材料が用いられる。第1上部クラッド層形成工程は、クラッド層形成材料を例えばスピンコート法等の均一な膜厚を形成する塗布方法によって塗布する工程と、このクラッド層形成材料を硬化させる工程とを経て、第1下部クラッド層13上に所定の厚を有して第1コア層12を封装する第1上部クラッド層14を形成する。第1上部クラッド層形成工程は、高精度の平坦面を有する第1下部クラッド層13上に、均一な厚みと平坦化が図られた主面を有する第1上部クラッド層14を形成する。
【0049】
第1上部クラッド層形成工程は、第1上部クラッド層14が第1コア層12と第2コア層15とをモード分布が結合する対向間隔に規定することから、その層厚を精密に形成する必要がある。したがって、第1上部クラッド層形成工程は、クラッド層形成材料層に対して、さらに研磨処理を施すようにしてもよい。かかる研磨工程は、ベース基板4に廉価ではあるが平坦精度が低い有機基板を用いた場合により効果的である。
【0050】
製造工程は、上述した各工程を経て、ベース基板4の主面上に、第1コア層12を第1下部クラッド層13と第1上部クラッド層14とによって封装してなる高精度の第1の光導波路10を形成する。
【0051】
第2の光導波路形成工程は、第1の光導波路10上に第2コア層15をパターン形成する第2コア層形成工程と、第2コア層15を封装して第1の光導波路10上に第2上部クラッド層16を形成する第2上部クラッド層形成工程とからなる。第2コア層形成工程は、図8に示すように第1の光導波路10の第1上部クラッド層14上に複数の第2個別コア層15a乃至15cからなる第2コア層15を形成する。第2コア層形成工程は、第1上部クラッド層14を形成するクラッド層形成材料よりも屈折率が大きな光導波路材料が用いられて、所定の厚みを有する光閉じ込め型の第2コア層15を形成する。
【0052】
第2コア層形成工程は、第1上部クラッド層14の全面に亘って均一な厚みで光導波路材料層を形成する工程と、この光導波路材料層にパターニング処理を施して各第2個別コア層15a乃至15cを形成する工程とからなる。光導波路材料層形成工程は、第1上部クラッド層14の平坦な主面上に、スピンコート法等によって均一な厚みの光導波路材料層を形成する。
【0053】
第2コア層形成工程は、感光性の光導波路材料を用いた場合には、光導波路材料層に対して例えばリソグラフィ処理やその他の適宜の方法を施して各第2個別コア層15a乃至15cをパターン形成する。第2コア層形成工程は、非感光性の光導波路材料を用いた場合には、光導波路材料層に対して例えばドライエッチング処理やその他の適宜の方法を施して第2コア層15をパターン形成する。第2コア層形成工程は、上述したように少なくともスイッチング領域8において第1上部クラッド層14を介して第1コア層12の各第1個別コア層12a乃至12cと対をなすように上下層で対向するとともに、モード結合を生じさせる対向間隔に保持された互いに平行な各第2個別コア層15a乃至15cを形成する。
【0054】
第2上部クラッド層形成工程は、図9に示すように上述した工程を経て第1上部クラッド層14上にパターン形成した第2コア層15を封装する第2上部クラッド層16を形成する。第2上部クラッド層形成工程は、第1上部クラッド層14と同一で第2コア層15よりも屈折率が小さな石英系材料やポリマー系材料、ポリイミド等の高分子系光導波路材料等の熱・光学効果特性を有する液状のクラッド層形成材料が用いられる。第2上部クラッド層形成工程は、このクラッド層形成材料を例えばスピンコート法等の均一な膜厚を形成する塗布方法により塗布する工程と、このクラッド層形成材料を硬化させる工程とを経て、第1上部クラッド層14上に第2上部クラッド層16を形成する。
【0055】
第2上部クラッド層形成工程は、高精度の平坦面を有する第1上部クラッド層14上に、均一な厚みと平坦化が図られた主面を有する第2上部クラッド層16を形成する。第2上部クラッド層形成工程は、第2コア層15に対向して第2上部クラッド層16上に後述する工程を経て形成される光導波路加熱層9を精密かつ全体が薄厚で均一に形成することを可能とする。
【0056】
光導波路加熱層形成工程は、第2上部クラッド層16上に金属薄膜層を成膜形成する工程と、この金属薄膜層に所定のパターニング処理を施す工程とを有し、図10に示すように光導波路加熱層9を形成する。金属薄膜層形成工程は、上述した比較的高い抵抗値特性を有するチタン,タンタル或いはニッケル−クロム等の金属膜を薄膜形成技術、例えばスパッタ法や蒸着法等によって第2上部クラッド層16の主面上に数千Å程度の厚みで成膜形成する。パターニング工程は、金属薄膜層に上述した光導波路加熱層9のパターンに対応したマスキングを施した状態で、例えばドライエッチング処理やウェットエッチング処理を施すことにより、不要な部位の金属薄膜層を除去して光導波路加熱層9を形成する。
【0057】
なお、上述した製造工程では、ベース基板4上に光スイッチ1と光学バス7とを形成する工程についてのみ説明したが、第1上部クラッド層14上には光導波路加熱層9とともに上述した例えば電気光学変換素子6A,6Bを実装する端子や電気配線パターン等の電気配線層も形成される。電気配線層は、例えば銅層によって形成することが好ましく、光導波路加熱層形成工程を施した後に適宜のマスキングを行って形成される。なお、製造工程においては、この電気配線層の形成工程において、光導波路加熱層9の各電極部20を上述した金属に変えて銅により形成するとともにその配線パターンを形成するようにしてもよい。
【0058】
また、製造工程は、光導波路加熱層9の各電極部20と電源部17とを接続するために、例えば第1の光導波路10や第2の光導波路11の各層を貫通するビアが適宜形成され、このビアを介して各電極部20とベース基板4に形成した接続端子部との間の層間接続が図られる。
【0059】
上述したハイブリットモジュール基板2においては、ベース基板4の主面上に第1の光導波路10と第2の光導波路11とからなる2層構成の光学バス7を形成するとともに、第2の光導波路11の一部に光スイッチ1を積層形成するようにしたが、かかる構成に限定されるものでは無いことは勿論である。第2の実施の形態として図11に示したハイブリットモジュール基板30は、ベース基板31の主面上に、それぞれ光信号が伝送される第1のコアパターン32乃至第4のコアパターン35を形成するとともに、第2のコアパターン33乃至第4のコアパターン35に対して第1の光スイッチ36乃至第3の光スイッチ38がそれぞれ配置して形成された多層構成からなる。なお、ハイブリットモジュール基板30は、ベース基板31や各コアパターン32乃至35或いは各光スイッチ36乃至38の基本的な構成を上述した各光導波路10,11及び光スイッチ1と同等とすることから、それらの詳細な説明を省略する。
【0060】
ハイブリットモジュール基板30には、ベース基板31の主面上に、クラッド層形成材料を用いて高平坦化された主面を有する第1のクラッド層39が形成されるとともに、この第1のクラッド層39の主面上にクラッド層形成材料よりも屈折率が大きな光導波路材料を用て第1のコアパターン32が形成される。ハイブリットモジュール基板30には、第1のクラッド層39の主面上にクラッド層形成材料を用いて第1のコアパターン32を封止するようにして所定の厚みを有するとともに高平坦化された主面を有する第2のクラッド層40が形成される。ハイブリットモジュール基板30は、第1のコアパターン32が第1のクラッド層39と第2のクラッド層40とにより封止され、この第1のコアパターン32内を光信号が伝送される第1の光導波路が構成される。
【0061】
ハイブリットモジュール基板30には、第2のクラッド層40の主面上にクラッド層形成材料を用いて第2のコアパターン33が形成される。ハイブリットモジュール基板30には、第2のクラッド層40の主面上にクラッド層形成材料を用いて第2のコアパターン33を封止して所定の厚みを有するとともに高平坦化された主面を有する第3のクラッド層4が形成される。ハイブリットモジュール基板30は、第2のコアパターン33が第2のクラッド層40と第3のクラッド層41とにより封止され、この第2のコアパターン33内を光信号が伝送される第2の光導波路が構成される。
【0062】
ハイブリットモジュール基板30には、第3のクラッド層41の主面上にクラッド層形成材料を用いて第3のコアパターン34が形成される。ハイブリットモジュール基板30には、第3のクラッド層41の主面上にクラッド層形成材料を用いて第3のコアパターン34を封止して所定の厚みを有するとともに高平坦化された主面を有する第4のクラッド層4が形成される。ハイブリットモジュール基板30は、第3のコアパターン34が第3のクラッド層41と第4のクラッド層42とにより封止され、この第3のコアパターン34内を光信号が伝送される第3の光導波路が構成される。
【0063】
ハイブリットモジュール基板30には、第4のクラッド層42の主面上にクラッド層形成材料を用いて第4のコアパターン35が形成される。ハイブリットモジュール基板30には、第4のクラッド層42の主面上に第4のコアパターン35を封止して所定の厚みを有するとともに高平坦化された主面を有する第5のクラッド層43が形成される。ハイブリットモジュール基板30は、第4のコアパターン35が第4のクラッド層42と第5のクラッド層43とにより封止され、この第4のコアパターン35内を光信号が伝送される第4の光導波路が構成される。
【0064】
ハイブリットモジュール基板30は、第1のコアパターン32と第2のコアパターン33とが、少なくとも図11において点線で囲む光信号の伝送方向の領域Aにおいて、所定の長さを有して上下に対向する部位を有してパターン形成されてなる。第1のコアパターン32と第2のコアパターン33とは、この対向する部位が第2のクラッド層40の厚みによって規定されており、互いに光信号のモード分布が結合する対向間隔を以って形成されることによって第1のスイッチング領域44を構成する。
【0065】
ハイブリットモジュール基板30には、この第1のスイッチング領域44に第1の光スイッチ36が配置形成される。第1の光スイッチ36は、第1のスイッチング領域44において、第2のコアパターン33と対向して第3のクラッド層41内に薄膜形成された加熱層を構成する第1の金属薄膜層47を有している。第1の金属薄膜層47は、電源部から電流が供給されることによって第2のコアパターン33を加熱して熱・光学効果によってその屈折率を変化させる。第1の光スイッチ36は、第1のスイッチング領域44において第1のコアパターン32と第2のコアパターン33とをモード分布の結合状態からモード分布の非結合状態とする。ハイブリットモジュール基板30においては、第1の光スイッチ36が動作することによって、第1のスイッチング領域44において第1のコアパターン32と第2のコアパターン33とをそれぞれ伝送される光信号のスイッチングが行われる。
【0066】
ハイブリットモジュール基板30は、第2のコアパターン33と第3のコアパターン34とが、少なくとも図11において点線で囲む光信号の伝送方向の領域Bにおいて、所定の長さを有して上下に対向する部位を有してパターン形成されてなる。第2のコアパターン33と第3のコアパターン34とは、この対向する部位が第3のクラッド層41の厚みによって規定されており、互いに光信号のモード分布が結合する対向間隔を以って形成されることによって第2のスイッチング領域45を構成する。
【0067】
ハイブリットモジュール基板30には、この第2のスイッチング領域45に第2の光スイッチ37が配置形成される。第2の光スイッチ37は、第2のスイッチング領域45において、第3のコアパターン34と対向して第4のクラッド層42内に薄膜形成された加熱層を構成する第2の金属薄膜層48を有している。第2の金属薄膜層48も、電源部から電流が供給されることによって第3のコアパターン34を加熱して熱・光学効果によってその屈折率を変化させる。第2の光スイッチ37は、第2のスイッチング領域45において第2のコアパターン33と第3のコアパターン34とをモード分布の結合状態からモード分布の非結合状態とする。ハイブリットモジュール基板30においては、第2の光スイッチ37が動作することによって、第2のスイッチング領域45において第2のコアパターン33と第3のコアパターン34とをそれぞれ伝送される光信号のスイッチングが行われる。
【0068】
ハイブリットモジュール基板30は、第3のコアパターン34と第4のコアパターン35とが、少なくとも図11において点線で囲む光信号の伝送方向の領域Cにおいて、所定の長さを有して上下に対向する部位を有してパターン形成されてなる。第3のコアパターン34と第4のコアパターン35とは、この対向する部位が第4のクラッド層42の厚みによって規定されており、互いに光信号のモード分布が結合する対向間隔を以って形成されることによって第3のスイッチング領域46を構成する。
【0069】
ハイブリットモジュール基板30には、この第3のスイッチング領域46に第3の光スイッチ38が配置形成される。第3の光スイッチ38は、第3のスイッチング領域46において、第4のコアパターン35と対向して第5のクラッド層43内に薄膜形成された加熱層を構成する第3の金属薄膜層49を有している。第3の金属薄膜層49も、電源部から電流が供給されることによって第4のコアパターン35を加熱して熱・光学効果によってその屈折率を変化させる。第3の光スイッチ38は、第3のスイッチング領域46において第3のコアパターン34と第4のコアパターン35とをモード分布の結合状態からモード分布の非結合状態とする。ハイブリットモジュール基板30においては、第3の光スイッチ38が動作することによって、第3のスイッチング領域46において第3のコアパターン34と第4のコアパターン35とをそれぞれ伝送される光信号のスイッチングが行われる。
【0070】
ハイブリットモジュール基板30においては、上述したように第1の光スイッチ36乃至第3の光スイッチ38がそれぞれ第1のコアパターン32乃至第4のコアパターン35に対して異なる位置に配置されてなる。ハイブリットモジュール基板30においては、伝送方向の最初に配置された第2の光スイッチ37によって第2のコアパターン33と第3のコアパターン34との間のスイッチングを行い、次に配置された第3の光スイッチ38によって第3のコアパターン34と第4のコアパターン35との間のスイッチングを行い、さらに第1の光スイッチ36によって第1のコアパターン32と第2のコアパターン33との間のスイッチングを行って第1のコアパターン32乃至第4のコアパターン35を伝送される光信号の交換や変換が適宜行われるようになる。
【0071】
ハイブリットモジュール基板30においては、簡易な工程によってベース基板31上に複数の光導波路を多層に形成することが可能とされるとともに、各光導波路に対してそれぞれ金属薄膜層を有して対をなす光導波路の一方側の屈折率特性を変化させる光スイッチを簡易に形成することが可能とされる。ハイブリットモジュール基板30においては、金属薄膜層が薄膜技術によってそれぞれ数千Å程度の厚みで形成されることから、高精度でかつ薄型化が図られて形成される。
【0072】
なお、ハイブリットモジュール基板30においては、すべての光導波路に対応して光スイッチを配置して光信号の交換や変換を行うように構成したが、例えば対をなす特定の光導波路を選択して光スイッチを配置するようにしてもよい。また、ハイブリットモジュール基板30においては、内層に形成される光スイッチの金属薄膜層について、必要に応じて例えば透明電極膜を形成する際に用いられるITO(Indium-Tin-Oxide)等の導光性を有する電極材を用いて形成するようにしてもよい。
【0073】
上述した各実施の形態においては、各光スイッチを熱・光学効果を利用して対をなす光導波路間の屈折率特性を変化させてスイッチングを行うように構成したが、かかる光スイッチに限定されるものでは無い。第3の実施の形態として図12に示したハイブリットモジュール基板50は、電気・光学効果を利用して光導波路間の屈折率特性を変化させてスイッチングを行うように構成した光スイッチ51が備えられる。光スイッチは、屈折率n,長さlの電気光学結晶中を光が伝播すると(2π/λ)nlの位相変化が生じることを利用して、電気光学結晶に電界を印加して屈折率を変化させて光信号のスイッチングを行う。
【0074】
ハイブリットモジュール基板50は、基本的な構成を上述したハイブリットモジュール基板2と同等とする。ハイブリットモジュール基板50は、ベース基板(図示せず)に複数の個別コアパターン52a乃至52cを有する第1の光導波路52と、これら各個別コアパターン52a乃至52cと対をなす複数の個別コアパターン53a乃至53cを有する第2の光導波路53が積層形成される。ハイブリットモジュール基板50は、詳細を省略するが第1の光導波路52と第2の光導波路53とが、それぞれ第1の個別コアパターン52a乃至第3の個別コアパターン52c及び第1の個別コアパターン53a乃至第3の個別コアパターン53cをクラッド層54によって封装してなる。
【0075】
第1の光導波路52と第2の光導波路53は、電気・光学効果特性を有する光導波路材料、例えばLiNbO(リチウムナイオベート)やKHPO等のリン酸カリウム等が用いられ、上述した工程と同様にしてベース基板上に積層形成される。ハイブリットモジュール基板50においては、第1の光導波路52と第2の光導波路53の一部に、対をなす各個別コアパターン52a乃至52cと個別コアパターン53a乃至53cとがそれぞれでモード分布の結合が生じる所定の間隔と所定の長さを以って対向して形成されることによりスイッチング領域55が構成される。
【0076】
ハイブリットモジュール基板50には、スイッチング領域55において第2の光導波路53に沿って光スイッチ51が配置されている。光スイッチ51は、図12に示すように各個別コアパターン53a乃至53cを挟んでクラッド層54内にそれぞれ成膜形成された電極層56を有している。光スイッチ51は、電極層56に対して電源部57から電源供給が行われることによって第2の光導波路53に電界を印加してその屈折率を変化させる。光スイッチ51は、制御部58によって電源部57を制御することにより、電極層56による第2の光導波路53への電界印加量を調整する。
【0077】
電極層56は、第2の光導波路53の各個別コアパターン53a乃至53cと同一層を構成してクラッド層54に形成される。電極層56は、例えばスパッタ法や蒸着法等によって銅等の金属薄膜層をクラッド層54に成膜形成し、この金属薄膜層にエッチング処理を施して所定のパターンに形成されてなる。電極層56は、第1の個別コアパターン53aを挟んで、光信号の伝送方向に対して互いに平行に対峙して形成された一対の第1の個別電極層56a及び第2の個別電極層56を有する。電極層56は、第2の個別コアパターン53bを挟んで、光信号の伝送方向に対して互いに平行に対峙して形成された一対の第3の個別電極層56c及び第4の個別電極層56dを有する。電極層56は、第3の個別コアパターン53cを挟んで、光信号の伝送方向に対して互いに平行に対峙して形成された一対の第5の個別電極層56e及び第6の個別電極層56fを有する。電極層56は、各個別電極層56a乃至56fが、クラッド層54に形成した図示しないビアを介してそれぞれ電源部57と接続される。
【0078】
光スイッチ51は、第1の個別電極層56aと第2の個別電極層56bとに電源を供給することによって、電気・光学効果によりスイッチング領域55において第1の個別コアパターン53aの屈折率を変化させる。光スイッチ51は、第3の個別電極層56cと第4の個別電極層56dとに電源を供給することによって、電気・光学効果によりスイッチング領域55において第2の個別コアパターン53bの屈折率を変化させる。光スイッチ51は、第5の個別電極層56eと第6の個別電極層56fとに電源を供給することによって、電気・光学効果によりスイッチング領域55において第3の個別コアパターン53cの屈折率を変化させる。
【0079】
ハイブリットモジュール基板50は、光スイッチ51が上述したように動作してスイッチング領域55において第2の光導波路53の屈折率を変化させることにより、第1の光導波路52の各個別コアパターン52a乃至52cを伝送される光信号S1と対をなす第2の光導波路53の各個別コアパターン53a乃至53cを伝送される光信号S2とのスイッチングが一括して行われる。
【0080】
なお、光スイッチ51は、第1の個別電極層56a乃至第6の個別電極層56fに対して電源を一括して供給することによって第1の光導波路52と第2の光導波路53との間で一括してスイッチングが行われるように構成したが、かかる構成に限定されるものでは無い。光スイッチ51は、例えば各個別電極層をそれぞれ独立に形成して制御部58を介して個別に電源供給を行うことにより、第1の光導波路52と第2の光導波路53を対をなす個別コアパターン毎に個別にスイッチング行われるように構成してもよい。
【0081】
また、ハイブリットモジュール基板50は、ベース基板上に第1の光導波路52と第2の光導波路53とを2層に形成したが、光導波路を多層に形成してそれぞれに光スイッチ1を配置するようにしてもよい。
【0082】
光導波路に光スイッチを直接配置してなる上述した各ハイブリットモジュール基板は、例えば図13に示すように光学バス61に対して光スイッチ62A乃至62Nを介して多数個のエンドノード63A乃至63Nが接続されてなる光信号伝送システム用のハイブリットシステムモジュール60を構成する。ハイブリットシステムモジュール60は、各エンドノード63A乃至63Nが例えば各種の集積回路素子からなり、これら集積回路素子間において情報信号や制御信号等の各種信号を光学バス61を介して光信号によって相互に伝送する。
【0083】
各エンドノード63A乃至63Nは、詳細を省略するが光学バス61の入出力部を構成する電気−光学変換素子を有しており、各種信号を光信号に変換して光学バス61に対して出力するとともに、光スイッチ62A乃至62Nを介して光学バス61から入力される光信号を電気信号に変換して所定の処理を行う。光学バス61は、詳細を省略するが上下層で対をなす多数の光導波路が形成されてなり、各エンドノード63A乃至63Nを光学配線によって共通に接続する。
【0084】
ハイブリットシステムモジュール60は、各エンドノード63A乃至63Nから光信号が出力されて相対する光スイッチ62A乃至62Nが動作することにより、光学バス61の所定の光導波路が選択されて光信号が伝送されるようにする。ハイブリットシステムモジュール60は、光スイッチ62A乃至62Nを選択して動作させることにより、光学バス61から選択された各エンドノード63A乃至63Nに対して光信号を入力する。なお、ハイブリットモジュール60は、各光スイッチ62A乃至62Nが光学バス61を伝送される光制御信号によって選択されて動作される。
【0085】
以上のように構成されたハイブリットシステムモジュール60によれば、共通の光学バス61によって各エンドノード63A乃至63N間が接続されて信号の授受が行われることから、電気配線による寄生容量が低減され、高速化や高容量化が図られて信号伝送が行われるようになる。ハイブリットシステムモジュール60によれば、光学バス61に光スイッチ62A乃至62Nが直接配置されることにより、損失低減が図られて光信号の切換や交換が行われるとともに小型化が図られるようになる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、積層形成された第1のコア層と第2のコア層とをスイッチング領域において光スイッチによりモード結合或いは非モード結合の状態としてそれぞれを伝播する光信号がスイッチング領域において切換或いは変換されて伝送されるように構成したことから、複数の光信号を高速かつ大容量化を図って伝送する多層化された複数の光導波路中に、構造が簡易で精密でありかつ小型化が図られるとともに損失低減を図って各光信号の切換や変換を高精度に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態として示す光スイッチを備えたハイブリットモジュール基板の概略構造を説明する側面図である。
【図2】ハイブリットモジュール基板の要部縦断面図である。
【図3】ハイブリットモジュール基板の一部切欠き要部平面図である。
【図4】ハイブリットモジュール基板に構成されるスイッチング領域における光信号のスイッチング動作の説明図である。
【図5】ベース基板上に第1の光導波路層の第1下部クラッド層を形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図6】第1下部クラッド層上に第1コア層を形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図7】第1下部クラッド層上に第1コア層を封装する第1上部クラッド層を形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図8】第1上部クラッド層上に第2コア層を形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図9】第1上部クラッド層上に第2コア層を封装する第2上部クラッド層を形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図10】第2上部クラッド層上に光導波路加熱層を成膜形成する工程を説明する要部縦断面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態として示す多層構造のハイブリットモジュール基板の概略構造を説明する側面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態として示す電気・光学効果型光スイッチを備えたハイブリットモジュール基板の要部平面図である。
【図13】光スイッチを用いたハイブリットシステムモジュールの構成図である。
【符号の説明】
1 光スイッチ、2 ハイブリットモジュール基板、4 ベース基板、5 集積回路素子、7 光学バス、8 スイッチング領域、9 光導波路加熱層、10 第1の光導波路、11 第2の光導波路、12 第1コア層、13 第1下部クラッド層、14 第1上部クラッド層、15 第2コア層、16 第2上部クラッド層、17 電源部、18 加熱部、19 接続部、20 電極部、21 制御部、30 ハイブリットモジュール基板、32〜35 コアパターン、36〜38 光スイッチ、39〜43 クラッド層、44〜46 スイッチング領域、47〜49 金属薄膜層、50 ハイブリットモジュール基板、51 光スイッチ、52 第1の光導波路、53 第2の光導波路、54 クラッド層、55 スイッチング領域、56 電極層、57 電源部、58 制御部、60 ハイブリットシステムモジュール、61 光学バス、62 光スイッチ、63 エンドノード

Claims (3)

  1. ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、上記集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行うハイブリットモジュール基板であり、
    上記光配線が
    上記ベース基板の主面上に形成した平坦化された主面を有する第1クラッド層と、
    上記第1クラッド層の主面上に、その屈折率よりも大きな屈折率特性と熱・光学効果特性を有するコア形成材料によりパターン形成されて第1の光信号を第1の伝播モードで伝送する第1のコア層と、
    上記第1クラッド層上に上記第1のコア層を封止して積層形成され、平坦化された主面を有する第2クラッド層と、
    上記第2クラッド層の主面上に、光信号の伝播方向の一部で上記第1のコア層を伝送される上記第1の光信号との伝播モード分布の重なり結合が生じる対向間隔を保持して積層形成され、この重なり結合が生じる結合領域をスイッチング領域として構成してなり、第2の光信号を第2の伝播モードで伝送する第2のコア層と、
    上記第2クラッド層の主面上に上記第2のコア層を封止して積層形成され、平坦化された主面を有する第3クラッド層と、
    上記第3クラッド層の主面上に、上記スイッチング領域と対向して積層形成された金属薄膜層からなり、電流供給により発熱して上記第1のコア層と上記第2のコア層を加熱することによりこれら第1のコア層と第2のコア層との間で熱・光学効果特性による屈折率の変化を生じさせて上記第1の光信号と上記第2の光信号の切換や変換を行う光スイッチとから構され
    第1の集積回路素子から出力された電気信号が、第1の電気−光学変換素子により光信号に変換されて上記光配線を伝送され、
    上記スイッチング領域において、電力供給制御手段により上記光スイッチへの電流供給量を制御して上記第1のコア層と上記第2のコア層に対する加熱温度を調整してそれぞれの屈折率の特性を変化させることにより、伝播する複数の光信号から所定の波長を有する光信号の切換や変換を行って第2の電気−光学変換素子への伝送が行われ、
    上記第2の電気−光学変換素子において上記光信号から変換された電気信号が第2の集積回路素子に入力されることにより、
    上記集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行うハイブリットモジュール基板。
  2. 上記光配線が、上記第1クラッド層と上記第1のコア層と上記第2クラッド層と上記第2のコア層と上記第3クラッド層と上記光スイッチの積層体を第1層の光配線層として構成し、上記第3クラッド層上に同等の層構造からなる積層体からなる光配線層を多層に形成して構成され、
    各層の光スイッチを光信号の伝播方向に対して異なる位置に形成する請求項1に記載のハイブリットモジュール基板。
  3. ベース基板の主面上に、複数の集積回路素子と電気−光学変換素子を搭載した電気配線と光配線を混載した配線層を形成し、上記集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行うハイブリットモジュール基板の製造方法であり、
    上記ベース基板の主面上にクラッド層形成材料を用いて平坦化された主面を有する第1クラッド層を形成する工程と、
    上記第1クラッド層の主面上に、上記クラッド層形成材料よりも大きな屈折率特性と熱・光学効果特性を有するコア形成材料を用いて第1の光信号を第1の伝播モードで伝送する第1のコア層をパターン形成する工程と、
    上記第1クラッド層上に上記クラッド層形成材料を用いて上記第1のコア層を封止するとともに平坦化された主面を有する第2クラッド層を積層形成する工程と、
    上記第2クラッド層の主面上に、上記コア形成材料を用いて第2の光信号を第2の伝播モードで伝送する所定パターンからなり、光信号の伝播方向の一部で上記第1の光信号との伝播モード分布の重なり結合が生じる対向間隔を保持しかつこの重なり結合が生じる結合領域をスイッチング領域として構成する第2のコア層を積層形成する工程と、
    上記第2クラッド層の主面上に上記クラッド層形成材料を用いて上記第2のコア層を封止するとともに平坦化された主面を有する第3クラッド層を積層形成する工程と、
    上記第3クラッド層の主面上に成膜した金属薄膜層にパターン形成処理を施し、上記スイッチング領域と対向して電流供給により発熱して上記第1のコア層と上記第2のコア層を加熱することによりこれら第1のコア層と第2のコア層との間で熱・光学効果特性による屈折率の変化を生じさせて上記第1の光信号と上記第2の光信号の切換や変換を行う光スイッチを構成する金属薄膜層及び所定の電気配線パターンを形成する工程と
    を経て光配線と電気配線を混載した上記配線層を形成し、
    上記配線層の主面上に、複数の上記集積回路素子上記電気−光学変換素子を実装する工程を有し、
    第1の集積回路素子から出力された電気信号が第1の電気−光学変換素子により光信号に変換されて上記光配線を伝送され、上記スイッチング領域において電力供給制御手段により上記光スイッチへの電流供給量を制御して上記第1のコア層と上記第2のコア層に対する加熱温度を調整してそれぞれの屈折率の特性を変化させることにより伝播する複数の光信号から所定の波長を有する光信号の切換や変換を行って第2の電気−光学変換素子への伝送が行われ、上記第2の電気−光学変換素子において上記光信号から変換された電気信号が第2の集積回路素子に入力されることにより、上記集積回路素子間で電気信号と光信号による信号授受を行うハイブリットモジュール基板を製造する
    ハイブリットモジュール基板の製造方法。
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