以下、本発明の光導波路層、光導波路構造体、光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器について添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[光電気混載基板の製造方法]
<第1実施形態>
まず、本発明の光電気混載基板の製造方法の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の光導波路層の第1実施形態を示す(一部切り欠いて、および透過して示す)斜視図、図2は、本発明の光導波路層の第1実施形態を示す平面図、図3は、本発明の光電気混載基板の製造方法の第1実施形態を説明するための側面図、図4は、本発明の光電気混載基板の製造方法の第1実施形態を説明するための斜視図である。なお、以下の説明では、図2、3中の上方を「上」、下方を「下」、右方を「右」、左方を「左」と言う。
図1に示す光導波路フィルム(本発明の光導波路層)10は、クラッド層11(クラッド部)、コア層13およびクラッド層12(クラッド部)をこの順に積層してなるものである。
また、コア層13は、図2に示すように、平面視において光回路130が設けられた光回路形成領域131と、これらの光回路形成領域131を囲うように設けられた枠状の余白部132とに分けられる。そして、この余白部132には、光導波路フィルム10の外縁に平行な線状のアライメント用光導波路パターン(光導波路)133が配設されている。
このような光回路130およびアライメント用光導波路パターン133は、その周囲の部分に比べて屈折率が高くなっている。すなわち、コア層13は、光回路130およびアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部と、コア部の側面に隣接し、コア部よりも屈折率の低い側面クラッド部とを備えている。
光回路130は、並列する複数の直線状のコア部からなるものである。
このような光回路130を備える光導波路フィルム10は、図3に示すように、電気回路210が形成された電気回路基板20と積層することにより、光回路130と電気回路210とを正確に積層し、光電気混載基板を製造する際に用いられるものである。電気回路基板20には、電気信号を光信号に変換する発光素子や、光信号を電気信号に変換する受光素子が設けられるため、これらを用いることで、光回路130を伝搬する光信号と、電気回路210を伝搬する電気信号とを高い効率で変換することができる。
また、このような光導波路フィルム10は、前述したアライメント用光導波路パターン133を備えているが、このアライメント用光導波路パターン133は、その両端部が光導波路フィルム10の端面に露出している。このため、アライメント用光導波路パターン133の一方の端部に光を入射し、他方の端部から出射した光の出射位置を検出することで、たとえ光導波路フィルム10と電気回路基板20とを重ね合わせた状態で光回路130の位置が目視できない場合であっても、アライメント用光導波路パターン133の位置を特定することができる。すなわち、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを積層する際に、位置合わせの精度を高めることができる。このようにして、光導波路フィルム10(本発明の光導波路層)は、電気回路基板20に対して正確な積層を可能にするものであり、光回路130と電気回路210との結合を高精度に行うことができる。このため、光信号と電気信号との相互変換において発生する損失を抑制し、信頼性の高い光電気混載基板100(本発明の光電気混載基板)の製造を可能にする。
以下、このような光電気混載基板の製造方法を説明する。
本実施形態の光電気混載基板の製造方法は、光回路130を備える光導波路フィルム10と、電気回路210を備える電気回路基板20とを用意する第1の工程と、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを重ね合わせた状態で、アライメント用光導波路パターン133の一方の端部に光を入射し、他方の端部から出射した光の出射位置を検出し、これに基づいて光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置を合わせる第2の工程と、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを接着して光電気混載基板100を得る第3の工程とを有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、光回路130を備える光導波路フィルム(本発明の光導波路層)10と、電気回路210を備える電気回路基板20とを用意する(第1の工程)。
以下、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを順次説明する。
(光導波路フィルム)
図2に示す光導波路フィルム10は、平面視で正方形をなしており、前述したように、光回路130が設けられた光回路形成領域131と、アライメント用光導波路パターン133が設けられた枠状の余白部132とを有する。
光回路130は、12本の直線状のコア部で構成されている。これらのコア部は、互いに平行に配設されている。
また、各コア部の両端部には、図3に示すように、各コア部の光軸およびコア層13の形成面に対して45°の角度で横切るように形成されたミラー130aが設けられている。このミラー130aにより、ミラー130aに入射した光は、その進行方向が45°変更される。その結果、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを積層した際には、光回路130を伝搬する光信号の進行方向を、電気回路基板20側に変更し、例えば受光素子に受光させることができる。
一方、アライメント用光導波路パターン133は、光回路130と分離して設けられている。このアライメント用光導波路パターン133は、4本の直線状のコア部で構成されており、光導波路フィルム10の各辺に対して平行に配設されている。
具体的には、図2に示すアライメント用光導波路パターン133は、光導波路フィルム10の上端近傍に設けられたアライメント用光導波路パターン1331と、右端近傍に設けられたアライメント用光導波路パターン1332と、下端近傍に設けられたアライメント用光導波路パターン1333と、左端近傍に設けられたアライメント用光導波路パターン1334とに分けられる。なお、図2では、光回路130を構成するコア部およびアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部に、ドットを付している。
また、これらのアライメント用光導波路パターン133は、光導波路フィルム10の各角部近傍において直交している。
図2では、各アライメント用光導波路パターン133は、それぞれ、光導波路フィルム10の左上に位置する交差部1331c、右上に位置する交差部1332c、右下に位置する交差部1333c、左下に位置する交差部1334cにおいて交差している。
また、各アライメント用光導波路パターン133は、前述したように、その両端部が光導波路フィルム10の端面に露出している。これにより、各アライメント用光導波路パターン133に入射された光は、出射端側から受光することができる。
このような光回路130およびアライメント用光導波路パターン133を含むコア層13においては、光回路130とアライメント用光導波路パターン133との位置関係があらかじめ把握されていることが必要である。この位置関係が確立されていることを前提として、アライメント用光導波路パターン133を、光回路130の位置合わせをする際の基準として利用することが可能になる。
すなわち、コア層13は、光回路130とアライメント用光導波路パターン133の位置が、所定の位置関係になるよう製造されている。
以下、コア層13の製造方法および光導波路フィルム10の製造方法について説明する。
光回路130やアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部は、入射された光を、コア部に隣接するクラッド部(クラッド層11、クラッド層12および側面クラッド部)との界面で全反射させ、出射側に伝搬させる。これにより、出射端側で受光した光の明滅パターンに基づいて光通信を行うことができる。
コア部とクラッド部との界面で全反射を生じさせるためには、界面に屈折率差が存在する必要がある。コア部の屈折率は、クラッド部の屈折率より高く、その差は、特に限定されないものの、0.5%以上であるのが好ましく、0.8%以上であるのがより好ましい。なお、屈折率差の上限値は、特に設定されなくてもよいが、好ましくは5.5%程度とされる。屈折率差が前記下限値未満であると光を伝搬する効果が低下する場合があり、また、前記上限値を超えても、光の伝搬効果のそれ以上の増大は期待できない。
なお、前記屈折率差とは、コア部の屈折率をA、クラッド部の屈折率をBとしたとき、次式で表わされる。
屈折率差(%)=|A/B−1|×100
また、図1および図2に示す構成では、光回路130やアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部は、平面視で直線状に形成されているが、途中で湾曲、分岐等してもよく、その形状は任意である。
また、図1に示すコア部は、その横断面形状が正方形または矩形(長方形)のような四角形をなしているが、その形状も特に限定されない。
コア部の幅および高さは、特に限定されないが、それぞれ、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜60μm程度であるのがさらに好ましい。
このようなコア部およびクラッド部の各構成材料は、それぞれ上記の屈折率差が生じる材料であれば特に限定されないが、具体的には、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリシラン、ポリシラザン、また、ベンゾシクロブテン系樹脂やノルボルネン系樹脂等の環状オレフィン系樹脂のような各種樹脂材料の他、石英ガラス、ホウケイ酸ガラスのようなガラス材料等を用いることができる。
また、コア部およびクラッド部が同一の材料で構成されており、コア部とクラッド部との屈折率差を、それぞれの構成材料の化学構造の差異により発現させるようにしてもよい。
化学構造の差異により屈折率差を発現させるためには、コア部およびクラッド部の各構成材料として、紫外線、電子線のような活性エネルギー線の照射により(あるいはさらに加熱することにより)屈折率が変化する材料を用いるのが好ましい。
このように屈折率が変化する材料としては、例えば、活性エネルギー線の照射や加熱により、少なくとも一部の結合が切断したり、少なくとも一部の官能基が脱離する等して、化学構造が変化し得る材料が挙げられる。
具体的には、ポリシラン(例:ポリメチルフェニルシラン)、ポリシラザン(例:ペルヒドロポリシラザン)等のシラン系樹脂や、前述したような構造変化を伴う材料のベースとなる樹脂としては、分子の側鎖または末端に官能基を有する以下の(1)〜(6)のような樹脂が挙げられる。(1)ノルボルネン型モノマーを付加(共)重合して得られるノルボルネン型モノマーの付加(共)重合体、(2)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との付加共重合体、(3)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、および必要に応じて他のモノマーとの付加共重合体、(4)ノルボルネン型モノマーの開環(共)重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(5)ノルボルネン型モノマーとエチレンやα−オレフィン類との開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂、(6)ノルボルネン型モノマーと非共役ジエン、または他のモノマーとの開環共重合体、および必要に応じて該(共)重合体を水素添加した樹脂等のノルボルネン系樹脂、その他、光硬化反応性モノマーを重合することにより得られるアクリル系樹脂、エポキシ樹脂。
なお、これらの中でも特にノルボルネン系樹脂が好ましい。これらのノルボルネン系ポリマーは、例えば、開環メタセシス重合(ROMP)、ROMPと水素化反応との組み合わせ、ラジカルまたはカチオンによる重合、カチオン性パラジウム重合開始剤を用いた重合、これ以外の重合開始剤(例えば、ニッケルや他の遷移金属の重合開始剤)を用いた重合等、公知のすべての重合方法で得ることができる。
例えば、比較的低い屈折率を有するノルボルネン系ポリマーとしては、末端にエポキシ構造を含む置換基を有するノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。かかるノルボルネン系ポリマーは、特に低い屈折率を有するとともに、密着性が良好である。
また、ノルボルネン系ポリマーは、アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むものが好ましい。アルキルノルボルネンの繰り返し単位を含むノルボルネン系ポリマーは、柔軟性が高いため、かかるノルボルネン系ポリマーを用いることにより、光導波路フィルム10に高いフレキシビリティ(可撓性)を付与することができる。
アルキルノルボルネンの繰り返し単位が有するアルキル基としては、例えば、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられるが、ヘキシル基が特に好ましい。なお、これらのアルキル基は、直鎖状または分岐状のいずれであってもよい。
ヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を含むことにより、ノルボルネン系ポリマー全体の屈折率が上昇するのを防止することができる。また、ヘキシルノルボルネンの繰り返し単位を有するノルボルネン系ポリマーは、特に、850nm付近を中心とする波長領域の光に対する透過率が優れることから、例えば600〜1550nm程度の波長領域の光を使用したデータ通信において好適に用いられる。
以上のように、コア層13を製造する場合、化学構造の差異により屈折率差を発現させる材料を成膜した後、コア部となる領域またはクラッド部となる領域に活性エネルギー線を照射して、コア部およびクラッド部を形成する。例えば、コア層13を構成する材料が活性エネルギー線を照射した領域の屈折率が低下することで屈折率差を生じるような材料である場合には、クラッド部となる領域(光回路130およびアライメント用光導波路パターン133以外の領域)に活性エネルギー線を照射すれば、光回路130およびアライメント用光導波路パターン133を一括して製造することができる。
また、製造された光回路130およびアライメント用光導波路パターン133の位置関係は、光学的な方法によって極めて高精度に決定される。具体的には、1枚の露光用マスクを介して露光することにより、露光用マスクの形状が忠実に反映される。このため、コア層13に形成される光回路130およびアライメント用光導波路パターン133は、その位置関係が設計通りのものとなる。
なお、図3(a)では、一例として、アライメント用光導波路パターン133の中心と、ミラー130aの中心との離間距離が、Lであるとする。
このようにして得られたコア層13を、クラッド層11およびクラッド層12で挟んだ状態で圧着する。これにより、クラッド層11、コア層13およびクラッド層12がこの順で接合、一体化され、光導波路フィルム10が製造される。
なお、クラッド層11、12の平均厚さは、コア層13の平均厚さの0.1〜1.5倍程度であるのが好ましく、0.2〜1.25倍程度であるのがより好ましく、具体的には、クラッド層11、12の平均厚さは、特に限定されないが、それぞれ、通常、1〜200μm程度であるのが好ましく、5〜100μm程度であるのがより好ましく、10〜60μm程度であるのがさらに好ましい。これにより、光導波路フィルム10が必要以上に大型化(厚膜化)するのを防止しつつ、クラッド層としての機能が好適に発揮される。
また、クラッド層11および12の構成材料としては、例えば、前述したコア層13の構成材料と同様の材料を用いることができるが、特にノルボルネン系ポリマーが好ましい。
また、コア層13の構成材料およびクラッド層11、12の構成材料を選択する場合、両者の間の屈折率差を考慮して材料を選択すればよい。具体的には、コア層13とクラッド層11、12との境界において光を確実に全反射させるため、コア層13の構成材料の屈折率が十分に大きくなるように材料を選択すればよい。これにより、光導波路フィルム10の厚さ方向において十分な屈折率差が得られ、各コア部からクラッド層11、12に光が漏れ出るのを抑制することができる。
なお、光の減衰を抑制する観点からは、コア層13の構成材料とクラッド層11、12の構成材料との密着性(親和性)が高いことも重要である。
(電気回路基板)
図3に示す電気回路基板20は、絶縁基板220と、その下面に形成された電気回路210とを有するものである。
絶縁基板220としては、比較的可撓性の高いフレキシブル基板や、比較的剛性の高いリジッド基板が用いられる。
このうち、フレキシブル基板の具体例としては、ポリエステル銅張フィルム基板、ポリイミド銅張フィルム基板、アラミド銅張フィルム基板等に含まれるフレキシブル絶縁基板が挙げられる。
また、フレキシブル基板の平均厚さは、光電気混載基板100の可撓性および薄型化の観点から、5〜200μm程度であるのが好ましく、10〜100μm程度であるのがより好ましい。このような厚さのフレキシブル基板であれば、十分な可撓性および透光性を有するとともに、自重や搭載する各種素子の重量によって意図せず変形してしまうことが防止される。また、光電気混載基板100の薄型化が図られるとともに、光回路130と電気回路210との離間距離を十分に短縮し、結合損を抑制することができる。
一方、リジッド基板の具体例としては、ガラス布・エポキシ銅張積層板等のガラス基材銅張積層板、ガラス不織布・エポキシ銅張積層板等のコンポジット銅張積層板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板等の耐熱・熱可塑性基板といった有機系基板や、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板等に含まれるリジッド絶縁基板が挙げられる。
また、電気回路210は、光回路130の形状や配置に対応して形成されている。具体的には、電気回路210は、発光素子を搭載する発光素子搭載部211や、受光素子を搭載する受光素子搭載部212を有している。そして、電気回路210の形状は、これらの発光素子搭載部211や受光素子搭載部212が、それぞれ光導波路フィルム10の光回路130を構成するコア部の両端部近傍に位置するようにあらかじめ設計・製造される。これにより、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置関係が、あらかじめ意図した位置関係に一致しさえすれば、光回路130に設けられたミラー130aの光軸と、発光素子搭載部211に搭載される発光素子の発光点および受光素子搭載部212に搭載される受光素子の受光点とが高い精度で一致する。その結果、結合損が抑制された光電気混載基板100が得られることとなる。
なお、上記とは逆に、光回路130も、電気回路210の形状や配置に対応して形成されている。
また、図3(a)では、電気回路基板20の端面において、発光素子搭載部211の中心から外側に向かって離間距離Lの箇所に、基準マーク213が設けられている。一方、受光素子搭載部212の中心から外側に向かって離間距離Lの箇所に、基準マーク214が設けられている。
なお、図3に示す辺に隣り合う辺にも、2つの基準マーク215、216が設けられている(図4参照)。
[2]次いで、図3(b)に示すように、光導波路フィルム10と電気回路基板20とを重ね合わせ、仮接着体を形成する(第2の工程)。この状態では、光導波路フィルム10と電気回路基板20とが接着されていないので、両者をずらすようにして互いの位置を微調整することが可能である。
次いで、この仮接着体中の各アライメント用光導波路パターン133の一端に光を入射する。具体的には、図2に示すように、4つのアライメント用光導波路パターン133の一端のそれぞれに光源133aを配置し、この光源133aからの光を各アライメント用光導波路パターン133に入射する。これにより、アライメント用光導波路パターン133の他端から出射した光を検出することで、アライメント用光導波路パターン133の他端の位置(出射位置133b)を特定することができる。
この出射位置133bを利用し、まず、図4に示すように、光導波路フィルム10の辺10aについて、出射位置133bと各基準マーク213、214とが一致するように、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置を微調整する。
また、辺10aに隣り合う辺10bについても、辺10aと同様、図4に示すように、アライメント用光導波路パターン133の他端が露出しており、光の出射位置133bを特定することができる。したがって、辺10bにおいても、出射位置133bと各基準マーク215、216とが一致するように、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置を微調整する。
以上のようにして、光導波路フィルム10の辺10aとそれに隣り合う辺10bとについて、各ミラー130aの中心と、発光素子搭載部211の中心および受光素子搭載部212の中心とを正確に一致させることができる。これにより、光回路130と電気回路210との結合損を確実に抑制することができる。
なお、図3では、上述したように、各ミラー130aの中心と、発光素子搭載部211の中心および受光素子搭載部212の中心とを一致させるべく、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置合わせを行う例について説明したが、位置合わせの形態はこれに限定されない。例えば、発光素子搭載部211に搭載される発光素子の発光点の位置や、受光素子搭載部212に搭載される受光素子の受光点の位置によっては、各ミラー130aの非中心点と、発光素子搭載部211の非中心点および受光素子搭載部212の非中心点とを一致させるべく位置合わせを行うようにしてもよい。すなわち、発光点の位置や受光点の位置に応じて、各ミラー130a、発光素子搭載部211および受光素子搭載部212における光軸の位置がいかなる点にあったとしても、本発明の適用には差し支えない。
また、このような方法によれば、平面視において、光導波路フィルム10における光回路130の位置を直接視認できない場合でも、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置合わせを確実に行うことができる。このような場合としては、例えば、光導波路フィルム10を挟んで2枚の電気回路基板20が積層されている場合等が挙げられる。
なお、出射位置133bの検出と、それに基づく光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置合わせは、人為的に行うこともできるが、位置合わせ装置により行うこともできる。
このような位置合わせ装置としては、例えば、出射位置133bを検出可能な位置検出手段と、光導波路フィルム10と電気回路基板20との相対的な位置を調整可能な位置調整手段とを有する装置が挙げられる。
位置検出手段としては、出射光の位置を特定可能なデバイスが挙げられ、例えば、電荷結合素子(CCD)、イメージングプレートのような撮像素子等が挙げられる。
一方、位置調整手段としては、例えば、光導波路フィルム10を吸着した状態で、XY方向に自在に移動可能な移動手段を備えた装置が挙げられる。
そして、このような位置合わせ装置は、位置検出手段により検出した出射位置133bに基づいて、電気回路基板20に対する光導波路フィルム10の位置ずれ方向と位置ずれ量とを算出し、これに基づいて移動手段に動作指示を与えるといった、位置検出手段と移動手段とを協調制御可能な制御手段を有しているのが好ましい。これにより、効率よく位置合わせを行うことができる。
また、各アライメント用光導波路パターン133は、光回路形成領域131の外縁と平行になるよう配設されている。これにより、出射位置133bと光回路130との位置関係が単純になるため、出射位置133bに基づいた、光回路130と電気回路210との位置合わせがより容易になる。
なお、前述したように、図1および図2に示す光回路130やアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部は、平面視で直線状に形成されているが、途中で湾曲、分岐等してもよく、その形状は任意である。
また、前述したように、図1に示すコア部の横断面形状は、正方形または矩形(長方形)のような四角形をなしているが、その形状も特に限定されない。
また、これと同様に、各アライメント用光導波路パターン133は、光導波路フィルム10の外縁と平行になるよう配設されている。この場合も、出射位置133bと光導波路フィルム10との位置関係が単純になるため、出射位置133bに基づいた、光回路130と電気回路210との位置合わせがより容易になる。
なお、各アライメント用光導波路パターン133は、余白部132以外の領域に設けられていてもよいが、本実施形態のように余白部132に設けられているのが好ましい。これにより、位置合わせが完了した後は、各アライメント用光導波路パターン133が不要になるため、余白部132を切り落とすことにより、最終的に得られる光電気混載基板100の小型化を図ることができる。
また、各アライメント用光導波路パターン133は、このような交差部1331c〜1334cで交差しているが、このような交差部を有することにより、交差部を通過する光が分岐するなどして、より多くの地点で出射光を検出することができる。これにより、より高精度での位置合わせが可能になる。
[3]次に、位置合わせをした光導波路フィルム10と電気回路基板20とを接着する(第3の工程)。これにより、図3(c)に示す光電気混載基板100が得られる。
なお、光導波路フィルム10と電気回路基板20との接着は、熱圧着、接着剤または粘着剤を用いた接着等により行われる。すなわち、仮接着体の状態で光導波路フィルム10と電気回路基板20との間に、あらかじめ接着剤等を塗布しておく。そして、本工程では、仮接着体を加熱したり、エネルギー線を照射する等して、接着剤を固化させ、接着を完了する。
接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤の他、各種ホットメルト接着剤(ポリエステル系、変性オレフィン系)等が挙げられる。また、特に耐熱性の高いものとして、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリイミドアミドエーテル、ポリエステルイミド、ポリイミドエーテル等の熱可塑性ポリイミド接着剤が好ましく用いられる。このような材料で構成された接着層は、比較的柔軟性に富んでいるため、光電気混載基板100の形状が変化したとしても、その変化に自在に追従することができる。その結果、形状変化に伴う剥離を確実に防止し得るものとなる。
このような接着層の平均厚さは、特に限定されないが、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜60μm程度であるのがより好ましい。
なお、クラッド層11が接着性を有している場合には、それを利用して光導波路フィルム10と電気回路基板20とを直接貼り合わせることも可能である。この場合、接着剤や粘着剤等は不要である。
以上のようにして、信頼性の高い光電気混載基板100が得られる。
また、上記のような光電気混載基板100の製造方法によれば、光回路130を備える光導波路フィルム10と、電気回路210を備える電気回路基板20とを、個別に製造し、その後これらを積層する場合でも、両者を高精度に積層することが可能になる。
従来では、光導波路フィルムと電気回路基板とを簡単にかつ高精度に位置合わせする方法が確立されていなかったため、あらかじめ電気回路基板(または電気回路の設計図)を用意し、その電気回路のパターンに応じて光回路を形成するという製造順序にならざるを得なかった。このため、光回路を形成する際のフォトリソグラフィー処理やエッチング処理において、電気回路が断線する等の不具合をもたらし、製造歩留まりが低下する等の問題があった。
これに対し、本発明によれば、このような製造工程における制限が少ないため、光導波路フィルム10と電気回路基板20とをあらかじめ作製しておくことができる。すなわち、各々を製造した後であっても、高精度で位置合わせを行うことができるため、製造工程の自由度を高めることができる。このため、各種処理によって電気回路や光回路が損傷を受けるおそれがなく、製造歩留まりの低下を防止することができる。
また、特に、光導波路フィルムを挟んで2枚の電気回路基板を積層するような場合、光導波路フィルムにおける光回路を直接視認できないため、目視による位置合わせが不可能になってしまう。
これに対し、光導波路フィルム10は、その端面において位置合わせの基準となる出射位置133bを検出し得る構造になっているため、平面視で光回路を直接視認できない場合でも、高い精度で位置合わせを行うことができる。
なお、光電気混載基板100の製造後は、アライメント用光導波路パターン133は特に利用されることはないものの、光回路130の光学特性(例えば、減衰率、屈折率差、製造時の異常の有無等)を間接的に示すことのできる性能指標および製造履歴としての機能を有するものとなる。これは、アライメント用光導波路パターン133が光回路130と同一の工程を経て形成された場合には特に、アライメント用光導波路パターン133の光学特性の測定結果を、光回路130の光学特性としてみなすことができるからである。したがって、アライメント用光導波路パターン133に光を入射して、光導波路フィルム10と電気回路基板20との位置合わせをするのと同時に、出射光の光学特性を測定することにより、間接的に、光回路130の光学特性を測定することが可能になる。
よって、光導波路フィルム10を用いることにより、本来は光電気混載基板100について破壊試験をしなければ測定できなかった光回路130の光学特性を、非破壊的に測定することができる。これにより、光導波路フィルム10は、光回路130の光学特性を事後的に非破壊的に測定し得るものである。
このようにして製造された光電気混載基板100には、光回路130や電気回路210の他に、図示しない発光素子、受光素子、IC(integrated circuit)等の電子部品や、外部との接続を担う端子等も設けられている。電気回路210は、これらの電子部品間や、電子部品と端子との間を電気的に接続している。これにより、電気回路210を介して各電子部品に電力を供給したり、電子部品間で電気信号の授受を行う。
また、発光素子では、電気信号を光信号に変換して光回路130に入射し、受光素子では、光回路130により伝送された光信号を受光して電気信号に変換する。このように電気信号と光信号の相互変換を行うことにより、電気回路の一部を光回路130で代替することができ、その結果、光電気混載基板100は、高速かつ低ノイズでの信号処理を可能にする。
このような光電気混載基板100は、光回路130の部分で、電気回路210よりも高速かつ大容量の情報伝送を可能にする。したがって、例えばCPUやLSI等の演算装置とRAM等の記憶装置との間をつなぐバス等に、この光電気混載基板100を適用することにより、システム全体の性能を高めるとともに、電磁ノイズの発生を抑制することができる。
(光導波路層の他の構成例)
図5、6には、図2に示す本発明の光導波路層の他の構成例を示す。なお、以下の説明では、図5、6中の上方を「上」、下方を「下」、右方を「右」、左方を「左」と言う。また、図5、6では、光回路130を構成するコア部およびアライメント用光導波路パターン133を構成するコア部に、ドットを付している。
図5に示す光導波路フィルム10’(本発明の光導波路層)は、各アライメント用光導波路パターン133の交差部1331cに設けられたミラー141を有している以外は、図2に示す光導波路フィルム10と同様である。
このミラー141は、ミラー面の法線が光導波路フィルム10’の左上の角部と右下の角部とを結ぶ対角線に平行になるよう設けられている。また、このミラー141は、ハーフミラーになっており、ミラー141に照射された光の一部を透過するとともに、一部を反射するよう構成されている。
また、図5に示す光導波路フィルム10’は、各アライメント用光導波路パターン133の交差部1332cに設けられたミラー142を有している。このミラー142は、ミラー面の法線が光導波路フィルム10’の右上の角部と左下の角部とを結ぶ対角線に平行になるよう設けられている。また、このミラー142は、ハーフミラーになっており、ミラー142に照射された光の一部を透過するとともに、一部を反射するよう構成されている。
さらに、図5に示す光導波路フィルム10’は、各アライメント用光導波路パターン133の交差部1334cに設けられたミラー144を有している。このミラー144は、ミラー面の法線が光導波路フィルム10’の右上の角部と左下の角部とを結ぶ対角線に平行になるよう設けられている。また、このミラー144は、ハーフミラーになっており、ミラー144に照射された光の一部を透過するとともに、一部を反射するよう構成されている。
このような光導波路フィルム10’では、アライメント用光導波路パターン1331の左端に光源133aから光を入射すると、各ミラー141、142、144において光の透過および光の反射が生じる。その結果、アライメント用光導波路パターン1331の右端、アライメント用光導波路パターン1333の右端、アライメント用光導波路パターン1332の下端、およびアライメント用光導波路パターン1334の下端から光が出射する。すなわち、光導波路フィルム10’では、光源133aを1つ用意して、1箇所から光を入射しさえすれば、4箇所からの出射光を位置合わせの基準として利用することができる。その結果、光導波路フィルム10’を用いることにより、電気回路基板20との位置合わせにおいて、より簡単な構成でも、多数(2箇所以上)の出射位置を利用した高精度の位置合わせが可能になる。
ここで、図5に示す各ミラー141、142、144は、平面視において、ミラー面を長辺とする長方形をなしている。
この長方形の内側の領域は、各アライメント用光導波路パターン133を構成するコア部の屈折率よりも屈折率が小さい材料、または、コア部の反射率よりも反射率が高い材料で構成されていればよい。この材料は、具体的には、アルミニウム、金、銀、銅等の金属であるのが好ましく、その他、空洞(空気層)であってもよい。
なお、空洞である場合、この空洞は、コア層13の成膜後、レーザー加工法等により、コア層13に孔を開けることで形成することができる。
また、ハーフミラーにおける透過率と反射率との兼ね合いは、金属材料等の反射材料で構成された各ミラー141、142、144の厚さを適宜設定することにより調整することができる。これにより、それぞれの出射端で検出される出射光の光量を調整することができる。
図6に示す光導波路フィルム10”は、その上下を二分するように配設されたアライメント用光導波路パターン1335と、アライメント用光導波路パターン1335の途中に設けられた分岐部1336dから下方に分岐したアライメント用光導波路パターン1336と、アライメント用光導波路パターン1335の途中に設けられた分岐部1337dから上方に分岐したアライメント用光導波路パターン1337とを有している。
また、図6に示す光導波路フィルム10”(本発明の光導波路層)は、各アライメント用光導波路パターン133の分岐部1336dに設けられたミラー146を有している。このミラー146は、ミラー面の法線が光導波路フィルム10”の右上の角部と左下の角部とを結ぶ対角線に平行になるよう設けられている。また、このミラー146は、ハーフミラーになっており、ミラー146に照射された光の一部を透過するとともに、一部を反射するよう構成されている。
さらに、図6に示す光導波路フィルム10”は、各アライメント用光導波路パターン133の分岐部1337dに設けられたミラー147を有している。このミラー147は、ミラー面の法線が光導波路フィルム10”の左上の角部と右下の角部とを結ぶ対角線に平行になるよう設けられている。また、このミラー147は、ハーフミラーになっており、ミラー147に照射された光の一部を透過するとともに、一部を反射するよう構成されている。
このような光導波路フィルム10”では、アライメント用光導波路パターン1335の左端に光源133aから光を入射すると、各ミラー146、147において光の透過および光の反射が生じる。その結果、アライメント用光導波路パターン1335の右端、アライメント用光導波路パターン1336の下端、およびアライメント用光導波路パターン1337の上端から光が出射する。すなわち、光導波路フィルム10”では、光源133aを1つ用意して、1箇所から光を入射しさえすれば、3箇所(2箇所以上)からの出射光を位置合わせの基準として利用することができる。その結果、光導波路フィルム10”を用いることにより、電気回路基板20との位置合わせにおいて、より簡単な構成でも、多数の出射位置を利用した高精度の位置合わせが可能になる。
ここで、図6に示す各ミラー146、147は、前述した各ミラー141、142、144と同様の構成である。
以上のような光導波路フィルム10’、10”によっても、光導波路フィルム10を用いた場合と同様、信頼性の高い光電気混載基板の製造が可能になる。
なお、図6に示す各アライメント用光導波路パターン133は、分岐部1336d、1337dで分岐しているが、仮にミラー146、147を省略したとしても、このような分岐部を有することにより、分岐部を通過する光がわずかながら分岐する。これにより、各ミラー146、147を設けた場合と同様、より高精度での位置合わせが可能になる。
また、各ミラー141、142、144、146、147は、それぞれ下記の構成のミラーで代替可能である。
図7に示すミラー141’は、上記各ミラーのうち、ミラー141を別の構成のミラーで代替した例を示す平面図である。
前述したミラー141の長さが交差部1331cの対角線の長さとほぼ同等であるのに対し、図7に示すミラー141’は、その長さが交差部1331cの対角線の長さの半分になっている。すなわち、交差部1331cの対角線の長さをL1としたとき、ミラー141’の長さL2は、L2=(1/2)L1を満足する。このように長さL2が長さL1の半分である場合、ミラー141’は、交差部1331cを通過する光の横断面積の半分を反射するよう機能するため、ミラー141’は、実質的に反射率50%のハーフミラーとして機能する。したがって、ミラー141’は、ミラー141と同等の機能を有するものであり、ミラー141をミラー141’で代替した場合でも、ミラー141と同様の効果を奏し得る。
なお、ミラー141’は、それ自体(構成材料)がミラー141と同様のハーフミラーであってもよいが、反射率が100%に近い単なるミラーであってもよい。
また、後者の場合、このようなミラー141’における透過率と反射率との兼ね合いは、ミラー141’の長さL2を適宜設定することにより簡単に調整することができる。具体的には、ミラー141’の反射率は、前記式のL1の係数と同等であるため、例えばその係数を1/3に設定した場合、ミラー141’の反射率を約33%とすることができる。この係数の範囲は、特に限定されないが、1/5〜4/5程度とするのが好ましい。
また、本実施形態では、光回路130とアライメント用光導波路パターン133とがそれぞれ独立している場合について説明したが、本発明はかかる構成に限定されず、アライメント用光導波路パターン133の一部が、光回路130であってもよい。
すなわち、光回路130に設けられたミラー130a(図3参照)と同様のミラーが、図5に示すアライメント用光導波路パターン133の途中に設けられていてもよい。これにより、アライメント用光導波路パターン133は、前述したアライメント用の光を伝搬する機能に加え、光信号を伝搬する光回路130と同等の機能をも併せ持つものとなる。その結果、光回路130の本数を実質的に増やすことになり、光電気混載基板100のスペースの有効利用が可能になる。
なお、この場合、アライメント用光導波路パターン133の途中に設けられるミラーには、ハーフミラーのように、光量の一部を透過し、一部を反射するミラーが好ましく用いられる。
また反対に、本実施形態のように、光回路130とアライメント用光導波路パターン133とが互いに独立している(平面視において分離している)場合には、アライメント用光導波路パターン133の途中に、ミラー130aと同様のミラー(光導波路フィルム10内を伝搬する光の進行方向を、光導波路フィルム10の法線方向に変更するミラー)を設ける必要がなくなる。このため、アライメント用光導波路パターン133の製造工程が簡略化される。また、光回路130およびアライメント用光導波路パターン133の製造条件を、それぞれの機能に応じて最適化することができるので、それぞれの目的とする光学特性を高め得る点で有利である。
<第2実施形態>
次に、本発明の光電気混載基板の製造方法の第2実施形態について説明する。
図8は、本発明の光電気混載基板の製造方法の第2実施形態を説明するための側面図である。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図8において、第1実施形態と同様の構成部分については、先に説明した図3、4と同様の符号を付している。
本実施形態の光電気混載基板の製造方法は、光回路の形成後に、電気回路を形成するようにした以外は、前記第1実施形態と同様である。
本実施形態の光電気混載基板の製造方法は、光回路130を備える光導波路フィルム10と、一方の面全体が導電層300で覆われてなる導電層付き基板30とを用意する第1の工程と、光導波路フィルム10と導電層付き基板30とを貼り合わせる第2の工程と、導電層300を加工して電気回路310を形成して光電気混載基板100’を得る第3の工程とを有する。
以下、各工程について順次説明する。
[1]まず、光回路130を備える光導波路フィルム(本発明の光導波路層)10と、一方の面全体が導電層300で覆われてなる2枚の導電層付き基板30とを用意する(第1の工程)。
(導電層付き基板)
図8に示す2枚の導電層付き基板30は、それぞれ、絶縁基板320と、その一方の面全体を覆うように設けられた導電層300とを有するものである。
絶縁基板320は、第1実施形態における絶縁基板220と同様のものである。
一方、導電層300は、パターニングにより電気回路を形成可能な導電性材料で構成された層である。
かかる導電性材料としては、例えば、銅、アルミニウム、銀、またはこれらを含む合金等が挙げられる。
[2]次いで、図8(a)に示すように、光導波路フィルム10を挟んで、2枚の導電層付き基板30を貼り合わせる(第2の工程)。この際には、各導電層300がそれぞれ光導波路フィルム10と反対側に位置するように、2枚の導電層付き基板30を貼り合わせる。これにより、図8(b)に示すように、両面に導電層300を備えた導電層付き光回路内蔵基板40(本発明の光導波路構造体)が得られる。
なお、この貼り合わせは、第1実施形態と同様、熱圧着、接着剤または粘着剤を用いた接着等により行われる。
また、クラッド層11、12が接着性を有している場合には、それを利用して光導波路フィルム10と2枚の導電層付き基板30とを直接貼り合わせることも可能である。この場合、接着剤や粘着剤等は不要である。
[3]次に、導電層付き光回路内蔵基板40の両面に設けられた導電層300に対して、パターニングを施す。これにより電気回路310を形成する(第3の工程)。
ここで、電気回路310は、光回路130の位置に基づいて形成される必要があるため、導電層300に対するパターニングは、光回路130の位置を事前に把握した上で開始する必要がある。
しかしながら、従来では、導電層付き光回路内蔵基板において、内蔵されている光回路の位置を外部から把握することは不可能であった。その理由は、導電層付き光回路内蔵基板は、光回路を含む光導波路フィルムを挟むように、2枚の導電層付き基板を貼り合わせたものであるからに他ならない。すなわち、導電層付き基板は、一方の面全体を覆うように導電層が形成されているため不透明であり、導電層付き光回路内蔵基板において光回路を外部から視認することはできないものであるためである。
以上のような理由から、従来では、パターニングの基準点を、導電層付き光回路内蔵基板の外縁に設定したり、あるいは、端面等に設けた基準マーク等に設定していた。
ところが、従来の方法では、導電層付き光回路内蔵基板の外縁や基準マークと、内蔵されている光回路との位置関係が不変であるという前提に依存していたため、この位置関係が熱膨張等の影響で崩れるおそれがあった。位置関係が崩れた場合、最終的に、光回路の位置と電気回路の位置とがずれてしまうおそれがあった。
これに対し、本発明によれば、導電層300に対してパターニングを施す際の開始位置を決める基準として、光導波路フィルム10が有するアライメント用光導波路パターン133を利用することが可能である。
すなわち、本実施形態では、導電層300に対して、例えばフォトリソグラフィー処理およびエッチング処理によりパターニングを行う際、具体的には、フォトリソグラフィー処理において用いる露光用マスクと、導電層付き光回路内蔵基板40との位置合わせを行う際に、アライメント用光導波路パターン133から出射する光の出射位置を位置合わせの基準として利用する。
このような方法によれば、導電層付き光回路内蔵基板40において、光導波路フィルム10を直接視認できなくても、光回路130の位置を間接的であっても正確に把握することができる。このため、光回路130の推定位置に基づいて、露光用マスクの位置合わせを行い、電気回路310を簡単に形成することができる。その結果、光回路130と電気回路310との結合損を確実に抑制することができる。
また、上記の方法によれば、光回路130とアライメント用光導波路パターン133とが、同一の層内に同一の構成で形成されたものであるため、互いの位置関係は熱膨張等の影響を受け難い。このため、アライメント用光導波路パターン133は、導電層300に対するパターニングの開始位置を正確に導き出すための基準として好ましく用いられる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
なお、本実施形態では、電気回路310の形成に際し、フォトリソグラフィー処理およびエッチング処理を施すが、光回路130を含む光導波路フィルム10が、2枚の導電層付き基板30で挟まれているため、光回路130が導電層付き基板30で保護されることとなり、前記処理による光回路130の変質・劣化が防止される。
このようにして、簡単に光電気混載基板100’を得ることができる。
[電子機器]
上述したような光電気混載基板100、100’は、例えば、携帯電話、ゲーム機、パソコン、テレビ、ホーム・サーバー等、大容量のデータを高速に伝送する電子機器類に搭載することが考えられる。このように光電気混載基板100、100’(本発明の光電気混載基板)を備えた電子機器(本発明の電子機器)は、内部の情報処理速度に優れた高い性能を発揮し得るものとなる。
以上、本発明の光導波路層、光導波路構造体、光電気混載基板の製造方法、光電気混載基板および電子機器の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、例えば光導波路層、光導波路構造体、光電気混載基板および電子機器を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
例えば、前記各実施形態において、本発明の光導波路層、光導波路構造体および光電気混載基板は、平面視において、正方形以外の形状、例えば長方形、円形、長円形、多角形等の形状であってもよい。
また、前記各実施形態において、電気回路基板に設けられた基準マークは省略してもよく、電気回路基板の端部やその他の部分を基準として位置合わせをするようにしてもよい。