JP4603716B2 - プラスチック製容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、飲料水、粘性状食品、液体又は顆粒状の調味料、中小の粒状の固形物等のボルト又は広口容器等の容器として用いられているプラスチック製容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチック廃棄物の処理は大きな社会問題となり、いわゆる容器包装リサイクル法等の社会基盤が整備されつつある。そして、プラスチック製容器をリサイクルや廃棄処理に出すときには、押潰しによる減容化で運搬効率を上げるような指導がされている。
【0003】
このため従来から種々のプラスチック製容器が提案、開発されている。例えば、特開平10−167243号公報や特開平10−218149号公報、特開平7−172424号公報に記載のものは、容器の胴部に蛇腹壁や溝等を設けて、押潰し容易性と復元抑止性を確保しようとしている。
【0004】
また、特開2000−72123号公報や特開2000−85738号公報、特開2000−35678号公報に記載の容器では、容器上部と底部にV字状のリブを配置して胴部を折畳み可能としている。
【0005】
更に、特開平10−35678号公報に記載の容器では、胴部に特殊形状のリブを設けることで、容器の薄肉化及び押潰し容易性の改善を図っている。特開平11−208634号公報に記載のものも、容器の胴部を特殊形状として容器に必要な強度を持たせることによって薄肉化を図っており、これにより押潰し容易性を改善している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術のいずれも問題点を有している。
【0007】
特開平10−167243号公報や特開平10−218149号公報、特開平7−172424号公報に記載のものは、押潰し力を小さくしたために軸線方向の座屈強度が低下し、内容物の保護が十分にできないという問題点を生じている。
【0008】
また、特開2000−72123号公報や特開2000−85738号公報、特開2000−35678号公報に記載の容器は、胴部そのものに押潰し容易性と復元抑止性を持たせた構造ではなく、実効性の低いものである。
【0009】
特開平10−35678号公報に記載の容器は、復元抑止性の点では十分ではないため、廃棄時の減容性は高くない。
【0010】
更に、特開平11−208634号公報に記載の容器は、押潰し容易性や復元抑止性を考慮したものではないため、当該公報に記載の構成を有する全ての容器で押潰し容易性と復元抑止性とが良いというわけではなかった。
【0011】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、必要な座屈強度は維持しつつ、押潰し容易性及び復元抑止性に優れた新規なプラスチック製容器を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の軸線の回りに4以上の偶数の曲面を配列してなる胴部を備えるプラスチック製容器において、各曲面の、前記軸線に沿う断面を波形とし、各曲面の山部が隣接の曲面の谷部と同一の高さ位置となるように配置し、且つ、軸線に直角な方向に胴部に外力を加えて当該胴部を平板状に押し潰した場合に、隣合う曲面間を繋ぐ稜線の一部が内側に凹状に変形された状態で維持されるようにしたことを特徴としている。
【0013】
かかる構成においては、容器の薄肉化が可能であり押潰しが容易となると共に、押し潰した際に稜線の一部が凹状に変形したままの状態で維持されるため、胴部が元の状態に復元されることも抑制される。
【0014】
ここで、「各曲面の山部が隣接の曲面の谷部と同一の高さ位置となるように」とは、山部の最高点と谷部の最低点とが完全に同一の高さ位置となる場合のみならず、実質的に同一の高さ位置となる場合、すなわち、高さ方向において所定の幅の範囲内で山部の最高点と谷部の最低点とが配置される場合を含むものである。実質的に同一の高さ位置にあれば、容器を押し潰した後における復元抑制の効果が得られるからである。なお、山部の最高点と谷部の最低点との間の許容される高さ方向の幅は容器の容積によって異なり、その具体例については以下で述べる。
【0015】
なお、本明細書において、曲面とは、胴部の表面形状を表す語であるが、容器は比較的薄肉であるので、胴部壁体をも意味するものである。
【0016】
また、各曲面が軸線の回りに螺旋状に形成されている場合、容器の座屈強度及び減圧変形強度がより向上され、より一層の薄肉化が可能となり、ひいては押潰し容易性の向上が可能となる。
【0017】
隣合う曲面間を繋ぐ稜線の一部が内側に凹状に変形された状態で維持されるためには、具体的には、所定の高さ位置にての軸線に直交する断面における胴部の周囲長(L)に対する曲面の山部と谷部との間の高低差(PV値)の比(r1=PV値/L)が所定値以上であり、且つ、軸線に直交する断面における胴部の断面であって、正多角形となる断面において、隣合う両辺の中心点を結ぶ線から稜線頂部までの距離(h)に対しての、前記多角形となる断面においてフィレットの両端点が前記胴部の中心点となす角度(α)の比(r2=α/h)が所定値以下であることが好ましい。
【0018】
特に、上記構成の容器においては、曲面の数が6以上、12以下であること(断面が六角形〜十二角形)が好ましいが、かかる面数の容器の場合、前記r1は0.005以上、前記r2は5以下とすることがよい。このr1及びr2については以下で詳説する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明によるプラスチック製容器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書において「上」や「下」等の向きを示す語は容器を水平面に縦置きとした状態での語として用いることとする。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明による容器10は、或る程度の剛性を有するプラスチックからなる縦長の有底筒状の一体成形品であり、底部12と、胴部14と、口頚部16とから構成されている。口頚部16は、その頂部中央に注出口18が形成されている。注出口18には、ねじ式の蓋(図示しない)が螺合されるようになっている。
【0021】
胴部14は本発明の要部である。胴部14は、所定の軸線の回りに曲面20を偶数、周方向に配列することにより構成されている。各曲面20は、軸線に沿っての断面を見た場合、波形となっており、また、各曲面20の山部が隣接の曲面20の谷部と同一の高さ位置となるよう配置されている。曲面20の数は、好ましくは4以上、14以下、より好ましくは6以上、12以下であり、図示実施形態では8つとなっている。面数を制限した理由については後述する。また、各曲面20は、前記軸線(すなわち、胴部の中心の軸線)の回りに螺旋状に配置されている。
【0022】
この形状をより詳細に説明する。まず、図3を参照すると、胴部14の水平断面の形状においては、八角形となっていることが分かるであろう。また、この胴部14には、胴部14の高さ(軸線方向の全長)にもよるが、3箇所以上の基準となる高さ位置が定められている。図示実施形態では、6カ所が基準高さ位置とされ、互いに等間隔とされている。各基準高さ位置における水平断面の形状は、図3の(a)〜(f)に示すように全て同一であり、短辺と長辺とを交互に組み合わせた形状となっている。
【0023】
図4の(b)は長辺が短辺の2.27倍の場合を示している。図4において実線と二点鎖線とのずれ量が曲面における山谷の高低差(PV値)を表しているが、図4の(a)から理解されるように、倍率が小さいと、正多角形に近くなり、波形の曲面として胴部14に現れなくなり、後述する本発明の効果の一つ、すなわち軸線方向の座屈強度及び減圧変形強度の向上という効果が得られなくなる。一方、図4の(c)に示すように、倍率が大きいと、長辺のみからなる多角形(図4の(c)の場合は四角形)と変わらなくなり、また、曲面の凹凸も大きくなり、持ちにくいという問題点が生ずる。
【0024】
今、図示実施形態において、最も高い位置の基準高さ位置を第1位置22aと称し、順次上から、第2位置22b、第3位置22c、第4位置22d、第5位置22e、最も低い基準高さ位置を第6位置22fと称することとする。そして、奇数番の基準高さ位置(第1位置22a、第3位置22c及び第5位置22e)における水平断面の多角形については、短辺を基準辺とし、偶数番の基準高さ位置(第2位置22b、第4位置22d及び第6位置22f)における水平断面の多角形については、長辺を基準辺とする。
【0025】
このように定義付けした上で、まず、基準辺の中心点が軸線方向に一直線に整列するよう各基準高さ位置22a〜22fにおける多角形を配向する。そして、それぞれの辺を通るように滑らかに曲面で繋ぐと、図8の如き形状が得られる。
【0026】
更に、図1に示す実施形態では各基準高さ位置22a〜22fでの水平断面の多角形における基準辺は、同じ向きとされておらず、その中心を軸に水平方向に回転させて配置されている。回転させる量は、上側の基準高さ位置における多角形の基準辺を基準に、回転角θ/基準高さ位置間の距離H=0.1〜2.0deg/mmである。この回転量は、胴部14の上部から中央部にかけて徐々に大きくしていき、中央部で最大になるようにする。そして、中央部から下部にかけて徐々に小さくすることが好適である。図示実施形態では、第1位置22aから第2位置22bの間では、θ/H=0.32deg/mm、第2位置22bから第3位置22cの間では、θ/H=0.53deg/mm、第3位置22cから第4位置22dの間では、θ/H=0.75deg/mm、第4位置22dから第5位置22eの間では、θ/H=0.53deg/mm、第5位置22eから第6位置22fの間では、θ/H=0.32deg/mmとされている。
【0027】
このように各基準高さ位置22a〜22fにおける断面多角形を配向したならば、それぞれの辺を通るように滑らかに曲面で繋ぐ。この辺の繋ぎ合わせは、例えば三次元CADのロフト機能を用いて行うことができる。ロフトとは、複数の二次元断面図形の外形を連続的に滑らかに結ぶ面を生成する方法をいう。この滑らかに曲面を繋ぐ手段として、数学的なスプライン補間による曲面を用いることもできる。
【0028】
このようにして胴部14を形成すると、胴部14の中心軸線に沿っての断面が波形となり、隣合う曲面20,20間には波形の稜線24が形成される。更に、或る曲面における山部(谷部)は、隣接の曲面における谷部(山部)と水平面において隣合う。また、各曲面20は螺旋状となる。各基準高さ位置における断面多角形の回転量は前述したように上下と中央部で変化させているため、胴部14の軸線方向の中央部における螺旋のねじれ角α2は、上部と下部のねじれ角α1,α3よりも小さなものとなる。
【0029】
この容器10に軸線方向(垂直方向)に圧縮荷重を作用させると、螺旋状で、軸線方向に対して傾斜している曲面20により荷重が水平方向と垂直方向に分散され、胴部14に生ずる応力は小さく抑制される。すなわち、座屈強度が向上する。なお、胴部14の上部と下部において水平断面の多角形の回転量を小さくしている(曲面20の螺旋のねじれ角αを大きくしている)理由は、回転量を大きくすると、口頚部16又は底部12と胴部14との境界部に応力が集中するおそれがあるためである。そして、応力が最も大きくなる胴部14の中央部においては、回転量が大きくなっているので、応力の抑制に役立っている。但し、曲面20のねじれ角が45度以下となると、曲面20,20間の稜線24に大きなせん断力が作用することになるので、ねじれ角は45度よりも大きくする必要がある。
【0030】
また、容器10の内部を減圧して、胴部14に水平方向の外力を作用させると、曲面20の一部がへこみ、そこに隣接する他の曲面20の部分が膨れるような挙動を示す。この挙動は、曲面20,20間に形成された稜線24を枢軸として両側の部分がヒンジの如く動くことで生じ、減圧変形に対する強度を高めることができる。従って、曲面20の数が多く、胴部14に稜線24がはっきり出ないものでは、かかる効果が期待できず、曲面20の数、すなわち水平断面の多角形の角数は14以下であることが望ましいものとなる。
【0031】
このように、図示実施形態の容器10は座屈強度及び減圧変形強度が共に向上しているので、容器10を薄肉化することも可能であり、かかる場合には容器10の重量は減じられることになる。
【0032】
なお、図8のように、曲面がねじられておらず、容器10の軸線方向と平行に延びる構成であっても、図1に示す構成よりは若干劣るが、高い座屈強度及び減圧変形強度を奏することができる。
【0033】
上述したように、容器10の座屈強度及び減圧変形強度の向上により、容器10を薄肉化することができるが、この薄肉化により、空の容器10の胴部14に、軸線に対して直角の方向(横方向)から外力を加えると、図6に示すように、平板状に容器10を容易に押し潰すことが可能となる。
【0034】
容器10の胴部14が押し潰されて平板状にされた後、押潰し力を解放すると、胴部14が元の状態に復元する場合と、平板状のまま維持される場合とがある。本発明者らはこの違いを鋭意検討した結果、押し潰された胴部14の曲面20間を繋いでいる稜線24が、そのほぼ全長にわたり、図7の(a)に示すように外側に突出した状態となる場合には、隣合う曲面20,20間が互いに近づく方向の弾性復帰力が作用すると共に、各曲面20が元の平坦な状態に戻ろうとする弾性復帰力が作用して、胴部14が元の状態に復元されることを見出した。そして、稜線24の複数箇所が、図7の(b)に示すように、容器内側に凹状に変形され且つその変形部26が維持されている場合には、その部分における弾性復帰力が作用せず、胴部14が平板状を維持することを見出した。
【0035】
そこで、本発明者らは、(1)胴部14を押し潰した際、稜線24に凸状のままの部分と、図7の(b)に示すような凹状変形部26とが容易に形成され、且つ、(2)一旦形成された凹状変形部26が維持されて元の状態に復元しない、という二つの条件を満たした場合、復元抑止性が高い容器10となると結論づけた。そして、かかる条件は次の二つの関係を満たした場合に得られることを見出した。
【0036】
その第1は、基準高さ位置22a〜22fにおける胴部14の水平断面における周囲長(L)に対する胴部14の曲面20の山谷の高低差(PV値)の比(r1=PV値/L)が所定値以上である、というものである。PV値は図4の如く水平断面を描き、長辺(実線)と、これと同位置の短辺(二点鎖線)との差を求めることにより得られるものである。例えば、図1の実施形態のように曲面20の数が8、すなわち水平断面が八角形の場合には、r1は0.005以上であればよい。これは、山谷の高低差PV値が大きい場合には、胴部14を押し潰した場合の稜線24の外側への突出量も大きくなり、凹状変形部26が形成されやすくなるためである。
【0037】
第2の関係は、図5に示すように、隣合う基準高さ位置の中間部、すなわち胴部14の山谷の高低差がない位置での胴部水平断面(正多角形となる)における稜線高さ(h)に対する、稜線24のフィレット角度(α)の比(r2=α/h)が所定値以下である、というものである。ここで、稜線高さhは、前記位置での胴部水平断面において、隣り合う両辺の中心点を結ぶ線からの稜線24の頂点までの距離をいう。また、フィレット角度αは、前記位置での胴部水平断面において、フィレット(隣り合う両辺間を結合する曲線)の両端点が胴部14の中心点(軸線)となす角度をいう。例えば、曲面20が8である容器10の場合、r2は5以下であることが条件となる。
【0038】
r2を所定値以下に定めた理由は、次の通りである。まず、稜線高さhについては、このhが大きいほど、大きな凹状変形部26を形成するため、変形部26の維持に寄与することが、本発明者らにより見いだされた。一方、フィレット角度αが大きいと、変形部26の維持を妨げる。これは、図5の(d)に示すようにフィレット角度αが大きい場合には、稜線24が丸みを帯びた状態で現れ、凹状に変形しやすいものの、元の状態に復元しやすくなる、ということである。例えば通常の円筒形の容器の場合、復元しやすいことは経験的に知られているが、図5の(d)のような形状についても円筒形容器と同様な作用が生ずるのである。また、対辺距離D(互いに正対する辺間の距離)が一定の場合、フィレット角度αが小さくなると(すなわちフィレット半径frが小さくなると)、稜線高さhは大きくなっていく。このため、稜線高さhに対するフィレット角度αの比r2(=α/h)を求めた場合、比r2が或る特定の値以下である場合、稜線高さh及びフィレット角度αが共に、凹状変形部26を維持するための値にあることを示すことになる。この特定の値が、面数8の場合には、「5」となるのである。このr2の値については、実験やシミュレーションで容易に確認できるものである。
【0039】
上記2つの関係が満たされた場合、特に好ましくはr1=0.2、r2=0.58となる断面が八角形の形状の場合、容器10を押し潰した場合に復元しにくくなるという効果、すなわち高い復元抑止性が得られる。従って、廃棄時の減容化という要請にも大いに寄与することとなる。
【0040】
ここで、胴部14の同じ肉厚の容器においても押潰し容易性について再考する。上記実施形態では、容器10を薄肉化することで、押潰し容易性を向上させているが、同じ肉厚の容器においても、押潰し容易性に差異が見られる。図1に示す上記実施形態のように、胴部14の周囲長が胴部の全長にわたりほぼ等しい場合、すなわち胴部14の最大周囲長に対する胴部14の最小周囲長の比r3が、
0.97≦r3<1
の関係にある場合、胴部14の押潰しは容易である。一方、例えば胴部14が樽形状、或いは下方ほど広がるフレア形状となっている場合であって、r3が前記範囲を超えるほど周囲長に長短が生じている場合、胴部14の周囲長が胴部の全長にわたりほぼ等しい場合に比して、たとえ肉厚が同一であっても、平板状に押し潰すことが困難となる。従って、胴部14の最大周囲長に対する胴部14の最小周囲長の比r3が0.97以上であることが、好適である。
【0041】
なお、図8に示すような曲面にねじれのない形状にも上記関係は適用され得るものであり、押潰し容易性及び復元抑止性に富んだ容器とすることが可能である。
【0042】
また、曲面20の数が10の場合も、上述した容器10の場合と同様にして容器の作ることができる。その好適な形態が図9に示すものである。
【0043】
図9に示す容器100においても、座屈強度及び減圧変形強度が向上し、薄肉化が可能となり、容器100の胴部114の押潰し容易性が向上する。
【0044】
そして、復元抑止性を向上させるためには、上記2つの関係を満たす必要がある。まず、基準高さ位置における胴部114の水平断面における周囲長(L)に対する胴部114の曲面120の山谷の高低差(PV値)の比(r1=PV値/L)を求め、その値を、曲面数が10の場合における所定値以上とする。かかるr1についての所定値は、その周囲長が曲面数8の場合の周囲長とほぼ同等であるため、この場合も0.005としている。図10の場合、(b)〜(e)がこの条件を満たすものである。
【0045】
また、隣合う基準高さ位置の中間部、すなわち胴部114の山谷の高低差がない位置での胴部水平断面(正多角形となる)における稜線高さ(h)に対する稜線24のフィレット角度(α)の比(r2=α/h)を、曲面数が10の場合における所定値以下、すなわち実験やシミュケーションから得られた5以下とする。図11に示す形態のうち、(a)〜(c)がこの条件を満たしている。このようにして得られた形状の容器100についても、図1に示す容器10の場合と同様、押潰し容易性のみならず、復元抑止性が良好なものとなる。
【0046】
なお、曲面数が6〜12の全ての場合、r1は0.005以上、r2は5以下として、良好な結果が得られることが分かっている。
【0047】
本発明による容器10,100は、樹脂製の単層体又は積層体で構成されることが好ましくは、その樹脂としては、エチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、スチレン系樹脂、エステル系樹脂、ポリアミド系樹脂又はこれらの樹脂混合物を用いることができ、好ましくは、エチレン系樹脂としてエチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、プロピレン系樹脂としてプロピレン系単独重合体、プロピレン系共重合体を用いることができ、特に好ましくは、ポリエチレン、少なくとも1種類のαオレフィン(好ましくは、炭素数が4ないし10)を含むエチレン・αオレフィン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、金属として亜鉛(Zn)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)の少なくとも1種類を含むエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩部分中和物(アイオノマー樹脂ということがある)、エチレン・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリスチレン、スチレン系共重合体が挙げられる。
【0048】
好適な積層体としては、外界側から順に、外層、接着層、酸素ガスバリア層、接着層、再生利用する樹脂の層、内層からなるものがある。このような積層体では、外層及び内層用の樹脂としてプロピレン系共重合体(住友化学社製、商品名「ノーブレン」(結晶融点132℃、メルトインデックス1.4、密度0.90g/cm3))、酸素ガスバリア層用樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物(クラレ社製、商品名「EVAL」銘柄EP−F101(結晶融点183℃、メルトインデックス1.3、エチレン含有率32モル%、鹸化度99%、密度1.19g/cm3))、接着層用樹脂としてマレイン酸グラフト変性したポリプロピレン(三井石油化学社製、商品名「ADMER」(結晶融点112℃、密度0.89g/cm3))、再生利用する樹脂としてこの容器本体12の粉砕物からなる樹脂を用いることができる。
【0049】
前記積層体からなる容器10を製造するには、まず、環状多層ダイに溶融した各層用樹脂を導入し、ダイ内共押出し積層して筒状のパリソンを押し出し、次いで割金型にこのパリソンを導入し、金型を閉じてからブローピンをパリソン上端に刺し込み、圧縮空気を吹込むのである。この圧縮空気の吹込みにより、パリソンが膨らみ、金型内面に樹脂が押し付けられて容器10が成形される。各層用樹脂導入についてより具体的に述べるならば、フルフライト型スクリュー装着の口径40mm押出機をシリンダー温度220℃に設定して内層用樹脂及び外層用樹脂を導入し、フルフライト型スクリュー装着の口径25mm押出機をシリンダー温度210℃に設定して酸素ガスバリア層用樹脂を導入し、フルフライト型スクリュー装着の口径25mm押出機をシリンダー温度200℃に設定して接着層用樹脂を導入し、3条バリア型スクリュー装着の口径40mm押出機をシリンダー温度200℃に設定して再生利用する樹脂を導入するのが好適である。
【0050】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、図9の容器100の変形例として、図12に示すような曲面にねじれがない容器にも本発明は適用可能である。
【0051】
また、上記実施形態では、或る曲面20の山部が隣接の曲面20の谷部と同一の高さ位置に配置された構成が示されており、当該山部の最高点(容器中心軸線からの水平距離において最長点)と当該谷部の最低点(容器中心軸線からの水平距離において最短点)とが完全同一の高さ位置に配置される如く述べているが、当該山部の最高点と当該谷部の最低点とは高さ方向において所定の幅の範囲内に配置されて、実質的に同一の高さとなっていればよい。実質的に同一の高さ位置にあれば、容器の薄肉化の効果、及び、容器を押し潰した後における復元抑制の効果が得られるからである。
【0052】
なお、山部の最高点と谷部の最低点との間の許容される高さ方向の幅は容器の容積によって異なり、1000cm3の容器の場合、その幅は4mmまでの範囲内、3000cm3の容器の場合、その幅は6mmまでの範囲内であればよい。
【0053】
【実施例】
次に、図1に示す容器(実施例1)、曲面にねじれを加えていない図8に示す容器(実施例2)、r2が5.38である以外は実施例1の容器とほぼ同様な構成であり、図5の(d)に相当する容器(比較例1)、r1が0.004である以外は実施例1の容器と同様な構成であり、図4の(a)に相当する容器(比較例2)、図13に示す市販されている一般的な容器(参考例1)、図示しないが、胴部が完全な円筒形(水平断面が円形)となっている点を除き実施例1の容器とほぼ同様な構成の容器(参考例2)を用いて、押潰し容易性及び復元抑止性について評価した結果を述べる。押潰し容易性の試験では、平均的な女性の握力で潰した場合を想定した。
【0054】
なお、実施例1,2、比較例1,2及び参考例1,2の容器の材料は共に、外層及び内層用の樹脂としてプロピレン系共重合体(住友化学社製、商品名「ノーブレン」(結晶融点132℃、メルトインデックス1.4、密度0.90g/cm3))、酸素ガスバリア層用樹脂としてエチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物(クラレ社製、商品名「EVAL」銘柄EP−F101(結晶融点183℃、メルトインデックス1.3、エチレン含有率32モル%、鹸化度99%、密度1.19g/cm3))、接着層用樹脂としてマレイン酸グラフト変性したポリプロピレン(三井石油化学社製、商品名「ADMER」(結晶融点112℃、密度0.89g/cm3))、再生利用する樹脂としてこの容器の粉砕物からなる樹脂から形成された積層体である。この積層体の曲げ剛性は700MPaである。製造方法は上記方法による。また、全ての例の容器とも胴部の平均肉厚は0.7mm、高さは270mm、容積1000cm3のものを用いた。
【0055】
結果は次表の通りである。
【0056】
【表1】
【0057】
この表から、押潰し容易性については、実施例1,2、比較例1,2及び参考例2の容器が良好なものとなっている。これらは肉厚が0.7mmと薄肉なものであり、胴部の最大周囲長に対する胴部の最小周囲長の比が0.97以上となっているからである。もちろん、実施例1,2及び比較例1,2はその形態から座屈強度及び減圧変形強度に優れたものであるが、参考例2の円筒形容器は、座屈強度及び減圧変形強度が低く、実際の使用には耐えられないものと考えられる。参考例1の容器については、肉厚が他の容器と同等であるが、胴部の形状が下方にいくほど広がり、胴部の最大周囲長に対する胴部の最小周囲長の比が0.97未満となっているため、女性や、子供、老人等の非力な者の力では押潰しができないという結果が得られた。
【0058】
一方、押し潰した後、一定時間経過後に容器が押し潰した状態で維持されるか否かを試験した結果、実施例1,2の容器に良好な復元抑止性が認められた。比較例1,2の容器は共に容器が元の状態に近い状態まで復元した。実施例1の容器と異なる点はr1及びr2の条件のみである。すなわち、比較例1のr2が5.38であり、5以下という条件を満たしておらず、また、比較例2はr1が0.004であり、0.005以上という条件を満たしていない。従って、これらの数値が復元抑止性に影響を与えていることがこの結果から明らかとなった。
【0059】
なお、参考例1については押し潰すことができなかったため、復元抑止性の試験は行えなかった。また、参考例2の容器は、ほぼ完全に元の状態に戻った。
【0060】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明による容器は、座屈に対する強度及び減圧による変形に対する強度が共に向上した結果、薄肉化することが可能となり、押潰し容易性を向上させることができる。また、押し潰した後の復元抑止性も向上するため、容器の廃棄や廃棄場への運搬時に減容化された状態を維持することができ、運搬効率を上げることができ、廃棄場の省スペースにも寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による曲面数が8のプラスチック製容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の容器を示す正面図である。
【図3】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)及び(f)は、それぞれ、図2のA−A線、B−B線、C−C線、D−D線、E−E線及びF−F線に沿っての端面図であり、肉厚を省略して描いた図である。
【図4】(a)〜(c)は、図1の容器におけるr1と胴部形状の関係を示す図である。
【図5】(a)〜(d)は、図1の容器におけるr2と胴部形状の関係を示す図である。
【図6】図1の容器を押し潰した状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は容器を押し潰した際の作用を概略的に示す容器の断面部分図であり、(b)は容器を押し潰した際に凹状変形部が形成された場合を概略的に示す容器の断面部分図である。
【図8】図1の容器の変形例であり、曲面にねじれが加えられていない曲面数8の容器を示す説明図である。
【図9】本発明による曲面数が10のプラスチック製容器の別の実施形態を示す説明図である。
【図10】(a)〜(e)は、図9の容器におけるr1と胴部形状の関係を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は、図9の容器におけるr2と胴部形状の関係を示す図である。
【図12】図9の容器の変形例であり、曲面にねじれが加えられていない曲面数10の容器を示す説明図である。
【図13】参考例1の容器を示す正面図である。
【符号の説明】
10,100…容器、12…底部、14,114…胴部、16…口頚部、18…注出口、20,120…曲面、22…基準高さ位置、24,124…稜線。
Claims (5)
- 所定の軸線の回りに4以上の偶数の曲面を配列してなる胴部を備えるプラスチック製容器であって、
前記各曲面の、前記軸線に沿う断面が波形であり、
前記各曲面の山部が隣接の曲面の谷部と同一の高さ位置となるよう配置され、
前記軸線に直角な方向に前記胴部に外力を加えて当該胴部を平板状に押し潰した場合に、隣合う前記曲面間を繋ぐ稜線の一部が内側に凹状に変形された状態で維持されるようになっていることを特徴とするプラスチック製容器。 - 前記各曲面が前記軸線の回りに螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック製容器。
- 所定の高さ位置にての前記軸線に直交する断面における前記胴部の周囲長(L)に対する前記曲面の山部と谷部との間の高低差(PV値)の比(r1=PV値/L)が所定値以上であり、且つ、
前記軸線に直交する断面における前記胴部の断面であって、正多角形となる断面において、隣合う両辺の中心点を結ぶ線からの稜線頂部の距離(h)に対しての、前記正多角形となる断面においてフィレットの両端点が前記胴部の中心点となす角度(α)の比(r2=α/h)が所定値以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック製容器。 - 前記曲面の数が6以上、12以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック製容器。
- 所定の高さ位置にての前記軸線に直交する断面における前記胴部の周囲長(L)に対する前記曲面の山部と谷部との間の高低差(PV値)の比(r1=PV値/L)が0.005以上であり、且つ、
前記軸線に直交する断面における前記胴部の断面であって、正多角形となる断面において、隣合う両辺の中心点を結ぶ線からの稜線頂部の距離(h)に対しての、前記正多角形となる断面においてフィレットの両端点が前記胴部の中心点となす角度(α)の比(r2=α/h)が5以下であることを特徴とする請求項4に記載のプラスチック製容器。
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