JP4603668B2 - 外歯歯車の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車の製造方法に係り、特に内歯歯車の中心が外歯歯車の周囲の内側にある歯車伝動装置に用いられる外歯歯車の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車を有し、且つ、前記内歯歯車の中心が、外歯歯車の周囲の内側にある歯車伝動装置(国際分類F16H 1/32に該当する伝動装置)が広く知られている。
【0003】
この種の伝動装置の代表的な例として、第1軸と、該第1軸の回転によって回転する偏心体と、該偏心体にベアリングを介して取り付けられ偏心回転が可能とされた複数の外歯歯車と、該外歯歯車に外ピンで構成される内歯を介して内接噛合する内歯歯車と、前記外歯歯車に該外歯歯車の自転成分のみを取り出す内ピンを介して連結された第2軸と、を備えた内接噛合遊星歯車構造がある。
【0004】
この構造の従来例を図4及び図5に示す。この従来例は、前記第1軸を入力軸とすると共に、第2軸を出力軸とし、且つ内歯歯車を固定することによって上記構造を「減速機」に適用したものである。
【0005】
図4及び図5において、1は減速機ケーシングであり、両端の第1ケーシング1A、第2ケーシング1Bと、中央の内歯歯車7を兼ねた本体ケーシング1Cとからなる。2は入力軸、3は出力軸、4、5は入力軸2を回転自在に支持する軸受、6は出力軸3を回転自在に支持する軸受である。入力軸2と出力軸3は同一軸線上に配され、出力軸3を支持する軸受6は第1ケーシング1Aに嵌合されている。
【0006】
この減速機における歯車伝動機構は、入力軸2の外周に該入力軸2と一体回転するよう設けられた2つの偏心体8と、該偏心体8の外周に軸受9を介して取り付けられ、入力軸2に対して偏心回転可能な2枚の外歯歯車10と、該外歯歯車10が内接噛合するケーシング兼用の内歯歯車7とからなる。外歯歯車10を偏心体10の周りに支持する軸受9は、外歯歯車10の中心孔11に嵌合されている。外歯歯車10の外周にはトロコイド歯形や円弧歯形等の外歯が設けられており、内歯歯車7の内周には外ピン12よりなる内歯が設けられている。
【0007】
2枚の外歯歯車10の両側には一対のキャリア13、14が配されている。両キャリア13、14は、外歯歯車10のキャリアピン孔15を貫通する複数本のキャリアピン16で一体に結合されている。外歯歯車10には内ピン孔17が複数個設けられており、そこに、内ピン18が遊嵌されている。これにより、外歯歯車10の自転成分のみが、内ピン18を介して両側のキャリア13、14に伝達されるようになっている。
【0008】
他端側のキャリア14は出力軸3の基端部に一体に形成されており、該キャリア14に形成された凹所に、入力軸2の他端側を支持する軸受5が嵌合されている。
【0009】
又、一端側のキャリア13の内周に、入力軸2の一端側を支持する軸受4が嵌合され、該一端側のキャリア13が、第2ケーシング1Bの内部に軸受19を介して回転自在に支持されている。そして、入力軸2や外歯歯車10などの歯車機構を構成する要素を、内歯歯車7を兼ねる本体ケーシング1Cの中に組み込み、該本体ケーシング1Cにボルトで第1、第2ケーシング1A、1Bを固定することにより、図示の減速機が完成されている。
【0010】
この減速機の作用を説明する。
【0011】
入力軸2が1回転すると、偏心体8が1回転する。この偏心体8の1回転により、外歯歯車10は入力軸2の周りで揺動回転を行おうとするが、内歯歯車7によってその自転が拘束されるため、外歯歯車10は、この内歯歯車7に内接しながらほとんど揺動のみを行うことになる。
【0012】
今、例えば外歯歯車10の歯数をN、内歯歯車7の歯数をN+1とした場合、その歯数差Nは1である。そのため、入力軸2の1回転毎に外歯歯車10は、ケーシング1に固定された内歯歯車7に対して1歯分だけずれる(自転する)ことになる。これは入力軸2の1回転が外歯歯車10の−1/Nの回転に減速されたことを意味する。
【0013】
この外歯歯車10の回転は内ピン孔17及び内ピン18の隙間によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみが該内ピン18を介して出力軸3へと伝達される。
【0014】
この結果、結局減速比−1/N(マイナスは逆回転を表す)の減速が達成される。
【0015】
なお、この内接噛合遊星歯車構造は、現在種々の減速機あるいは増速機に適用されている。例えば、上記構造においては、第1軸を入力軸、第2軸を出力軸とすると共に、内歯歯車を固定するようにしていたが、第1軸を入力軸、内歯歯車を出力軸とすると共に、第2軸を固定することによっても、減速機を構成することが可能である。更に、これらの構造において、第2軸を入力軸とすることにより、「増速機」を構成することもできる。
【0016】
ところで、この種の内接噛合遊星歯車機構を構成する外歯歯車は、従来では次の工程順に製造されていた。図6を参照しながら述べる。
【0017】
(1)まず、素材を円盤に形成する。
【0018】
(2)次に、前記円盤に、伝動機構を構成する上で機構上必要な孔(中心孔11、キャリアピン孔15、内ピン孔17)を開ける。
【0019】
(3)又、前記円盤の外周に、ホブ切りによりトロコイド歯形を形成する。
【0020】
なお、(2)と(3)の工程はどちらを先にやってもよい。
【0021】
(4)次に、熱処理により歯面を表面硬化させる。
【0022】
(5)次に、中心孔11を研削または切削により仕上げ加工し、中心孔11を基準にして内ピン孔17を仕上げ加工する。
【0023】
(6)次に、歯面を研削する。この場合、能率や精度確保のために、研削砥石の径を歯幅に対して十分大きく設定し、歯筋方向に砥石を回転させて砥石の周面で歯面を研削する。そして、ホブ切りの段階で形成された歯面上の凹凸を除く。なお、歯筋方向は図の矢印S方向、歯形方向は図の矢印K方向である。
【0024】
以上のように最後の研削工程を経ることで、伝動機構として組み込む前の完成品の外歯歯車を得ている。なお、その後に次の工程を追加する例もある。
【0025】
(7)ショットピーニングまたはバレル加工を施す。
【0026】
(8)更に化成処理を施す。
【0027】
前記(8)の化成処理とは、摺動部分に燐酸塩皮膜等の化成処理皮膜を形成して、摺動部分の摩擦係数を低下させる技術である。この化成処理皮膜は、それ自体が低摩擦係数ではなく、微小な凹凸に多量の潤滑油を保持させて低摩擦係数化させるものである。
【0028】
この場合、摺動接触面に直接化成処理皮膜を形成する例もあるが、化成処理皮膜はそれ自体が摩耗しやすく、皮膜が短時間ではがれてしまう弱点があるので、特公平2−36825号公報(特許1623717号)では、歯形の研削目の歯筋方向及び該研削目の歯筋方向と交差する方向(歯形方向)に予め凹凸面を形成し、且つ、この凹凸の高さよりも低い膜厚で化成処理皮膜を施す技術を提案している。
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の外歯歯車の製造方法では、ホブ切り後の歯面に対し研削を施して、ホブ切りによる表面粗さを積極的に消すようにしている。このことは、この種の歯車製作において常識的に行われていたことであり、これ自体特に何ら疑問も持たれていなかったことである。この発明は、この従来何の疑問も持たれていなかった方法を別の角度から見直した結果、従来は予想し得なかった新たなメリットの存在に気づき、その知見に基づいてなしたもので、従来よりも少ない工程で、外歯歯車の歯面の潤滑状態をむしろ改善し、製作コストの安い外歯歯車の製造方法を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
発明は、内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車の製造方法において、素材を円盤に加工する工程と、前記円盤に伝動機構を構成するために必要な孔を開ける工程と、前記円盤の外周にホブ切りにより歯形を形成する工程と、前記孔開け工程及び歯形形成工程の後に熱処理を施して歯面を表面硬化させる工程と、該熱処理工程後に前記歯形を基準点として支持しながら前記孔を仕上げ加工する工程と、を有し、前記ホブ切りによる歯面の表面粗さを完成品において維持することにより、上記課題を解決したものである。
【0032】
発明では、伝動機構に組み込む前の完成品の外歯歯車の歯面に、敢えて、ホブ切り加工における表面粗さ(凹凸)を残存させている。即ち、ホブ切り後の歯面の仕上げとして、従来では研削加工を施していたが、その常識的に行われていた研削加工を敢えて省略することにより、特に歯面の歯筋方向にホブ切りによる凹凸を残した状態で、伝動機構に組み込む前の完成品としている。
【0033】
近年、加工機械の基本性能の向上により、ホブ切りによってできる表面の凹凸はこれ自体かなり小さなものになってきた。しかしながら、この凹凸は、この種の外歯歯車の歯形の表面粗さとしては依然かなり大きなものと言わざるを得ず、従って従来は、この後の研削加工は「必須」のものと考えられていた。
【0034】
しかしながら、発明者は、ホブ切りによるこの表面の凹凸に対し別の角度から着目した。即ち、ホブ切りによって形成されるこの表面の凹凸は、「歯形方向」だけでなく「歯筋方向」にもできる。特に歯筋方向の凹凸は、ホブ切りの特性上周期的に形成され、振幅も比較的安定している。歯筋方向の凹凸は、歯形方向の凹凸と違って噛合に際してそれほど悪影響を及ぼさない。その一方で、この凹凸は潤滑油の保持空間としては十分に大きい。歯面に十分な潤滑油が供給されれば、(歯形方向の)表面が多少粗くとも噛合抵抗や噛合騒音を低減することができる。従って、これに熱処理を施して該歯筋方向の凹凸が容易に潰れないようにしておけば、長期に亘ってこの空間に潤滑油を保持させることができ、(許容範囲におさまる)所定の性能を長期間維持できるようになる可能性がある。
【0035】
この着目は、発明者のその後の試験・研究により、誤っていないことが確認され、本発明の基礎となった。即ち、本発明によれば、ホブ切りによって外歯歯車の歯面の特に歯筋方向に形成される凹凸を有効に生かし、この凹凸に多量の潤滑油を保持し、歯面への油膜の形成を容易にして、噛合抵抗の軽減と摩耗の低減を図ることができる。その結果、噛合騒音の低減、効率の向上等が図れ、この種の歯車に要求される性能を満足するだけでなく、その性能を長期に亘って維持できる。また、何よりも研削加工を省略したことによる加工時間の短縮と、研削装置の省略による加工コストの低減が図れる。
【0036】
なお、孔開け工程とホブ切り工程はどちらを先にやってもよい。従って、この順序のみを逆にしたものは、本発明に含まれるものとする。
【0037】
ところで、一般にこの種の外歯歯車の孔は、伝動機構を構成する上で重要な要素であり、熱処理によってゆがみが生じると、組み立て精度の低下を招いたりする。そこで、請求項2の発明では、熱処理工程の後に、孔のゆがみを減少させる目的で最後の仕上げ加工を行うようにしている。その場合、外歯歯車の歯形上の所定の複数箇所を基準にして孔の仕上げ加工を行うことで、歯形に対する孔の精度を向上させることができる。歯形上の所定の複数箇所を基準として支持する方法としては、例えば3本以上のピンを歯形に当接させて支持する方法などをとることができる。なお、熱処理後には外歯の熱歪みも残るが、この種の外歯歯車の外歯の場合は内歯との噛み合い本数が多いために、誤差が平準化され、通常の用途では特に問題とはならないことも確認されている。
【0038】
また、本発明は、内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車の製造方法において、素材を円盤に加工する工程と、前記円盤に伝動機構を構成するために必要な孔を開ける工程と、前記円盤の外周にホブ切りにより歯形を形成する工程と、前記ホブ切りにより歯形を形成した後で、ホブ切りされた状態の歯面に対しショットピーニングまたはバレル加工を施す工程と、該工程後に熱処理を施して歯面を表面硬化させる工程と、該熱処理工程後に前記歯形を基準点として支持しながら前記孔を仕上げ加工する工程と、を有し、ショットピーニングまたはバレル加工を施した歯面の表面粗さを完成品において維持することにより、上記課題を解決したものである。
【0040】
この発明では、ホブ切りされた状態の歯面に対しショットピーニングまたはバレル加工を施し、その後に熱処理を行うようにしている。この結果、歯筋方向においては、ホブ切りの凹凸を基本的に残しながらより潤滑油を保持しやすい(より粗い)状態を形成し、一方、噛合抵抗や噛合騒音に影響のある歯形方向に対しては、ホブ切りでの凹凸をより平滑した状態を形成することができるようになる。この結果、潤滑油の保持・確保と、噛合抵抗及び噛合騒音の低減とを、一層合理的に両立させることができるようになる。
【0041】
しかも、熱処理工程の前にショットピーニングやバレル加工を行う場合は、従来の熱処理工程の後にショットピーニングやバレル加工を行う場合と比べて、素材の硬さが低い段階での加工となるから、加工にかかる時間が短くてすみ、加工コストの低減が図れる。
【0042】
勿論、この場合も研削加工を省略したことによる加工時間の短縮と研削装置の省略による加工コストの低減が図れる。
【0043】
なお、この発明おいても、孔開け工程とホブ切り工程はどちらを先にやってもよく、この順序を変えてもこれらの発明の範疇に属する。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1に基づいて説明する。
【0045】
この場合の製造対象の外歯歯車は、形状的には図4、図5にて示した外歯歯車10と同じものであるから、図面中に同じ符号を付して説明する。
【0046】
この外歯歯車10は、外周にトロコイド歯形を有するもので、次の工程順に加工を進めることで完成品としている。なお、図中のカッコ番号は各工程と対応している。
【0047】
(1)まず、素材を円盤に加工する。
【0048】
(2)その円盤に、伝動機構を構成するために必要な3種の孔(中央孔11、キャリアピン孔15、内ピン孔17)を開ける。
【0049】
(3)円盤の外周にホブ切りにより歯形を形成する。
【0050】
(4)熱処理を施して歯面を表面硬化させる。
【0051】
(5)歯形上の所定の複数箇所を基準点として支持しながら中心孔11と内ピン孔17を仕上げ加工する。
【0052】
ここで(3)の「ホブ切り」とは、これ自体は従来公知の創成歯切り法の1種で、ねじ状の工具(ホブ)の回転によって工具の切刃が作る仮想ラックと理想的にかみ合う回転を歯車素材に与えることにより、歯を順次加工するものである。
【0053】
(5)の仕上げに当たっては、例えば、3本のピン40を歯形上の3カ所に当接させて支持しながら、中心孔11と内ピン孔17を研削又は切削により仕上げ加工する。
【0054】
そして、以上の工程を経るだけで外歯歯車10の完成品とし、つまり、歯面の研削加工を敢えて経ることなく完成品とし、歯面にホブ切りによる表面粗さ(特に歯筋方向の凹凸)をそのまま熱処理した状態で残して、これを伝動機構の一要素として組み込む。
【0055】
このように、外歯歯車10の歯面の特に歯筋方向にホブ切りによる凹凸がそのまま残っているので、その歯面の凹凸に多量の潤滑油が保持されるようになり、歯面への油膜の形成が容易になって、摩擦抵抗の軽減と長期に亘る摩耗の低減が図れる。その結果、騒音値の低減、効率の向上等が図れ、この種の歯車としての所定の性能が得られる。
【0056】
また、研削加工を敢えて省略しているので、そのための加工時間の短縮と、研削装置の省略による加工コストの低減が図れ、製造の容易化と製造コストの低減が共に図れ、安価な製品の提供が可能になる。なお、孔開け工程とホブ切り工程はどちらを先にやってもよい。
【0057】
また、伝動機構を構成する上で重要な中央孔11や内ピン孔17の仕上げ加工を、熱処理工程の後で、外歯歯車10の歯形状の3点を基準にして行うようにしているので、歯形に対する孔11、17の位置精度を高く維持することができる。
【0058】
ここで、外歯歯車としての性能を更に確保したい場合には、前述の(3)ホブ切り工程と(4)熱処理工程との間に、ショットピーニングまたはバレル加工を施す。
【0059】
ショットピーニング加工は、鋼球(ショット)を空気圧または遠心力等によって加速し、これを歯面に衝突させる吹き付け加工の一種で、これ自体は公知のものである。歯面に残留圧縮応力を生じさせ、歯面を平滑化すると共に加工硬化によって耐久性を向上させることができる。
【0060】
また、バレル加工とは、槽(バレル)の中に研磨材と薬品(コンパウンド)を混入し、回転や振動を与えることによって槽内の外歯歯車と研磨材との間に相対運動を生じさせ、外歯歯車の表面を研削・研磨する方法で、これもこれ自体は従来公知のものである。バレル加工によっても、表面の平滑化あるいは加工硬化による耐久性の向上が期待できる。
【0061】
ホブ切りされた状態の歯面に対しショットピーニングまたはバレル加工を施す工程を追加することで、完成品において、特に歯形方向の歯面の平滑化を図るとともに、歯筋方向の断面形状をより潤滑油を保持しやすい形状に形成することができるようになる。
【0062】
実験データを参照しながら、従来の工程によって製作した場合と、本発明の工程によって製作した場合の外歯歯車の表面粗さの違いを述べる。
【0063】
図2は歯筋方向に測定した場合の粗さデータ、図3は歯形方向に測定した場合の粗さデータを示し、各図の(a)は研削後バレル加工した場合のデータ(従来)、(b)はホブ切り後バレル加工した場合のデータ(本発明)、(c)はホブ切りのみの場合のデータ(本発明)を示す。なお、図3の歯形方向に測定した場合の各データがともに(全体が)右下がりとなっているのは、測定部分の歯形がそのようなプロフィールを持っていたためである。
【0064】
研削後にバレル加工した場合(従来)は、歯筋方向及び歯形方向のいずれにおいてもある程度の平滑度が確保されており、(少なくとも初期性能においては)この種の外歯歯車に要求される諸特性を十分満足した結果が得られる。
【0065】
しかしながら、全体が平滑な分、潤滑油を保持するという性能に関してはむしろ劣っており、運転条件によっては歯面の油膜切れによる耐久性の低下が発生する恐れがある。何よりも、加工に時間が掛かり、且つ加工コストも高い。
【0066】
これに対し、ホブ切りのみの場合(本発明)は、確かに歯筋方向及び歯形方向のいずれにおいても従来の研削後にバレル加工した場合よりも大きな凹凸が残っている。この凹凸は、かなり大きく、それ故に従来はこのままではこの種の外歯歯車の歯面に要求される特性を満足し得ないと考えられていたものである。
【0067】
しかしながら、現実には、逆に、この凹凸が潤滑油を保持する空間を形成する機能を果たし、寸法上の粗さほどの不具合は発生しない。これは前述したように発明者による試験にて確認済みである。
【0068】
更に、ホブ切り後にバレル加工した場合(本発明)にあっては、歯筋方向においてはホブ切りのみの場合に比べて一層潤滑油を保持しやすい形状になっていながら、歯形方向においてはきわめて平滑化されていることがわかる。この種の歯車の噛合において噛合抵抗や噛合騒音に悪影響を与えるのは、主に歯形方向の粗さであるため、歯筋方向において潤滑油を保持しやすい凹凸を有し、歯形方向において平滑化されているという特性は、(ホブ切りのみの場合に比べて)一層合理的な特性を与えてくれていると言える。
【0069】
なお、ホブ切り後にショットピーニングを行った場合でも同様の定性的傾向が得られる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来では常識的に行われていたホブ切り後の研削工程を敢えて省略し、ホブ切りのままの歯面の粗さ(特に歯筋方向の粗さ)を、伝動機構として組み上げる前の完成品において維持するようにしたから、伝動機構として組み上げた状態において、歯面の潤滑油保持能力を格段に高めることができる。従って、摩擦抵抗の低減と騒音の低減が図れ、この種の外歯歯車として実用上問題ないレベルの特性を長期に亘って維持することができる。
【0071】
また、外歯の研削工程が省けるので、製造コストを大幅に低減することができ、安価な製品(減速機など)の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る外歯歯車の製造方法の工程説明図
【図2】従来方法と本発明の方法により形成した外歯歯車における歯筋方向の表面粗さを示す図で、(a)は従来のホブ切り後に研削を行った上でバレル加工を施した場合の表面粗さを示す図、(b)はホブ切り後に研削を行わずにバレル加工を施した場合の表面粗さを示す図、(c)はホブ切りのままの表面粗さを示す図
【図3】従来方法と本発明の方法により形成した外歯歯車における歯形方向の表面粗さを示す図で、(a)は従来のホブ切り後に研削を行った上でバレル加工を施した場合の表面粗さを示す図、(b)はホブ切り後に研削を行わずにバレル加工を施した場合の表面粗さを示す図、(c)はホブ切りのままの表面粗さを示す図
【図4】本発明による製造対象の外歯歯車を含む内接噛合遊星歯車機構の断面図
【図5】図4のV−V矢視断面図
【図6】従来の外歯歯車の製造方法の工程説明図
【符号の説明】
7…内歯歯車
10…外歯歯車
11…中心孔
17内ピン孔

Claims (4)

  1. 内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車の製造方法において、
    素材を円盤に加工する工程と、
    前記円盤に伝動機構を構成するために必要な孔を開ける工程と、
    前記円盤の外周にホブ切りにより歯形を形成する工程と、
    前記孔開け工程及び歯形形成工程の後に熱処理を施して歯面を表面硬化させる工程と、
    該熱処理工程後に前記歯形上の所定の複数箇所を基準点として支持しながら前記孔を仕上げ加工する工程と、を有し、
    前記ホブ切りによる歯面の表面粗さを完成品において維持することを特徴とする外歯歯車の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記ホブ切りによる歯面の表面粗さとして完成品において維持される凹凸が、少なくとも歯筋方向の凹凸を含む
    ことを特徴とする外歯歯車の製造方法。
  3. 内歯歯車の内側で該内歯歯車に内接噛合する外歯歯車の製造方法において、
    素材を円盤に加工する工程と、
    前記円盤に伝動機構を構成するために必要な孔を開ける工程と、
    前記円盤の外周にホブ切りにより歯形を形成する工程と、
    前記ホブ切りにより歯形を形成した後で、ホブ切りされた状態の歯面に対しショットピーニングまたはバレル加工を施す工程と、
    該工程後に熱処理を施して歯面を表面硬化させる工程と、
    該熱処理工程後に前記歯形上の所定の複数箇所を基準点として支持しながら前記孔を仕上げ加工する工程と、を有し、
    前記ショットピーニングまたはバレル加工を施した歯面の表面粗さを完成品において維持することを特徴とする外歯歯車の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記ショットピーニングまたはバレル加工を施した歯面の表面粗さとして完成品において維持される凹凸が、少なくとも歯筋方向の凹凸を含む
    ことを特徴とする外歯歯車の製造方法。
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