(第1実施形態)
本発明に係る電磁界発生素子の一実施形態について、図1から図7を用いて説明すれば以下の通りである。
本実施形態に係る電磁界発生素子100について、概略図を図1に示す。電磁界発生素子100は、基板160と、基板160上に形成された半導体レーザ素子120及び導体群110とを備えている。
ここで、説明を明確にするために、基板160の延在する面をXY平面、基板160の垂線をZ軸、基板160の上方向をZ軸正方向と定義する。また、直方体の半導体レーザ素子120の共振方向をY軸方向とし、レーザ照射方向をY軸負方向と定義する。X軸は、Y軸と垂直、かつ、Z軸と垂直な軸であり、基板上方(すなわちZ軸正方向)から、半導体レーザ素子120のレーザ発振側を下として電磁界発生素子100を見た場合に右方向となる方向をX軸正方向と定義する。
また、以下の説明において、X軸正方向を右、X軸負方向を左、Y軸正方向を奥又は後ろ、Y軸負方向を手前又は前、Z軸正方向を上、Z軸負方向を下ということもある。また、Z軸と平行な面を側面ということもある。
本実施形態に係る電磁界発生素子100について、Z軸正方向から見た概略図を図2に示し、図2の線CX1に沿った断面図を図3に示す。図2に示すように、半導体レーザ素子120は、レーザ発振部120a及び導波路部120bから構成されている。半導体レーザ素子120はY軸方向に長い直方体の形状をしており、それぞれY軸方向に長い直方体であるレーザ発振部120a及び導波路部120bがY軸方向に連設された構成となっている。
詳細については後述するが、これらレーザ発振部120a及び導波路部120bは、導体110cにレーザ光を照射するためのものである。本実施形態では、レーザ発振部120aが基板160上に形成されているが、レーザ発振部120aは必須の構成ではなく、レーザ発振部120aが外部に設けられており、導波路部120bによって導体110cにレーザ光を照射する構成となっていてもよい。また、導波路部120bも、必須の構成ではない。なお、レーザ発振部120a、導波路部120bのそれぞれは、請求項におけるレーザ光照射手段に相当する。
本実施形態では、上述したように、レーザ発振部120aはY軸負方向にレーザ光を照射するように構成されている。すなわち、レーザ発振部120aの共振方向はY軸に沿っており、レーザ発振部120aのY軸正方向の端部及びY軸負方向の端部には、分布型ブラッグ反射器(DBR)125a・125bが形成されている。或いは、分布型ブラッグ反射器125bの代わりに、レーザ発振部120aのY軸正方向の端部(図2中のレーザ発振部120aの紙面上部側)に反射膜が形成されていてもよい。
レーザ発振部120aの周辺には、電極128a・128bが備えられており、レーザ発振部120aに電流を注入することができるようになっている。なお、本実施形態では、電極128aはレーザ発振部120aの上面に形成されており、電極128bはレーザ発振部120aの側方に形成されている。ここで、電極128bは、基板160下面側に形成されていてもよい。
図3に示すように、レーザ発振部120aは、活性層121b、2つのクラッド層121a・121c、及び2つのブロック層124a・124bによって構成されている。活性層121bは、上下をこれら2つのクラッド層121a・121cに挟まれており、下からクラッド層121c、活性層121b、クラッド層121aの順に積層されている。
クラッド層121aはp型にドープされたクラッド層であり、クラッド層121cはn型にドープされたクラッド層である。n型にドープされたクラッド層121cの下方には、ヘビードープされた電流注入層122が形成されている。電流注入層122は、クラッド層121cと接しており、クラッド層121cからX軸正方向に突出した直方体となっている。この電流注入層122の突出部上には、前述した電極128bが形成されている。この電極128bから電流を流すことにより、活性層121bに電流を注入し、半導体レーザ素子120にレーザ光を励起させることができるようになっている。
活性層121bの左右各側面を遮蔽するように、活性層121bの左側面にはブロック層124aが、活性層121bの右側面にはブロック層124bが、それぞれ形成されている。これらブロック層124a・124bは、活性層121bからレーザ光が漏れ出すのを防止している。
なお、レーザ発振部120aにおいて、活性層121bは多層量子井戸構造として構成されていてもよい。また、活性層121b及びクラッド層121a・121cは、III−V属化合物半導体で形成されることが好ましい。これによれば、基板160に結晶基板を用いた場合に、基板160上に半導体レーザ素子120を容易に形成することができる。
また、活性層121bは、幅Awが100〜300nm程度で、高さAhが200〜500nm程度であることが好ましい。このように活性層121bの断面が長方形型でZ軸方向に長手方向がくることによって、TMモード(電界ベクトルが図3中のZ軸方向)のレーザ光が立ちやすくなる。
また、ブロック層124a・124bは、レーザ光の閉じ込め効率の観点から、活性層121bよりも屈折率の低い、上述のIV属半導体、III−V属化合物半導体、II−VI属化合物半導体、酸化物絶縁体、窒化物絶縁体、絶縁体有機物質等の何れか又は組み合わせで形成されることが好ましい。
次に導波路部120bについて説明する。導波路部120bは、レーザ発振部120aのレーザ発振方向(Y軸負方向)に隣接して配置されている。導波路部120bは、レーザ発振部120aと一体的に形成される。このため、導波路部120bは、後述する導体が埋め込まれる前端部を除いて、レーザ発振部120aと同様の構造となっている。
すなわち、導波路部120bは、レーザ発振部120aの活性層121bに対応するコア層と、レーザ発振部120aのクラッド層121a・121cに対応する図示しない2つのクラッド層と、レーザ発振部120aのブロック層124a・124bに対応する図示しない2つのブロック層とで構成されており、導波路部120bのコア層の上下は2つのクラッド層によって挟まれ、コア層の両側面は、2つのブロック層によって挟まれている。
ここで、導波路部120bのコア層は、レーザ発振部120aの活性層121bと、レーザ発振部120aの共振方向の延長線上に、隣接して形成されているため、レーザ発振部120aの活性層121bにおいて発生したレーザ光を導波路部120bのコア層に高効率で伝播させることができる。これによって、導波路部120bは、レーザ発振部120aによって発振されたレーザ光をY軸負方向に導き、後述する導体110cに照射できるようになっている。
以下、Y軸方向に並設されたレーザ発振部120a、DBR125a・125b、及び導波路部120bのうち、中心(図2の線CY)付近の、レーザが伝搬する領域を、光伝搬路部120cという。従って、レーザ発振部120aの活性層121bで発振したレーザ光は、光伝搬路部120cの領域内を透過しながらY軸方向に伝搬する。ここで、光伝搬路部120cは、レーザ発振部120aにおいては活性層121bに相当し、導波路部120bにおいてはコア層に相当する。
次に導体群110について説明する。図1に示すように、導体群110は、導体110a、導体110b、及び導体110cによって構成されている。なお、詳細は後述するが、導体110a及び導体110bは、導体110cの支持部の役割を備えている。従って、本実施形態の導体110a及び導体110bは、請求項における支持部に相当する。
なお、導体110a・110b・110cは、電気伝導率が高い金属又はカーボンナノチューブで板状に形成されており、高周波応答性の観点から、非磁性金属であるAu、Pt、Ag、Cu、Al、Ti、W、Ir、Pd等の何れか又は組み合わせで形成されていることが好ましい。
導体110a・110bの形状は特に限定されるものではないが、本実施形態では、断面が長方形となる細長い形状になっている。そして、図2に示すように、導体110aは分岐のない1本の電流路を構成しており、基板160上で半導体レーザ素子120の左方から、導波路部120bの前端部まで延在している。導体110aの一方の端部110a−1は、導波路部120bの前端部内左側に埋め込まれており、他端は、導波路部120bの左方に配置されている。また、導体110bは、導体110aと左右対称の形状になっている。すなわち、導体110bも分岐のない1本の電流路を構成しており、基板160上で半導体レーザ素子120の右方から、導波路部120bの前端部まで延在している。導体110bの端部110b−1は、導波路部120bの前端部内右側に埋め込まれており、他端は、導波路部120bの右方に配置されている。
図2の線CX2に沿った断面図を図4に示す。導体110a及び導体110bは互いに同じ高さ(Z軸方向の厚さ)で、かつ、上面が半導体レーザ素子120の光伝搬路部120cの上側境界と略同じ高さになるよう形成されている。なお、光伝搬路部120cは、図4では、高さAh及び幅Awを示す点線に囲まれた長方形の断面領域として示されている。
また、導体110aの端部110a−1の端面と、導体110bの端部110b−1の端面とは、ともにX軸に対して垂直となっており、図4に示すように、導波路部120bの前端部において互いに対向している。ここで、導体110aの端部110a−1の右側面と、これに対向する導体110bの端部110b−1の左側面との間の領域をギャップという。なお、このギャップは、幅(X軸方向の長さ)Gを有している。このギャップは導波路部120bの一部であるため、ギャップ内上部をレーザ光が通過する。
そして、上記ギャップを覆うように、導体110a・110b上に導体110cが形成されている。これによって、導体110bから導体110cを経由して導体110aに電流が流れるようになっているとともに、半導体レーザ素子120から、レーザ光が導体110cの底面に照射されるようになっている。ここで、導体群110に流れる電流の向きは、上述した向きと逆方向であってもよい。
なお、導体110cの手前底辺(縁部)111は、光伝搬路部120c(図4では、高さAh及び幅Awを示す点線に囲まれた長方形の断面領域を指す)の境界から、上下にλ/ngの範囲内になるように配置されることが好ましい。ここで、λはレーザ光の波長、ngは導波路部120bを構成する物質の屈折率である。
本実施形態において、導体110cは薄い板状(膜状)であり、高さ(膜厚)が導体110a・110bよりも小さく(薄く)なっている。これによって、導体群110に電流iを流した場合に導体110cにおいて電流が狭窄され、電流密度が増加する。その結果、電磁界発生素子100は、レーザ発振部120aのレーザ発振側に強い磁界Bを発生させるようになっている。なお、導体110cの膜厚Tは、1000nm以下であることが好ましい。また、導体110c上には、絶縁体層118が積層されている。
導体群110に流れる電流iが大きい場合、狭窄部(導体110c)が電気抵抗により破壊されるおそれがあるため、例えば電流iが100mA程度であれば、導体110cの断面積S1(図7に示すように、X軸に垂直な断面の面積をS1と定義する。)、導体110aと導体110cとの接合面S2(図2に示す)、導体110bと導体110cとの接合面S3(図2に示す)のそれぞれは、6400nm2程度より大きいことが好ましい。これによって、電流iが流れた時に発生するジュール熱によって導体群110の接合部や電流狭窄部が発熱融解してしまうのを防ぐことができる。
また、導体110a・110bの間のギャップ幅Gは、活性層121bの幅よりも短いことが好ましい。これによって、ギャップから電磁界発生素子100の外部に漏れ出すレーザの伝搬光成分を低減することができるとともに、ギャップ内の磁束密度が増加することにより、導体110cの手前底辺111周辺での磁界Bを増強することもできる。
図2の線CYに沿った断面図を図7に示す。図7に示すように、導体110cの前端面(Y軸負方向の先端面)は、導体110a・110bの前端面(Y軸負方向の先端面)よりも、距離DだけY軸正方向にずれ、突出した状態となっている。これによって、基本的にTMモード(電界ベクトルがZ軸方向)であるレーザ発振部120aからのレーザ光に、TEモード(電界ベクトルがX軸方向)のレーザ光が混ざった場合でも、選択的に導体110cの手前底辺111周辺において近接場を発生させられるようになっている。
なお、導体110a・110b・110cのうち、導波路部120bの前端部に埋め込まれている導体110aの端部110a−1の表面と、導体110bの端部110b−1の表面と、導体110cの表面とは、光伝搬路部120cの屈折率よりも低い誘電体膜でコーティングされている。コーティングする材質としては、前述のIV属半導体、III−V属化合物半導体、II−VI属化合物半導体、酸化物絶縁体、窒化物絶縁体、絶縁体有機物質等の何れか又は組み合わせが好ましい。これにより、発振されたレーザ光が導体群110から漏れ出すことを防ぎ、レーザ光を導波路部120bの光伝搬路部120c内に閉じ込めることができる。
また、基板160は、Si、Ge、SiC等のIV属半導体、又はGaAs、GaP、InP、AlAs、GaN、InN、InSb、GaSb、AlNに代表されるIII−V属化合物半導体、又はZnTe、ZeSe、ZnS、ZnO等のII−VI属化合物半導体、又はZnO、Al2O3、SiO2、TiO2、CrO2、CeO2等の酸化物絶縁体又は、SiN等の窒化物絶縁体で形成されることが好ましい。
また、導体110a・110b・110cと、基板160又は半導体レーザ素子120の導波路部120bとの間には、密着性を高めるために、Zn、Ti、Cr、Al等の密着層が形成されることが好ましい。これによって、導体110a・110b・110cと、基板160又は半導体レーザ素子120の導波路部120bとが剥離するのを防ぎ、電磁界発生素子100の素子強度を向上させることができる。
なお、導体110a・110b・110cは以下の工程によって製造される。まず、基板160上に、支持台となる導体110aと、この導体110aと同じ高さの導体110bとを、ギャップ幅Gを開けて形成する。このとき、導体110a、導体110bのそれぞれを、蒸着法等を含む公知の薄膜形成方法によって基板160上でZ軸正方向に堆積させていく。上記構成によれば、薄膜形成方法の条件を適切に設定することによって、導体110a及び導体110bの厚さ(高さ)を最適に調節することができる。
次に、導体110a及び導体110b上に板状(膜状)の導体110cを積層する。上記構成によれば、導体110cの底面は、必然的に導体110a及び導体110bの上面の高さになる。本実施形態では、導体110cの底面にレーザ光が照射され、手前底辺111から近接場が発生するようになっている。従って、上記構成によれば、レーザ発振部120aから導体110cに照射されるレーザ光に対して、導体110cの底面及び手前底辺111の位置を微調整することができる。
なお、蒸着法としては、化学蒸着法、物理蒸着法、スパッタ法、メッキ法等が好ましい。これらの方法を用いて導体110a及び導体110bを形成することによって、導体110a及び導体110bの高さ、すなわち導体110cの底面の位置をナノメートルのオーダーで調節することが可能となり、近接場の発生をより効率的に行うことができる。
次に、本実施形態に係る電磁界発生素子100の動作について説明する。図2のY軸正方向から見た断面図について、図13に示す。導体110bから導体110cを経由して導体110aに電流iを流す場合、導体110cには、X軸負方向に電流が流れる。このとき、右ねじの法則により、導体110cの手前底辺111周辺ではY軸負方向に(紙面裏面から表面へ)、また、導体110cの手前上辺112周辺ではY軸正方向に(紙面表面から裏面へ)磁界が発生する。
ここで、導体110cの手前底辺111で発生する磁界Bの強さHは、流した電流をI、導体110cの膜厚をT、導体110cの幅をW、導体110cの断面積S1(=T×W)を囲う経路長さをL(=2×(W+T))とすると、次式で表される。
H=I/L
例えば、T=100nm、W=200nm、I=100mAとした場合、導体110cの断面S1を囲う経路に沿った磁界Bの強さHは、約167kA/m(=2100Oe)となる。
このように、狭窄部(導体110c)を所望の位置に設けた導体群110に電流を流すことによって、強い磁界Bが電流経路の狭窄部(導体110c)の手前底辺111周辺に発生する。
本実施形態の電磁界発生素子100は、上述したように、従来技術のようにヨーク延長部による所望の位置での磁界発生を行う必要がなく、ヨーク延長部を用いた場合のような磁界の減衰又は遅延が少ないという利点を有している。それゆえ、高周波磁気記録再生に適している。
また、半導体レーザ素子120がレーザ光Piを発振すると、光伝搬路部120cではTMモード(電界ベクトルがZ軸方向)のレーザ光Piが、導体110cと導波路部120bとの界面に表面プラズモンDspを発生させる。この表面プラズモンDspは、導体110cの底面をY軸負方向に伝搬する。伝搬した表面プラズモンDspは、手前底辺111において導体110cの形状に沿ってZ軸正方向に進路を変更され、このとき、手前底辺111近傍に強い近接場を発生させる。このように、本実施形態の電磁界発生素子100は、導体110cの角(手前底辺111)を利用することによって、強い近接場NFを発生させることができる。
本実施形態に係る電磁界発生素子100は、導体110cに電流を流し、かつ、レーザ光を照射することによって、導体110cの手前底辺111において、磁界B及び近接場NFの両方を発生させることができる。
なお、近接場NFとは、物質の表面又は界面近傍で生じる表面電磁波である表面プラズモンDsp(表面プラズモンポラリトン)や、孤立微粒子や微細金属針先端等に局所的に励起される局所表面プラズモンDlsp(局所表面プラズモンポラリトン)等を指す。
本実施形態の電磁界発生素子100では、導体群110の狭窄部である導体110cと半導体レーザ素子120の光伝搬路部120cとが基板160の同一面上に配置され、かつ、一直線上に配置されている。そして、導体110cの手前底辺111は、光伝搬路部120cの領域の境界周辺に形成されている。以上の構成により、光伝搬路部120cを伝搬してくるレーザ光Piを、進行方向を変換することなく直接導体群110の狭窄部を構成する導体110cに照射することによって、レーザ光Piの進行方向の変換に伴うレーザ強度の減衰を抑えることができる。従って、導体110cの手前底辺111近傍に高効率で近接場を発生させることができる。
特許文献1,2に記載の発明では、微小開口で発生した近接場が媒体面に近接した場合は、微小開口を形成する平面と媒体面との間で近接場の共鳴及び平面内での近接場の伝搬が生じ、開口部近接場の強度分布が拡がってしまっていた。しかし、本実施形態の電磁界発生素子は、導体110cの手前底辺111近傍に強い近接場を発生させるため、微小領域に近接場を集中させることが可能となっている。
以下、本実施形態に係る電磁界発生素子100のある変形例について説明する。電磁界発生素子100の変形例について、断面図図1のCX2軸に沿った断面図を図5に示す。
本変形例において、導体110a・110bと導体110cとの接触面と、ギャップ上にある導体110cの手前底辺111との間には、段差Δが存在する。このとき、導体110cが段差で断線しないように、段差Δは導体110cの膜厚T以下である必要がある。この構造は、ちょうど半ターンの磁気コイル形状に類似しているので、電流iを導体110cに流すと、ギャップ中心(導体110cに流れる電流i経路の曲率中心)に磁束が収束されることによって、磁界Bの増強を行うことができる。
また、導体110cの手前底辺111で発生した近接場は、導体110cの半円状の手前上辺112によって、再度導体110cの手前底辺111の中央部に反射されるので、ギャップ中心付近において近接場を増強することができる。
次に、本実施形態に係る電磁界発生素子の他の変形例について説明する。電磁界発生素子100の変形例について、断面図図1のCX2軸に沿った断面図を図6に示す。
本変形例では、導体110a・110bと導波路部120bの境界面が、基板160表面の垂線に対して傾いている。本変形例では、導体110aと導体110bとの間のギャップ幅は、導体110c側でG、基板160側でGsubとなり、GsubがGよりも大きくなっている。このように、導体110c側のギャップ幅Gを小さくすることで、導体110cの手前底辺111周辺での発生磁界Bを増強することができ、また、基板160側のギャップ幅Gsubを大きくすることで、導体110aと導体110bとの間におけるリーク電流を低減することができる。
(第2実施形態)
本発明に係る電磁界発生素子の他の実施形態について、図8から図12を用いて説明すれば以下の通りである。なお、前記実施の形態1で述べた部材と同等の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の電磁界発生素子200の概略図について図8に示す。本実施形態の電磁界発生素子200において、基板160上には、半導体レーザ素子120と、半導体レーザ素子120の共振方向に対して膜面が略平行に積層された板状の導体110d・110e・110fによって構成された導体群110が形成されている。導体110fは、導体群110の狭窄部となっている。なお、導体110dは、導体110fの支持部としての役割を備えている。従って、本実施形態の導体110dは、請求項における支持部に想到する。
本実施形態に係る電磁界発生素子200について、図8の線CX3に沿った断面図を図10に示す。図10に示すように、レーザ発振部120aは、大部分が上述した第1実施形態の電磁界発生素子100のレーザ発振部120aと同様の構成であり、以下の構成のみが異なっている。
本実施形態では、活性層121bは断面が長方形でX軸方向に長手方向となっており、TEモード(電界ベクトルが図10中のX軸方向)のレーザ光が立ちやすくなっている。なお、活性層121bは、幅Awが200〜500nm程度で、高さAhが100〜300nm程度であることが好ましい。
次に、導体110d・110e・110fについて説明する。本実施形態では、上述の第1実施形態とは異なり、導体110dと導体110eとは、Z軸方向に積層された層構造において異なる層に形成されており、導体110dと導体110eとの間には、絶縁体層130がさらに形成されている。これによって、導体110dと導体110eとは電気的に絶縁されている。
そして図8に示すように、導体110d及び導体110eは、それぞれ分岐のない1本の電流路を構成している。ここで、導体110d及び導体110eは、双方共に半導体レーザ素子120の左側に配置されている。すなわち、導体110dの端部110d−1は、導波路部120bの前端部内下側に埋め込まれており、他端は、導波路部120bの左方に配置されている。また、導体110bの端部110b−1は、導波路部120b前端部内上側に埋め込まれており、他端は、導波路部120bの左方に配置されている。
そして、導波路部120bの前端部において、導体110dの端部110d−1と、導体110eの端部110e−1との間には、導体110fが形成されている。すなわち、導体110dと導体110eは、大部分において上記絶縁体層130によって絶縁されているが、導波路部120bの前端部において、導体110fを介して通電するようになっている。
図11は、図8の線CX4に沿った断面図である。図11に示すように、基板160上には、導波路部120bの前端部に導体群110が埋め込まれている。本実施形態では、基板160上に、導体110d、絶縁体層130及び導体110f、導体110eが、下からこの順序で形成されている。これによって、導体110dから導体110fを経由して導体110eに電流が流れるようになっている。なお、導体群110に流れる電流の向きは、上述した向きと逆方向であってもよい。
光伝搬路部120cの前端部において、導体110dと導体110eとの間には、上述したように導体110fが形成されている。つまり、光伝搬路部120cの前端部には絶縁体層130が存在せず、代わりに導体110fが形成された領域が存在する。
また、導体110fの露出した周囲部分(右方、及び上方)は、絶縁体層118によって覆われており、これによって導体110fは周囲と絶縁されている。
なお、導体110fの手前左辺113は、光伝搬路部120c(図11では、高さAh及び幅Awを示す点線に囲まれた長方形の断面領域を指す)の境界から、左右にλ/ngの範囲内になるように配置されることが好ましい。ここで、λはレーザ光の波長、ngは導波路部120bを構成する物質の屈折率である。
本実施形態では、導体110fは、膜厚T(=導体110dと導体110eとの間のギャップ幅G)が導体110d・110eの厚さよりも小さくなっており、導体群110に電流iを流した場合に、導体110fにおいて電流が狭窄され、電流密度が増加するようになっている。これによって、電磁界発生素子100は、レーザ発振部120aのレーザ発振側に強い磁界Bを発生させることができる。
なお、導体110fの膜厚Tは、活性層121bの高さAh以下であることが好ましい。これにより、導体110fの膜厚Tと等しいギャップ幅Gを有するギャップが導体110d・110eの間に存在することになり、ギャップから電磁界発生素子100の外部に漏れ出すレーザの伝搬光成分を低減することができるとともに、ギャップ内の磁束密度が増加することにより、導体110fの手前底辺111周辺での磁界Bを増強することもできる。
さらに、導体群110に流れる電流iが大きい場合、狭窄部(導体110f)が電気抵抗により破壊されるおそれがあるため、例えば電流iが100mA程度であれば、導体110fの断面積S4(Z軸に垂直な断面の面積をS4と定義する。図9において、Wx及びWyを示す点線で囲まれる断面の面積に相当する。)、導体110dと導体110fとの接合面S5、導体110eと導体110fとの接合面S6のそれぞれは、6400nm2程度より大きいことが好ましい。これによって、電流iが流れた時に発生するジュール熱によって導体群110の接合部や電流狭窄部(導体110c)が発熱融解してしまうのを防ぐことができる。
なお、絶縁体層130は、導波路部120bの中心部にある光伝搬路部120cよりも屈折率が低い誘電体膜で形成されることが好ましい。ただし、絶縁体層130のうち、導体110d・110e・110fと接し、光伝搬路部120cよりもレーザ発振方向にある絶縁体層導波路部131は、導波路部120bの光伝搬路部120cと同じ屈折率を有する誘電体膜で形成されていることが好ましい。
これにより、レーザ光が導体群110より漏れ出さずに、絶縁体層130の絶縁体層導波路部131に閉じ込められる。誘電体膜としては、前述のIV属半導体、III−V属化合物半導体、II−VI属化合物半導体、酸化物絶縁体、窒化物絶縁体、絶縁体有機物質等を用いることができる。
本実施形態の電磁界発生素子200の、図8の線CYに沿った断面図について、図12に示す。図12に示すように、導体110fのレーザ発振方向の先端面(Y軸負方向の先端面)は、導体110d・110eのレーザ発振方向の先端面(Y軸負方向の先端面)よりも、距離Dだけレーザ発振方向にずれている。これによって、基本的にTEモード(電界ベクトルがX軸方向)であるレーザ発振部120aからのレーザ光に、TMモード(電界ベクトルがZ軸方向)のレーザ光が混ざった場合でも、選択的に導体110cの手前左辺113近傍において近接場を発生させることができるようになっている。
なお、導体110d・110e・110fと、基板160又は半導体レーザ素子120の導波路部120bとの間には、密着性を高めるために、Zn、Ti、Cr、Al等の密着層が形成されることが好ましい。これによって、導体110d・110e・110fと、基板160又は半導体レーザ素子120の導波路部120bとが剥離するのを防ぎ、電磁界発生素子100の素子強度を向上させることができる。
次に、本実施形態に係る電磁界発生素子200の動作について説明する。図2のY軸正方向から見た断面図について、図14に示す。導体110dから導体110fを経由して導体110eに電流iを流す場合、導体110fには、Z軸正方向に電流が流れる。このとき、右ねじの法則により、導体110fの手前左辺113周辺ではY軸負方向に(紙面裏面から表面へ)、また、導体110fの手前右辺114周辺ではY軸正方向に(紙面表面から裏面へ)磁界が発生する。
ここで、導体110fの手前左辺113周辺で発生する磁界Bの強さHは、流した電流をI、導体110fの断面積S4(=Wx×Wy)を囲う経路長さをL(=2×(Wx+Wy))とすると、次式で表される。
H=I/L
例えば、Wx=200nm、Wy=100nm、I=100mAとした場合、導体110fの断面S4を囲う経路方向に沿った磁界Bの強さHは、約167kA/m(=2100Oe)となる。
このように、狭窄部(導体110f)を所望の位置に設けた導体群110に電流を流すことによって、強い磁界Bが電流経路の狭窄部(導体110f)の手前左辺113周辺に発生する。
また、半導体レーザ素子120がレーザ光Piを発振すると、光伝搬路部120cではTEモード(電界ベクトルがX軸方向)のレーザ光Piが、導体110fと絶縁体層導波路部131との界面を表面プラズモンDspとして伝搬し、手前左辺113近傍で近接場NFを発生する。
ここで、本実施形態の電磁界発生素子200では、導体群110の狭窄構造である導体110fと半導体レーザ素子120の光伝搬路部120cとが基板160の同一面上に配置され、かつ、一直線上に配置されている。そして、導体110fの手前左辺113は、光伝搬路部120cの領域の境界周辺に形成されている。以上の構成によって、光伝搬路部120cを伝搬してくるレーザ光Piを、進行方向を変換することなく直接導体群110の狭窄部を構成する導体110fに照射することによって、レーザ光Piの進行方向の変換に伴うレーザ強度の減衰を抑えることができる。したがって、導体110fの手前左辺113に高効率で近接場が発生させることができる。
本実施形態に係る電磁界発生素子200は、以上のようにして、導体110fの手前左辺113において、磁界B及び近接場NFの両方を発生させることができる。従って、従来技術のようにヨーク延長部による所望の位置での磁界発生を行う必要がなく、ヨーク延長部を用いた場合のような磁界の減衰又は遅延が少ないという利点を有している。それゆえ、高周波磁気記録再生に適している。
本実施形態で検証したように、導体群110の狭窄部は、様々な方向に電流が流れるよう構成することができる。
なお、本実施形態の導体110dも、上述した第1実施形態における導体110a・110bと同様に、蒸着法等を含む公知の薄膜形成方法によって基板160上でZ軸正方向に堆積させていく。これによって、近接場を発せさせる導体110fの手前左辺113の位置を最適な高さに調節することができる。
(第3実施形態)
本発明に係る情報記録再生ヘッドの一実施形態について、図15から図19を用いて説明すれば、以下の通りである。なお、上述した実施形態で述べた部材と同等の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態では、上述した第1実施形態の電磁界発生素子100に、電磁界検出器として光検出器163を備えた情報記録再生ヘッドについて説明する。
本実施形態の情報記録再生ヘッド300の断面の概略図を図16に示す。
本実施形態の情報記録再生ヘッド300は、電磁界発生素子100の絶縁体層118上に軟磁性層119が形成され、さらに軟磁性層119上に光検出器163が形成されている。
光検出器163は、2つの電極170a・170bと、フォトダイオード層163aとの3つの層からなり、フォトダイオード層163aの上下は、それぞれ電極170aと電極170bとによって挟まれている。
なお、フォトダイオード層163aに用いられるフォトダイオードとしては、半導体のpn接合、pinフォトダイオード、ショットキーフォトダイオード、又はアバランシフォトダイオードであることが好ましい。
また、電極170bは、光の集光効率を上昇させるために、ITO等の透明な物質で形成された電極であることが好ましい。
本実施形態では、絶縁体層118と光検出器163との間に、軟磁性層119が形成されている。これによって、導体110c周辺磁界Bが発生するとき、導体110cの手前底辺111近傍に磁束が収束する。その結果、導体110cの手前底辺111近傍における磁束密度が増加し、強い磁界Bを得ることができる。
なお、軟磁性層119は、フェライト又はガーネット等の軟磁性絶縁体層であることが好ましい。これによって、軟磁性層において磁界Bが変化することによって渦電流が生じることを防止することができる。従って、高周波域での磁場損失を低減することができ、導体110cの手前底辺111近傍において強い磁界Bを得ることができる。
また、導体110cと軟磁性層119との間は絶縁体層118で絶縁されているので、電流iが導体110cから軟磁性層119へ流出し、導体110cの手前底辺111近傍で磁界Bの発生が低減してしまうのを防止することができる。この場合、絶縁体層118の膜厚としては100nm以下が望ましい。
本実施の形態の情報記録再生ヘッド300が、情報記録媒体に記録された情報の読み出し又は書き込みを行う際の動作について説明する。
本実施形態の情報記録再生ヘッド300及び情報記録媒体350について、情報記録媒体350の情報が記録される記録面に対して垂直な断面による断面図を図15に示す。なお、情報記録媒体は、ハードディスクドライブ等に用いられる一般的な磁気記録媒体であり、例えば、CoCrPt系磁気記録媒体、希土類遷移金属磁気記録媒体、FePt系磁気記録媒体、又はRhFe系等の反強磁性物質で形成された磁気記録媒体である。図15に示すように、情報記録媒体350は記録面350a及び基板350bを有している。
本実施形態の情報記録再生ヘッド300及び情報記録媒体350について、情報記録再生ヘッド300側から見た平面図を図17に示す。情報記録媒体350の記録トラック371にある記録マーク370に記録された情報を読み出す際、情報記録再生ヘッド300は、再生レベルの強度を有するレーザ光Piを導体110cに照射し、導体110cの手前底辺111(以下、電磁界発生領域150ともいう)で散乱された散乱光Psを光検出器163が検出する構成となっている。
ここで、電磁界発生領域150の近傍部分に外部電気分極Poutが存在する場合、電磁界発生領域150から照射される近接場NFが外部電気分極Poutと相互作用する。その結果、電磁界発生領域150からの散乱光Psに強度変化が生じる。情報記録再生ヘッド300は、光検出器163がこの散乱光Psの強度変化を検出することによって、外部電気分極Poutの存在を検出することができる。
図15に示すように、情報記録媒体350の記録面350aは、情報記録再生ヘッド300の電磁界発生領域150と近接している。従って、情報記録再生ヘッド300は、上述した方法によって、情報記録媒体350の記録マーク370に外部電気分極Poutとして記録された情報を読み出すことができる。
また、情報記録再生ヘッド300は、光検出器163が電磁界発生領域150からの散乱光Psの偏光方向変化及び強度変化を検出することによって情報を読み出してもよい。
情報記録媒体350の記録マーク370に外部電気分極Pout及び外部磁気分極Moutが存在する場合、電磁界発生領域150から照射される近接場NFが外部電気分極Pout及び外部磁気分極Moutと相互作用する。その結果、電磁界発生領域150からの散乱光Psに偏光方向変化及び強度変化が生じる。
この散乱光Psの偏光方向変化及び強度変化を検出することによって、情報記録媒体350の記録マーク370に存在する外部電気分極Pout及び外部磁気分極Moutとして記録された情報を読み出すことができる。散乱光Psの偏光方向の変化を検出する方法を以下に説明する。
散乱光Psの偏光方向を検出する場合、情報記録再生ヘッド300の軟磁性層119の磁化の向きを固定するために、導体群110に微小な電流i’を流す。その結果、軟磁性層119は左右円偏光に対して吸収係数に差を生じるようになる。
この状態の軟磁性層119に入射した散乱光Psは、偏光方向に応じて軟磁性層119に吸収される割合が変化する。従って、軟磁性層119を透過した散乱光Psの強度を光検出器163が検出することによって、散乱光Psの偏光方向を検出することができる。
偏光方向変化を検出するためには、磁気円二色性の大きな物質(左右円偏光の吸収係数の差が大きな物質)を軟磁性層119と光検出器163との間に形成することが好ましい。これによって、散乱光Psの偏光方向変化の検出効率を上昇させることができる。
また、情報記録媒体350の記録マーク370の磁気分極Moutを検出する方法として、上記の方法のかわりに以下の方法を用いてもよい。
導体群110の導体110cに対して、磁気分極Moutを有する情報記録媒体350の記録マーク370が横切ると、情報記録再生ヘッド300の導体110cに誘導電流が発生する。この誘導電流の変化を検出することによって、記録マーク370の磁気情報を得ることができる。
なお、情報記録再生ヘッド300の光検出器163は、高調波光を検出できるものであることが好ましい。光検出器163が高調波光を検出することができれば、半導体レーザ光の漏れ光によるノイズ信号を排除でき、情報記録媒体350の情報を高いS/Nで検出することができる。
次に、情報記録再生ヘッド300が情報記録媒体350上に情報を書き込む際の動作について説明する。
図15に示すように、情報記録再生ヘッド300において、再生レベルよりも強い記録レベルの強度を有するレーザ光Piが導体群110に設けられた導体110cに照射される。その結果、導体110cの手前底辺111近傍(電磁界発生領域150)で近接場NFが発生する。
この近接場NFは情報記録媒体350の記録面350aに照射され、記録面350aに昇温領域が発生する。この昇温領域内でも、特に、温度が一定以上高く記録可能となっている領域について以下、記録温度領域360という。
記録温度領域360は、記録面350aの他の領域と比較して、昇温されているために磁性の反転を容易に起こすことができる。従って、情報記録再生ヘッド300の導体110cに電流を流し、適切な大きさの電界Bを発生させることによって、情報記録媒体350の記録温度領域360でのみ磁性の反転を誘起して、情報を書き込むことができる。
すなわち、情報記録再生ヘッド300は、近接場NFによって発生した記録温度領域360と磁界Bとが重なった領域に対して情報の書き込みを行うことができる。本実施形態の情報記録再生ヘッド300では、このようにして光の回折限界を越えた微小領域での近接場NFによるアシスト磁気記録が実現される。
この際、本実施形態の情報記録再生ヘッド300は、強い近接場NFを発生させることができるので、高保磁力を有する情報記録媒体350に対しても記録又は再生を行うことができる。
また、本実施形態の情報記録再生ヘッド300は、従来技術のようにヨークによって延長されていない。従って、ヨーク延長部での磁界の減衰又は遅延が起こらず、高周波磁気記録再生に適している。
以上のように、本実施形態の情報記録再生ヘッド300は、近接場NFを発生させ、情報記録媒体350の記録マーク370における電気分極Pout及び磁気分極Moutとの間で起こる相互作用を光検出器163が検出することによって、情報を読み出すことができる。また、近接場NFによって情報記録媒体350の一部を昇温させ、記録可能となった領域に対して磁界Bを印加することによって、情報を書き込むことができる。
なお、本実施形態の情報記録再生ヘッド300と情報記録媒体350のラジアル方向との配向関係は、任意の角度回転することができる。
上述の実施形態では、情報記録再生ヘッド300は、基板160の上面が情報記録媒体350のラジアル方向と略平行となっている。このとき、図17に示すように、電磁界発生領域150は、情報記録媒体350の回転方向が短い楕円形状となっている。これによって、連続するデータ記録位置の間隔が短い場合でも、情報の記録再生が可能となっている。
ここで、情報記録再生ヘッド300を、情報記録媒体350の記録面350aと垂直で、かつ電磁界発生領域150の中心を貫く軸を中心に角Φだけ旋回させた場合、電磁界発生領域150も旋回する。ここで角Φが90°に近づくにつれ、電磁界発生領域150は、情報記録媒体350のラジアル方向が短い楕円形状になる。これによって、隣接するトラック同士の間隔が狭い場合でも、情報の記録再生が可能になる。
このように、情報記録再生ヘッド300と情報記録媒体350のラジアル方向との配向関係は適宜調整することが可能であり、角Φを調整することで、再生時のS/Nを改善できる。
(第4実施形態)
本発明に係る情報記録再生ヘッドの他の実施形態について、図18及び図19を用いて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の情報記録再生ヘッド400は、第2実施形態の電磁界発生素子200に、電磁界検出器として光検出器163又は磁界検出器164を備えたものである。前述した実施形態の部材と同等の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、本実施形態の情報記録再生ヘッドにおける、近接場NF及び磁界Bの発生、電磁界検出の方法、記録・再生時の動作については、前述の実施形態と同一であるため、説明を省略する。
本実施形態の情報記録再生ヘッド400をY軸正方向から見た断面図を図18に示す。情報記録再生ヘッド400は、図18に示すように、電磁界発生素子200の導体110fの上面及び右側面を覆うように絶縁体層118が形成され、絶縁体層118の周囲には、軟磁性層119が形成されている。
導体110cに電流iが流された場合、磁界Bが発生する。このとき、この軟磁性層119によって、導体110fの手前左辺113近傍に磁束が収束する。その結果、導体110cの手前左辺113近傍での磁束密度が増加し、強い磁界Bを発生させることができる。
電磁界発生素子200の導体110e及び軟磁性層119上には、絶縁体層118と、光検出器163又は磁界検出器164とが備えられている。光検出器163又は磁界検出器164は、前述したように、下から、電極170b、フォトダイオード層163a、電極170aがこの順で積層されている。
ここで、絶縁体層118は、光検出器163又は磁界検出器164の電極170bと、導体110e及び軟磁性層119とによって挟まれており、電極170bと、導体110eとを絶縁している。これによって、電流iが導体110eから電極170bへ流出し、導体110cの手前左辺113近傍での磁界Bの発生が低減してしまうのを防止することができる。なお、絶縁体層118の膜厚としては100nm以下が望ましい。
本実施形態の情報記録再生ヘッド400及び情報記録媒体350を情報記録再生ヘッド400側から見た平面図を、図19に示す。
図19に示すように、情報記録再生ヘッド400の電磁界発生領域150は、情報記録媒体350のラジアル方向(トラック方向)が短い楕円形状となるため、狭トラックの情報記録が可能になっている。
なお、第3実施形態で述べたように、情報記録再生ヘッド400を、情報記録媒体350の記録面350aと垂直な軸を中心に旋回させ、最適な再生時のS/Nを得られるよう適宜調整できるのはいうまでもない。
(第5実施形態)
本発明に係る情報記録再生ヘッドの他の実施形態について説明する。
本実施形態の情報記録再生ヘッド500は、電磁界検出器の代わりにレーザ閾値電流検出器を備えている点以外については、第3実施形態の情報記録再生ヘッド300と同じ構成となっている。前述した実施形態と同じ部分については、簡略化のため説明を省略する。
なお、レーザ閾値電流検出器は、情報記録再生ヘッド500に備えられている必要はなく、導電路を介して外部に配置されていてもよい。
本実施形態の情報記録再生ヘッド500では、情報記録媒体350から情報を読み出す際に、半導体レーザ素子120のレーザ発振の閾値電流の変化を測定することによって、外部電気分極Pout及び外部磁気分極Moutの状態を検出する。その詳細について、以下に説明する。
まず、情報記録再生ヘッド500の半導体レーザ素子120がレーザ光Piを照射する。これによって、電磁界発生領域150において近接場NFが発生する。この近接場NFは、情報記録媒体350の記録マーク370における外部電気分極Pout及び外部磁気分極Moutと相互作用する。
ここにレーザ光Piを照射すれば、レーザ光Piが情報記録媒体350の記録面350aにおいて反射したものである反射光Prは、前述の相互作用によって、偏光方向や強度に変化を生じる。
この反射光Prが半導体レーザ素子120に再び戻ってくると、この反射光Prが半導体レーザ素子120の活性層121b内に作用し、レーザ発振の状態を変化させる。このレーザ発振の状態は、具体的には、レーザ発振の閾値電流として検出することができ、本実施形態の情報記録再生ヘッド500は、レーザ閾値電流検出器がこの閾値電流を検出することによって、情報記録媒体から情報を読み出す構成となっている。
(第6実施形態)
本発明に係る情報記録再生ヘッドの他の実施形態について説明する。本実施形態の情報記録再生ヘッド600は、電磁界検出器として磁界検出器164を備えている点以外については、第3実施形態の情報記録再生ヘッド300又は第4実施形態の情報記録再生ヘッド400と同じ構成となっている。前述した実施形態と同じ部分については、簡略化のため説明を省略する。
本実施形態の情報記録再生ヘッド600は、図16に示すように軟磁性層119上に磁界検出器164が形成されている。磁界検出器164は、2つの電極170a・170bと、磁気抵抗素子164aとの3つの層からなり、磁気抵抗素子164aの上下は、電極170aと電極170bとによって挟まれている。
電磁界検出器として磁界検出器164を備える場合、電極170a・170bは、磁気シールドの役割を果たすように、軟磁性層で形成されていることが好ましい。
本実施形態の情報記録再生ヘッド600が情報を読み出す場合、情報記録媒体350の記録面350aに存在する外部磁気分極Moutを、情報記録再生ヘッド600に備えられた磁界検出器164によって検出する。
そして、情報記録再生ヘッド600は、磁気抵抗素子164aが外部磁気分極Moutによって発生する磁界を電気信号に変換することによって情報の読み出しを行う。
(第7実施形態)
本発明に係る情報記録再生装置の一実施形態について、図20から図22を用いて説明すれば、以下の通りである。なお、前述した実施形態で述べた部材と同等の機能を有する部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態の情報記録再生装置700の主要部の構成を示す斜視図を図20に示す。
本実施形態の情報記録再生装置700は、第3実施形態の情報記録再生ヘッド300又は第4実施形態の情報記録再生ヘッド400を備えたものである。以下、情報記録再生ヘッド300を備えた構成について説明するが、情報記録再生ヘッド300の代わりに情報記録再生ヘッド400を備えたものであってもよい。
本実施形態の情報記録再生装置700は、図20に示すように、情報記録再生ヘッド300がスライダ380aに取りつけられており、情報記録再生ヘッド300の電磁界発生領域150から発生する近接場NFが回転する情報記録媒体350の記録面350a(情報記録媒体350表面)を走査するよう構成されている。
なお、情報記録再生ヘッド300の電磁界発生領域150と情報記録媒体350の記録面350aとの間の距離(フライングハイト)は、100nm以下に設定されている。これは、境界面(ここでは電磁界発生領域150)の近傍にしか生じない近接場NFを用いて、情報記録媒体350の記録面350aを走査するためである。
また、スライダ380aはアーム380bによって支持され、移動手段であるアクチュエータ380cによって情報記録媒体350の記録トラックを走査するようになっている。
アーム380bに取り付けられた情報記録再生ヘッド300及びスライダ380aの拡大図を図21に示す。本実施形態の情報記録再生装置700では、情報記録再生ヘッド300の導体110a・110b、半導体レーザ素子120の電極128a・128b、及び電磁界検出器の電極170a・170bがそれぞれフレキシブルケーブルの細線と接続されている。
情報記録再生装置700のヘッド周辺の製造プロセスとしては、まず、基板160上に半導体レーザ素子120を含む電磁界発生素子100と電磁界検出器とを形成し、情報記録再生ヘッド300を製造する。そして、従来の磁気ヘッドのスライダ形成に使われているアルチック基板に、製造した情報記録再生ヘッド300を貼り付ける。
その後、従来の前記半導体レーザ素子120を含む基板160が貼り付けられたアルチック基板を分割し、分割した側面にエアーベアリング面を有するよう加工し、情報記録再生ヘッド300を有するスライダ380aを形成する。
上記の製造プロセスは、従来の磁気ヘッドの製造プロセスと類似しているため、従来の製造プロセスを利用することができ、情報記録再生装置700のヘッド周辺の生産性が向上する。
また、レーザ素子駆動用端子である電極128a・128b、磁界発生用電流端子である導体110a・110b、電磁界検出器の電極170a・170bのそれぞれが、スライダ380aと一体化した半導体レーザ素子120を含む基板160上に形成されるので、外部から端子へのアクセスが容易になり生産性が向上する。
次に、本実施形態の情報記録再生装置700における記録又は再生系について、概略ブロック図である図22を用いて説明する。
本実施形態の情報記録再生装置700は、記録再生制御部458、データ記録部453、及びデータ再生部461を備えている。
記録再生制御部458は、記録再生制御端子452を介して上位装置から記録又は再生を制御する信号を受信し、情報記録再生装置700内の後述する様々な部に対して制御を行うものである。
データ記録部453は、入力端子451を介して記録するデータを上位装置から受信し、これを記録信号に変換して送信するものである。
データ再生部461は、情報記録再生装置700によって読み出された電気信号を受信し、これをデータ信号に変換した後、出力端子462を介して上位装置に送信する。
また、本実施形態の情報記録再生装置700は、近接場NFを発生させるためのレーザ発光部455及びこの駆動用電流を制御するレーザ駆動部454と、磁界Bを発生させる磁界発生部457及びこの駆動用電流を制御する電流制御部459と、情報を読み出すために散乱光の強度を検出する光検出部456と、情報を読み出すために誘導電流を検出する電流検出部460とをさらに備えている。
レーザ発光部455は、レーザ光Piを照射し、情報の書き込み及び読み出しの際に必要な近接場NFを発生させるためのものであり、前述の実施形態の半導体レーザ素子120に相当する。また、レーザ駆動部454は、レーザ発光部455から照射されるレーザ光の強度を調節するために、レーザ発光部455に流す電流を制御するものである。
磁界発生部457は、電流が流されることによって書き込みの際に必要な磁界Bを発生させるものであり、前述の実施形態の導体110cに相当する。電流制御部459は、磁界発生部457が発生する磁界Bの強さを調節するために、磁界発生部457に流す電流iを制御するものである。
光検出部456は、前述した方法によって散乱光Psの偏光方向変化及び強度変化を検出し、情報記録媒体から情報を読み出すためのものであり、前述の実施形態の光検出器163に相当する。
電流検出部460は、情報記録媒体の磁気分極が磁界発生部457を通過する際に発生する誘導電流を検出することによって、情報記録媒体から情報を読み出すためのものである。
なお、本実施形態の情報記録再生装置700は、光検出部456及び電流検出部460の両方を備えているが、どちらか一方を備える構成であってもよい。
次に、本実施形態の情報記録再生装置700の記録時の動作について説明する。
まず、記録するにあたって、記録する旨の制御信号が、上位装置から記録再生制御端子452を介して記録再生制御部458に入力される。そうすると、記録再生制御部458は、レーザ駆動部454、データ記録部453、及び電流制御部459をそれぞれ以下のように制御する。
記録再生制御部458は、レーザ駆動部454が再生時よりも大きい電流でレーザ発光部455を駆動させるよう制御する。これによって、レーザ発光部455は、再生時よりも強度の大きいレーザ光Piを照射し、表面プラズモンDspによる強い近接場NFを電磁界発生領域に発生させる。これによって、情報記録媒体上に情報書き込み可能な昇温エリアが発生する。
また、記録再生制御部458は、データ記録部453が上位装置から入力端子451を介して記録データを受信し、受信した記録データを記録信号として電流制御部459に送信するよう制御する。そして、電流制御部459は、データ記録部453からの記録信号と記録再生制御部458からの信号とを基に、記録信号に応じた電流を磁界発生部457に出力する。磁界発生部457は、この電流によって磁界Bを発生させ、情報記録媒体の磁性を反転させることによって情報記録媒体に情報を記録する。
本実施形態の情報記録再生装置700は、以上のようにして、近接場NFを発生させ、記録データに応じた磁界Bを連続的に発生させることによって記録を行う。
次に、本実施形態の情報記録再生装置700の再生時の動作について説明する。
まず、記録するにあたって、再生する旨の制御信号が、上位装置から記録再生制御端子452を介して記録再生制御部458に入力される。ここで、光検出部456によって情報を読み取る場合、記録再生制御部458は、レーザ駆動部454、データ再生部461、及び光検出部456をそれぞれ以下のように制御する。
記録再生制御部458は、レーザ駆動部454が記録時よりも小さい電流でレーザ発光部455を駆動させるよう制御する。これによって、レーザ発光部455は、記録時よりも強度の小さいレーザ光Piを照射し、表面プラズモンDspによる弱い近接場NFを電磁界発生領域に発生させる。これによって、情報記録媒体の記録マークの電気分極Pout及び磁気分極Moutと近接場NFとが相互作用する。
そして、記録再生制御部458は、光検出部456が近接場NFと相互作用して、強度が変更された散乱光Psを検出するよう制御する。これによって、光検出部456は、情報記録媒体から情報を読み出し、データ再生部461に電気信号として送信する。
なお、光検出部456が散乱光Psの偏光方向変化を検出する場合、記録再生制御部458は、電流制御部459が磁界発生部457に適切な電流を流すよう制御する。これによって、磁界発生部457は磁界Bを発生させ、前述の軟磁性層119の磁化の方向を固定する。その後、光検出部456は、上述したように散乱光Psの偏光方向変化を検出する。
また、情報記録再生装置700が電磁誘導によって生じる誘導電流を用いて情報を読み取る場合、記録再生制御部458は、電流検出部460を以下のように制御する。
回転する情報記録媒体上の磁気分極Moutが磁界発生部457を通過する際に、電磁誘導によって磁界発生部457に誘導電流が生じる。電流検出部460はこの誘導電流を検出して、データ再生部461に電気信号として送信する。
光検出部456又は電流検出部460から電気信号を受信したデータ再生部461に対して、記録再生制御部458は、電気信号をデータ信号に変換し、出力端子462を解して上位装置に送信するよう制御する。
本実施形態の情報記録再生装置700は、以上のようにして情報記録媒体から情報の再生を行う。
以上のように、本実施形態の情報記録再生装置700は、従来技術のようにヨーク延長部による所望の位置での磁界発生を行わなくて済むので、ヨーク延長部を用いた場合のような磁界の減衰または遅延が少なく、高周波磁気記録再生に適している。また、光の回折限界を越えた微小領域での近接場によるアシスト磁気記録再生を行うことができる。
また、情報記録再生ヘッド300を用いることにより、強い近接場を得ることができるので、高保磁力を有する情報記録媒体に対する記録または再生を行うことができる。
(第8実施形態)
本発明に係る情報記録再生装置の他の実施形態について、図23を用いて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の情報記録再生装置800における記録又は再生系について、概略ブロック図である図23を用いて説明する。本実施形態の情報記録再生装置800は、第5実施形態の情報記録再生ヘッド500を備えたものであり、光検出部の代わりにレーザ閾値電流検出部473を備えている点以外については、第7実施形態の情報記録再生装置700と同じ構成となっている。なお、前述した実施形態と同じ部分については、簡略化のため説明を省略する。本実施形態のレーザ閾値電流検出部473は、第5実施形態の情報記録再生ヘッド500のレーザ閾値電流検出器に相当する。
本実施形態の情報記録再生装置800の再生時の動作について説明する。
まず、記録するにあたって、再生する旨の制御信号が、上位装置から記録再生制御端子452を介して記録再生制御部458に入力される。ここで、レーザ閾値電流検出部473によって情報を読み取る場合、記録再生制御部458は、レーザ駆動部454、データ再生部461、及びレーザ閾値電流検出部473をそれぞれ以下のように制御する。
記録再生制御部458は、レーザ駆動部454が記録時よりも小さい電流でレーザ発光部455を駆動させるよう制御する。これによって、レーザ発光部455は、記録時よりも強度の小さいレーザ光Piを照射し、表面プラズモンDspによる弱い近接場NFを電磁界発生領域に発生させる。これによって、情報記録媒体の記録マークの電気分極Pout及び磁気分極Moutと近接場NFとが相互作用する。
情報記録媒体レーザ光Piが情報記録媒体に反射されることによって、反射光Psが生じる。この反射光Psは上記相互作用の影響を受けることによって、偏光方向及び強度に変化が生じる。そして、この反射光Psがレーザ発光部455に再び戻ると、レーザ発光部455におけるレーザ発振の状態が変化する。
レーザ閾値電流検出部473は、レーザ発光部455からレーザ発振の状態を閾値電流として検出し、それを電気信号としてデータ再生部461に送信する。
レーザ閾値電流検出部473から電気信号を受信したデータ再生部461に対して、記録再生制御部458は、電気信号をデータ信号に変換し、出力端子462を解して上位装置に送信するよう制御する。
本実施形態の情報記録再生装置800は、以上のようにして情報記録媒体から情報の再生を行う。
以上のように、本実施形態の情報記録再生装置800は、情報を読み出す際、レーザ閾値電流を検出することによってレーザ発振の状態の変化を検出しているため、高感度の光検出が可能となる。また、光検出部や磁界検出部に比べてレーザ閾値電流検出部は、簡単な構成であるため、情報記録再生装置800の構成を簡素化でき、安価で信頼性の高い情報記録再生装置を実現することができる。
(第9実施形態)
本発明に係る情報記録再生装置の他の実施形態について、図24を用いて説明すれば、以下の通りである。
本実施形態の情報記録再生装置900は、第6実施形態の情報記録再生ヘッド600を備えたものであり、光検出部の代わりに磁界検出部480を備えている点以外については、第7実施形態の情報記録再生装置700と同じ構成となっている。なお、前述した実施形態と同じ部分については、簡略化のため説明を省略する。本実施形態の磁界検出部480は、第6実施形態の情報記録再生ヘッド600の磁界検出器164に相当する。
本実施形態の情報記録再生装置900の再生時の動作について説明する。
まず、記録するにあたって、再生する旨の制御信号が、上位装置から記録再生制御端子452を介して記録再生制御部458に入力される。ここで、磁界検出部480によって情報を読み取る場合、記録再生制御部458は、磁界検出部480が情報記録媒体の記録マークから漏れ出している磁束を検出するよう制御する。
そして、磁界検出部480から電気信号を受信したデータ再生部461に対して、記録再生制御部458は、電気信号をデータ信号に変換し、出力端子462を解して上位装置に送信するよう制御する。
本実施形態の情報記録再生装置900は、以上のようにして情報記録媒体から情報の再生を行う。
なお、本実施形態の情報記録再生装置900において、磁界検出部480として、磁気スペーシングの小さな磁界検出器を用いることが好ましい。これによれば、空間分解能の高い磁界検出が可能になり、従って、高密度磁気記録媒体の再生が可能となる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。