JP4601863B2 - 自動車用ドアバイザー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、庇部とその内側縁に連設されたドアの窓枠と対面する鍔部とを備えた合成樹脂製のバイザー本体とその取付け手段とで構成される自動車用ドアバイザーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動車用ドアバイザーは、主たる取付け手段として両面接着テープが用いられており、バイザー本体の鍔部の内面(窓枠と対向する面)に接着された両面接着テープで窓枠に取り付けるように構成されていた。そのため、一旦、取り付けてしまうと、取り外しが容易でなく、ドアバイザーを無理に引き剥がしても、両面接着テープの一部が窓枠表面にこびり付いた状態となり、窓枠表面が汚くなるという問題点があった。また、新しいデザインのドアバイザーと交換したい場合、窓枠表面にこびり付いた古い両面接着テープのために、接着面のプライマー処理が不完全となり、付け替えたドアバイザーの取付け状態が不安定になることがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の現状に鑑み、本発明は、脱着が容易で、取り外した跡の窓枠表面が汚くならず、しかも、バイザー本体の鍔部と窓枠との間への雨水の浸入を確実に防止できる安価な自動車用ドアバイザーを提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた技術手段は、次のとおりである。即ち、本発明による自動車用ドアバイザーは、合成樹脂材料の射出成形によって作製され、長手方向複数箇所に止め具挿入用孔が形成された庇部とその内側縁に連設されたドアの窓枠と対面する鍔部とを備えたバイザー本体と、合成樹脂材料の押出し成形によって作製され、外側板部とその上端から内側へ折曲連設された天板部とその内端から下方へ折曲連設された内側板部と前記天板部の幅方向中間部に垂設された中間板部とから成り、前記バイザー本体の鍔部に、当該鍔部が前記外側板部と前記中間板部との間に形成された溝に嵌合した状態に接着された縁材と、前記鍔部の内面に接着され且つ窓枠と対面する面には接着剤が塗布されていない弾性緩衝材と、前記庇部の内面に当接する断面形状で且つ止め具挿入用孔が形成された基板部と前記窓枠に下方から係止させるための係止用板部とから成る複数個の下部金具と、前記下部金具の基板部を前記庇部の内面に取り付ける止め具とから構成され、前記縁材の内側板部を窓枠に上方から係止させ、前記下部金具の係止用板部を窓枠に下方から係止させた状態で、当該下部金具の基板部を前記庇部の内面に、前記止め具挿入用孔に挿入した前記止め具で取り付けるように構成したことを特徴としている。止め具としては、例えば、ナイロンリベットやビスとナット等が使用される。
【0005】
上記の構成によれば、自動車用ドアバイザーの脱着が容易であり、取り外した跡の窓枠表面が汚くなることもない。即ち、上記の自動車用ドアバイザーは、バイザー本体の鍔部に接着されて一体化した縁材の内側板部を窓枠に上方から係止させ、下部金具の係止用板部を窓枠に下方から係止させた状態で、当該下部金具の基板部を前記庇部の内面に、庇部の止め具挿入用孔と基板部の止め具挿入用孔に挿入したナイロンリベットやビスとナット等の止め具で取り付ける構造であるから、両面接着テープで取り付ける場合のような窓枠表面のプライマー処理を省略することができて、取付けが容易であり、しかも、鍔部の内面に接着された弾性緩衝材には、窓枠と対面する面に接着剤が塗布されていないので、止め具を外すことによって、容易にドアバイザーを取り外すことができ、ドアバイザーを取り外した跡に両面接着テープがこびり付いて窓枠表面が汚くなる虞がない。
【0006】
それでいて、窓枠に対するバイザー本体の下方への移動は縁材によって阻止され、上方への移動は下部金具によって阻止され、窓枠表面に対して垂直な方向への移動は、縁材および下部金具によって阻止されるので、両面接着テープを使用していないにもかかわらず、安定良い取付け状態が得られ、走行中にドアバイザーが不測に脱落する虞はない。
【0007】
しかも、バイザー本体の鍔部に接着された縁材を、窓枠に上方から係止させる構造であるため、鍔部と窓枠との間に上下に開放した隙間が生ぜず、窓枠に接着する両面接着テープを使用していないにもかかわらず、高いシール性能が得られ、鍔部と窓枠との間への雨水の浸入を確実に防止できるのである。
【0008】
また、前記縁材が、外側板部とその上端から内側へ折曲連設された天板部とその内端から下方へ折曲連設された内側板部と前記天板部の幅方向中間部に垂設された中間板部とから構成されており、バイザー本体の鍔部に、当該鍔部が外側板部と中間板部との間に形成された溝に嵌合した状態に接着されるので、接着剤が硬化するまで接着面を人為的に押えておく必要がなくて、接着作業が容易であり、合成樹脂材料の押出し成形によって作製された縁材を、合成樹脂材料の射出成形によって作製されたバイザー本体の鍔部に接着して、所定の断面形状とするため、全体を射出成形する場合よりも、射出成形用金型の構造が単純化されることになり、金型費が安くて済むことと相まって、安価に製造できるのである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明すると、図1〜図4において、Aは、本発明に係る自動車用ドアバイザーの一例を示す。1は、アクリルやポリカーボネイト等の透明な合成樹脂材料の射出成形によって作製された合成樹脂製のバイザー本体である。バイザー本体1は、長手方向複数箇所(前後両端部と中央部の三箇所以上)に止め具挿入用孔2が形成された庇部1aとその内側縁に連設され、ドアの窓枠Bと対面する鍔部1bとを備え、前記鍔部1bの外面には、長手方向全長にわたって段差部3が形成されている。
【0010】
4はバイザー本体1とは異なる合成樹脂材料の押出し成形により作製された合成樹脂製の縁材であり、前記バイザー本体1と同長さに裁断したものである。この縁材4は、外側板部4aとその上端から内側へ折曲連設された天板部4bとその内端から下方へ折曲連設された内側板部4cと前記天板部4bの幅方向中間部に垂設された中間板部4dとから成り、外側板部4aと中間板部4dとの間、中間板部4dと内側板部4cとの間には、夫々、溝a,bが形成され、断面形状が略E形を呈する。そして、前記バイザー本体1の鍔部1bに、当該鍔部1bが前記外側板部4aと前記中間板部4dとの間に形成された溝aに嵌合した状態に接着されている。縁材4の材料樹脂としては、押出し成形が可能で、且つ、必要な強度(靭性)と適度の弾力性や柔軟性を持つものであれば、適宜に選択できるが、ガラス繊維入り樹脂やアイオノマー樹脂(商品名ハイミラン)を用いることが望ましい。
【0011】
5は、前記鍔部1bの内面に、その長手方向全長にわたって接着されたウレタン等の弾性緩衝材である。この弾性緩衝材5は、両面接着テープとは異なり、図3に示すように、片面のみに接着剤5aが塗布され、窓枠Bと対面する面には接着剤が塗布されていない。
【0012】
6は、前記庇部1aの内面に当接する断面形状で且つ前記止め具挿入用孔2と合致する止め具挿入用孔7が形成された基板部6aと前記窓枠Bに下方から係止させるための係止用板部6bとから成る複数個(止め具挿入用孔2と同数個)の下部金具である。下部金具6としては、単に、窓枠Bに対して下方から係止する機能が発揮される形状であれば足りるが、図示の例では、係止用板部6bを窓枠B内面の凹凸と機械的に係合する断面形状に形成することにより、下方への抜け落ちを阻止する機能も発揮されるようにしてある。8は、前記下部金具6の基板部6aを前記庇部1aの内面に取り付ける止め具である。止め具8としては、前記両止め具挿入用孔2,7にわたって挿入されるビスとそれに螺合するナットであってもよいが、この例では、図3に示すように、一端にフランジを有し、他端側に十字状のスリットを入れた円筒状部材8aと、円筒状部材8aにフランジ側から圧入することによって円筒状部材8aを押し広げる頭付きピン8bとから構成された既知のナイロンリベットを使用している。
【0013】
上記の自動車用ドアバイザーAは、下部金具6を庇部1aに取り付ける前に、バイザー本体1の鍔部1bに接着されて一体化されている縁材4の内側板部4cを窓枠Bに上方から係止させ、しかる後、下部金具6の係止用板部6bを窓枠Bに下方から係止させ、この状態で、外側から前記止め具8を前記両止め具挿入用孔2,7に挿入して、下部金具6の基板部6aを庇部1aの内面に取り付けることにより、図4に示すように、ドアの窓枠Bに装着されるものである。
【0014】
従って、両面接着テープで取り付ける場合のような窓枠表面のプライマー処理を省略することができて、取付けが容易であり、それでいて、窓枠Bに対するバイザー本体1の下方への移動は縁材4によって阻止され、上方への移動は下部金具6によって阻止され、窓枠B表面に対して垂直な方向への移動は、縁材4および下部金具6によって阻止されるので、両面接着テープを使用していないにもかかわらず、安定良い取付け状態が得られ、走行中にドアバイザーAが不測に脱落する虞はない。
【0015】
殊に、上記の自動車用ドアバイザーAは、鍔部1bの内面に接着された弾性緩衝材5の窓枠Bと対面する面に接着剤が塗布されていないので、止め具8を外して、下部金具6と庇部1aとを分離することによって、容易にドアバイザーAを取り外すことができ、ドアバイザーAを取り外した跡に両面接着テープがこびり付いて窓枠表面が汚くなる虞がない。尚、止め具8としてビスとナットを用いる場合、止め具8の再利用が可能であるが、図示の例では、止め具8がナイロンリベットであるため、頭付きピン8bを内側から突いて押し出すことによって外すことができるが、再利用はできない。
【0016】
しかも、バイザー本体1の鍔部1bに接着された縁材4を、窓Bに上方から係止させる構造であるため、鍔部1bと窓枠Bとの間に上下に開放した隙間が生ぜず、窓枠Bに接着する両面接着テープを使用していないにもかかわらず、高いシール性能が得られ、鍔部1bと窓枠Bとの間への雨水の浸入を確実に防止できるのである。
【0017】
また、前記縁材4が、外側板部4aとその上端から内側へ折曲連設された天板部4bとその内端から下方へ折曲連設された内側板部4cと前記天板部4bの幅方向中間部に垂設された中間板部4dとによって、略E形の断面形状に形成されており、バイザー本体1の鍔部1bに、当該鍔部1bが外側板部4aと中間板部4dとの間に形成された溝aに嵌合した状態に接着されるので、接着剤が硬化するまで接着面を人為的に押えておく必要がなくて、接着作業が容易であり、合成樹脂材料の押出し成形によって作製された縁材4を、合成樹脂材料の射出成形によって作製されたバイザー本体1の鍔部1bに接着して、所定の断面形状とするため、全体を射出成形する場合よりも、射出成形用金型の構造が単純化されることになり、金型費が安くて済むことと相まって、安価に製造できるのである。
【0018】
図5の(イ)、(ロ)は、本発明に係る自動車用ドアバイザーAの他の例を示し、鍔部1bの内面に段差部3aを形成して、縁材4の内側板部4cと鍔部1bの内面とを面一にした点に特徴がある。また、図5の(イ)に示した自動車用ドアバイザーAでは、縁材4の天板部4bを外側板部4aよりも薄肉に形成して、窓枠外周に取り付けられる図外のパッキンに過度の変形が生じないようにすると共に、天板部4bの内部にアルミやステンレスの薄板4eをインサートして、薄肉にしたことによる強度低下を補填してある。尚、図1〜図4や図5の(ロ)に示した実施の形態では、いずれも、鍔部1b外面に段差部3を設けて、縁材4の外側板部4aと鍔部1bの外面とを面一にしてあるが、前記段差部3を省略して実施してもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明は、上述した構成よりなるから、脱着が容易で、取り外した跡の窓枠表面が汚くならず、しかも、バイザー本体の鍔部と窓枠との間への雨水の浸入を確実に防止できる安価な自動車用ドアバイザーを実現し得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る自動車用ドアバイザーを窓枠に取り付けた状態における側面図である。
【図2】上記自動車用ドアバイザーの要部の斜視図である。
【図3】上記自動車用ドアバイザーの構造を説明するための要部の分解斜視図である。
【図4】上記自動車用ドアバイザーを窓枠に取り付けた状態における要部の断面図である。
【図5】本発明に係る自動車用ドアバイザーの他の例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
A…自動車用ドアバイザー、1…バイザー本体、1a…庇部、1b…鍔部、2…止め具挿入用孔、4…縁材、4a…外側板部、4b…天板部、4c…内側板部、4d…中間板部、5…弾性緩衝材、6…下部金具、6a…基板部、6b…係止用板部、7…止め具挿入用孔、8…止め具。
Claims (1)
- 合成樹脂材料の射出成形によって作製され、長手方向複数箇所に止め具挿入用孔が形成された庇部とその内側縁に連設されたドアの窓枠と対面する鍔部とを備えたバイザー本体と、合成樹脂材料の押出し成形によって作製され、外側板部とその上端から内側へ折曲連設された天板部とその内端から下方へ折曲連設された内側板部と前記天板部の幅方向中間部に垂設された中間板部とから成り、前記バイザー本体の鍔部に、当該鍔部が前記外側板部と前記中間板部との間に形成された溝に嵌合した状態に接着された縁材と、前記鍔部の内面に接着され且つ窓枠と対面する面には接着剤が塗布されていない弾性緩衝材と、前記庇部の内面に当接する断面形状で且つ止め具挿入用孔が形成された基板部と前記窓枠に下方から係止させるための係止用板部とから成る複数個の下部金具と、前記下部金具の基板部を前記庇部の内面に取り付ける止め具とから構成され、前記縁材の内側板部を窓枠に上方から係止させ、前記下部金具の係止用板部を窓枠に下方から係止させた状態で、当該下部金具の基板部を前記庇部の内面に、前記止め具挿入用孔に挿入した前記止め具で取り付けるように構成してあることを特徴とする自動車用ドアバイザー。
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