JP4601025B2 - コポリエステル延伸フィルムおよびその用途 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コポリエステル延伸フィルムおよびその用途に関する。さらに詳しく言えば、生分解性(土中崩壊性)、機械的強度および耐熱水性に優れ、食品などの各種物品の包装材料やラップフィルム等として有用な、脂肪族・芳香族コポリエステルの延伸フィルムとその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題の深刻化に伴い、生分解性を有する地球環境に優しい包装材料に対する要求が高まっている。食品などの各種物品の包装材料には、内容物保獲の信頼性が要求されるため、一般に、機械的強度や耐熱性などに優れた合成樹脂フィルムが用いられている。しかし、ポリオレフィン系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリ塩化ビニリデン系フィルムなどの汎用の合成樹脂フィルムは、高性能と長期安定性を目的に開発されているため機械的強度などの諸物性に優れている反面、自然界に放出された後は、分解されずに、いつまでも原形を保っている。使用済み包装材料は、ごみとして収集され、焼却または埋め立てられているが、実際には、散乱ごみが多量にあり、自然の生態系への悪影響が指摘されている。焼却による環境汚染、埋立地の狭隘化や立地の問題などもある。
【0003】
一方、生分解性ポリマーは、微生物の作用により、最終的には水と炭酸ガスに分解して、環境中に残存しないポリマーである。この生分解性ポリマーには、土や海の中で微生物の作用により形状が崩壊するポリマーも含まれる。このような生分解性ポリマーを原料として、汎用の合成樹脂フィルムに代替し得る物性を有する包装材料を製造することができるならば、これらの環境問題を軽減することができる。
【0004】
しかし、包装材料などに用いられるフィルムには、機械的特性、熱的特性、溶融加工性、経済性などが要求されるが、生分解性ポリマーの多くは、包装材料として利用するのに充分な物性を有するフィルムを形成することが困難である。例えば、澱粉を用いて形成したフィルムは、機械的強度や耐熱性が不充分であり、しかも溶融加工が困難である。セルロースからなるフィルムは、機械的強度の点で不満足であり、しかも溶融加工が難しい。微生物生産ポリエステルを用いて形成したフィルムは、機械的強度の点で不充分であり、しかもコストが高いという問題がある。ポリカプロラクトンは、融点が60℃と低いため、耐熱性に優れたフィルムを形成することができない。
【0005】
また、包装材料などの用途に適用し得る機械的強度や耐熱性に優れたフィルムを得るには、一般に、フィルム製造時に延伸工程を配置することが不可欠であるが、生分解性ポリマーの多くは、耐熱性、溶融加工性や延伸配向性が不満足であるため、簡単な設備や既存の設備を用いて、諸物性に優れた延伸フィルムを形成することが困難である。
【0006】
特表平10−508640号には、生分解性を有する芳香族系と脂肪族系の共重合タイプのコポリエステルが開示され、その生分解性フィルムヘの応用も提案されている。具体的には、テレフタル酸、ブタンジオール、アジピン酸をベースとした、微生物の持つ酵素で分解する生分解フィルムが記載されている。しかし、この先行技術文献には、単に吹き込み成形で成形したフィルムが開示されているだけであり、延伸フィルムについての開示はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、生分解性を有するとともに、機械的強度および耐熱水性に優れた脂肪族・芳香族コポリエステルの延伸フィルムおよびその用途を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下のコポリエステル延伸フィルムおよびその用途に関する。
1)ブタンジオール成分45〜55モル%、テレフタル酸成分20〜30モル%、アジピン酸成分20〜30モル%、スルホネート化合物成分0〜5モル%を主成分として含むコポリエステルの延伸フィルムであって、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が180%以上、動的粘弾性測定における主分散のピーク温度と無配向物のピーク温度の差が10℃以下、結晶配向度が60%以上であることを特徴とするコポリエステル延伸フィルム。
2)耐熱水性が80℃以上である前記1に記載のコポリエステル延伸フィルム。
3)厚さ40μmのフィルムの30℃、80%RHにおける酸素透過度が1800cm3/m2・day・atm以下である前記1に記載のコポリエステル延伸フィルム。
4)前記1乃至3のいずれかに記載の延伸フィルムを少なくとも1層有する多層フィルム。
5)前記1乃至4のいずれかに記載のフィルムからなる包装容器。
6)前記1乃至4のいずれかに記載のフィルムからなるラップ用フィルム。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
(1)コポリエステル
本発明で使用するコポリエステルは、主成分がブタンジオール成分45〜55モル%、テレフタル酸成分20〜30モル%、アジピン酸成分20〜30モル%、スルホネート化合物成分0〜5モル%からなるコポリエステルであり、85〜130℃の融点(Tm)、−10℃以下、好ましくは−100〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−10℃のガラス転移温度(Tg)を有するものである。
ブタンジオール成分の由来となるブタンジオール化合物としては、1,2−ブタンジオールおよび1,4−ブタンジオールが挙げられ、1,4−ブタンジオールが好ましい。
テレフタル酸成分の由来となるテレフタル酸化合物としては、テレフタル酸またはそのモノエステル体またはジエステル体が挙げられる。エステルはアルキルエステルが好ましく、例えばメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等のモノエステル体またはジエステル体が挙げられる。
アジピン酸成分の由来となるアジピン酸化合物としては、アジピン酸、その酸無水物、そのモノエステル体またはジエステル体が挙げられる。エステルはアルキルエステルが好ましく、例えばメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等のモノエステル体またはジエステル体が挙げられる。
スルホネート化合物成分の由来となるスルホネート化合物としては、スルホネート基を含有するジカルボン酸、そのモノエステル体、ジエステル体、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩が挙げられる。好ましくは5−スルホイソフタル酸のアルカリ金属塩であり、特にナトリウム塩が好ましい。
【0010】
上記成分以外にも、エステル結合を形成することのできる官能性基を3個以上有する化合物成分を含むことができる。具体的には、分子内にこの官能性基3〜10個、好ましくはヒドロキシル基やカルボキシル基およびその誘導体基を3〜6個を有する化合物であり、例えば、酒石酸、クエン酸、マレイン酸、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルトリオール、グリセロール、トリメシン酸、トリメリット酸または無水物、ピロメリット酸またはジアンヒドリド、ヒドロキシイソフタル酸などが挙げられる。
この化合物成分により、コポリエステルの溶融粘度を調整し、衝撃強度を増加させ、結晶化性を低下させることができる。
【0011】
また、その他にも本発明の延伸フィルムの特性を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合することができる。
具体例として、滑性、耐ブロッキング性を付与するための無機フィラー、ステアリン酸、高級脂肪酸アミド、炭素数12〜22のエチレンビス脂肪酸アミドなど;防曇性を付与するためのポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどのノニオン性界面活性剤;劣化防止性を付与するためのフェノール系、硫黄系、リン系等の酸化防止剤やベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系等の紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0012】
コポリエステルを調製する重合は、公知の方法により、行うことができる(WO92/13019; EP-A568593; EP-A565235; EP-A28687等)。例えば、前記のブタンジオール化合物、テレフタル酸化合物、アジピン酸化合物、所望によりスルホネート化合物、およびその他の添加剤等を、触媒の存在下、160〜230℃の融液中で、大気圧下、不活性ガス雰囲気下で重合することができる。
【0013】
触媒は、ポリエステルの製造に慣用されているものが使用できる。例えば、Ti、Ge、Zn、Fe、Mn、Co、Zr、V、Ir、La、Ce、LiまたはCaをベースとする金属化合物、好ましくはこれら金属をベースとする有機金属化合物(例えば有機酸の塩、アルコキシド、アセチルアセトネート等)、特に好ましくは亜鉛、錫およびチタンをベースとする有機金属化合物である。
本発明の延伸フィルムを食料品の包装分野で使用する場合、触媒としては毒性が低く、少量の使用で充分な触媒効果が得られるものを選択することが望ましい。例えばチタン化合物や亜鉛化合物は人体に対して無害である触媒として知られており、ジブトキシジアセトアセトキシチタニウム、テトラブチルオルトチタネート、酢酸亜鉛(II)などが好ましい触媒として使用できる。
触媒の使用量はモノマー成分100質量部に対して通常0.01〜3質量部、好ましくは0.05〜2質量部である。高活性のチタン化合物触媒の場合には、例えば0.0001質量部程度でもよい。
【0014】
また、上記コポリエステルには、生分解性を損なわない範囲内で、物性を向上させる目的で他のポリマーをブレンドしても良い。ブレンドするポリマーとしては、それ自体生分解性を有するポリマーが好ましい。例えば、耐熱性および硬度の向上を目的として、ポリ乳酸やポリグリコール酸などを前記コポリエステル100質量部に対して0.1〜50質量部、好ましくは10〜45質量部ブレンドすることができる。あるいは澱粉、セルロースなどの天然物系の生分解性ポリマーをブレンドしてもよい。
【0015】
(2)コポリエステル延伸フィルム
本発明のコポリエステル延伸フィルムは、前記のコポリエステルを二軸延伸することにより得られる。延伸は公知の二軸延伸法により行うことができる。縦横同時に延伸を行う同時延伸法、予め一軸に延伸した後さらに直角方向に延伸を行う逐次延伸法のいずれの方法でもよい。延伸方式もロール延伸、フラット延伸およびチューブラ延伸のいずれでもよい。
本発明のコポリエステル延伸フィルムを効率良くかつ経済的に製造するためには、インフレーション延伸法に代表されるチューブラ式同時延伸法またはテンター逐次延伸法に代表されるフラット式逐次延伸法が好ましい。
【0016】
インフレーション延伸法により延伸を行う場合には、公知のインフレーション延伸装置を使用できる。原料樹脂を押出機に供給し、リングダイからチューブ状に溶融押出して円筒状に成形し、連続したチューブ状のパリソンを作製し、これを水などで急冷した後再加熱して、不活性ガス(空気や窒素ガスなど)を封入して延伸する。延伸の温度は、コポリエステルの結晶融解温度から結晶融解温度−50℃の範囲に設定すればよい。
【0017】
テンター逐次延伸法により延伸を行う場合には、シート状に押出し成形した未延伸材料(無配向試料)を所定の温度で長手方向(MD)に延伸した後その端部を複数のテンタークリップで把持し、所定の温度雰囲気下、幅方向(TD)に延伸するものであり、公知のテンター延伸装置が使用できる。予熱温度および延伸温度は結晶融解温度から結晶融解温度−50℃、引張速度は0.5〜10.0m/分、好ましくは1.0〜5.0m/分の範囲に設定すればよい。
【0018】
いずれの方式でも延伸後は、必要に応じて、通常60〜110℃、好ましくは80〜100℃の温度で1秒間〜3時間、好ましくは3秒間〜30分間、定長下または緊張下で熱固定することができる。
【0019】
延伸倍率は、長手方向(MD)が好ましくは2〜8倍、より好ましくは3〜7倍で、幅方向(TD)が好ましくは2〜8倍、より好ましくは3〜7倍である。延伸倍率が小さすぎると配向度が小さくなり、機械的強度や耐熱性が低下する。
【0020】
本発明によれば、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が180%以上、動的粘弾性測定における主分散のピーク温度と無配向物(未延伸フィルム)のピーク温度の差が10℃以下、結晶配向度が60%以上となる延伸フィルムが得られる。
【0021】
動的粘弾性測定における主分散のピーク温度の差は、延伸フィルムの非晶分子鎖の配向の程度の差を示す尺度であり、この温度差が10℃を超えると寸法安定性及び引張破断伸度が低下し好ましくない。温度差は、好ましくは0.01〜10℃、さらに好ましくは0.1〜6℃、特に好ましくは1〜5℃である。
【0022】
また、結晶配向度は、広角X線回折によりフィルム面に対して平行にX線を入射したときに測定される配向度であり、フィルム面の配向の程度を示す尺度である。配向度60%未満だと引張破断強度などの機械的強度が損なわれる恐れがある。好ましい結晶配向度は70%以上である。このような延伸フィルムは、面配向の均一性に優れ、機械的強度の異方性が少ない。
【0023】
本発明のコポリエステル延伸フィルムの厚みは、通常1〜500μm、好ましくは3〜300μm、より好ましくは5〜200μmである。膜厚が薄すぎると所定の強度を維持できず、また厚すぎると延伸が困難となる。
【0024】
本発明のコポリエステル延伸フィルムは、耐熱水性が80℃以上、好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上である。なお、耐熱水性の評価方法は、フィルムを23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、100mm×100mmのサイズに2枚切り出して重ね合わせ、3辺をインパルスシールした後に水道水を入れ、残りの1辺をインパルスシールして試料とし、これを80℃以上の特定温度中に30分間浸漬して取り出したときに、水漏れや著しい変形が無い場合をその特定温度以上の温度を耐熱水性が良好とした。
また、本発明のコポリエステル延伸フィルムは、厚さ40μmのフィルムの30℃、80%RHにおける酸素透過度が1800cm3/m2・day・atm以下であることが好ましい。
【0025】
以上により得られた本発明のコポリエステル延伸フィルムは、生分解性が良好であり、土壌中に一定期間(28日間)埋めた後取り出すと、一部に亀裂が生じていたり、あるいは一部が欠けるなどして元の形状を失っているか、あるいは引張破断強度が埋める前の値に仕べて50%以下に低下している。
【0026】
本発明のコポリエステル延伸フィルムは単層フィルムとして使用できるが、共押出やラミネートなどにより多層フィルムとしてもよい。多層フィルムの場合は、前記コポリエステル延伸フィルムを複数積層したものでもよいし、前記コポリエステル延伸フィルムと他のフィルムを積層したものであってもよい。
他のフィルムとしては、ガス(酸素)バリア性を付与する目的で、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリグリコール酸などが使用できる。中でもポリグリコール酸はそれ自体が生分解性を有するので、生分解性を有する積層フィルムとすることができる。強度や耐熱性を向上させる目的でポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン(ポリプロピレン等)との積層フィルムとしても良い。また本発明のコポリエステル延伸フィルムはヒートシール層として使用することもできる。
【0027】
(3)包装用途
本発明のコポリエステル延伸フィルムまたはそのフィルムを少なくとも1層含む多層フィルムは、ラップ用フィルム及び各種物品の包装材料(包装容器)として利用できる。
包装の形態は特に制限はないが、家庭用ラップ、パウチ(含スタンディング)、スキンパック、シュリンク包装、ピロー包装、ロケット包装、ブリスターパック、深絞り包装、トレー・カップ包装、ポーションパック、ストリップ包装に使用できる。
【0028】
被包装物は、食品、医薬品、化粧品、精密機械、家電製品など特に制限はない。具体例としては、小麦粉、米、餅、麺、即席麺などの穀類と穀類加工品;食肉、食肉加工品、食肉惣菜、鶏卵などの食肉と食肉加工品;牛乳、バター、チーズなどの牛乳と乳製品;生鮮食、水産加工品、食肉練り製品、削り節などの生鮮魚と水産加工品;野菜、果実、果実飲料、カット野菜などの野菜・果実;菓子、パン、キャンディ、チョコレートなどの菓子・パン;水産発酵食品、味噌、醤油、漬物、日本酒、ワインなどの発酵食品;マヨネーズ、ドレッシング、トマトケチャップ、タレ、食酢、食用油などの調味料;日本茶、コーヒー、ウーロン茶、紅茶、清涼飲料、香辛料などの嗜好品;レトルト食品、冷凍食品、佃煮、珍味などの調理加工食品;弁当惣菜、調理パン、サンドウィッチ、こんにゃく、豆腐、米飯などの日配調理食品;固形製剤、液剤、軟膏剤などの医療品;化粧品、粉末洗剤、歯磨き、シャンプー、固形石鹸、紙おむつ、生理用品などの化粧品やトイレタリー;パソコン、プリンター、カメラ、テレビ、冷蔵庫などの精密機械や家電製品などが挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて、本発明について具体的に説明する。物性等の測定法は、下記のとおりである。
【0030】
(1)主分散ピーク温度
試料を23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、レオメトリックス社製の動的粘弾性測定装置RSAIIを用いて、周波数10Hzで、−100℃から2℃毎分の昇温速度で100℃まで昇温して、損失正接tanδの温度分散曲線を測定した。この温度分散曲線が極大を示す温度を主分散ピーク温度(℃)とした。
【0031】
(2)引張特性
試料を温度23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、エー・アンド・ディー社製テンシロンRTC−1210Aを用いて、試料長(チャック間距離)50mm、試料幅10mm、引張速度500mm/分の条件で引張試験を行い、引張破断強度(MPa)および引張破断伸度(%)を測定した。
【0032】
(3)結晶配向度
フィルムの延伸方向を揃えて、幅1mm、長さ20mm、厚み1mmになるように重ね、シアノアクリレート系接着剤で固定して試料を作製した。この試料のフィルム面に平行にX線を入射して、イメージングプレート撮影した。X線発生装置として理学電機社製のロータフレックスRU−200Bを用い、30kV−100mAでNiフィルターを通したCuKα線をX線源とした。イメージングプレートとして富士写真フィルム社製BAS−SR 127を用いて、試料−イメージングプレート間距離60mm、露出時間20分間で露出した。理学電機社製R−AXIS DS3を用いて回折像の読み取りを行い、2θ=23°の回折(ポリブチレンテレフタレートのα型結晶(100)面からの回折に相当すると考えられる)の方位角(β角)強度分布曲線を作成した。このβ角強度分布曲線から、理学電機株式会社発行のX繰回折の手引き改訂第三版(1985年6月30日先行)第81ページに記載の配向度の測定方法に従って、赤道線上の2点(β角が90°および270°)についての半値幅Wi(°)の合計値ΣWi(°)から、次式により結晶配向度(%)を求めた。
結晶配向度=[(360−ΣWi)/360]×100
【0033】
(4)酸素透過度
厚さ40μmの試料を23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、モコン社製OXTRAN100を用いて30℃、80%RHの条件で酸素透過度を測定した。
【0034】
(5)耐熱水性(90℃における耐熱水性)
試料を23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、100mm×100mmのサイズに2枚切り出して重ね合わせ、その3辺をインパルスシールした後に水道水を入れ、残りの1辺をインパルスシールした。これを90℃の熱水中に30分間浸漬して取り出した時に、水漏れや著しい変形が無い場合を耐熱水性が良好とした。
【0035】
(6)生分解性(微生物分解性)
試料を23℃、50%RHの雰囲気中で24時間放置した後、100mm×100mmのサイズに1枚切り出して枠に固定し、55℃で4週間土壌中に埋めてから取り出し、一部に亀裂が生じていたり、あるいは一部が欠けるなどして元の形状を失っているか、あるいは引張破断強度が埋める前の値に比べて50%以下に低下していた場合を微生物分解性が良好とした。試料が分解してない場合は、不良と評価した。
【0036】
比較例1:
主成分が、ブタンジオール成分50モル%、テレフタル酸成分22.2モル%、アジピン酸成分27.8モル%からなる生分解性コポリエステル(BASF社製Ecoflex(商品名))を200℃でプレス成形して厚さ210μmの無配向試料を得た。得られた試料について、主分散ピーク温度、引張破断強度、引張破断伸度および酸素透過度を測定し、耐熱水性および生分解性について評価した。結果を表1に示す。
【0037】
実施例1:
比較例1で得た無配向試料を東洋精機製作所社製二軸延伸装置を用いて80℃で予熱時間3分、引張速度1.2m/分の条件で、縦4倍、横4倍に同時二軸延伸した。5分間保持した後、フィルム表面を空冷し、延伸フィルムを得た。そのフィルムについて、比較例1と同様の各物性および結晶配向度を測定評価し、また主分散ピーク温度については比較例1の無配向試料との差をも算出した。結果を表1に示す。
【0038】
実施例2:
比較例1で得た無配向試料を東洋精機製作所社製二軸延伸装置を用いて85℃で予熱時間3分、引張速度1.2m/分の条件で、縦4倍、横4倍に同時二軸延伸した。5分間保持した後、フィルム表面を空冷し、延伸フィルムを得た。そのフィルムについて、実施例1と同様に各物性を測定評価し、その結果を表1に示す。
【0039】
実施例3:
比較例1で得た無配向試料を東洋精機製作所社製二軸延伸装置を用いて90℃で予熱時間3分、引張速度1.2m/分の条件で、縦4倍、横4倍に同時二軸延伸した。5分間保持した後、フィルム表面を空冷し、延伸フィルムを得た。そのフィルムについて、実施例1と同様に各物性を測定評価し、その結果を表1に示す。
【0040】
実施例4:
比較例1で得た無配向試料を東洋精機製作所社製二軸延伸装置を用いて90℃で予熱時間3分、引張速度1.2m/分の条件で、縦3倍、横3倍に同時二軸延伸した。5分間保持した後、フィルム表面を空冷し、延伸フィルムを得た。そのフィルムについて、実施例1と同様に各物性を測定評価し、その結果を表1に示す。
【0041】
実施例5:
比較例1で得た無配向試料を東洋精機製作所社製二軸延伸装置を用いて100℃で予熱時間3分、引張速度1.2m/分の条件で、縦4倍、横4倍に同時二軸延伸した。5分間保持した後、フィルム表面を空冷し、延伸フィルムを得た。そのフィルムについて、実施例1と同様に各物性を測定評価し、その結果を表1に示す。
【0042】
実施例6:
エチレン含量が44モル%のエチレン・ビニルアルコール共重合体((株)クラレ社製エバールEF−E,厚さ15μm)を中間層として、実施例3で得られた厚さ40μmのフィルムを常法のドライラミネートによって両面に積層した。このフィルムの酸素透過度は30cm3/m2・day・atm(30℃、80%RH)であった。
【0043】
【表1】
Figure 0004601025
【0044】
表1より明らかなように、二軸延伸して得られた本発明のコポリエステル延伸フィルムは無配向物と比較して効果的に強度が改良され、また酸素ガスバリア性も向上していることがわかる。
【0045】
【発明の効果】
本発明のコポリエステル延伸フィルムは、生分解性を有し、機械的強度や耐熱水性に優れている。また、延伸フィルム用コポリエステルは溶融加工性に優れるので生産が容易に行え、延伸配向性も良好なため既存の設備を用いて行うことができ、経済性にも優れる。
本発明の延伸フィルムは、食品などの各種物品の包装材料やラップフィルム等として好適である。

Claims (6)

  1. ブタンジオール成分45〜55モル%、テレフタル酸成分20〜30モル%、アジピン酸成分20〜30モル%、スルホネート化合物成分0〜5モル%を主成分として含むコポリエステルをその結晶融解温度から結晶融解温度−50℃の範囲の温度で二軸延伸したコポリエステルの延伸フィルムであって、引張破断強度が35MPa以上、引張破断伸度が180%以上、動的粘弾性測定における主分散のピーク温度と無配向物のピーク温度の差が10℃以下、結晶配向度が60%以上であることを特徴とするコポリエステル延伸フィルム。
  2. 耐熱水性が80℃以上である請求項1に記載のコポリエステル延伸フィルム。
  3. 厚さ40μmのフィルムの30℃、80%RHにおける酸素透過度が1800cm3/m2・day・atm以下である請求項1に記載のコポリエステル延伸フィルム。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の延伸フィルムを少なくとも1層有する多層フィルム。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルムからなる包装容器。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載のフィルムからなるラップ用フィルム。
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