JP4600765B2 - 車両前照灯のリフレクタとその製造方法 - Google Patents
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Description
即ち、図7及び図8において、車両前照灯1は、光源としてバルブ2と、上記バルブ2の発光中心が第一の焦点位置F1付近に位置し且つ長軸がバルブ2の光軸Oと一致するように配置されていて、バルブ2からの光を前方に向かって反射させる楕円系の反射面3と、その光源側の焦点位置が上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置され、バルブ2または反射面3からの光を集束させる投影レンズ4と、バルブ2から投影レンズ4への光路中にて上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に配置されたカットオフを形成するためのシャッタ5と、から構成されている。
尚、上記バルブ2は、ソケット2aに装着されることにより、機械的に固定保持されると共に、給電が行なわれるようになっている。
また、上記投影レンズ4は、レンズホルダー4aにより保持されるようになっている。
その際、投影レンズ4に入射する光の一部がシャッタ5の上縁5aによって遮断されることにより、カットオフを形成され、対向車に幻惑光を与えないように対向車線側で照射距離が短くなるような所望の配光特性が得られ、所謂すれ違いビームが形成されるようになっている。
そして、このような樹脂成形品の表面に対する反射膜は、例えば特許文献1による反射膜付き樹脂部品の製造方法によって、形成されるようになっている。
即ち、図9に示すように、リフレクタ6を構成する樹脂成形品の表面に対して、基本的には、アンダーコート6a,実際の反射膜としてのアルミニウム薄膜の蒸着膜6bそしてトップコート6cの順に表面処理されることにより、反射膜が形成されるようになっている。
その際、できるだけ高い生産性や低い製造コストを実現するために、1パッチに樹脂成形品を多数個投入し、樹脂成形品をセットする器具を自公転させることにより、各樹脂成形品の表面に対するアルミニウム蒸着膜6bをできるだけ均一な厚さで形成することにより、反射膜を備えた樹脂成形品を大量生産するようにしている。
さらに、前述した凹状の楕円系の反射面の場合、光学的な構成上、反射面3即ちリフレクタ6の容積が比較的小さく、しかもバルブ2と反射面3との間の距離が、放物面系の反射面の場合と比較して短いことから、高温点灯試験を実施したとき、バルブ2から上に向かって上昇する熱によって、上記バルブ2の直上に位置する反射面の領域A(図10(A)参照)に達する。
このため、上述したバルブ2の直上に位置する反射面の領域Aに熱が溜って、高温になり、場合によっては、図10(B)にて符号Bで示すように、リフレクタを構成する熱可塑性樹脂が溶損してしまうことがある。
従って、リフレクタ全体が熱変形することになり、反射面3が所定の形状を保持し得なくなるため、配光性能及び外観に不具合が発生することになってしまう。
上述した説明においては、反射面がアルミニウム蒸着膜により構成されている場合について説明したが、これに限らず、反射面が、同様にして形成される他の金属蒸着膜により構成されている場合も同様である。
また、高温点灯試験におけるリフレクタの温度上昇が抑制され得ることから、リフレクタを構成する樹脂成形品の材料として、耐熱温度がより低い熱可塑性樹脂を使用することができる。これにより、材料コストがより一層低減され得ることになる。
また、高温点灯試験におけるリフレクタの温度上昇が抑制され得ることから、リフレクタを構成する樹脂成形品の材料として、耐熱温度がより低い熱可塑性樹脂を使用することができる。このため、材料コストがより一層低減され得ることになる。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明による車両前照灯の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、図7に示した車両前照灯1とほぼ同様の構成であって、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11の発光中心が第一の焦点位置F1付近に位置し且つ長軸がバルブ11の光軸Oと一致するように配置されていて、バルブ11からの光を前方に向かって反射させる前方に向かって凹状の楕円系の反射面12と、その光源側の焦点位置が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置され、バルブ11または反射面12からの光を前方に向かって集束させる投影レンズ13と、バルブ11から投影レンズ13への光路中にて上記反射面12の第二の焦点位置F2付近即ち上記投影レンズ13の光源側の焦点位置付近に配置されたカットオフを形成するためのシャッタ14と、から構成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
尚、上記投影レンズ13は、レンズホルダー13aにより保持されるようになっている。
そして、上記シャッタ14は、その上縁14aが、所望の配光パターン、例えばすれ違いビームのカットオフラインを形成するようになっている。
上記反射膜は、図3に示すように、実際には、樹脂成形品の表面に対して、アンダーコート15a,実際の反射膜としてのアルミニウム蒸着膜15bそしてトップコート15cの順に表面処理されることにより、形成されるようになっている。
これに対して、好ましくは、上記マスキングは、アルミニウム蒸着膜15bを成膜するための蒸着装置内にリフレクタ15をセットする際の治具に、リフレクタ15のマスキングに対応する領域に対応する遮蔽板を設けておくことにより、行なわれ得る。この場合、生産性を低下させることなく、而も使用済みのマスキングテープを廃棄する必要なく、低コストでマスキングを行なうことが可能になる。
そして、バルブ11から出射した光Lが、直接にまたは反射面12で反射されて、その第二の焦点位置F2に向かって集束され、さらに投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。その際、光Lは、シャッタ14の上縁14aによりカットオフラインを形成され、例えばすれ違いビームの配光パターンで前方に向かって照射されることになる。
さらに、高温点灯試験の実施時に、バルブ11から上に向かって上昇する熱によって、リフレクタ15の上記バルブ11の直上領域が加熱されたとしても、リフレクタ15の裏面(外側面)にはアルミニウム蒸着膜15bが形成されていないことから、リフレクタ15から上方に向かって外部に熱が発散されることになる。
従って、高温点灯試験の実施時に、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
これにより、高温点灯試験によるリフレクタ15の熱変形や溶損の発生が防止され、配光性能や外観に不具合が発生するようなことはない。
図4は、本発明による車両前照灯の第二の実施形態を示している。
図4において、車両前照灯20は、図1に示した車両前照灯10とほぼ同様の構成であって、リフレクタ15のマスキング領域、即ちアルミニウム蒸着膜15bが形成されない領域15dが、光軸方向に関してバルブ11の先端より後側の上半領域である点でのみ異なる構成になっている。
さらに、高温点灯試験の実施時には、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、同様に温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
図5は、本発明による車両前照灯の第三の実施形態を示している。
図5において、車両前照灯30は、図1に示した車両前照灯10とほぼ同様の構成であって、リフレクタ15のマスキング領域、即ちアルミニウム蒸着膜15bが形成されない領域15eが、バルブ11の上方への投影領域である点でのみ異なる構成になっている。
さらに、高温点灯試験の実施時には、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、同様に温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
即ち、車両前照灯10の場合、従来の車両前照灯と比較して、約30℃の温度低減効果が得られると共に、車両前照灯20,30の場合、それぞれ約20℃,約10℃の温度低減効果が示されている。
従って、車両前照灯30の場合でも、十分な温度低減効果が得られることが分かった。
また、上述した実施形態においては、反射面12は、実質的にリフレクタ15の表面に成膜されたアルミニウム蒸着膜15bにより構成されているが、これに限らず、同様の方法で成膜される他の金属蒸着膜により構成されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態においては、車両前照灯10は、プロジェクタタイプの車両前照灯として構成されており、反射面12は、楕円系の反射面として形成されているが、これに限らず、放物面系の反射面として形成されていてもよい。
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、リフレクタの反射面を構成しない領域には、アルミニウム蒸着膜を形成しないことにより、溶損対策及び熱低減対策を可能にした、車両前照灯,リフレクタ及びその製造方法が提供され得る。
11 バルブ(光源)
11a ソケット
12 反射面
13 投影レンズ
13a レンズホルダー
14 シャッタ
14a 上縁
15 リフレクタ
15a アンダーコート
15b アルミニウム蒸着膜
15c トップコート
Claims (4)
- 前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有しており、光源からの光を上記反射面により前方に向かって反射させて、その前方にて配置された凸状の投影レンズにより、前方に向かって集束させながら照射すると共に、前方の投影レンズの間にて上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタによりカットオフを形成するようにした車両前照灯におけるリフレクタの製造方法であって、
上記リフレクタを構成する樹脂成形品の内側面に反射膜としての金属蒸着膜を形成する際に、上記樹脂成形品における外側面の少なくとも光源直上領域をマスキングして、上記樹脂成形品の内側面及び外側面の表面全体に金属蒸着膜を形成し、その後前記マスキングを除去することを特徴とする、車両前照灯のリフレクタの製造方法。 - 上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光源の上方への投影領域に対して行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
- 上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域に対して行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
- 上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面の全面に亘って行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
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