JPH0765602A

JPH0765602A - 熱可塑性樹脂製リフレクタ

Info

Publication number: JPH0765602A
Application number: JP5235811A
Authority: JP
Inventors: Takaaki Nemoto; 孝明根本; Jiro Hasegawa; 次朗長谷川
Original assignee: GE Plastics Japan Ltd
Current assignee: SABIC Innovative Plastics Japan KK
Priority date: 1993-08-27
Filing date: 1993-08-27
Publication date: 1995-03-10

Abstract

(57)【要約】（修正有）【目的】本発明は、各種運輸機関等で使用される投光
器具に適用可能な熱可塑性樹脂製リフレクタを提供する
ことを目的とする。【構成】リフレクタの点燈時に高温となる天面（２）
の線膨張を抑制する手段（７、８）を設けた、熱可塑性
樹脂製リフレクタを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、照明器具の熱可塑性樹
脂製リフレクタに関し、特に自動車、鉄道車両、船舶等
の各種運輸機関において水平に近い点燈姿勢で使用され
る照明器具に用いられる熱可塑性樹脂製リフレクタに関
する。

【０００２】自動車、鉄道、船舶等の運輸機関に使用さ
れる各種照明器具、例えばヘッドランプのリフレクタに
あっては、主に金属板を板金加工したもの、ガラスや熱
硬化性樹脂の成形体等に反射被膜を蒸着したものが広く
用いられている。これらの素材は特性も安定している
が、加工性が悪い、重量が嵩む、高価等の欠点がある。
例えば、これら素材によるヘッドランプリフレクタを自
動車などに採用する場合には、軽量化やリサイクル化の
要請に反する。

【０００３】これらの素材に代えて、軽量化およびコス
ト低減のために、熱可塑性樹脂を採用する気運がある。
しかし、配光特性についても、板金加工やＢＭＣ製のも
のに比して不利であることは否めず、また、リフレクタ
のデザイン如何によっては対応できないこともあった。

【０００４】また、比重の軽い熱可塑性樹脂では、耐熱
性および剛性が不足し、線膨張係数も不適当である等の
ためリフレクタの要求性能を全て満たすことはできな
い。特に、垂直以外の点燈姿勢が要求される投光照明器
具にリフレクタにあっては、光源からの放射熱に加えて
対流による伝熱が不均一となり、器具上方に熱がこもっ
て、特に天面が極めて高温になることが知られている。

【０００５】例えば、図５に示すような従来技術にかか
る自動車の前照燈のリフレクタ１０にあっては、光束の
到達距離や光度等の基準が規定されていることから、形
状および寸法に比して大出力のランプが光源挿入口１５
に装着される。したがって、光源の発熱も大きく、点燈
時においては下面１３はもとより側面（反射面）１４が
１００℃以下であるにもかかわらず、天面１２の一部の
温度は２００℃以上にも達し、各部の温度差が１００度
以上に及ぶことがある。したがって、リフレクタ１０の
天面１２が大きく線膨張してパラボラ面１４にも変形が
及び、光束が設計通りに照射されず、リフレクタとして
の機能が十分に発揮できない問題があった。

【０００６】特に、自動車等各種運輸機関の前照燈にあ
っては、光軸の狂いは安全運行上重大な影響を及ぼすた
め、器具完成後必要に応じて照射テスト（ミスエイミン
グテスト：準拠規格・ＥＣレギュレーション２０）が行
なわれる。例えば、ヨーロッパ仕様の車両にあっては、
点燈直後と１時間経過後とで照射光投影像に所定範囲以
上の変位が生じてはならないことになっている。かかる
条件に対して、従来の熱可塑性樹脂製リフレクタでは満
足な結果は得られていなかった。

【０００７】これらの欠点を解消するために、同一出願
人にかかる特許出願、特開平５−１２８９０３号公報
（熱可塑性樹脂製リフレクタ）や特開平５−１２８９０
４号公報（熱可塑性樹脂製リフレクタ）が提案されてい
る。

【０００８】前者は、点燈時に高温となるリフレクタ天
面に開口を設けることを開示しているが、この開口部か
ら光線の漏洩が生ずる欠点がある。

【０００９】また、後者は高温となる天面に線膨張係数
の小さい素材をインサートすることを開示しているが、
異なる素材、例えばアルミ合金板を埋設していることか
ら、リサイクル時に問題となり、かつ高価となる欠点が
あった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
かかる熱可塑性樹脂製リフレクタにおいて照射光軸が不
安定となる欠点の解決された熱可塑性樹脂製リフレクタ
を提供することを課題とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明の課題は、運輸機
関に使用される照明器具の熱可塑性樹脂製のリフレクタ
において、点燈時に高温となる該リフレクタの天面の線
膨張を抑制する手段を具備する、熱可塑性樹脂製リフレ
クタによって解決される。

【００１２】前記天面の線膨張を抑制する手段は、天面
とパラボラ面との結合部において、天面が外方に張り出
している補強リブとすることができる。

【００１３】さらに、前記天面の線膨張を抑制する手段
は、天面の上方にあって、該天面と直接接触しない部分
を有しかつ前方と後方とを連結する少なくとも一つの上
部補強部材とすることができ、単独でまたは前記補強リ
ブに加えて配設することができる。

【００１４】

【作用】本発明において上述のように形成された補強リ
ブによって、リフレクタ天面が強烈な発光に伴う高熱に
より膨張し、これに伴って天面に近いパラボラ面が変形
しようとする現象を緩和するものである。この補強リブ
は、天面板の膨張に伴う変形の影響が反射面であるパラ
ボラ面を変形せしめて、光軸が変化する現象を防止しよ
うとするものである。

【００１５】さらに天面と直接接触しない部分を有し、
天面の上方前部と後端部とを結合する上部補強部材を少
なくとも一つ設けることにより、天面の光軸に沿った方
向の線膨張を緩和することができる。その結果、高熱に
よる天面の光軸に沿った方向の変形によるパラボラ面の
変形を防止して反射部の変形、したがって光軸の変化を
防止することができる。

【００１６】

【実施例１】以下、実施例を示す添付図を参照しつつ本
発明を開示する。図１は、本発明にかかるリフレクタの
実施例の構造を示す斜視図、図２はそのII-II側断面図
である。本実施例によるリフレクタ１は、自動車の前照
灯を対象とするもので、天面２および底面３が平面、左
右がパラボラ面４をなす平型構造のものである。なお、
ハロゲンランプその他の光源ランプは、光源挿入口５に
装着される。このような構造のリフレクタは、天面２の
部分６が光源（図示していない）に接近しているため高
温に曝され、大きな熱膨張を生起することになる。

【００１７】図１の実施例は、リフレクタの天面２の後
ろ側全体に、天面と同一平面を延長した補強リブ７を設
けたものである。肉厚は天面２の肉厚の３分の１以上か
ら、２倍までが都合がよい。また、その補強リブ７の幅
は１mm以上１００mm以下程度とした。なお、この補強リ
ブ７は天面２の後ろ側の一部に設けることも可能であ
る。

【００１８】このように形成された補強リブ７は光源に
よって直接加熱されることがなく、また、リフレクタ１
本体より外側に突出しているので外部からの冷却効果を
受け、天面２よりも低温に維持される。したがって線膨
張が小さい。そのため、この補強リブ７によって取り囲
まれた天面２の熱膨張を抑制し、天面２の変形による影
響がパラボラ面４に及ぶ現象を低減することができる。

【００１９】補強リブ７は、成形用金型に新たに設けた
補強リブ７用の溝により一体成形することができ、成形
後二次加工を行う必要がなく、製造工程の増加すること
もない。

【００２０】適用される素材としては、ポリカーボネー
ト樹脂（ＰＣ）、ポリフェニレンサルファイド樹脂（Ｐ
ＰＳ）、ポリエーテルイミド樹脂（ＰＥＩ）等の熱可塑
性樹脂、これら同士あるいはこれらと他素材とのブレン
ド等とすることができる。

【００２１】図３は第２の実施例を示すもので、リフレ
クタ１の天面２から前記第１の実施例の補強リブ７にか
けて、前後方向に１本以上の上部補強部材８を設けたも
のである。

【００２２】その上部補強部材８にはリフレクタ１本体
の天面２の高温部分との間にスリット９が設けられてお
り、高温部分と直接接触しない。

【００２３】その上部補強部材８はスリット９が入って
いることによってリフレクタ１本体の高温部分からの熱
伝達が制限され、温度上昇が少なくなる。したがって、
上部補強部材８の相対的線膨張は少なくなり、リフレク
タ１本体の熱膨張による変形に起因する光軸の変動を抑
制することができる。

【００２４】またスリット９を設ける事により、最も線
膨張の大きい天面２の補強効果が期待され、反射光軸の
安定化に最も重要なパラボラ面４の変形を抑制すること
ができる。かかる観点からは、上部補強部材８は、複数
本、例えば図４に示すように３本またはそれ以上設ける
ことができる。

【００２５】補強リブや上部補強部材の厚みは成形品肉
厚の３分の１から２倍までとすることができるが、その
厚みは一定である必要はない。天面部分とパラボラ面部
分部分ならびに補強リブと上部補強部材とは、採用素材
の特性、使用ランプ出力の大小、リフレクタの形状等を
考慮し必要に応じて寸法を変更することができる。

【００２６】なお、これらの補強部材構造の成形手段と
しては、前述のように成形用金型に対して予め対応する
型を形成しておくことができるが、成形後二次加工によ
ることもできる。

【００２７】リフレクタ１の内面には、化学的または物
理的手段による被膜形成手段、蒸着、その他の周知の手
段により反射膜が形成される。

【００２８】第１の実施例における補強リブ７の効果を
確認するために、図５に示したＰＥＩ製で補強リブ無し
の従来のリフレクタ１０と、図１に示す補強リブ７付き
のリフレクタ１とにそれぞれ反射被膜を成形した後、所
定位置に光源を取付け点灯させた。

【００２９】リフレクタの前方７ｍのスクリーン上に照
射し、点灯３分後及び１時間後における光のカット面の
角度変位の確認を行った。その結果、補強リブが取り付
けられていない従来タイプのリフレクタでは、０．０６
度の変位が生じたのに対し、補強リブ付きのリフレクタ
では０．０３５度で、明かな効果のあることが確認され
た。

【００３０】他の実施例の効果を確認する為に、実施例
１の形状を更に上部補強部材８付きリフレクタ（図３）
に反射被膜を形成した後、所定位置に光源を取り付け点
灯させた。

【００３１】このリフレクタの前方７ｍのスクリーン上
に照射し、点灯３分後及び１時間後における光のカット
面の角度変位の確認を行った。スリットタイプの補強リ
ブ付きのものは０．０２度であり、更に効果のあること
が確認された。

【００３２】

【発明の効果】本発明によれば、大電力の光源を用いる
照明器具のリフレクタとして、熱可塑性樹脂製のリフレ
クタを実現することができる。このようなリフレクタ
は、軽量かつ廉価で、成形加工が容易である上、リサイ
クルも可能である。したがって、金属、熱硬化性樹脂や
比重の大きな異種熱可塑性樹脂等を使用することなく広
い用途に適する照明器具用リフレクタを得ることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる熱可塑性樹脂製リフレクタの第
１の実施例の斜視図である。

【図２】図１に示した熱可塑性樹脂製リフレクタのII-I
I断面図である。

【図３】本発明にかかる熱可塑性樹脂製リフレクタの第
２の実施例の斜視図である。

【図４】本発明にかかる熱可塑性樹脂製リフレクタの第
３の実施例の斜視図である。

【図５】従来技術にかかる熱可塑性樹脂製リフレクタを
示す斜視図である。

【符号の説明】

１リフレクタ２天面３底面４パラボラ面５光源挿入口６高温部７補強リブ８上部補強部材９スリット

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】運輸機関に使用される照明器具の熱可
塑性樹脂製のリフレクタにおいて、点燈時に高温となる該リフレクタの天面（２）の線膨張
を抑制する手段を具備することを特徴とする熱可塑性樹
脂製リフレクタ。
【請求項２】前記天面（２）の線膨張を抑制する手
段が、天面（２）とパラボラ面（４）との結合部におい
て、天面（２）が外方に張り出している補強リブ（７）
である、請求項１に記載の熱可塑性樹脂製リフレクタ。
【請求項３】前記天面（２）の線膨張を抑制する手
段が、天面（２）の上方にあって、該天面（２）と直接
接触しない部分を有しかつ前方と後方とを連結する少な
くとも一つの上部補強部材（８）である、請求項１また
は２のいずれかに記載の熱可塑性樹脂製リフレクタ。