JP4599674B2 - 液晶パネルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶パネルの製造方法に関する。より詳しくは、空のパネルに液晶を注入する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶パネルに対する液晶材料の充填封入は、例えば真空注入法により行なわれていた。この方式は例えば特公昭58−49853号公報に開示されている。図5を参照して従来の真空注入方式を簡潔に説明する。液晶パネル101と液晶を収容した液晶溜102は真空チャンバ103の中に置かれる。まずバルブ104を開き真空チャンバ103の内部を真空ポンプ105により排気する。次に液晶パネル101の注入孔105を液晶溜に収容された液晶材料106に接触させ、バルブ104を大気側に開いてチャンバ103内に空気を導入する。液晶材料106は大気圧に押されて注入孔105を介して液晶パネル101の内部に注入される。この他、液晶パネルを加圧チャンバの中に入れ、加圧することにより液晶パネルのギャップを保ちながら、液晶材料をパネル内に圧入する方式もある。あるいは、チャンバ内で液晶パネルに対する加圧力を変化させて、セルギャップの拡大及び縮小を繰り返しながら、液晶を注入する方式も知られており、特開平11−174476号公報に開示がある。なお、本明細書ではパネルをセルと呼ぶ場合もある。
【0003】
図6は、特に大型のパネルに液晶を注入する別の方法を表わしている。パネル132には一対の開口が基板に形成されており、一方は注入側131となり、他方が排気側134となる。注入側131からパネル132の内部に液晶133が導入されると同時に、排気側134においてパネル132の排気が継続的に行なわれている。従って、液晶133はパネル132の内部に徐々に進行する。液晶133がパネル132の内部を完全に満たした状態で排気が完了し、内部には気泡が残されない。尚、実際には注入側131及び排気側134共に、治具を用いて液晶パネル132の開口を液晶供給ライン及び排気ラインに接続している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図5に示した真空注入方式では、数μm程度の液晶セルギャップを保ったまま、液晶を注入する為、効率的に液晶をパネルに導入することが困難である。同様に、加圧チャンバ内でパネル全体を加圧する方式でも、液晶セルギャップを固定した状態で注入を行なう為、効率的に液晶を導入することは難しい。又、液晶パネルに加える圧力を変化させて、セルギャップの拡大及び縮小を繰り返して注入する方式であっても、セルギャップの制御に一様な外圧を用いている為、十分な効率が得られていない。又、図6に示した注入及び排気を同時に行なう方式は、液晶の供給ラインを治具によりパネルへ接続している為、パネルに押圧力が加わり、クランプによりセルギャップが固定されてしまう。液晶を圧入する開口近辺のセルギャップが固定されている為広がらず、効率的な注入が行なえない。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明はパネルに対する液晶の注入を効率化することを目的とする。係る目的を達成する為に以下の手段を講じた。即ち、本発明に係る液晶パネルの製造方法は、少くとも片方に電極が形成された一対の基板を所定の間隙で接合して空のパネルを作成する接合工程と、あらかじめ該パネルを構成する一方の基板に開口した注入孔に密着する治具を用い該注入孔を介して該間隙に液晶を注入する注入工程と、該パネルに液晶を満たした後該注入孔を封止する封止工程とを含み、前記注入工程は、該注入孔を囲む様に設けた内側シール部及びこれを囲む外側シール部を有する治具を該一方の基板に配置し、該内側シール部と該外側シール部と該一方の基板とによって囲まれた空間を排気することにより該治具を該注入孔に密接させて、液晶の注入を行なうとともに、該注入孔に注入された液晶を該間隙内で流動化させる為に、その進行方向に沿って液晶を押し出す様に脈動する外力を少くとも片方の基板の表面に加える。
【0007】
一般に、液晶パネルの注入工程では、数μm程度の極めて狭いパネル間隙(ギャップ)に液晶を導入する。本発明では、このパネルギャップを効率的に広げながら液晶を圧入することにより、液晶注入の効率化を実現している。第一の方策としては、真空吸着を利用して注入治具を液晶パネルの注入孔にセットすることで、パネルギャップを規制する様な外力を加えない様にしている。これにより、注入孔近傍のパネルギャップが液晶の圧入により自然に拡大し、液晶注入の効率化を図っている。具体的には、吸着パッドを用いることにより、注入孔直下のパネルギャップを規制することなく、真空シール及び液晶注入を行なうことができる。更に、吸着パッドで注入孔直下のギャップを広げる方向に機械的な力を加えることにより、液晶注入時のオリフィス径を拡大し、液晶注入の効率化を図っている。本発明の第二の方策では、パネルの両面を脈動しながら加圧するエアバッグ方式の加圧機構を用いることにより、パネルギャップを均一に保ちながら、効率よく液晶の注入を行なう様にしている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明に係る液晶パネルの製造方法を示す模式図であり、特に注入工程を具体的に表わしている。一般に、液晶パネル4を製造する為に、接合工程と注入工程と封止工程を行なう。接合工程では、少くとも片方に電極が形成された一対の基板1,2を所定の間隙3で接合する。尚、本実施形態では下側の基板2にあらかじめプラズマセル5が組み込まれたパネル4を対象にしている。この場合、基板2は厚さが50μm程度の極薄のガラスからなり、従来の様な図5に示す真空注入方式を採用することはできない。基本的には、図6に示した様な注入/排気同時方式が好適である。但し、本発明は図示のプラズマアドレス型パネルの製造に限られるものではなく、単純な液晶パネルの製造にも適用可能であることは言うまでもない。次に注入工程を行ない、あらかじめ一方の基板1に開口した注入孔6に密着する治具7を用いて、パネル4の間隙3に液晶12を注入する。この後液晶12で完全に満たされたパネル4の注入孔6を樹脂などで封止する。
【0009】
本発明の特徴事項として、注入工程は、注入孔6を囲む様に設けた内側シール部及びこれを囲む外側シール部を有する治具7を一方の基板1に配置して行なう。本実施形態では、内側シール部は治具7本体の底面に配されたオーリング8からなり、外側シール部は同じく治具7本体の側面に装着された吸着パッド9からなる。ここで、オーリング8と吸着パッド9と基板1とによって囲まれた空間15を排気することにより、治具7を注入孔6に密接させて、液晶12の注入を行なう。具体的には、治具7の本体に形成された排気管11を介して空間15を排気する。排気管11は真空ラインに接続されている。一方、治具7の本体中央には液晶導入管10が形成されており、外部の液晶圧送ラインに接続されている。液晶導入管10を介して注入孔6に液晶12を圧送することにより、注入を行なう。この様に、オーリング8の外側で吸着パッド9の内側にあるドーナツ型の空間15を真空にすることにより、オーリング8を基板1に密着させ、液晶注入時のシールを行なう。その前に、液晶12の脱泡を行なう際に必要な真空を保持することもできる。尚、この液晶12の脱泡は、図示しないパネル4の排気側から行なう。吸着パッド9を用いた真空吸着により治具7をパネル4にセットする為、従来の様に間隙3を拘束する様なクランプ力が働かない為、注入孔6直下の間隙3が液晶12に加えられる圧力で拡大し、注入が効率化する。
【0010】
加えて、パネル4の基板1に真空吸着した治具7に上方向の外力を加えて引っ張ることにより、間隙3は強制的に拡大し、液晶12の導入がより円滑化する。更に、間隙3を間にして注入治具7と反対側に配した追加の治具を用いて、両方の治具により間隙3を拡大する方向に外力を加えながら、液晶12の注入を行なうと、より効率的である。本実施形態では、この追加の治具は同じく吸着パッド13からなり、真空ラインを介して内部が真空排気可能である。この様に、治具7の下方に配された追加の吸着パッド13に下方向の外力を加えることにより、注入孔6直下のギャップを広げ、オリフィス径のネックを拡大可能である。
【0011】
図2は、図1に示した注入治具7に加え、更に液晶注入工程を効率化する為に脈動治具23を用いた例を表わしている。図示する様に、処理対象となるパネル4は、ホットプレート21の上に載置される。ホットプレート21は、パネル4を加温して液晶の粘度を下げ流動化を促進する為に有効である。パネル4にはあらかじめ注入孔と排気孔が設けられている。パネル4の左側に形成された注入孔には、吸着パッド9を介して注入治具7がセットされている。吸着パッド9と対向する様に追加の吸着パッド13も装着されている。一対の吸着パッド9,13に互いに反対方向の外力を加えることにより、注入治具7直下のパネル4の間隙寸法を拡大可能である。一方、パネル4の右側に開口した排気孔には排気治具25が装着されており、パネル4の内部を真空排気する。この排気治具25も同じく吸着パッドを用いてパネル4にセッティングされている。矢印で示す様に、注入孔から治具7で圧入された液晶は、排気治具25で吸引されながら図面上右方向に進行する。この時、パネル4の上面には脈動治具23が装着されている。この脈動治具23は、定盤22の下側に装着されており、ラバーチューブ24を備えている。脈動治具23は、治具7で注入孔に圧入された液晶をパネル4の間隙内で流動化させる為(流動加速させる為)矢印で示す進行方向に沿って液晶を押し出す様に脈動する外力を少くとも一方の基板の表面に加える。図では、理解を容易にする為ラバーチューブの個々に▲1▼、▲2▼、▲3▼・・・の様に番号を付けてある。この番号順に従って、各チューブ24に順次圧搾空気を供給して行き、パネル4に水平方向の押し出し力を加える。この押し出し力は液晶を進行方向に沿ってしごく様に作用する為、液晶の流動が加速される。
【0012】
図3を参照して、図2に示した脈動治具23の動作を詳細に説明する。初めに、治具7(図示せず)を用いてピストン圧送又は窒素加圧の方式により、所定量の液晶12をパネル4の間隙3内に導入する。この際、パネル4は大気圧中に置かれている為、注入孔直下の間隙3の寸法は注入された液晶の圧力により拡大される。この為、注入孔付近の幾何学的なオリフィス径が拡大され、効率よく液晶が流入する。所定の量の液晶12をパネル4内に導入した直後は、液晶注入側のセルギャップは拡大している。これを、本発明の脈動治具により、▲1▼〜▲6▼で示す順に各チューブ24を膨張させることにより、液晶12を矢印で示す様に注入側から排気側に押し出し、進行する液晶12の先端部のセルギャップを拡大しながら、効率的に間隙3内に液晶12を導入する。尚、脈動治具は、ラバーチューブ方式に代えて、ゴムローラなどを利用した加圧によっても同様の効果が得られる。すなわち、ゴムローラを液晶の進行方向に沿って移動することにより、その進行方向に沿って液晶を押し出すことが可能である。
【0013】
最後に、図4を参照して本発明に係る液晶注入方式が適用可能な液晶パネルの一例を示す。図示の例はプラズマアドレス液晶パネルであって、液晶セル41とプラズマセル42と両者の間に介在する共通の中間板43とを積層したフラットパネル構造を有する。液晶セル41は上側のガラス基板44を用いて構成されており、その内側主面には透明導電膜からなる複数本の信号電極45列方向に沿ってが互いに平行に形成されている。基板44はスペーサ46を用いて所定の間隙を介し中間板43に接着されている。間隙内には液晶47が充填封入されている。基板44にはあらかじめ注入孔48と排気孔49が設けられており、本発明に係る注入治具を用いて液晶47を封入充填する。その後注入孔48及び排気孔49は密封される。
【0014】
一方プラズマセル42は下側のガラス基板50を用いて構成されている。基板50の内側主面上には信号電極45に直交するプラズマ電極51が形成されている。更にプラズマ電極51の上に沿って行方向に隔壁52が形成されている。隔壁52の上端部は中間板43に当接しておりスペーサとしての役割も果たす。基板50はフリットシール材53を用いて中間板43に融着されている。両者の間には気密封止されたプラズマ室54が形成される。このプラズマ室54は隔壁52によって分割されており個々に行走査単位となる放電領域を構成する。この気密なプラズマ室54の内部にはイオン化可能なガスが所定圧力で封入されている。
【0015】
一般にプラズマセル42の組立ては高温プロセスであり、液晶セル41の組立ては低温プロセスである。従ってプラズマセル42を先に形成した後液晶セル41を形成する。この為液晶注入時においてはプラズマセル42の内部に既に所定の圧力のガスが封入されている。この状態で従来の真空注入方式を行なうと負圧によりプラズマセル42が破裂してしまう。これに対して、本発明によれば大気圧下において液晶セルの注入処理が行なえるので問題が生じない。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、液晶パネルに対する液晶注入を効率よく短時間で行なうことが可能である。又、真空チャンバあるいは加圧チャンバを用いた従来方式に比べ、治具の構造が簡略化できる為、装置コストを抑えることが可能である。更に、脈動加圧治具を用いて、液晶注入をより効率化することが可能である。この場合、脈動加圧は比較的低速でゆっくり繰り返してもよく、あるいは高速で繰り返してもよい。液晶がパネルの全体に注入された後、脈動治具でパネル全面を加圧することにより、間隙寸法を一定に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶パネルの製造方法の要部を示す模式図である。
【図2】本発明に係る液晶パネルの製造方法の他の要部を示す模式図である。
【図3】図2に示した液晶パネルの製造方法に用いる脈動治具の動作説明に供する模式図である。
【図4】本発明に従って製造される液晶パネルの一例を示す断面図である。
【図5】従来の液晶注入方式の一例を示す模式図である。
【図6】従来の液晶注入方式の他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・基板、3・・・間隙、4・・・パネル、6・・・注入孔、7・・・治具、8・・・オーリング、9・・・吸着パッド、12・・・液晶、13・・・吸着パッド、21・・・ホットプレート、22・・・定盤、23・・・脈動治具、25・・・排気治具
Claims (2)
- 少くとも片方に電極が形成された一対の基板を所定の間隙で接合して空のパネルを作成する接合工程と、
あらかじめ該パネルを構成する一方の基板に開口した注入孔に密着する治具を用い該注入孔を介して該間隙に液晶を注入する注入工程と、
該パネルに液晶を満たした後該注入孔を封止する封止工程とを含み、
前記注入工程は、
該注入孔を囲む様に設けた内側シール部及びこれを囲む外側シール部を有する治具を該一方の基板に配置し、該内側シール部と該外側シール部と該一方の基板とによって囲まれた空間を排気することにより該治具を該注入孔に密接させて、液晶の注入を行なうとともに、
該注入孔に注入された液晶を該間隙内で流動化させる為に、その進行方向に沿って液晶を押し出す様に脈動する外力を少くとも片方の基板の表面に加える液晶パネルの製造方法であって、
前記注入工程は、該一方の基板に密着した治具に対して該間隙を拡大する方向に外力を加えた状態で、液晶の注入を行なう液晶パネルの製造方法。 - 前記注入工程は、該間隙を間にして該治具と反対側に配した追加の治具を用いて両方の治具により該間隙を拡大する方向に外力を加えながら、液晶の注入を行なう請求項1に記載の液晶パネルの製造方法。
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