JP4599588B2 - 細胞接着性凹構造を持つ成形体から成る細胞ピッキングツールを用いる細胞操作方法 - Google Patents

細胞接着性凹構造を持つ成形体から成る細胞ピッキングツールを用いる細胞操作方法 Download PDF

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Description

本発明は、培養容器内で2次元培養された細胞シートを、細胞分散剤を用いることなく、シート状のまま採取することができる凹構造を持つ成形体を用いる細胞操作方法に関するものであり、更に詳しくは、細胞育成環境にある細胞集合体と接するように、留置されることにより、細胞育成に資する液性成分(細胞育成環境)を取り込むと共に、細胞を集合状態を保ったまま凹構造に採取することができる、細胞採集用成形体(細胞ピッキングツール)を用いる細胞操作方法に関するものである。
本発明は、生体細胞の培養方法及び該方法で作製された培養細胞の利用の技術分野において、従来法のように、例えば、シャーレ上に培養された細胞を、トリプシン等の細胞剥離剤で剥離する行程を必要とすることなく採取することができること、また、細胞を採取した成形体を移動することにより、細胞を任意の細胞育成環境に播種、継代することができること、また、成形体に複合化された細胞を、簡便な操作により2次元もしくは3次元集積物とすることができること、更に、異なる細胞を、それぞれに適した育成環境を保持した成形体ごと1箇所に集積し、培養することができること、等の従来法にない優れた特徴を有する新しい細胞操作方法を提供するものとして有用である。
本発明の細胞ピッキングツールを用いる細胞操作方法は、例えば、医療技術、ゲノムサイエンスに資する細胞研究分野における、新しい細胞操作技術を提供するものであり、例えば、低侵襲な細胞採取・継代、3次元細胞培養、細胞療法、共培養(co−culture)における新しい細胞操作方法等に好適に利用し得るものである。尚、本明細書では、細胞操作方法を細胞ハンドリング操作方法又は細胞ハンドリング方法と記載することがある。
バイオテクノロジーを支える基礎技術として蓄積されてきた細胞培養技術は、例えば、組織工学(Tissue Engineering)、再生医療、及び創薬の分野における細胞操作の強力なツールであり、これらの分野において、培養細胞は、しばしばハンドリング可能なシート状もしくは凝集形態であることが望まれる。今日、最も普遍的に行われている細胞培養様式は、カルチャーディッシュやシャーレ等の培養容器上での2次元培養である。2次元培養系では、細胞は、培養容器底面に接着するため、増殖に関して有利である一方、培養細胞は、培養容器に強く拘束される。従って、2次元培養系で培養された細胞を、継代、運用する際には、トリプシン処理等の細胞剥離剤による処理により細胞を培養容器から剥離する行程が不可欠である。しかしながら、上記方法によると、培養細胞は、細胞剥離剤によるダメージを免れないという問題がある。また、上記方法においては、細胞外マトリックス(ECM)が失われるため、培養細胞を有用な形態(シート状、塊状)で回収すること、及びその細胞分化能を維持すること、が極めて困難であるという問題がある。
上記問題点を解決する従来方法として、例えば、懸濁細胞をマイクロキャリアー表面に付着させて培養する方法(例えば、非特許文献1、特許文献1)がある。しかし、上記方法においては、培養細胞を懸濁液とする行程が不可避であり、かつ細胞は物理的刺激(容器との衝突や、ハンドリング)を免れることがないため、多くの細胞が死に至る。また、マイクロキャリアー表面は凸面であるため、細胞を高密度凝集塊に仕上げることが困難である。他の方法として、例えば、細胞をアルギン酸カルシウム等のゲルでカプセル化して培養する方法も報告されている(例えば、特許文献2)。しかし、上記方法においても、培養細胞を懸濁液とする行程が不可避であり、何段階にも及ぶ複雑なカプセル化作業の際に多くの細胞が死に至る。また、ゲルカプセルが細胞を完全に被覆してしまうため、十分なガス交換ができず、長期培養が困難である。更に、ゲルカプセルの強度不足のため、ハンドリングが困難である。
近年、特に、再生医療分野において、培養細胞を有用な形態(シート状、塊状)で回収する方法が強く求められている。上記要求に答える技術として、細胞を細胞非接着物質上で浮遊培養する方法、もしくは細胞弱接着基材上から自然剥離した細胞を凝集させる方法が報告されている。また、上記方法に関連して、32℃以上の温度で収縮するPoly(N−isopropyl acrylamide)薄層上で細胞を培養し、コンフルエントになったところで加熱し、シート状細胞を回収する方法が報告されている(例えば、非特許文献2)。また、遠心による細胞ペレット化と、ペレット化細胞の浮遊培養を繰り返すことにより、高密度細胞凝集塊を得る方法が研究されている(例えば、非特許文献3)。しかし、上記方法により作製された細胞シート及び細胞凝集塊は、非常にデリケートであり、例えば、ピンセット等によるハンドリングを要求される臨床応用には耐えない。
特開昭59−67965号公報 特開平10−248557号公報 L. Ikonomouet al., BIOTECHNOLOGY PROGRESS 18 (6), p.1345-1355 NOV-DEC 2002 T. Okano et al., J. Biomed. Mater. Res., Vol. 27, p. 1243-1251, 1993 Y. Kato et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 9552, 1988
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を確実に解消することができる新しい細胞操作ツールとその新しい利用形態及びその製品を、多角的な視点から検討し、鋭意研究を積み重ねた結果、培養細胞、細胞凝集塊、生体組織の一部もしくは全部を、所定の細胞育成環境と共に採取できる凹構造を持つ成形体を用いる細胞操作方法を採用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、適宜の培養環境にある培養細胞を、培養環境ごと成形体に移し取り、成形体ごと目的の培養環境に移動することができる細胞採集用成形体(細胞ピッキングツール)を用いる細胞操作方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記細胞ピッキングツールにより、シャーレ上等の培養容器内に培養された細胞を他の培養環境で継代する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、複数の培養細胞を、それぞれの培養環境を保持した細胞ピッキングツールごと、単一目的の培養環境に移動・留置することにより、共培養(co−culture)する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、例えば、細胞育成環境を保持した成形体の凹構造を利用して、適宜の細胞の凝集塊を形成する方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、例えば、成形体が生体に害のない物質構成である場合、成形体の凹構造に形成された細胞凝集塊を、成形体ごと生体用注入・充填剤とする用途を提供することを可能とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、細胞接着性凹構造を持つ成形体から成る細胞ピッキングツールを、細胞培養中の容器の細胞採取siteに留置することにより、細胞を成形体側に接着、増殖させて、受動的細胞採取を行い、細胞ピッキングツールごと運用してハンドリング操作することからなる細胞操作方法であって、(a)成形体が、リン酸カルシウム系セラミックスである、(b)成形体が、アスペクト比(長軸/短軸)1.005〜5の断面を持つ形状であり、平面に静置したときに、気孔、貫通孔、又はディンプルの開口部の一部もしくは全部が下方を向く、)凹構造が、細胞接着性を有する材料で構成されている、()凹構造の開口部面積が、100〜9×10μmである、()凹構造開口部と細胞シートが接したとき、凹構造開口部と細胞シートが接着する、こと特徴付けられる、細胞ピッキングツールを用いて、培養容器内で2次元培養された細胞シートを、細胞分散剤を用いることなく、シート状のまま、細胞の結合状態を保ったまま採取することを特徴とする細胞操作方法、である。本操作方法は、(1)成形体が、5×10−4から1×10mmの、球状、ビーズ状、塊状、板状、多面体状、いがぐり状、樹枝状、及び有突起形状の群から選択された1種、あるいは2種以上の混合成形体であること、()成形体が、気孔、貫通孔、ディンプル、スリット、突起結合部分が形成する節、表面吸着蛋白、親水処理表面、ポリマーコート、及び酸化物被膜の群から選択された1種、あるいは2種以上の構造を持つ成形体であること、を好ましい態様としている
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明において、成形体は、例えば、リン酸カルシウム系セラミックス(例えば、水酸アパタイト、β−TCP等)、及びその単結晶、ポリスチレン、コラーゲンゲル、ゼラチン、アルギン酸ナトリウムゲル、適宜の濃度でリン酸カルシウムを含有した寒天製であることが、細胞採取の観点から好適であるが、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。成形体の凹構造の開口部面積は100〜9×106μm2であることが、細胞シート構造の維持、液性成分保持及び細胞浸潤を両立させる観点から必要とされる。また、成形体は、例えば、5×10-4から1×103 mm3 程度の球状粒子であることが、ハンドリングの観点から好適である。更に、成形体を細胞育成環境平面に静置したときに、成形体の凹構造開口部の一部もしくは全部が、細胞育成平面と接触するように、成形体凹構造開口部面の一部もしくは全部を、成形体短軸とほぼ直行させることが必要とされる
上記成形体を用いた細胞の採取は、培養シャーレ等の細胞採取siteに、成形体を投入することにより行われる。成形体は、細胞採取siteに滅菌状態で投入される。滅菌方法としては、例えば、オートクレーブ滅菌、ガス滅菌、乾熱滅菌、及び紫外線滅菌が例示されるが、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。上記のように、成形体が投入された細胞採取siteは、適宜の環境に設定されたインキュベータ内に留置される。上記作業において、留置期間は適宜でよいが、好適には、6〜240時間であることが望ましい。カルチャーディッシュ(Culture Dish)内の細胞採取siteに投入された成形体は、細胞採取siteの細胞育成に資する液性成分(細胞育成環境)、例えば、血清を含む培地の培地成分、血清を、成形体表面及び内部に取り込み、細胞と接する(図1)。成形体と接した細胞は、成形体表面を足場として接着し、成形体に採取される(図2)(成形体による受動的細胞採取)。このとき凹構造においては、開口部が所定の面積である場合、細胞は集合状態を保ったまま採取される。微小成形体に採取された細胞は、増殖を続け、confluentに達する。特に、微小成形体の凹構造においては、細胞は、凹構造を充填するように増殖し、細胞凝集塊を形成するに至る(図3)。
本発明において、細胞は、好適には、細胞培養中の培養容器内の細胞集合体(細胞採取site)、例えば、2次元培養されたカルチャーディッシュ内の任意の細胞のsub−confluent〜confluent、カルチャーディッシュ内の1×104 個以上の細胞からなる細胞凝集塊、浮遊培養系にて形成された細胞シート表面、から採取される。上記培養容器は、細胞増殖の点で好適である。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。上記細胞採取siteには、いずれも、当該細胞に適した培地が含まれる。培地中には、必要に応じて、例えば、1×106 cells/ml程度の細胞等を懸濁させることがある。本発明では、細胞は、上記から選択された1箇所、あるいは2箇所以上の細胞採取siteから採取される。
成形体内に採取された細胞は、増殖の過程において、成形体外に漏出する(図4)。また、このとき、成形体同士が隣接している場合、成形体は、増殖した細胞により架橋され、任意の構造を保つことができる。すなわち、細胞採集用成形体(細胞ピッキングツール)は、好適には、例えば、細胞接着特性を示し、細胞シート構造の維持と液性成分保持を両立することができる凹構造を有する成形体から構成される物であり、細胞ピッキングツールの凹構造開口部と細胞シートが接したとき、凹構造開口部と細胞シートが接着する機能を発揮する。従って、滅菌した細胞ピッキングツールを、細胞採取siteに留置することにより、細胞採取siteの細胞育成環境、細胞を細胞ピッキングツールに浸潤・増殖させることができる。細胞が浸潤・増殖した細胞ピッキングツールを回収し、他の培養環境に移動することにより、細胞ピッキングツール内に採取された細胞が、移動先にて漏出することにより、任意の細胞を、目的の培養環境に播種、継代することができる。また、細胞ピッキングツールに採取した任意の細胞を、細胞ピッキングツールごと3次元的に組み上げることにより、3次元細胞培養系、及び3次元細胞構造を持つ細胞凝集塊とすることができる。更に、本発明は、例えば、細胞ピッキングツールが生体に害のない物質構成である場合、細胞ピッキングツールの凹構造に形成された細胞凝集塊を、細胞ピッキングツールごと生体用注入・充填剤とすることができる。しかし、本発明は、これらの方法に制限されるものではない。
本発明は、適宜の方法、例えば、増殖に関して有利なカルチャーディッシュを用いた2次元培養方法、で培養された細胞を、成形体に受動的に採取することにより、培養細胞を効率的、かつ有効に操作し、様々な用途に適用するものである。従来方法によれば、培養細胞は、一旦、トリプシン等の細胞剥離剤により、培養容器から剥がされ、細胞懸濁液に調整され、様々な用途に適用される。しかし、細胞剥離剤で回収された培養細胞は、細胞増殖・分化等に寄与する細胞外マトリックス(ECM)をほぼ失っており、例えば、細胞療法、ティッシューエンジニアリング等への適用に適さない。一方、本発明によれば、細胞剥離剤を用いることなく、培養細胞をハンドリング操作可能な成形体に採取することができる。細胞剥離剤を用いない本発明の方法は、細胞に対して低侵襲であり、かつ得られた培養細胞は、有用なECMを豊富に保持している。更に、本発明によれば、成形体に採取された細胞は、成形体中においても増殖を続けるため、長期にわたって生存する高密度細胞凝集塊を作製することができる。
成形体に採取された細胞は、成形体ごと移動することができる。特に、成形体の貫通孔もしくは凹構造に採取された細胞においては、従来法の場合のように、ピンセット等によるハンドリングに伴うダメージがない。また、成形体が細胞育成に必要な液性成分を保持しているため、移動中に細胞が乾燥することがない。従って、本発明によれば、培養細胞を、細胞療法、ティッシューエンジニアリング等に関して有用な形態で回収することができる。また、細胞を採取した成形体を、所望の3次元構造に組み上げることにより、3次元細胞培養系、及び3次元構造培養細胞を組み上げることができる。
本発明では、細胞ピッキングツールを駆使することにより、例えば、培養細胞を採取した成形体を新たなシャーレに移動することにより、細胞の継代、播種をより低侵襲に行うことができる。また、適宜の培養方法で培養された異なる細胞を、細胞ピッキングツールにより採取し、任意の培養環境に移動することにより、共培養(co−culture)を行うことができる。更に、細胞ピッキングツールが生体に害のない物質構成である場合、再生したい組織を構成する細胞を採取した細胞ピッキングツールを、治療対象領域に確実に留置し、組織再生をバックアップすることができる(細胞療法)。例えば、骨細胞もしくは骨に分化する可能性のある細胞を、リン酸カルシウム成形体(水酸アパタイト等)に採取した場合、それらを硬組織再生用注入剤とすることができる。
本発明では、細胞ピッキングツールは、これを滅菌梱包したキットとして製品化可能である。例えば、細胞ピッキングツールを適宜の袋やカプセルの空間にパックして充填物を調製し、これを滅菌、梱包し、適宜の細胞培養環境と組合せて、所定の製品とすることができる。この場合、細胞ピッキングツールを、適宜の細胞培養環境と混合して充填物とすることができる。また、本発明では、上記細胞ピッキングツールに任意の薬剤成分を担持させて充填物とすることができる。これらの任意の薬剤成分として、例えば、抗生物質、抗炎症剤、血小板濃厚血漿、及びBMPなどが例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、適宜の薬剤成分を担持させることができる。
本発明は、細胞育成中の細胞培養容器内の細胞集合体(細胞採取site)に成形体を留置することにより、細胞育成に資する液性成分(細胞育成環境)を成形体に取り込むと共に、細胞を成形体側に接着、増殖させて(受動的細胞採取)、得られた成形体−細胞複合体を用いて、細胞を成形体ごとハンドリング操作することを可能とする新しい細胞採集媒体を用いる細胞操作方法に係るものであり、本発明により、(1)トリプシン等の細胞剥離剤を用いることなく、培養細胞を採取、移動、播種することができる、(2)上記細胞採集媒体による細胞採取は、細胞に対して低侵襲である、(3)上記細胞採集媒体を駆使することにより、細胞継代を簡便に行うことができる、(4)上記細胞採集媒体を駆使することにより、3次元構造を持つ細胞凝集塊を作製することができる、(5)上記細胞採集媒体を駆使することにより、複数の培養細胞を、任意の一カ所に集め、共培養(co−culture)することができる、(6)上記細胞採集媒体に形成される細胞凝集塊は、直感的なハンドリングが可能であり、再生医療に対応する生体用注入・充填剤として有用である、という格別の作用効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
1wt%のアルギン酸ナトリウム水溶液に、粒径50μm以下に調製した水酸アパタイト(HA)粉を20wt%になるように混合し、均一なスラリーとした。上記スラリーを、1wt%の塩化カルシウム水溶液に滴下することにより、直径1.6mmのHAゲル球に成形した。スラリーの滴下をデジタルピペットで行うことにより、アパタイトゲル球の大きさを制御した。HAゲル球が乾燥する前に、φ500μmのステンレスワイヤーにより、HAゲル球の中心を通る貫通孔を穿孔した。この作業によりHAゲル球を貫通孔方向に扁平させることができた。貫通孔形成後のHAゲル球を60℃で12時間乾燥した後、1200℃で1時間焼結した。上記300μmの貫通孔を持つ、長軸1mm、短軸0.9mm(アスペクト比1.11)のHAセラミックスビーズ(細胞ピッキングツール、HAB)が作製された。作成されたHABは、平面上において、貫通孔開口部を底面に向けた状態で安定であった(図5)。
実施例1で作成したHABを、99.5%エタノール中にて10分間超音波洗浄した。ヒト骨肉腫細胞MG63を、6well(直径9.6cm2 /well)のカルチャーディッシュ中で培養し、サブコンフルエント状態とした。上記培養においては、ダルベッコMEM+10%FBS+1%P.S.を培地として使用した。200℃で2時間乾熱滅菌したHABを、20個/wellで上記カルチャーディッシュ中に投入し、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に静置した。上記作業により、カルチャーディッシュ上のMG63を、HABに採取することができた(図6)。HABへのMG63採取量は、静置期間に比例して増加し、24、72、120時間後、それぞれ537、2970、4728cells/HABとなった(図7)。成形体HABへのMG63採取量は、HAB中細胞から抽出したDNA量から求めた。HABに採取されたMG63のViability(生細胞率)は95%以上であった。MG63を静置期間1日で採取したHABを、12wellのカルチャーディッシュに移動し、ダルベッコMEM+10%FBS+1%P.S.を培地としてインキュベータ内に静置した。上記作業により、12wellのカルチャーディッシュにMG63を播種することができた(図8)。このあと、HABの貫通孔に、MG63凝集塊を形成することができた。
実施例2で作製した、MG63を採取したHAB60個を、96wellのカルチャーディッシュに移動し、HABを三次元的に配置し、インキュベータ内に48時間静置した。その結果、隣り合うHAB同士を、増殖したMG63により架橋することができた。
実施例2において、MG63に変えてマウス骨芽細胞株MC3T3−E1を用いた他は、実施例2と同様の方法で、マウス骨芽細胞株MC3T3−E1を採取したHABを作製した。上記MC3T3−E1を採取したHABと、実施例2で作製した、MG63を採取したHABを、それぞれ8個が交互配置になるように12wellのカルチャーディッシュ上に配置した。その結果、MC3T3−E1とMG63が交互配置に播種された共培養系を作製することができた。
本発明は、細胞接着特性を示し、細胞シート構造の維持と液性成分保持を両立することができる凹構造を有する成形体を用いる細胞操作方法に係るものであり、本発明により、シャーレ内等の細胞採取siteに培養された細胞を、細胞剥離剤で剥離することなく、つまり細胞集合状態を保ったまま採取し、細胞を任意の細胞育成環境に播種、継代することができる。本発明の方法は、細胞に対して低侵襲であり、かつ有用なECMを損なうことなく培養細胞を運用することができる。また、本発明によれば、成形体を組み上げることにより、成形体に複合化された細胞を2次元もしくは3次元集積物とすることができる。更に、本発明によれば、例えば、異なる細胞を、それぞれに適した育成環境を保持した成形体ごと1箇所に集積し、培養することができる。本発明の細胞ハンドリングシステムは、低侵襲な細胞採取・継代、3次元細胞培養、細胞療法、及び共培養(co−culture)方法等を実現し得るものとして有用である。本発明により、例えば、組織工学(Tissue Engineering)、再生医療、及び創薬の分野における細胞操作の新しい技術を提供することができる。
成形体が、カルチャーディッシュ(Culture Dish)内の細胞採取siteに投入され、血清を含む培地成分を、その表面及び内部に取り込み、培養細胞と接した状態の模式図を示す。 成形体と接した細胞が、成形体凹構造開口部に接着し、細胞シート構造を保ったまま採取される様子(成形体による受動的細胞採取)の模式図を示す。 成形体に採取された細胞が増殖を続け、confluentに達し、細胞凝集塊を形成するに至った状態の模式図を示す。 成形体内に採取された細胞が、成形体外に漏出する様子の模式図を示す。 HA成形体(細胞ピッキングツール)の光学顕微鏡写真の一例を示す。 HA成形体に採取された、カルチャーディッシュ上のMG63の光学顕微鏡写真の一例を示す。 HA成形体に採取されるMG63数の経時変化を示すグラフを示す。 MG63を採取したHA成形体により播種されたMG63細胞の、光学顕微鏡写真の一例を示す。

Claims (3)

  1. 細胞接着性凹構造を持つ成形体から成る細胞ピッキングツールを、細胞培養中の容器の細胞採取siteに留置することにより、細胞を成形体側に接着、増殖させて、受動的細胞採取を行い、細胞ピッキングツールごと運用してハンドリング操作することからなる細胞操作方法であって、
    (1)成形体が、リン酸カルシウム系セラミックスである、
    (2)成形体が、アスペクト比(長軸/短軸)1.005〜5の断面を持つ形状であり、平面に静置したときに、気孔、貫通孔、又はディンプルの開口部の一部もしくは全部が下方を向く、
    )凹構造が、細胞接着性を有する材料で構成されている、
    )凹構造の開口部面積が、100〜9×10μmである、
    )凹構造開口部と細胞シートが接したとき、凹構造開口部と細胞シートが接着する、
    こと特徴付けられる、細胞ピッキングツールを用いて、培養容器内で2次元培養された細胞シートを、細胞分散剤を用いることなく、シート状のまま、細胞の結合状態を保ったまま採取することを特徴とする細胞操作方法
  2. 成形体が、5×10−4から1×10mmの、球状、ビーズ状、塊状、板状、多面体状、いがぐり状、樹枝状、及び有突起形状の群から選択された1種、あるいは2種以上の混合成形体である、請求項1に記載の細胞操作方法
  3. 成形体が、気孔、貫通孔、ディンプル、スリット、突起結合部分が形成する節、表面吸着蛋白、親水処理表面、ポリマーコート、及び酸化物被膜の群から選択された1種、あるいは2種以上の構造を持つ成形体である、請求項1に記載の細胞操作方法
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