JP4310433B2 - 生体材料の前処理方法及び用途 - Google Patents

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Description

本発明は、生体材料の前処理方法及び用途に関するものであり、更に詳しくは、生体に適用可能に前処理された細胞入り人工骨単位を調製する方法及びその製品に関するものである。
本発明は、再生医療、細胞医療、及び細胞培養に資する新しい材料、新しい生体材料、及び細胞調製技術に係るものであり、更に詳しくは、本発明は、攪拌可能に、微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合することによって、生体に適用可能に前処理された細胞入り人工骨単位(微小成形体・細胞複合体)を調製することを特徴とする、生体材料の前処理技術に係るものである。本発明によれば、生体材料の微小成形体を、所望の治療効果が期待できる注入・充填剤に仕上げることができる、また、懸濁細胞を、生体材料上で、細胞機能発現に関して有用な形態(シート状、凝集塊状)に仕上げることができる、また、微小成形体・細胞複合体を任意の細胞育成環境に移動することにより、細胞を播種、継代することができる、また、微小成形体・細胞複合体を、直感的な操作により集積物とすることにより、3次元培養系を構築することができる、更に、複数の細胞を、それぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地(細胞育成環境)に移動し、共培養(Co−culture)することができる、等の格別の効果が得られる。本発明の生体材料の前処理技術、及び微小成形体・細胞複合体は、細胞医療、再生医療、及び細胞培養に資するツールとして好適に利用し得るものであり、これらの技術分野における新技術・新素材を提供するものとして有用である。
従来の人工骨等の生体材料は、基本的には、いずれも生体側からの細胞活動を享受する、いわば受動的なものであり、生体材料側から能動的に骨再生等の治療効果を発揮するものではない。例えば、骨形成の期待できない骨欠損モデルに人工骨を埋入しても骨を再生することはない。あくまで人工骨が有効なのは、目的部位に骨形成に関わる細胞活動が期待できる場合のみである。生体材料がより高度な再生医療に対応してゆくためには、生体材料が能動的な治療効果を発揮するような工夫が必要不可欠であると考えられる。
バイオテクノロジーを支える基礎技術として蓄積されてきた細胞培養技術は、組織工学(Tissue Engineering)、再生医療、及び創薬の分野における強力なツールである。今日、最も普遍的に行われている細胞培養の様式は、カルチャーディッシュやシャーレ等の培養容器上での2次元培養である。2次元培養系で培養された細胞は、トリプシン処理等により培養容器から剥離された後に、培地等に懸濁されて細胞懸濁液として適用される。上記細胞懸濁液は、細胞療法用の注入剤として期待・検討されている。例えば、骨欠損モデルに骨形成に関わる細胞を注入し、治療効果を期待する試みがある。しかし、細胞懸濁液中の細胞は、目的部位に注入された後に拡散してしまい、細胞を有用な形態で特定部位に留置しておくことがきわめて困難であるため、治療効果は低い。2次元培養系に置いては、効果的に懸濁細胞をトラップし、ハンドリング可能で、かつ有用な形態に仕上げる方法の開発が必要である。
上記生体材料と培養細胞を複合化し、「治療効果を発揮する生体材料」及び「ハンドリングできる有用形態培養細胞」とする試みがある。
懸濁細胞を多孔質生体材料と複合化して用いることが、主にTissue Engineering領域で検討されている。しかし、しばしば、既存の多孔質生体材料と懸濁細胞を複合化するためには、特殊な作業(例えば、引圧チャンバー内における、多孔体生体材料と細胞の複合化、細胞懸濁液のオシレーション)が必要である(例えば、特許文献1)。また、既存の多孔質生体材料は、懸濁細胞を有用な形態に仕上げ、安全に保持するための意図的な構造を持たず、表面近傍に細胞を保持するため、複合化された細胞の多くはハンドリングの際に物理的なダメージを受ける。
懸濁細胞のハンドリング方法として、懸濁細胞をマイクロキャリアー表面に付着させ培養する方法がある(例えば、非特許文献1、特許文献2)。しかし、上記方法においては、細胞は物理的刺激(例えば、容器との衝突や、ハンドリング)を免れることがないため、多くの細胞が死に至る。また、上記方法を治療方法として利用するためには、マイクロキャリアーの生体適合性に関して考慮する必要がある。更に、マイクロキャリアー表面は凸面であるため、細胞を高密度凝集塊に仕上げることが困難である。
細胞をアルギン酸カルシウム等のゲルでカプセル化して培養する方法も報告されている(例えば、特許文献3)。しかし、上記方法においても、何段階にも及ぶ複雑なカプセル化作業の際に多くの細胞が死に至る。また、ゲルカプセルが細胞を完全に被覆してしまうため、細胞生存に必要なガス交換が阻害される。更に、ゲルカプセルの強度不足のため、ハンドリングが困難である。
細胞非接着物質上で浮遊培養した細胞、もしくは細胞弱接着基材上から自然剥離した細胞を凝集させる方法が報告されている。また、上記方法に関連して、32℃以上の温度で収縮するPoly(N−isopropyl acrylamide)薄層上で細胞を培養し、コンフルエントになったところで加熱し、シート状細胞を回収する方法が注目されている(例えば、非特許文献2)。また、遠心による細胞ペレット化と、ペレット化細胞の浮遊培養を繰り返すことにより、高密度細胞凝集塊を得る方法が研究されている(例えば、非特許文献3)。しかし、上記方法により作製された細胞シート及び細胞凝集塊は、非常にデリケートであり、ピンセット等によるハンドリングを要求される臨床応用に耐えない。
特開2002−209573号公報 特開昭59−67965号公報 特開平10−248557号公報 Microcarrier culture of lepidopteran cell lines: Implications for growth andrecombinant protein production, Ikonomou L, Drugmand JC, Bastin G, SchneiderYJ, Agathos SN, BIOTECHNOLOGY PROGRESS 18 (6):1345-1355 NOV-DEC 2002 T. Okano etal., J. Biomed. Mater. Res., Vol. 27, p. 1243-1251,1993 Y. Kato etal., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 85, 9552, 1988
このような状況の中で、本発明者は、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術における諸問題を確実に解消することができる新しい生体材料・細胞調製技術とその新しい利用形態及びその製品を、多角的な視点から検討し、鋭意研究を積み重ねた結果、攪拌可能な微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合することによって、生体に適用可能に前処理された細胞入り人工骨単位(微小成形体・細胞複合体)を調製し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、生体材料微小成形体を、所望の治療効果が期待できる注入・充填剤に仕上げることを目的とするものである。
また、本発明は、懸濁細胞を、生体材料上で、細胞機能発現に関して有用な形態(シート状、凝集塊状)に仕上げる方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、微小成形体・細胞複合体を任意の細胞育成環境に移動することにより、細胞を播種、継代する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、微小成形体・細胞複合体を、簡便な操作により集積物とすることにより、3次元培養系を構築する方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、複数の細胞を、それぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地に移動することによる、共培養(Co−culture)方法を提供することを目的とするものである。
更に、本発明は、生体材料の前処理技術、細胞医療、再生医療、細胞培養に好適に利用し得るツールを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決する本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)毛管凝集現象による吸水機能を発揮する直径数百ミクロンで細胞凝集塊を形成することができる貫通孔又は凹構造を持つ複数のアパタイト(HA)微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合して、該懸濁液中の細胞をトラップした微小成形体を、培養環境ないし細胞分化環境で静置して、トラップした細胞の一部又は全部が、微小成形体内に細胞凝集塊を形成するまで培養し、細胞凝集塊を形成した微小成形体・細胞複合体とした後、該複合体を集積、培養して3次元細胞集合体とすることによって、生体に適用可能に前処理された細胞入り人工骨単位を調製する方法であって、
)上記微小成形体が、微小成形体の最長寸法の70%以下で、かつ直径500μmの貫通孔を設けたアパタイトゲル球を焼結して得られる程度の貫通孔及び/又は凹構造を有する多孔体であり
2)上記微小成形体の体積が、5×10−4から1×10mm の範囲内であ
3)細胞濃度が、1×10 〜1×10 cells/mlであり、
)上記細胞凝集塊が、複数の細胞が細胞外基質を介して結合した状態のシート状又は塊状の細胞集団であ
)微小成形体・細胞複合体を、3次元的集積物とし、3次元細胞集合体とする
とを特徴とする、細胞入り人工骨単位の調製方法。
(2)硬組織形成関連機能を発現しうる細胞が、骨細胞(osteocyte)、骨芽細胞(osteoblast)、軟骨細胞(chondrocyte)、軟骨細胞(chondroblast)、繊維芽細胞(fibroblast)、セメント芽細胞(cementoblast)、エナメル芽細胞(ameloblast)、血管内皮細胞(endothrial cells)、幹細胞(stem cells)、未分化間葉系細胞(mesenchymal tem ells)、ES細胞(embryonic stem cells)の群から選択された1種である、前記(1)記載の方法。
)培養環境が、COインキュベータ内に置かれた、増殖培地もしくは分化培地の入った滅菌容器内である、前記(1)記載の方法。
)微小成形体・細胞複合体を媒体として、細胞播種、継代することを特徴とする、前記(1)記載の方法。
)2種類以上の細胞をそれぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地(細胞育成環境)に移動し、該微小成形体・細胞複合体を交互配置になるように配置して共培養(Co−culture)する、前記(1)記載の方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明においては、細胞懸濁液は、好適には、カルチャーディッシュ内で培養された細胞を、トリプシン等の細胞剥離剤により剥離、懸濁し、遠心分離によりペレット化し、上記細胞ペレットを新鮮培地に再懸濁することにより調製する。細胞懸濁液の細胞濃度は、1×103 〜1×107 cells/mlであることが、微小成形体と細胞の複合化の点で好適である。上記細胞懸濁液は、当該細胞に適した増殖培地で調製しても良いし、分化培地で調製しても良い。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
本発明において、微小成形体は、細胞懸濁液中でピペット攪拌可能な程度に微小、かつシンメトリカルな形状の多孔体であることが望ましい。微小成形体としては、例えば、好適には、直径1ミリ程度の球体で、数十ミクロンのミクロポアと、数百ミクロンの貫通孔又は凹構造を持つものを用いる。上記微小成形体においては、細胞を効果的にトラップすることができる。また、数百ミクロンの貫通孔又は凹構造には、胞細凝集塊を形成することができる。更に、上記の貫通孔内に仕上げられた細胞凝集塊は、ハンドリング等の際にもダメージを受けない。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
微小成形体と細胞の複合化は、上記細胞懸濁液と、微小成形体を混合することにより行われる。滅菌した微小成形体を細胞懸濁液と混合すると、微小成形体のミクロポア及び貫通孔は液性成分を取り込むが、このとき同時に、懸濁細胞が微小成形体にトラップされる。微小成形体の滅菌方法としては、オートクレーブ滅菌、ガス滅菌、乾熱滅菌、紫外線滅菌が例示されるが、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。微小成形体を混合した細胞懸濁液は、必要に応じて、ピペットやボルテックス等により攪拌しても良いし、静置して置いても良い。微小成形体と細胞懸濁液の混合は、1.5〜50mlの遠心管もしくはクライオチューブのような管状容器で行うことが、上記攪拌方法実施の観点から好適である。しかし、これらに制限されるものではなく、これらと実質的に同効のもの、あるいはこれらと類似のものであれば同様に使用することができる。
上記のように微小成形体と混合した細胞懸濁液を、インキュベータ内に、適宜の期間静置することにより、微小成形体・細胞複合体を得ることができる。この際、混合を行った容器及び培地のままインキュベートを行っても良いし、適宜のタイミングに、微小生体・細胞複合体を新鮮培地の入ったカルチャーディッシュ等に移しても良い。例えば、容量15mlの遠心管内で、微小成形体と細胞懸濁溶液をピペット混合した後、そのままインキュベータ内で24時間静置して、新鮮培地の入ったカルチャーディッシュに移動し、適宜の期間インキュベートすることが、微小成形体への細胞定着の観点から好適である(図1)。
上記のように仕上げられた、微小成形体・細胞複合体中の細胞は増殖を続け、微小成形体上でconfluentに達する。特に、微小成形体の貫通孔もしくは凹構造においては、細胞は上記構造を充填するように増殖し、細胞凝集塊を形成するに至る。
すなわち、本発明による微小成形体・細胞複合化方法は、好適には、例えば、滅菌した微小成形体を、細胞懸濁液と混合する行程、懸濁細胞を微小成形体に取り込ませる行程、細胞が微小成形体上で増殖する行程、により実施される。これにより、懸濁細胞は、微小成形体上で有用な形態(シート状、凝集塊状)となり、かつハンドリング可能な状態に仕上げられる。しかし、本発明は、これらの方法に制限されるものではない。
本発明は、適宜の生体材料微小成形体を、所望の治療効果が期待できる注入・充填剤に仕上げる方法を提供するものである。また、本発明は、適宜の方法、例えば、増殖に関して有利なカルチャーディッシュを用いた2次元培養方法、で培養された細胞を、効率的、かつ有効に運用する方法を提供するものである。従来方法によれば、培養細胞は、細胞懸濁液に調整され、様々な用途に適用される。しかし、細胞剥離剤で回収された培養細胞は、特定部位に有効な細胞濃度で留置することができないだけでなく、細胞増殖・分化等に寄与する細胞外マトリックス(ECM)をほぼ失っており、例えば、細胞療法、ティッシューエンジニアリング等への適用に適さない。一方、本発明によれば、細胞懸濁液中の細胞を微小成形体に採取することができ、かつCPC微小成形体上で細胞を有用な形態に仕上げることができる。懸濁細胞を、生体材料微小成形体上で、細胞機能発現に関して有用な形態(シート状、凝集塊状)に仕上げることができる。
微小成形体はハンドリング可能である。従って、微小成形体に採取された細胞は、微小成形体ごと移動することができる。この際、微小成形体の貫通孔もしくは凹構造に採取された細胞は、ピンセット等によるハンドリングに伴うダメージがない。また、微小成形体・細胞複合体を、直感的な操作により集積物とすることにより、三次元培養系を構築することができる。また、複数の細胞を、それぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地に移動し、共培養(Co−culture)系とすることができる。更に、本発明によれば、治療対象組織に関して治療効果を発揮する細胞を、微小成形体・細胞複合体として、治療対象領域に確実に留置することができるため、効果的な細胞医療、再生医療のツールとして好適に利用し得る。例えば、骨形成に骨への分化を促進した未分化間葉系細胞を、アパタイト微小セラミックスと複合化するこのより、硬組織再生用注入剤とすることができる。
本発明の微小生体・細胞複合化方法は、それを簡便に実施可能な組み合わせ、例えば、管状容器に適宜の量の微小成形体を滅菌梱包したキットとして製品化される。この場合、微小成形体を、適宜の細胞培養環境、例えば、培地や分化培地、と混合して充填物とすることができる。また、本発明では、上記微小成形体に任意の薬剤成分を担持させて充填物とすることができる。これらの任意の薬剤成分として、例えば、抗生物質、BMPなどが例示される。しかし、これらに制限されるものではなく、適宜の薬剤成分を担持させることができる。
本発明は、攪拌可能に、微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合することによって、細胞入り人工骨単位(微小成形体・細胞複合体)に調製することを特徴とする、新しい生体材料の前処理方法に係るものであり、本発明により、(1)生体材料の微小成形体を、所望の治療効果が期待できる注入・充填剤に仕上げることができる、(2)懸濁細胞を、生体材料上で、細胞機能発現に関して有用な形態(シート状、凝集塊状)に仕上げることができる、(3)本発明により形成される微小成形体・細胞複合体を、任意の細胞育成環境に移動することにより、細胞を播種、継代を簡便に行うことができる、(4)本発明により形成される微小成形体・細胞複合体を、直感的な操作により集積物とすることにより、3次元培養系を構築することができる、(5)複数の細胞を、それぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地(細胞育成環境)に移動することにより、共培養(co−culture)系を構築することができる、(6)本発明は、生体材料の前処理方法、細胞医療、再生医療、細胞培養に好適に利用し得るツールとして有用である、という格別の作用効果が奏される。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
直径500μmの貫通孔を設けた直径1.8mmのアパタイト(HA)ゲル球を、1200℃で90分焼結することにより、直径300μmの貫通孔を持つ直径1mmのHA微小成形体を得た。焼結後、HA微小成形体は、99.5%エタノール中にて10分間超音波洗浄した。上記の用に製造された、HA微小成形体においては、貫通孔が毛管凝集現象による吸水機能を発揮する。
骨芽細胞様細胞株(MC3T3−E1)を、α−MEMベースの増殖培地を用いてカルチャーディッシュ内で5日間培養し、コンフルエントの状態とした。
上記MC3T3−E1を、トリプシン処理によりカルチャーディッシュから剥離し、新鮮培地に懸濁した後に、遠心分離によりペレット化した。遠心分離後の液体部分を除去後、ペレット化したMC3T3−E1を12mlの新鮮分化培地に再懸濁し、細胞濃度1×106 cells/mlの細胞懸濁液とした。
上記のように調製した細胞懸濁液1mlと、200℃で2時間乾熱滅菌したHA微小成形体30個を、容量1.5mlの遠心チューブに入れ、ピペットにより混合し、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に24時間静置した。上記作業により、細胞懸濁液中のMC3T3−E1を、HA微小成形体に採取することができた。
上記作業後、遠心チューブ内のHA微小成形体をカルチャーディッシュ内に移動し、増殖培地を用いて、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に144時間静置することにより、HA微小成形体貫通孔内に、MC3T3−E1凝集塊を形成することができた(図2)。HA微小成形体上のMC3T3−E1量は経時的に増加しており、細胞複合化作業後168時間の複合化細胞量は、細胞複合化作業後24時間の複合化細胞量の1.6倍であった(図3)。HA微小成形体へのMC3T3−E1複合化量は、HA微小成形体中のDNA量により比較した。
マウス大腿骨から採取した間葉細胞(MSC)を、分化培地を用いてカルチャーディッシュ内で7日間培養し、コンフルエントの状態とした。
上記MSCを、トリプシン処理によりカルチャーディッシュから剥離し、新鮮培地に懸濁した後に、遠心分離によりペレット化した。遠心分離後の液体部分を除去後、ペレット化したMSCを12mlの新鮮分化培地に再懸濁し、細胞濃度1×106 cells/mlの細胞懸濁液とした。
上記のように調製した細胞懸濁液1mlと、実施例1で作製した滅菌済みHA微小成形体30個を、容量1.5mlの遠心チューブに入れ、ピペットにより混合し、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に24時間静置した。上記作業により、細胞懸濁液中のMSCを、HA微小成形体に採取することができた。
上記作業後、遠心チューブ内のHA微小成形体をカルチャーディッシュ内に移動し、分化培地を用いて、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に72時間静置することにより、HA微小成形体表面及び貫通孔内に、MSCレイヤーを形成することができた(図4)。
スプレードライ法により、粒径30μm程度の球状粒子に造粒したHAを、直径500μmの貫通孔を設けた直径1.8mmのHAゲル球に成形し、1200℃で90分焼結した。上記作業により、直径300μmの貫通孔を持つ直径1mmの多孔質HA微小成形体を得た。焼結後、多孔質HA微小成形体は、99.5%エタノール中にて10分間超音波洗浄した。上記のように製造された、多孔質HA微小成形体においては、構成HA粒子間隙、及び貫通孔が毛管凝集現象による吸水機能を発揮する。
上記のように作製した多孔質HA微小成形体を、実施例2と同様のプロトコルにより、MSCと複合化し、37℃、5%CO2 のインキュベータ内に72時間静置することにより、多孔質HA微小成形体表面及び貫通孔内に、MSCレイヤーを形成することができた(図5)。更に、HA球状粒子間隙にMSCをトラップすることができた(図5)。
実施例1で作製したHA・MC3T3−E1複合体と、実施例2で作製したHA・MSC複合体それぞれ8個を交互配置になるようにカルチャーディッシュ上に配置した。その結果、MC3T3−E1とMSCが交互配置に播種された共培養系を作製することができた。
実施例1で作製したHA・MC3T3−E1複合体を、容量1.5mlの遠心チューブ内で24時間培養することによって、HA微小成形体がMC3T3−E1で架橋されたHA・MC3T3−E1複合体凝集塊に仕上げることができた。上記凝集塊は、MC3T3−E1の3次元培養系として効果的に機能した。
本発明は、攪拌可能に、微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合することによって、細胞入り人工骨単位(微小成形体・細胞複合体)に調製することを特徴とする生体材料の前処理方法に係るものであり、本発明により、生体材料の微小成形体を、所望の治療効果が期待できる注入・充填剤に仕上げることができる。また、適宜の方法で培養された細胞を、生体材料と複合化し、細胞機能発現に関して有用な形態(シート状、凝集塊状)に仕上げることができる。また、微小成形体・細胞複合体を任意の細胞育成環境に移動することにより、細胞を播種、継代することができる。また、微小成形体・細胞複合体を、直感的な操作により集積物とすることにより、3次元培養系を構築することができる。更に、本発明によれば、複数の細胞を、それぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地に移動し、共培養(Co−culture)することができる。本発明は、細胞医療、再生医療、細胞培養に資するツールとして好適に利用し得るものであり、これらの技術分野における新技術の提供・新産業の創出を可能とするものとして有用である。
図1は、微小成形体と細胞懸濁溶液混合作業の一例の模式図を示す。 図2は、貫通孔に形成された、細胞凝集塊の光学顕微鏡写真を示す。 図3は、微小成形体に複合化された細胞の増殖曲線を示す。 図4は、HA微小成形体表面及び貫通孔内に形成されたMSCレイヤーの電子顕微鏡写真を示す。A:HA成形体表面、B:HA成形体表面(拡大)、C:貫通孔内部。 図5は、多孔質HA微小成形体表面及び貫通孔内に形成されたMSCレイヤー、及びHA球状粒子間隙にトラップされたMSCの電子顕微鏡写真を示す。A:HA成形体表面、B:HA成形体表面(拡大)、C:貫通孔内部。

Claims (5)

  1. 毛管凝集現象による吸水機能を発揮する直径数百ミクロンで細胞凝集塊を形成することができる貫通孔又は凹構造を持つ複数のアパタイト(HA)微小成形体を、硬組織形成関連機能を発現しうる細胞の懸濁液に混合して、該懸濁液中の細胞をトラップした微小成形体を、培養環境ないし細胞分化環境で静置して、トラップした細胞の一部又は全部が、微小成形体内に細胞凝集塊を形成するまで培養し、細胞凝集塊を形成した微小成形体・細胞複合体とした後、該複合体を集積、培養して3次元細胞集合体とすることによって、生体に適用可能に前処理された細胞入り人工骨単位を調製する方法であって、
    )上記微小成形体が、微小成形体の最長寸法の70%以下で、かつ直径500μmの貫通孔を設けたアパタイトゲル球を焼結して得られる程度の貫通孔及び/又は凹構造を有する多孔体であり
    (2)上記微小成形体の体積が、5×10−4から1×10mm の範囲内であ
    (3)細胞濃度が、1×10 〜1×10 cells/mlであり、
    )上記細胞凝集塊が、複数の細胞が細胞外基質を介して結合した状態のシート状又は塊状の細胞集団であ
    )微小成形体・細胞複合体を、3次元的集積物とし、3次元細胞集合体とする
    とを特徴とする、細胞入り人工骨単位の調製方法。
  2. 硬組織形成関連機能を発現しうる細胞が、骨細胞(osteocyte)、骨芽細胞(osteoblast)、軟骨細胞(chondrocyte)、軟骨細胞(chondroblast)、繊維芽細胞(fibroblast)、セメント芽細胞(cementoblast)、エナメル芽細胞(ameloblast)、血管内皮細胞(endothrial cells)、幹細胞(stem cells)、未分化間葉系細胞(mesenchymal tem ells)、ES細胞(embryonic stem cells)の群から選択された1種である、請求項1記載の方法。
  3. 培養環境が、COインキュベータ内に置かれた、増殖培地もしくは分化培地の入った滅菌容器内である、請求項1記載の方法。
  4. 微小成形体・細胞複合体を媒体として、細胞播種、継代することを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 2種類以上の細胞をそれぞれ微小成形体・細胞複合体とし、同一目的地(細胞育成環境)に移動し、該微小成形体・細胞複合体を交互配置になるように配置して共培養(Co−culture)する、請求項1記載の方法。
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