JP6628416B2 - 細胞培養方法 - Google Patents

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Description

本発明は、胞培養方法に関する。
人工的な環境で培養される哺乳動物細胞は、細胞生理学の実験対象として広く研究用途において用いられるほか、新薬の開発における薬剤の動態評価を行う上でも不可欠である。特に、ヒト培養細胞を用いて細胞ベースアッセイを行うことにより、動物実験や臨床試験の前段階として新規化合物の薬効・毒性・代謝動態などの正確な評価が可能となるため、創薬をより効果的に進めるための基盤技術として様々な細胞培養系が利用されている。
また近年、生体から取り出した細胞を生体外において培養し、病変組織や臓器の代替となる臓器や組織を作製する再生医療の試みが行われつつある。特に、生体構造を模倣した3次元的な組織を再構築することで、より機能の高い組織体の構築が可能になると期待されている。
接着性の細胞を培養するための最も一般的な方法は、シャーレやフラスコなどの平面的な培養基材の表面に細胞を接着させ培養する、という方法である。このような平面培養手法は、簡便かつ特殊な培養装置・基材を必要としない、というメリットがあるため、広く用いられている。
しかしながら、細胞は生体内においては、同種あるいは異種の細胞と立体的に相互作用を及ぼしあいつつ、組織特異的な細胞外基質(ECM)によって3次元的に取り囲まれている。つまり、通常のシャーレやフラスコを用いた培養環境は、細胞が本来存在する生体内の環境とは大きく異なるため、細胞の種類によっては、通常の培養手法ではその機能や生存率の維持が困難である場合が多い。また、培養細胞に対する薬剤の効果や毒性を評価する際には、通常の平面培養手法では、生体内で実際に起きる薬剤に対する応答を再現する上で限界がある。
そこで、平面培養と比較して生体の環境をより模倣した細胞培養環境を構築するために、細胞を3次元的に培養する試みが数多くなされている。例として、非特許文献1に示されるような細胞集塊培養法、非特許文献2および特許文献1に示されるようなハイドロゲル材料を用いる培養法、非特許文献3および特許文献2に示されるようなコラーゲンスポンジなどの多孔性の固体材料を用いる培養法などが挙げられる。
特開2013−9598号公報
特開2013−247943号公報
「センサーズ&アクチュエーターズ B ケミカル(Sensors and Actuators B: Chemical)」、2010、147、376−379.
「バイオテクノロジー&バイオエンジニアリング(Biotechnologies and Bioengineering)」、2008、108、1693−1703.
「バイオマテリアルズ(Biomaterials)」、2010、31、5825−5835.
非特許文献1には、細胞非接着性の材料を用いて作製した微小なウェルに対し、細胞を播種すると、細胞同士が高密度に凝集した細胞集塊(スフェロイド)が得られる、という手法が示されている。この手法では、ウェルの大きさを変更することによって、細胞集塊の大きさを任意に制御することが可能である。また、形成される集塊は細胞同士の接着によって形成された3次元的な組織であるため、生体環境を模倣した立体的な細胞−細胞間相互作用を形成することができ、細胞機能を維持・向上させることが可能である。たとえば、肝細胞の機能は、通常の平面培養系において急激に低下してしまうが、細胞集塊培養法は肝細胞の機能を維持する上で非常に効果的であることが知られている。しかしながら、この手法では、生体内で細胞を取り囲む複数種類の細胞外基質成分を、任意に添加することは困難である。また、細胞集塊の形成は細胞の接着力・凝集力に依存するため、任意の形状を有する集塊を作製することは、通常困難である。さらにまた、複数種の細胞を導入し細胞集塊を形成する場合に、それぞれの細胞の位置を3次元的に制御することはほぼ不可能である。加えて、細胞集塊の大きさが100〜200マイクロメートル以上になると、細胞集塊内部の細胞が壊死してしまう、という問題点がある。
非特許文献2には、ハイドロゲル材料の内部に細胞を包埋することにより、3次元的な環境において細胞を培養する手法が示されている。ハイドロゲルの形状を任意に加工することで、様々な形状を有する生体組織を模倣した組織を作製することが可能である。さらに、作製した3次元的な組織体を単位構造として集積化させることで、細胞を包埋した、より複雑な形状を有するハイドロゲル構造体を構築することも可能である。また、特許文献1には、マイクロ流路構造を用いて断面が複数の領域からなる繊維状のハイドロゲルを作製し、各領域に異なる種類の細胞を包埋して培養する、という手法が示されており、この手法を用いることで複数種の細胞が存在する生体組織構造を形態上精密に模倣することが可能である。そして特に、肝細胞の機能や生存率を長期にわたって維持することができる、という実証例が示されている。しかしながら、これらのハイドロゲルを用いた培養手法には、複数の問題点が存在する。まず、アルギン酸カルシウムゲル、アガロースゲル、あるいはポリエチレングリコールハイドロゲルのような通常生体内に存在しないハイドロゲルの場合には、これらのハイドロゲルに対し細胞は接着性を有さない。そのため、これらのハイドロゲルの内部では、細胞に対する接触阻止が起きやすく細胞の増殖が阻害されてしまい、また、細胞の伸展が抑制されることから細胞−細胞間の相互作用が形成されくい。また、生体内に見られるような細胞の遊走が阻害されてしまう。さらに、これらのハイドロゲルを溶解あるいは除去すると、組織体の形状および強度が著しく低下してしまう。一方、コラーゲンやマトリゲルのような細胞外基質(ECM)成分によって構成されたハイドロゲル材料では、細胞はこれらのハイドロゲルに対して接着性を有するため、包埋された細胞の増殖性は比較的高くなる。しかしながら、ハイドロゲル内部において細胞の遊走は起こりにくく、細胞を生体内と同程度の密度になるまで増殖させることは困難である。そのため、細胞が多少増殖し細胞同士が接着して組織体が形成されたとしても、その物理的強度は生体組織と比較して不十分なものとなってしまう。
非特許文献3には、スポンジ状の固体材料の内部に細胞を播種することで、立体的な環境における細胞培養を可能とする手法が示されている。たとえば、コラーゲンなどの細胞接着性材料をスポンジの材料として利用することで、細胞がその表面に接着でき、増殖性が向上することが示されている。また、スポンジ材料にフィブロネクチンやエラスチンなどの、他の種類の細胞接着性分子を導入することで、細胞の活性を向上させることが可能である。さらに特許文献2には、エレクトロスピニングによって形成した繊維状の細胞足場材料からなるスポンジ状の培養基材を用い、3次元的環境における細胞培養を実現する手法が示されている。エレクトロスピニングを用いることで、径の小さい繊維が高密度に堆積した培養基材を得ることが可能である。これらの手法では、物理的に強度の高い細胞組織体を作製することが可能である。しかしながらこれらの手法では、スポンジ状の固体材料自体の形状を、数十〜数百マイクロメートルの単位で任意に加工することが困難である、という問題点がある。また、その内部に細胞を均一に播種することも困難であり、特に数ミリメートルサイズの材料の場合、その中心部に細胞を導入することが困難である。さらにまた、細胞が生体内と同程度の密度でパッキングされた組織体を形成することも困難である。加えて、複数種の細胞を任意の位置に配置できないほか、材料の形態によっては、細胞−細胞間の相互作用の形成が阻害されてしまう、という問題点がある。加えて、エレクトロスピニングによって得られる繊維状材料は、その繊維同士が絡み合い、堆積し合い、さらには物理的、化学的に架橋されてしまうため、それらの繊維状材料を溶液に懸濁させる、あるいはハイドロゲルの内部に分散させるという操作が非常に困難であるという問題点がある。
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来の、細胞集塊を作製する細胞培養方法、ハイドロゲル材料を利用する培養方法、あるいはスポンジ状の固体材料を用いる培養手法では困難であった、(1)作製する組織体の中に細胞が高密度に包埋され、(2)細胞外基質成分を任意に細胞と接触させることができ、(3)作製する組織体の3次元的形態を任意に制御可能とし、(4)細胞培養用ハイドロゲルを除去した後であっても組織体の形状が維持され、(5)組織体内部における細胞の効率的な増殖と細胞同士の相互作用の形成を可能とし、(6)組織体内部への細胞の均一な播種を可能とする、という条件を全て満たすような3次元的細胞培養を可能とする、繊維状タンパク質材料を得るための手法を提供しようとするものである。
また本発明は、エレクトロスピニングのような既存の手法では不可能な、互いに絡み合わない、独立した、スタンドアロンの繊維状タンパク質材料を、その径を正確に制御しつつ作製する手法を提供しようとするものである。
さらに本発明は、得られた繊維状タンパク質材料を利用して、細胞を培養する新規手法を提供しようとするものである。特に、細胞培養用ハイドロゲル内部に、細胞が接着できる足場として繊維状タンパク質材料を包埋し、同時に包埋した細胞を培養することで、細胞の効率的な増殖性や、細胞同士の相互作用の形成が促進されるほか、繊維状タンパク質材料によって組織体の強度が維持でき、またハイドロゲルを除去しても組織体の形状が維持される、新規細胞培養方法を提供しようとするものである。
上記目的を達成するために、本発明の一観点に係る発明は、アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液を導入するための少なくとも一つの入口A1〜Am(m≧1)と、ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1〜Gn(n≧1)と、入口A1〜Amおよび入口G1〜Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1〜CAmおよびCG1〜CGnと、入口流路CA1〜CAmおよび入口流路CG1〜CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、合流流路Mの下流に存在する出口Oを有する流路構造Xに対し、前記第一の水溶液および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する、というものである。このようにすることによって、流路構造内部における流体操作により、繊維状のハイドロゲルを得ることができ、またさらにその内部においてタンパク質を架橋し、さらにはアルギン酸を除去することで、タンパク質によって構成された、繊維状材料を得ることが可能となる。
また、本発明の他の一観点に係る発明は、アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液、および、アルギン酸ナトリウムが溶解された第二の水溶液を、それぞれ導入するための少なくとも二つの入口A1〜Am(m≧2)と、ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1〜Gn(n≧1)と、入口A1〜Amおよび入口G1〜Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1〜CAmおよびCG1〜CGnと、少なくとも1つの合流点P1〜Po(o≧1)において入口流路CA1〜CAmが同時あるいは段階的に合流し、合流点P1〜Poの下流における少なくとも一つの合流点Q1〜Qp(p≧1)において入口流路CG1〜CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、合流流路Mの下流に存在する出口Oを有する流路構造Xに対し、前記第一の水溶液、前記第二の水溶液、および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を接触させ、流路構造Xの内部において前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する、というものである。このようにすることによって、内部にタンパク質を含む部分と含まない部分を有するハイドロゲルを形成することができ、一度の操作で複数の繊維状タンパク質材料を得ることが可能となるほか、径の小さい繊維状タンパク質材料を安定して得ることが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、流路構造Xは、バッファー水溶液を導入するための少なくとも一つの入口B1〜Bq(q≧1)と、入口B1〜Bqにそれぞれ接続し、同時あるいは段階的に合流流路Mに合流する入口流路CB1〜CBqを有しており、入口B1〜Bqから連続的に前記バッファー水溶液を導入する、という操作を行うことも可能である。このようにすることで、流路の内部において、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液がゲル化する速度を調節することが可能となるため、急激なハイドロゲル形成による流路の閉塞を防止することができ、安定的かつ連続的に、均一な径を有するハイドロゲルを作製することが可能となるほか、多数の繊維状タンパク質材料を同時に作製することも可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、入口流路CB1〜CBqは、合流点P1〜Poと合流点Q1〜Qpの間に存在する少なくとも一つの合流点R1〜Rr(r≧1)において合流流路Mに合流することも可能である。このようにすることで、流路の内部において前記第一の水溶液および前記第二の水溶液と、前記ゲル化剤水溶液が間のバッファー水溶液を挟んで間接的に接触するように、各流体サンプルを流路内に導入することが可能となるため、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液がゲル化する速度をより一層正確に調節することが可能となり、急激なハイドロゲル形成による流路の閉塞をより一層確実に防止することが可能となるほか、径の小さい繊維状タンパク質材料をより安定的に、同時に多数作製することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、流路構造Xは、少なくとも部分的に、微細加工を施した平板状のポリマー基板と、平面状の他のポリマー基板を貼り合せることによって形成されていることが好ましい。このようにすることで、容易に作製可能な、比較的安価な流路構造を利用することができる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、流路構造Xは、その幅・深さ・直径等の値のうち少なくともいずれか一つが、少なくとも部分的に300マイクロメートル以下であることが好ましい。このようにすることで、直径50マイクロメートル程度以下の微小な繊維状タンパク質材料を容易に作製することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液に含まれるアルギン酸ナトリウムの濃度は、それぞれの水溶液100mLあたり0.5g以上3g以下であることが好ましい。このようにすることで、比較的強度の高いハイドロゲルを作製することが可能となるほか、アルギン酸ハイドロゲルを容易に除去できるため、繊維状タンパク質材料を作製する上で操作が簡便になる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記タンパク質とは、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、の少なくともいずれかを含むことが好ましい。このようにすることで、生体外マトリックス由来の、細胞接着性の高い繊維状タンパク質材料を作製することができ、細胞培養において細胞機能や活性を向上させることができる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記第一の水溶液に含まれる前記タンパク質の濃度は、100mLあたり0.1g以上10g以下であることが好ましい。このようにすることで、比較的強度の高いハイドロゲルを形成しつつ、その内部で効果的にタンパク質同士を架橋することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記ハイドロゲルは繊維状であり、また、前記ハイドロゲルの直径は少なくとも部分的に50マイクロメートル以下であることが好ましい。このようにすることで、径の小さい繊維状タンパク質材料が得られるため、細胞培養を行う際に、繊維状タンパク質材料を介して細胞同士が密に接着した強度の高い組織体を形成することができる。また、細胞培養用ハイドロゲルを除去した場合にも、組織体の形状を維持しやすくなる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記ゲル化剤水溶液および/あるいは前記バッファー水溶液は、増粘剤を含むことが好ましい。このようにすることで、比較的粘度の高い第一の水溶液および第二の水溶液と、ゲル化剤水溶液およびバッファー水溶液の粘度を均衡させることができるため、流路内に形成された層流の流れが安定化され、径の均一な繊維状タンパク質材料の作製が可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記増粘剤とは、デキストラン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、あるいはそれらの任意の組み合わせであることが好ましい。このようにすることで、バッファー水溶液およびゲル化剤水溶液の粘度を、効率的に上昇させることができるほか、得られる繊維状タンパク質材料に毒性のある成分が残留する可能性を低下させることができる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記ゲル化剤水溶液は、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(III)の少なくともいずれかを含むことが好ましい。このようにすることで、比較的強度の高いアルギン酸ハイドロゲルを、流路構造の内部において高速に形成することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記第一の水溶液、前記第二の水溶液、前記ゲル化剤水溶液、および前記バッファー水溶液のうち、最小の粘度を有するものと最大の粘度を有するものの粘度の比率が、室温において、1:1〜1:10の範囲にあることが好ましい。このようにすることで、流路構造内部において、繊維状のハイドロゲルを安定的に形成することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、タンニン酸、ゲニピン、N−ヒドロキシコハク酸イミドを有するタンパク質架橋剤、トランスグルタミナーゼ、のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるタンパク質を架橋することが好ましい。このようにすることで、前記タンパク質を効率的に、化学的に架橋することができ、その強度および安定性を向上できるため、細胞培養時に細胞が効率的に繊維状タンパク質材料に接着することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、アルギン酸リアーゼ、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去することが好ましい。このようにすることで、繊維状ハイドロゲルを構成するアルギン酸を選択的かつ効率的に分解することができるため、タンパク質のみからなる繊維状タンパク質材料を効率的に作製することが可能となる。
また、本発明の他の一観点に係る発明は、請求項1乃至16に記載の繊維状タンパク質材料の作製方法を用いて得られた繊維状タンパク質材料に対し、細胞を付着させることを特徴とする細胞培養方法である。このような細胞培養方法においては、生体活性の高いタンパク質材料が細胞の接着する足場となるため、生体外における細胞培養において、細胞の機能、生存率、増殖性、細胞−細胞間相互作用の形成効率、などを向上させる上で非常に好ましい。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、請求項1乃至16に記載の繊維状タンパク質材料を前記細胞とともに細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させ、前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液をゲル化させることで形成した細胞培養用ハイドロゲル内部において前記細胞を培養することが好ましい。このようにすることで、細胞培養用ハイドロゲルの内部において、繊維状タンパク質材料を足場として細胞が増殖し、高密度な機能的組織を作製することが可能となるほか、細胞−細胞間の相互作用も効率的に形成され、組織体の強度も向上させることができる。また、細胞培養用ハイドロゲルを任意の形状に加工することによって、複雑な形状の組織体であっても任意に形成することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記細胞培養用ハイドロゲルは、アルギン酸、架橋ポリエチレングリコール、アガロース、コラーゲン、架橋ゼラチン、フィブリン、のうち少なくともいずれか一つを主成分とした細胞培養用ハイドロゲルであることが好ましい。このようにすることで、高い生体適合性と比較的高い強度を有する細胞培養用ハイドロゲルを利用することが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させた前記繊維状タンパク質材料の体積密度は、体積割合で10%以上であることが好ましい。このようにすることで、前記細胞培養用ハイドロゲルの内部において、細胞が繊維状タンパク質材料に効率的に接着し伸展することが可能となり、細胞の増殖能や機能をより高く維持しやすくなるほか、得られた組織体の強度が向上するため、最終的に細胞培養用ハイドロゲルを除去した場合にもその形状を維持できるようになる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記細胞培養用ハイドロゲルに包埋された前記細胞の濃度は、1mL当たり100万個以上であることが好ましい。このようにすることで、前記細胞培養用ハイドロゲルの内部において細胞が高密度に包埋された組織体を得ることが可能となり、強度の高い生体組織を得ることが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、細胞とは、哺乳動物由来の接着性細胞であることが好ましい。このようにすることで、細胞を用いた薬剤アッセイや再生医療など、医学、医療、医薬品分野において有用な種々の応用を行うことが可能となる。
また、本観点に係る発明において、限定されるわけではないが、前記細胞培養用ハイドロゲルにおいて前記細胞を一定期間培養した後に、前記細胞培養用ハイドロゲルを除去し、さらに前記細胞を培養しても良い。このようにすることによって、最終的に細胞と繊維状タンパク質材料からなる生体組織体を得ることができるため、生体内の環境をより高度に模倣した培養環境を提供でき、細胞の機能や生存率を向上させることが可能となる。
本発明は、以上に述べられたように構成されているため、流路構造を用いることで、複雑な装置や操作を必要とせずに、径が数マイクロメートル〜50マイクロメートル程度の微小な繊維状タンパク質材料を作製することを可能とし、さらにその径を自由に調節することを可能とする。特に、通常は水溶性のタンパク質から繊維状の材料を直接作製することは困難であるが、アルギン酸ハイドロゲルによって形状を安定化した後に内部に含まれるタンパク質を架橋し、その後アルギン酸を除去する、というプロセスを利用することによって、スタンドアロンの繊維状タンパク質材料の作製を可能とする。
また本発明は、以上に述べられたように構成されているため、細胞培養用ハイドロゲルの内部に、繊維状タンパク質材料を細胞と一緒に高密度に包埋することにより、既存の3次元的な細胞培養方法では不可能あるいは困難であった、(1)細胞−細胞間の相互作用を効率的に形成する、(2)細胞培養用ハイドロゲルの内部においても、細胞が高い増殖能と機能を保持する、(3)任意の形状の細胞組織体の作製を可能とする、(4)生体内に近い組成の細胞外マトリックスタンパク質によって構成された繊維状タンパク質材料を利用することで生体内環境を再構成する、(5)組織体の内部まで均一に細胞が播種される、(6)細胞培養用ハイドロゲルを除去した後にも組織体が形状を保持する、(7)既存の細胞培養用ハイドロゲル加工法と組み合わせることで、複数種の細胞を、位置を制御しつつ内部に包埋した組織体が得られる、といった利点を全て実現できる有用な細胞培養方法を提供することが可能となる。
また本発明は、以上に述べられたように構成されているため、生体内環境に類似した細胞培養環境を再現でき、組織体を再構築できるため、細胞を用いた創薬スクリーニング、細胞生物学的研究、肝臓等を模倣したバイオ人工臓器などの生体外臓器の構築、移植を可能とする3次元生体組織の構築、などの種々の応用において有用な細胞培養手法を提供できる。
実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための最も基本的な流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図である。 実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図である。 実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための、流路構造Xが内部に形成されたマイクロ流体デバイスの概略図であり、図3(a)は図3(b)におけるY矢視図であり、図3(b)は図3(a)におけるX1−X2線における断面図である。 実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための、別の形態を有する流路構造Xが内部に形成された第二のマイクロ流体デバイスの概略図であり、図4(a)は図4(b)におけるY矢視図であり、図4(b)は図4(a)におけるX1−X2線における断面図である。 実施形態に係る、流路構造Xを用いて作製された繊維状ハイドロゲルから繊維状タンパク質材料を作製するプロセスを示した概略図である。 実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図であり、図6(a)は、流路構造を立体的に観察した概略図であり、図6(b)は、図6(a)における地点bにおける流路構造Xの断面および内部の溶液の様子を示した概略図であり、図6(c)は、図6(a)における地点cにおける流路構造Xの断面および内部の溶液の様子を示した概略図である。 実施形態に係る、図6に示す流路構造Xと類似した流路構造Xを用いて作製した、組成の異なる複数の領域からなる繊維状ハイドロゲルから、複数の繊維状タンパク質材料を作製するプロセスを示した概略図である。 実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する多層の流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図であり、図8(a)は、流路構造Xを有する多層のマイクロ流体デバイスを立体的に示した模式図であり、図8(b)および図8(c)は、それぞれ、図8(a)に示すマイクロ流体デバイスに類似したマイクロ流体デバイスの実際の一例について、上層および下層に存在する流路構造を示した概略図であり、図8(d)は図8(c)における領域dを拡大した概略図である。 実施形態に係る、流路構造Xを用いて作製された繊維状タンパク質材料を用いた細胞培養方法を示した模式図である。 実施例において、図3に示した流路構造Xを用いた実験において繊維状のハイドロゲルが形成される様子を示した写真であり,図10(a)は図3(a)に示した流路構造における合流点Q1付近の流れの様子を示した顕微鏡写真であり、図10(b)は、合流点Q1から5ミリメートル下流における流路構造内の流れの様子を示した顕微鏡写真であり、図10(c)は、流路内で形成された繊維状ハイドロゲルを、外部のローラーを用いて連続的に回収する様子を示した写真である。 実施例において、図3に示した流路構造Xを用いて作製した、繊維状ハイドロゲルを示す写真であり、図11(a)は、得られた繊維状ハイドロゲルの束を示した写真であり、図11(b)は、図11(a)に示された繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真である。 実施例において、図3に示したマイクロ流路を用いた繊維状ハイドロゲルの作製における、第一の水溶液の流量を変化させた際の繊維状ハイドロゲルの直径の変化を示したグラフである。 実施例において、タンパク質としてゼラチンを用い、マイクロ流路を用いて作製した繊維状ハイドロゲルの、タンパク質の架橋およびアルギン酸除去による変化を示した顕微鏡写真であり、図13(a)は作製された直後の繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図13(b)はタンパク質架橋後の繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図13(c)はアルギン酸の除去後に得られた繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。 実施例において、タンパク質としてゼラチンあるいはエラスチンを用い、約1mmの長さに断片化した繊維状タンパク質材料を示した顕微鏡写真であり、図14(a)はタンパク質としてゼラチンを用いて作製した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真であり、図14(b)はタンパク質としてエラスチンを用いて作製した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。 実施例において、繊維状タンパク質材料を作製するために利用した、4枚のアクリル板を重ね合わせて形成された流路構造Xを有する、マイクロ流体デバイスを示した概略図であり、図15(a)、(b)、(c)は、それぞれ、上から一枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造、二枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造、三枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造を、それぞれ示した概略図であるとともに、図15(e)および図15(f)におけるマイクロ流体デバイスのZ矢視図である。図15(d)は、図15(c)における領域dの拡大図であるとともに、図15(e)および図15(f)におけるマイクロ流体デバイスのZ矢視図である。図15(e)および図15(f)は、それぞれ、マイクロ流体デバイスの、図15(a)〜図15(d)における、X1−X2線、Y1−Y2線における断面図である。 実施例において、図15に示したマイクロ流体デバイスを用いて作製した繊維状ハイドロゲルおよび繊維状タンパク質材料を示した顕微鏡写真であり、図16(a)は繊維状ハイドロゲルの作製直後の顕微鏡写真であり、図16(b)は、図16(a)に示した繊維状ハイドロゲルに含まれるタンパク質を架橋しアルギン酸を除去することで得られた繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。 実施例において、タンパク質としてゼラチンを用い、マイクロ流路構造を用いて作製した、繊維状ハイドロゲルあるいは繊維状タンパク質材料に、線維芽細胞を播種し、培養した際の顕微鏡写真であり、図17(a)は、タンパク質を架橋した後にアルギン酸ハイドロゲルを除去していない状態において線維芽細胞を播種し、24時間培養した繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図17(b)は、タンパク質を架橋しアルギン酸ゲルを除去した状態において線維芽細胞を播種し、24時間培養した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。 実施例において、図3に示す流路構造Xを用いて作製した繊維状タンパク質材料と、NIH−3T3細胞を、アルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、その懸濁液をゲル化させることで得られた細胞培養用ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図18(a)は、細胞培養用ハイドロゲルの作製直後の顕微鏡写真であり、図18(b)は、細胞培養用ハイドロゲルの、細胞培養7日後の顕微鏡写真である。 実施例において、図3に示す流路構造Xを用いて作製した、繊維状タンパク質材料とNIH−3T3細胞をアルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、ゲル化させることで得られた細胞培養用ハイドロゲルを4日間培養した際の、細胞培養用アルギン酸ハイドロゲル除去前後における顕微鏡写真であり、図19(a)は、細胞用ハイドロゲルの、アルギン酸ハイドロゲル除去前の顕微鏡写真であり、図19(b)は、細胞用ハイドロゲルの、アルギン酸ハイドロゲル除去後の顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る繊維状タンパク質材料の作製方法、および細胞培養方法の最良の形態を詳細に説明するものとする。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、以下に示す実施形態、実施例の例示にのみ限定されるものではない。
図1は、繊維状タンパク質材料を作製するための最も基本的な流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図である。
図1に示す流路構造Xは、3つの入口A1、G1、G2と、1つの出口Oと、各入口にそれぞれ接続される入口流路CA1、CG1、CG2と、入口流路CA1、CG1、CG2が合流点Q1において合流する合流流路M、を有しており、平面的に構成されている。
この流路構造Xに対して、入口A1からアルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液を、入口G1およびG2からゲル化剤水溶液を、それぞれ連続的に導入すると、合流流路Mにおいて、第一の水溶液はゲル化剤水溶液と接触することによりゲル化され、生成されたハイドロゲルは出口Oより連続的に回収される。
なお、流路構造X内において、第一の水溶液およびゲル化剤水溶液が層流を保ちながら流れることが好ましく、具体的には、レイノルズ数が1000以下となることが好ましい。しかしながら、アルギン酸ナトリウムを含む水溶液の粘度は一般的に水よりもはるかに高いため、また、流路構造の直径が1mm以下である場合には、層流を保つことは容易である。
図2は、実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図である。
図2に示す流路構造Xは、5つの入口A1、B1、B2、G1、G2と、1つの出口Oと、各入口にそれぞれ接続される入口流路CA1、CB1、CB2、CG1、CG2と、合流点Q1、R1において各入口流路が同時あるいは段階的に合流する合流流路M、を有しており、平面的に構成されている。
図2に示す流路構造Xでは、バッファー水溶液を導入するための入口B1およびB2から連続的にバッファー水溶液を導入することによって、アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質を含む第一の水溶液と、ゲル化剤水溶液の直接的な接触を防ぐことができるため、図1に示した流路構造と比較して、流路の閉塞が起きにくく、安定的な送液が可能になる。
図3は、実施形態に係る、繊維状タンパク質材料を作製するための、流路構造Xが内部に形成されたマイクロ流体デバイスの概略図であり、図3(a)は図3(b)におけるY矢視図であり、図3(b)は図3(a)におけるX1−X2線における断面図である。
図3における流路構造Xは、下面に溝構造を有する上側基板と、平らな下側基板を接着させることで形成されており、流路の深さは一定である。しかし、流路の深さは部分的に異なっていてもよく、さらに、流路構造Xは、径の同じあるいは異なる円管によって少なくとも部分的に接続された構造であっても良い。ただし、流路構造が少なくとも部分的に平面的に構成されているものの方が、流路構造の作製が容易であり、また、精密な流路構造を比較的容易に作製可能であるため、より好ましい。
図3に示す流路構造Xにおいて、入口流路A1、B1、B2、G1,G2および合流流路Mはそれぞれ直線状であるが、これらは必ずしも直線状である必要はなく、途中で基板平面において折れ曲がっていても良く、上下方向に折れ曲がっていても良い。また、流路構造XはX1−X2線を対称軸として線対称であるが、これは必ずしも線対称な形態を有する必要はない。
なお、図3に示されるような平面的に構成された流路構造を作製する場合、マイクロ流体デバイスの材質としては、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、アクリル等の各種ポリマー材料、ガラス、シリコン、セラミクス、ステンレスなどの各種金属、などを用いることができ、また、これらの材料のうちの任意の複数種類の基板を組み合わせて用いることも可能である。ただし、流路を安価に作製するためには、少なくとも部分的にポリマー材料を用いることが好ましい。また、流路構造の加工技術としては、モールディングやエンボッシングといった鋳型を利用した作製技術は、流路構造を容易に作製可能であるという点において好ましいが、その他にも、ウェットエッチング、ドライエッチング、レーザー加工、電子線直接描画、機械加工等の作製技術を用いることも可能である。
また、流路構造Xは、幅、直径、深さのうちいずれかの値が、少なくとも部分的に、500マイクロメートル以下であることが好ましく、300マイクロメートル以下であることがより好ましい。このようなサイズの流路構造を用いることで、直径50マイクロメートル以下のハイドロゲル材料を容易に作製することが可能となる。
図3に示す流路構造Xに対して、入口A1からアルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液を、入口B1およびB2からバッファー水溶液を、入口G1およびG2からゲル化剤水溶液を、それぞれ連続的に導入すると、合流流路Mにおいて、第一の水溶液は、外側からゲル化剤が拡散することによってゲル化され、生成されたハイドロゲルは出口Oより連続的に回収される。
図3に示す流路構造を用いることによって得られるハイドロゲルは、繊維状である。その直径は、ハイドロゲルを処理して最終的に得られる繊維状タンパク質材料を細胞培養に応用する観点から、50マイクロメートル以下であることが好ましく、20マイクロメートル以下であることがより好ましい。
図3に示す流路構造Xに対して、入口B1およびB2からバッファー水溶液を導入することで、合流点Q1において、ゲル化剤水溶液と、アルギン酸ナトリウムとタンパク質を含む第一の水溶液が、直接的に接触することを防ぐことができる。そのため、通常は急激な、アルギン酸ゲル化の速度を低下させることが可能となり、合流点Q1においてアルギン酸ハイドロゲルの生成を防ぐことができ、より安定的な送液を可能とする。
なお、図3に示す流路構造では、第一の水溶液を導入するための入口流路CA1が、中央部に存在するため、第一の水溶液は左右から拡散によって供給されるゲル化剤によって均等にゲル化される。このように、流路構造Xは、第一の水溶液が均等にゲル化されるような入口流路の配置を有していることが好ましい。
なお、第一の水溶液に含まれるアルギン酸ナトリウムは、多価のカチオンの存在下でハイドロゲルを形成するものであれば、どのような分子量のものを用いても良い。しかしながら、ハイドロゲル作製時の操作性の観点から、水100mLに1g溶解し室温に保った場合の粘度が、10cP〜400cPの範囲にあるものが、作製における操作性および得られるゲルの物理的強度の観点から好ましい。
第一の水溶液に含まれるアルギン酸ナトリウムの濃度は、各溶液100mLあたり、0.5g以上3g以下であることが、作製における操作性および得られるゲルの物理的強度の観点から好ましい。
前記第一の水溶液に含まれる前記タンパク質の濃度は、100mLあたり0.1g以上10g以下であることが好ましい。
ゲル化剤水溶液に含まれるゲル化剤としては、アルギン酸をゲル化することのできる多価の金属カチオンであれば、任意のものを用いることが可能である。なお、細胞毒性の観点から、それらのイオンはカルシウム、ストロンチウム、バリウム、マグネシウム、鉄のうちのいずれかの2価あるいは3価のカチオン、あるいはそれらの任意の混合物であることが好ましく、また、これらのイオンは水溶性である必要があるため、ゲル化剤水溶液は、それらの塩化物である塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(III)を溶解した水溶液であることが好ましい。
ゲル化剤水溶液に含まれるゲル化剤の濃度としては、アルギン酸をゲル化することのできる値であれば、どのようなものであっても良い。ただし、流路内において効果的にゲルを形成する必要があることから、多価の金属イオンの塩化物をゲル化剤として用いる際には、それらの濃度は20mM以上であることが好ましく、100mM以上であることがより好ましい。
また、アルギン酸ナトリウムを含む水溶液は比較的高粘度であるため、ゲル化剤水溶液および/あるいはバッファー水溶液には、予め増粘剤が添加されていることが好ましい。なお、増粘剤としては、デキストラン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、あるいはそれらのうちの任意の組み合わせを用いることが可能である。これらの増粘剤を添加することによって、流路内でゲル化を行う際に、層流を安定的に形成することが可能となり、ハイドロゲル材料の作製時の操作性を向上させることが可能である。
前記第一の水溶液に含まれるタンパク質は、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、の少なくともいずれかを含むことが好ましい。これらの細胞外基質成分を主成分とすることで、最終的に細胞が接着、伸展、増殖して組織体の形成が可能となるほか、生体内環境を模倣した組織体の形成が可能になる。
図4は、繊維状タンパク質材料を作製するための、別の形態を有する流路構造Xが内部に形成された第二のマイクロ流体デバイスの概略図であり、図4(a)は図4(b)におけるY矢視図であり、図4(b)は図4(a)におけるX1−X2線における断面図である。
図4に示す流路構造Xを用いることによっても、図3に示す流路構造Xと同様の操作によって繊維状ハイドロゲルの作製が可能となる。なお図4に示すように、入口流路CG1および入口流路CB1がそれぞれ途中で、入口流路の分岐CG1−1およびCG1−2、および入口流路の分岐CB1−1およびCB1−2、に分岐し、下流の合流点R1あるいはQ1において合流流路Mに合流していても良く、このような流路構造を用いることによって、図3に示した流路構造と比較して、入口の数を減少させることが可能となり、操作性が向上する。
図5は、流路構造Xを用いて作製された繊維状ハイドロゲルから繊維状タンパク質材料を作製するプロセスを示した概略図である。
図5に示すように、ハイドロゲル内部においてまずタンパク質を化学的に架橋し、その後、アルギン酸を除去することによって、繊維状ハイドロゲルの形状を維持した繊維状のタンパク質材料を得ることができる。
繊維状ハイドロゲル内部においてタンパク質を架橋する際には、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、タンニン酸、ゲニピン、N−ヒドロキシコハク酸イミドを有するタンパク質架橋剤、トランスグルタミナーゼのいずれかを用いて化学的な架橋を行うことが好ましい。このようにすることによって、水溶性タンパク質を用いた場合であっても、物理的に安定な繊維状タンパク質材料を作製することができる。
また、繊維状ハイドロゲルを構成する主成分であるアルギン酸を除去するためには、様々な手法が考え得るが、アルギン酸リアーゼ、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸のうち少なくともいずれかを用いることによってアルギン酸を除去することが、高い除去効率、除去速度、選択性の観点から好ましい。
図6は、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図であり、図6(a)は、流路構造を立体的に観察した概略図であり、図6(b)は、図6(a)における地点bにおける流路構造Xの断面および内部の溶液の様子を示した概略図であり、図6(c)は、図6(a)における地点cにおける流路構造Xの断面および内部の溶液の様子を示した概略図である。
図6に示した流路構造に対し、アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液、および、アルギン酸ナトリウムが溶解された第二の水溶液をそれぞれ連続的に導入すると、これらの溶液が合流点P1において合流する。流路構造の幅、あるいは深さが数ミリメートル以下の場合には層流が安定的に形成されるため、入口流路のパターンに応じて、流れのパターンを任意に制御することができる。そして、入口B1およびB2からバッファー水溶液を、入口G1およびG2からはゲル化剤水溶液を、それぞれ連続的に導入することで、1本の繊維状ハイドロゲルの内部に、タンパク質を含む複数の領域Iと、タンパク質を含まない領域IIを形成することが可能である。
図7は、図6に示す流路構造Xと類似した流路構造を用いて作製した、組成の異なる複数の領域からなる繊維状ハイドロゲルから、複数の繊維状タンパク質材料を作製するプロセスを示した概略図である。
図7に示すような繊維状ハイドロゲルを利用することによって、複数の繊維状タンパク質材料を同時に作製することができ、その作製効率が大幅に上昇するほか、繊維状ハイドロゲルの物理的強度が、領域IIを有さない単一の繊維状ハイドロゲルと比較して高まるため、回収時や化学処理時における操作性が向上する。
図8は、繊維状タンパク質材料を作製するための別の形態を有する多層の流路構造Xと、その内部における溶液の流れを模式的に示した概略図であり、図8(a)は、流路構造Xを有する多層のマイクロ流体デバイスを立体的に示した模式図であり、図8(b)および図8(c)は、それぞれ、図8(a)に示すマイクロ流体デバイスに類似したマイクロ流体デバイスの実際の一例について、上層および下層に存在する流路構造を示した概略図であり、図8(d)は図8(c)における領域dを拡大した概略図である。
図8(b)〜(d)に示した流路構造は、第一の水溶液、ゲル化剤水溶液、バッファー水溶液を導入するための入口流路CA1、CG1、CB1が、それぞれ16、16、32に分岐し、さらにそれらが合流流路Mに合流する構造をとっている。つまり、CA1は途中CA1−1〜CA1−16に分岐し、CC1はCG1−1〜CG1−16に分岐し、CB1CB1−1〜CB1−32に分岐し、それぞれ異なる合流点において、合流流路Mに合流している。このような流路構造を利用することで、たとえば図3あるいは図4に示した流路構造と比較して、多数の繊維状ハイドロゲルを同時に作製することができる。
図9は、流路構造Xを用いて作製された繊維状タンパク質材料を用いた細胞培養方法を示した模式図である。
図9に示すように、細胞を細胞培養用ハイドロゲル内部において繊維状タンパク質材料とともに培養することによって、細胞は細胞培養用ハイドロゲルの内部にあっても、繊維状タンパク質材料を足場として接着しさらに増殖することができ、細胞−細胞間の相互作用を効率的に形成することができる。さらに、1つの繊維状タンパク質材料に複数の細胞が接着し、さらにその細胞のうち一定割合が複数の繊維状タンパク質材料に同時に接着することによって、内部に網目状に繊維状タンパク質材料が張り巡らされた組織体を得ることができる。このような状態の場合には、細胞培養用ハイドロゲルを除去しても、細胞と繊維状タンパク質材料からなる組織体全体の形状を維持することが可能である。
図9に示すような、細胞と繊維状タンパク質材料を包埋した細胞培養用ハイドロゲルを作製するためには、まず、繊維状タンパク質材料を細胞とともに細胞培養用ハイドロゲルの前駆体水溶液に懸濁させ、その後、その前駆体水溶液をゲル化させることが好ましい。なお、細胞培養用ハイドロゲルの形態制御を行う場合には、前駆体水溶液をある一定の形状を有する容器の内部においてゲル化させる、液滴滴下法によってゲル化させる、あるいは流路構造やノズル構造を使用して粒子状、ファイバー状、シート状などに加工する、といった方式をとることができるほか、得られたバルク状の細胞培養用ハイドロゲルから任意の形状のハイドロゲルを切り出して作製することも可能である。ただし、図9に示すようなハイドロゲルを利用する培養方法でなくとも、細胞と繊維状タンパク質材料を混合して細胞非接着性のウェルの内部において培養することでヘテロスフェロイドを作製する、というような、3次元的な培養手法を必要に応じて採用することも可能である。
また、細胞培養用ハイドロゲルの材料としては、アルギン酸、架橋ポリエチレングリコール、アガロース、コラーゲン、架橋ゼラチン、フィブリンなどの生体適合性を持つポリマーからなるハイドロゲルを利用することが好ましい。これらの中でも、特にアルギン酸は、後に容易に除去できる、ゲル化時に温度変化を必要としない、生体適合性が高い、といった利点があるため、有用である。
さらに、細胞を細胞培養用ハイドロゲルの内部において繊維状タンパク質材料とともに培養し組織体を作製する場合には、繊維状タンパク質材料および細胞の密度が高いほど好都合である。そのため、繊維状タンパク質材料の体積密度は、細胞培養用ハイドロゲルの前駆体水溶液の体積に対して10%以上であることが好ましい。また、細胞培養用ハイドロゲルの内部における細胞の濃度は、1mL当たり100万個以上であるであることが好ましく、1000万個以上であることがより好ましい。
また、細胞培養用ハイドロゲルの内部に包埋する繊維状タンパク質材料の長さは、細胞が十分に接着でき、また得られる組織体の強度がハイドロゲルの除去後にも維持できるものであれば、どのような長さであってもよい。ただし、前駆体溶液に懸濁させるという観点から、また、細胞が十分に接着できるという観点から、その長さは100マイクロメートル以上10ミリメートル以下であることが好ましい。また、細胞培養において、一種類のタンパク質からなる繊維状タンパク質材料を用いるだけではなく、必要に応じて、複数種のタンパク質からなる繊維状タンパク質材料を用いる、あるいは、異なる種類のタンパク質からなる繊維状タンパク質材料を同時に用いる、ということも可能である。このように複数種のタンパク質を同時に用いることによって、より生体環境を模倣した細胞培養が可能となる。
なお、培養対象とする細胞としては接着性のある哺乳動物由来の細胞であれば、どのようなものを用いても構わない。ただし、薬剤の毒性評価を行う、あるいは再生医療において有用な組織体の構築を行う、といった用途に応じて適した細胞を培養することができ、さらに、複数種の細胞を同時に培養することも可能である。用いることのできる細胞の例としては、初代細胞、株化細胞、線維芽細胞、癌細胞、肝実質細胞、筋芽細胞、神経細胞、骨芽細胞、血管内皮細胞、各種上皮細胞、各種幹細胞およびそれから派生した分化細胞、などが挙げられる。
前記細胞培養用ハイドロゲルにおいて前記細胞を一定期間培養した後に、前記細胞培養用ハイドロゲルを除去し、さらに前記細胞を培養することも可能である。このような操作は、特に生体内に存在しない成分によって形成されるハイドロゲルを細胞培養用ハイドロゲルとして用いる場合には、必要になる場合がありうる。
以下、上記実施形態に係る繊維状タンパク質材料の作製方法および3次元細胞培養方法を実際に行うことで、本発明の効果を確認した。以下説明する。
まず、図3に示すマイクロ流体デバイスを、シリコーンゴムの一種である、ポリジメチルシロキサンを用いて作製した。ポリジメチルシロキサンは、微細加工基板およびマイクロ流路構造を作製する上で好適であるため使用したが、流路の素材としては、各種ポリマー材料、ガラスやシリコン等の無機材料、金属材料、あるいはこれらのうちの任意の組み合わせによって作製されたものを用いることも可能である。
流路構造Xの各部分における流路幅は、たとえば、各入口流路100マイクロメートル、合流流路の幅400マイクロメートルであった。また深さは均一で、約120マイクロメートルであった。合流流路の長さは50ミリメートルであった。なおこれらの値が大きくなればなるほど、径の大きな繊維状のハイドロゲル材料を作製しやすくなるため、必要に応じてより太い流路構造、あるいはより細い流路構造を使用することが可能である。
第一の水溶液として、水100mLに対し、アルギン酸ナトリウム1.0g、ゼラチン3.0gを加えた水溶液を調製した。またゲル化剤水溶液としては、ゲル化剤として塩化カルシウムを0.1M、増粘剤として分子量50万のデキストランを10%(w/v)含む水を用いた。さらに、バッファー水溶液としては、増粘剤として分子量50万のデキストランを10%(w/v)含む水を用いた。
これらの溶液を、シリンジポンプを用いて、流路構造Xに連続的に導入した。なお、シリンジと、流路構造Xにおける各入口を接続するために、PTFEチューブを使用した。
各入口から導入する溶液の流量は、作製対象とする繊維状ハイドロゲルのサイズに応じて変化させた。各入口からの導入流量は、合流流路Mの幅が400マイクロメートル、深さが120マイクロメートルの場合には、入口A1から導入する第一の水溶液は10〜50マイクロリットル毎分、入口G1およびG2から導入するゲル化剤水溶液は各50〜300マイクロリットル毎分、入口B1およびB2から導入するバッファー水溶液は各5〜20マイクロリットル毎分であった。
図10は、図3に示した流路構造Xを用いた実験において繊維状のハイドロゲルが形成される様子を示した写真であり,図10(a)は図3(a)に示した流路構造における合流点Q1付近の流れの様子を示した顕微鏡写真であり、図10(b)は、合流点Q1から5ミリメートル下流における流路構造内の流れの様子を示した顕微鏡写真であり、図10(c)は、流路内で形成された繊維状ハイドロゲルを、外部のローラーを用いて連続的に回収する様子を示した写真である。この図に示されるように、マイクロ流路内では安定な層流が形成されるため、導入した3種類の溶液は合流流路の上流部において並行流を形成し、その後下流においてカルシウムイオンが拡散することにより第一の水溶液がゲル化され、連続的に繊維状のハイドロゲルが形成された。なお、アルギン酸ハイドロゲルは強度が高いため、外部に設けたローラーを用いて繊維状ハイドロゲルを回収することが可能であり、この回収操作によってより直線状の繊維状ハイドロゲルが得られた。
図11は、図3に示した流路構造Xを用いて作製した、繊維状ハイドロゲルを示す写真であり、図11(a)は、得られた繊維状ハイドロゲルの束を示した写真であり、図11(b)は、図11(a)に示された繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真である。なお、この図に示す繊維状ハイドロゲルの作製においては、入口A1より導入した第一の水溶液の流量は毎分10マイクロリットル毎分、入口G1およびG2より導入したゲル化剤水溶液の流量は各60マイクロリットル毎分、入口B1およびB2より導入したバッファー水溶液の流量は各3マイクロリットル毎分であった。また、図11(b)に示す繊維状ハイドロゲルの径は、約15マイクロメートルであった。マイクロ流路構造を用いることにより、均一な径を有する繊維状ハイドロゲルを、毎分2〜10メートル程度の速度で作製することが可能であった。
図12は、図3に示したマイクロ流路を用いた繊維状ハイドロゲルの作製における、第一の水溶液の流量を変化させた際の繊維状ハイドロゲルの直径の変化を示したグラフである。この図に示されるように、流路構造に導入する各溶液の流量を変化させることにより、繊維状ハイドロゲルの径を調節することが可能であった。繊維状ハイドロゲルの直径を30〜55マイクロメートルの範囲で調節することが可能であったほか、流速条件、ローラーの回収速度、流路構造の幅および深さ、などを変更することで、最も細いもので直径約5マイクロメートル、最も太いもので直径約200マイクロメートルの繊維状ハイドロゲルを得ることが可能であった。
図13は、タンパク質としてゼラチンを用い、マイクロ流路を用いて作製した繊維状ハイドロゲルの、タンパク質の架橋およびアルギン酸除去による変化を示した顕微鏡写真であり、図13(a)は作製された直後の繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図13(b)はタンパク質架橋後の繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図13(c)はアルギン酸の除去後に得られた繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。
図13(a)に示される繊維状ハイドロゲルは、直径約20マイクロメートルであった。この繊維状ハイドロゲルを、タンパク質の架橋剤である5%グルタルアルデヒド水溶液に浸し、6時間架橋反応を行ったところ、図13(b)に示されるように、その直径は約16マイクロメートルに減少した。さらに、洗浄後、濃度1U/mLのアルギン酸リアーゼ水溶液に3時間浸し、アルギン酸ハイドロゲルを除去したところ、図13(c)に示されるように、その直径が約13マイクロメートルに減少した、繊維状タンパク質材料が得られた。繊維状ハイドロゲルおよび繊維状タンパク質材料の重量をそれぞれ測定した結果、アルギン酸はほぼ100%除去されたことが確認された。
図14は、タンパク質としてゼラチンあるいはエラスチンを用い、約1ミリメートルの長さに断片化した繊維状タンパク質材料を示した顕微鏡写真であり、図14(a)はタンパク質としてゼラチンを用いて作製した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真であり、図14(b)はタンパク質としてエラスチンを用いて作製した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。
図14(b)に示される繊維状タンパク質材料は、第一の水溶液として、1%アルギン酸ナトリウムおよび1%エラスチンを含む水を用い、図13に示される条件と同じ条件によってタンパク質の架橋およびアルギン酸の除去を行って得られた繊維状タンパク質材料を断片化したものである。この図に示すように、種々のタンパク質によって構成された繊維状タンパク質材料を作製することが可能であることが実証できた。
なお、図14に示されるように、繊維状タンパク質材料を適当な長さに断片化することによって、細胞培養用ハイドロゲルの前駆体水溶液に均一に分散させやすくなる。そして、その長さは、0.5〜3ミリメートルの範囲にあることが最も適切である。
図15は、繊維状タンパク質材料を作製するために利用した、4枚のアクリル板を重ね合わせて形成されたマイクロ流路構造Xを有する、マイクロ流体デバイスを示した概略図であり、図15(a)、(b)、(c)は、それぞれ、上から一枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造、二枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造、三枚目のアクリル板の下面に形成された流路構造を、それぞれ示した概略図であるとともに、図15(e)および図15(f)におけるマイクロ流体デバイスのZ矢視図である。図15(d)は、図15(c)における領域dの拡大図であるとともに、図15(e)および図15(f)におけるマイクロ流体デバイスのZ矢視図である。図15(e)および図15(f)は、それぞれ、マイクロ流体デバイスの、図15(a)〜図15(d)における、X1−X2線、Y1−Y2線における断面図である。
図15に示される流路構造を用いることによって、図7に示されるような、タンパク質を含む8つの領域Iおよび、タンパク質を含まない領域IIからなる繊維状ハイドロゲルを得ることができる。また、入口流路のパターンを変更することによって、任意の断面パターンを有する繊維状ハイドロゲルを形成することが可能である。なお、この流路構造は、微細な切削加工を施した厚み1.5ミリメートルのアクリル板3枚と、平板状のアクリル板1枚を、熱圧着によって接着することによって形成されている。
図16は、図15に示したマイクロ流体デバイスを用いて作製した繊維状ハイドロゲルおよび繊維状タンパク質材料を示した顕微鏡写真であり、図16(a)は繊維状ハイドロゲルの作製直後の顕微鏡写真であり、図16(b)は、図16(a)に示した繊維状ハイドロゲルに含まれるタンパク質を架橋しアルギン酸を除去することで得られた繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。なお、この繊維状ハイドロゲルおよび繊維状タンパク質材料の作製においては、第二の水溶液として2%アルギン酸ナトリウム水溶液を用いた点以外は、図14(a)に示した繊維状タンパク質材料を作製した場合と同じ水溶液をサンプルとして用いた。なお、図15に示した流路構造Xに対し、入口A1より導入した第一の水溶液の流量は毎分20マイクロリットル、入口A2、A3、およびA4より導入した第二の水溶液の流量は合計で毎分40マイクロリットル、入口B1より導入したバッファー水溶液の流量は毎分50マイクロリットル、入口G1より導入したゲル化剤水溶液の流量は毎分200マイクロリットルであった。
図16に示されるように、まず直径90マイクロメートル程度の繊維状ハイドロゲルが得られ、次に図14(a)に示した繊維状タンパク質材料を作製した場合と同じ条件で、タンパク質の架橋およびアルギン酸の除去を行ったところ、直径7〜10マイクロメートル程度の、架橋ゼラチンからなる繊維状タンパク質材料が得られた。
次に、アルギン酸を除去していない繊維状ハイドロゲルおよびアルギン酸を除去した繊維状タンパク質材料と線維芽細胞であるNIH−3T3細胞を、細胞非接着性の培養皿に培地とともに播種し振とう培養することによって、これらの材料に対する細胞の接着性の評価を行った。
図17は、タンパク質としてゼラチンを用い、マイクロ流路構造を用いて作製した、繊維状ハイドロゲルあるいは繊維状タンパク質材料に、NIH−3T3細胞を播種し、培養した際の顕微鏡写真であり、図17(a)は、タンパク質を架橋した後にアルギン酸を除去していない状態においてNIH−3T3細胞を播種し、24時間培養した繊維状ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図17(b)は、タンパク質を架橋しアルギン酸を除去した状態においてNIH−3T3細胞を播種し、24時間培養した繊維状タンパク質材料の顕微鏡写真である。
図17に示されるように、細胞非接着性の性質を有するアルギン酸を除去することで、細胞が繊維状タンパク質材料の表面に接着し、伸展している様子が観察された。一方、アルギン酸を除去していない繊維状ハイドロゲルの表面に対しては、細胞が接着しないことが確認された。
そして、ゼラチン製の繊維状タンパク質材料および細胞を包埋した細胞培養用ハイドロゲルを作製し、細胞の培養を行った。
図18は、図3に示す流路構造Xを用いて作製した繊維状タンパク質材料と、NIH−3T3細胞を、アルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、その懸濁液をゲル化させることで得られた細胞培養用ハイドロゲルの顕微鏡写真であり、図18(a)は、細胞培養用ハイドロゲルの作製直後の顕微鏡写真であり、図18(b)は、細胞培養用ハイドロゲルの、細胞培養7日後の顕微鏡写真である。なお、細胞培養用ハイドロゲルの前駆体水溶液であるアルギン酸ナトリウム水溶液としては、水100mLに対しアルギン酸ナトリウムを2g溶解させた水溶液を用いた。また、前駆体水溶液に加えたNIH−3T3細胞の濃度は、前駆体水溶液1mLに対し2000万個であった。さらに、細胞培養用ハイドロゲルの前駆体水溶液をゲル化する際には、26ゲージの注射針を通して前駆体水溶液を0.1M 塩化カルシウム水溶液中に押し出すことによって、直径600マイクロメートル程度の円柱状の細胞培養用ハイドロゲルを形成した。さらに、繊維状タンパク質材料の密度は、前駆体水溶液の体積のうちの10%程度であった。
図18に示されるように、細胞培養用ハイドロゲルの内部において細胞が増殖する様子が観察された。また、繊維状タンパク質材料の表面にも細胞が接着し伸展している様子が
観察された。
図19は、図3に示す流路構造Xを用いて作製した、繊維状タンパク質材料とNIH−3T3細胞をアルギン酸ナトリウム水溶液に懸濁させ、ゲル化させることで得られた細胞培養用ハイドロゲルを4日間培養した際の、細胞培養用アルギン酸ハイドロゲル除去前後における顕微鏡写真であり、図19(a)は、細胞用ハイドロゲルの、アルギン酸ハイドロゲル除去前の顕微鏡写真であり、図19(b)は、細胞用ハイドロゲルの、アルギン酸ハイドロゲル除去後の顕微鏡写真である。なおこの場合は、前駆体水溶液における繊維状タンパク質材料の密度は約25%の体積割合であったが、その他の条件は図18に示した細胞培養系と同じであった。
図19に示されるように、繊維状タンパク質材料が細胞培養用ハイドロゲルの内部に存在することによって、細胞培養用ハイドロゲルを除去した後であっても、細胞と繊維状タンパク質材料からなる組織体の形状が保持されることが確認された。
本発明は、以上説明したように構成されているため、通常の3次元細胞培養では不可能であった、(1)細胞が高密度に包埋され、(2)細胞外基質成分を任意に細胞と接触させることができ、(3)3次元的形態の任意な制御を可能とし、(4)細胞培養用ハイドロゲルを除去した後であっても組織形状が維持され、(5)組織内部における細胞の効率的な増殖と細胞同士の相互作用の形成を可能とし、(6)組織内部への細胞の均一な播種を可能とする、という条件を全て満たす培養を可能とする、新規繊維状タンパク質材料を提供することができる。この繊維状タンパク質材料自体が、細胞培養における様々な応用可能性を有しているため、一般的な細胞生物学や細胞生理学に関する実験研究を行うためのツールとして、幅広く利用される材料になりうると考えられる。
また本発明は、以上説明したように構成されているため、細胞を用いた薬剤代謝試験や毒性評価試験などにおいて通常用いられる、平面的な培養基材を利用した細胞培養系と比較して、3次元的な生体を模倣した環境における細胞の培養を可能とする。そのため、たとえば創薬スクリーニングにおいて利用することにより、新薬の開発効率を大幅に向上させることができる、重要かつ汎用的な新規ツールとなりうると考えられる。
また本発明は、以上説明したように構成されているため、通常の3次元的な細胞培養系では困難な、細胞外基質の成分であるタンパク質によって構成された繊維状の材料を包埋した組織を構築することができる。そのため、生体外において、たとえば幹細胞から分化させた細胞を用いて組織体を構築する際に、より生体組織に近い状態を再現できるため、再生医療における有意義な手法として当該分野において広く用いられるものと考えられる。

Claims (19)

  1. アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液を導入するための少なくとも一つの入口A1〜Am(m≧1)と、
    ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1〜Gn(n≧1)と、
    入口A1〜Amおよび入口G1〜Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1〜CAmおよびCG1〜CGnと、
    入口流路CA1〜CAmおよび入口流路CG1〜CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、
    合流流路Mの下流に存在する出口O
    を有する流路構造Xに対し、
    前記第一の水溶液および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、
    流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、
    その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
    繊維状タンパク質材料の作製方法を用いて得られた繊維状タンパク質材料を細胞とともに細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させ、
    前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液をゲル化させることで形成した細胞培養用ハイドロゲル内部において、前記繊維状タンパク質材料に前記細胞を付着させつつ前記細胞を培養する細胞培養方法。
  2. アルギン酸ナトリウムおよびタンパク質が溶解された第一の水溶液、および、アルギン酸ナトリウムが溶解された第二の水溶液を、それぞれ導入するための少なくとも二つの入口A1〜Am(m≧2)と、
    ゲル化剤水溶液を導入するための少なくとも一つの入口G1〜Gn(n≧1)と、
    入口A1〜Amおよび入口G1〜Gnにそれぞれ接続される入口流路CA1〜CAmおよびCG1〜CGnと、
    少なくとも1つの合流点P1〜Po(o≧1)において入口流路CA1〜CAmが同時あるいは段階的に合流し、合流点P1〜Poの下流における少なくとも一つの合流点Q1〜Qp(p≧1)において入口流路CG1〜CGnが同時あるいは段階的に合流する合流流路Mと、
    合流流路Mの下流に存在する出口O
    を有する流路構造Xに対し、
    前記第一の水溶液、前記第二の水溶液、および前記ゲル化剤水溶液をそれぞれ流路構造Xに連続的に導入し、
    流路構造Xの内部において、前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を接触させ、流路構造Xの内部において前記第一の水溶液および前記第二の水溶液を連続的にゲル化してハイドロゲルを形成し、
    その後、流路構造Xの外部あるいは内部において、前記ハイドロゲルに含まれる前記タンパク質を化学的に架橋し、さらに前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
    繊維状タンパク質材料の作製方法を用いて得られた繊維状タンパク質材料を細胞とともに細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させ、
    前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液をゲル化させることで形成した細胞培養用ハイドロゲル内部において、前記繊維状タンパク質材料に前記細胞を付着させつつ前記細胞を培養する細胞培養方法。
  3. 流路構造Xは、バッファー水溶液を導入するための少なくとも一つの入口B1〜Bq(q≧1)と、
    入口B1〜Bqにそれぞれ接続し、同時あるいは段階的に合流流路Mに合流する入口流路CB1〜CBqを有しており、
    入口B1〜Bqから連続的に前記バッファー水溶液を導入する
    請求項1乃至2のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  4. 流路構造Xは、少なくとも部分的に、微細加工を施した平板状のポリマー基板と、平面状の他のポリマー基板を貼り合せることによって形成されている
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  5. 流路構造Xは、その幅・深さ・直径の値のうち少なくともいずれか一つが、少なくとも部分的に300マイクロメートル以下である
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  6. 前記第一の水溶液に含まれるアルギン酸ナトリウムの濃度は、それぞれの水溶液100mLあたり0.5g以上3g以下である
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  7. 前記タンパク質とは、ゼラチン、コラーゲン、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、の少なくともいずれかを含む
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  8. 前記第一の水溶液に含まれる前記タンパク質の濃度は、100mLあたり0.1g以上10g以下である
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  9. 前記ハイドロゲルは繊維状であり、また、前記ハイドロゲルの直径は少なくとも部分的に50マイクロメートル以下である
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  10. 前記ゲル化剤水溶液および/あるいは前記バッファー水溶液は、増粘剤を含む
    請求項1乃至のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  11. 前記増粘剤とは、デキストラン、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸プロピレングリコール、あるいはそれらの任意の組み合わせである
    請求項10に記載の細胞培養方法
  12. 前記ゲル化剤水溶液は、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化鉄(III)の少なくともいずれかを含む
    請求項1乃至11のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  13. グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、タンニン酸、ゲニピン、N−ヒドロキシコハク酸イミドを有するタンパク質架橋剤、トランスグルタミナーゼ、のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるタンパク質を架橋する
    請求項1乃至12のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  14. アルギン酸リアーゼ、クエン酸塩、エチレンジアミン四酢酸のうち少なくともいずれかを用いることによって前記ハイドロゲルに含まれるアルギン酸を除去する
    請求項1乃至13のいずれか1項に記載の細胞培養方法
  15. 前記細胞培養用ハイドロゲルは、
    アルギン酸、架橋ポリエチレングリコール、アガロース、コラーゲン、架橋ゼラチン、フィブリン、のうち少なくともいずれか一つを主成分とした細胞培養用ハイドロゲルである
    請求項1乃至14のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
  16. 前記細胞培養用ハイドロゲル前駆体水溶液に懸濁させた前記繊維状タンパク質材料の体積密度は、体積割合で10%以上である
    請求項乃至15のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
  17. 前記細胞培養用ハイドロゲルに包埋された細胞の濃度は、1mL当たり100万個以上である
    請求項乃至16のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
  18. 細胞とは、哺乳動物由来の接着性細胞である
    請求項乃至17のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
  19. 前記細胞培養用ハイドロゲルにおいて前記細胞を一定期間培養した後に、前記細胞培養用ハイドロゲルを除去し、さらに前記細胞を培養する
    請求項乃至18のいずれか1項に記載の細胞培養方法。
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