JP4599029B2 - ホログラフィックレチクルを用いて光学システムを特徴付けする方法 - Google Patents

ホログラフィックレチクルを用いて光学システムを特徴付けする方法 Download PDF

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Description

【0001】
(発明の背景)
(発明の分野)
本発明は、光学システムの特徴付けに関し、詳細には、ホログラフィック的に生成されたレチクルを用いた、高速かつ正確な光学システムの特徴付け(例えば、焦点、像面湾曲、非点収差、球面、コマ収差、および/または焦平面偏差)に関する。
【0002】
(背景技術)
光リソグラフィーは、半導体デバイスおよび他の電子機器の作製に用いられることが多い。光フォトリソグラフィーでは、高品質の投射用光学部品を用いて、感光性基板(例えば、レジストで被覆されたウェーハ)上で画像レチクル上のフィーチャの画像を生成することが多い。再現されるフィーチャのサイズの小型化がかつでないレベルで望まれるようになったため、光学システムまたは投射用光学部品に継続的にメンテナンスを施し、画像の品質を確認することが必要になっている。
【0003】
光学システムまたは投射用光学部品の性能は、時間のかかる技術を行わないことには得られない場合が多い。感光性基板を画像フィールド中の異なる位置に配置し、異なる焦点深度で複数回露光しないと、光学システムを特徴付けできない場合が多い。次いで、複数の処理後の画像を検査して得られた情報を編集することにより、その光学システムを特徴付ける。これらの何度にも及ぶ露光および対応する処理画像はそれぞれ、逐次的に得られる。そのため、測定データが構成されているときに、焦点エラー、スキャンエラーおよび一時的変動が光学システムパラメータに発生する。
【0004】
スキャンエラーおよび焦点エラーが発生した場合、当該データ中にノイズが発生する。一時的変動が発生した場合、有効データが回復不能となる。その上、データは、パラメータ範囲において連続的にサンプリングされるのではなく、別個にサンプリングされる。その結果、データ値の概算値から量子化エラーが発生し、隣接するサンプル間に残留する。
【0005】
生産処理量の増大と、小型のフィーチャサイズでの画像生成が可能な投射用光学部品の性能要件の向上とに対する要求が高まっているため、光学システムの特徴付けを行う際に用いられる装置および方法の向上が求められている。高精度のデータまたは情報を高速かつ容易に提供できる装置および方法の開発も必要とされている。高精度のデータまたは情報が得られれば、これを用いて、光学システムの性能の特徴付けを高速かつ容易に行うことが可能となり、複数の露光および複数の画像の処理を行う必要無く、データの入手および処理も同時に行うことが可能となる。
【0006】
(発明の簡単な概要)
本発明は、光学システムを特徴付けるための情報を同時に入手する方法および装置を含む。これらの方法および装置では、比較的短時間の間または1回の露光の間に、1つの体積スペースを用いる。特徴付けの対象となる光学システムを用いて、配向、サイズおよびラインタイプが異なる複数のフィーチャを有する試験レチクルの画像を生成する。レチクルが位置決めされる場所である物体平面または特徴付けデータが得られる場所である画像平面のいずれかを、対応する3次元の体積スペース内において傾斜付けまたは角度付けする。複数のフィーチャを有するレチクルを、特徴付け対象となる光学システムを用いて画像生成する。これにより、体積スペースにおいて、焦点深度を通じて、フィーチャ品質のエンベロープが焦点を通じて得られる。このフィーチャ品質のエンベロープは、レチクル平面に対して斜めの平面にあるレチクルの画像データを得ることにより、同時に得られる。その結果得られたレチクル画像および対応するフィーチャを、計測技術を用いて解析する。この計測技術は干渉ツールを有することができるため、光学システム特性を得ることができる。入手可能な光学システム特性を挙げると、焦点、像面湾曲、非点収差、コマ収差、ひずみ、テレセントリック性および/または焦平面偏差の他に、球面収差およびコヒーレンス変動に関する情報がある。
【0007】
実施形態において、上記の試験レチクルは、ホログラフィック的に生成される。より詳細には、ホログラフィックレチクルの生成は、2本以上の光学放射ビームを干渉させて、周期的な干渉パターン(単数または複数)を有する干渉体積部を生成する。これらの干渉パターンを、レチクルブランク上に記録する。この記録工程は、様々な記録技術(例えば、写真用フィルム、フォトレジストなど)のうち任意のものを用いて行われる。干渉する光学ビームの性質を用いて、周期的な干渉パターンの幾何学的構成を厳密に制御する。より詳細には、光の波長、波面変動および露光構成(すなわち、干渉前後の光学放射の相対的ビーム角度)の幾何学的構成を用いて、幾何学的構成を制御する。電子ビーム書込みツールまたはレーザ書込みツールを用いて逐次的に書込みを行う場合よりもずっと正確に、これらの要素を全て制御することが可能である。さらに、ホログラフィックパターニングを用いたパスを1回のパスで行うだけで、ずっと大型のレチクル領域に書き込みを行うことも可能である。そのため、電子ビームサブフィールド領域をまとめてスティッチすることにより発生する書込みエラーを完全に防ぐことができる。
【0008】
従って、本発明の利点は、光学システムの特徴付けを、高速かつ1回の露光または画像生成操作で行う点である。
【0009】
本発明の利点は、光学システムの特徴付けに必要なデータを高速取得することができる点である。
【0010】
本発明の別の利点は、従来の技術につきものの焦点エラー、スキャンエラー、および一時的エラーなどによって感光性が低下されるデータを高速取得する点である。
【0011】
本発明の利点は、試験レチクルをホログラフィック的にパターニングすることにより、(電子ビーム書込みツールまたはレーザレチクル書込みツールを用いる場合と比較して)レチクル書込みエラーを低減または無くす点である。
【0012】
本発明の利点は、ホログラフィック的にパターニングされたレチクルの印刷線幅が、現在用いられているレチクル書込みツールのものよりもずっと小さいことである。
【0013】
本発明の利点は、ホログラフィック的にパターニングされた試験レチクルを用いて、周期的な格子のピッチ均一性を厳密に制御する点である。例えば、チャープ型(chirped)のピッチパターンまたは連続的に変化するピッチパターンを極めて精度良く生成することが可能である。これにより、連続的なラインサイズ、ライン配向およびパターンピッチを正確に制御しながら、光学システム性能の調査行うことが可能となる。
【0014】
本発明の利点は、周期的な構造の位相シフトを正確に制御できる点である。位相シフト構造は、画像平面中にフィーチャシフトを生成する異常な光学収差を特徴付ける際に貴重である。
【0015】
本発明の特徴は、画像スペースの体積中のどこにおいても情報またはデータが得られる点である。
【0016】
本発明の別の特徴は、レチクルは、画像スペース中へ取得されたデータの取得元である平面と異なる平面内にある点である。
【0017】
本発明のさらに別の特徴は、レチクルおよび/または画像平面障害物から垂直に伸び、光学システムの軸と共線にならない点である。
【0018】
上記および他の目的、利点および特徴は、以下の詳細な説明を読めば容易に明らかとなる。
【0019】
(発明の詳細な説明)
本明細書中、添付の図面を援用し、本明細書の一部を為すものとする。これらの図面は、本発明を図示し、本明細書中の記載と共に読まれれば、本発明の原理の説明をさらに促進し、関連分野の当業者が本発明の作製および使用することを可能にする。
【0020】
図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。図面中、類似の参照符号は、同じかまたは機能的に類似する構成要素を指す。
【0021】
(1.光学システムの特徴付け)
図1Aは、本発明を模式的に示したものであり、光リソグラフィックシステム10の概要を図示している。照射源12を用いて、レチクルもしくはオブジェクトスペースまたは体積14内のレチクル16の画像を、光学システムまたは投射用光学部品18を通じて、感光性基板または画像スペース20内の感光性基板22上に投射する。レチクル16は、感光性基板22に対して斜めの平面内に配置される。レチクル16および感光性基板22は、様々な異なる様式で傾斜可能である。レチクル16またはウェーハ22の位置決めは好適には、レチクル16またはウェーハ22のいずれかが、光学システムまたは投射用光学部品18の焦点の対象となる体積または深さを通じて伸びるように、行われる。感光性基板22によって記録される画像生成データは、光学システムまたは投射用光学部品18の特徴付けを可能にする情報を提供する。画像生成特性(例えば、焦点、像面湾曲、非点収差、コマ収差、および/または焦平面偏差)ならびに球面収差およびコヒーレンス変動を決定するための情報を得ることが可能である。1回の画像生成または比較的短時間の露光操作で、焦点を通じた画像フィールド全体の画像品質を得ることが可能である。光学システムまたは投射用光学部品18を特徴付けるための計測技術を用いて、レチクルの画像全体を解析することが可能である。これにより、光学システムまたは投射用光学部品18を、xおよびyのフィールド方向ならびにz方向の焦点深度で特徴付ける。感光性基板22をレチクル16を通過する電磁放射を記録する方法として示してきたが、電磁放射を検出するための任意のデバイス(例えば、光受容体センサ(例えば、電荷結合素子(CCD)アレイ、位置感知型検出器(PSD)、またはこれらに相当する検出器)を用いることが可能である。
【0022】
あるいは、復調デバイスを用いて、干渉パターンを生成することも可能である。図1Bは、復調デバイス24を備える光リソグラフィックシステムの模式図である。復調デバイス24は、復調レチクル、電気光学復調デバイス、音響光学復調デバイス、または当業者に公知の別の復調デバイスでよい。
【0023】
有利なことに、干渉パターンを肉眼で観察して、光学収差を検出し、光リソグラフィックシステム10に対する調整をリアルタイムでサポートすることが可能である。
【0024】
干渉パターンは、モアレフリンジパターンを含むことができる。このモアレパターンは、標準パターンから得られる全体的な倍率変化および局所的なひずみ変化を表すことができる。
【0025】
復調デバイス24は、感光性基板22、CCDアレイ、PSD、またはこれらに相当する上記のような検出器による追随が可能である。あるいは、検出器アレイをリソグラフィック的にまたはホログラフィック的にパターニングして、一体化された検出器モジュールを作製することも可能である。上述したようなパラメータスペースの多重化を用いれば、高コストで時間のかかる写真を用いた記録システムを用いずに、焦点、非点収差、コマ収差、ひずみ、倍率などを検出することが可能である。
【0026】
図2は、オブジェクトスペースまたはレチクルスペース114を示し、これは、図1A中のオブジェクト14の一例である。オブジェクトまたはレチクルスペース114内には、レチクル116が配置される。このレチクル116は、複数の異なる周期的なフィーチャ116a、116b、116c、116dおよび116eから構成される。これらの複数の異なる周期的なパターンまたはフィーチャ116a、116b、116c、116dまたは116eはそれぞれ、様々なラインタイプ、形状、サイズおよび配向の格子パターンを含むことができ、これにより、光学システムを特徴付けるための異なる画像生成情報またはデータを入手する。これらの周期的なフィーチャまたは構造は周期的でありさえすればよく、格子状であることは不要である。レチクル116は、オブジェクトスペースまたはレチクルスペース114内において角度124だけ傾斜することができる。従って、レチクル116は、オブジェクトスペースまたはレチクルスペース114内において深さz1の範囲にわたって位置決めされる。
【0027】
図3は、感光性基板画像またはスペース120のデータ取得平面内に角度を付けて位置決めされた感光性基板122を示す斜視図である。感光性基板122は、感光性基板または画像スペース120内の角度126で位置決めされる。感光性基板122は、深さz2の範囲にわたって伸びる。この深さz2の範囲は、光学システムまたは投射用光学部品の焦点深度以内であり、またこの深さを超える。感光性基板122が、図示のように角度126で傾斜している。この角度126は、図2に示すレチクル116の傾斜角度124に付加される。レチクル116および感光性基板122は、別の様式でも互いに角度付けまたは傾斜付けが可能であり、図2および図3に示す傾斜は、本発明において用いることが可能な傾斜または角度の一例に過ぎない点が理解されるべきである。本発明の教示内容に従った光学システムのための有用な特徴付けデータを入手する際、1つの平面をもう一方の平面と斜めにするだけでよく、2つの平面の斜めの位置決めの程度および本質は、所望の特徴付けデータの種類および数量のみによって決定される。例えば、レチクルの平面を傾斜付けする必要がない一方、感光性基板の平面を、当該レチクルの平面に対して傾斜付けまたは斜めにする。あるいは、当業者であれば、レチクルと感光性基板との間の構成上の関係についての上記記載は、図1Bの説明において上述したようなレチクルと復調デバイス24との間の類似の構成関係にも適用可能であることを認識する。
【0028】
図4は、複数の異なる周期的なフィーチャ、パターン、構造またはその上の格子を有するレチクル216を示す平面図である。レチクル216は、図1A中のレチクル16の一例である。異なる周期的なフィーチャをグループ分けして、異なるフィーチャセットを形成することが可能である。これらのフィーチャセットを用いて、光学システムを特徴付けるための異なる画像生成情報を得ることが可能である。例えば、レチクル216は、複数の異なるラインタイプ、形状、サイズおよび配向から構成されることができ、これらを用いて、上記の4つのフィーチャセットを構成することが可能である。例えば、第1のフィーチャセット216aは斜子織模様を含み、第2のフィーチャセット216bは複数の水平ラインおよび垂直ラインを含み、第3のフィーチャセット216cは、第2のフィーチャセット216bと比較して異なる間隔または寸法を有する複数の水平ラインおよび垂直ラインを含み、第4のフィーチャセット216dは、水平ラインおよび垂直ラインの異なるセットを含み、第5のフィーチャセット216eは、第1のフィーチャセット216aと同じかまたは別にすることが可能な斜子織模様を含む。レチクル216は、複数の異なるフィーチャセットを含むことができ、これらのフィーチャセットは、オブジェクトスペース内の斜め平面上に画像を生成するために用いられる画像フィールド全体にわたって、異なるラインおよび間隔または格子を含むことができる。画像スペースを横切る平面中の画像の検出および解析を行うと、光学システムの特徴付けデータを取得することができる。この光学システムの特徴付けデータを用いて、光学システムの性能または画像生成特徴付けを決定することが可能である。
【0029】
図5Aは、別のフィーチャセット316cの一例である。このフィーチャセット316cは、レチクルの一部上に配置することが可能であり、感光性基板上で画像が生成される。フィーチャセット316cは、幅w1を有する中央フィールドから構成されることができる。この中央フィールドは、多重のまたは組み合わせ模様の横列またはストライプから構成され、これらの横列またはストライプにより1つのパターンが形成される。例えば、横列330は、間隔が空けられた垂直ラインを自身の上部に有し、横列332は、間隔が空けられた水平ラインを自身の上部に有し、横列334は、間隔が空けられた負の方向に45度だけ傾斜したラインを自身の上部に有し、横列336は、正の方向に45度だけ傾斜したラインを自身の上部に有する。ストライプまたは横列330、332、334および336は、図5Aに示すように、レチクルの一部上に形成されたフィーチャセット316cの長さLに沿って伸びるパターンを形成することができる。フィーチャセット316cの端部は、縦列または垂直ストライプ328から形成することが可能である。縦列328内には、斜子織模様のパターンが形成される。縦列328内の斜子織模様は、部分的に透過性のセクションまたは部位から形成することが可能である。フィーチャセット316cの幅全体は、w2である。例示目的のため、フィーチャセット316cの寸法を、長さLが約27mm、幅全体w2が約5mm、かつ中央幅w1が約4.5mmであるとする。各横列またはストライプは、高さまたは幅が約50ミクロンであるとする。横列内の各線幅は、200ナノメートルのオーダーとなり得る。316cとして示すフィーチャセットは、例示目的のみのために示したものである。他のフィーチャセットを用いて、光学システムの特性を、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく決定することも可能である。
【0030】
図5Bは、別のフィーチャセット316dを示す。このフィーチャセット316dは、レチクルの一部の上で用いることが可能である。フィーチャセット316dは、水平ライン、垂直ラインおよび角度付きラインからなるパターンを含む。ストライプまたは横列330’は、垂直ラインパターンを自身の上部に有する。横列またはストライプ332’は、複数の水平方向に間隔が空けられたラインを自身の上部に有する。横列またはストライプ334’は、負の方向に45度だけ傾斜した複数のラインを有し、横列またはストライプ336’は、正の方向に45度だけ傾斜した複数のラインを自身の上部に有する。フィーチャセット316dの長さ方向に沿って、これらの複数の横列またはストライプを、水平、垂直、負方向の45度、正方向の45度のパターンで繰り返す。検出または決定が望まれる光学システムの特性に応じて、他の横列またはパターンをフィーチャセット内に配置してもよい。
【0031】
図6は、(特徴付け対象となる光学システムまたは投射用光学部品を用いた)レチクルの画像生成から得られた情報の処理を示す。画像平面420を、感光性基板上で検出または記録する。この画像平面420は、複数の画像を有する。これらの複数の画像は、図4に示すような、レチクルによって画像生成されるフィーチャセット画像420a、420b、420c、420dおよび420eから構成される。画像平面420から得られたデータは、レチクル平面に対して斜めに位置決めされ、画像フィールド平面全体にわたって抽出され、抽出されたデータは好適には、計測ツール40(好適には干渉計)を用いて感光性基板上に記録される。この計測ツール40は、レチクル上のフィーチャセットの画像から決定または抽出された情報(例えば、干渉パターン)を検出または抽出することができる。これらの画像は、画像平面420上に形成され、感光性基板上に記録することが可能である。あるいは、復調デバイス(例えば、図1Bに示すような復調デバイス24)を用いることにより、画像平面420上に形成された画像をリアルタイムで見ることも可能である。信号プロセッサ42は、計測ツール40に結合され、異なるフィーチャセット420a、420b、420c、420dおよび420eの異なる画像に対して解析および処理を行う。信号プロセッサ42からの処理後の信号は、光学システム特徴付け器44に提供される。従って、光学システムの様々な収差を決定することが可能となる。例えば、非点収差を、周期的なパターンまたは格子の配向の最大焦点差の関数として決定することが可能である。コマ収差を、第2のオーダーひずみシグネチャと焦点との間の関係の関数として決定することが可能である。球面収差を、ラインサイズとフィールド位置との間の最大焦点差の関数として決定することが可能である。異なる計測ツール(例えば、白色光、暗視野顕微鏡、大アパチャ干渉計、レーザ顕微鏡干渉計、または干渉顕微鏡)を用いて、記録されたデータを解析することが可能である。
【0032】
図7は、本発明の一実施形態の高レベルの方法工程を示すブロック図である。工程510は、特徴付けられた光学システムを用いて、周期的な格子(または、レチクル平面に対して斜めの平面状に形成されたパターン)を有するレチクルを画像生成する工程を示す。この周期的なパターンは、異なる格子パターンから構成され得、各異なる格子パターンは、光学システムの所定の特性または性質を決定するように設計される。工程512は、レチクル平面に対して斜めの平面において検出された周期的なパターンまたは格子の画像を表すデータを記録する工程を示す。当業者にとって明らかなように、周期的なパターンまたは格子の画像を、感光性基板もしくは電子的手段によって記録するか、または、復調デバイスを用いてリアルタイムで提示することが可能である。工程514は、記録されたデータを干渉を用いて解析して、光学システムの画像の性質を決定する工程を示す。周期的なパターン、格子(単数または複数)を表すデータを干渉技術を用いて解析して、光学システムの性質を入手する。光学システムの特徴付けは、フィールド全体にわたって、かつ、1回の操作において異なる焦点深度で行うことが可能である。
【0033】
図8〜13は、異なる光学的性質(例えば、像面湾曲および異なる収差(例えば、非点収差および球面収差))を決定することにより光学システムの特徴付けを行う、異なる実施形態に本発明のコンセプトを適用した様子を示す。
【0034】
図8Aは、体積スペース620を示す。この体積スペース620は、図1A中のスペース20の体積の一例である。体積スペース620内において、画像を表す電磁放射を検出することが可能である。例えば、感光性基板622または復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)を、体積スペース620内にx−y平面から角度θで位置決めする。光学システム(例えば、図1Aのシステム10)からの画像を、感光性基板622上に投射する。感光性基板622上に投射される画像は、複数のフィーチャセット(feature sets)の画像であるか、または、上記の図に示したレチクル上に配置された間隔が空けられたラインの画像である。感光性基板622を使用しているのは好適な実施形態を例示するためであり、任意の光受容体デバイスまたは復調デバイスを体積スペース620中に配置して、レチクル画像を表す電磁放射の受信および検出を行うことが可能であることが理解されるべきである。
【0035】
図8Bは、図8Aに示すように位置決めされた感光性基板622または復調デバイス(図示せず)を用いた像面湾曲の検出を示す。ライン631は、特徴付けられた光学システムの像面湾曲を表し、ライン631の幅dは、特徴付けられた光学システムの焦点深度を表す。従って、体積スペース620内において感光性基板622を傾斜させ、感光性基板上に画像生成される複数のフィーチャを有するレチクルを用いることにより、フィールドの像面湾曲および深さを高速かつ容易に決定することが可能である。レチクル上の適切なフィーチャおよび配向を選択することにより、感光性基板を1回露光することでまたは体積スペース内の電磁放射の受信のデータを1回取得することで、光学システムを特徴付ける情報をさらに入手することが可能である。
【0036】
傾斜の付いた感光性基板622上に画像生成された周期的なパターンまたは格子レチクルを用いて、ライン631を生成することが可能である。周期的なパターンもしくは格子ストライプまたはライン631を、フィールドの中央部分まで生成する。ライン631は、フィールドの中央ストライプを規定するだけ十分に狭く、かつ、x軸方向のいくつかの分解可能なポイントを含むだけ十分に広くなるように、計算すべきである。これは、ストライプまたはライン631を見る際に用いられる検出器アレイ、電荷結合素子または位置感知型検出器の画素密度の関数である。位相シフト干渉計を用いることが可能である。データは、感光性基板622を位相シフト干渉計に対してリトロー角度で位置決めすることにより、入手可能である。リトロー角度は、干渉計からの電磁放射が逆方向に回折して、干渉計に戻るときの角度である。位相シフト干渉計によって得られた強度マップのピークは、特徴付けられた光学システムの最良の焦点ポイントである。これらのピークは、y軸方向において隆起部を含む。この隆起部がフィールドをy軸方向に横断する際にx軸方向に蛇行した場合、それは、像面湾曲を示す。この手順のロバスト性は、体積スペース620の隅々におけるポイントにおいて強度データを同時に取得する能力から得られる。データの較正、スケーリング、および抽出は、単刀直入に行われる。この方法では、逆方向の回折の強度を用いる。逆方向の反射の位相を用いて、像面湾曲も検出することが可能である。この方法において、感光性基板を、位相シフト干渉計の軸に対して垂直方向に位置決めする。取得された位相マップは、感光性基板上の各ポイントにおけるフィーチャレジストの高さからなる。x軸方向において、フィーチャの品質は、焦点曲線の関数である。y軸方向において、任意のフィーチャサイズおよび配向の最良の焦点のシフトは、フィールド位置の関数である。関連分野の当業者にとって明らかなように、像面湾曲および非点収差は、曲線シフトを直交するフィーチャ配向の関数として比較することにより、抽出可能である。
【0037】
図9Aおよび図9Bは、本発明による非点収差の検出を模式的に示す。図9Aは、レチクルもしくはマスク上に繰り返し再現することが可能なパターンか、または、復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)を用いて目視用として提示される、非点収差を検出するために用いられるパターンを模式的に示す。部位716は、直交する格子またはラインパターンを含む。垂直ライン730は、組み合わせ模様であるか、または、水平ライン732間に交互に配置される。垂直ライン730および水平ライン732は、互いに垂直である。
【0038】
図9Bは、感光性基板または対応するように構成された復調デバイス(図示せず)上に形成された画像を示す。これらの感光性基板または復調デバイスは、図8Aにおいて示したように、体積スペースにおいて傾斜が付けられている。感光性基板上に画像生成された周期的なパターンまたは格子716’のフィーチャセットまたは部位は、フィールドの深さを表す横方向の寸法fを有する。寸法fにわたって、フィールドの深さ、異なる画像品質を表す情報を、寸法fに沿った最高ポイントに配置された最良の画像品質と共に入手する。エンベロープ735が形成される。エンベロープ735は、図9Aに示す水平ライン732の記録された画像732’の焦点深度に沿った寸法fにおける画像品質を表す。同様に、図9Aに示す垂直ライン730は、記録された画像730’によって表される。形成されたエンベロープ733は、図9Aに示すレチクルの部位716上の垂直ライン730の記録された画像730’の焦点深度の画像品質を表す。最良の画像品質は、エンベロープ733および735に沿った最高ポイントによってグラフとして表される。画像位置における光学システム中の任意の非点収差を、距離aを用いて表す。この距離aは、水平ラインおよび垂直ラインの様々な画像生成を表す。正接の画像平面およびサジタルの画像平面の軸方向の分離を、エンベロープ733および735によって表される様々な焦点ポイントによって検出することが可能である。これらの異なる焦点ポイントの横方向のシフトを距離aによって表す。
【0039】
本発明に従って、多くの異なるフィーチャセットまたは周期的なパターンもしくは格子を用いることが可能である。図10Aおよび図10Bは、光学システムの非点収差を決定する際に用いることが可能な別のフィーチャセット、周期的なパターン、または格子を示す。図10Aは、レチクルまたはマスク817が複数のストライプ816を有する様子を示す平面図である。各ストライプ816は、レチクルパターンまたはフィーチャセットを含む。図10Bは、図10Aに示すレチクル817が形成される際に用いられるレチクルの周期的なパターンまたは格子816の1つを模式的に示す。フィーチャセット、周期的なパターンまたは格子816は、周期的なパターンまたは格子の複数の縦列から形成される。周期的なパターンまたは格子の一対の隣接する縦列を、直交するライン対から形成する。例えば、縦列830を垂直ラインから形成し、縦列832を水平ラインから形成する。これらの水平ラインおよび垂直ラインは直交する。縦列836は、+45度だけ傾斜したラインから形成され、縦列834は、−45度だけ傾斜したラインから形成される。そのため、縦列836および834中のラインが直交する。図10Bに示すように、異なるライン配向を有する縦列が組み合わされる場合、特徴付け対象となる光学システムにおける収差に関する情報が得られる。本発明を実施すれば、フィールドの主要な部分における収差を同時に検出することが可能となる。
【0040】
図11Aおよび11Bは、本発明による、ラインまたはフィーチャセットを用いて非点収差を決定する様子を簡単な模式図として示すものである。本発明のこの実施形態において、ラインまたはフィーチャセットは、横列ではなく縦列として構成される。図11Aは、レチクルパターン916の一部の平面図を示す。レチクルパターンは、複数のフィーチャセットまたはラインから形成され、その一部は、水平配向と垂直配向との間で交互に配置されたラインの縦列によって形成される。縦列930は複数の垂直ラインから形成され、縦列932は複数の水平ラインから形成される。画像は、レチクルの部位916から形成され、画像スペース中に投射されると、非点収差を検出する際に用いることが可能となる。この実施形態において、レチクル部位916の画像を記録するために用いられる感光性基板をレチクル部位916に対してx−y平面から傾斜させて、y軸周囲において回転させる。あるいは、復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)を、レチクルに対して対応するように構成することも可能である。図11Bは、画像スペース中の画像の検出および解析を行って、フィールド位置における非点収差を決定する様子を模式的に示す。画像が記録されている感光性基板はx−y平面から傾斜し、y軸を中心にして回転するため、x方向は、図11Bに示すように焦点深度を示す。図11Bに示すz方向の高さは、異なる焦点深度における画像品質を表す。図11B中のバー930’は、図11Aに示す垂直ラインの交互に配置された縦列930の画像品質を表す。画像品質は、やや中央寄りに配置された最適な画像品質の焦点深度に沿って増減する。従って、形成されるエンベロープ933は、垂直ラインの縦列930の画像品質を表す。図11Bに同様に示す水平ラインの縦列932の画像品質は、バー932’によって表される。バー932’のz方向の高さは、画像品質を表す。画像品質は、x方向の焦点深度に沿って増減する。従って、バー932’のエンベロープ935を、図11Aに示すレチクル部位916上の水平ラインの縦列932の画像品質を表すように決定することが可能である。バー930’によって表される垂直ラインの縦列930画像は、バー932’によって表される水平ラインの縦列932の画像の間に組み合わされる。特徴付け対象となる光学システムのフィールド位置において非点収差が存在しない場合、エンベロープ933および935は一致する。しかし、エンベロープ933とエンベロープ935との間の相対的シフト(これは、距離a’によって表される)を用いて、任意の非点収差を検出することが可能である。
【0041】
図9Aおよび図9Bならびに図11Aおよび図11Bは、本発明の異なる実施形態を用いて同じ情報を入手するための異なる技術を示す。本発明の教示内容は、複数の異なるフィーチャセット、周期的なパターンまたはレチクル上の格子の画像生成と、その結果得られた画像の体積スペース中への記録とを同時に行う際、光学システムの収差の検出および特徴付けを1回の工程または露光で行うことを可能にする。本発明の教示内容を用いて、異なるフィーチャセット、周期的なパターン、またはレチクル部位上において用いられる格子に応じて、光学システム中の異なる収差を決定することが可能である。
【0042】
図12は、球面収差を検出する際に用いることが可能なフィーチャセットまたはラインパターンを有するレチクル1016の一部を示す。このレチクル部位1016は、縦列1030および縦列1032によって異なるライン間隔またはライン幅で交互に配置されたラインを示す。例えば、縦列1030のライン間隔は300ナノメートルにすることができ、縦列1032のライン間隔は100ナノメートルにすることができる。図12に示すレチクルパターン部位1016は、図9Aに示すレチクルパターン部位716に類似する。しかし、レチクルパターン部位716が非点収差の検出のためにライン配向を用いている場合、レチクルパターン部位1016は、球面収差を検出するために線幅または間隔を用いる。これらのレチクルパターン部位は全て、体積スペース中の各レチクルパターン部位の画像を異なる焦点深度(例えば、感光性基板が画像体積スペースにおいて傾斜している場合など)で検出する。さらに、これらのレチクルパターン部位は全て、1回の工程において当該光学システムの収差を表す情報を含む異なる画像生成ラインについて、干渉計による読み取りが可能である。レチクルパターン部位1016の場合、その画像品質は、異なる線幅に対する焦点深度に応じて変化する。従って、画像品質を各異なる線幅セクションの焦点深度の関数として表すエンベロープが、任意の球面収差に応じてシフトする。異なるラインパターンを有する異なるレチクル部位を複数のレチクル部位にわたって用いて、フィールド中の異なる位置における様々な異なる収差を検出することが可能であることが理解されるべきである。これらのレチクルパターンの異なる部位を単一のレチクル中に組み込んで、像面湾曲および異なる収差を同時に検出および測定することが可能である。
【0043】
図13は、複数の異なるセクションに分割されたレチクル1117を示す。このレチクル1117は、一例として、光学システムを特徴付けるためのフィールドにわたって異なる収差を同時に検出するように構成された異なるレチクルパターン部位を有することができる他のセクションの中において、セクション1119a、1119b、1119cおよび1119dを有する。例えば、倍率を逆方向の回折の角度として測定することが可能である。較正された標準ピッチ基板もしくは較正されたプリズムまたは面間の標準角度から、通常のフィーチャピッチおよび関連する標準回折ビーム角度を別様に測定することが可能である。倍率を解除した後に残るひずみを、スケーリングされた位相マップの残余物として測定することが可能である。このスケーリングは、平面内ひずみ、IPD、通常の周期的なパターンまたは格子ピッチの幾何学的制約、干渉計の波長、ならびに局所的な逆方向の回折ビーム角度の間の関係を反映する。コマ収差の測定は、誘導された画像シフトを用いて、光学システムの焦点深度を通じて傾斜したフィールドにわたって第2のオーダーのひずみとして見られる焦点を通じて行うことが可能である。
【0044】
図14は、レジストで被覆されるかまたは感光性基板に干渉解析またはマッピングを行ったときの斜視図である。この基板は、斜子織模様もしくは組み合わせ模様のまたは相互周期的なパターンもしくは格子の画像と共に露光されている。あるいは、このような解析は、復調デバイス(例えば、図1Bに示すような復調デバイス24)を用いることによりリアルタイムのパターンを見ることによっても行うことが可能である。斜子織模様のまたは相互周期的なパターンまたは格子は、フィールド全体上に直交するラインを有するレチクルである。1つのレチクルをフィールドにわたって傾斜した感光性基板上に露光させることにより、光学システムのフィールド全体を特徴付けすることが可能である。感光性基板は、フィールド全体が光学システムの焦点深度内に収まるように傾けられるべきである。この傾斜によって、図14中のx軸は、x方向の焦点およびフィールド位置を表す。図14中のy軸は、y方向のフィールド位置を表す。図14中のz軸は、周期的なパターンまたは格子内のライン間のピッチ変化を表す。このようなピッチ変化は、光学システムに収差またはひずみが発生した結果生じるものである。表面等高線1221は、光学システムの画像特性に関する情報を提供する。フィールド全体を解釈するかまたはフィールドの所望の部位を局所的に解釈することにより、光学システムを全体的に特徴付けすることが可能である。
【0045】
図15は、本発明のこの実施形態を用いた光学システムの特徴付けの際に入手することが可能な異なる画像特性およびひずみまたは収差をグラフィックとして示したものである。矢印1202はコマ収差を表し、図14に示す概してまたは全体的に曲線状の表面等高線1221として図示される。矢印1204はテレセントリック性を表し、図14に示す表面等高線1221のy軸周囲のx−y平面における傾斜として図示される。矢印1206は全体的なまたは平均的な倍率を表し、図14に示す表面等高線1221のx軸周囲のx−y平面の傾斜として図示される。矢印1208は、yひずみシグネチャまたは倍率の局所的な変化を表し、図14に示す表面等高線1221の局所的な変化によって示される。フィールド全体にわたって収差またはひずみが存在しない場合、この干渉マップは、平坦な傾斜の無い表面となる。
【0046】
図16A〜16Dは、図15中にグラフィックとして示された特徴付け対象となる光学システムの異なるひずみまたは収差の斜視図を模式的に示したものである。図16Aは、x軸周囲のx−y平面に傾斜があるラインを示す。この傾斜は、全体的なまたは総合的な倍率を表す。従って、フィールド内に全体的なまたは総合的な倍率が無い場合、x軸周囲のx−y平面に傾斜は無い。図16Bは、焦点を通じて曲線または第2のオーダーの弓型部を有するラインを表す。この曲線は、焦点またはx方向を通じたコマ収差を表す。図16Cは、y軸周囲においてx−y平面内に傾斜を有するラインを表す。この傾斜は、テレセントリックを表す。図16Dは、局所的な曲線を有するラインを表す。この曲線は、yひずみシグネチャまたは倍率における局所的な変化を、フィールド位置の関数として表す。これらのフィーチャまたは特性は全て、図14に示す干渉マップから個々に抽出することが可能である。従って、光学システムのフィールド全体の特徴付けを、1回の工程でかつ複数の露光または別個の解析を行う必要無く行うことが可能である。
【0047】
図17は、露光されている感光性基板の平面図であり、光学システムの最良の焦点を決定するための本発明の一実施形態を示す。光学システムのフィールドにわたって、レチクルの画像を感光性基板1322上に投射する。あるいは、復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)を用いることにより、レチクルの画像をリアルタイムで見ることのできるように提示することも可能である。このレチクルは、矩形フィールドの2つの長手方向の端部1328に沿って、斜子織模様の周期的なパターンまたは格子パターンの画像を投射する。感光性基板1322を、第1の露光が行われている間に比較的幅の狭い第1の帯域1331が2つの長手方向の端部1328内の感光性基板にわたって横方向に印刷されるように、この長手方向の軸を中心にして傾斜させる。次いで、感光性基板1322を、光学軸と同軸でかつ図17の図面に伸びるz方向に、既知の距離だけシフトさせ、これにより、第2の露光が行われている間、比較的幅の狭い第2の帯域1331を、2つの長手方向の端部1328内の感光性基板にわたって横方向に印刷するようにする。第1の印刷帯域1331および第2のおよび印刷帯域1331の位置を解析することにより、光学システムの最良の焦点位置を決定することが可能である。この解析は、既知のシフトされる距離に基づいて容易に決定または導出することが可能な幾何学的構成を用いて行われる。例えば、距離OAおよびO’A’を測定することにより、ポイントMにおけるフィールド中心の焦点位置を入手する。これらの数値により、露光された第1の印刷帯域1331を既知のフィールド中心Mと比較したときの印刷帯域1331の位置が得られる。第1の帯域1331および第2の帯域1331’を形成する2つの露光に関する焦点値を補間すると、Mにおけるフィールド中心に関する焦点値が得られる。この焦点値は、光学軸のみに沿っている。基板に沿った距離ABを測定することにより、横方向の軸周囲の傾斜エラーを較正する。傾斜の傾きを、ナノメートル単位の焦点シフトとして表す。この焦点シフトは、距離ABによって決定されるような、基板のミリメートルあたりの2つの露光間の焦点差によって決定される。この傾斜の傾き値を用いて、距離OAと距離O’A’との間の距離差または距離OBと距離O’B’との間の距離差を測定することによりラインA−A’またはラインB−B’の角度θを測定することにより、長手方向の軸エラー周囲の弓型部または傾斜を決定する。これらの4つの距離の測定値から、測定エラーの修正または平均化のための冗長性も見込みつつ、基板と最良の焦点平面との間のアラインメントをとる。あるいは、この値を以下の式から抽出することも可能である。
M’は、ラインA−A’とラインB−B’との間の中間にあるライン1333の中間点上に位置する。
IFSは、2つの露光間のzまたは光学軸に沿った誘導された焦点シフトまたは意図的なシフトである。
ITは、横方向の軸周囲の誘導された傾斜または意図的なシフトである。
次いで、この傾き(S)は、H/Wに等しくなり、
焦点エラー(FE)は、IFS/AB×MM’に等しくなり、
長手方向の軸周囲の傾斜エラー(FE)は、(IFS/AB)−ITに等しくなり、
横方向の軸周囲の傾斜または弓型エラー(BE)は、S×JFS/ABに等しくなる。
【0048】
図18は、球面収差を検出する際に用いられる本発明の一実施形態を示す。曲線またはライン1402は、レジスト深さを焦点の関数として表す。感光性基板を露光させる際に焦点を通じて傾斜が生じるため、処理されたレジストによって感光性基板上に形成された周期的なパターンまたは格子の深さは変動する。この深さは焦点が最良となったときに最高となり、焦点が劣化するにつれて小さくなる。領域1404によって示されているように曲線またはライン1402が非対称となっているが、これは球面収差を表すものである。従って、本発明は、光学システム中の球面収差を検出する用途に適用することが可能である。
【0049】
図19Aおよび図19Bは、画像を最適化するための光学システムにおいて、レチクルの初期配置を決定するための本発明の別の実施形態を示す。図19Aおよび図19Bを参照して、レチクル1516を用いて感光性基板1522を露光させる。あるいは、復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)を用いることにより、レチクルの画像はリアルタイムで見られるために提示される。このレチクルを、x軸周囲のx−y物体平面から傾斜させる。感光性基板1522は好適には、y軸周囲のx−y平面から傾斜される。従って、図1に示す実施形態の場合と同様に、レチクル1516および感光性基板1522は、互いに直交するように傾斜が付けられる。レチクル1516は、複数の直交する組み合わせ模様のラインを異なる線幅で有する。例えば、ライン1531は、比較的幅の狭い垂直線幅を有し、ライン1533は、比較的幅の広い垂直線幅を有する。垂直ライン1531および1533は、x方向において交互に配置されるかまたは組み合わせ模様を形成する。比較的幅の狭い水平ライン1534および比較的幅の広い水平ライン1536は、y方向において交互に配置されるかまたは組み合わせ模様を形成する。これにより、水平ラインおよび垂直ラインを異なる幅で交互させるかまたは組み合わせ模様にすることによって得られる格子パターンが形成される。露光中、レチクル1516上のこの格子パターンを、レチクル1516内の傾斜によるレチクル位置を通じて感光性基板1522上にて、感光性基板1522内の傾斜による焦点を通じて、画像生成する。処理された感光性基板1522は、最良の焦点位置の軌跡を線幅またはフィーチャサイズの関数として有する。この軌跡は、画像(例えば、レジスト深さ)を調査することにより決定される。一般的には、最大レジスト深さにより、最良の焦点が決定される。あるいは、復調デバイス(例えば、図1Bに示す復調デバイス24)によって生成された視認可能なパターンを解析することによっても、最良の焦点位置の軌跡を決定することが可能である。軌跡が最良の焦点位置に来ると、レジストがより完全に露光されるため、深さも深くなる。各異なる線幅についての最良の焦点位置の軌跡が交差する位置は、レチクルを用いて収差(特に球面収差)を最小化するための好適な位置を示す。図19Aを参照して、ライン1502および1504の交差部分は、レチクル1506を用いて球面収差を最小化するための最適な位置を示す。ライン1506は、レチクル1516を位置決めして最良の画像または最小の球面収差を得るための最適な位置の配置または平面を示す。例えば、図19A中の感光性基板の左側の長手方向の端部に沿って示すように、図19B中のレチクル1516がx軸周囲において1単位分だけ傾斜した場合、ライン1506は、最良の画像生成または最適な画像生成を得るためには、レチクルを0.4単位の位置に配置すべきであることを示す。ライン1506は、レチクルの傾斜軸(またはx軸)に対して平行に描かれる。2つの異なる交互のまたは組み合わせ模様の線幅のみを図示しているが、任意の数の異なる線幅を交互または組み合わせ模様に配置させることが可能であると理解されるべきである。
【0050】
本発明について、異なる実施形態および異なるフィーチャセットまたはラインパターンを用いて図示および説明してきたが、他のフィーチャセットまたはラインパターンを異なる様式で利用または構成して、光学システムの特徴付けを行うことも可能であることは明らかである。しかし、本発明の実施形態は全て、体積スペースにおける様々な異なるパターン部位を、異なる焦点深度で同時に画像生成する。複数のパターン部位を用いて異なる深さで記録された画像は、光学システムの特徴付けを行うように、干渉を用いて解析される。この干渉解析は好適には1回の工程で達成されるため、レチクルの記録された画像の干渉解析から得られたデータによって、光学システムの完璧に近い特徴付けが得られる。従って、本発明は、光学システムのフィールド内の異なる位置を逐次的に選択および解析する必要を無用にする。その結果、本発明の教示内容によって、光学システムの特徴付けを、きわめて高速かつロバスト性に優れた様式で行うことが可能となる。
【0051】
従って、本発明の方法および装置を用いれば、光学システムの特徴付けを、1回の露光もしくは画像生成工程でまたはリアルタイムの視認で行って、光学システムの焦点、像面湾曲、非点収差、コマ収差、および/または焦平面偏差を決定することが可能であると理解されるべきである。本発明は、マスクまたはレチクルパターンを感光性基板上に印刷する際に用いられる光リソグラフィレンズに対して特徴付けを行う際に特に適用可能である。本発明では、(x、yおよび焦点における個々のサンプルポイントの3次元アレイ中の画像品質またはライン品質の評価を通じてではなく)焦点を通じてフィーチャ品質のエンベロープを検出することにより、最良の焦点を決定する。本発明を用いれば、焦点およびレチクルオブジェクト位置を通じて、連続したデータが得られる。
【0052】
従って、本発明は、自主選択型の焦点有する点において有利である;すなわち、露光中のウェーハまたは感光性基板フィールドが焦点深度を妨害した場合に最良の焦点ゾーンを常に印刷するため、通常の焦平面位置のエラーに対する感知性が極めて低い。本発明は、感知性が高く、ノイズが少なく、また、1回の露光で特徴付けパラメータの高速取得が可能であるという有利な点を有する。本発明を用いれば、(焦平面に関連する時間のかかる複数の露光エラーおよび焦点スライシングエラーを伴う)焦平面のスライス工程を行う必要がなくなる。
【0053】
試験において、感知性およびノイズレベルを、5ナノメートルレベル未満で定期的に入手している。これらの低レベルは、従来の技術を用いた場合は入手不可能である。従来の技術を用いると、線幅が低減するにつれて、これらの点が劣化することが多い。しかし、本発明は、線幅が低減するにつれてロバスト性が増すという利点を有する。これが可能なのは、本発明では、線幅画像ではなく、フィーチャ品質のエンベロープを分解(resolve)することに依存しているからである。
【0054】
本発明を用いれば、完全なフィールドデータを数秒間で(すなわち比較的短時間で)入手することも可能になる。これは、ラインサイズが小さく、熱によって時定数が変動するために大きなUVまたはそれ以上のものを用いるリソグラフィックツールにおいて、重要な特徴である。1回の露光工程において完全なフィールド露光を用いる本発明の能力は、(データをスキャンすることによって取得するために発生する)アラインメントをとるタイミングにおけるエラーを無くす。多重化されたフィーチャ配向、サイズおよびラインタイプを有する複数の異なるフィーチャセットを用いると、焦点位置、非点収差、像面湾曲および焦点深度を決定することが可能になる。さらに、本発明を用いれば、コマ収差、球面、およびコヒーレンス変動に関する情報も得られる。
【0055】
本発明は、試験対象となる画像生成システムとリソグラフィック記録プロセスとによって画像生成される多重化された周期的なフィーチャから構成されるため、印刷された画像を解析する計測ツールなどを用いて、光学システムの特徴付けを高速に行うことを可能にする。これらのフィーチャセットは、様々なラインタイプ、形状、サイズおよび配向にグループ分けまたは分離することが可能である。本発明では、1回の露光で、画像生成システムの焦点深度を通じてまたはこれを超えてこれらのフィーチャセットを画像生成する。エンベロープまたはフィーチャ品質は、焦点を通じて印刷および解析される。この解析は、自動相関付けによる解析および相互相関付けによる解析の場合と同様に、完全な焦点深度データの評価からなる。あるいは、この解析では、エンベロープの非対称性または傾きが最大または最小になっているか否かを識別する。これは、個々のフィーチャをの解析を所定の(したがって最適ではない)別個の焦点位置において行う従来の技術と対照的である。
【0056】
焦点を通じて得られた特定のフィーチャセットの品質を用いて、フィーチャタイプの配向および/または選択サイズに応じて、平坦な焦点、像面湾曲、非点収差、球面収差、部分的コヒーレンス、ひずみおよびコマ収差を決定することが可能である。非点収差の場合、異なるラインの配向を、フィールド下方に向かって組み合わせ模様にし、暗視野顕微鏡または干渉顕微鏡を用いて読み出すことが可能である。あるいは、異なるライン配向を、組み合わせ模様にし、干渉顕微鏡または原子間力顕微鏡を用いて読み出すことも可能である。ひずみの場合、完全フィールド干渉計を用いて、フィーチャを読み出すことが可能である。
【0057】
従って、本発明を用いれば、光学システムと、半導体ウェーハを作製するための光リソグラフィーにおいて用いられる特定の投射用光学部品との特徴付けを高速かつ容易に行う能力が格段に進歩することが理解されるべきである。1回の露光、データ取得または視認工程から、1つのタイミングにおいて光学システムを特徴付ける貴重な情報を入手することが可能である。これにより、画像生成性能が高レベルで維持されるため、処理量および歩留りが大幅に増加する。
【0058】
(2.ホログラフィック試験レチクル)
上述したように、試験中、複数の周期的なパターンおよび他の構造を有する試験レチクルを用いて、光学システム(例えば、レンズ)を特徴付ける。例えば、図1に示すように、試験レチクル16上のパターンを用いて光学システム18を画像生成し、その結果、基板22上に画像データが記録される。基板22を調査して、後の工程において処理すべき画像データを取り出して、光学システムに関するパラメータ(例えば、焦点、像面湾曲、非点収差、コマ収差、焦平面偏差、球面収差、およびコヒーレンス変動)を決定する。
【0059】
試験レチクル16は、光学システム18の品質を試験するために用いられるため、正確な特徴付けを行うことができるように、試験レチクル16上のパターンをできるだけ正確にすることが好ましい。より詳細には、試験レチクル上の格子のラインおよびスペース(例えば、図4を参照)の寸法および配置を正確にすることが重要である。格子が不正確である場合、基板22上に記録された収差が光学システム18によって発生したものであるのかそれとも試験レチクル16によって発生したものであるのかを判定することが困難になる。
【0060】
レチクル(例えば、試験レチクル)を作製する従来の手段は、電子ビーム書込みツールおよびレーザ書込みツールを含む。これらの従来の技術は通常、後でまとめてスティッチされる大型のパターンのサブフィールドに書き込みを行い、より大型の合成フィールドパターンを生成する。サブフィールドが共にスティッチされると、レチクル書込みエラーが発生し得る。極めて高い開口数(VHNA)のリソグラフィックツールにおいて線幅が100nmを下回ると、これらの書込みエラーは、光学的画像生成システムを試験する能力を制限する要素となる。
【0061】
従って、以下の記載において、本発明によるホログラフィック試験レチクルを作製する方法およびシステムについて説明する。2つ以上の光学放射ビームを干渉させて、周期的な干渉パターン(例えば、格子および上述したような他の試験構造)を有する干渉体積を生成することにより、ホログラフィックレチクルが生成される。次いで、様々な記録技術(例えば、フォトレジストなど)を用いて、レチクルブランク上にこれらの干渉パターンを記録する。干渉する光学ビームの性質を用いて、干渉パターンの幾何学的構成を厳密に制御する。より詳細には、この幾何学的構成は、光の波長、波面の変動および露光構成(すなわち、干渉前後の光学放射の相対的ビーム角度)によって、制御される。電子ビーム技術またはレーザ書込み技術を用いて逐次的に書き込みを行う場合に比べて、これらの要素全てをずっと正確に制御することが可能である。さらに、このホログラフィック技術を用いれば、1回の通過でずっと大型のレチクル領域を書き込むことも可能である。そのため、電子ビームのサブフィールドをまとめてスティッチすることに起因する書込みエラーを完全に回避することができる。
【0062】
図20は、ホログラフィックレチクルを書き込みためのシステム2000を示す。このシステムは、レーザ2002と、スプリッタ2006と、波面操作光学部品2010と、干渉体積2012と、フォトレジスト2014を有するレチクルブランク2016とを含む。以下、システム2000について、フローチャート2100(図21)を参照しながら説明する。
【0063】
工程2102において、レーザ2002は、コヒーレントな光学放射2004を生成する。
【0064】
工程2104において、スプリッタ2006は、光学放射2004を2つ以上のビーム2008a、2008bにスプリットする。2つのビーム2008a、2008bは、分かり易くするために図示したものであり、ビームの数が所望の干渉パターンの種類に依存する場合、複数のビーム2008を生成することも可能である。
【0065】
工程2106において、波面操作光学部品2010は、ビーム2008の1つ以上の波面を操作し、その結果ビーム2011a、2011bが得られる。例示的光学部品2010は、レーザビームの波面を変更する際に用いられることの多い様々な光学コンポーネントを含み、そのようなコンポーネントの例を挙げると、レンズ、伸張器、コリメータ、空間フィルタ、鏡などがある(ただし、これらに限定されない)。具体的な例として、ピンホールを通じて収束するビームによって生成される球面波に空間フィルタリングを行うと、厳密に制御される波面が生成される。これらの波面は、波長、波面発散角度、伝搬距離およびビーム交差角度によって支配される。さらに、その結果得られるビーム2010がその後干渉体積を干渉させ、生成するように、光学部品2010のアラインメントをとる。
【0066】
その結果得られたビーム2011a、2011bは、その後のビーム干渉の間に所望の干渉パターンを生成する波面を有する。各ビーム2011の特定の種類の波面は、特定の所望の干渉パターンに依存する。例示的波面を挙げると、円筒形の波面、平面の波面、球面の波面セットなどがある(ただし、これらに限定されない)。本明細書中、特定の波面の組み合わせと、それに関連する干渉パターンについてさらに説明する。
【0067】
工程2108において、ビーム2011a、2011bを干渉させ、これにより、関連する干渉パターンを有する干渉体積2012を生成する。図20では、分かり易くするために2つのビームが干渉している様子を示しているが、ビームの数が所望の干渉パターンに依存する場合、本発明の範囲には、複数のビーム干渉も含まれる。
【0068】
工程2110において、レチクル2016上のフォトレジスト2014は、干渉体積2012と関連する干渉パターンを記録する。他の種類の記録媒体を用いることも可能であり、そのような記録媒体を挙げると、写真用フィルム、ホログラフィックフィルム、光屈折媒体、フォトポリマー、および、関連分野の当業者に理解されるような、他の既知の干渉パターンを記録するための手段(ただし、これらに限定されない)。
【0069】
工程2112において、フォトレジスト2014を現像して、所望の干渉パターンを有する試験レチクルを生成する。
【0070】
工程2114において、ホログラフィック試験レチクル(例えば、図1において説明した光学システム18)を用いて、光学システムの試験を行う。
【0071】
ホログラフィック的に試験レチクルに書込みを行うことによって得られる利点は多く有る。以下、このような利点のうちいくつかについて説明する。第1に、ホログラフィックパターニングは、電子ビーム技術よりも正確である。なぜならば、このパターニングによって得られる干渉パターンは、光の波長、干渉ビームの波面変動および露光構成の幾何学的構成によって決定されるからである。本発明を用いれば、従来の電子ビーム書込み技術およびレーザ書込み技術を用いる場合よりもこれらの要素全てをより正確に制御することが可能であり、これにより、従来の技術につきもののレチクル書込みのエラーが低減する。
【0072】
このような多大な精度の向上により、ホログラフィック技術を用いて、光学性能試験に共通する周期的な構造(例えば、格子)を容易に生成することができる。例えば、線形格子において、線幅ピッチの均一性を正確に制御することが可能であるため、ひずみが最小限になる。さらに、チャープ型格子において、様々なピッチパターンを精度良く生成することが可能である。したがって、光学システムの試験を、一連のラインサイズ、ライン配向およびパターンピッチを正確に制御しながら、行うことが可能となる。さらに、周期的な構造の位相シフトも正確に制御することが可能である。格子の位相シフトは、光学システム中の異常な光学収差を特徴付ける際に有用である。このような異常な光学収差は、画像平面におけるフィーチャシフトの原因となる。
【0073】
さらに、ホログラフィックパターニングを用いると、現在のレチクル書込みツール(例えば、電子ビームおよびレーザ書込みツール)よりもずっと小さな線幅を印刷することが可能となる。例えば、現在、電子ビーム技術は100nm以上に限定されており、一方、ホログラフィックパターニングでは、100nm未満そして50nmぐらいの小さな線幅を印刷することが可能である。
【0074】
(2a.詳細な構成および干渉形態)
ホログラフィーレチクルのパターニング、およびその結果として生じる干渉パターンの詳細な実施形態は、以下のように説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的としたものであり、限定することを意図したものではない。他の例示的実施形態は、本明細書中における議論に基づいて、当業者によって理解される。これらの他の例示的実施形態は、本発明の範囲および趣旨の範囲内にある。
【0075】
図22Aは、2つの球形ビームの干渉に基づくホログラフィーレチクルパターニング(またはライティング)の例示である。図22Aを参照して、光拡大器2204a、bは、光放射ビーム2202aおよび2202bを受け取る。拡大器2204a、bは、ビーム2206aおよび2206bとして表わされる拡大する球形波面ビーム2202a、bを有するためにビーム2202a、bを操作する。ビーム2206aおよび2206bは、示されるように、十分に線形格子パターンを有する干渉ボリューム2208を生成するために干渉する。線形格子パターンは、レチクルブランク2210上に記録される。格子パターンの線幅および線間距離(ピッチ均一性とも呼ばれる)は、ビームの波長、およびビーム干渉が生じる角度によって厳しく制御される。レーザが光源として用いられると、光波長が非常に正確で、かつ安定している。したがって、結果として生じる格子のピッチ均一性も非常に正確で、かつ安定し、電子ビームまたはレーザライティング技術を用いて達成されたものよりも改良される。
【0076】
図22Aにおいて、球形拡大ビームは、例示目的でのみ線形格子を作製するために図示され、限定することを意図しない。他の実施形態は、当業者によって理解される。例えば、長い経路長さの準(quasi)平面波ビームは、ピッチ均一性を改良するために用いられ得る。あるいは、さらなる光学レンズが、平面波を生成するためにビームをコリメートするのに利用され得る。換言すると、線形格子は、コリメートされた光を干渉することによって生成され得る。
【0077】
図22Bは、干渉パターン2212に関するシミュレーションを図示し、干渉パターン2212は球形の2つのビーム干渉によって生成される。そのシミュレーションは、パターン2212上のピッチ均一性における変動を表わす。干渉パターン2212の中心におけるボックス2214は、一定のピッチ均一性を有する領域を強調する。換言すると、線幅および線間距離は、ボックス2214内において本質的に一定である。対照的に、ボックス2216は、可変の(しかしながら制御された)ピッチ均一性を有するパターン2212の領域を強調する。より具体的には、ボックス2216における線幅および線間距離は増大しているが、既知の、および制御された割合で増大している。これはチャープ(chirped)格子として公知である。同様に、パターン2212の他の部分は、制御された割合で減少している線幅および線間距離を有する。
【0078】
図23A〜Eは、チャープ格子を有する干渉パターンを生成するためのホログラフィーレチクルパターニングを図示する。上述のように、図23B〜Eにおいてさらに図示されるように、チャープ格子は、一連の連続的に変化する線および線間距離を有する。チャープ格子は、多重露光を必要とすることなく、複数の線幅および線間距離に渡る光システムの解像歪を決定するために役に立つ。
【0079】
図23Aを参照して、ホログラフィーレチクル構成2300は、軸から外れた円筒波ビームおよび平面波ビームの組み合わせを表わし、これは、チャープ格子を有する干渉パターンを生成するために役に立つ。平らな波面を有する放射ビーム2310a、bは、示されるように、レチクル2306の下部に向って投影される。さらに、ミラー2302は、ビーム2310a、bに関して、角度αおよびβで放射ビーム2304a、bを、レチクル2306に向って投影する。ビーム2304a、bは、好適には、円筒波面を有し、地点2308で交わる。ビーム2310a、bおよび2304a、bは、チャープ格子パターンを有する干渉ボリュームを生成するために干渉し、そこでチャープ格子の特性は、円筒形の広がりの形状寸法および干渉ビーム波長によって影響される。
【0080】
図23B〜Eは、例示的チャープ格子の図示である。より具体的には、図23Bは円筒形区域平面格子2312を示し、線幅および線間距離は格子の中心で最大であり、格子の中心から格子の端に向かって小さくなる。図23Cは、逆円筒形区域平面格子2314を図示し、線幅および線間距離は、格子の中心において最小であり、格子の端において最大になる。図23Dは、複数のチャープ格子2318a〜eから構成される組み合せ(interlaced)チャープ格子2316を図示する。組み合せ格子2316は、成分格子2318を多重露光することによって生成され、レチクルブランクをy方向にて露光間を移動させる。組み合せ格子2316は、試験用の光学系の複数のフィールド地点において、解像ひずみが測定されることを同時に可能にする。図23Eは、円形区域プレートアレイを図示する。
【0081】
上述のように、ホログラフィーによって生成されたチャープ格子の特性(ピッチ変化等)は、干渉ビームの形状および波長によって影響される。その結果、ホログラフィーによって生成されたチャープ格子は、その広がりに渡って連続的であり、かつ滑らかに変化する。対照的に、離散パターニング方法は、通常、スキャンされたか、ラスター化されたか、またはピクセル化されたパターニング格子の線幅およびピッチを変化させる。これらの離散的シリアル方法は、パターニングビーム位置、ステージ位置およびスティッチング精度において一時的に変動するという点で難がある。
【0082】
図23Fは、組み合せチャープ格子2316を用いる光学システムの焦点決定を図示する。より具体的には、焦点曲線2320a〜eは、組み合せチャープ格子2316を用いる試験用の光学システム(図1における光学システム18等)を解像することによって生成される。それぞれの曲線2320は、隣接した格子2318における線幅に対応する(図1Aのz方向に)焦点深度を表す。格子2318における線幅の1つは、基準焦点(線幅2322等)を提供するために任意に選択され、他の線幅のための焦点深度は、示されるように、基準焦点に関連してプロットされる。
【0083】
図24は、ホログラフィー試験レチクル上でパターン化される実際の交差格子2400の原子間力マイクログラフを図示する。交差格子2400は、45度の角度で見られ、2組の直交線(すなわち2倍の形状寸法)を有する。
【0084】
図25は、3つの異なった配向(すなわち3倍対称性)の線を有するホログラフィー六角形パターン2500を図示し、したがって、これらの配向での解像ひずみが同時に測定されることを可能にする。これは、光学システムの解像ひずみがこれらの3つの配向で同時に測定されることを可能にする。n倍の対称性について以下において議論されるように、本発明は3倍対称性に限定されない。
【0085】
図26は、多角格子2600を図示し、これは複数の平面波ビームを干渉する/組み合わせる結果である。格子2600は、0度、45度、90度および135度の相対角度で交差するx−y面における交差線によって構成される。本発明は、この形状寸法に限定されない。以下に示されるように、マルチビーム干渉は、2倍形状寸法、3倍形状寸法、4倍形状寸法および一般的に、n倍形状寸法を有するレチクル上に合成サブミクロン形状寸法を生成するために用いられ得る。このn倍パターンは、線配向に依存する光学システムパラメータを精査するために用いられ得る。これらのパターンをホログラフィーによって生成する利点は、周期構造間の空間的関係が厳しく制約されるということである。さらに、これらのn倍パターンは、ひずみか、コマ収差(coma)か、または光学システムのひとみ(pupil)平面において、方位角に依存した非対称収差として分離可能である他の解像移動収差の収集のデカップリング(decoupling)において貴重である。
【0086】
実施形態において、格子2400における交差線2400は、正弦振幅を有し、この正弦振幅の強度は、関数[sin(x+y)*sin(x−y)*sin(x)*sin(y)]2に従って変化する。2成分のオン−オフ線を含む他の強度分布は、当業者によって理解されるように使用され得る。これらの他の振幅関数は、本発明の範囲および趣旨の範囲内にある。
【0087】
図27は、区域プレートアレイ2700を図示し、n倍の形状寸法を限界までとる。区域プレートアレイ2700は、可変の線幅および線間距離(すなわちチャープされた)を有する円を含む。アレイ2700の円形配向がもとで、すべての可能な線配向の解像ひずみは同時に測定され得、単一試験レチクルが用いられる。実施形態において、区域プレートアレイ2700は、球面ビームを生成するために、光放射の2つのビームを組み合わせる/干渉することによって生成される。
【0088】
(2b.位相シフト干渉パターン)
図28は、ホログラフィーパターン格子2802〜2806を図示し、これは周期格子のためのピッチ変動および位相シフトを集合的に例示する。より具体的には、格子2802の線幅および線間距離(すなわちピッチ)は、格子2804のピッチよりも極めて小さいので、格子2802および2804は、ピッチ変動を示す。格子2806の線は、格子2804における線と関連して、x方向に移動されるので、格子2804および2806は位相シフトを示す。
【0089】
あるいは、格子のデューティサイクル(または線対空間比)は、同じ格子ピッチを維持しながら連続的または調和して変化し得る。図29Aは、変化するデューティサイクルを用いて一定のピッチ格子を有するホログラフィーパターンを有するレチクルを図示する。図29Aにおいて、レチクル2900は、一定ピッチの格子2902を有する。しかしながら、プロフィルA2904において、格子2902のデューティサイクルは、線対空間比1:1であり、プロフィルB2906においては、格子2902のデューティサイクルは、線対空間比3:1である。1つのレチクル2900上に一定ピッチをともなうこのようなホログラフィーパターンを有することは、パターン全体が単一回折角度で干渉的に検索されることを可能にする。フォトリソグラフィシステムを、1組のホログラフィーパターンを用いて、それぞれ1レチクル上に一定のピッチで試験することによって、収差は、線対空間デューティサイクルの関数として製作された様々な誘導された解像移動および焦点移動に基づいて識別され、かつデカップル(decoupled)され得る。
【0090】
図29Bおよび図29Cは、レチクル2900のホログラフィーパターンがどのように形成されるかを図示する。図29Bは、均一の格子パターン2908を図示する。図29Cは、露光強度2910の変化のパターンを図示する。図29Cにおいて、露光強度は、下部2912においてより大きく、上部2914においてより小さい。下部2912と上部2914との間の露光強度は、これらの2つの部分2912、2914の値間で、漸進的に移行しながら連続的に変化する。ホログラフィーレチクルパターン2900は、露光強度2910が変化するパターン上の均一格子パターン2908を重ね合わせることによって形成される。当業者は、デューティサイクルパターンの任意の変化は、均一格子パターン上の露光強度の変化をともなうパターンを重ね合わせることによって生成され得ることを認識する。特に、露光強度の変化をともなうパターンは、露光強度がパターンの範囲を横断して高値から低値へ移行するパターンに限定されない。
【0091】
図30は、例えば、図28の格子2804および2806の間の位相シフトなどの、制御された位相シフトを生成するための位相制御システム3000を示す。制御システム3000は、光学検出器3004および3006、制御入力3008、および差分モジュール3010を含む。制御システム3000は、フリンジロッキング能力(fringe locking capacity)内で操作され得、および/または、制御信号3008に基づく意図的な格子の位相シフトを実行するために使用され得る。
【0092】
光学検出器3004および3006は、ホログラフィック干渉パターン3002の異なる点において光強度を測定するために配置され、強度信号3005および3007をもたらす。本発明の一実施形態において、検出器3004および3006は、光学検出ダイオード、または検出される光の強度と比例する電気信号を生成する同等のデバイスである。
【0093】
差分モジュール3010は、強度信号3005および3007、ならびに制御信号3008を受け取る。差分モジュール3010は、強度信号3005に制御信号3008を加え、次いで強度信号3007を引くことにより、差分信号3011を決定する。フリンジロッキングの間、制御信号3008は実質的に0であり、従って、差分信号3011は、検出器3004および3006によって計測される光強度間の差異を表す。差分信号3011が約0の場合、検出器3004および3006は、ほとんど同じ光強度を受け取り、従って、各フリンジ上の同じ対応する位置を監視する。差分信号3011が約0でない場合、検出器3004および3006は、光フリンジの同じ部分にまたがっていない。
【0094】
差分信号3011は、干渉パターン3002を生成するために使用された干渉ビームの内の1つの位相をずらすミラーデバイス、水晶デバイス、または別の光学デバイス(図示せず)を制御するために使用される。差分信号3011が約0である場合、動作は起きない。差分信号3011が0でない場合、干渉ビームの位相がずらされて、干渉(またはフリンジ)パターン3002の位相をずらす。フリンジロッキングのために、フリンジパターン3002の位相がシフトすることにより、検出器3004および3006は、同等の強度の光を検出し、従って、差分信号3011を約0にする。フリンジロッキングは、振動および他のランダムな妨害などによる位相シフトの小さな修正を行うのに有用である。下記でさらに説明するように、信号3005および3007が等しい場合も、フリンジロッキングと対照的に、0でない制御信号3008を導入することにより、意図的な位相シフトがフリンジパターン3002内に導入され得る。
【0095】
図31に示すように、位相制御システム3000は、レチクル書き込みシステム3100内に組み込まれ得、制御された相対的な位相のずれた格子を有するホログラフィック試験レチクルを書き込み得る。レチクル書き込みシステム3100は、システム2000(図20)に類似しており、それに、位相コントローラ3000および位相シフトデバイス(phase shifting device)3102が加えられる。位相コントローラ3000は、干渉体積(interference volume)2012を分析し、上記のように、干渉体積2012および制御信号入力3008に基づいて、差分信号3011を生成する。差分信号3011は、マニピュレーション光学2010内の位相シフトデバイス3102を制御し、これにより、ビーム2011aの位相をずらし、その結果、制御信号3008に基づく干渉体積2012内に位相のずれを生成する。従って、干渉体積2012は、制御信号3008を変化させることにより、種々の量において、位相をずらされ得る。移相デバイス3102は、光学ビームの位相をシフトさせるのに有用なミラーデバイス、水晶デバイス、または別の光学デバイスであり得る。デバイス3102の他の具体的な実施形態として、以下が挙げられる:反射アレイ、屈折アレイ、もしくは回折アレイ;電気変形可能(electro−deformable)デバイス;音響光学デバイス;例えば、圧電駆動ミラーまたはバイモルフ駆動ミラーなどであるが、これらに限定されないナノ動作(nano−actuated)光学デバイス;反射性、回折性、または屈折性のナノ変形可能(nano−deformable)ミラーアレイ;MEMSミラーアレイ;電気変形可能ホログラム;および電子フリンジロッキングシステム。
【0096】
さらに、複数の位相シフト格子(図28に示すように)は、制御信号3008に対して異なる電圧を用いて、レチクルブランクを複数回露出することにより、システム3100を使用して生成され得る。フローチャート3200(図32)は、複数の位相シフト格子の生成についてより詳細に説明する。
【0097】
図32を参照すると、ステップ3202において、制御信号3008の電圧が、基準電圧に設定される。ステップ3204において、レチクルブランクが、ホログラフィック干渉体積に露出されて、基準電圧に対応する基準格子を記録する。ステップ3206において、レチクルブランクは、格子の所望の位相のずれに対して垂直な方向に動かされる。例えば、図28において、最初に格子2804が印刷されると、次いでレチクルは、y方向に動かされて、格子2806を印刷する。ステップ3208において、制御信号3008の電圧が変化して、ホログラフィック干渉体積内に位相のずれをもたらす。ステップ3210において、レチクルブランクは、(位相がずれた)ホログラフィック干渉体積に再露出されて、ステップ3204において生成された基準格子と比べて位相がずれている格子を記録する。ステップ3206〜3210は、相対的な位相のずれを有する複数の格子を生成するために、複数回繰り返され得る。この技術を用いて、格子間の極めて正確な位相シフトが実現され得る。実施形態において、線幅の微小な部分の位相シフトが達成され得る。サブミクロンの線幅は、オングストローム範囲内の制御された位相シフトを達成することが可能である。
【0098】
(2c.レチクル読み取り分析)
上述のように、本明細書中で説明される試験レチクルは、好適には、光学システムのテストを行うために利用される。例えば、図1に示すように、光学システム18は、試験レチクル16と共に描かれ、試験レチクル16は、ホログラフィックに生成された試験レチクルであり得る。結果の画像データは、感光性基板22の上に記録され、その後、光学システム18を特徴づける情報を抽出するために分析され得る。あるいは、結果の画像データは、復調デバイスを用いてリアルタイムに見るために提示され得る。
【0099】
図7に示すように、感光性基板22は、干渉技術(interferometric techniques)を用いて分析されて、試験用の光学システムの特性を決定する。結果の干渉写真は、露光された基板22から干渉により回折される光の位相面(phase front)における変化を表す。
【0100】
図33は、干渉写真3300の例を示し、試験用の光学デバイスの3x3フィールドアレイにおける回折された光の位相面を表す。干渉写真3300は、例示的なホーン3302などのホーンによって描かれる9つのブロック(3x3アレイに対応する)を含む。各ブロックは、チルトおよびピストンによって特徴づけられ、チルトおよびピストンは、試験用の光学システムのアレイフィールドにおける収差および歪曲の量を定める。不均一な歪曲パラメータは、ローカルピストンおよびローカルチルトに基づいて分析され得る。より具体的には、チルトは、ブロックの角度を参照し、反射された光の倍率、および試験用の光学システムのテレセントリック性(telecentricty)を表す。ピストンは、ブロックの高さを参照し、反射された位相面の変換差異を表し、従って、試験用の光学システムによって引き起こされる位相シフトを表す。
【0101】
一旦特徴づけられると、光学システムの歪曲および収差は、光学線幅に対してプロットされ得る。例えば、グラフ3400(図34)は、コマ(非対称収差)によって引き起こされる歪曲と光学線幅との関係を示す。他の光学システムの特性も、光学線幅に対して量を定めプロットされ得る。他の光学システムの特性は、ゼルニケ収差、焦点、像面湾曲、非点収差、コマ、歪曲、テレセントリック性、焦平面偏差、球面収差、およびコヒーレンス変化を含むが、これらに限定されない。従って、不均一な歪曲パラメータは、線幅における変化の関数として検出され得る。当業者は、チャープ格子構造を用いることにより、非線形位相面が、単一のホログラフィックレチクル上で実現され得ることを理解する。
【0102】
グラフ3400は、線幅および収差の種類の関数として、どのように画像のずれが生じ得るかの例を示す。グラフ3400、および他の光学システムの特性のために作成される同様のグラフは、光リソグラフィシステムの最も焦点が合う位置において得られるデータから作成される。しかし、画像オフセットの規模は、リソグラフィフィーチャー(lithographic feature)を描くために使用される光学照明の部分干渉性(PC)によって大きな影響を受ける。図35Aおよび図35Bは、部分干渉性が画像オフセットにどのように影響するかを示す。グラフ3500A(図35A)は、光学照明の部分干渉性が0.6の場合の画像シフトを、種々の線幅に対して焦点の関数として示す。グラフ3500B(図35B)は、光学照明の部分干渉性が0.3の場合の画像シフトを、種々の線幅に対して焦点の関数として示す。当業者は、部分干渉性の条件が異なることによる相対的なずれの差異を比較することは、より低い収差次数からより高い収差次数を逆重畳積分(deconvolving)するための別の方法であると理解する。
【0103】
線幅の関数として相対的な画像シフトを測定することは、各線幅が基本の線幅サイズの整数倍となるような種々の線幅を有するレチクルを使用することにより単純化され得る。テーブル3600(図36)は、このパターンを示す。テーブル3600は、異なる回折角における回折の線幅および次数の関係を示す。回折角は、文字として表される。例えば、100nm、200nm、300nm、400nm、および600nmの寸法の線幅を有するレチクルを考慮する。この場合、線幅200nmの第2回折次数は、線幅100nmの第1回折次数と同じ角度である。同様に、線幅600nmの第3回折次数は、線幅200nmの第1回折次数と同じ角度である。従って、線幅のセットを有するレチクルは、同じ干渉の角度において、相対的な画像シフトのために測定され得る。これにより、試験の条件下で、単一のサンプル角において全てのデータが収集されることが可能になる。これは、試験が行われ得る速度を改善する。そしてまた、収集されるデータの頑強性および感応性を改善する。
【0104】
(3.結論)
本明細書中、本発明の方法および構成要素の例としての実施形態が説明された。他の箇所でも示すように、これらの例としての実施形態は、例示のみを目的として記載されており、限定しない。他の実施形態も可能であり、本発明の範囲内である。そのような他の実施形態は、本明細書中に含まれる教示に基づいて、関連分野(単数または複数)の当業者に明らかである。従って、本発明の幅および範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでないが、請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 図1Aは、光リソグラフィックシステムの模式図である。
【図1B】 図1Bは、復調デバイス24を備える光リソグラフィックシステムの模式図である。
【図2】 図2は、レチクルスペースまたはオブジェクトスペースの斜視図である。
【図3】 図3は、感光性基板または画像スペースの斜視図である。
【図4】 図4は、複数の周期的な構造またはその上のパターンを有する試験レチクルを示す平面図である。
【図5A】 図5Aは、1つの種類の格子パターンまたは周期的なパターンもしくは構造を示す平面図である。
【図5B】 図5Bは、別の種類の格子パターンまたは周期的なパターンもしくは構造を示す平面図である。
【図6】 図6は、光学システムの特徴付けの際に用いられるデータの取得を示す模式図である。
【図7】 図7は、本発明の一実施形態の高レベルの方法工程を示すブロック図である。
【図8A】 図8Aは、体積スペースの模式図である。
【図8B】 図8Bは、感光性基板上に形成された画像の模式的平面図である。
【図9A】 図9Aは、レチクル上のパターンの一部分の一実施形態の模式的平面図である。
【図9B】 図9Bは、図9Aに示す実施形態に基づいた非点収差の検出を示す模式的斜視図である。
【図10A】 図10Aは、レチクルを示す模式的平面図である。
【図10B】 図10Bは、レチクルパターンの一部を示す模式的平面図である。
【図11A】 図11Aは、レチクル上のパターンの一部の別の実施形態の模式的平面図である。
【図11B】 図11Bは、図11Aに示す実施形態に基づいた非点収差の検出を示す模式的斜視図である。
【図12】 図12は、球面収差を検出する際に用いられるレチクルパターンの一部を示す模式的平面図である。
【図13】 図13は、レチクルを異なるフィーチャセットまたはパターン部分に分割して、光学システムの特徴付けの際に用いられる異なる収差を検出する様子を示す、模式的平面図である。
【図14】 図14は、干渉計マップのグラフィカルな斜視図であり、本発明の一実施形態における光学システムのひずみまたは収差を検出する様子を示す。
【図15】 図15は、本発明の一実施形態を用いて検出することが可能な異なるひずみまたは収差を示すグラフである。
【図16A】 図16は、図15に示す異なるひずみまたは収差の全体をグラフィックとして示す。
【図16B】 図16Bは、図15に示す異なるひずみまたは収差の全体をグラフィックとして示す。
【図16C】 図16Cは、図15に示す異なるひずみまたは収差の全体をグラフィックとして示す。
【図16D】 図16Dは、図15に示す異なるひずみまたは収差の全体をグラフィックとして示す。
【図17】 図17は、光学システムの最良の焦点を得るために用いられる本発明の一実施形態を示す感光性基板の平面図である。
【図18】 図18は、本発明の一実施形態における球面収差の検出を示すグラフである。
【図19A】 図19Aは、画像生成を向上させるためのレチクルの最適な配置を検出するための本発明の一実施形態を示す模式的平面図である。
【図19B】 図19Bは、図19Aに示す本発明の実施形態において用いられるレチクルの模式的平面図である。
【図20】 図20は、本発明の一実施形態による、ホログラフィックレチクル書込みシステムを示す。
【図21】 図21は、本発明の一実施形態に従ってホログラフィックレチクルの書込みを行う際のフローチャートを示す。
【図22A】 図22Aは、本発明の一実施形態によるホログラフィックパターンによって生成された球面状の2つのビームの干渉を示す。
【図22B】 図22Bは、本発明の一実施形態による球面状の2つのビームの干渉の際のピッチ均一性を示す。
【図23A】 図23Aは、本発明の一実施形態による、ホログラフィックパターニングを用いたチャープ格子を作製するためのシステムを示す。
【図23B】 図23Bは、本発明の一実施形態によるホログラフィックパターニングによって生成された様々なチャープ格子を示す。
【図23C】 図23Cは、本発明の一実施形態によるホログラフィックパターニングによって生成された様々なチャープ格子を示す。
【図23D】 図23Dは、本発明の一実施形態によるホログラフィックパターニングによって生成された様々なチャープ格子を示す。
【図23E】 図23Eは、円形のゾーンプレートアレイを示す。
【図23F】 図23Fは、本発明の一実施形態による、組み合わせ模様のチャープ格子を用いた光学システムの焦点決定工程を示す。
【図24】 図24は、本発明の一実施形態に従って試験レチクル上にホログラフィック的にパターニングされた交差格子の原子間力マイクログラフを示す。
【図25】 図25は、本発明の一実施形態に従ったホログラフィックパターニングによって生成されたホログラフィック六角形パターンを示す。
【図26】 図26は、本発明の一実施形態に従ったホログラフィックパターニングによって生成された多角形格子を示す。
【図27】 図27は、本発明の一実施形態に従ったホログラフィックパターニングによって生成されたゾーンプレートアレイを示す。
【図28】 図28は、本発明の一実施形態による、ホログラフィック的にパターニングされた格子を示す。これらの格子は、ピッチ変化および位相変化を集合的に示す。
【図29A】 図29Aは、ホログラフィックパターンを有するレチクルを示し、格子のピッチの格子は一定であり、デューティサイクルは変動する。
【図29B】 図29Bは、レチクル2900のホログラフィックパターンを形成する方法を示す。
【図29C】 図29Cは、レチクル2900のホログラフィックパターンを形成する方法を示す。
【図30】 図30は、本発明の一実施形態による、ホログラフィック的に生成された格子の位相シフトを正確に制御するための位相制御システムを示す。
【図31】 図31は本発明の一実施形態による、位相シフト制御を正確に行うホログラフィックレチクル書込みシステムを示す。
【図32】 図32は、本発明の一実施形態による、ホログラフィック的に生成された格子の位相シフトの変動のフローチャート3200を示す。
【図33】 図33は、本発明の一実施形態による干渉写真を示す。
【図34】 図34は、本発明の一実施形態による、試験中の光学システムのひずみと光学線幅との間の関係のグラフを示す。
【図35A】 図35Aは、部分的コヒーレンスが画像オフセットに影響を与える様態を示す。
【図35B】 図35Bは、部分的コヒーレンスが画像オフセットに影響を与える様態を示す。
【図36】 図36は、各線幅が基本的な線幅サイズの整数倍になるように様々な線幅のレチクルを用いることにより、相対的な画像シフトの測定を線幅の関数として簡略化する方法を示す。
【符号の説明】
42 信号プロセッサ
44 光学システム特徴付け器
2002 レーザ
2006 スプリッタ
2010 波面操作光学部品
2012 干渉体積
2014 フォトレジスト
2016 レチクル
3000 位相コントローラ
3008 制御信号

Claims (13)

  1. 複数の異なる周期的なフィーチャが設けられたホログラフィックレチクルを用いる、光学システムを特徴付ける方法であって、該方法は、
    (1)前記光学システム内の光ビームの経路内に前記ホログラフィックレチクルを配置する工程と、
    (2)前記ホログラフィックレチクルを含む第一の平面に対して、前記ホログラフィックレチクルを通過した前記光ビームによって生成される前記複数の異なる周期的なフィーチャの画像が記録される第二の平面を斜めに設定し、前記画像を、異なる焦点深度で同時に記録する工程と、
    (3)前記光学システムを特徴付ける、前記複数の異なる周期的なフィーチャの画像の前記焦点深度に沿った特性を測定する工程と、
    含む方法。
  2. 工程(3)は、前記フィーチャ画像シフトを抽出する工程を包含する、請求項に記載の方法。
  3. 工程(3)は、前記光学システムを特徴付ける復調デバイスを用いて、リアルタイムに前記画像を分析する工程を包含する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 工程(3)は、ゼルニケの収差を抽出するために前記画像を分析する工程を包含する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程(3)は、前記光学システムの少なくとも一つの光パラメータを表す、1つ以上の傾斜及び一つ以上のピストンを有する干渉写真を生成するために、干渉により前記画像を分析する工程を包含する、請求項に記載の方法。
  6. (a)前記ピストンに基づいて、前記画像シフトを検出する工程と、
    (b)前記傾斜に基づいて、拡大パラメータを検出する工程と、
    をさらに包含する、請求項に記載の方法。
  7. (c)前記ピストン及び前記傾斜に基づいて、不均一な歪曲パラメータを検出する工程をさらに包含する、請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記不均一な歪曲パラメータは、線幅の変化の関数として検出される、請求項に記載の方法。
  9. 前記不均一な歪曲パラメータは、チャープ格子構造の非直線位相面から検出される、請求項に記載の方法。
  10. 工程(3)は、前記画像と別に記録された画像とを比較し、前記光学システム内の高い収差次数を、低い収差次数から逆重畳積分する工程を包含する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記比較工程は、前記記録された画像の異なる一部コヒーレントな状態に起因した相対的なシフトを判定する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ホログラフィックレチクルは、各線幅が基本的な線幅の整数倍であるような線幅のパターンを含む、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 工程(3)は、1つの干渉の角度での相対的な画像シフトの前記画像を分析する工程を包含する、請求項12に記載の方法。
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