以下、発明を実施するための最良の形態としての本発明の実施形態に係る検査用光ディスク、並びに該検査用光ディスクの製造方法について順に説明する。
(検査用光ディスクの実施形態)
本実施形態に係る検査用光ディスクは上述の課題を解決するために、ディスク状基板と、該ディスク状基板上に光学的に情報記録可能に形成されており、レーザ光が照射されることによって、検査対象である光学式情報装置に係る記録再生プレイアビリティチェック用に、ディフェクトとされたエリアを含む記録層とを備える。
本実施形態によれば、例えばBD等の高密度光ディスクからなる検査用光ディスクは、ディスク状基板を備える。そして、このディスク状基板上に光学的に情報記録可能に記録層(一回又は複数回記録可能な記録層)が形成されている。この記録層には、検査対象である光学式情報装置(例えば、光ディスクドライブ或いは光ディスクレコーダ)に係る記録再生プレイアビリティチェック用に、レーザ光が照射されることによってディフェクトとされたエリアが含まれる。本発明に係る「記録再生プレイアビリティ」とは、光学式情報装置の記録再生性能を表す指標であり、具体的には、ディフェクトとされたエリアが、ある程度存在しても、ディフェクト管理、エラー訂正等の何らかの手法によって、記録層に記録された情報を再生し、記録層に情報を記録することが可能か否かを示す。そして例えば、記録層に検査用光ディスクの使用条件外の条件でレーザ光が照射されると(例えば、1度だけ記録可能な光ディスクにレーザ光が複数回照射されると、或いは通常の記録用パワーよりも強いパワーで照射されると)、照射されたエリアがディフェクトとされる。この際、光学式情報装置に元々備わる照射手段によってレーザ光を照射すれば、例えば番地を指定したエリアをディフェクトとすることができ、非特許文献1に挙げられた摩擦によるディフェクトに比べて再現性の高い検査用光ディスクが比較的容易に作成されることとなる。
以上の結果、再現性の高いディフェクトを有する検査用光ディスクを提供することができる。この検査用光ディスクを用いれば、光学式情報装置に係る記録再生プレイアビリティチェックを再現性及び信頼性高く行うことができるので、実践上非常に便利である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの一態様では、前記エリアは、前記光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以上のサイズを有し、前記記録再生プレイアビリティチェックは、前記光学式情報装置に係るディフェクトマネジメントについてのチェックである。
この態様によれば、エリアは、光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以上のサイズであるので、エラー訂正は不能であるが、正常系の光学式情報装置に係るディフェクトマネジメントによって退避が可能なサイズである。ここに「以上の」とあるが、文字通りの意味のみならず「を超える」という意味も含んでよい趣旨である。従って、このようなサイズのエリアを故意にディフェクトとすれば、ディフェクトマネジメントが正常に機能しているか否か、即ち光学式情報装置に係るディフェクトマネジメントについてのチェックが可能となる。
本実施形態に係る検査用光ディスクの他の態様では、前記エリアは、前記光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以下のサイズを有し、前記記録再生プレイアビリティチェックは、前記エラー訂正についてのチェックである。
この態様によれば、エリアは、光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以下のサイズであるので、正常系の光学式情報装置によってエラー訂正が可能なサイズである。ここに「以下の」とあるが、文字通りの意味のみならず「を下回る」という意味も含んでよい趣旨である。従って、このようなサイズのエリアを故意にディフェクトとすれば、エラー訂正が正常に機能しているか否か、即ちエラー訂正についてのチェックが可能となる。
本実施形態に係る検査用光ディスクの他の態様では、前記エリアは、連続的又は段階的に前記ディフェクトの程度が変化するように前記ディフェクトとされている。
この態様によれば、例えば検査用光ディスクの記録層に対して照射されるレーザ光の記録パワーを連続的又は段階的に調整することで、記録層上のディフェクトの程度(以下、「ディフェクトレベル」とも言う)も連続的又は段階的に調整される。従って、この検査用光ディスクを用いれば例えば、訂正物理ブロックのエラーレートからディフェクトレベルを訂正容易、訂正困難及び訂正不能の3段階に振り分けて、ディフェクトの発生を予測するような高度なディフェクトマネジメントを行う光学式情報装置を検査することができる。或いは例えば、ディフェクト管理、エラー訂正等についてのディフェクトに対する対応能力の高低や装置間の個体差を、連続的又は段階的に定量評価することが可能となる。
本実施形態に係る他の検査用光ディスクは上述の課題を解決するために、ディスク状基板と、該ディスク状基板上に光学的に情報記録可能に形成されており、グルーブトラック及びランドトラックを有すると共にグルーブ記録用であり、検査対象である光学式情報装置に係る記録再生プレイアビリティチェック用に、少なくとも前記ランドトラックがディフェクトとされたエリアを含む記録層とを備える。
本実施形態によれば、検査用光ディスクは、ディスク状基板と、該ディスク状基板上に記録層(一回又は複数回記録可能な記録層)とを備える。そして、この記録層がグルーブトラック及びランドトラックを有し、グルーブ記録用となっている。即ち、その通常の記録時や通常の再生時には、グルーブトラックにレーザ光が照射され、情報が記録或いは再生されることになる。しかるに本実施形態では特に、記録再生プレイアビリティチェック用のエリアにおいて、典型的にはグルーブトラックではなくランドトラックに対して、レーザ光が照射されることによって、ディフェクトとされる。具体的に例えば、光学式情報装置がグルーブトラックの所定エリアをディフェクトとした後、トラッキングの極性を反転してランドトラックを再生し、メインビーム或いはサブビームでアドレスサーチを行い、先のグルーブトラックに係る所定エリアと隣接するランドトラックもディフェクトとする。すると、例えば複数のグルーブトラックに渡って連続するような、光ディスクの径方向に広がるエリアをディフェクトとすることができる。この際、実際の指紋等が1グルーブトラック内に限られることは稀であることに鑑みれば、一層実践的な検査用光ディスクが比較的容易に且つ再現性高い検査用光ディスクであると言え、検査対象である光学式情報装置に係る記録再生プレイアビリティチェックが好適に行われるのである。或いは、係る記録再生プレイアビリティチェック用のエリアにおいて、グルーブトラックがディフェクトとされることなく、ランドトラックのみが、ディフェクトとされていてもよい。グルーブ記録用の光ディスクであっても、ランドトラックをディフェクトとすれば、トラッキングやウォブリング等に係る記録動作や再生動作に支障をきたすことになるので、結局、グルーブトラック自体をディフェクトとしなくても、トラック全体としてはディフェクトとなるのである。更に、レーザ光の照射以外の何らかの物理的、機械的又は化学的な手段が、例えばディスク状基板の形成時や記録層の形成時に、ランドトラックに対して施されることによって、係るランドトラックがディフェクトとされていてもよい。
(検査用光ディスクの製造方法の実施形態)
本実施形態の検査用光ディスクの製造方法は上記課題を解決するために、ディスク状基板と該ディスク状基板上に光学的に情報記録可能に形成された記録層とを備える光ディスクを、レーザ光を照射するための位置にセットする工程と、前記光ディスクに対して、前記レーザ光を照射することによって、前記記録層の一部であるエリアを、検査対象である光学式情報装置に係る記録再生プレイアビリティチェック用に、ディフェクトとする工程とを備える。
本実施形態の検査用光ディスクの製造方法によれば、上述した本実施形態の検査用光ディスクの場合と同様の検査用光ディスクを製造することが可能となる。尚、本実施形態の検査用光ディスクの製造方法においても、上述した本実施形態の検査用光ディスクにおける各種態様と同様の各種態様の検査用光ディスクを比較的容易にして製造可能である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の一態様では、前記エリアは、前記光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以上のサイズを有し、前記記録再生プレイアビリティチェックは、前記光学式情報装置に係るディフェクトマネジメントについてのチェックである。
この態様によれば、上述した本実施形態の検査用光ディスクにおける態様と同様に、光学式情報装置に係るディフェクトマネジメントについてのチェックが可能な検査用光ディスクを比較的容易にして製造可能である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記エリアは、前記光学式情報装置に係るエラー訂正の単位となる一訂正物理ブロック以下のサイズを有し、前記記録再生プレイアビリティチェックは、前記エラー訂正についてのチェックである。
この態様によれば、上述した本実施形態の検査用光ディスクにおける態様と同様に、光学式情報装置に係るエラー訂正についてのチェックが可能な検査用光ディスクを比較的容易にして製造可能である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記光ディスクは、一度だけ記録可能な光ディスクであり、前記ディフェクトとする工程は、前記エリアに対して、前記レーザ光を二度照射する。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、一度だけ記録可能な光ディスク上のエリアに対して、レーザ光が二度照射される。その結果、レーザ光が照射されたエリアを好適にディフェクトとすることができる。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記光ディスクは、複数度記録可能な光ディスクであり、前記ディフェクトとする工程は、前記エリアに対して、前記レーザ光の記録パワーを、前記光ディスクに対する通常の記録で用いられるレベルより高いレベルにしつつ、二度以上照射する。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、複数度記録可能な光ディスク上のエリアに対して、記録パワーが光ディスクに対する通常の記録で用いられるレベルより高いレベルにされたまま、レーザ光が二度以上照射される。尚、記録パワーを通常の記録で用いられるレベルと同等のまま、光ディスクの耐久回数を超えてレーザ光を照射してもよい。或いは、1度の照射で上記エリアをディフェクトとするような高い記録パワーで、レーザ光を1度照射するようにしてもよい。こうして、いずれにせよ結果的に、レーザ光が照射されたエリアを信頼性及び再現性高くディフェクトとすることができる。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、ディフェクトとする工程は、前記エリアに対して、前記レーザ光を、前記光ディスクに対する通常の記録で用いられる照射状態とは異なる照射状態としつつ、照射する。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、エリアに対して、レーザ光が、光ディスクに対する通常の記録で用いられる照射状態とは異なる照射状態とされたまま、照射される。例えば、後述するように、フォーカス位置或いはトラッキング位置が通常の記録で用いられる位置からずらされたまま、エリアに対してレーザ光が照射される。このようにして、レーザ光が照射されたエリアを信頼性及び再現性高くディフェクトとすることができる。
この異なる照射状態に係る態様では、前記異なる照射状態とは、前記記録層に対するフォーカス位置が、通常の記録で用いられるフォーカス位置からずらされている状態としてもよい。
このように製造によれば、記録層に対するフォーカス位置が、通常の記録で用いられるフォーカス位置からずらされたまま、エリアに対してレーザ光が照射される。このようにして、レーザ光が照射されたエリアを信頼性及び再現性高くディフェクトとすることができる。
或いはこの異なる照射状態に係る態様では、前記異なる照射状態とは、前記記録層に対するトラッキング位置が通常の記録で用いられるトラッキング位置からずらされている状態としてもよい。
このように製造すれば、記録層に対するトラッキング位置が、例えばトラッキングオフセットが加えられることによって通常の記録で用いられるトラッキング位置からずらされたまま、エリアに対してレーザ光が照射される。このようにして、レーザ光が照射されたエリアを信頼性及び再現性高くディフェクトとすることができる。例えば、片側のウォブルのディフェクトの程度を相対的に悪くできる。
尚、異なる照射状態とするには、上述のフォーカス位置或いはトラッキング位置のみならず、記録ストラテジ、ディスクチルト或いはビームスポット径を通常の記録で用いられる状態からずらしてもよい。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記ディフェクトとする工程は、連続的又は段階的に前記ディフェクトの程度が変化するように、少なくとも記録パワーを変化させつつ前記レーザ光を照射する。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、連続的又は段階的にディフェクトの程度が変化するように、少なくとも記録パワーを変化させつつ、エリアに対してレーザ光が照射される。例えば、記録パワーを連続的に上げると、ディフェクトの程度(例えばエラーレート)が連続的に下がる。このようにして、任意の特性の検査用光ディスクを信頼性及び再現性高く製造することができる。
或いは本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記ディフェクトとする工程は、直流記録パワーで前記レーザ光を照射する。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、エリアに対して直流記録パワーでレーザ光が照射される。従って、信頼性及び再現性の高い検査用光ディスクを、容易にして製造可能である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記ディフェクトとする工程は、当該レーザ光を照射する装置におけるサーボゲインを固定しつつ、前記レーザ光の記録パワーを高める。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、レーザ光を照射する装置におけるサーボゲインが固定されるとともに、レーザ光の記録パワーが高められる。換言すれば、サーボがオープンにされ、記録パワーが通常でない記録パワーに固定された状態で、レーザ光が照射される。このようにすれば、レーザ光を照射する装置が正規のトラックから故意に外れた場合でも、トラッキングサーボによって不必要な自動調整が行われないので、製造される検査用光ディスクの品質が更に向上する。このように信頼性及び再現性の高い検査用光ディスクを、容易にして製造可能である。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記記録層は、グルーブトラック及びランドトラックを有すると共にグルーブ記録用であり、前記ディフェクトとする工程は、前記レーザ光を前記ランドトラックに対して照射する。
この態様によれば、複数のグルーブトラックに渡って連続するような、より大規模なエリアがディフェクトとされた検査用光ディスクを製造でき、例えば、ランドトラックの機能を無効化した際のクロストークの影響を検査することも可能となる。具体的には、目的のグルーブトラックに記録した後、トラッキングの極性を反転してランドトラックを再生し、サブビーム(可能ならメインビーム)でアドレスをサーチし、グルーブと同じ(つまり隣接する)箇所のランドトラックにレーザ光を照射するとよい。或いは、係る記録再生プレイアビリティチェック用のエリアにおいて、グルーブトラックをディフェクトとすることなく、ランドトラックのみを、ディフェクトとしてもよい。更に、レーザ光の照射以外の何らかの物理的、機械的又は化学的な手段をランドトラックに対して施すことで、係るランドトラックをディフェクトとしてもよい。
本実施形態に係る検査用光ディスクの製造方法の他の態様では、前記記録層はウォブルが付けられたグルーブトラック及びランドトラックの少なくとも一方のトラックを有し、前記ディフェクトとする工程は、前記少なくとも一方のトラックについて、一方の片側にあるウォブルに対して、他方の片側より強く前記レーザ光を照射してもよい。
この態様によれば、ディフェクトとする工程において、例えばトラッキングオフセットが与えられて、記録層が有するグルーブトラック或いはランドトラックの少なくとも一方の片側にあるウォブルに対して、他方の片側より強くレーザ光が照射される。このようにして、片側のウォブルの特性を相対的に劣化させた検査用光ディスク、即ち、特定のエリアにおいてディフェクトを有する検査用光ディスクを比較的容易にして製造できる。
以上詳細に説明したように、本実施形態の検査用光ディスクによれば、ディスク状基板及び記録層を備え、本実施形態の検査用光ディスクの製造方法によれば、セットする工程及びディフェクトとする工程を備えるので、比較的信頼性及び再現性の高い検査用光ディスクを提供することが可能となる。
本実施形態の作用及び他の利得は次に説明する実施例から明らかにされよう。
以下、本発明の実施例を図面に基いて説明する。
(1)第1実施例
第1実施例に係る、検査用光ディスクをレーザ光の照射によって製造可能であり、更に、製造された検査用光ディスクを用いてのディフェクト管理能力等の検査の対象ともなる光学式情報装置の構成及び動作処理を図1から図6を参照して説明する。
(1−1)構成
先ず、本実施例に係る検査用光ディスクが設置された光学式情報装置の構成について、図1を参照して説明する。ここに、図1は、検査用光ディスクを製造可能であって、更に、ディフェクトマネジメント及びエラー訂正が可能な光学式情報装置のブロック図及び光ディスクの拡大図である。
図1に示すように、本発明に係る「検査用光ディスク」の一例としての光ディスク100が設置された光学式情報装置300は、スピンドルモータ351と、光ピックアップ352と、RFアンプ353と、サーボ回路354と、変調復調部355と、バッファ356と、インターフェース357と、レーザ光駆動部358と、ディフェクト検出部359と、ディフェクト管理情報作成部360と、CPU361と、システムコントロール400と、を備えており、例えば光ディスク100を、以下に示すようにディフェクトを設けることで、検査用光ディスク100を製造可能に構成されている。
更に、ここで製造された検査用光ディスク100を用いれば、光学式情報装置300やこれと同様又は類似のディフェクト管理等を行う各種プレーヤやレコーダに係る記録再生プレイアビリティチェックを行うことも可能である。
光ディスク100は、例えばBD或いはDVDであり、拡大された断面図に示すように、基板1001と、記録層1002と、保護層1003とを積層して成る。基板1001は、本発明に係る「ディスク状基板」の一例であり、例えばポリカーボネイトを含んで成る直径12cmのディスクである。記録層1002は、本発明に係る「記録層」の一例であり、例えば相変化記録材料から成ることで基板1001上に光学的に情報記録可能に形成されており、光ピックアップ352からレーザ光が照射されることによって、検査対象である光学式情報装置300に係る記録再生プレイアビリティチェック用に、ディフェクトとされる。このエリアがディフェクトとされたエリア110である。保護層1003は、記録層1002を保護すると共に、読み取り・書き込み用のレーザ光が通過できるよう、光学的に安定な構成となっている。尚、本実施例は、レーザ光を用いて光ディスク100にディフェクトとされたエリア110が作成されることが主題であり、検査用光ディスクの積層状態或いは各層の材料を特に規定する趣旨ではない。即ち、BD,DVD等の光ディスクの各種態様に応じて積層状態或いは各層の材料等は適宜変更されてよく、例えば上記層に加えて別の層が挿入されてもよいし、或いは両面記録用、2層記録用の構成でもよい。更に、様々なディフェクト条件を実現するために、記録層に加えて又は代えて、他の層をディフェクトとしてもよい。
スピンドルモータ351は、光ディスク100を回転させるモータである。
光ピックアップ352は、光ディスク100の記録層1002に対してレーザ光を照射することによって記録データ等を記録層1002上に記録すると共に、レーザ光の反射光を受け取ることによって記録層1002上に記録された記録データ等を読み取る装置である。更に、レーザ光の反射光に対応するRF信号を出力する。更に、本発明の「ディフェクトとする工程」の一例として、光ピックアップ352は、記録層1002上のある特定のエリアに対して、レーザ光が、光ディスク100に対する通常の記録で用いられる照射状態とは異なる照射状態として照射することで、照射されたエリアをディフェクトとする。例えば、記録パワーを通常の記録で用いられるレベルより高いレベルにしつつレーザ光を照射することで、照射されたエリアをディフェクトとする。
RFアンプ353は、光ピックアップ352から出力されたRF信号を増幅して、そのRF信号を変調復調部355に出力する。更に、RFアンプ353は、RF信号から、ウォブル周波数信号WF、トラックエラー信号TE及びフォーカスエラー信号FEを作り出し、これらを出力する。
サーボ回路354は、トラックエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEその他のサーボ制御信号に基づいて光ピックアップ352及びスピンドルモータ351の駆動を制御するサーボ制御回路である。そして、スピンドルモータ351の回転により、本発明の「セットする工程」の一例として、光ディスク100がレーザ光を照射するための位置にセットされる。更に、ディフェクトとする工程において、記録層1002上のエリアに対して、レーザ光が、光ディスク100に対する通常の記録で用いられる照射状態とは異なる照射状態となるように、記録層1002に対するレーザ光のフォーカス位置或いはトラッキング位置を調整可能である。又更に、光ディスク100をディフェクトとする際にはサーボ回路354はサーボゲインを固定するようにしてもよい。
変調復調部355は、読取時において記録データに対してエラー訂正を行う機能と、記録時において記録データにエラー訂正符号を付加してこれを変調する機能とを備えた回路である。具体的には、変調復調部355は、読取時においては、RFアンプ353から出力されるRF信号を復調し、これに対してエラー訂正を行った後、これをバッファ356に出力する。更に、変調復調部355は、復調されたRF信号に対してエラー訂正を行った結果、エラー訂正が不能であるか、又はエラー訂正された符号の数がある一定の基準値を超えたときには、その旨を示すエラー信号を生成し、これをディフェクト検出部359に出力する。また、変調復調部355は、記録時においては、バッファ356から出力される記録データにエラー訂正符号を付加した後、これを、光ディスク100の光学的特性等に適合する符号となるように変調し、変調された記録データをレーザ光駆動部358に出力する。
バッファ356は、記録データを一時的に蓄える記憶回路である。
インターフェース357は、光学的情報装置300とシステムコントロール400との間の記録データ等の入出力制御ないし通信制御を行う回路である。具体的には、インターフェース357は、再生時においては、システムコントロール400からの要求命令に応じて、バッファ356から出力される記録データ(即ち光ディスク100から読み取られた記録データ)をシステムコントロール400へ出力する。また、インターフェース357は、記録時においては、システムコントロール400から光学的情報装置300に入力される記録データを受け取り、これをバッファ356に出力する。更に、インターフェース357は、システムコントロール400からの要求命令に応じて、ディフェクト管理情報作成部360に保持されているディフェクトリストの全部又は一部をシステムコントロール400に出力する。
レーザ光駆動部358は、光ディスク100のデータ記録、消去及び再生に応じたレーザ光を適宜照射する。通常の記録時において、変調復調部355から出力された記録データに対応するレーザ光駆動信号を生成し、これを光ピックアップ352に出力する。光ピックアップ352は、レーザ光駆動信号に基づいてレーザ光を変調し、光ディスク100の記録層1002に照射する。これにより、記録データ等が記録層1002上に記録される。ディフェクトとする工程でも基本的には同様にして記録層1002上のある特定のエリアに対して、ディフェクトとするためのレーザ光が照射される。この際、ノイズに強い安定したレーザ光出力を得るために、直流記録パワーでレーザ光を照射してもよい。ここで、図2を用いてレーザ光駆動部358をより詳しく説明する。ここに、図2は、レーザ光駆動部358及びその周辺装置の詳細なブロック図である。
図2において、レーザ光駆動部358及びその周辺装置には、例えば、以下のような部品が含まれ、光ディスク100のデータ記録、消去及び再生に応じたレーザ光を適宜照射する。CPU361は、光学式情報装置300とシステムコントロール400との間のデータのやり取りを制御する。例えば記録するためのデータをインターフェース357に伝達するようにし、そのデータはインターフェース357を介してD/A変換された後、ドライバDVから記録電流、消去電流及びバイアス電流として出力される。ストラテジ生成回路STは、光ディスク100に最適なピットを記録するために記録データを適切な状態に調整する回路であり、記録ストラテジで記録条件を変える際に必要とされる。具体的には、記録の際には記録データに基づくライトパルスが生成され、消去の際にはイレーズパルスが生成される。レーザ光駆動部358に内蔵されることで、記録特性への影響が極力抑えられる。レーザダイオードLDは、光ピックアップ352に含まれ、記録、消去及び再生に応じてライトパルス等のパルス及びドライバDVからの出力に基いてレーザ光を照射する。フロントモニタPDは、例えばフォトダイオードであり、レーザダイオードLDのレーザ光による発光を受光可能である。フロントモニタPDの一方には逆バイアスがかかっており、受光した場合には他方へと再生電流が流れるように構成される。この際、APC(Auto Power Control)によって、レーザダイオードLDの出力パワー値変動が補正されて一定になるよう帰還がかけられてもよい。
以上、図2に示したように、レーザ光駆動部358及びその周辺装置によって、光ディスク100のデータ記録、消去及び再生に応じたレーザ光を適宜照射されるのである。
光学式情報装置300に係るディフェクトマネジメントは、以下に示すディフェクト検出部359、及びディフェクト管理情報作成部360を中心に行われる。
ディフェクト検出部359は、光ディスク100のディフェクトを検出する回路である。そして、ディフェクト検出部359は、ディフェクトの存否を示すディフェクト検出信号を生成し、これを出力する。ディフェクト検出部359は、情報の読取時(ベリファイ時又は再生時)における記録データのエラー訂正の結果に基づいて、ディフェクト検出を行う。上述したように、変調復調部355は、復調されたRF信号に対してエラー訂正を行った結果、エラー訂正が不能であるか、又はエラー訂正された符号の数がある一定の基準値を超えたときには、その旨を実質的に示すエラー信号を生成し、これをディフェクト検出部359に出力する。ディフェクト検出部359は、このエラー信号を受け取ったときに、ディフェクトが存在していることを示すディフェクト検出信号を出力する。
ディフェクト管理情報作成部360は、ディフェクト検出部359から出力されたディフェクト検出信号に基づいて、ディフェクト管理情報を作成し、又は更新する回路である。ディフェクト管理情報は、例えばディフェクト管理情報作成部360内に設けられた記憶回路に書換可能な状態で記憶される。更に、ディフェクト管理情報作成部360は、システムコントロール400からの要求命令に応じて、ディフェクト管理情報をインタ−フェース357を介してシステムコントロール400に出力する。
CPU361は、光学式情報装置300の全体的な制御及び上述した光学式情報装置300内の各要素間の情報のやり取りを制御する。更に、CPU361は、記録データ及びディフェクト管理情報の記録動作及び読取動作を制御する。更に、CPU361は、システムコントロール400から送られる制御命令ないし要求命令に応じて、光学式情報装置300とシステムコントロール400との間のデータのやり取りを制御する。
システムコントロール400は、光学式情報装置300によって光ディスク100から読み取られた記録データに対して再生処理を行うと共に、光ディスク100に記録する目的で外部から供給された記録データを受け取り、これを光学式情報装置300に転送する装置である。
以上、図1を用いて示したように、本実施例によれば、再現性の高いディフェクトを有する検査用光ディスクを製造できる。
次に、図3及び図4を用いて、光ディスク100に説明を加える。ここに、図3は、ディフェクトとされたエリアを含む検査用光ディスク100の平面図である。
図3において、ディフェクトとされたエリア110は、光ディスク100上に1つ或いは複数点在してもよい。大きさも、レーザ光の照射条件(記録パワー等)も夫々異なってもよい。これらは、どのような記録再生プレイアビリティチェックを行うか次第で決まる事項である。
リードインエリア101は、記録層の最内周側に存在し、例えばディスク情報の他、マニュファクチャラー情報(製造メーカ情報)及びライトストラテジ情報(この光ディスク100に対して特別にチューニングされたライトストラテジ情報等)が書き込まれている。
その他、記録層上には外周に向けて、ユーザデータエリア及びリードアウトエリアが設けられている。ユーザデータエリアには、例えば記録管理データ、シリアルナンバー、記録パワー、OPCパワー(記録開始前にOPCエリアで探した記録パワーの最適値)、記録日時及び記録時間等が書き込まれる。リードアウトエリアには、例えば15セクタ分が00hデータで埋められている。
以上、図3に示したように、光学式情報装置300によって光ディスク100上にディフェクトとされたエリア110が形成され、その後、各種再生装置、各種記録装置、各種記録再生装置(即ち、図1に示した光学式情報装置300と同一又は類似のディフェクト管理等を行う装置)等に関して、その製品開発時、製造検査時、出荷時、メンテナンス時等の各段階におけるディフェクト管理能力やエラー訂正能力に係る検査に、エリア110が用いられる。
続いて、図4を用いて、図3で示したディフェクトとされたエリア110のサイズを、用途別に変えることについて説明を加える。ここに、図4は、一訂正物理ブロック以上及び一訂正物理ブロック以下をディフェクトとした検査用光ディスクの概念的平面図である。
図4において、ECCブロック111は、本発明に係る「訂正物理ブロック」の一例であり、一ECCブロック111が光学式情報装置300のエラー訂正の単位となる。例えば、BDの読取時には、LDC ECCおよびBISという2種類の誤り訂正方式を採用し、64kBという比較的大きな訂正符号ブロックとされ、読み取り時の信号再現性を高められている。
ここで、ディフェクトとされたエリア110Aが一ECCブロック111以上のサイズを有する場合、光学式情報装置300に係るディフェクトマネジメントが正常に機能しているかをチェックすることになる。係る状況下では、もはやエラー訂正ができないために、ディフェクトマネジメントが正常に機能していれば、ディフェクト(欠陥)判定された番地がスペアエリアに退避(置換)させられている筈だからである。
他方、ディフェクトとされたエリア110BがECCブロック111以下のサイズを有する場合、光学式情報装置300に係るエラー訂正が正常に機能しているかをチェックすることになる。係る状況下では、例えば変調復調部355によってエラー訂正がなされている筈だからである。
以上、図4に示したように、ディフェクトとされたエリア110のサイズを変えることで、記録再生プレイアビリティチェックの対象を適宜変更することもできる。
続いて、図5を用いて、グルーブトラック及びランドトラックを有する光ディスク100の記録層1002に対するレーザ光の照射の仕方について説明を加える。ここに、図5は、グルーブトラック及びランドトラックを有する記録層のエリアがディフェクトとされた状態を示す平面図である。
図5において、光ディスク100の記録層1002は、グルーブ1005及びランド1004を有す。記録層1002は、例えば、グルーブ・ウォブリング方式を採用しており、グルーブ1005に信号をピット1006として記録し、アドレッシングはグルーブのウォブルで検出される。本実施形態に係る光学式情報装置300によれば、光ディスク100は、例えば以下に示すエリア110C及びエリア110Dの2通りの状態でディフェクトとされる。
エリア110Cは、記録層1002のランド1004に対してレーザ光が照射されたエリアを示す。このように照射されると、例えば、ランドトラックの機能を無効化した際の隣接するグルーブ1005間のクロストークの影響を検査することも可能となる。
エリア110Dは、一方の片側にあるウォブルに対して、他方の片側より強くレーザ光が照射されたエリアを示す。このように照射されると、例えば、ウォブリングがないことの影響を検査することも可能となる。
以上、図1から図5に示すように、本実施例に係る検査用光ディスク100は、再現性の高いディフェクトを有することが可能となるのである。加えて、光学式情報装置300は、比較的容易にして検査用光ディスク100を製造可能である。
(1−2)動作処理
次に、以上のように構成された本実施例に係る、検査用光ディスクを製造するための光学式情報装置の動作について、図1から図5に加えて、図6を用いて説明する。ここに、図6は、一度だけ記録可能な光ディスクにレーザ光を少なくとも二度照射する処理を示すフローチャートである。
図6において、先ず、システムコントロール400からディフェクトとするエリアに書き込むための命令であるWrite(アドレス,ブロック)コマンドがきているか否かをCPU361が判定する(ステップS010)。ここで、未だ、このコマンドが送られてきていない場合(ステップS010:NO)、そのまま待機する。
他方、このコマンドが送られてきた場合(ステップS010:YES)、引き続きシステムコントロール400から転送されてくるデータ(ブロック数)を、インターフェース357を介してバッファ356に蓄える(ステップS020)。そして、蓄えたデータを、変調復調部355がエンコードする(ステップS030)。
光ディスク100を、レーザ光を照射する位置にセットする工程として、図5で示したようなウォブリングを使い、システムコントロール400のWriteコマンドによって指定されたアドレスをサーチする(ステップS040)。
サーチされ終わると、ディフェクトとする工程として、変調復調部355によってエンコードされたデータを、サーチしたアドレスから書き込む(ステップS050)。具体的には、エンコードされたデータに従って、レーザ光駆動部358が光ピックアップ352を駆動して、光ディスク100に対してレーザ光が照射される。この時に光ディスク100にデータが1度書き込まれれたエリア(例えば1クラスタ以内)の再生波形をオシロスコープで観察すると、図7に示すようなRF信号であることが確認される。ここに、図7はディフェクトとされたエリアの確認のための出力波形図である。
図7において、横軸は時間軸を、縦軸は信号のレベルを夫々示す。そして、図7に表示された2つのモニタ図のうち、上側のモニタ図は未記録の光ディスク100が部分的にディフェクトとされたエリア110が再生された信号を示し、下側のモニタ図は、そのディフェクトとされたエリア110が再生された信号をレンジを拡大して表示したものである。ディフェクトとされたエリア110は未記録のエリアを再生した場合に比べて戻り光が少ないので出力も低い。そして、下側のモニタ図はRF信号に特徴的な波形であり、RF信号と確認される。ここで例えば、光ディスク100が一度だけ記録可能な場合、この光ディスク100に通常記録を行うと、ディフェクトとされたエリア110は2度書きされることとなり、ディフェクトマネジメントが良好に機能することによって、別の領域に置換先のエリアが設定されることになる。即ち、この光ディスク100を用いることによって、光学式情報装置300のディフェクトマネジメントの良否をチェックできることを意味する。
そして、転送されてきたデータを全て書き込み終えたか否か、即ち、書き込むべきデータは無くなったか否かが判定される(ステップS060)。ここで、書き込み終えていない場合(ステップS060:NO)、書き込みを続行する。
他方、書き込み終えた場合(ステップS060:YES)、続いて、希望回数重ね書きしたか否かが判定される(ステップS070)。ここで、「希望回数」とは、光ディスク100の記録層1002をディフェクトするに足りるレーザ光の照射回数であり、例えば光ディスク100が一度だけ記録可能であれば、希望回数は少なくとも二回とする。この希望回数は、光ディスク100の性質や希望するディフェクトの程度等を勘案して定めればよい。ここで、希望回数に達していない場合(ステップS070:NO)、引き続き重ね書きを行う。
他方、希望回数に達した場合(ステップS070:YES)、記録終了、即ち検査用光ディスク100の完成であり、STARTに戻る。
以上のように、図6に示した処理を行うことで、所望のエリアに所望の種類のディフェクトを有する検査用光ディスク100が比較的容易に製造される。
(2)第2実施例
次に、第2実施例に係る検査用光ディスク100が設置された光学式情報装置300の構成及び動作処理を図1から図6に加えて又は代えて図8から図10を参照して説明する。ここに第2実施例は、照射されるレーザ光の記録パワーに対するディフェクトの程度の変化に着目した実施例である。本実施例の説明に先立ち、先ずこの点に関して図8及び図9を用いて説明する。ここに、図8は、記録パワーとエラーレートとの関係を示す特性図である。
図8において、横軸は記録パワーを、縦軸はエラーレートを夫々示す。この図より、例えば、レーザ光駆動部358によってレーザ光の記録パワーを4.00mWから徐々に上げていくと、それに伴いエラーレートが下降する。そして、あるパワー閾値(例えば、記録パワー6.76mW。このパワー閾値は光ディスク100の物性等によって変動しうる値である)を境にして、今度はエラーレートが上昇に転じる。この上昇度合いは、先の下降度合いに比べると緩やかである。そこで、例えば上昇に転じる前の範囲(図8では、記録パワーを4.00mWから6.76mWの範囲)で記録パワーを連続的又は段階的に変化させつつレーザ光を光ディスク100へ照射することで、エラーレート、つまりディフェクトの程度を連続的又は段階的に変化させることができると考えられる。尚、記録パワーは、上昇させすぎると発熱により光ピックアップ352の故障原因となりかねないので、例えば、8mWを上限とするとよい。
続いて、図9を用いて重ね書き回数とエラーレートとの関係を説明する。ここに、図9は、重ね書き回数とエラーレートとの関係を示す特性図である。
図9において、横軸は重ね書き回数を、縦軸はエラーレートを夫々示す。そして、図9は、記録パワーを変えるのみならず、更に同一エリアにレーザ光を重ね書きする場合の、エラーレートの変化を示しており、重ね書きをすればする程、エラーレートが上昇することが示されている。
以上、図8及び図9によると、重ね書きに加えて又は代えてレーザ光の記録パワーを変えることで、エラーレートを調整でき、もって、検査用光ディスク100を比較的容易に製造できる。以下にその具体的な構成及び動作について説明する。
(2−1)構成
ここで、本実施例に係る検査用光ディスクが設置された光学式情報装置の構成は、第1実施例の構成と同様でもよいため説明を省略する。
(2−2)動作
次に、図10を用いて、本実施例に係る、検査用光ディスク100を製造するための光学式情報装置300の動作について説明する。ここに、図10は、複数度記録可能な光ディスクに通常の記録で用いられるレベルより高い記録パワーのレーザ光を二度以上照射する処理を示すフローチャートである。尚、図10において、図6と同一のステップについては同一の参照符号を付し、その詳細な説明を適宜省略する。本実施例において、第1実施例と異なる点は、記録パワーを決定する処理(ステップS071及びステップS072)である。
図10においても、先ず、図6と同様に、システムコントロール400からディフェクトとするエリアに書き込むための命令であるWrite(アドレス,ブロック)コマンドが送られてきた場合(ステップS010:YES)、引き続きシステムコントロール400から転送されてくるデータ(ブロック数)を、インターフェース357を介してバッファ356に蓄える(ステップS020)。そして、蓄えたデータを、変調復調部355がエンコードし(ステップS030)、光ディスク100を、レーザ光を照射する位置にセットする工程として、図5で示したようなウォブリングを使い、システムコントロール400のWriteコマンドによって指定されたアドレスをサーチする(ステップS040)。
サーチされ終わると、ディフェクトとする工程として、変調復調部355によってエンコードされたデータを、サーチしたアドレスから書き込む(ステップS050)。具体的には、エンコードされたデータに従って、光ディスク100に対してレーザ光が照射されるようにレーザ光駆動部358が光ピックアップ352を駆動する。
そして、転送されてきたデータを全て書き込み終えたか否か、即ち、書き込むべきデータは無くなったか否かが判定される(ステップS060)。ここで、書き込み終えていない場合(ステップS060:NO)、書き込みを続行する。
他方、書き込み終えた場合(ステップS060:YES)、続いて、予め決定してあった記録パワーで希望回数重ね書きしたか否かが判定される(ステップS071)。ここで、希望回数に達していない場合(ステップS071:NO)、引き続き、例えば図8或いは図9に基いて、希望するディフェクトの程度とするために必要な記録パワーが設定され(ステップS072)、その記録パワーで再度レーザ光が照射される。
他方、希望回数に達した場合(ステップS071:YES)、記録終了、即ち検査用光ディスク100の完成であり、STARTに戻る。
以上のように、図10に示した処理を行うことで、所望のエリアに所望の種類の(特に所望のディフェクトレベルの)ディフェクトを有する検査用光ディスク100が比較的容易に製造される。
又、第1実施例及び第2実施例に示す構成及び動作処理は、光学式情報装置の内部に組み込まれた或いは外部に接続された装置によって実現してもよいし、セットする工程及びディフェクトとする工程を備えた検査用光ディスク製造方法に基いて光学式情報装置を動作させることによって実現してもよい。
尚、本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う検査用光ディスク及び該検査用光ディスクの製造方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。