JP4598502B2 - 内燃機関用イオン電流検出装置 - Google Patents

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本発明は、内燃機関用のイオン電流検出装置に関し、特に、燃焼室に発生する微小なイオン電流を精度よく検出できるイオン電流検出装置に関する。
自動車エンジンなどの内燃機関において、燃焼室の爆発燃焼により発生するイオン電流を検出する各種のイオン電流検出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平04−194367号公報
図5は、特許文献1に開示されたイオン電流検出装置について、その回路構成を図示したものである。このイオン電流検出装置では、点火プラグPLUGの放電動作によって、燃焼室内で燃料を爆発燃焼させると共に、コンデンサCを充電させている。そして、燃焼室に発生するイオン電流は、その後、コンデンサCの放電電流と共に検出抵抗Rから検出される。
このようにして検出されたイオン電流によって燃焼状態の適否を判別することが可能となり、例えば、ノッキングの解消やその他の燃焼制御も可能となると期待されている。
しかしながら、イオン電流検出装置から得られるイオン電流は、数μAレベルの微小値であるため、図5のような回路構成のままでは、イオン電流を安定的に高精度に検出することはできないとい問題点があった。
すなわち、自動車運転中に、ヘッドライトの灯火や、ファンモータの起動や、或いは、ホーンの投入などによって電機負荷が急に変化すると、大きく変動する電流や磁界に対応して高周波ノイズが発生することになり、検出回路の出力に本来のイオン電流とは無関係のノイズ信号が重畳するので、イオン電流の信頼性が大きく損なわれることになる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、内燃機関の運転状態の変化に影響されることなく、安定的で信頼性の高いイオン電流検出装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、発明は、電子制御によって一次電流がオンオフ制御される一次コイルと、一次コイルの外周面側に嵌合される外装鉄心と一次コイルに内挿され一次コイル電磁結合して点火プラグに高電圧を供給する二次コイルと、二次コイルに内挿されるセンタコアと、点火プラグの点火動作に基づく燃焼動作によって燃焼室に発生したイオン電流を検出する検出回路と、一次コイルと二次コイルを内包するコイルケースとを備える内燃機関用イオン電流検出装置であって前記検出回路では、二次コイルに直列接続されたバイアス電源用のコンデンサが、点火プラグの放電時に二次コイルを経由して充電され、その後、二次コイルを経由して放電するとき、点火プラグのイオン電流が検出されるよう構成され、外装鉄心、一次コイル、二次コイル、及びセンタコアを、コイルケースに同心円状に収容して、外装鉄心とセンタコアとで磁気通路を形成する構成において、コイルケースを電気絶縁性の樹脂材料で構成すると共に、コイルケースの外周面側、内周面側、又は内部のいずれか一箇所以上に、導電性部材を配置することを特徴とする。
本発明では、コイルケースに導電性部材が配置されているので、高周波の外乱ノイズがコイルケースより内側に進入しようとしても、導電性部材での反射と吸収によって、外乱ノイズの高周波成分を有効に減衰させることができる。言い換えると、本発明では、導電性部材の存在によって電磁シールド効果が発揮される。
本発明は、より具体的には(a)樹脂材料によるコイルケースに、芯材として導電性金属板を内包させる、(b)樹脂材料によるコイルケースに、ワイヤ・メッシュ、エキスパンド・メタル、パンチング・メタルなどの導電性の金網を内包させる、(c)樹脂材料によるコイルケースの内周又は外周に、導電性の金属板や金網を配置する、(d)樹脂材料によるコイルケースの内周又は外周に導電膜を設ける、(e)樹脂材料によるコイルケースの内周又は外周に、導電性のテープや金属箔を設ける、(f)コイルケースの内側に位置する最外部の部材の外表面に、導電性のテープなどを巻いて導電層を設けるなどの構成によって実現される。
なお、導電性のテープとしては、銅テープ、アルミニウムテープが典型的であり、金属箔としては銅箔が典型的である。また、コイルケースの内側に位置する最外部の部材としては、内外二重に配置された外側コイルの外周を覆う磁性材(実施例では外装鉄芯)が典型的である。
導電性部材として金属板や金網を使用する場合には、導電性に加えて高透磁率性を有する金属(例えば鉄系の金属)を使用するのが好適である。高透磁率の金属を使用すると、コイルケース外部から進入する磁束を、コイルケースの高透磁率の部分に集中させることで、他の部分を通過する磁束を抑制することができ、磁気シールド効果を発揮させることができる。
コイルケースは、車体や電源ラインのアース端子にグランド接地するのも好適であり、この場合には、静電シールドの効果が合わせて発揮される。
前記の発明によれば、内燃機関の運転状態の変化に影響されることなく、安定的で信頼性の高いイオン電流検出装置を実現することができる。
以下、実施例に基づいて、本発明の実施の形態をより具体的に説明する。図1(a)は、実施例に係る点火コイルCLの概略構成を示す部分断面図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B概略断面図を拡大したものである。
この点火コイルCLは、プラスチック金型によって一体成形されるコイルケース1(1a,1b,1c)と、コイルケース1の下端部に嵌合されるゴム製のプラグキャップ2と、コイルケース1に内挿される一次コイル部3と、一次コイル部3に内挿される二次コイル部4と、二次コイル部4に内挿されるセンタコア部5と、一次コイル部3の外周に弾発的に嵌合される外装鉄心6と、コイルケース1の上部に収容される接続部7とを中心に構成されている。
コイルケース1は、詳細には、円筒状のケース本体部1aと、接続部7を収容するケース基端部1bと、二次コイル部4から高圧を受ける高圧端子9や点火プラグに高圧を伝えるスプリング10などを保持するケース先端部1cとで構成されている。コイルケース1は、その素材が特に限定されないが、この実施例では、PPS(ポリフェニレンサルファイド)や、変性PPO(変性ポリフェニレンオキサイド)などの熱可塑性合成樹脂が使用される。
このようなコイルケース1の中に、一次コイル部3、二次コイル部4、及びセンタコア部5は同心円状に位置決めされて、各部の空隙を無くすべく熱硬化性エポキシ樹脂8が真空注入されて硬化されている。なお、接続部7を収容したケース基端部1bも含めて、熱硬化性エポキシ樹脂が充填されている。
本実施例の場合、円筒形のケース本体部1aには、略円筒形状の鉄材24が埋め込まれている(図1(b)参照)。この鉄材24は、導電性と共に高い透磁率を有しているので、高周波電磁ノイズに対する電磁シールド材として機能すると共に、低周波の磁界に対しては磁気シールド材として機能する。したがって、電機負荷の急変などによって高周波ノイズが発生しても、高周波ノイズは、鉄材24によってシールドされてケース内部への進入が防止され、イオン電流の検出に悪影響を与えない。
図2に示すように、ケース基端部1bは、一方側(図1の左側)が矩形状に切り欠かれた略円筒形状であり、他方側(図1の右側)には金属管11aを内装した取付穴11が設けられている。なお、この取付穴11は、この点火コイルCLをエンジンなどのシリンダヘッドに取り付ける際のボルト穴として使用される。
ケース基端部1bの切り欠き部には、U字状の受入れ端面12が形成されて、接続部7のスライド溝70と係合するようになっている。すなわち、接続部7を受入れる際には、接続部7のスライド溝70が、ケース基端部1bの受入れ端面12を挟持しつつ下方にスライドされる。
図2に示すように、接続部7は、電子回路部7Aと接続コネクタ部7Bとに区分されている。そして、電子回路部7Aと接続コネクタ部7Bの間には、前記したU字状のスライド溝70が形成されている。なお、図2では、便宜上、電子回路部7Aを破線で示すと共に、接続コネクタ部7Bの接続端子や配線の一部を省略して図示している。
図3は、接続部7の主要部である電子回路部7Aの回路構成と、電子回路部7Aと他の部分との接続関係を図示したものである。図示の通り、本実施例の電子回路部7Aは、自動車全体を制御するコンピュータ回路(不図示)からの点火信号SGに応じてON/OFF動作するトランジスタQ1と、イオン電流を効果的に検出するためのバイアス電源部41と、イオン電流に応じた検出電圧を増幅する増幅部42とで構成されている。
そして、トランジスタQ1のコレクタ端子には、一次コイル3及び二次コイル4の振動電流を吸収する振動吸収部43と、振動吸収部43の動作を制御する制御部44とが接続されている。振動吸収部43は、具体的には、トライアックQ2と抵抗R1の直列回路で構成され、点火動作後に生じるコイル電流の振動を吸収するため、所定時間だけトライアックQ2をON状態にしている。なお、トライアックQ2は、制御部44から受けた制御信号CTLに応じてON/OFF動作するが、制御部44は、一次コイル3の電流を検知して、これが所定値を下回るとトライアックQ2をオフ状態に戻すべく制御信号CTLのレベルを変化させている。なお、振動吸収部43及び制御部44は必ずしも必須ではなく、これらを省略することもできる。
バイアス電源部41は、イオン電流検出用のバイアス電圧を充電するコンデンサC1と、ツェナーダイオードD1と、電流阻止用のダイオードD2と、イオン電流に応じた電圧を出力するための負荷抵抗R2とで構成されている。点火信号のON/OFF変化によるアーク放電時には、点火プラグPLUG→二次コイル4→コンデンサC1→ダイオードD2の経路で、コンデンサC1が充電される。次に、充電されたコンデンサC1のバイアス電圧に基づき、イオン電流は、コンデンサC1→二次コイル4→点火プラグPLUG→負荷抵抗R2の経路で流れる。そして、このイオン電流に応じた検出電圧VOUTは、増幅回路42などを経てコンピュータ回路に伝送されてイオン電流の判定処理が行われる。
図1(b)に示すように、コイルケース1には、一次コイル部3と二次コイル部4とセンタコア部5とが内挿されているが、センタコア部5は、0.3mm程度の板厚の珪素鋼板を積層してなる中心鉄心14と、中心鉄心14を円筒形状に覆う保護部材15と、中心鉄心14の長さ方向の両端を覆う保護キャップ16(図1(a))とで構成されている。保護キャップ16は、中心鉄心14や保護部材15に密着することで、点火コイルCLの隙間を密封するために充填されるエポキシ樹脂8の流入を確実に防止している。
二次コイル部4は、二次ボビン17と、二次ボビン17の回りに巻着される二次巻線18とで構成されている。また、一次コイル部3は、一次ボビン19と、一次ボビン19の外周を一様に巻着される一次巻線20と、一次巻線20の外周を一様に覆う緩衝テープ21とで構成されている。
緩衝テープ21は、適度な弾力性を有するポリエステル材で構成され、裏面には接着層が設けられている。この緩衝テープ21は、全体として0.1mm以下の厚みを有する矩形状のシート材であり、一次ボビン19の周りに巻かれて接着されることで円筒状となる。この緩衝テープ21の存在によって、一次コイル外側のエポキシ樹脂8と一次巻線20との熱膨張率の差が吸収され、エポキシ樹脂8にクラックが発生することが防止される。
緩衝テープ21の外側には、図4(b)に示す外装鉄心6が二個、弾発的に嵌合されている。この外装鉄心6は、中心鉄心14と共に、一次巻線20と二次巻線18との間の最適な磁気通路を形成するためのものである。外装鉄心6は、開放端部22を有してC字状に湾曲形成された略円筒形であり、その上下端部には、大きく切り欠かれた略U字溝23が形成されている。このような構成の外装鉄心6の素材は、一次コイル部3に嵌合できる若干の弾性と高透磁率を有するものであれば特に限定されないが、中心鉄心と同一材料であることが好ましく、具体的には、薄板状にした珪素鋼板が使用される。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、微弱なイオン電流を確実に検出するために必要な電磁シールドを施すことを趣旨とするものであり、この趣旨を逸脱することなく各種の改変が可能である。
実施例に係る点火コイルの部分断面図(a)、及びB−B断面図(b)である。 接続部をコイルケースに組み付ける方法を説明する図面である。 点火コイルの接続部に内蔵される電子回路を例示したものである。 一次コイルのボビン(a)と、これに嵌合させる外装鉄心(b)の各正面図である。 イオン電流検出回路の問題点を説明する図面である。
符号の説明
3 一次コイル
4 二次コイル
PLUG 点火プラグ
41 検出回路(バイアス電源部)
42 検出回路(増幅回路)
24 鉄材

Claims (6)

  1. 電子制御によって一次電流がオンオフ制御される一次コイルと、一次コイルの外周面側に嵌合される外装鉄心と一次コイルに内挿され一次コイル電磁結合して点火プラグに高電圧を供給する二次コイルと、二次コイルに内挿されるセンタコアと、点火プラグの点火動作に基づく燃焼動作によって燃焼室に発生したイオン電流を検出する検出回路と、一次コイルと二次コイルを内包するコイルケースとを備える内燃機関用イオン電流検出装置であって
    前記検出回路では、二次コイルに直列接続されたバイアス電源用のコンデンサが、点火プラグの放電時に二次コイルを経由して充電され、その後、二次コイルを経由して放電するとき、点火プラグのイオン電流が検出されるよう構成され、
    外装鉄心、一次コイル、二次コイル、及びセンタコアを、コイルケースに同心円状に収容して、外装鉄心とセンタコアとで磁気通路を形成する構成において、
    コイルケースを電気絶縁性の樹脂材料で構成すると共に、コイルケースの外周面側、内周面側、又は内部のいずれか一箇所以上に、導電性部材を配置することを特徴とする内燃機関用イオン電流検出装置。
  2. 一次コイルの一次巻線の外周面は、全体として0.1mm以下の厚みを有する緩衝テープによって一様に覆われ、緩衝テープの外側に外装鉄心が弾発嵌合されている請求項1に記載の内燃機関用イオン電流検出装置。
  3. 外装鉄心は、センタコアと同一材料で構成され、開放端部を有してC字状に湾曲形成されている請求項1又は2に記載の内燃機関用イオン電流検出装置。
  4. 前記導電性部材は、高透磁率性と導電性を有する金属板又は金属網である請求項1〜3の何れかに記載のイオン電流検出装置。
  5. 前記コイルケースの導電性の部分がグランド接地されている請求項1〜4の何れかに記載のイオン電流検出装置。
  6. コイルケースの基端部には、一次コイルに並列接続された振動吸収部が収容されており、振動吸収部が所定時間ON動作することで、点火プラグの点火動作後に生じるコイル電流の振動が吸収されている請求項1〜5の何れかに記載の内燃機関用イオン電流検出装置。
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