JP4598164B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スコープの先端に照明手段を備える内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内視鏡は良好な観察像を得るため、被観察体に照明光を照射する照明手段を有する。このような照明手段の光源として、例えばハロゲンランプやキセノンランプが用いられる。これらのランプはスコープが接続される光源装置や画像処理プロセッサ内に設けられる。ランプから出射される光束はスコープの先端部まで延びるライトガイドにより導かれ、所定の光学系を介して被観察体に照射される。
【0003】
一方、上述の照明手段がスコープの先端部に設けられた内視鏡も知られている。このタイプの内視鏡においては、光源としてLED(Light Emitting Diode)が用いられる。スコープには、鉗子チャンネルや観察用の貫通孔に加え、LED用の貫通孔が設けられる。LED用の貫通孔において、スコープ先端部の端面における開口部近傍にLEDが配設され、そのLEDに駆動電流を流すための信号線が貫通孔内に配設される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
LED単体の光量は上述のハロゲンランプ等に比べると低い。従って、照明光の光量を確保するため、複数のLEDを設けることが考えられる。しかしながら、スコープ先端にLEDを配設するためには上述の様に貫通孔を設けなければならない。即ち、複数のLEDのそれぞれに貫通穴をスコープ内に形成しなければならず、スコープ先端部の構造が複雑化し、製造が困難になるという問題がある。また、複数の貫通穴のそれぞれにLEDを配設し、さらにLEDに駆動電流を供給する配線を接続しなければならないため、照明手段の組立に労力と時間を要するという問題がある。
【0005】
本発明は、以上の問題を解決するものであり、スコープの先端部に照明手段を備える内視鏡において、簡易な構成で十分な照明光量が得られる内視鏡を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる内視鏡は、所定の導体パターンが形成され、スコープの先端部本体に設けられる導体層と、導体層上に配設される照明手段とを備え、照明手段は、導体パターンに電気的に接続される複数の半導体発光素子であることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、複数の半導体発光素子は、導体層において、スコープの先端部本体の端面に相当する領域に配設される。
【0008】
より好ましくは、複数の半導体発光素子は、スコープの先端部本体の端面に相当する領域において、端面に形成される開口部を除く略全域にわたって配設される。
【0009】
好ましくは、さらに、導体層において、スコープの先端部本体の外周面に相当する領域に、導体パターンが形成され、複数の半導体発光素子が配設される。
【0010】
好ましくは、複数の半導体発光素子の出射光のそれぞれの光路上に、平行光を拡散させる発散光学系が設けられる。
【0011】
好ましくは、複数の半導体発光素子、及び導体層において複数の半導体発光素子が配設される領域が、透明の封止部材により封止される。
【0012】
以上のように、本発明によれば、スコープの先端部本体に導体パターンが形成された導体層を積層し、その導体層上に複数の半導体発光素子を配設している。
即ち、先端部本体において、複数の半導体発光素子毎に駆動電流を供給するための貫通孔を形成する必要がない。従って、スコープの先端部に照明手段を備える内視鏡において、先端部本体の構成を複雑化することなく十分な光量を有する照明光を照射することができる。
【0013】
導体層において、スコープの先端部本体の外周面に相当する領域に半導体発光素子を配設することにより、観察部位の周辺光量を増加させることができる。
【0014】
各半導体発光素子の出射光の光路上に、平行光を拡散させる発散光学系を配設することにより、照明手段の配光範囲を広範囲に確保することができる。
【0015】
半導体発光素子、及び導体層において半導体発光素子が配設される領域を透明な封止部材で封止することにより電気的に絶縁され、スコープを体腔内に挿入する際の安全性が確保される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る第1実施形態が適用される内視鏡のスコープ先端部分を示す一部断面図である。スコープ10は可撓性導管(可撓管)を有し、その先端には放熱性を有するセラミックを略円筒形に成型した先端部本体11が配設される。先端部本体11には貫通孔12が穿設される。先端部本体11の端面11Aにおける貫通孔12の開口部には、透明部材から成る観察窓13が配設されており、スコープ10の内部への異物の混入が防止される。
【0017】
貫通孔12内に円筒状の絶縁部材14が配設され、絶縁部材14内に対物光学系20が支持される。貫通孔12の内部において対物光学系20を挟んで観察窓13の反対側には、対物光学系20の光軸上に固体撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ30が配設される。観察窓13及び対物光学系20を介して被観察体の像がCCDイメージセンサ30に結像される。CCDイメージセンサ30は、スコープ10が接続される内視鏡プロセッサ内に具備されるCCD駆動回路(図示せず)に信号線31を介して接続される。
【0018】
先端部本体11の端面11Aには、銅箔から成り、所定の導体パターンが形成された導体層40が積層される。導体層40にはLED50が複数、配設される。LED50には、赤色光(R)を発光するダイオード、緑色光(G)を発光するダイオード、青色光(B)を発光するダイオードの3種類のLEDが用いられる。これら複数のLED50が封止されるよう、端面11Aはガラスや合成樹脂等の透明なモールド部材60により被覆される。
【0019】
各LED50のアノード及びカソードのリード線(図示せず)は、それぞれ(アノード及びカソード)に対応した信号経路となる導体層40の導体パターンに電気的に接続される。導体層40の一部は、貫通孔12の開口部から貫通孔12の内壁面の一部と絶縁部材14との間隙を一体的に延びており、貫通孔12の内部において前述のアノード及びカソードに対応した信号線70に接続されている。信号線70は、スコープ10が接続される内視鏡プロセッサ内に具備されるLED駆動回路(図示せず)に接続される。導体層40に形成される導体パターンはRGB毎に独立してまとめられている。即ち、複数のLED50は、それぞれRGB毎に発光可能である。複数のLED50のRGB毎の発光は、内視鏡プロセッサ内に具備されるシステムコントロール(図示せず)から出力される制御信号に基づいて、上述のLED駆動回路を介して制御される。
【0020】
図2は、先端部本体11の端面11Aを示す正面図である。尚、図2においてモールド部材60は省略されている。スコープ10の操作部(図示せず)の送気ボタン・送水ボタンを操作することにより、送気ノズル80及び送水ノズル90から圧縮空気、洗浄水がそれぞれ噴出され、観察窓13の曇りの除去や、観察窓13の洗浄が行なわれる。吸引・鉗子チャンネル100からは生検鉗子のカップ部が露出し、患部の組織片の切り取り等が行なわれる。また、操作部の吸引ボタンを操作することにより吸引・鉗子チャンネル100を介して観察窓13に付着した水滴や汚物の吸引等が行なわれる。
【0021】
導体層40には、観察窓13が配設される貫通孔12、送気ノズル80、送水ノズル90、吸引・鉗子チャンネル100のそれぞれに対応した開口部が形成される。LED50は、導体層40において端面11Aに相当する領域の、これらの開口部を除く略全域にわたって配設される。上述のように、複数のLED50にはRGBの各色を発光する3種類のダイオードが用いられ、RGB毎に所定の周期で順次発光するよう制御される。従って、RGB各色の照射光が被観察体に照射される範囲に偏りが生じないよう、各LED50は上述の領域において適宜配設される。尚、図1には図2の線I−I’矢視断面図が示されている。
【0022】
図1に示すCCDイメージセンサ30が接続されるCCD駆動回路は上述のシステムコントローラにより制御される。CCDイメージセンサ30は、システムコントローラの制御に基づくCCD駆動回路からの駆動信号により、複数のLED50のRGBの各色の発光のタイミングと同期をとって駆動される。即ち、第1実施形態が適用される内視鏡においては、システムコントローラの制御のもと、面順次方式により1フレーム毎の画像処理が行なわれる。尚、面順次方式の画像処理は公知であるので説明は省略する。
【0023】
図3は、本発明に係る第2実施形態が適用される内視鏡のスコープの先端部を拡大して示す一部断面図であり、第1実施形態と同様の部材には同一の符号が付されている。スコープ200の先端部本体201は、第1実施形態のスコープ10の先端部本体11と同様、セラミックを略円筒状に成型したものである。先端部本体201の貫通孔202内には、観察窓13、対物光学系20、CCDイメージセンサ30等が第1実施形態と同様に配設される。先端部本体201の端面201A、及び端面201Aと連続する外周面201Bの一部に面接触するよう、銅箔から成る導体層210が積層される。
【0024】
導体層210には、複数のLED50が配設され、導体層210に形成された導体パターンにそれぞれ電気的に接続される。第1実施形態と同様、LED50としてRGBの各色を発光する3種類のダイオードが用いられる。図3から明らかなように、導体層210において、LED50は先端部本体201の端面201Aに相当する領域のみならず、外周面201Bに相当する領域にも配設される。また、これら複数のLED50が封止されるよう、導体層210の先端部本体201の端面201Aに相当する領域、及び外周面201Bに相当する領域は、ガラス若しくは合成樹脂等のモールド部材220により被覆される。尚、送気ノズル、送水ノズル、吸引・鉗子チャンネル等のその他の構成は第1実施形態と同様である。
【0025】
図4は、本発明に係る第3実施形態が適用される内視鏡のスコープ300の先端部を拡大して示す一部断面図であり、第1実施形態と同様の部材には同一の符号が付されている。第1実施形態と同様、LED50としてRGBの各色を発光する3種類のダイオードが用いられる。各LED50の出射光の光路上に、例えば凹レンズ等の発散レンズ301が配設される。即ち、LED50の出射光は発散レンズ301を介して拡散される。発散レンズ301はLED50と共に、ガラスや合成樹脂等の透明なモールド部材302により封止される。その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0026】
上述のように、第1〜第3の実施形態が適用される内視鏡においては、面順次方式により画像処理が行なわれるがこれに限るものではない。例えば、白色光を発光する半導体発光素子を上述の導体層に複数配設し、画素毎にカラーチップフィルタが設けられたCCDイメージセンサを用いて、同時方式による画像処理を行なう電子内視鏡を構成することも可能である。
【0027】
また、第2実施形態のスコープ200の先端部本体201に配設されるLED50のそれぞれに対応して、第3実施形態の発散レンズ301を設ける構成としてもよい。その際、導体層210において外周面201Bに相当する領域に配設されるLED50に対応する発散レンズ300を、端面201A側に所定の角度で傾斜させることにより、被観察体の周辺光量をより効果的に増加させることが可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、スコープ先端に照明手段を備える内視鏡において、簡易な構成で照明光の光量を増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態が適用されるスコープ先端部本体の一部断面図である。
【図2】第1実施形態のスコープの先端部の正面図である。
【図3】本発明に係る第2実施形態が適用されるスコープ先端部本体の一部断面図である。
【図4】本発明に係る第3実施形態が適用されるスコープ先端部本体の一部断面図である。
【符号の説明】
10、200 スコープ
11、201 先端部本体
12、202 貫通孔
13 観察窓
20 対物光学系
30 CCDイメージセンサ
40 導体層
50 LED
60、220、302 モールド部材
31、70 信号線
80 送気ノズル
90 送水ノズル
100 吸引・鉗子チャンネル
301 発散レンズ
Claims (6)
- 所定の導体パターンが形成され、スコープの先端部本体に設けられる導体層と、
前記導体層上に配設される照明手段とを備え、
前記照明手段は、前記導体パターンに電気的に接続される複数の半導体発光素子であり、
前記先端部の端面には、前記先端部本体の貫通孔の開口部が形成され、
前記貫通孔の内壁に沿って絶縁部材が配設され、
前記導体層は、前記開口部から前記貫通孔の内壁面の一部と前記絶縁部材との間隙を一体的に延びて、前記貫通孔の内部において前記半導体発光素子の信号線に電気的に接続されることを特徴とする内視鏡。 - 前記複数の半導体発光素子は、前記導体層において、前記先端部本体の端面に相当する領域に配設されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
- 前記複数の半導体発光素子は、前記先端部本体の前記端面に相当する前記領域において、前記端面に形成される開口部を除く略全域にわたって配設されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
- さらに、前記導体層において、前記スコープの前記先端部本体の外周面に相当する領域に、前記導体パターンが形成され、前記複数の半導体発光素子が配設されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
- 前記複数の半導体発光素子の出射光のそれぞれの光路上に平行光を拡散させる発散光学系が設けられることを特徴とする請求項2、若しくは請求項4のいずれかに記載の内視鏡。
- 前記複数の半導体発光素子、及び前記導体層において前記複数の半導体発光素子が配設される領域が、透明の封止部材により封止されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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