JP4598059B2 - 内燃機関のピストン用の冷却通路カバー - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の上位概念部に記載された形式の内燃機関のピストン用の冷却通路カバーに関する。

ドイツ連邦共和国特許第４２０８０３７号明細書に基づいて、内燃機関用のピストンのピストンヘッドの領域に、半径方向外側に位置していてピストンスカートに向かって開放する冷却通路を設けることが公知である。冷却通路に導入される冷却オイルの冷却作用を改善するために、冷却通路は冷却通路カバーによって閉鎖され、この冷却通路カバーには冷却オイルを導入・排出するための開口が設けられている。また冷却通路カバーに、２部分から成る皿ばねの形を与えることも公知であり、この皿ばね（図１参照）はその外縁部２９で、外側の支持部として働く開放したリング壁２４の端面２３における凹設部２２に、軸方向のプレロード（Vorspannung）をかけられて固定され、かつ皿ばねの内縁部は、リングリブに内側の支持部２５として設けられた環状の段部２６に、軸方向のプレロードをかけられて固定されている。

この公知の構成では、エンジン運転時に燃焼ガスの圧力によってピストンに対して、しかしながらまたピストンの往復動時にリング壁２４に対して作用する慣性力によって、リング壁２４とピストンベース体２８との間における相対運動（矢印２７参照）が発生する。その結果皿ばね３０は特に支持点３１，３２の領域においてリング壁２４に対して相対運動を生ぜしめ、これによって当該領域において皿ばね３０及び凹設部２２の損傷が惹起される。

従来技術に基づいて公知の、２つの半円形の皿ばね半部から成る冷却通路カバーの別の欠点としては、冷却通路カバーから軸方向力及び半径方向力がリング壁２４に対して加えられる、ということが挙げられる。これらの力は、皿ばね半部の突き合わせ端部において最大であるので、軸方向力は当該領域においてピストンリング溝の非正弦形状（nichtsinusfoermig）の変形を引き起こし、このような変形に、その中に収容されたピストンリングは追従することができないので、特に、このようなピストンを備えた内燃機関のオイル消費が増大してしまう。半径方向に向けられた皿ばね半部の突き合わせ端部における最大力は、この場合、リング壁２４の横断面で見て楕円形の変形を生ぜしめ、このような変形はピストンの引っかかりもしくは食いつきを生ぜしめるおそれがある。

ゆえに本発明の課題は、上に述べた従来技術における欠点を排除することである。

この課題を解決するために本発明では、請求項１の特徴部に記載のように構成されている。本発明の別の有利な構成は請求項２に記載されている。

次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。

図１は、内燃機関用のピストンの冷却通路を閉鎖するための従来技術によるばね金属薄板を示す断面図であり、
図２は、本発明によるばね金属薄板を示す平面図であり、
図３は、図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿って本発明によるばね金属薄板を断面した図であり、
図４は、ピストンに取り付けた後における本発明によるばね金属薄板を示す図である。

図２及び図４には、内燃機関用のピストン８の冷却通路２０を閉鎖するためのリング状のばね金属薄板１が示されており、このばね金属薄板１は２つの半円形のばね金属薄板半部２，３から成っている。両ばね金属薄板半部２，３はそれぞれ一体成形部４，５を有しており、この一体成形部４，５は、ピストン８内に組み込まれたばね金属薄板１が回動することを防止するために働く。さらに両ばね金属薄板半部２，３は、冷却通路に対するオイルの導入・排出のために開口６，７を備えている。

図３には、図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿ったばね金属薄板１の断面図が示されている。この図３には一体成形部４と開口７とが示されており、この図面から特に、ばね金属薄板１が弛緩された状態では浅いホッパの形をしていることが分かる。

図４には、ピストン８に取り付けられた後のばね金属薄板１が示されている。この図４から分かるように、金属薄板１はこの場合平らな位置を有しており、つまり金属薄板１は、図３に示されたホッパ状の位置に対してねじりを加えられている。これによってばね金属薄板１内において生じるねじり応力に起因して、ばね金属薄板１の半径方向内側の縁部領域１６は、ピストンベース体１４の半径方向外側に向かって延びる突出部１７のピストンヘッド側の表面、つまりに第１の支持部１０を形成する表面に、プレロードをかけられてで支持され、かつばね金属薄板１の半径方向外側の縁部領域１８は、リング部分１３の、ピストンヘッドとは反対側の下側面１５の階段状の凹設部１９によって形成される第２の支持部９に、プレロードをかけられて支持されており、これによりばね金属薄板１はピストン８において固定される。

ばね金属薄板１は外側半径１１（図２）を有しており、この外側半径１１は、ばね金属薄板１とピストン８との間に間隙１２（図４）が形成されるように寸法設定されている。これによって、ピストン８とばね金属薄板１との間における相対運動時に、間隙１２の領域においてばね金属薄板１及びピストン８の損傷を回避することができる。さらに支持部９，１０の面積は、ピストン８とばね金属薄板１との間における相対運動時に最小の摩耗しか生じないような大きさである。

このような相対運動は、ピストン８に対して作用する燃料圧や、高回転数時にリング部分１３に対して作用する慣性力に基づいて発生し、これによってリング部分１３はピストンベース体１４に対して相対運動し、その結果リング部分１３及びピストンベース体１４の半径方向に対するばね金属薄板１の相対運動が惹起される。

組立て時に、両ばね金属薄板半部２，３はリング部分１３の、ピストンヘッドとは反対側の下側面１５に接触させられ、その半径方向内側において、ピストンヘッド２１に向かって作用する軸方向力にさらされ、これによって、ばね金属薄板半部２，３の半径方向内側の縁部領域１６が第１の支持部１０の上に接触するようなねじりを加えられる。その後でばね金属薄板半部２，３は、半径方向内側に向けられた力によって、図４に示されたポジションへと移動させられる。

内燃機関用のピストンの冷却通路を閉鎖するための従来技術によるばね金属薄板を示す断面図である。 本発明によるばね金属薄板を示す平面図である。 図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿って本発明によるばね金属薄板を断面した図である。 ピストンに取り付けた後における本発明によるばね金属薄板を示す図である。

符号の説明

１ ばね金属薄板、 ２，３ ばね金属薄板半部、 ４，５ 一体成形部、 ６，７ 開口、 ８ ピストン、 ９ 第２の支持部、 １０ 第１の支持部、 １１ 外側半径、 １２ 間隙、 １３ リング部分、 １４ ピストンベース体、 １５ リング部分１３の下側面、 １６ ばね金属薄板１の半径方向内側の縁部領域、 １７ 突出部、 １８ ばね金属薄板１の半径方向外側の縁部領域、 １９ 階段状の凹設部、 ２０ 冷却通路、 ２１ ピストンヘッド、 ２２ 凹設部、 ２３ リング壁２４の端面、 ２４ リング壁、 ２５ 内側の支持部、 ２６ 段部、 ２７ 矢印、 ２８ ピストンベース体、 ２９ 皿ばね３０の外縁部、 ３０ 皿ばね、 ３１，３２ 支持点

Claims (2)

1. 内燃機関のピストン（８）のピストンヘッド（２１）の領域において半径方向外側に位置していてピストンヘッドとは反対側の下側面に向かって開放している冷却通路（２０）をカバーするための冷却通路カバーであって、該冷却通路カバーが、２つの半円形の半部（２，３）から成っているリング状のばね金属薄板（１）の形を有しており、該ばね金属薄板（１）の半径方向内側の縁部領域（１６）が、冷却通路（２０）を半径方向内側において画成するピストンベース体（１４）の、半径方向外側に向かって延びる突出部（１７）の上側面によって形成される第１の支持部（１０）に支持され、ばね金属薄板（１）の半径方向外側の縁部領域（１８）が、第２の支持部（９）にプレロードをかけられて支持されており、該第２の支持部（９）が、冷却通路（２０）の半径方向外側を画成するピストン（８）のリング部分（１３）の下側面（１５）における階段状の凹設部（１９）によって形成されている形式のものにおいて、
   ばね金属薄板（１）の外側半径（１１）は次のように、すなわちばね金属薄板（１）の半径方向外側の端面と階段状の凹設部（１９）の半径方向外側の画成部との間に環状の間隙（１２）が生ぜしめられるように、寸法設定されており、
   かつ第２の支持部（９）が少なくともほぼばね金属薄板（１）の厚さだけ、第１の支持部（１０）よりもピストンヘッド（２１）の近傍に位置するように設けられていて、その結果ピストン（８）への取付け後にばね金属薄板（１）が少なくともほぼ平らな位置を占めるようになっていることを特徴とする、内燃機関のピストン用の冷却通路カバー。
2. 両方のばね金属薄板半部（２，３）が、半径方向外側に向かって延びる少なくとも１つの一体成形部（４，５）を有している、請求項１記載の冷却通路カバー。

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