JP4597839B2 - 画像形成用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
そこで、トナーの低温定着化という点について、従来多用されてきたスチレン−アクリル系樹脂に替えて、低温定着性にすぐれ耐熱保存性も比較的良いポリエステル樹脂の使用が試みられていたが、未だ十分ではなかった。そこで、更なる低温定着化のためには、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることが必要となるが、ガラス転移温度(Tg)を下げすぎると耐熱保存性を悪化させたり、あるいは分子量を小さくして樹脂の軟化温度〔T(F1/2)〕を下げすぎるとホットオフセット発生温度を低下させるなどの問題があった。このため、低温定着性に優れるポリエステル樹脂でも、樹脂そのものの熱特性をコントロールすることにより低温定着性に優れ、かつホットオフセット発生温度の高いトナーを得るには至っていなかった。
結晶性ポリエステル樹脂を処方したトナー固有の課題として、溶融混練後の冷却圧延工程において、速やかに結晶性ポリエステル樹脂を結晶化させることが必要であるという問題点があった。また、結晶化が行われていない状態では、結晶性ポリエステル樹脂が圧延ローラに粘着するなど製造上の不具合を生じてしまうという問題点があった。そのため、結晶化させるためには、溶融混練物を結晶性ポリエステル樹脂の凝固点以下の温度にまで冷却する必要があり、特許文献9では、無機微粒子を内添することにより、結晶性ポリエステル樹脂の結晶化を促進していた。具体的には結晶性ポリエステル樹脂の凝固点を高めていた。
本発明は、軟化温度T(F1/2)と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化温度/ピーク温度)が0.6乃至1.3であり、ガラス転移温度Tg及び軟化温度T(F1/2)が80乃至130℃であり、その分子主鎖中に下記一般式(1)
(化1)
−OOC−R−COO−(CH 2 )n− (1)
(式中、Rは炭素数2乃至20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2乃至20の整数を示す)
で表されるエステル結合を含有する結晶性ポリエステル樹脂であって、該結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなる結晶性ポリエステル樹脂と、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムから選ばれる脂肪酸金属塩とを含む原料を溶融混練する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明は、前記トナーの製造方法において、前記脂肪酸金属塩の配合量が結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して3乃至25重量部であることを特徴とする。
本発明は、前記トナーの製造方法において、前記結晶性ポリエステル樹脂の粉末X線回折パターンにおける回折ピークが、少なくとも2θ=20乃至25°の位置に存在することを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明は、前記トナーの製造方法において、溶融混練工程により得られた混練物を、圧延ロールにより冷却圧延する工程を有することを特徴とするトナーの製造方法である。
本発明は、軟化温度T(F1/2)と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化温度/ピーク温度)が0.6乃至1.3であり、ガラス転移温度Tg及び軟化温度T(F1/2)が80乃至130℃であり、その分子主鎖中に下記一般式(1)
(化2)
−OOC−R−COO−(CH 2 )n− (1)
(式中、Rは炭素数2乃至20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2乃至20の整数を示す)
で表されるエステル結合を含有する結晶性ポリエステル樹脂であって、該結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなる結晶性ポリエステル樹脂と、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムから選ばれる脂肪酸金属塩とを含む原料を溶融混練してなることを特徴とするトナーである。
また、重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)は1.00乃至1.40の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.05乃至1.30である。ここで、(D4/D1)は、1.00に近いほど粒径分布がシャープであることを示す。このような小粒径で粒径分布の狭いトナーでは、トナーの帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、静電転写方式では転写率を高くすることができる。
異なる色のトナー像を重ね合わせることにより多色像を形成するフルカラー画像形成方法においては、ブラックトナー1色のみで画像形成するため異なる色のトナー像を重ね合わせる必要のないモノクロ画像形成方法に比べて、紙上に付着させるトナー量が多い。すなわち現像、転写、定着されるトナー量が多くなるために、上述の転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下、文字やラインの飛び散り、地肌かぶりなど画質を悪化させる不具合が起こりやすく、重量平均粒径(D4)や重量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)との比(D4/D1)の管理が重要となる。
コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。以下に測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100乃至150mL中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1乃至5mL加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの重量、個数を測定して、重量分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
チャンネルとしては、2.00以上乃至2.52μm未満、2.52以上乃至3.17μm未満、3.17以上乃至4.00μm未満、4.00以上乃至5.04μm未満、5.04以上乃至6.35μm未満、6.35以上乃至8.00μm未満、8.00以上乃至10.08μm未満、10.08以上乃至12.70μm未満、12.70以上乃至16.00μm未満、16.00以上乃至20.20μm未満、20.20以上乃至25.40μm未満、25.40以上乃至32.00μm未満、32.00以上乃至40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
そこで、結晶性を有するポリエステル樹脂と非晶性樹脂とを組み合わせることにより、非晶性樹脂だけではできなかった、耐熱保存性や耐ホットオフセット性の悪化を伴なわない溶融粘度の低下による低温定着化を達成できる。
結晶性ポリエステル樹脂に脂肪酸金属塩を加えることにより、これらが溶融混練された後に圧延冷却される際に、まず最初に凝固点の高い脂肪酸金属塩が高温で結晶化する。次に、脂肪酸金属塩より凝固点の低い結晶性ポリエステル樹脂が、先に形成された脂肪酸金属塩の結晶を核として結晶化する。一方、脂肪酸金属塩が存在しない場合には、結晶核が存在しないため結晶性ポリエステル樹脂が結晶化しにくく、凝固点が低くなる。すなわち、脂肪酸金属塩を添加することにより結晶性ポリエステル樹脂の凝固点が上昇し高温で結晶化しやすくなる。
本発明のトナーは、該トナー中に実質上相互に非相溶性の結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂とを含有させ、両者をトナー中に非相溶の相分離状態に存在させたことから、すぐれた耐ホットオフセット性と低温定着性を有する。即ち、本発明のトナーでは、結晶性ポリエステル樹脂、と非結晶性樹脂は、相分離状態で存在することから、結晶性ポリエステル樹脂と非結晶性樹脂はそれぞれの固有の特性を発現する。即ち、高いT(F1/2)を有する非結晶性樹脂はトナーの弾性を高め、耐ホットオフセット性を向上させ、一方、低いT(F1/2)を有する結晶性ポリエステル樹脂は低温定着性を向上させる。
(I)トナーのDSC1回目の昇温による吸熱ピーク測定により相分離構造の形成の有無を確認できる。DSC吸熱ピーク測定において、少なくとも非晶質樹脂、離型剤及び結晶性ポリエステル樹脂にそれぞれ帰属される3つの吸熱ピーク(A)、(B)、(C)が存在し、非結晶性樹脂に帰属される吸熱ピーク(A)が40乃至70℃の範囲にピークトップを有するものであり、離型剤に帰属される吸熱ピーク(B)が70乃至90℃の範囲にピークトップを有するものであり、結晶性ポリエステル樹脂に帰属される吸熱ピーク(C)が80乃至130℃の範囲にピークトップを有するものである。
(II)トナーの粉末X線回折装置によるX線回折パターン測定により、相分離構造の形成の有無を確認できる。これは、本発明のトナーの場合、結晶性を有するポリエステル樹脂が結晶性を保持した状態で非晶質のポリエステル樹脂と相分離した状態でトナー中に存在することから、結晶性ポリエステル樹脂に帰属される回折ピークが少なくとも2θ=20°乃至25°の位置に存在する。相分離構造が形成されていない場合は、結晶性ポリエステル樹脂の結晶構造が維持されずに非晶質のポリエステル樹脂と相溶するために結晶性ポリエステル樹脂に帰属する回折ピークが現れない。
軟化温度〔T(F1/2)〕は、島津製作所製の高架式フローテスターCF−500を使用し、ダイス径1mm、加圧10kgf/cm2、昇温速度3℃/minの条件下で1cm3の試料を溶融流出させた時のストロークが、流出開始点から流出終了点までのストローク変化量の1/2になる時の温度である。
トナーのLogRが10.5LogΩ・cmより小さい場合は、導電性が高くなり、これにより帯電不良が生じ、地汚れやトナー飛散等が増加する傾向が見られる。また、静電オフセット等による異常画像の発生も生じ、高品位の画像が安定して得られない。また、トナーのLogRが11.2LogΩ・cm以上の場合は、抵抗が高くなるため帯電量が上昇し、画像濃度が低下する傾向が見られる。
(化3)
−OOC−R−COO−(CH2)n− (1)
前記式中、Rは直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸残基を示し、炭素数2乃至20、好ましくは2乃至4の直鎖状不飽和脂肪族基である。nは2乃至20、好ましくは2乃至6の整数である。
一般式(1)の構造の存在は固体 13 C−NMRにより確認することができる。
前記直鎖状不飽和脂肪族基の具体例としては、マレイン酸、フマル酸、1,3−n−プロペンジカルボン酸、1,4−n−ブテンジカルボン酸等の直鎖状不飽和2価カルボン酸由来の直鎖状不飽和脂肪族基を挙げることができる。
前記一般式(1)において、(CH2)nは直鎖状脂肪族2価アルコール残基を示す。この場合の直鎖状脂肪族2価アルコール残基の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の直鎖状脂肪族2価アルコールから誘導されたものを示すことができる。結晶性ポリエステル樹脂は、その酸成分として、直鎖状不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いたことから、芳香族ジカルボン酸を用いた場合に比べて結晶構造を形成し易いという作用効果を示す。
結晶性ポリエステル樹脂は、(i)直鎖状不飽和脂肪族2価カルボン酸又はその反応性誘導体(酸無水物、炭素数1乃至4の低級アルキルエステル、酸ハライド等)からなる多価カルボン酸成分と、(ii)直鎖状脂肪族ジオールからなる多価アルコール成分とを、常法により重縮合反応させることによって製造することができる。この場合、多価カルボン酸成分には、必要に応じ、少量の他の多価カルボン酸を添加することができる。この場合の多価カルボン酸には、(i)分岐鎖を有する不飽和脂肪族2価カルボン酸、(ii)飽和脂肪族2価カルボン酸や、飽和脂肪族3価カルボン酸等の飽和脂肪族多価カルボン酸の他、(iii)芳香族2価カルボン酸や芳香族3価カルボン酸等の芳香族多価カルボン酸等が包含される。これらの多価カルボン酸の添加量は、全カルボン酸に対して、通常、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
前記多価アルコール成分には、必要に応じ、少量の脂肪族系の分岐鎖2価アルコールや環状2価アルコールの他、3価以上の多価アルコールを添加することができる。その添加量は、全アルコールに対して、30モル%以下、好ましくは10モル%以下であり、得られるポリエステルが結晶性を有する範囲内で適宜添加される。
必要に応じて添加される多価アルコールを例示すると、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ポリエチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、グリセリン等が挙げられる。
結晶性ポリエステル樹脂についての前記分子量分布は、横軸をlog(M:分子量)とし、縦軸を重量%とする分子量分布図に基づくものである。本発明で用いる結晶性ポリエステル樹脂の場合、この分子量分布図において、3.5乃至4.0(重量%)の範囲に分子量ピークを有することが好ましく、また、そのピークの半値幅が1.5以下であることが好ましい。
粉末X線回折測定は理学電機RINT1100を用い、管球をCu、管電圧−電流を50kV−30mAの条件で広角ゴニオメーターを用いて測定した。
非結晶性ポリエステル樹脂において、そのガラス転移温度(Tg)及び軟化温度〔T(F1/2)〕は、トナーの耐熱保存性が悪化しない範囲で低いことが望ましいが、一般的には、そのTgは45乃至75℃、好ましくは50乃至70℃であり、そのT(F1/2)は90乃至150℃、好ましくは90乃至130℃である。Tg及びT(F1/2)が前記範囲より高くなると、トナーの定着下限温度が高くなるため、トナーの低温定着性が悪化する。
その他の離型剤としては、固形シリコーンワックス、高級脂肪酸高級アルコール、モンタン系エステルワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等、従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。
本発明のトナーに使用する離型剤のTgは70乃至90℃が好ましい。70℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、90℃超では低温での離型性が発現されず、耐コールドオフセット性の悪化、定着機への紙の巻付きなどが発生する。これらの離型剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、1乃至20重量部、好ましくは3乃至10重量部である。1重量%未満ではオフセット防止効果が不十分であり20重量%を超えると転写性、耐久性が低下する。
紫色顔料としては、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキが挙げられる。青色顔料としては、コバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCが挙げられる。緑色顔料としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキが挙げられる。黒色顔料としては、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物が挙げられる。これらは、1種または2種以上を使用することができる。
さらに、疎水化処理されたシリカ及び疎水化処理された酸化チタンを併用し、疎水化処理されたシリカの外添量より疎水化処理された酸化チタンの外添量を多くすることにより湿度に対する帯電の安定性にも優れたトナーとすることができる。上記の無機微粒子と併用して、比表面積20乃至50m2/gのシリカや平均粒径がトナーの平均粒径の1/100乃至1/8である樹脂微粒子のように、従来用いられていた外添剤より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより耐久性を向上させることができる。これはトナーが現像装置内でキャリアと混合・攪拌され帯電し現像に供される過程でトナーに外添された金属酸化物微粒子は母体トナー粒子に埋め込まれていく傾向にあるが、これらの金属酸化物微粒子より大きな粒径の外添剤をトナーに外添することにより、金属酸化物微粒子が埋め込まれることを抑制することができるためである。
また、上記した無機微粒子や樹脂微粒子はトナー中に含有(内添)させることにより外添した場合より効果は減少するが転写性や耐久性を向上させる効果が得られるとともにトナーの粉砕性を向上させることができる。また、外添と内添を併用することにより外添した微粒子が埋め込まれることを抑制することができるため優れた転写性が安定して得られるとともに耐久性も向上する。
なお、ここで用いる疎水化処理剤の代表例としては以下のものが挙げられる。ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルジクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、p−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、クロルメチルトリクロルシラン、p−クロルフェニルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリクロルシラン、3−クロルプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルジクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、オクチル−トリクロルシラン、デシル−トリクロルシラン、ノニル−トリクロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−トリクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−トリクロルシラン、ジベンチル−ジクロルシラン、ジヘキシル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジノニル−ジクロルシラン、ジデシル−ジクロルシラン、ジドデシル−ジクロルシラン、ジヘキサデシル−ジクロルシラン、(4−t−ブチルフェニル)−オクチル−ジクロルシラン、ジオクチル−ジクロルシラン、ジデセニル−ジクロルシラン、ジノネニル−ジクロルシラン、ジ−2−エチルヘキシル−ジクロルシラン、ジ−3,3−ジメチルベンチル−ジクロルシラン、トリヘキシル−クロルシラン、トリオクチル−クロルシラン、トリデシル−クロルシラン、ジオクチル−メチル−クロルシラン、オクチル−ジメチル−クロルシラン、(4−t−プロピルフェニル)−ジエチル−クロルシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサトリルジシラザン等。この他チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤も使用可能である。この他クリーニング性の向上等を目的とした外添剤として、脂肪属金属塩やポリフッ化ビニリデンの微粒子等の滑剤等も併用可能である。
工程1 原材料を攪拌混合する工程
工程2 工程1の混合物を溶融混錬する工程
工程3 工程2の溶融混練物を圧延冷却する工程
工程4 工程3の圧延冷却物を粉砕する工程
工程5 工程4の粉砕物を分級する工程
工程6 工程5の分級物に添加剤を混合する工程
なお、工程1の工程において、結晶性ポリエステル樹脂と脂肪酸金属塩を他の原材料と同時に投入する代わりに、結晶性ポリエステル樹脂と脂肪酸金属塩の攪拌混合物、あるいは結晶性ポリエステル樹脂と脂肪酸金属塩の溶融混練物を用いることにより、結晶性ポリエステル樹脂と脂肪酸金属塩を均一に混合された状態にして用いることが好ましい。
<トナー現像剤>
<トナーの製造例1>
結晶性ポリエステル樹脂A1 16部
非結晶性ポリエステル樹脂B−H1 65部
非結晶性ポリエステル樹脂B−L1 10部
ステアリン酸亜鉛(日本油脂MZ−2、軟化温度133℃) 4部
サリチル酸Zr塩(保土ヶ谷化学TN−105) 1部
脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス(Tg:83℃) 5部
カーボンブラック(三菱化学 #44) 10部
上記のトナー構成材料をヘンシェルミキサー中で十分撹拌混合した後、Buss社コニーダにてスクリュー回転数80rpm、混合物の供給速度を10kg/hとし、混錬条件については、混練物を低温(混練物が溶融状態になる範囲での最低温度)の状態で混錬を行うべく、混錬機の温度設定を行った結果、スクリュー温度を40℃として混練機出口での混錬品の温度が120℃となるよう混錬機の温度設定を行った。次にこの混練物を圧延ロールにて6mmの厚みになるよう圧延冷却し圧延物を得た。この圧延物をホソカワミクロン社製APパルペライザーを用いて粒経1mm以下に粗粉砕し、続いてターボ工業社製ターボミルを用いて微粉砕し重量平均粒径6.5μmのトナー母体を得た。得られたトナー母体を分級し疎水性シリカ(平均一次粒径20nm、かさ密度0.15mg/cm2)0.5wt%と酸化チタン0.3wt%を添加混合し、最終的なトナーとした。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A1の16部に対してステアリン酸亜鉛は4部である。したがって、ステアリン酸亜鉛は結晶性ポリエステル樹脂A1の100重量部に対して、25重量部になる。
トナーの製造例1で、結晶性ポリエステル樹脂A1の16部を、結晶性ポリエステル樹脂A2を19.4部に変更し、ステアリン酸亜鉛の4部を0.6部に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A2の19.4部に対してステアリン酸亜鉛は0.6部である。したがって、ステアリン酸亜鉛は結晶性ポリエステル樹脂A2の100重量部に対して、3.1重量部になる。
トナーの製造例1で結晶性ポリエステル樹脂A1の16部を、結晶性ポリエステル樹脂A3を18部に変更し、ステアリン酸亜鉛の4部を2部に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A3の18部に対してステアリン酸亜鉛は2部である。したがって、ステアリン酸亜鉛は結晶性ポリエステル樹脂A3の100重量部に対して、11.1重量部になる。
トナーの製造例1でステアリン酸亜鉛の4部を0部に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A1の16部に対してステアリン酸亜鉛は0部である。したがって、ステアリン酸亜鉛は結晶性ポリエステル樹脂A1の100重量部に対して、0重量部になる。
トナーの製造例1で結晶性ポリエステル樹脂A1の16部を0部に変更し、非結晶性ポリエステル樹脂B−L1の10部を26部に変更した以外は、トナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A1の0重量部に対してステアリン酸亜鉛は4重量部である。
トナーの製造例1でステアリン酸亜鉛の4部を、ステアリン酸カルシウム(日本油脂MC−2、軟化点160℃)を4部に変更した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A1の16部に対してステアリン酸カルシウムは4部である。したがって、ステアリン酸カルシウムは結晶性ポリエステル樹脂A1の100重量部に対して、25重量部になる。
トナーの製造例1でステアリン酸亜鉛の4部を0部に変更し、疎水性シリカ(平均一次粒径10nm)を4部追加した以外はトナーの製造例1と同様にトナーを作製した。ここで、結晶性ポリエステル樹脂A1の16部に対してステアリン酸亜鉛は0部である。したがって、ステアリン酸亜鉛は結晶性ポリエステル樹脂A1の100重量部に対して、0重量部になる。
ポリエステルA1乃至A3は表1に示した組成物(酸成分、アルコール成分)と組成物総量の0.1重量%のハイドロキノンを、温度計、攪拌器、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えた容量5Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、窒素ガス導入管より窒素ガスを導入してフラスコ内を不活性雰囲気下に保った状態で昇温し、160℃に保って5時間、続いて200℃で1時間反応させた後、8.3kPaにて1時間反応させ、各ポリエステルを得た。
表1に組成物を示し、表2に物性値を示す。
固体 13 C−NMR(日本電子製のFT−NMR SYSTEM JNM−α400)を用い、観測核 13 C、基準物質アダマンタン、積算回数8192回、パルス系列CPMAS、IRMOD:IRLEV、観測周波数100.4MHz、OBSET134500Hz、POINT:4096、PD:7.0sec、SPIN6088Hzの条件で行い、分子構造推定はソフトウエアとしてChem Draw Pro Ver.4.5を用いて行った。
固体 13 C−NMRでの分子構造解析結果を裏つける測定として、次の二つの測定を併用した。
(a)フーリエ変換赤外線分光光度(FT−IR)透過法にて試料を測定し、標準スペクトル比較から構造を推定する。測定機として、Nicolet Magna 850、測定範囲は、4000乃至400cm−1、標準試料としてKBrを用いた。
(b)熱分解ガスクロマトグラム質量分析計による熱分解性生物の構造推定は、測定機として、島津製作所のGC−17Aと島津製作所のCR−4Aを用いた。熱分解温度の測定は、日本分析工業のJHB−3Sを使用し、熱分解温度は試料加熱温度×時間を590℃×4秒、カラムはDB−5(JアンドW Co.)L=30m、I.D=0.25mm、Film=0.25mm、カラム温度は50℃(保持時間1分)から10℃/分で300℃まで昇温、インジェクション温度は320℃、キャリアガス圧力は90kPr(保持時間2分)から2kPa/分で150kPaまで昇圧という条件で、検出器はFIDを使用した。
ポリエステルB−H1およびB−L1は表5に示した組成物(酸成分、アルコール成分)を、温度計、攪拌器、コンデンサーを備えた容量5Lの4つ口丸底フラスコ内に入れ、このフラスコをマントルヒーターにセットし、組成物総量の0.1重量%のジブチルスズオキシドを加えて昇温し、温度を220℃に保って8時間反応させた後、8.3kPaにて所定の軟化点に達するまで反応させ、各ポリエステルを得た。表3に成分を示し、表4に物性値を示す。
なお、表3に示したBPA/EOは、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示し、BPA/POは、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(2.2モル付加物)を示す。
(i)芯材:Cu−Znフェライト粒子(体積平均径:45μm) 5000部
(ii)コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調製し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた、旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。
次いで、得られたキャリアを電気炉で250℃で2時間焼成を行い、製造例のキャリア粒子(3kOe印加時の飽和磁化65emu/g、3kOe印加時の残留磁化0emu/g、比抵抗3.2×108Ω・cm、体積平均径45μm)を得た。
上記製造例1乃至7のトナー2.5部と、上記製造例のキャリア97.5部をターブラーミキサーで混合し、トナー製造例1乃至7に対応する各トナーに対応する現像剤(1)乃至(7)を得た。
リコー製複写機(Imagio Neo 350)を改造して、本来の定着装置を取り外して別の定着装置を取り付けられるようにし、定着装置の設定温度を変えられるようにした。これに実施例に示すトナー、現像剤、定着装置、リコー製タイプ6200紙をセットし複写テストを行った。
評価に使用する定着装置は図1示す熱ローラ定着装置で、以下の構成のものである。定着ローラ1の金属シリンダー3がSUSで厚さ3.0mm、定着ローラ1のオフセット防止層4がPTFEで厚さ20μm、加圧ローラ2の金属シリンダー6がSUSで厚さ2mm、加圧ローラ2のオフセット防止層7が厚さ4μmのシリコンゴムの上に厚さ50μmのPFA、面圧2.5×105Pa、線速180mm/secである。
定着温度を変化させてコールドオフセット発生温度とホットオフセット発生温度を求めた。なお、耐オフセット性の評価条件は紙送りの線速度を50mm/secとオフセット発生に対して厳しい条件に設定した。各特性評価の基準は以下のとおりである。
1 低温定着性(2段階評価)
○:130℃未満、
×:130℃以上
2 ホットオフセット性
○:201℃以上、
×:201℃未満、
融点と凝固点の測定には、島津製作所製の熱分析装置DSC−60を使用し、試料量0.5g、で下記の条件で測定したものである。昇温過程は、スタート温度20℃で150℃まで昇温、昇温速度10℃/minである。降温過程は、スタート温度150℃で20℃まで昇温、降温速度10℃/minである。融点は昇温過程における結晶性ポリエステルの吸熱ピークの最大ピーク温度、凝固点は降温過程における結晶性ポリエステルの発熱ピークの最大ピーク温度である吸熱ピーク、発熱ピークが結晶性ポリエステルのピークに相当するか否かの判断は、結晶性ポリエステル樹脂をはじめとするトナー原材料の材料単独のDSC測定データから同定した。基準は下記のとおりである。
◎:25℃未満
○:25℃以上28℃未満
△:28℃以上33℃未満
×:33℃以上
生産性の指標として圧延ロールへの巻きつき性を下記の基準で評価した。
◎:圧延ロールに水を通さなくても圧延できる。
○:圧延ロールに20℃程度の水を通すことにより圧延できる。
△:20℃程度の水を通した圧延ロールに一部の混練物が張り付くものの、特に問題なくトナーを製造できる。
×:20℃程度の水を通した圧延ロールでは混練物が張り付き、トナーの製造が困難である。
2 加圧ローラ
3 金属シリンダー
4 オフセット防止層
5 加熱ランプ
6 金属シリンダー
7 オフセット防止層
8 加熱ランプ
T トナー像
S 付着支持体
Claims (5)
- 軟化温度T(F1/2)と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化温度/ピーク温度)が0.6乃至1.3であり、ガラス転移温度Tg及び軟化温度T(F1/2)が80乃至130℃であり、その分子主鎖中に下記一般式(1)
(化1)
−OOC−R−COO−(CH 2 )n− (1)
(式中、Rは炭素数2乃至20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2乃至20の整数を示す)
で表されるエステル結合を含有する結晶性ポリエステル樹脂であって、
該結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなる結晶性ポリエステル樹脂と、
ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムから選ばれる脂肪酸金属塩とを含む原料を溶融混練する工程を有する
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1に記載のトナーの製造方法において、
前記トナーの製造方法が、前記脂肪酸金属塩の配合量が結晶性ポリエステル樹脂100重量部に対して3乃至25重量部である
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1又は2に記載のトナーの製造方法において、
前記トナーの製造方法が、前記結晶性ポリエステル樹脂の粉末X線回折パターンにおける回折ピークが、少なくとも2θ=20乃至25°の位置に存在する
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のトナーの製造方法において、
前記トナーの製造方法が、溶融混練工程により得られた混練物を、圧延ロールにより冷却圧延する工程を有する
ことを特徴とするトナーの製造方法。 - 軟化温度T(F1/2)と融解熱の最大ピーク温度の比(軟化温度/ピーク温度)が0.6乃至1.3であり、ガラス転移温度Tg及び軟化温度T(F1/2)が80乃至130℃であり、その分子主鎖中に下記一般式(1)
(化2)
−OOC−R−COO−(CH 2 )n− (1)
(式中、Rは炭素数2乃至20の直鎖状不飽和脂肪族基を示し、nは2乃至20の整数を示す)
で表されるエステル結合を含有する結晶性ポリエステル樹脂であって、
該結晶性ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分が1,4−ブタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールの中から選ばれる少なくとも1つからなり、酸成分がマレイン酸及びフマル酸の中から選ばれる少なくとも1つからなる結晶性ポリエステル樹脂と、
ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムから選ばれる脂肪酸金属塩とを含む原料を溶融混練してなる
ことを特徴とするトナー。
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