第1の発明は、交流電源と、駆動コイルに電流を供給することにより出力接点がオンとなるリレーと、電源入りスイッチを有し前記リレーの出力接点に並列接続した起動回路と、マイクロコンピュータを有し前記リレーをオンオフさせる制御回路と、前記制御回路に直流電圧を供給する電源回路と、前記交流電源の電圧位相を検出する位相検出回路と、電動機などの負荷とを備え、前記電源入りスイッチをオンされたとき、前記交流電源から前記負荷と前記電源回路に電源が供給され、前記制御回路は、前記電源回路から供給される電圧が所定値以上になると前記マイクロコンピュータが動作を開始し、前記位相検出回路からの交流電源位相信号が反転するまでの時間を前記マイクロコンピュータがカウントして、カウントした値が偶数か奇数かで前記リレーの出力接点をオンする交流電源位相を決定して駆動することにより、その後前記電源入りスイッチがオフとなっても前記リレーの出力接点を引き続きオンにし、前記負荷と前記電源回路に電源を供給するように構成したことにより、前記リレーの出力接点がオンする際のインラッシュ電流の位相が正側および負側にランダムに決定され、リレーの接点片減りを防止して接点寿命を長くするとともに、電流定格値が小さく、小形、低コストのリレーを使用し、それによってデザイン性や使い勝手を向上することができ、待機状態での消費電力をほぼ完全に零とすることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、制御回路は、前記位相検出回路からの交流電源位相信号が反転してから所定時間後に前記リレーの駆動コイルに電源を供給して、前記リレーの出力接点が前記交流電源のゼロ位相付近でオンするようにしたことにより、比較的簡単な構成で、リレーの出力接点を通して流れ込むインラッシュ電流値をきわめて小さな値に抑えることができることから、リレーの電流定格、特に接点のターンオン時のチャタリングまたはバウンシングなどと呼ばれる現象が起こる場合の接点への過電流の通電による品質劣化を十分に防止することができる。
第3の発明は、上記第1または第2の発明において、負荷は、整流器とコンデンサを有する整流平滑回路と、前記整流平滑回路から直流電圧を受けるインバータと、前記インバータの出力に接続された電動機とを有し、電源回路は前記コンデンサから直流電圧が供給されるスイッチング電源により構成し、起動回路は電源入りスイッチと抵抗の直列回路で構成したことにより、コンデンサによるインバータの入力直流電圧のリプル電圧を低減して、動作を安定化することができるとともに、電源投入時に電源入りスイッチおよびリレーに流れるインラッシュ電流を低減することができ、さらに、待機時の消費電力をほぼ完全に零にすることができる。
さらに、インバータに入力される直流電圧を安定にして、インバータの動作を安定に保つことができるように、コンデンサの静電容量を大きな値とした場合にあっても、電源入りスイッチをオンした時に抵抗を通じてコンデンサに充電電流が流れるので、電源入りスイッチに流れる電流は小さな値に抑えることが可能となり、電源入りスイッチに要求される電流定格が小さくても十分な信頼性が確保することができることから、電源入りスイッチが小形、低コストとすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1に示すように、交流電源1は、100V50Hzまたは60Hzの商用電源であり、リレー2は、駆動コイル3に駆動電流を供給することにより出力接点がオンとなるもので、制御回路4によりオンオフさせる。このリレー2の出力接点に起動回路5を並列接続している。電源回路6は制御回路4に直流電圧を供給する。7は位相検出回路であり、8は負荷である。
制御回路4は、マイクロコンピュータ9、リセットIC10、電源切りスイッチ11、スタートスイッチ12、リレー2の駆動コイル3に駆動電流を供給するNPN形のトランジスタ13、およびダイオード14を有している。ここで、ダイオード14は、トランジスタ13がオン状態からオフの状態へと変化した瞬間に、駆動コイル3のインダクタンスの影響により、トランジスタ13のコレクタ、エミッタ間に高電圧が印加されるのを防止するものである。
また、起動回路5は電源入りスイッチ15を有しており、電源入りスイッチ15とリレー2の出力接点の内の少なくとも一方がオンしている場合には、交流電源1から負荷8と電源回路6にAC100Vの電源が供給され、同時に位相検出回路7にも交流電源1からAC100V入力がなされて通電信号を出力する。
負荷8は、本実施の形態では、4極のコンデンサラン形の誘導電動機16と、電動機16に接続した進相用コンデンサ17と、排水弁18、給水弁19を備えている。排水弁18と給水弁19は、AC100Vの電源を供給することにより、バルブを開いた状態とすることができるものを使用している。
負荷駆動回路20は、負荷8の各構成要素への電源供給を制御回路4のマイクロコンピュータ9からオンオフ制御するものであり、各双方向性サイリスタのゲートから駆動電流を引き抜いてオンさせるための抵抗21a、21b、21c、21d、双方向性サイリスタ22a、22b、22c、22d、NPN形のトランジスタ23a、23b、23c、23d、各トランジスタのベース電流を供給する抵抗24a、24b、24c、24dによって構成しており、マイクロコンピュータ9から約5Vのハイ信号が出力された場合には、それに接続されたトランジスタおよび双方向性サイリスタがオン状態となり、交流電源1からのAC100Vが供給されるよう構成している。
電動機16は、運転状態においては、マイクロコンピュータ9からの出力端子a、bの内の一方がハイとなり、それによって双方向性サイリスタ22a、22bの一方がオンすると、回転磁界が発生して一方向にトルクが発生するもので、aとbのどちらをハイに上げるかによって、電動機16の回転方向を左右に変えることができる。
電源回路6は、電源トランス25、4本のシリコンダイオードをブリッジ接続した全波の整流器26、その出力に接続され電圧リプルを低減させるための電解コンデンサ27、さらにコンデンサ27によって平滑された直流電圧から安定な直流を得るための抵抗28、定電圧ダイオード29、トランジスタ30、電解コンデンサ31を設けている。
また、制御回路4は、電源回路6から供給される電圧が3.3V以上の場合に、リセットIC10の作用により、マイクロコンピュータ9に対してリセット解除がなされる構成となっており、その直後から、動作が可能となる。
位相検出回路7は、22kΩの抵抗32、ダイオード4本を全波整流ブリッジ接続して構成した整流器33、整流器33の出力に接続したフォトカプラ34、その出力側から接続された抵抗35、36とそれによって駆動されるPNP形のトランジスタ37、トランジスタ37のコレクタからGND間に接続した抵抗38とノイズ防止用の0.01μFのコンデンサ39で構成している。
図2は、リセットIC10の特性を示したものであり、電源回路6からの出力電圧Vccに対して、マイクロコンピュータ9のリセット端子RESに出力される電圧Vresetの値は、Vcc<3.3Vの領域においては、ほぼ零Vであるが、Vcc>3.3Vの条件下では、ほぼVreset=Vccとなる。
マイクロコンピュータ9は、リセット端子RESにローが印加されている状態においては、動作を停止した状態となっていて、同端子がハイ、すなわち電源回路6から供給される電圧に対して半分以上の値である状態となった場合に、動作を開始するものであることから、制御回路4は、電源回路6からの供給電圧が所定値である3.3V以上の場合に動作が可能となる。
図3は、位相検出回路7の動作波形図を示しており、(a)は交流電源1の出力電圧、(b)は位相検出回路7の出力電圧Vdetの波形を示している。
すなわち、位相検出回路7は、電源入りスイッチ15がオンの状態では、交流電源1の電圧位相が正側の時はフォトカプラ34の入力(発光ダイオードの電流)は、フォトカプラ34を経て、トランジスタ37をオンさせることによりハイの出力をマイクロコンピュータ9に出力し、交流電源1の電圧位相が負側の時はローが出力されることになるため、結果的には電源位相信号として、(b)に見られるような交流電源1と同期した正負の矩形波信号が出力される。
図4は、マイクロコンピュータ9のフローチャートを示している。
図4において、電源回路6の出力電圧Vccが3.3V以上となると、リセットIC10の作用により、ステップ200で動作を開始する。
そして、まずマイクロコンピュータ9は、ステップ201でイニシャライズし、ここで内蔵されたメモリやレジスタ、フラグなどの初期化などを行う。その直後に、ステップ202で内部タイマを0.01msで1カウントとしてスタートする。そして、ステップ203〜204で位相検出回路7からの信号が反転するまで内部タイマをカウントさせる。次にステップ205〜207で内部タイマのカウントを読み出し、偶数であればリレー2を正側の位相でオンし、逆に奇数であればリレー2を負側の位相でオンさせる。
なお、実際にはマイクロコンピュータ9の出力ポートの電流容量が、駆動コイル3に必要となる電流値よりも小さいため、出力ポートからトランジスタ13を働かせることにより駆動コイル3に電流を流している。
ステップ213では、後述するフラグの有無の検知をしているが、初回においては前述のフラグの初期化により、ステップ208に進む。
ステップ208のキー入力スキャンでは、電源切りスイッチ11、スタートスイッチ12が接続されている入力ポートの値を読み込む動作を行い、前述の如くマイクロコンピュータ9は、構成部品の点数削減のため、リレー2の駆動の制御と負荷駆動回路20への信号出力の両方を行うことから、電源切りスイッチ11、スタートスイッチ12の状態は、いずれもマイクロコンピュータ9に接続し、読み込ませている。
ステップ209でキー入力の判断がなされ、いずれかのキーが押されてスイッチがオンしているならばステップ210へ進み、またいずれのスイッチも押されておらず従ってすべてのスイッチがオフとなっているならばステップ213へ戻る。
ステップ210でスタートスイッチ12が押されてオンとなった場合には、ステップ211へ進み駆動スタートを実行し、そうでない場合には、ステップ212へ進む。ここで、ステップ211では、電気洗濯機としての負荷を順次駆動する。つまり、洗濯、すすぎ、脱水にいたるシーケンスを順次動作する。したがって、マイクロコンピュータ9のa、b、c、dの各出力端子に順番に信号を出力していくことにより、電気洗濯機としての動作をさせる。
本実施の形態においては、いわゆるフラグ処理を行っていることから、一度ステップ211を通過させると、負荷駆動回路20として必要な上記の動作は、フラグを検知したルーチン側で対応が可能である。このため、一度ステップ211を通した後、ステップ209〜ステップ212までのループ処理を行い、キーの入力を受け付けている状態に保っていても、洗濯〜脱水のコースは順序よく実行される。
ステップ212においては、電源切りスイッチ11が押されていてオン状態となっていた場合には、ステップ214へ進み、電源リレー2や負荷駆動回路20等全ての負荷をオフして運転を終了する。
電気洗濯機としてのシーケンスが完了した場合には、終了フラグがハイとなり、ステップ213からステップ214へ進み、電源リレー2や負荷駆動回路20等全ての負荷をオフして運転を終了する。
以上の構成において、本実施の形態の電気洗濯機の動作について説明する。
まず、電源入りスイッチ15をオンした際の動作について説明する。図5は、交流電源1を50Hzで接続している状態で、電源入りスイッチ15をオンした場合の各部の動作波形図を示したもので、(a)は電源入りスイッチ15のオンオフ状態、(b)は電源回路6の出力電圧Vcc、(c)はリセットIC10の出力電圧Vreset、(d)は位相検出回路7の出力電圧Vdet波形、(e)はリレー2の駆動コイル3に印加される電圧Vrly、(f)はリレー2の出力接点のオンオフ状態を示している。
図5においては、(a)に示すように、時刻t0で電源入りスイッチ15が使用者によって操作されて、モーメンタリスイッチがオンとなり、オン状態が100ms間続いた後使用者が手を離し、オフとしている。
時刻t0で電源入りスイッチ15がオンされると、電源回路6の電源トランス25の1次側にAC100Vが印加され、2次側に接続されたコンデンサ27が充電されるので、(b)に見られるようにVcc電圧の上昇が始まり、時刻t1で3.3Vに達すると、(c)に示すように、リセットIC10の作用により、マイクロコンピュータ9のRES端子の電圧がほぼ零V状態からハイ(ほぼVccに近い値)の状態にまで立ち上がり、マイクロコンピュータ9の動作が開始される。すなわち図4に示したフローチャートのステップ200からの動作が始められる。マイクロコンピュータ9は、図4のステップ201でイニシャライズした後、内部タイマ0.01msで1カウントとしてスタートする。そして、(d)に示す位相検出回路7からの信号が反転するt2までの時間、つまり7.45msを内部タイマでカウントさせる。次にこの内部タイマのカウントを読み出し、結果が745となり奇数であるので、リレー2の駆動コイル3を負側の位相t3でオンさせる。実際には駆動コイル3に電源を供給してリレー出力接点がオンするまでは機械的な遅れ時間が発生するので、リレー出力接点はt3からさらに4ms遅れてt4時点でオンする。
この時の電源入りスイッチ15は人が操作するものであり、電源入りスイッチ15がオンされるタイミングは交流電源の位相とは関係がない。よって、内部タイマのカウント単位としては交流電源の周波数より充分小さい単位でカウントする必要はあるものの、電源入りスイッチ15を操作する毎に、リレー2の出力接点がオンする電源位相は正側にも負側にもランダムに実施されることとなる。
したがって、リレー2の出力接点が閉じる際の電流が片側の位相に固定されることなく、リレーの接点片減りを防止して接点寿命を長くするとともに、結果的に電流定格値が小さく、小形、低コストのリレーを使用し、それによってデザイン性や使い勝手を向上することができ、待機状態での消費電力をほぼ完全に零とすることができる。
(実施の形態2)
本発明は、位相検出回路からの交流電源位相信号が反転してから所定時間後に前記リレーの駆動コイルに電源を供給して、前記リレーの出力接点が前記交流電源のゼロ位相付近でオンするように前記所定時間を設定したものである。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、詳細な説明は省略する。
以上のように構成した電気洗濯機について、その動作を説明する。図6はマイクロコンピュータ9のフローチャートを示している。
図6において、電源回路6の出力電圧Vccが3.3V以上となると、リセットIC10の作用により、ステップ200で動作を開始する。
そして、まずマイクロコンピュータ9は、ステップ201でイニシャライズし、ここで内蔵されたメモリやレジスタ、フラグなどの初期化などを行う。そして、ステップ202で位相検出回路7からの信号が反転するのを待機し、この信号の反転を検出するとステップ203に進み、あらかじめ設定された所定時間Tをステップ204でカウントダウンし、その値が0になると、ステップ205でリレー2の駆動コイル3に電源を供給する。
以上の構成において、本実施の形態の電気洗濯機の動作について説明する。
まず、電源入りスイッチ15をオンした際の動作について説明する。図7は、交流電源1を50Hzで接続している状態で、電源入りスイッチ15をオンした場合の各部の動作波形図を示したもので、(a)は電源入りスイッチ15のオンオフ状態、(b)は電源回路6の出力電圧Vcc、(c)はリセットIC10の出力電圧、(d)は位相検出回路7の出力電圧Vdet波形、(e)はリレー2の駆動コイル3に印加される電圧Vrly、(f)はリレー2の出力接点のオンオフ状態を示している。
図7においては、(a)に示すように、時刻t0で電源入りスイッチ15が使用者によって操作されて、モーメンタリスイッチがオンとなり、オン状態が100ms間続いた後使用者が手を離し、オフとしている。
時刻t0で電源入りスイッチ15がオンされると、電源回路6の電源トランス25の1次側にAC100Vが印加され、2次側に接続されたコンデンサ27が充電されるので、(b)に見られるようにVcc電圧の上昇が始まり、時刻t1で3.3Vに達すると、(c)に示すように、リセットIC10の作用により、マイクロコンピュータ9のRES端子の電圧がほぼ零V状態からハイ(ほぼVccに近い値)の状態にまで立ち上がり、マイクロコンピュータ9の動作が開始される。マイクロコンピュータ9は、状態をイニシャライズした後、位相検出回路7からの信号(d)が反転を検出する時刻t2より所定時間T=6msをカウントダウンした後、時刻t3でリレー2の駆動コイル3に電源を供給する。実際には駆動コイル3に電源を供給してからリレー出力接点がオンするまでの機械的な遅れ時間T1=4ms後の時刻t4でリレー接点出力がオン状態となる。つまり、マイクロコンピュータ9が位相検出回路7からの信号が反転を検出してからT+T1=6ms+4ms=10ms後つまり前記交流電源のゼロ位相付近でリレー出力接点がオンさせている。
ここで所定時間Tは、交流電源1の半周期時間10msとリレー2の駆動コイル3への電源供給からリレー出力接点動作の遅れ時間4msの差分である6msを設定することにより、リレー2のリレー出力接点を交流電源のゼロ位相付近でオンさせている。よって、比較的簡単な構成で、リレーの出力接点を通して流れ込むインラッシュ電流値をきわめて小さな値に抑えることができることから、リレーの電流定格、特に接点のターンオン時のチャタリングまたはバウンシングなどと呼ばれる現象が起こる場合の接点への過電流の通電による品質劣化を十分に防止することができる。
当然ながら、この所定時間Tの設定は交流電源1の周波数にも影響される為、駆動コイル3へ電流を印加する前に、位相検出回路7からの信号により交流電源1の周波数を確認して、所定時間Tを補正すれば交流電源1の周波数に関係なく前記交流電源のゼロ位相付近でリレー出力接点がオンさせることができる。
また、駆動コイル3に電源を供給してからリレー出力接点がオンするまでの機械的な遅れ時間T1はリレーの品種によっても若干異なる為、使用するリレーの遅れ時間に合わせて所定時間Tを設定する必要があるが、実際にリレー2を駆動した際の遅れ時間T1を記憶しておき、次回リレー2を駆動する際に前回の遅れ時間T1を読み込んで所定時間Tを補正するように毎回修正すれば、様々な外乱に左右されずに前記交流電源のゼロ位相付近でリレー出力接点がオンさせることができる。
(実施の形態3)
図8に示すように、整流平滑回路40は、交流電源1に接続し、直流出力に3相出力するインバータ41を接続し、インバータ41の出力に3相入力仕様の電動機42を接続している。整流平滑回路40はダイオード43、44、45、46をブリッジに接続した整流器47、560μFの電解コンデンサ48、49を設けている。
また、チョークコイル50を有しており、これは珪素鋼板を積層した鉄心で構成した磁路の一部に空隙(ギャップ)を設け、これにエナメル銅線を巻いて構成し6mHのインダクタンスを持たせたものであり、装置の定常動作条件となる交流電源1からの入力電力が400Wとなる最大入力パワー状態においても、鉄心内の磁束密度も約1.4T以下に抑えられるように、巻線のターン数と、ギャップ長を設定している。
整流器47は、入力された交流を直流に変換するものであり、その構成要素であるダイオード43、44、45、46は、いずれもシリコンダイオードで実現している。コンデンサ48、49は、インバータ41の入力の直流電圧をリプル成分の小さいものとするものであり、インバータ41の入力電圧をリプル電圧の小さい直流とすることにより、電動機42に加えられる電圧、電流のリプル成分を抑え、それによって電動機42およびインバータ41の効率を高くし、インバータ41の動作周波数と交流電源1の周波数の干渉による騒音の発生を抑えるという作用も持っている。
また、チョークコイル50は、定常状態でのインバータ41の動作時において、インバータ41にリプル分の小さい直流電圧を供給しようとする際に、交流電源1のピーク電圧付近の位相で、コンデンサ48、49への充電電流が流れ込むことにより、ピーク電流値が大となることを防止し、交流電源1からの電源高調波(特に3次、5次など)を低減する。
ただし、本実施の形態においては、チョークコイル50は、上述の目的以外にも後述するように、リレー2の出力接点がオンとなった直後のコンデンサ48、49へのインラッシュ電流を低減させるという役割を果たすものであり、特にリレー2の出力接点がオンされる際の条件として、既にコンデンサ48、49の充電が進んでいることから、インラッシュ電流値はチョークコイル50のインダクタンスが有効な作用によって、効果的に低減することができる。
また、リレー2の出力接点は交流電源1からコンデンサ48、49に至る経路の間に接続されており、起動回路51は押しボタン式の一般にモーメンタリスイッチと呼ばれる電源入りスイッチ15と68Ω5W定格の抵抗52の直列回路によって構成し、起動回路51はリレー2の出力接点間に並列に接続している。
制御回路53は、電源入りスイッチ15が押されてオンされた場合には、交流電源1から起動回路51を通じて電源が供給されると同時に、コンデンサ48、49にも整流平滑回路40を通じて充電電流が供給され、制御回路53はリレー2の出力接点をオンすることにより、交流電源1からリレー2の出力接点、および整流平滑回路40を通じて電源が供給される。
従って、その後ボタンから手を離して電源入りスイッチ15がオフとなっても、制御回路53は、リレー2の出力接点を引き続きオンさせることにより、インバータ41にも整流平滑回路40を経て直流の電力が供給される。
特に、制御回路53は、コンデンサ49から約140Vの直流電圧を供給されて動作するスイッチング電源54を有しており、スイッチング電源54から直流の15.7Vの電圧が供給されて、リレー2の駆動コイル3に30mAの直流電流を通ずることによりオン動作をさせるものとなっている。
位相検出回路55は、ダイオード56、57を使用しているが、動作的および波形的には上記実施の形態1と変わりはない。
直流電圧検知回路58は、100kΩの抵抗59、1kΩの抵抗60、0.01μFのコンデンサ61によって構成し、コンデンサ48、49の直列回路の両端の電圧Vc2を1/101に分圧して、マイクロコンピュータ9のAD入力端子に出力している。ここで、AD入力端子は、入力されたアナログ電圧を内蔵のアナログ/デジタル変換回路によってデジタル値に変換する作用を持った入力端子である。
なお、本実施の形態の電気洗濯機は、排水弁18、給水弁19を有しており、これらはいずれもAC100Vを印加することにより、動作するものを使用している。
そして、排水弁18と給水弁19は、それぞれフォトサイリスタ62、63を直列に接続した上で、整流器47の入力端子間に接続し、フォトサイリスタ62、63は、いずれも負荷駆動回路64によってオンオフ制御され、また負荷駆動回路64は、スイッチング電源54から直流電源を供給している。
また、制御回路53には、モーメンタリスイッチによって構成した電源切りスイッチ11を接続し、装置の動作中に使用者が電源切りスイッチ11を押してオンとすることにより、後述のマイクロコンピュータ9の作用によって装置の動作を中断させ、リレー2によって交流電源1が切り離された状態とし、その後のインバータ装置の消費電力、すなわち待機電力の値をほぼ完全に零の状態とするために設けている。
また、電源入りスイッチ15は、オフしている状態で、その両端間に100Vの交流電圧が印加されるのに対し、電源切りスイッチ11は例えば5Vの電源からマイクロコンピュータなどに信号を与えるものであり、オン時の電流についても、10mA程度で済むものであることから、電源入りスイッチ15よりもさらに、低電圧、小電流の仕様で十分実現することができ、よって極めて小形、低コストのスイッチを使用し、装置の小形化、低コスト化を実現している。
図9は、スイッチング電源54の詳細な回路図を示したものであり、入力端子はa端子とd端子間となっており、この間にはコンデンサ49からの直流電圧として140Vが入力される。また、b端子とc端子はいずれもスイッチング電源54の出力端子であり、b端子とd端子間には15.7Vの直流電圧が出力され、またc端子とd端子間には5Vの安定化された直流電圧が出力され、制御回路53に用いているマイクロコンピュータ9などに電源供給を行う。
バイパスコンデンサ65は、0.033μFの静電容量を有するメタライズド、ポリエステルコンデンサであり、入力の直流電圧のノイズ防止とサージ電圧の吸収用として直流の入力端子間に挿入され、より高周波におけるインピーダンスの低下を行わせる。高周波トランス65は、フェライトによって構成したコアで磁路を形成するとともに、その磁路の一部にギャップを設け、そのまわりに各コイルを巻いて構成している。
スイッチング電源制御IC66は、f端子とGND間に内蔵しているスイッチング素子を、100kHzのほぼ一定した周波数でオンオフさせ、かつスイッチング素子のオン期間の比率は、e端子とGND間の電圧がほぼ一定値(6V)となるようにフィードバック制御する。また、同時にf端子に流入する電流により、本IC内部の回路電源も供給する。
ファストリカバリダイオード67、68、69は、高周波トランス65の2次側から100kHzの高周波を整流するもので、定電圧ダイオード70は、b端子からの出力電圧が15.7Vの状態において、スイッチング電源制御IC66のe端子の電位が一定電圧に等しくなるようにするために接続している。
電解コンデンサ71はe端子に接続して上記フィードバック動作におけるb端子電圧の検知のリプルを抑えるために設けたものであり、電解コンデンサ72には、ファストリカバリダイオード69より、約7.5Vの整流出力(直流電圧)が供給される。
さらに三端子レギュレータ73を設けていて、電解コンデンサ71に得られる7.5Vの電源から安定化された直流電圧をc端子に出力する。電解コンデンサ74は、三端子レギュレータ73の寄生発振の防止、およびc端子に出力される5V電源の電圧安定性を向上させるために設けている。したがって、制御回路53に用いられるマイクロコンピュータ9は、5V電源が非常に安定して供給される。
ファストリカバリダイオード75は、スイッチング電源制御IC66に内蔵されたスイッチング素子のターンオフ時において、f端子に発生するサージ電圧を吸収させるために設けたもので、特に高周波トランス65の1次コイルと2次コイル間の絶縁性能を良くするため、リーケージインダクタンスが大となっていても、それによって発生するターンオフ時のf端子への過電圧の印加を効果的に防止する。
すなわち、前記スイッチング素子のターンオフ時においては、f端子からスナバコンデンサ75とスナバ抵抗76に電流が流れることにより、f端子の電圧のピーク値は、おおよそa端子に入力される電圧値140Vに対して2倍程度に抑えることができる。
図10は、スイッチング電源54の入出力特性を示しており、直流の入力電圧の値が約40V以下の条件においては、スイッチング電源制御IC66のf端子からの電流供給が不十分となり、発振動作が行われないことから、100kHzのスイッチングは行われず、したがってb、cいずれの端子への出力電圧もほぼ零となる。
入力電圧が約40Vとなると、f端子からの電流によるスイッチング電源制御IC66への電源供給が行われることから、100kHzのほぼ一定の周波数のスイッチング動作(発振)が開始され、bとcの出力端子には、それぞれ15.7Vと5Vの電圧が出力される。
スイッチング電源制御IC66は、スイッチング動作(発振)が開始されてから後は、e端子からスイッチング電源制御IC66の電源が供給されるように、電源入力の切り替えがなされるものを使用している。
ここで、c端子については、特に三端子レギュレータ73の動作により、より安定化された電圧が得られるが、b端子については、スイッチング電源制御IC66が内蔵スイッチング素子のオン時間をe端子の電位がほぼ一定値になるようにフィードバックするという作用により、これも入力電圧の変動の影響は、抑えられたものとなる。
つぎに、電動機42は図11に示すように構成している。図11では、直径173mmの固定子77と直径108mmの回転子78によって構成しており、固定子77は、厚さ0.5mmの珪素鋼板を20mmの厚さに積層して構成した鉄心79の幅12mmのティース(歯)部分に巻線80a〜80lを設けて構成しており、巻線80a〜80lは、各0.6ミリ径のエナメル線を1本持ちで、300ターン巻いている。さらにホールIC81、82、83を設けている。
ホールIC81、82、83は、いずれも対向する永久磁石の表面がS極である場合にはハイを出力し、N極である場合にはローを出力するように構成している。
回転子78は、磁路の一部であるバックヨークとして動作する厚さ3.2mmの鉄板をプレスして製造したカップ状の鉄心84と、この鉄心84の表面に接着したパラレル配向のフェライト磁石を使用した永久磁石85a〜85hと、出力軸86とを有している。永久磁石85a、85c、85e、85gは、外側にN極がくるように着磁がなされており、永久磁石85b、85d、85f、85hは、外側にS極がくるように着磁がなされている。
図12は、巻線80a〜80lの結線を示したものであり、図12に示すように、4つずつの巻線を直列に接続することにより、電機子巻線87、88、89を構成している。図12において、各巻線の黒丸印は極性を示すものであり、各巻線の黒丸印がついている方から電流を流した場合に、各ティースの内側(回転子側)の面にN極が発生するように巻いている。
以上のようにして、電動機42は、8極12スロットの構成としているが、特にこの構成でなければ実現ができないというものではなく、他の極数、スロット数であってもよい。
本実施の形態では、電動機42は、いわゆる直流ブラシレスモータとよばれる回転子に永久磁石を有し、3相の電機子巻線を固定子に施したものを使用し、一方、インバータ41は、永久磁石の位置を例えばホールIC等の磁気センサにより検知しながら、3相6石のIGBTのオンオフを一般に120度通電と称されるような方法にて、順次切り換えていくことにより、永久磁石の磁束に対する巻線電流の直交性がほぼ常時保つという動作を行わせ、直流モータと同様に電動機42から回転パワーを取り出すものとなっている。
しかしながら、120度通電以外にも電動機42に供給される電流の波形が、正弦波に近いものとなるように、インバータ41の内部に存在するスイッチング素子をPWM制御するようなものであっても、さらに、特にこのような直流ブラシレスモータに限定されるものではなく、例えばかご形回転子を有するインダクションモータ、スイッチドリラクタンスモータ、ヒステリシスモータなどであってもよく、また3相にこだわるものでもなく、例えば2相などであってもよい。
また電動機42は、例えば8極12スロットの固定子を有する構成などでも良いが、これも特に限定するものではなく、極数、スロット数、コイルピッチ、短節係数、分布係数などは電動機の設計により、自由に決めることができるものである。
また、永久磁石をロータに使用した場合でも、その回転により発生する誘導起電力をインバータで検知することにより、ホールIC等のセンサを使用することなく、直流モータとして動作させるセンサレス方式としてもよく、また同期モータとして動作させ、例えば電流値が常に最小となるような電圧値を探りながら電動機に供給されるようにしてセンサレス制御を行うもの、あるいは直軸電流がほぼ零となるように電動機に供給する電圧を変化させる同期モータとする構成であってもよい。
たとえ、永久磁石を使用するにしても、その材質としてもフェライト系、希土類系など様々な材質が利用できるものであり、また回転子の内部に鉄心を埋め込んで設けることにより、リラクタンストルクを併用して高効率化などを図ったものであってもよい。
上記構成において図13および図14を参照しながら動作を説明する。
図13は、本実施の形態における制御回路53に使用しているマイクロコンピュータ9のフローチャートを示すものである。
本フローチャートは、図6と比較して、ステップ215、216を追加している点において差違があるが、その他に関しては、図6と全く同様の動作を行う。
ステップ215においては、マイクロコンピュータ9は、AD入力端子に入力されるアナログ電圧値をデジタルに変換して入力し、ステップ216において、その値を所定値と比較し、その値が所定値よりも大きくなるまでは、再度ステップ215に戻るという動作を行わせる。本実施の形態においては、Vs=150Vとしていることから、Vc2>150Vとなってからステップ202に移り、実施の形態2と同じように位相検出回路55の信号変化を検出した後、所定時間Tをカウントダウンしてリレー2を駆動する。
図14は、電源入りスイッチ15をオンした場合における動作波形図を示すものである。
図14において、(a)は電源入りスイッチ15のオンオフ状態、(b)は電気洗濯機の入力電流、(c)はコンデンサ49の電圧Vc1と、コンデンサ13、14の直列回路、すなわちインバータ41への入力電圧Vc2の波形、(d)はスイッチング電源54の出力電圧波形、(e)は位相検出回路7の出力電圧Vdet波形、(f)はリレー2の駆動コイル3に印加される電圧Vrly、(g)はリレー2の出力接点のオンオフ状態を示している。
図14にて、時刻t1において、使用者が電源入りスイッチ15を手で押したことによって、交流電源1からは、68Ω5Wの抵抗52を通して、コンデンサ48、49の充電が始まる。
すなわち、例えば交流電源1の電圧の極性が上側がプラスの状態において、電源入りスイッチ15がオンした場合には、交流電源1の上側端子からチョークコイル50、整流器47内のダイオード43、コンデンサ48、電源入りスイッチ15、抵抗52を経て交流電源1の下側端子へと電流が流れ、また、交流電源1の極性が逆となり、下側の電位が高電位となれば、交流電源1から抵抗52、電源入りスイッチ15、コンデンサ49、ダイオード44、チョークコイル50を経由して、交流電源1の上側端子に戻る経路で電流が流れる。
したがって、この状態においては、抵抗152による電流制限作用により、ピーク電流値としては、交流電源1のピーク値141Vを68Ωで除した値、すなわち2.1Aに制限される。コンデンサ48、49の充電が進めば、抵抗52の両端にかかる電圧値は減少し、後に述べるリレー2の作用により、上記以上の電流が流れることはない。したがって、電源入りスイッチ15は電流定格が小さいもので実現することが可能となる。
時刻t2において、コンデンサ49の電圧が40Vになり、スイッチング電源54の出力電圧が15Vに立ち上がり、固定されると、制御回路53において、マイクロコンピュータ9がリセット状態から動作可能状態に移り、プログラムが動作を開始するが、ここでマイクロコンピュータ9は、リセット解除後、図13に示すように、まずステップ201にてイニシャライズし、つぎにステップ215、216により、Vc2値がさらに充電されて上昇し、Vc2=150Vに達するまで引き続き抵抗52を通じての充電動作を継続させる。その後にステップ202に進む。
ステップ202においては、位相検出回路55からの信号(e)が反転を検出する時刻t4より所定時間T=6msをカウントダウンした後、時刻t5でリレー2の駆動コイル3に電源を供給する。実際には駆動コイル3に電源を供給してからリレー出力接点がオンするまでの機械的な遅れ時間T1=4ms後の時刻t5でリレー接点出力がオン状態となる。つまり、マイクロコンピュータ9が位相検出回路55からの信号が反転を検出してからT+T1=6ms+4ms=10ms後つまり前記交流電源のゼロ位相付近でリレー出力接点がオンさせている。
時刻t5においては、コンデンサ48、49の直列回路には、150Vの電圧まで充電がなされている状態となっているので、リレー2がオンした場合には、チョークコイル50には、交流電源1のピーク位相付近において、若干のインラッシュ電流がリレー2の出力接点を通じて流れることになるが、交流電源1の位相がゼロ付近であるため、リレー2の出力接点に流れるインラッシュ電流はほとんどゼロに抑えられる。
さらに、チョークコイル50のインダクタンスについても、電流値が小さい範囲内であれば、磁気飽和の影響を低くすることができることから、結果的にインダクタンスによる減流効果もかなり効かせることができ、リレー2の出力接点、整流器47のダイオード43、44、またコンデンサ48、49の各構成要素について、インラッシュ電流に対する信頼性の確保が容易に実現でき、低コスト、小形の装置としながらも、十分な信頼性を有する装置が実現できる。
また、交流電源1からのインラッシュ時の引き出し電流値も抑えられることから、交流電源1の負担も軽くなり、また交流電源1に接続された他の負荷への影響も低減することが可能となる。
時刻t7においては、使用者が300ミリ秒間の押しボタン操作の後に手を離し、電源入りスイッチ15をオフとしているが、既に時刻t5においてリレー2の出力接点がオンしていることから、時刻t5以降については電源入りスイッチ15および抵抗52の直列回路で構成された起動回路51に流れる電流はほとんど零となり、電源入りスイッチ15がオフとなっても、リレー2の出力接点から整流平滑回路40を通してコンデンサ48、49、制御回路53、およびインバータ41に電源が供給され、電源入りスイッチ15のオンオフは無関係となる。
このように、本実施の形態においては、インバータ41の入力の直流電圧検知を行うことにより、特にインラッシュ電流値を効果的に抑えるという効果を上げているが、一般にスイッチング電源は、特性上低電圧入力領域においては、内蔵されたスイッチング素子の駆動不可能となることから、出力に電圧が得られる最低電圧入力の条件以下の入力条件においては、出力電圧値が定格値に対して極端に低く、よって例えばマイクロコンピュータなどによる制御回路の構成部品の動作可能電圧以下となるなどの動作が発生することから、本実施の形態のような別段の直流電圧検知などを行わない場合でも、スイッチング電源の特性により、上述のようなインラッシュ電流の低減効果は、かなり得ることができる。
発明者らの検討結果によれば、スイッチング電源54は、時刻t1から50ミリ秒後に起動することができることから、押しボタン操作により電源入りスイッチ15がオンとされている期間は、150ミリ秒程度でも十分であり、よって使用者から見た応答性は十分のものとなる。
本実施の形態においては、リレー2の出力接点がオンされた後には、負荷駆動回路64により、給水弁19、排水弁18、およびインバータ41がそれぞれ順次駆動されることにより、全自動の洗濯動作(すすぎ、脱水等も含む)が行われ、電気洗濯機としての動作が終了した時点で、制御回路53からリレー2をオフとするが、上記実施の形態1と同様、モーメンタリスイッチである電源切りスイッチ11をオンすることにより、電気洗濯機としての動作を中断させ、やはりリレー2をオフして電源を切らせることも可能である。
なお、本実施の形態では、マイクロコンピュータ9の電源については、スイッチング電源54から出力されたまま用いずに、一旦例えば3端子レギュレータ73を使用して5Vの安定した電圧としているが、スイッチング電源54の出力を、例えばフライバック式コンバータのトランスからタップからファストリカバリダイオードの整流出力からそのまま供給してもよい。
また、本実施の形態においては、インバータ41を3相6石の構成とし、その6石のスイッチング素子はいずれもIGBTとし、特に上側のスイッチング素子については、その駆動用の電源を下側のスイッチング素子のオン期間中に電解コンデンサに蓄えて利用するブートストラップ方式を用いたことから、結果的にスイッチング電源54の15.7Vの出力から上側のスイッチング素子の駆動電源が得られる構成となっているので、出力の数が少なくて済んでいる。
しかし、ブートストラップを用いない場合には、上側のスイッチング素子のそれぞれに駆動用の直流電源が必要となるので、スイッチング電源54は、絶縁した例えば15V出力をさらに3系統持つものとする必要が発生する。
その場合には、図9における高周波トランス65に、さらに巻線を3本巻き足し、各々にファストリカバリダイオードと電解コンデンサ等による整流回路を設け、フライバックの動作により、これらの電解コンデンサにもファストリカバリダイオードからの電流が供給されるようにすることにより、実現することができる。
また、例えば装置の表示や操作のための回路部分をインバータ41とは電気的に絶縁し、交流電源1からの外来ノイズに対する耐ノイズ性能を向上したり、万一の故障時などにおける使用者の感電事故などの防止を行い、より安全性の高い装置を実現する場合などにおいても、同様に高周波トランス65に別巻線を施せばよく、その場合には巻数により出力電圧仕様を変化させることができ、それぞれの負荷に絶縁され、かつ最適な電圧が供給される。
また、請求項3の構成要素となるスイッチング電源についても、本実施の形態ではフライバック式(オン−オフ式)のコンバータ方式によりスイッチング電源54が実現されている例を上げているが、他の方式のものであってもよく、例えば自励式のフライバックコンバータ(RCC等)や、フォワード方式のコンバータ(フィードフォワードコンバータ、フォワードパスコンバータ、オン−オン形コンバータ)、共振形コンバータ、ブリッジ形(多石式)などであってもよく、あるいは例えば1石のスイッチング素子にリアクタ、フライホイルダイオードなどを使用して簡便に構成した非絶縁の降圧チョッパ式などであってもよい。
要するに、直流電圧を加えられて動作するものであればどのような構成についても、コンデンサ49からの直流電圧が利用でき、またいずれの方式のものであっても、入力される直流電圧の値が、スイッチング電源として動作することのできる最低値に達しない条件においては、前記スイッチング素子の駆動(オンオフ)が不可能となることから、出力電圧がほとんど得られず、前記最低値を越える条件においてはほぼ定格出力電圧値に近い電圧が得られることから、スイッチング電源としての入力電圧と出力電圧の関係は、図10に類似したものとなることから、これらの構成にあっても、本実施の形態と同等の効果を得ることができる。
本実施の形態においては、コンデンサ49から120〜140V程度の直流電源を供給することにより、スイッチング電源54を動作させているので、特に電気洗濯機の場合に必要となる耐トラッキング性能を確保することも比較的容易となる。例えばコンデンサ48、49の直列回路の両端から280V程度の直流電圧を供給されて動作するスイッチング電源を使用してもよい。
また、本実施の形態においては、整流平滑回路40は、コンデンサ48、49を用いた、一般に倍電圧整流と呼ばれる構成のものを使用しているが、特にこのような構成に限るものではなく、後の実施の形態にて説明がなされるように、4本のダイオードを用いたブリッジ整流器の出力に1個のコンデンサのみを接続した全波整流の構成であってもよく、さらに小電力のインバータ装置であるならば、半波整流のものであってもよい。
また、倍電圧整流の構成とする場合にも、本実施の形態の2個のコンデンサの直列回路に対して、さらに並列コンデンサを接続する構成や、チョークコイルと並列に無極性のコンデンサを接続し、その並列共振回路の共振周波数を例えば交流電源1の周波数の3倍に相当する、150〜180Hz付近として電源高調波を軽減するというような構成とすることもあり得るが、それらの構成についてもすべて設計者の自由であり、本発明の請求項3の範囲に該当するものとなる。
また、インバータ装置として一般によく使用されるノイズフィルタ回路を整流平滑回路の途中に挿入したものなどについても、本発明の範疇となるものであり、例えばフェライトコアなどに、2本のコイルを巻いて構成したコモンモードのチョークコイルを、交流電源1と整流平滑回路40との間に挿入したものや、コモンモードのチョークコイルを、チョークコイル50と、整流器47の間に接続したものであってもよく、さらにノーマルモードノイズ、コモンモードノイズを低減するためのラインライン間コンデンサ(Xコン)、ラインアース間コンデンサ(Yコン)などを適宜接続したものであってもよい。
発明者らの測定によれば、このようなノーマルモードのチョークコイルを用い、かつコモンモードチョークコイルをノーマルモードのチョークコイルと整流器の間に接続し、さらにコモンモードチョークコイルの入力端子の部分にYコンを接続し、ノーマルモードのチョークコイルの入力および整流器の入力にはそれぞれXコンを接続した構成によって、効果的に雑音端子電圧の低減が図られることが確認できている。
したがって、リレー2の出力接点がオフとなることにより、本実施の形態においては、整流平滑回路40、インバータ41、制御回路53、排水弁18、給水弁19などのすべての構成要素に対して、交流電源1からの電力供給がなくなることから、リレー2がオフとなった後の電力消費をほとんど完全に零にすることが可能となっている。
なお、ノイズフィルタ作用を持たせるため、ラインライン間のコンデンサ(Xコン)を、リレー2の出力接点がオフとなった場合においても、交流電源1に接続された状態となるように設計した場合には、電源プラグを使用者が引き抜いた直後の感電事故を防止するため、例えば前記Xコンと並列に100kΩ程度の抵抗を接続することになるが、その場合にあっても装置の待機電力を0.1Wというようなきわめて小さな値とすることができ、十分な省エネ効果をあげることが可能となる。
また、一般的に電気洗濯機を動作させている時間は、家庭用として使用する場合、1日に1〜2時間程度以下となることから、その他の時間、すなわち待機時間における上記の各構成要素となる電子部品への電圧印加がないことから、耐久性の面についても、有利となるという効果もある。
もっとも、例えば電気洗濯機を使用する前後に、コンセントに電源プラグを差し込んだり抜いたりすることにより、このような省エネ効果や電圧印加の継続の防止を行うという効果をあげることもできるが、各実施の形態ではそれが自動的に行われることから、非常に手間が省けるとともに、電源プラグやコンセントの抜き差しによる耐久性の低下を防ぐことも可能となり、また特に電気洗濯機においては、水を使用することから、濡れた手で電源プラグの抜き差しをする場合の感電の心配もない電気洗濯機が実現できる。
また、交流電源1から一旦整流平滑回路40を動作させて直流として使用していることにより、例えば日本国内のように、地域によって50Hzと60Hzの様な電源の周波数が複数となる可能性がある場合にあっても、同一の構成で両方の電源の周波数において、同等の性能が確保できる電気洗濯機を構成することが可能となるというサイクルフリーという効果も得ている。
また、リレー2の出力接点が接触不良となった場合など、リレー2がオフ状態のままでインバータ41が運転された場合においては、仮にそのままの状態でインバータ41の運転が継続された場合には、数十ワット以上の電力が、インバータ41に供給され、その消費電流が抵抗52を通じて流れ続ける状態となることから、抵抗52の発熱が大となり、過熱、発煙、焼損にいたる。
しかし、本実施の形態のように、常に直流電圧検知回路58からの値を読み込んでおけば、上記の状態において発生する抵抗器52での電圧降下の増大を、Vc1の低下により検知して、停止することができることから、抵抗52の焼損を防ぐことも可能となる。
また、交流電源1を接続する際には、一般に電源コードが使用されるが、その途中で断線しかけているような場合には、抵抗が大となり電動機42を運転することにより、発熱が大きくなるが、本実施の形態においては、このような場合にあっても、直流電圧検知回路58から低電圧が出力され、リレー2をオフとすることから、電源コードの過熱、焼損などの危険を防ぐことも可能となるという効果もある。
また、同様に本実施の形態においては、チョークコイル50に使用されている銅線が、水分などにより錆びて銅線径が細くなってきた場合、もしくは端子が接触不良となった場合などにおいても、抵抗値の増大により、やはりリレー2がオフとなり、よって過熱、焼損等を防止した、安全な装置が実現できる。
なお、直流電圧検知回路58は、本実施の形態においては、所定値である150V以下の電圧であるときに、リレー2をオフする構成としているが、さらに交流電源1が高電圧となった場合にも、やはりリレー2をオフとする構成としてもよい。
その場合には、例えば100V用として仕様が定められたインバータ装置に対して、誤って200Vの高電圧が印加された場合などについても、リレー2がオフとなって、構成部品の過電圧による破壊を防止することもできる。
また、電動機42の回転中において、インバータ41から電動機42に逆トルクを生じさせるように電流を供給し、電磁的にブレーキをかけることもできるが、この場合、条件によっては、インバータ41からの回生電流が整流平滑回路40のコンデンサ48、49に逆流し、コンデンサ48、49、およびインバータ41の構成部品となるIGBT等のスイッチング素子に対しても過電圧がかかるなどの可能性もある。
一般には、そのような条件では、コンデンサ48、49の両端に電力を吸収するための抵抗などを接続して、電動機42からの回生電力を吸収させることにより、所定値以下の電圧値に保たれるように接続を入り切りするという構成が追加されるが、その場合にあっても、例えば抵抗の断線などの故障により、回生電力の消費が行われなくなれば、当然Vc2が上昇して過電圧となる。
このような現象に対しても、直流電圧検知回路58を用いて過電圧の検知を行い、例えばインバータ41に対して停止信号を出力すれば、このような場合にも安全に対応することができる装置が実現しうるものとなる。