JP4595622B2 - 回路遮断器の電磁式引外し装置 - Google Patents
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Description
次に、従来における回路遮断器の電磁式引外し装置,およびその引外し装置に採用した釈放形電磁石の構成,動作を図4および図5(a),(b)に示す。図4において、1は釈放形電磁石、2は電磁石1を支持する固定ベース、3は図示してないトリップクロスバーを介して開閉機構のラッチを釈放させるスライダ(リセット部材兼用)、4はスライダ3と電磁石1との間に介装してスライダを矢印A方向に突出し付勢する引外しばね(圧縮コイルばね)である。また、スライダ3に設けたリセット操作用の突起部3aには回路遮断器のハンドルに連繋させた復帰機構の操作ロッド(図示せず)が対峙しており、回路遮断器のハンドルをリセット位置に操作してスライダ3の操作部3aに矢印方向の力F3を加えることで、スライダ3が引外しばね4を圧縮して可動接極子6を矢印B方向に押し込むようにしている。なお、3bは電磁石1の釈放動作時にスライダ3のA方向の突出移動範囲を規制するストッパである。
上記の構成において、回路遮断器をリセット操作してそのハンドルに連繋した復帰機構を介してスライダ3を矢印B方向に押し込むと、引外しばね4に抗してスライダ3に連結した可動接極子6が矢印B方向に移動し、そのストロークエンドで可動接極子6が固定接極子7の接極面に当接すると図5(a)で表すように永久磁石8の磁力により可動接極子6が固定接極子7に吸着される。ここで、永久磁石8の吸着力は引外しばね4のばね力よりも大であり、スライダ3に加える操作力が除かれた後でも可動接極子6は固定接極子7に吸着保持されている。その後に回路遮断器のハンドルをON操作することにより主回路接点が閉極して主回路が通電状態となる。
ところで、前記構成の電磁式引外し装置では、遮断器ケースに組み込んで操作ハンドルに連繋させた復帰機構,スライダ3の相対位置が部品の組立誤差,バラツキなどにより正しく整合されてないと、スライダ3に連結した可動接極子6のリセットストローク(可動接極子の突出位置から固定接極子の接極面に当接するまでの距離)に比べて、リセット操作時に復帰機構がスライダを押すストロークの方が大きくなる(オーバーストローク)場合がある。このような状態の下で引外し装置をリセット操作すると、リセットストロークの終端位置でスライダ3に連結した可動接極子6が固定接極子7の接極面に直接衝突し、状況によっては復帰機構から加わる過大荷重を受けて可動接極子6が破損するおそれがある。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は簡易な組立構造で可動接極子を過大なリセット操作荷重から保護し、適正,かつ安全にリセット操作が行えるように改良した電磁式引外し装置を提供することにある。
前記可動接極子の基端部に受け部を設け、前記スライダの前記受け部と対向する位置に、前記スライダが可動接触子の反突出方向へ移動する際に、前記受け部と当接して前記可動接触子を反突出方向へ押し戻す突起部を設けるようにする(請求項1)。
また、前記電磁式引外し装置において、前記突起部は前記可動接触子が固定接触子に当接している状態では前記受け部から離間するように構成する(請求項2)、あるいは前記電磁式引外し装置において、リセット操作時には、前記突起部により可動接極子を固定接極子に当接する手前位置まで押し込み、そこから先は永久磁石の磁力で固定接極子に吸着させるようにする(請求項3)、または、前記電磁式引外し装置において、リセット操作時におけるスライダの移動ストローク範囲を規制してそのストローク終端位置にスライダのオーバーストロークを阻止するストッパ手段を設けるようにする(請求項4)。
また、図2は前記構成の引外し装置のリセット操作時における動作特性図で、横軸はリセットストローク、縦軸は力を表し、図中のF1は永久磁石8の吸引力,F2は引外しばね4のばね力,F3は復帰機構(図示せず)がスライダ3を押す力を表している。
次に、前記構成になる引外し装置のリセット操作時における動作を図2,図3を基に説明する。まず、図3(a)に示す引外し装置のリセット状態では、永久磁石8の磁気吸引力F1を受けて可動接極子6が固定接極子7に吸着保持されており、可動接極子6の軸部6aに遊嵌してその先端に係合したスライダ3は、圧縮された引外しばね4の付勢力を受けてIの位置に停止しており、スライダ3の筒状突起部3cと可動接極子6の受け部端面との間が離間している。なお、この位置では、図2の特性図で表すように永久磁石8の吸引力F1が引外しばね4のばね力F2に打ち勝っている。
ここで、回路遮断器をリセット操作するために、図3(b)の状態からハンドルに連繋した復帰機構を介してスライダ3をリセット操作力F3で押し込むと、その押し込み開始当初はスライダ3が引外しばね4を圧縮しながら可動接極子6の軸部6aをスライドし、スライダ3の筒状突起部3cの先端が可動接極子6の受け部6cに当接した後は、リセット操作力F3によりスライダ3とともに可動接極子6が固定接極子7に向けてストローク移動する。そして、図3(c)で表すように可動接極子6の接極面が固定接極子7との間に僅かなギャップgを残して十分に接近した手前位置に達したところで、スライダ3は固定ベース2の端面ストッパ2aに突き当たってこの位置IIIに停止し、それ以上のオーバーストロークが阻止される。一方、可動接極子6がこの位置まで固定接極子7に接近すると(ギャップg)、図2の動作特性図で永久磁石8の吸引力F1が引外しばね4のばね力F2よりも大となるので、可動接極子6はスライダ3の押し込み操作力を受けずに固定接極子7に吸着保持されて、引外し装置のリセット動作が完了する。続いて回路遮断器のハンドルをON操作すれば、復帰機構がスライダ3を押す力がなくなって、スライダ3は引外しばね4の付勢を受けて図3(a)の位置に戻る。
2 固定ベース
3 スライダ
3c 突起部
4 引外しばね
5 コイル
6 可動接極子
6a 軸部
6c 受け部
7 固定接極子
8 永久磁石
9 継鉄
F1 永久磁石の吸引力
F2 引外しばね力
F3 復帰機構がスライダを押す力
Claims (4)
- 主回路に過電流が流れた際に励磁されるソレノイドコイル,該ソレノイドコイルに挿通されこのソレノイドコイルが励磁されたときに突出するプランジャ形の可動接極子,該可動接極子の接極面に対峙した固定接極子,該固定接極子を包囲して前記ソレノイドコイルに並設した筒形永久磁石,および継鉄からなる釈放形電磁石と、前記可動接極子の先端軸部に形成された係止部にて突出方向に係止されるスライダと、該スライダと電磁石との間に介装して可動接極子を突出方向に付勢する引外しばねとからなり、常時は前記永久磁石の磁力により引外しばねに抗して可動接極子を固定接極子に吸着保持し、主回路に過電流が流れた際に励磁するコイルが永久磁石に対する反磁界を形成して可動接極子,スライダを引外しばねの付勢で釈放位置に突き出し、リセット操作時にはスライダを釈放位置から押し込んで可動接極子を固定接極子に吸着保持させるようにした回路遮断器の電磁式引外し装置において、
前記可動接極子の基端部に受け部を設け、前記スライダの前記受け部と対向する位置に、前記スライダが可動接触子の反突出方向へ移動する際に、前記受け部と当接して前記可動接触子を反突出方向へ押し戻す突起部を設けたことを特徴とする回路遮断器の電磁式引外し装置。 - 請求項1記載の電磁式引外し装置において、前記突起部は前記可動接触子が固定接触子に当接している状態では前記受け部から離間していることを特徴とする回路遮断器の電磁式引外し装置。
- 請求項1記載の電磁式引外し装置において、リセット操作時には、前記突起部により可動接極子を固定接極子に当接する手前の位置まで押し込み、そこから先は永久磁石の磁力により固定接極子に吸着させるようにしたことを特徴とする回路遮断器の電磁式引外し装置。
- 請求項1記載の電磁式引外し装置において、リセット操作時におけるスライダの移動ストローク範囲を規制してそのストローク終端位置にスライダのオーバーストロークを阻止するストッパ手段を設けたことを特徴とする回路遮断器の電磁式引外し装置。
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