<第1実施形態>以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施形態の持ち去り防止システムは、保護対象物を収納可能な抽斗1を備えるワゴン、袖机等の家具Wに、抽斗1の開閉操作を抑止するロック機構を実装し、このロック機構のロック/アンロックをユーザ認証を通じて制御するものである。
ワゴン、袖机等の家具Wは、一段または複数段の抽斗1を筐体2(袖机にあっては、袖部に構成される構造体である)内に収容して保持する。抽斗1は、図1に示すように、上方に開口する収納空間を形成する胴板11の前端部に裏板12を装着し、かつ裏板12に前方より鏡板13を組み付けてなる。胴板11の外側面には、前後方向に伸長する突条14を設けており、この突条14を筐体2内に取り付けたレール22(サスペンションレールであることがある)にスライド可能に支持させる。
筐体2は、図2に示すように、左右の側壁21を、後壁(図示せず)及び上部横架材22により連結してなり、抽斗1を収容する内部空間を前方に連通させている。側壁21は、当該側壁21の外側面及び前端面をなす外板211の前縁部位に、内側面及び後向面をなす内板212を溶接等により固定してあるもので、これら外側面、前端面、内側面及び後向面によって剛性を補強する前補強部213を構成するとともに、その内に上下方向に延伸する扁平な空間領域を有している。
抽斗1をロックするロック機構は、上記の空間領域内に配置されるロック爪支持体24並びにこのロック爪支持体24に支持されるロック爪241を主体とする。ロック爪支持体24は、上下に長尺な板状体であり、例えば板金素材をプレス加工等することで作製する。ロック爪支持体24は、上下両端に一体成形された軸部242を有しており、これら軸部242を軸受体251、252に軸承させることで水平旋回可能に支持させてある。ロック爪支持体24の下端の軸部242を軸承する軸受体251は、側壁21の内板212から前補強部213内の空間領域へ切り起こした舌片状のもので、平面視略ハート形をなす軸孔を有している。上端の軸部242を支持する軸受体252は、例えば樹脂成形品であって、やはり軸部242を収容する軸孔を有している。軸受体252の筐体2への装着は、その一部を内板212の上縁ないし上部横架材22に穿った切欠に圧入することで行う。
ロック爪支持体24の後縁部には、抽斗1の段数に応じた数のロック爪241を設けている。これらロック爪241は、ロック爪支持体24から切り起こしてなり、内側方に向けて略水平に突出する。ロック爪241は、平面視ロック爪支持体24の立面に略直交する後端縁と、ロック爪支持体24の立面に平行な方向よりもやや前方に傾斜するテーパ状の側端縁とが、略直角三角形状をなすものである。また、側壁21の内板212における各ロック爪241に対応する位置には、ロック爪241を通過させ得る爪突没口214を穿ってある。
そして、このロック爪支持体24を、弾性部材26により、各ロック爪241が爪突没口214を経て側壁21の内板212より突出する方向に付勢している。図示例では、弾性部材たるねじりコイルばね26をロック爪支持体24の軸部242に巻装し、その一端を側壁21の外板211に支持させつつ、他端をロック爪支持体24の外方側面に当接させるものとしている。
爪突没口214を介して突没するロック爪241は、各段の抽斗1をそれぞれロックすることができる。図1に示しているように、抽斗1の突条14若しくは胴板11には、予め爪突没口214に対向する係合穴15を形成し、または係合突起16を突設してある。爪突没口214より内側方に突出したロック爪241の後端縁は、係合穴15の開口縁、または係合突起16の前端縁に係合して、抽斗1の前方へのスライド移動を阻止する。
弾性部材26による弾性付勢により、平時にはロック爪241が爪突没口214より突出している状態にある。従って、抽斗1に対するロックを解除するには、何らかの手法によってロック爪支持体24を弾性付勢力に抗して変位させ、ロック爪241を側壁21内に没入させる必要がある。本実施形態では、原則として、電動作動子27の運動を通じてロック爪支持体24を変位させるようにしている。電動作動子27は、図3A、図3B、図4に示すように、平面視略楔状をなし、筐体2の前補強部213に形成された空間領域内で、アンロック位置P2とロック位置P1との間を前進/後退する。電動作動子27が図3A、図3B、図5に示すロック位置P1にあるとき、電動作動子27はロック爪支持体24とは係合せず、ロック爪支持体24はロック爪241を爪突没口214より突出させるロック爪突出位置P3に位置づけられる。電動作動子27が前進して図4、図6に示すアンロック位置P2へ移動したとき、電動作動子27の外方側面がロック爪支持体24の後端部に係合し、その後端部が外側方に旋回して、ロック爪支持体24がロック爪没入位置P4に変位する。結果、ロック爪241が側壁21内に没入し、抽斗1に対するロックが解除される。
電動作動子27を作動するのは、ロック駆動用手段である。ロック駆動用手段は、電動作動子27を作動させる作動力を出力する電動アクチュエータ28と、電動アクチュエータ28が出力する作動力を電動作動子27に伝達する伝達機構29とを具備してなる。電動アクチュエータ28は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池(その種類は問わない)より電力供給を受けるものとしてもよい。本実施形態にあって、電動アクチュエータ28は、プランジャ282を前後方向に進退させるソレノイド281と、プランジャ282を前方に進出させる方向に引っ張り付勢する弾性部材283とを要素とする。図示例では、コイルばね283の前端を筐体2に対して固定するとともに、後端をプランジャ282に装着して、プランジャ282に引っ張り力を加えるものとしている。伝達機構29は、電動作動子27に前端を接続し前後方向に伸長する作動棒291と、作動棒291とソレノイド281のプランジャ282とを連結する天秤部材292とを要素とする。天秤部材292は、その一端部を作動棒291に、他端部をプランジャ282に、それぞれヒンジ293、294を介して連結している。さらに、天秤部材292の中間部を、水平支軸295を介して筐体2に軸支させている。この天秤部材292は、水平支軸295回りに垂直旋回可能となっている。
ソレノイド281に通電していないとき、プランジャ282はコイルばね283に引っ張られて前方に進出しており、天秤部材292の他端部が前方に、一端部が後方に位置づけられて作動棒291及び電動作動子27を後方に引く。よって、電動作動子27はロック位置P1に後退する。ソレノイド281に通電したとき、プランジャ282がソレノイド281に吸引されて後方に退入し、天秤部材292の他端部が後方に、一端部が前方に回動して作動棒291及び電動作動子27を前方に押す。よって、電動作動子27はアンロック位置P2に前進する。つまり、ソレノイド281へ通電することでロック爪241を側壁21内に没入させることができ、ソレノイド281への通電を遮断することでロック爪241を側壁21より突出させることができる。
抽斗1に収納される保護対象物を正当な権限を有する特定者以外の者から防護するという目的を達成するには、特定者の認証に成功した場合にのみ電動作動子27を作動してロックを解除すればよい。駆動・制御用手段は、ユーザ認証及び電動アクチュエータ28の制御を司る。本システムにあって、ユーザ認証は認証判断モジュール31が担い、電動アクチュエータ28の制御は制御モジュール32が担う。認証判断モジュール31及び制御モジュール32は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池より電力供給を受けるものとしてもよいが、通常は電動アクチュエータ28と電力供給源を同じくする。
認証判断モジュール31は、予め各ユーザに供与されている認証用キー要素4と無線交信してユーザ認証を行う。認証判断モジュール31は、例えば、図7に示すように、プロセッサ、メインメモリ、フラッシュメモリ(不揮発性メモリ)及び/またはROM(Read Only Memory)等を内包するプロセッサユニット311と、アンテナ、アンプ、復調回路、変調回路等を有してなる微弱無線通信ユニット312とを備えている。フラッシュメモリまたはROMには、プロセッサによって実行されるべきプログラムが格納されており、その実行時にはメインメモリに読み込まれ、プロセッサによって解読される。認証判断モジュール31は、当該プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、ユーザ認証に必要な処理を実施する。認証判断モジュール31は、少なくとも、保護対象物を持ち去る権能を有する特定者の認証に成功した場合に、その旨を示す信号を制御モジュール32に向けて出力する。
認証判断モジュール31と制御モジュール32とは電気的に接続しており、制御モジュール32は認証判断モジュール31より送出される信号を受け取ることができる。制御モジュール32に実装されたアクチュエータ制御回路は、特定者の認証に成功した旨を示す信号を認証判断モジュール31より受け取ったときに、ロック機構によるロックを解除させるためのロック解除信号を出力する。本実施形態において、ロック解除信号とは即ちソレノイド281に印加されてプランジャ282を退入させる電気信号である。
本実施形態では、認証・制御用手段(の認証判断モジュール31)が認証用キー要素4と無線交信する機会を制限している。具体的には、特定者または特定者以外の者が保護対象物を使用するまたは持ち去るための積極動作を行ったことを検知してはじめて、無線交信を開始するものとしている。特定者または特定者以外の者による積極動作を検知するのは、きっかけ動作検知手段である。きっかけ動作検知手段は、少なくとも1個の動作検知センサ33を用いて積極動作を検出し、積極動作が行われた旨の検出結果を得た場合に認証開始信号を出力する。省電力を実現するべく、動作検知センサには、待機電力を消費しない態様のスイッチ等を採用することが望ましい。本実施形態では、動作検知センサとして、押下ボタンに代表される手動操作スイッチ33を、家具Wの筐体2または抽斗1に露出させて設けている。抽斗1のロックを解除して抽斗1を操作しようとする者は、積極動作として、この手動操作スイッチ33を操作する。積極動作を検知した手動操作スイッチ33は、その旨を示す所定のパルス信号を出力する。このパルス信号が、認証開始信号となる。
動作検知センサたる手動操作スイッチ33と認証判断モジュール31とは電気的に接続しており、認証判断モジュール31は手動操作スイッチ33より送出される認証開始信号たるパルス信号を受け取ることができる。認証判断モジュール31は、プログラムに従い、手動操作スイッチ33が出力する認証開始信号を受け取った場合に、認証用キー要素4との無線交信及び認証を実施するプログラムルーチンを実行開始する。
他方、図8に示すように、保護対象物を持ち去る権限、言い換えるならば抽斗1を開閉操作する権限を有している特定者は、それぞれ認証用キー要素4を所持している。認証用キー要素4は、抽斗1に対するロックを解除するための鍵の役目を果たす。認証用キー要素4は、例えば、図9に示すように、プロセッサ、メインメモリ、フラッシュメモリ及び/またはROM等を内包するプロセッサユニット41と、アンテナ、アンプ、復調回路、変調回路等を有してなる微弱無線通信ユニット42とを備えている。この認証用キー要素4は、電池(その種類は問わない)より電力供給を受けて駆動される。認証用キー要素4の外形は、特に限定されない。認証用キー要素4は、タグ状またはカード状であるとは限られず、これらよりも大きい形状(例えば、フォルダ、ファイル等)をなすものとしてもよく、これらよりも小さな形状(例えば、クリップ、リング、ステープル、チップ等)をなすものとしてもよい。フラッシュメモリまたはROMには、プロセッサによって実行されるべきプログラムが格納されており、その実行時にはメインメモリに読み込まれ、プロセッサによって解読される。認証用キー要素4は、当該プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、家具W側の認証判断モジュール31と無線交信する。
以降、ユーザ認証に関して述べる。特定者がそれぞれ所持する認証用キー要素4には、予め認証識別子が割り当てられている。認証識別子は、特定者個人または複数人を包括するグループを識別するものであって、各人または各グループについて所定長(例えば、4バイト)の値としている。認証用キー要素4に実装されたフラッシュメモリまたはROMには、当該認証用キー要素4に割り当てられた認証識別子が記憶されている。
他方、家具W側の認証判断モジュール31に実装されたフラッシュメモリまたはROMには、認証の対象となる認証識別子が記憶されている。認証の対象となる認証識別子とは、即ち抽斗1を開閉操作して保護対象物を持ち出す権能を有する特定者または特定者のグループに係る認証識別子である。
ユーザ認証の手順を、図10、図11のフローチャートに示す。図10は、家具W側の認証判断モジュール31が実行する処理手順を示しており、図11は、特定者が所持する認証用キー要素4が実行する処理手順を示している。既に述べたように、家具W側の認証判断モジュール31は、特定者または特定者以外の者による積極動作を、動作検知センサたる手動操作スイッチ33を介して検知する。手動操作スイッチ33が出力する認証開始信号を受け取ることで積極動作を検知した認証判断モジュール31は、認証の対象となる認証識別子の一部分(例えば、後半2バイト)を含む要求信号を認証用キー要素4に向けて無線にて発信する(ステップS1)。
要求信号を受信した(ステップS5)認証用キー要素4は、その要求信号に含まれる認証識別子の一部分が自身に割り当てられている認証識別子に内在しているか否かを判断し(ステップS6)、内在している場合には自身に割り当てられている認証識別子の残存部分(例えば、前半2バイト)を含む応答信号を認証判断モジュール31に向けて無線にて返信する(ステップS7)。内在していない場合には応答信号の返信は行わない。
要求信号を発信した認証判断モジュール31は、認証用キー要素4よりもたらされる応答信号を待ち受ける。そして、応答信号を受信したとき(ステップS2)、その応答信号に含まれる認証識別子の残存部分が認証の対象となる認証識別子に対応しているか否かを判断し(ステップS3)、対応している場合には認証が成功したとしてロックを解除するための制御を実行する。具体的には、制御モジュール32にロック解除信号を出力させる(ステップS4)。つまり、認証の対象となっている認証識別子の残存部分を含む応答信号こそが、ロック解除権限を含んでいる信号であると言える。なお、要求信号を発信した後、所定の制限時間内に認証の対象となっている認証識別子を割り当てられた認証用キー要素4による応答信号を受信できなければ、認証の不成功即ち正当な権限を有する特定者が近傍に存在しないとして制御モジュール32にロック解除信号を出力させない。
ユーザ認証の一例を、図12に示している。図示例では、正当な権限を有するユーザまたはグループに係る認証識別子「00 11 22 22」が認証判断モジュール31に記憶されているとともに、当該ユーザが所持する認証用キー要素4(4K)にも記憶されている。ユーザ認証の開始にあたり、認証判断モジュール31は、認証の対象となる認証識別子の一部分たる後半2バイト「22 22」を含む要求信号を発信する。
認証判断モジュール31と無線交信可能な位置にある認証用キー要素4(4J、4K、4L、4M、4N)は、それぞれ要求信号を受信して、応答信号を返信すべきか否かを判断する。つまり、各認証用キー要素4J、4K、4L、4M、4Nにおいて、自身が記憶している認証識別子の後半2バイトと要求信号に含まれる認証識別子の後半2バイトとが合致するか否かを判断する。これら認証用キー要素4のうち、応答信号を返信するのは、認証用キー要素4K及び4Nである。認証用キー要素4Kは、自身に割り当てられている認証識別子の残存部分たる前半2バイト「00 11」を含む応答信号を返信し、認証用キー要素4Nは、自身に割り当てられている認証識別子の前半2バイト「33 44」を含む応答信号を返信する。その他の認証用キー要素4J、4L、4Mは、応答信号を返信しない。
しかして、認証判断モジュール31は、認証用キー要素4K及び4Nが返信する応答信号をそれぞれ受信して、最終的な認証判断を行う。本例では、認証用キー要素4Kよりもたらされた応答信号に含まれる認証識別子の前半2バイトが、認証対象である認証識別子「00 11 22 22」の前半2バイトに合致している。従って、正当な権限を有する特定者が近傍に存在しており、抽斗1に対するロックの解除を容認できると判断される。
上記例からも明らかなように、認証判断モジュール31が発信した要求信号に対して複数の認証用キー要素4が応答することがあり得る。従って、認証用キー要素4は、ステップS7において、乱数を発生させてこれを基にウェイト時間を決定し、決定したウェイト時間が経過してから応答信号の返信を実行することが好ましい。これにより、要求信号に対して応答信号を返信する認証用キー要素4が複数あったとしても、互いに応答信号の返信タイミングをずらすことが可能となる。
ユーザ認証に成功した暁には、認証判断モジュール31より制御モジュール32にその旨を示す信号が入力される。この信号の入力を受け付けた制御モジュール32は、ロック解除信号を出力、即ち電動アクチュエータ28のソレノイド281に通電してこれを作動させ、電動作動子27をアンロック位置P2に前進させる。このとき、制御モジュール32がロック解除信号を出力する時間、即ちソレノイド281に通電する時間は、所定期間(例えば、数秒間)に制限する。即ち、特定者による積極動作の後、ユーザ認証を経てロック爪241が没入する期間は有限とし、その期間の経過後には電動作動子27をロック位置P1に後退させて再びロック爪241を突出させるようにしている。
電動作動子27がアンロック位置P2に移動すると、ロック爪241は筐体2の側壁21内に没入し、抽斗1に対するロックを解除する。翻って、電動作動子27がロック位置P1に移動すると、ロック爪241は側壁21より突出して、抽斗1をロックするロック状態、あるいはロック状態に移行し得るロック可能状態となる。つまり、抽斗1が筐体2内に収められて閉じている際に電動作動子27がロック位置P1に移動した場合、ロック爪241が直ちに抽斗1の係合穴15または係合突起16に係合して抽斗1をロックするが、抽斗1が筐体2内より引き出されている際に電動作動子27がロック位置P1に移動した場合には、ロック爪241がこの引き出されている抽斗1を直ちにロックする訳ではない。しかしながら、電動作動子27がロック位置P1にあるならば、抽斗1を筐体2内に押し入れて閉じたときに、ロック爪241が抽斗1のスライド移動に従動して(即ち、一旦側壁21内に没入した後、再度突出して)係合穴15または係合突起16に係合し、これをロックする。
因みに、停電、電池切れその他電気系統に支障が生じたときのために、ロック機構によるロックを機械的に解除できるようにすることが望ましい。例えば、図3Bに示しているように、鍵を差し入れて操作することで手動作動子171を進退させることが可能な錠17を設けておき、この手動作動子171によってロック爪支持体24をロック爪没入位置P4に回動させ得るように構成する。手動作動子171は、鍵を使用した錠17の操作により外側方に進出し、直接にまたは他の部材を介して間接にロック爪支持体24を駆動する。図示例では、筐体2の内板212に垂直軸回りに揺動可能に支持させた間接駆動部材215を介して間接にロック爪支持体24を駆動するものとしている。側壁21には、予め手動作動子171または間接駆動部材215の少なくとも一部を挿通する透孔216を穿ってあり、手動作動子171または間接駆動部材215は透孔216を介してロック爪支持体24を外側方に押す。手動作動子171または間接駆動部材215によって押されたロック爪支持体24はロック爪没入位置P4に移動することから、錠17の操作を通じてロック爪241を側壁21内に没入させてロックを手動解除することが可能である。
本実施形態によれば、保護対象物を持ち去る能力を有した特定者にそれぞれ所持させる無線方式による認証用キー要素4と、保護対象物を持ち去り不能にロックするロック機構と、前記特定者または前記特定者以外の者が前記保護対象物を使用するまたは持ち去るための積極動作を行うか否かを動作検知センサを用いて検出し積極動作が行われた旨の検出結果を得た場合に少なくとも認証開始信号を出力するきっかけ動作検知手段と、このきっかけ動作検知手段から認証開始信号が出力された場合に前記認証用キー要素4に対して無線方式による通信動作を実行し当該認証用キー要素4からの信号がロック解除権限を含んでいると認定したことを必要条件としてロック解除信号を出力する認証・制御用手段と、この認証・制御用手段からロック解除信号が出力された場合に電動アクチュエータ28を作動させて前記ロック機構をロックが自動的にまたは従動的に解除され得る状態に切り替えるロック駆動用手段とを具備してなり、少なくとも前記ロック駆動用手段をノーマリーロック仕様に設定した持ち去り防止システムを構築したため、特定者自身が意識的にロック操作を行わずともよくなり、煩雑な手順を強いることなくセキュリティの向上を図ることができる。また、特定者または特定者以外の者が一定の積極動作を行った場合にだけ認証・制御手段が認証用キー要素4と交信して認証を開始することから、積極動作が行われない場合にはこれら認証・制御手段及び認証用キー要素4を待機電力のみを消費するスリープ状態としておくことが可能になる。加えて、このようなものであれば、ロック解除権限を有した特定者が接近しただけではロック解除信号が出力されないので、アクチュエータが不当に作動するような不具合も生じない。そして、電磁波が無駄に飛び交う状況を回避するとともに、電力消費を可及的に抑制することができるという効果を奏する。
本実施形態のシステムは、保護対象物を収納する抽斗1を、当該抽斗1をスライド可能に支持する筺体にロックすることにより、保護対象物を適切に防護し得るものとなっている。
前記きっかけ動作検知手段は、動作検知センサとして、特定者または特定者以外の者が手指で操作する手動操作スイッチ33を用いており、簡便にかつ確実に特定者の意思に基づく積極動作を検知できる。
前記ロック駆動用手段は、電動作動子27をロック位置P1とアンロック位置P2との間で作動させるように構成したものであり、前記ロック機構は、前記電動作動子27がロック位置P1に移動した場合にロック状態またはロック可能状態となり、前記電動作動子27がアンロック位置P2に移動した場合にアンロック状態となるように構成したものである。
前記ロック駆動用手段を、電動作動子27をロック位置P1とアンロック位置P2との間で作動させるように構成し、前記ロック機構を、抽斗1が筐体2内に収められて閉じている状態で前記電動作動子27がロック位置P1に移動した場合には直ちに抽斗1をロックするロック状態となり、抽斗1が筐体2内より引き出されている状態で前記電動作動子27がロック位置P1に移動した場合には抽斗1を閉じる操作に従動してロック状態に移行し得るロック可能状態となるように構成しており、ワゴン、袖机等の抽斗1への適用にふさわしいものとなっている。また、電動作動子27を駆動する電動アクチュエータ28について抽斗1の現在位置に応じた動作制限をかける必要がなくなり、電動アクチュエータ28を駆動制御する電気回路(制御モジュール32)の簡素化を図ることができる。
前記ロック駆動用手段を、電動作動子27をロック位置P1とアンロック位置P2との間で作動させるように構成し、前記ロック機構を、筐体2に設けられロック爪突出位置P3とロック爪没入位置P4との間で動作可能なロック爪支持体24と、前記各抽斗1に対応させてロック爪支持体24に設けられ前記ロック爪突出位置P3において対応する抽斗1にそれぞれ係合して当該抽斗1をそれぞれロックする複数のロック爪241とを具備してなり、弾性部材26による弾性付勢力と前記電動作動子27の駆動力とによってロック爪支持体24を動作させ得るように構成しているため、単一のメカニズムで複数の抽斗1を同時に施解錠することが可能となっている。
前記弾性部材26を、前記ロック爪支持体24を前記ロック爪突出位置P3方向に弾性付勢するものとし、前記電動作動子27を、ロック位置P1からアンロック位置P2方向に移動する際に前記ロック爪支持体24を前記弾性付勢力に抗して前記ロック爪没入位置P4方向に駆動するものとしているため、ロック駆動用手段に特段の工夫を施さなくとも容易にノーマリーロックを具現できる。また、本実施形態における家具Wでは、各抽斗1をロックするロック爪241及びロック爪支持体241を常にロック爪突出位置P3方向に付勢しており、ソレノイド281に通電していない限り抽斗1を筐体2内に押し入れて閉じると必ずロックされるようになっている。仮に、この家具Wから電気系統即ち電動作動子27、電動アクチュエータ28、伝達機構29、認証判断モジュール31、制御モジュール32を除去したとしても、鍵を使用して解錠可能なオートロック式の家具Wとして成立し得る。
<第2実施形態>本実施形態は、上述した第1実施形態における動作検知センサの態様を変更したものである。以下、第1実施形態と相違する要素に重点を置いて説明する。ロック機構、電動作動子27、電動アクチュエータ28及び伝達機構29、認証判断モジュール31、制御モジュール32並びに認証用キー要素4に関しては、第1実施形態におけるものと同一構成とすることができるので、詳しい説明を省略する。
第1実施形態では、動作検知手段として、特定者または特定者以外の者が操作する手動操作スイッチ33を設けていた。しかしながら、一般に、抽斗1を筐体2より引き出そうとする際に把持されるのは抽斗1の取手18である。取手18とは別に手動操作スイッチ33を設けている場合、抽斗1を開閉操作する特定者は、手動操作スイッチ33を操作してしかる後に取手18を把持しなければならず、若干ではあるが操作が煩雑になることは否めない。よって、手動操作スイッチ33に換えて、抽斗1を開閉操作するために触れざるを得ない箇所、即ち取手18を操作しようとした際に切り替わるスイッチ34を家具Wに実装して、これを動作検知センサとすることができればより好ましいものとなる。
抽斗1の取手18は、抽斗1の鏡板13に設けてあることが通常である。鏡板13は、図1、図13、図14に示すように、取手18を配設する凹陥132を有する面板部131と、面板部131の上縁より後方に屈曲する上端部133と、面板部131の下縁より後方に屈曲する下端部134と、面板部131の側縁より後方に屈曲する側端部135とを備えて略角盆状をなす、例えば樹脂成形品である。取手18は、抽斗1を筐体2に係留するラッチ136を操作するためのものである。取手18の回転軸の両端は、凹陥132を貫通させて面板部131の背面側に導きつつ回動可能に支持させる。ラッチ136は、基端を鏡板13の側端部の内面側に設けた枢着部137に水平旋回可能に枢支させるとともに、その先端を抽斗1の裏板12の側縁に設けた透窓121を介して外部に突出させているもので、抽斗1が筐体2内に押し入れられたときに筐体2の側壁の内方側面に予め設けてあるラッチ受け217に掛かって抽斗1を筐体2に係留する。取手18が回動操作されると、この取手18に従動してラッチ136が旋回し、ラッチ136とラッチ受け217との係合が解消される。抽斗1を引き出そうとする特定者は、取手18を把持して回転させることでラッチ136を駆動してラッチ受け217より脱離させてから、抽斗1を手前方にスライド移動させる。
しかして、本実施形態では、筐体2の側壁に設けているラッチ受け217の近傍に、抽斗1のラッチ136が駆動されたことを検知するスイッチ34を実装している。スイッチは、例えば、ラッチ受け217に掛かっているラッチ136と係合してオン状態となり、ラッチ136がラッチ受け217より脱離したときにオフ状態となるメカスイッチ34である。このメカスイッチ34は、特定者または特定者以外の者が取手18を操作したことを検知することが可能である。つまり、メカスイッチ34は、何人かが取手18を把持して抽斗1を引き出そうとする積極動作を検知可能な動作検知センサたり得る。積極動作を検知したメカスイッチ34は、その旨を示す所定のパルス信号を出力する。第1実施形態と同様、このパルス信号が認証開始信号となる。但し、ラッチ136がラッチ受け217に掛かっているかラッチ受け217より脱離しているかを検知するマグネットセンサ等を実装し、これを動作検知センサとしても構わない。あるいは、取手18の近傍に手指が接近したことを検知可能なセンサ(例えば、赤外線センサ、超音波センサ等)を動作検知センサとして採用するということも考えられる。
図15に示すように、動作検知センサたるメカスイッチ34またはマグネットセンサ等と、認証判断モジュール31とは電気的に接続しており、認証判断モジュール31はメカスイッチ34またはマグネットセンサ等より送出される認証開始信号たるパルス信号を受け取ることができる。認証判断モジュール31は、プログラムに従い、メカスイッチ34またはマグネットセンサ等が出力する認証開始信号を受け取った場合に、積極動作が行われたことを知得して認証用キー要素4との無線交信及び認証を実施するプログラムルーチンを実行開始する。しかして、特定者の認証に成功した暁には、制御モジュール32に向けてその旨を示す信号を送出して、制御モジュール32にロック解除信号を出力させる。
本実施形態によれば、前記きっかけ動作検知手段が、取手18を操作しようとした際に切り替わるスイッチ34を動作検知センサとして用いているため、抽斗1内に収納されている保護対象物を取り出すための自然な行為、即ち抽斗1を筐体2より引き出そうとする行為が、ロック解除権限の認証を開始させる積極動作に直接的に結びつくこととなる。従って、特定者の意識や所作に合致した極めて使い勝手のよいシステムとなる。
上記の他、第1実施形態において述べた効果をも奏し得ることは言うまでもない。
<第3実施形態>第1実施形態では、手動操作スイッチ33を動作検知センサとし、第2実施形態では、メカスイッチ34を動作検知センサとしていた。第1、第2実施形態では、特定者または特定者以外の者による積極動作を1個の動作検知センサで検知していた。続いて述べる本実施形態では、複数個の動作検知センサを用い、段階的に積極動作を検知する。以下、第1、第2実施形態と相違する要素に重点を置いて説明する。ロック機構、電動作動子27、電動アクチュエータ28及び伝達機構29、認証判断モジュール31、制御モジュール32並びに認証用キー要素4に関しては、第1、第2実施形態におけるものと同一構成とすることができるので、詳しい説明を省略する。
第2実施形態では、特定者または特定者以外の者が取手18を操作しようとした際に切り替わるスイッチ34を設け、このスイッチが切り替わった時点で認証判断モジュール31が認証用キー要素4との無線交信を開始してユーザ認証を実行していた。その場合の問題として、ユーザ認証に費やすことが許される時間が短い、という点が挙げられる。即ち、取手18を把持して回転操作したにもかかわらず抽斗1を引き出すことができないと、特定者にストレスを感じさせることになる。一方、第1実施形態の如く、手動操作スイッチ33が操作された時点で認証判断モジュール31が認証用キー要素4との無線交信及びユーザ認証を実行するものとすれば、このようなストレスを特定者に感じさせることはない。とは言え、手動操作スイッチ33が操作された直後に電動アクチュエータ28が作動してロックが解除され、しかもその数秒後には再ロックされてしまうため、特定者が抽斗1を引き出すタイミングを逸してしまう可能性がある。
本実施形態は、上述した第1、第2実施形態の各々が抱える問題を解消するべく、双方の態様を折衷したものである。本実施形態における家具Fは、動作検知センサとして、手動操作スイッチ33とメカスイッチ34とを両備している。これら手動操作スイッチ33、メカスイッチ34は、それぞれ認証判断モジュール31に電気的蔭接続しており、認証判断モジュール31は手動操作スイッチ33及びメカスイッチ34より送出されるパルス信号を受け取ることができる。本実施形態では、手動操作スイッチ33が出力するパルス信号が認証開始信号となり、メカスイッチ34が出力するパルス信号がロック解除許可信号となる。
抽斗1を開閉操作しようとする特定者は、先に手動操作スイッチ33を操作してユーザ認証処理を惹起させ、しかる後に取手18を操作して抽斗1を引き出す。このときの認証判断モジュール31は、プログラムに従い、第1の動作検知センサたる手動操作スイッチ33より送出される認証開始信号を受け取った場合に認証用キー要素4との無線交信及び認証を実施するプログラムルーチンを実行開始する。そして、特定者の認証に成功した暁には、即座に制御モジュール32にロック解除信号を出力させるのではなく(ステップS4を実行するのではなく)、特定者の認証に成功した旨を示す情報をプロセッサユニット311のメインメモリまたはフラッシュメモリの所要の記憶領域に記憶しておく。しかして、認証判断モジュール31は、プログラムに従い、第2の動作検知センサたるメカスイッチ34より送出されるロック解除許可信号を受け取った場合にメインメモリまたはフラッシュメモリを参照し、特定者の認証に成功した旨を示す情報が記憶されているか否かを判断して、既に特定者の認証に成功している事実を確認できたのであれば制御モジュール32にロック解除信号を出力させる。メインメモリまたはフラッシュメモリに特定者の認証に成功した旨を示す情報が記憶されていなければ、取手18が操作されたことをメカスイッチ34を介して検知したとしても制御モジュール32にロック解除信号を出力させない。
本実施形態によれば、きっかけ動作検知手段が、第1の動作検知センサ33に基づいて積極動作が行われた旨の検出結果を得た場合に認証開始信号を出力し、第2の動作検知センサ34に基づいて積極動作が行われた旨の検出結果を得た場合にロック解除許可信号を出力するように構成されており、認証・制御手段が前記きっかけ動作検知手段から認証開始信号が出力された場合に前記認証用キー要素に対して通信動作を実行し当該認証用キー要素からの信号がロック解除権限を含んでいると認定した場合にその認定結果を(プロセッサユニット311のメインメモリまたはフラッシュメモリに)記憶しておき、前記きっかけ動作検知手段からロック解除許可信号が出力された場合にその記憶内容に基づいてロック解除信号を出力するように構成されており、第1、第2実施形態の抱える問題点を解消可能となっている。
上記の他、第1、第2実施形態において述べた効果をも奏し得ることは言うまでもない。
<第4実施形態>本実施形態は、ロック機構及びロック駆動用手段の態様を第1、第2、第3実施形態におけるそれとは大きく変更している。以下、第1、第2、第3実施形態と相違する要素に重点を置いて説明する。なお、きっかけ動作検知手段及び動作検知センサ、認証判断モジュール31並びに認証用キー要素4に関しては、第1、第2、第3実施形態におけるものと同一構成とすることができるので、詳しい説明を省略する。
本実施形態は、既存のワゴン、袖机等の家具Xが保有している抽斗1の一つを換装(この抽斗1自体を取り替えてもよく、この抽斗1の鏡板13のみを取り替えても良い)することで、この家具Xに電気錠によるノーマリーロック機能及びユーザ認証を通じたアンロック機能を新たに付加することをコンセプトとしている。よって、まず、既存の家具Xの筐体6に設けられているロック機構について説明する。
筐体6の基本構成は、第1実施形態において述べた筐体2のそれに類似している。即ち、図16に示すように、左右の側壁61を、後壁(図示せず)及び上部横架材62により連結してなり、抽斗1、5を収容する内部空間を前方に連通させている。側壁61は、当該側壁61の外側面及び前端面をなす外板611の前縁部位に、内側面及び後向面をなす内板612を溶接等により固定してあるもので、これら外側面、前端面、内側面及び後向面によって剛性を補強する前補強部613を構成するとともに、その内に上下方向に延伸する扁平な空間領域を有している。側壁61の内側面に取り付けてあるレール63(サスペンションレールであることがある)によって抽斗1、5をスライド移動可能に支持することは言うまでもない。
抽斗1、5をロックするロック機構は、上記の空間領域内に配置されるロック爪支持体64並びにこのロック爪支持体64に支持されるロック爪641を主体とする。ロック爪支持体64は、上下に長尺な板状体であり、例えば板金素材をプレス加工等することで作製する。ロック爪支持体64は、上下両端に一体成形された軸部642を有しており、これら軸部642を軸受体651、652に軸承させることで水平旋回可能に支持させてある。
ロック爪支持体64の後縁部には、抽斗1、5の段数に応じた数のロック爪641を設けている。これらロック爪641は、ロック爪支持体64から切り起こしてなり、内側方に向けて略水平に突出する。また、側壁61の内板612における各ロック爪641に対応する位置には、ロック爪641を通過させ得る爪突没口614を穿ってある。
そして、このロック爪支持体64を、弾性部材66により、各ロック爪641が前補強部613に形成された空間領域内に没入する方向に付勢している。図示例では、弾性部材たるねじりコイルばね66をロック爪支持体64の軸部642に巻装し、その一端を側壁61の外板611に支持させつつ、他端をロック爪支持体64の内方側面に当接させるものとしている。
爪突没口614を介して突没するロック爪641は、各段の抽斗1、5をそれぞれロックすることができる。即ち、第1実施形態と同様、爪突没口614より内側方に突出したロック爪641が抽斗1、5の前方へのスライド移動を阻止する。
第1実施形態における筐体2とは逆に、図17に示すように、弾性部材66による弾性付勢により平時にはロック爪641が筐体6の側壁61内に没入している状態にある。従って、抽斗1、5をロックするには、何らかの手法によってロック爪支持体64を弾性付勢力に抗して変位させ、ロック爪641を爪突没口614より突出させる必要がある。本実施形態では、原則として、電動作動子52の運動を通じてロック爪支持体64を変位させるようにしている。電動作動子52は、既存の抽斗1に換えて配設した抽斗5(または、既存の抽斗1の鏡板13に換えて装着した鏡板51)に実装されているものである。電動作動子52は、比較的長尺なかんぬき状の薄板体であり、鏡板51の背面側にあってアンロック位置P2とロック位置P1との間を幅方向に変位可能であるように支持体55に支持させている。電動作動子52が図18に示すロック位置P1にあるとき、電動作動子52の先端は裏板に予め穿ってある開口(図示せず)を介して外側方に突出する。さらに、この電動作動子52の先端は、筐体6の側壁61の透孔615を経て前補強部613内に進入し、ロック爪支持体64の軸部642よりも前方の部位を外側方に押す。これにより、ロック爪支持体64の後端部が内側方に旋回して、ロック爪支持体64がロック爪641を爪突没口614より突出させるロック爪突出位置P3に位置づけられる。逆に、電動作動子52が図17、図19に示すアンロック位置P2にあるとき、電動作動子52はロック爪支持体64とは係合せず、ロック爪支持体64はロック爪641を側壁61内に没入させるロック爪没入位置P4に位置づけられる。
電動作動子52を作動するのは、ロック駆動用手段である。ロック駆動用手段もまた、既存の抽斗1に換えて配設した抽斗5(または、既存の抽斗1の鏡板13に換えて装着した鏡板51)に実装されている。ロック駆動用手段は、電動作動子52を作動させる作動力を出力する電動アクチュエータ53と、電動アクチュエータ53が出力する作動力を電動作動子52に伝達する伝達機構54とを具備してなる。電動アクチュエータ53は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池(その種類は問わない)より電力供給を受けるものとしてもよい。本実施形態にあって、電動アクチュエータ53は、正逆回転可能なモータ531と、モータ531の回転を伝達する減速ギヤ(ギヤボックス532内に存在している)とを要素とする。伝達機構54は、減速ギヤを介してモータ531の回転力の伝達を受けて正逆回転する回転部材541と、回転部材541と電動作動子52とを機械的に接続する接続部材542とを要素とする。回転部材541は、背面視略円盤状をなし、その外周部に複数個の突片543を間欠的に設けてある。これら突片543は、回転部材541の後面より後方に突き出している。接続部材542は、回転部材541と同心軸回りに自由に回動可能であるように軸支させた部材であって、回転部材541の後面に重合配置してある。接続部材542は、電動作動子52に向けて延伸するアーム544を有している。アーム544の先端部は、ピン521を介して電動作動子52に連結している。また、アーム544は、回転部材541の突片543間に位置づけられており、何れかの突片543がアーム544の側縁に係合することにより回転部材541の回転が接続部材542に伝達されるようになっている。
モータ531が正方向に回転すると、減速ギヤを介して回転力の伝達を受けた回転部材541が図中時計回りに回転する。そして、突片543がアーム544の側縁に係合し、アーム544及び接続部材542を図中時計回りに回転させる。結果、電動作動子52が図中右方向即ち外側方に変位してロック位置P1に至る。モータ531が逆方向に回転すると、減速ギヤを介して回転力の伝達を受けた回転部材541が図中反時計回りに回転する。そして、突片543がアーム544の側縁に係合し、アーム544及び接続部材542を図中反時計回りに回転させる。結果、電動作動子52が図中左方向即ち内側方に変位してアンロック位置P2に至る。
なお、電動作動子52の基端には、鉛直下方に垂下する制動体522を取り付けてある。並びに、この制動体522を挟むように対をなすリミットスイッチ351、352を設けてある。リミットスイッチ351、352は、電動作動子52を適当な位置で制止するために機能する。幅方向に変位する電動作動子52がロック位置P1に至ったときには、制動体522が図中右側のリミットスイッチ351に接触し、電動作動子52がアンロック位置P2に至ったときには、制動体522が図中左側のリミットスイッチ352に接触する。後述するように、制動体522が何れかのリミットスイッチ351、352に接触した時点でモータ531の回転を停止することで、電動作動子52をロック位置P1またはアンロック位置P2に適切に制止させることができる。
抽斗1、5に収納される保護対象物を正当な権限を有する特定者以外の者から防護するという目的を達成するには、特定者の認証に成功した場合にのみ電動作動子52を作動してロックを解除すればよい。駆動・制御用手段は、ユーザ認証及び電動アクチュエータ53の制御を司る。ユーザ認証は認証判断モジュール31が担い、電動アクチュエータ53の制御は制御モジュール35が担う。認証判断モジュール31及び制御モジュール35は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池より電力供給を受けるものとしてもよいが、通常は電動アクチュエータと電力供給源を同じくする。
第1、第2、第3実施形態と同様、認証判断モジュール31は、プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、ユーザ認証に必要な処理を実施する。そして、保護対象物を持ち去る権能を有する特定者の認証に成功した場合に、その旨を示す信号を制御モジュール35に向けて出力する。
認証判断モジュール31と制御モジュール35とは電気的に接続しており、制御モジュール35は認証判断モジュール31より送出される信号を受け取ることができる。制御モジュール35に実装されたアクチュエータ制御回路は、特定者の認証に成功した旨を示す信号を認証判断モジュール31より受け取ったときに、ロック機構によるロックを解除させるためのロック解除信号を出力する。本実施形態において、ロック解除信号とは即ちモータ531に印加されてモータ531を逆回転させる電気信号である。
本実施形態においても、認証・制御用手段(の認証判断モジュール31)が認証用キー要素4と無線交信する機会を制限している。具体的には、特定者または特定者以外の者が保護対象物を使用するまたは持ち去るための積極動作を行ったことを検知してはじめて、無線交信を開始するものとしている。特定者または特定者以外の者による積極動作を検知するのは、きっかけ動作検知手段である。きっかけ動作検知手段は、手動操作スイッチ33を用いるものとしてもよく、メカスイッチ34を用いるものとしてもよい。
ユーザ認証に成功した暁には、認証判断モジュール31より制御モジュール35にその旨を示す信号が入力される。この信号の入力を受け付けた制御モジュール35は、ロック解除信号を出力、即ち電動アクチュエータ53のモータ531に通電してこれを逆回転させ、電動作動子52をアンロック位置P2に移動させる。なお、図20に示すように、先に述べたリミットスイッチ352、351が、制御モジュール35に電気的に接続しており、制御モジュール35は電動作動子52がアンロック位置P2またはロック位置P1に至ったことをリミットスイッチ352、351を介して感知できる。制御モジュール35は、電動作動子52がアンロック位置P2またはロック位置P1に至った時点でモータ531への通電を止め、モータ531の回転を停止させる。電動作動子52がアンロック位置P2に移動すると、ロック爪641は筐体6の側壁61内に没入し、抽斗1、5に対するロックを解除する。
翻って、電動作動子52がロック位置P1に移動すると、ロック爪641は側壁61より突出して、抽斗1、5をロックするロック状態となる。第1実施形態におけるロック機構と異なり、本実施形態におけるロック機構は解錠、施錠をともに電動作動子52の変位を通じて惹起する必要がある。但し、抽斗5を含めて全段の抽斗1、5が筐体6内に収容されている状態で電動作動子52をロック位置P1に変位させないと、これら抽斗1、5を適切にロックできない。従って、全段の抽斗1、5が筐体6内に収容されていることを検知するための手段を、抽斗5に設けておく必要がある。例えば、抽斗5に、この抽斗5が筐体6内に収容されたことを検知するセンサ353(メカスイッチ、マグネットセンサ等)と、この抽斗5の上下に隣接して配設されている抽斗1が抽斗5と同じ前後位置に存在していることを検知するセンサ354とを設けておき、双方のセンサによる検出結果に基づいてモータ531を駆動するものとする。これらセンサ353、354を制御モジュール35に電気的に接続しておけば、全段の抽斗1、5が筐体6内に収容されたことを制御モジュール35がセンサ353、354を介して感知できる。制御モジュール35は、全段の抽斗1、5が筐体6内に収容された時点でモータ531に通電してこれを正回転させ、電動作動子52をロック位置P1に移動させる。並びに、電動作動子52がロック位置P1に至ったことをリミットスイッチ351を介して感知した時点で、モータ531の回転を停止させる。上記のように制御モジュール35(のアクチュエータ制御回路)を構成することで、全段の抽斗1、5が筐体6内に収容されたときに自動的にロックされるノーマリーロックが具現される。
<第5実施形態>本実施形態もまた、ロック機構及びロック駆動用手段の態様を第1、第2、第3、第4実施形態におけるそれとは大きく変更している。以下、第1、第2、第3、第4実施形態と相違する要素に重点を置いて説明する。なお、きっかけ動作検知手段及び動作検知センサ、認証判断モジュール31並びに認証用キー要素4に関しては、第1、第2、第3、第4実施形態におけるものと同一構成とすることができるので、詳しい説明を省略する。
本実施形態は、図21に示すように、既存のワゴン、袖机等の家具Xの筐体6にロックシステム装置7を後付けし、このロックシステム装置7によってノーマリーロック機能及びユーザ認証を通じたアンロック機能を新たに付加することをコンセプトとしている。ロックシステム装置7は、家具Xの抽斗1の段数に対応する数のメインロック体71を備え、このメインロック体71が抽斗1の前方に迫り出すことで抽斗1のスライド移動を抑止するものである。
抽斗1をロックするロック機構は、図21、図22、図23に示すように、少なくとも先端部をケーシング73より突没させるメインロック体71と、メインロック体71をケーシング73より突出させた状態に維持するサブロック体72とを主要な構成要素とする。本実施形態において、メインロック体71は、幅方向に突没変位し得るように支持させているとともに、弾性部材(図示せず)によってその先端部をケーシング73より内側方に突出させる方向に付勢してある。ケーシング73より突出するメインロック体71の先端部は、平面視略三角形状の外形をなしており、その後向縁が抽斗1の鏡板13の前面側の隅角縁と係合して抽斗1の前方へのスライド移動を抑止する。並びに、ケーシング73より突出するメインロック体71の最先端は、抽斗1の鏡板13の側端部よりも内側方、抽斗1の胴板11の外側面よりも外側方に位置している。よって、抽斗1が既に筐体6より引き出されている場合には、鏡板13の後面側の隅角縁と係合し得るものの胴板11と干渉し合うことはない。メインロック体71の上面には、上向きに凸な係止体711を設けている。係止体711は、その内方の側縁部がテーパ面となっている。また、メインロック体71の外側縁に、正面視略逆L字型をなす係留フック712を突設してある。
サブロック体72は、平面視略方形状をなす平板な部材であって、ケーシング73に対して相対的に不動であるように設けた水平支軸76にその後端部を軸支させてある。よって、サブロック体72の前方部位は、水平支軸76回りに上下に揺動可能である。サブロック体72は、略水平姿勢をとったときにメインロック体71の上面に当接または近接する。また、サブロック体72の外方側縁は、メインロック体71より突出する係留フック712に掛かるように位置づけてある。そして、サブロック体72の前方部位に、少なくとも下方に開口する係止孔721を穿っている。この係止孔721は、メインロック体71の上面に設けられた係止体711と凹凸係合してメインロック体71の幅方向への変位を禁ずるためのものである。さらに、サブロック体72には、後方に延出する板ばね722を取り付けてある。
図示しない弾性部材による弾性付勢により、平時にはメインロック体71の先端部がケーシング73より内側方に突出している状態にある。既に述べたように、この状態ではメインロック体71の先端部が抽斗1の鏡板13と係わり合う。その上で、サブロック体72の係止孔721を係止体711に凹凸係合させてメインロック体71の幅方向への変位を禁ずれば、このメインロック体71により抽斗1をロックして抽斗1のスライド移動を抑止することができる。従って、抽斗1に対するロックを解除するには、何らかの手法によってサブロック体72を跳ね上げて、メインロック体71のケーシング73内への没入を許容させる必要がある。本実施形態では、電動作動子74の運動を通じてサブロック体72を上下に揺動させるようにしている。電動作動子74は、平面視略クランク状をなし、後端側が上下に二股に分かれていて、その中間に板ばね722を挟持している。電動作動子74は、前端側の軸回りに垂直旋回し、板ばね722を介してサブロック体72を上下に揺動させる。電動作動子74が図24または図27に示すロック位置P1にあるとき、サブロック体72は略水平姿勢をとり、サブロック体72の係止孔721がメインロック体71の係止体711に凹凸係合してメインロック体71の変位を禁ずる。電動作動子74が図25または図26に示すアンロック位置P2にあるとき、サブロック体72の前方部位はメインロック体71の上面より跳ね上がり、係止孔721と係止体711との係合が解消されてメインロック体71の幅方向への突没変位が許容される。
電動作動子74を作動するのは、ロック駆動用手段である。ロック駆動用手段は、ケーシング73内に実装されている。ロック駆動用手段は、電動作動子74を作動させる作動力を出力する電動アクチュエータ75を具備してなる。電動アクチュエータ75は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池(その種類は問わない)より電力供給を受けるものとしてもよい。本実施形態にあって、電動アクチュエータは、電動作動子74の前端側の軸を所定角度の範囲内で正逆回転させるロータリーソレノイド75である。
ロータリーソレノイド75が正方向に回転すると、電動作動子74が同方向に回転してロック位置P1に至り、サブロック体72を略水平姿勢とする。ロータリーソレノイド75が逆方向に回転すると、電動作動子74が同方向に回転してアンロック位置P2に至り、サブロック体72の前方部位を上方に跳ね上げる。
抽斗1に収納される保護対象物を正当な権限を有する特定者以外の者から防護するという目的を達成するには、特定者の認証に成功した場合にのみ電動作動子74を作動してロックを解除すればよい。駆動・制御用手段は、ユーザ認証及び電動アクチュエータ75の制御を司る。ユーザ認証は認証判断モジュール31が担い、電動アクチュエータ75の制御は制御モジュール36が担う。認証判断モジュール31及び制御モジュール36は、外部の給電コンセントより電力供給を受けるものとしてもよく、電池より電力供給を受けるものとしてもよいが、通常は電動アクチュエータ75と電力供給源を同じくする。
第1、第2、第3、第4実施形態と同様、認証判断モジュール31は、プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、ユーザ認証に必要な処理を実施する。そして、保護対象物を持ち去る権能を有する特定者の認証に成功した場合に、その旨を示す信号を制御モジュール36に向けて出力する。
図28に示すように、認証判断モジュール31と制御モジュール36とは電気的に接続しており、制御モジュール36は認証判断モジュール31より送出される信号を受け取ることができる。制御モジュール36に実装されたアクチュエータ制御回路は、特定者の認証に成功した旨を示す信号を認証判断モジュール31より受け取ったときに、ロック機構によるロックを解除させるためのロック解除信号を出力する。本実施形態において、ロック解除信号とは即ちロータリーソレノイド75に印加されてロータリーソレノイド75を逆回転させる電気信号である。
本実施形態においても、認証・制御用手段(の認証判断モジュール31)が認証用キー要素4と無線交信する機会を制限している。具体的には、特定者または特定者以外の者が保護対象物を使用するまたは持ち去るための積極動作を行ったことを検知してはじめて、無線交信を開始するものとしている。特定者または特定者以外の者による積極動作を検知するのは、きっかけ動作検知手段である。きっかけ動作検知手段は、手動操作スイッチ33を用いるものとしてもよく、メカスイッチ34を用いるものとしてもよい。
ユーザ認証に成功した暁には、認証判断モジュール31より制御モジュール36にその旨を示す信号が入力される。この信号の入力を受け付けた制御モジュール36は、ロック解除信号を出力、即ちロータリーソレノイド75に通電してこれを逆回転させ、電動作動子74をアンロック位置P2に移動させる。本実施形態では、抽斗1の段数に対応する複数のメインロック体71、サブロック体72、電動作動子74及びロータリーソレノイド75等が存在しており、制御モジュールはこれらロータリーソレノイド75の全てに対してロック解除信号を印加する。各電動作動子74がアンロック位置P2に移動すると、各サブロック体72が跳ね上がるが、図25に示すようにサブロック体72の外方側縁がメインロック体71の係留フック712に掛かることでサブロック体72は最上位置にまでは浮上せず、ちょうどサブロック体72が板ばね722によって上方向に付勢された状態となる。
図25に示している状態で、既にメインロック体71の変位は許容され、各段の抽斗1に対するロックは解除されている。特定者は、所望の抽斗1を筐体6より引き出すことができる。ある抽斗1が引き出されると、その抽斗1の鏡板13と係わり合うメインロック体71が押し込まれて一旦ケーシング73内に没入する。すると、メインロック体71の係留フック712がサブロック体72の外方側縁より外れ、図26に示すようにサブロック体72が最上位置まで浮上する。さらに、抽斗1の鏡板13がメインロック体71よりも前方に進出したとき、弾性付勢力により再度メインロック体71の先端部がケーシング73より突出する位置に復帰する。
翻って、電動作動子74がロック位置P1に移動すると、サブロック体72が略水平姿勢となる位置まで降下しようとする、本実施形態では、各段のメインロック体71に、当該メインロック体71が一旦ケーシング73内に没入した後で再度ケーシング73より突出する位置に復帰する事象を検知するセンサ361(メカスイッチ、マグネットセンサ等)を付帯させてある。これらセンサ361は制御モジュール36に電気的に接続しており、よって制御モジュール36は何れかの抽斗1が引き出されたことをセンサ361を介して感知できる。制御モジュール36は、何れかの抽斗1が引き出された時点でロック解除信号の出力を停止、即ちロータリーソレノイド75に対する通電を停止してこれを正回転させ、電動作動子74をロック位置P1に移動させる。結果、特定者によって引き出されなかった抽斗1に対応するメインロック体71に付随するサブロック体72は、図24に示す略水平姿勢に戻り、その係止孔721がメインロック体71の係止体711と再度凹凸係合する。一方で、特定者によって引き出された抽斗1に対応するメインロック体71に付随するサブロック体72は、メインロック体71の係留フック712の存在により図27に示すように略水平姿勢となる位置まで降下することが妨げられ、ちょうどサブロック体72が板ばね722によって下方向に付勢された状態となる。この抽斗1が筐体6内に押し込まれると、抽斗1の鏡板13と係わり合ってメインロック体71が押し込まれ一旦ケーシング73内に没入し、同時にサブロック体72が係留フック712の高さよりも下方に降下する。しかる後、この抽斗1が完全に筐体6内に収容されたときに、再度メインロック体71の先端部がケーシング73より突出する位置に復帰して鏡板13の前方に迫り出す。そして、メインロック体71の係止体711がサブロック体72の係止孔721の内に収まって、サブロック体72が略水平姿勢に戻る。以上の過程を経ることで、抽斗1が筐体6内に収容されたときに自動的にロックされるノーマリーロックが具現される。並びに、サブロック体72が図27に示すように係留フック712に係止されている段階で停電、電池切れや電気系統の故障等が発生したとしても、抽斗1が筐体6内に押し入れられさえすればサブロック体72が最下位まで降下してメインロック体71の突没を禁止し、(電動アクチュエータ75の動作如何によらず)抽斗1を再ロック可能である。
本実施形態によれば、前記ロック駆動用手段を、電動作動子74をロック位置とアンロック位置との間で作動させるように構成し、前記ロック機構を、抽斗1を筐体6にロックするためのものであって、抽斗1の筐体6に対する移動をロックするためのメインロック体71と、このメインロック体71の動きに同調することなく当該メインロック体71の動きを禁止または許容するサブロック体72とを備え、前記電動作動子74の動作により前記サブロック体72を駆動するものとしているため、メインロック体71に作用する大きな負荷が電動作動子74等に伝わることを防止または抑制することが可能であり、故障が発生するおそれを低減でき、サブロック体72や電動作動子74等の小型化を図り得る。
上記の他、第1、第2、第3実施形態において述べた効果をも奏し得ることは言うまでもない。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。特に、本発明のシステムの適用対象は、抽斗を有する家具、什器類に限られない。上記実施形態における筐体を保護対象物を収納する本体(収納庫、金庫等の本体)と見立て、抽斗の鏡板を前記本体を閉止する開閉体(扉、戸等)と見立てれば、抽斗を有していない家具、什器類に本システムをそのまま適用することが可能である。さらに、ロック機構が、保護対象物をワイヤ等の繋留部材にロックするためのもの(いわゆるワイヤロック等)であっても構わない。
その他、各部の具体的構成や詳細な処理手順等は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。