JP4594820B2 - ハイドライド気相成長装置、iii族窒化物半導体基板の製造方法 - Google Patents

ハイドライド気相成長装置、iii族窒化物半導体基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハイドライド気相成長装置、III族窒化物半導体基板の製造方法、III族窒化物半導体基板に関する。
近年、AlGaN、AlN基板を製造する方法として、ハイドライド気相成長法(以下、HVPE(Hydride Vapor Phase Epitaxy)法)が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、AlGaN膜を成膜する場合には、気相成長装置の反応管内に、一対の供給管を配置し、各供給管内にそれぞれ金属Alと金属Gaを配置する。そして各供給管に、塩素(HCl)ガスを供給し、三塩化アルミニウム(AlCl)ガス、塩化ガリウム(GaCl)ガスを発生させる。
この反応は以下の式1、式2で示される。
Al+3HCl ← → AlCl+(3/2)H・・・(式1)
Ga+HCl ← → GaCl+(1/2)H・・・(式2)
また、一方で、アンモニア(NH)ガスを反応管内に供給する。
そして、各供給管から排出されるAlClガス、GaClガスと、NHガスとを反応させて、AlGaN膜を成膜する(式3、式4)。
AlCl+NH ← → AlN+3HCl・・・(式3)
GaCl+NH ← → GaN+HCl+H・・・(式4)
特開2002−305155号公報
従来のハイドライド気相成長法により、AlGaN膜を成膜する場合には、以下の課題が生じていた。
AlClガスの反応性が極めて高いため、AlNの生成速度は非常に速い。そのため、供給管からAlClガスが排出された直後に、NHガスと反応し、基板に到達する前に、供給管の供給口近傍で、AlNが優先的に析出してしまうことがある。そのため、供給管の供給口にAlNが析出してしまい、AlGaN膜の成膜自体が困難となることがある。
また、AlNが優先的に析出してしまうことで、所望の組成比のAlGaN膜を得ることが困難となる。
また、上述した式3、式4で示したように、AlGaN膜を成膜する際には、AlN、GaN、HClが生じるが、同時に、発生したHClとAlGaNとでエッチング反応が生じる。
エッチング反応は次の式5と式6によって表される。
GaN+HCl ← → GaCl+(1/2)N+(1/2)H・・・(式5)
AlN+3HCl ← → AlCl+(1/2)N+(3/2)H・・・(式6)
HClガスによるGaNのエッチング速度は、HClガスによるAlNのエッチング速度よりも、きわめて速い。
前述したように、従来のハイドライド気相成長法では、基板に到達する前に、供給管の供給口近傍で、AlNが優先的に析出してしまうため、このAlNの析出に伴い多量のHClガスが生じる。この多量のHClにより、GaNがエッチングされることとなるので、これによっても、所望の組成比のAlGaN膜を得ることが困難となる。
なお、AlGaN膜を成膜する例をあげて、従来のハイドライド気相成長法の課題を説明したが、AlN膜を成膜する際にも、供給管からAlClガスが排出された直後に、NHガスと反応し、基板に到達する前に、供給管の供給口近傍で、AlNが優先的に析出してしまう。この場合においても、供給管の供給口にAlNが付着してしまいAlN膜の成膜が困難となることがある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、Alのハロゲン化物を含む第一の反応ガスを供給する供給口近傍でのAl系窒化物の析出を抑制する技術を提供するものである。
本発明によれば、Alのハロゲン化合物を含む第一の反応ガスと、水素化窒素ガスを含む第二の反応ガスとを、基板に対して略同一方向から供給し、前記基板上に膜を形成するハイドライド気相成長装置であって、前記基板を保持する基板保持部材と、前記第一の反応ガスと、前記第二の反応ガスとが供給されるとともに、前記基板保持部材を収容する反応管と、前記反応管内に形成され、前記第一の反応ガスを生成する反応ガス生成室、この反応ガス生成室と連通し、前記反応管の前記基板保持部材に保持された基板に対し、前記第一の反応ガスを供給する第一の反応ガス供給口、および、前記反応ガス生成室内に、HClガスと前記第一の反応ガスを希釈するためのキャリアガスとを導入する導入部を有する反応ガス生成部と、前記基板保持部材に保持された前記基板に対し、前記第二の反応ガスを供給する第二の反応ガス供給口を有する第二の反応ガス供給部と、を備え、前記第一の反応ガス供給口は、前記第二の反応ガス供給口よりも、上流側に配置されており、前記第一の反応ガス供給口よりも下流側に配置されるとともに、前記第二の反応ガス供給口よりも上流側に配置され、第二の反応ガスが第一の反応ガス供給口近傍に流入することを制限する流入規制部を有することを特徴とするハイドライド気相成長装置を提供することができる。
この構成によれば、ハイドライド気相成長装置は、第一の反応ガス供給口近傍への第二の反応ガスの流入を規制する流入規制部を有しているので、第一の反応ガス供給口近傍での第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応を抑制することができる。
また、反応ガス生成部の反応ガス生成室では、生成された第一の反応ガスが、キャリアガスにより希釈されている。反応ガス生成部の第一の反応ガス供給口からは希釈された第一の反応ガスが排出されるので、反応ガス生成部の第一の反応ガス供給口近傍においても、第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応が起こりにくくなる。
さらに、反応ガス生成部の第一の反応ガス供給口は、第二の反応ガス供給口よりも、上流側に配置されており、第二の反応ガス供給口から排出された第二の反応ガスが、第一の反応ガス供給口側に流れにくくなっているので、反応ガス生成部の第一の反応ガス供給口近傍における第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応を防止することができる。
このように、反応ガス生成部の第一の反応ガス供給口近傍における第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応を防止することができるので、第一の反応ガス供給口にAl系窒化物が付着して、成膜が困難となってしまうことを防止できる。
本発明では、前記第二の反応ガス供給口から前記基板保持部材に向かって流れる前記第二の反応ガスの流れ方向と交差する方向に、前記第一の反応ガス供給口から第一の反応ガスが排出されるように、前記第一の反応ガス供給口が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、第一の反応ガス供給口からは、第二の反応ガスの流れ方向と交差する方向に、第一の反応ガスが排出されている。換言すると、第一の反応ガス供給口が第二の反応ガスの流れ方向に対し、平行に開口しており、直交するような方向には開口していないといえる。
そのため、第二の反応ガスが逆流するようなことがあっても、第一の反応ガス供給口内に第二の反応ガスが入ってしまうことを防止できる。これにより、第一の反応ガス供給口でのAl系窒化物の析出を防止することができる。
さらに、本発明では、前記反応ガス生成部の前記流入規制部は、第二の反応ガス供給口から、前記基板保持部材に向かって流れる前記第二の反応ガスの流れ方向と直交する流入規制壁部を含むことが好ましい。
流入規制部が、第二の反応ガスの流れ方向と略直交する流入規制壁部を有することで、第二の反応ガスが逆流するようなことがあっても、流入規制壁部により、第二の反応ガスの逆流を遮断することができる。
また、本発明では、前記導入部へのキャリアガスの導入方向と、前記第一の反応ガス供給口からの第一の反応ガスの排出方向とは略直交することが好ましい。
導入部へのキャリアガスの導入方向と、第一の反応ガス供給口からの第一の反応ガスの排出方向とが同じ方向である場合には、導入部に挿入されたキャリアガスが、すぐに第一の反応ガス供給口から排出されてしまうこととなる。そのため、反応ガス生成室内において、第一の反応ガスをキャリアガスにより充分に希釈できない場合がある。
これに対し、本発明では、導入部へのキャリアガスの導入方向と、第一の反応ガス供給口からの第一の反応ガスの排出方向とを略直交させることで、反応ガス生成室内にキャリアガスを充填させることができ、第一の反応ガスをキャリアガスにより充分に希釈することができる。
これにより、第一の反応ガス供給口近傍における第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応をより確実に抑制することができる。
さらに、本発明では、第一の反応ガス供給口近傍の第一の反応ガスの流路の断面積は、第二の反応ガス供給口から基板に向かう第二の反応ガスの流路の断面積よりも小さいことが好ましい。
第一の反応ガス供給口近傍の第一の反応ガスの流路の断面積を、第二の反応ガス供給口から基板に向かう第二の反応ガスの流路の断面積よりも小さくしておくことで、第一の反応ガス供給口近傍の第一の反応ガスの流路中に、第二の反応ガスが流入しにくくなる。これにより、第一の反応ガス供給口近傍における第一の反応ガスと、第二の反応ガスとの反応を抑制することができる。
また、本発明によれば、上述した何れかのハイドライド気相成長装置を用い、前記基板保持部材に前記基板を設置保持させた後、前記基板上に、Alを含有するIII族窒化物半導体膜を成長させ、前記III族窒化物半導体膜を含むIII族窒化物基板を得る工程を含む、III族窒化物半導体基板の製造方法も提供することができる。
この際、前記III族窒化物半導体膜を成長させた後、前記基板を除去する工程をさらに含むことが好ましい。
さらには、本発明によれば、このようなIII族窒化物半導体基板の製造方法により得られたIII族窒化物半導体基板も提供することができる。
本発明によれば、Alのハロゲン化物を含む第一の反応ガスを供給する供給口近傍でのAl系窒化物の析出を抑制することができる技術が提供される。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施の形態においては、円筒型の石英製反応管11を用いた、AlGaNエピタキシャル成長を行うハイドライド気相成長装置を例に挙げて説明する。
図1には、本実施形態のハイドライド気相成長装置1の模式図が示されている。
このハイドライド気相成長装置1は、反応管11と、反応ガス生成部13,14と、NHガス供給部(第二の反応ガス供給部)15、排気部16と、ヒータ17と、基板保持部材18とを備える。
反応管11は、円筒状であり、反応管11には、その一対の開口をふさぐ一対の閉鎖部材19が取り付けられている。
一対の閉鎖部材19のうち、一方の閉鎖部材19には、3つの孔191A〜191Cが形成され、各孔191A〜191Cに配管20,21が接続されている。
図1の上方の孔191Aには、HClガスおよびキャリアガスとしてのNガスを供給する配管20が接続され、図1中央の孔191Bには、NHガスおよびキャリアガスとしてのNガスを供給するNHガス供給部15の配管21が接続され、図1下方の孔191Cには、HClガスおよびNガスを供給する配管20が接続されている。
他方の閉鎖部材19には、反応管11のガスを排出するための配管が接続され、排気部16が形成されている。
反応管11内部には、反応ガス生成部13,14、NHガス供給部15、基板保持部材18が収容されている。
基板保持部材18は基板Sを保持するサセプタである。本実施形態では、反応管11内を図面左側から右側に向かって反応ガスが流れるが、基板保持部材18は、反応ガスの流れの下流側に配置されている。
基板保持部材18に保持された基板Sの表面は、反応ガスの流れに対し、直交するようになっている。また、基板保持部材18は、反応管11の軸と平行な軸を中心に、回転駆動するように構成されている。
なお、図1では、基板保持部材18は、一枚の基板Sのみを保持しているが、このような構造に限らず、複数枚の基板Sを保持してもよい。
ここで、基板Sの材質は特に限定されるものではないが、例えば、サファイア基板を使用することができる。
NHガス供給部15は、閉鎖部材19の中央の孔191Bに接続された配管21を有する。この配管21の基板保持部材18側の開口がNHガス供給口(第二の反応ガス供給口)151である。
反応ガス生成部13は、NHガス供給部15の配管21に隣接して配置されている。
反応ガス生成部13は、Alのハロゲン化物を含む第一の反応ガスとしての三塩化アルミニウム(AlCl)ガスを生成するためのものである。
この反応ガス生成部13は、内部に第一の反応ガスの固体原料であるAl原料が設置される原料載置部131と、この原料載置部131を収容する反応ガス生成室130とを有する。
また、反応ガス生成部13は、反応ガス生成室130と連通し、基板保持部材18に保持された基板Sに対し、AlClガスを供給するAlClガス供給口である孔132A1(第一の反応ガス供給口)、および、反応ガス生成室130内に、AlClガスを希釈するためのキャリアガス、HClガスを導入する導入部である孔191Aを有する。
反応ガス生成室130は、第一壁部132A、第二壁部132Cと、反応管11の内面と、および閉鎖部材19の内面とで区画されたものである。反応ガス生成室130では、原料載置部131に載置されたAl原料と、反応ガス生成室130に導入されるHClガスとが反応して、AlClガスが生成される。
この反応ガス生成室130は半密閉空間となっている。
図2にも示すように、第一壁部132Aは、反応管11の内面と対向するとともに、NHガス供給部15の配管21に隣接している。
この第一壁部132Aは、平面略矩形形状である。第一壁部132Aは、反応管11の上方の空間を区切るように配置されている。また、第一壁部132Aは、閉鎖部材19に当接している。
この第一壁部132Aには、孔132A1が形成されており、この孔132A1には配管23が接続されている。
この第一壁部132Aの孔132A1からは、反応ガス生成室130内のAlClガスが排出され、基板保持部材18に保持された基板Sに向かって供給される。従って、この孔132A1は、AlClガス供給口(第一の反応ガス供給口)となる。
AlClガス供給口(孔132A1)は、NHガス供給部15のNHガス供給口151よりも、上流側に配置されている。
AlClガス供給口からは、NHガス供給口151から基板保持部材18に向かって流れるNHガスの流れ方向と略直交する方向に、AlClガスが排出される。
AlClガス供給口から排出されたAlClガスは、基板保持部材18に向かって流れる。
また、第一壁部132Aは、一方の閉鎖部材19の孔191Aの下方に位置している。
この孔191Aは、反応ガス生成室130内にキャリアガスおよびHClガスを導入するための導入部となる。
なお、導入部(孔191A)へのキャリアガスの導入方向と、AlClガス供給口(孔132A1)からのAlClガスの排出方向とは略直交している。
第二壁部132Cは、第一壁部132Aと、反応管11の内面とで構成される開口を塞ぐものである。第一壁部132Aから反応管11内面にむかって立ち上がるように配置されており、反応管11の内面に当接している。
第二壁部132Cは、NHガス供給口151から、基板保持部材18に向かって流れるNHガスの流れ方向と直交している。この第二壁部132Cの下端部の高さ位置は、AlClガス供給口(孔132A1)が形成された第一壁部132Aの高さ位置と一致している。
また、この第二壁部132Cは、第一壁部132AのAlClガス供給口である孔132A1よりも下流側に配置され、NHガス供給口151よりも上流側に配置されている。
なお、詳しくは、後述するが、第二壁部132Cは、NHガスがAlClガス供給口近傍に流入することを制限する流入規制部の流入規制壁部としての役割を果たす。
反応ガス生成部14は、NHガス供給部15の配管21に隣接して配置されており、NHガス供給部15を挟んで、反応ガス生成部13と反対側に位置している。
反応ガス生成部14は、水素化窒素ガスを含む第二の反応ガスとしての塩化ガリウム(GaCl)ガスを生成するためのものである。反応ガス生成部14は、反応ガス生成部13と同様の構成である。
具体的には、反応ガス生成部14は、内部にGa反応ガスの固体原料であるGa原料が設置される原料載置部141が設置された反応ガス生成室140を有する。また、この反応ガス生成部14は、反応ガス生成室140と連通し、基板保持部材18に保持された基板Sに対し、GaClガスを供給するGa反応ガス供給口、および、反応ガス生成室140内に、第一の反応ガスを希釈するためのキャリアガス、HClガスを導入する導入部を有する。
反応ガス生成室140は、反応ガス生成室130と同様に、第一壁部132Aと、第二壁部132Cと、反応管11の内面と、および閉鎖部材19の内面とで区画されたものである。
ただし、ここでは、第一壁部132Aは、反応管11の下方の空間を区切るように配置される。
反応ガス生成室140では、原料載置部131に載置されたGa原料と、反応ガス生成室140に導入されるHClガスとが反応して、GaClガスが生成される。
また、第一壁部132Aの孔132A1からは、反応ガス生成室140内のGaClガスが排出され、基板保持部材18に保持された基板Sに向かって供給される。従って、この孔132A1は、GaClガス供給口となる。
第一壁部132Aの孔132A1は、NHガス供給口151よりも上流側に配置されている。また、ここでは、一方の閉鎖部材19の孔191Cが、反応ガス生成室140内にキャリアガス、HClガスを導入するための導入部となる。
導入部(孔191C)へのキャリアガスの導入方向と、孔132A1からのGaClガスの排出方向とは略直交している。
ヒータ17は、反応管11の外周側に設置されている。このヒータ17は、第一ヒータ171と、第一ヒータ171よりも反応ガスの流れ方向下流側に配置された第二ヒータ172とを有する。
第一ヒータ171は、反応ガス生成室130,140、さらには、NHガス供給部15を加熱するものである。
第二ヒータ172は、基板保持部材18近傍を加熱する。なお、気相成長装置1でAlGaN膜を成膜する際には、NHガス供給部15の配管21の基板保持部材18側の部分、さらには、反応管11内の基板保持部材18近傍部分を最も高い温度とすることが好ましい。
このような気相成長装置1では、以下のようにして基板S上にAlGaN膜(Alを含有するIII族窒化物半導体膜)を成膜し、III族窒化物半導体膜基板としてのAlGaN基板を得る。
まず、基板保持部材18に基板Sを保持させる。次に、導入部(孔191A)を介して、反応ガス生成部13の反応ガス生成室130にキャリアガスとしてのNガスおよびHClガスを導入する。
反応ガス生成室130では、原料載置部131中のAl原料と、HClガスとが反応し、AlClガスが生成する。
生成したAlClガスは、反応ガス生成室130内に供給されたキャリアガスにより希釈されて、AlClガス供給口(孔132A1)から排出される。
同様に、導入部(孔191C)を介して、反応ガス生成部13の反応ガス生成室130にキャリアガスとしてのNガスおよびHClガスを導入する。
反応ガス生成室140では、原料載置部141中のGa原料と、HClガスとが反応し、GaClガスが生成する。
生成したGaClガスは、反応ガス生成室140内に供給されたキャリアガスにより希釈されて、GaClガス供給口(孔132A1)から排出される。
一方で、NHガス供給部15のNHガス供給口151を介して反応管11内に、NHガスを供給する。
これらのAlClガス、GaClガス、NHガスは、基板保持部材18に向かって供給され、基板保持部材18に保持された基板S上でAlGaNが堆積することとなる。これにより、AlGaN膜が成膜され、AlGaN基板が得られる。
なお、基板S上にAlGaN膜を成膜した後、基板Sを除去し、基板Sを除去したものをAlGaN基板としてもよい。
基板Sを除去する場合には、薬液によるエッチングまたは研磨により基板を除去し、AlGaN膜からなるAlGaN基板を得る。
ここで、NHガス供給口151と、基板Sとの間の空間において、NHガス供給口151から排出されたNHガスが、基板Sと反対方向に流れることがある。この際、NHガスは、第二壁部132Cにぶつかることとなるので(図1の矢印Y参照)、NHガスが、AlClガス供給口近傍やGaClガス供給口近傍にまで流れることを防止することができる。
すなわち、第二壁部132Cは、AlClガス供給口、GaClガス供給口へのNHガスの流入を規制する流入規制壁部としての役割を果たしているといえる。
なお、基板Sと反対方向に流れたNHガスは、第二壁部132Cにぶつかることとなるので、第二壁部132Cにより、再度、NHガスが基板S側に流れることとなる。これにより、基板S近傍のNHガス、AlClガス、GaClガスが効率よく混合されることとなる。
また、AlClガス供給口(孔132A1)から排出されたAlClガスは、反応ガス生成室130を区画する第一壁部132Aの孔132A1よりも下流側の部分と、反応ガス生成室140を区画する第一壁部132Aとの間を通り、基板Sに向かって流れる。
同様に、GaClガス供給口(孔132A1)から排出されたGaClガスは、反応ガス生成室140を区画する第一壁部132Aの孔132A1よりも下流側の部分と、反応ガス生成室130を区画する第一壁部132Aとの間を通り、基板Sに向かって流れる。
反応ガス生成室130を区画する第一壁部132Aと、反応ガス生成室140を区画する第一壁部132Aとの間のAlClガスの流路、およびGaClガスの流路、すなわち、AlClガス供給口近傍のAlClガスの流路、およびGaClガス供給口近傍のGaClガスの流路の断面積は、NHガス供給部15の配管21のNHガス供給口151から基板Sに向かって流れるNHガスの流路の断面積よりも小さくなっている。そして、AlClガスの流路を通るAlClガスの流速、GaClガスの流路を通るGaClガスの流速は、NHガスの流路を通るNHガスの流速よりも速くなっている。
そのため、NHガスの流路中をNHガスが逆流するようなことがあっても、第一壁部132A間には、NHガスが流入しにくい。
従って、NHガスが、AlClガス供給口近傍、GaClガス供給口近傍にまで流れることを防止することができる。
次に、本実施形態の気相成長装置1の効果について説明する。
前述したように、AlGaN膜を成膜する際に、NHガス供給口151から排出されたNHガスが、基板Sと反対方向に流れることがあるが、本実施形態では、第二壁部132Cにより、AlClガス供給口、GaClガス供給口近傍へのNHガスの導入が抑制される。これにより、AlClガス供給口でのAlClガスと、NHガスとの反応を抑制することができる。
さらに、反応ガス生成部13の反応ガス生成室130では、生成されたAlClガスが、キャリアガスにより希釈されている。反応ガス生成室130のAlClガス供給口からは希釈されたAlClガスが排出されるので、反応ガス生成室130のAlClガス供給口近傍において、AlClガスと、NHガスとの反応が起こりにくくなる。
特に、本実施形態では、導入部(孔191A)へのキャリアガスの導入方向と、AlClガス供給口からのAlClガスの排出方向とを略直交させているので、AlClガスをキャリアガスにより充分に希釈することができる。
導入部へのキャリアガスの導入方向と、AlClガス供給口からの第一の反応ガスの排出方向とが同じ方向である場合には、導入部に挿入されたキャリアガスが、すぐにAlClガス供給口から排出されてしまうこととなる。そのため、反応ガス生成室内において、AlClガスをキャリアガスにより充分に希釈できない場合がある。
これに対し、本実施形態では、導入部へのキャリアガスの導入方向と、AlClガス供給口からの第一の反応ガスであるAlClガスの排出方向とを略直交させているため、AlClガスをキャリアガスにより充分に希釈することができるのである。
さらに、反応ガス生成部13のAlClガス供給口は、NHガス供給口151よりも、上流側に配置されており、NHガス供給口151から排出されたNHガスは、AlClガス供給口側に流れにくくなっている。これによっても、反応ガス生成部13のAlClガス供給口近傍におけるAlClガスと、NHガスとの反応を防止することができる。
さらに、AlClガス供給口からは、NHガスの流れ方向と交差する方向に、AlClガスが排出されている。換言すると、AlClガス供給口がNHガスの流れ方向に対し、平行に開口しており、NHガスの流れ方向に対し、直交するような方向に開口していないといえる。そのため、NHガスが逆流するようなことがあっても、AlClガス供給口内にNHガスが入ってしまうことを防止できる。これにより、AlClガス供給口でのAlNの析出を防止することができる。
なお、反応ガス生成部14も反応ガス生成部13と同様の構造であるため、反応ガス生成部14のGaClガス供給口やGaClガス供給口近傍におけるGaClガスと、NHガスとの反応を防止することができる。
以上のように、本実施形態の気相成長装置では、反応ガス生成部13のAlClガス供給口近傍におけるAlClガスと、NHガスとの反応を防止するとともに、さらには、GaClガス供給口近傍におけるGaClガスと、NHガスとの反応を防止することができるので、所望の組成比のAlGaN膜を成膜することができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、図1のような横型のHVPE装置1を用いた例を示したが、縦型のHVPE成長装置を用いても同様な効果が得られる。
さらに、前記実施形態では、第二壁部132Cの下端部の高さ位置は、AlClガス供給口が形成された第一壁部132Aの高さ位置と一致しているとしたが、これに限られるものではない。例えば、図3に示すように、第二壁部132Cを、AlClガス供給口(孔132A1)よりも、AlClガス供給口におけるAlClガスの排出方向にそって、NHガス供給部15側に突出させてもよい。
すなわち、AlClガス供給口(孔132A1)からは、NHガス供給部15側に向かって、AlClガスが排出されるとともに、NHガス供給口151から基板保持部材18に向かって流れるNHガスの流れ方向と交差する方向に、AlClガスが排出されている。そして、流入規制壁部である第二壁部132Cは、AlClガス供給口(孔132A1)よりも、NHガス供給部15側に突出している。
この第二壁部132Cは、反応管11の延在方向に対して直交するように設けられている。この第二壁部132Cの反応管11内壁からの突出寸法は、反応管11内壁からAlClガス供給口(孔132A1)までの距離よりも大きくなっている。
このようにすることで、より確実にAlClガス供給口近傍へのNHガスの流れを防止することができる。
さらには、図4に示すように、第二壁部132CにAlClガス供給口132C1を形成するとともに、流入規制部としての壁部30を設け、AlClガス供給口近傍へのNHガスの流入を規制してもよい。
さらに、前記実施形態では、AlGaN膜を成膜し、AlGaN基板を得たが、これに限らず、AlN膜を成膜し、AlN基板を得てもよい。AlN膜を成膜する場合には、前記実施形態の気相成長装置1において、反応ガス生成部14を省略することができる。
また、前記実施形態では、キャリアガス、HClガスを導入する導入部は、一つの孔を有するものであったが、これに限らず、導入部を2つの孔を有するものとし、キャリアガスとHClガスとを各孔から導入してもよい。
さらに、前記実施形態では、キャリアガスとして、Nガスを例示したがこれに限られるものではなく、Nガスと、Hガスとを混合したガスを適宜使用してもよい。
また、前記実施形態では、水素化窒素ガスとして、NHガスを例示したがこれに限られるものではない。
さらに、前記実施形態では、AlGaN基板を製造したが、本発明の適用はこれに限られるものではなく、基板上にレーザ構造体を形成するプロセス等に本発明を適用することもできる。
実施形態にかかるハイドライド気相成長装置の反応管の軸方向に沿った断面図である。 ハイドライド気相成長装置の反応管の軸と直交する方向の断面図である。 本発明の変形例にかかるハイドライド気相成長装置の断面図である。 他の変形例にかかるハイドライド気相成長装置の断面図である。
符号の説明
1 ハイドライド気相成長装置
11 反応管
13 反応ガス生成部
14 反応ガス生成部
15 ガス供給部
16 排気部
17 ヒータ
18 基板保持部材
19 閉鎖部材
20 配管
21 配管
23 配管
30 壁部
130 反応ガス生成室
131 原料載置部
132A 第一壁部
132A1 孔
132C 第二壁部
132C1 ガス供給口
140 反応ガス生成室
141 原料載置部
151 ガス供給口
171 第一ヒータ
172 第二ヒータ
191A 孔
191B 孔
191C 孔
S 基板

Claims (7)

  1. Alのハロゲン化合物を含む第一の反応ガスと、水素化窒素ガスを含む第二の反応ガスとを、基板に対して略同一方向から供給し、前記基板上に膜を形成するハイドライド気相成長装置であって、
    前記基板を保持する基板保持部材と、
    前記第一の反応ガスと、前記第二の反応ガスとが供給されるとともに、前記基板保持部材を収容する反応管と、
    前記反応管内に形成され、前記第一の反応ガスを生成する反応ガス生成室、この反応ガス生成室と連通し、前記反応管の前記基板保持部材に保持された基板に対し、前記第一の反応ガスを供給する第一の反応ガス供給口、および、前記反応ガス生成室内に、HClガスと前記第一の反応ガスを希釈するためのキャリアガスとを導入する導入部を有する反応ガス生成部と、
    前記基板保持部材に保持された前記基板に対し、前記第二の反応ガスを供給する第二の反応ガス供給口を有する第二の反応ガス供給部と、を備え、
    前記第一の反応ガス供給口は、前記第二の反応ガス供給口よりも、上流側に配置されており、
    前記第一の反応ガス供給口よりも下流側に配置されるとともに、前記第二の反応ガス供給口よりも上流側に配置され、第二の反応ガスが第一の反応ガス供給口近傍に流入することを制限する流入規制部を有することを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  2. 請求項1に記載のハイドライド気相成長装置において、
    前記第二の反応ガス供給口から前記基板保持部材に向かって流れる前記第二の反応ガスの流れ方向と交差する方向に、前記第一の反応ガス供給口から第一の反応ガスが排出されるように、前記第一の反応ガス供給口が設けられていることを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  3. 請求項1又は2に記載のハイドライド気相成長装置において、
    前記反応ガス生成部の前記流入規制部は、第二の反応ガス供給口から、前記基板保持部材に向かって流れる前記第二の反応ガスの流れ方向と略直交する流入規制壁部を含むことを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載のハイドライド気相成長装置において、
    前記導入部へのキャリアガスの導入方向と、前記第一の反応ガス供給口からの第一の反応ガスの排出方向とは略直交することを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のハイドライド気相成長装置において、
    第一の反応ガス供給口近傍の第一の反応ガスの流路の断面積は、第二の反応ガス供給口から基板に向かう第二の反応ガスの流路の断面積よりも小さいことを特徴とするハイドライド気相成長装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載のハイドライド気相成長装置を用い、
    前記基板保持部材に前記基板を保持させた後、
    前記基板上に、Alを含有するIII族窒化物半導体膜を成長させ、前記III族窒化物半導体膜を含むIII族窒化物基板を得る工程を含む、III族窒化物半導体基板の製造方法。
  7. 請求項6に記載のIII族窒化物半導体基板の製造方法において、
    前記III族窒化物半導体膜を成長させた後、前記基板を除去する工程をさらに含むことを特徴とするIII族窒化物半導体基板の製造方法。
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