JP4593874B2 - ヘッドアクチュエータおよびこれを用いたハードディスクドライブ - Google Patents

ヘッドアクチュエータおよびこれを用いたハードディスクドライブ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の記録再生に用いる情報記録再生装置に関し、特に記録媒体の所望のトラックにヘッドを位置決めするためのヘッドアクチュエータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報記録再生装置として、磁気ディスク装置、光ディスク装置などのディスク状の記録媒体を用いたものが広く普及している。中でも、磁気ディスク装置は、データ転送の高速性という特性を生かしてパーソナルコンピュータの外部記憶装置として広く用いられている。
【0003】
近年普及している小型の磁気ディスク装置においては、磁気ディスクに同心円状の記録トラックを形成し、磁気ヘッドを揺動型のヘッドアクチュエータによって、磁気ディスクの所望の記録トラックに位置決めすることで情報の記録再生を行うようにしたものが一般的となっている。さらに記録密度の向上を目的として、揺動型ヘッドアクチュエータの先端に2次的な微小ヘッドアクチュエータを設けることで、ヘッド位置決め精度を改善する方式が提案されており、そのための、微小ヘッドアクチュエータがいくつか提案されている。
【0004】
一例として、特開平5−47126号公報の記載例においては、ヘッド支持ばねを2本の梁で構成し、2本の梁の先端を連結して連結点付近にヘッドを支持すると共に、梁の少なくとも1本に、外部からの印加電圧に応じて伸縮する薄板状の変位素子を少なくとも1面に一体的に固着する構成が開示されている(以下従来例1という)。また、特開平7−224838号公報の記載例においては、ヘッドが搭載されるロードビームの表面に圧電素子が設けられた構成が開示されている(以下従来例2という)。
【0005】
従来例1および従来例2は、基本的な構成において共通している。以下、変位素子あるいは圧電素子が片面に設けられた構成について図15〜図17を用いて説明する。図15は、従来のヘッドアクチュエータ1200の構成を示した模式図である。ヘッド支持部材50は一端にヘッドスライダ52が固着されている。ヘッド支持部材50の中央付近には表面に板状の変位素子51が固着されている。
【0006】
図15において、ヘッド支持部材50の変位素子51が固着されている領域を領域1201、変位素子51の固着されていない領域を領域1202とすると、領域1202における中立面(梁に曲げが生じたときに伸縮が生じない面)NB1は、ヘッド支持部材50の幾何学的な中心面に一致している。また領域1201においては、ヘッド支持部材50に変位素子51が一体で固着されているため、中立面NA1は必然的に中立面NB1よりも変位素子51の側に偏位している。(以下、中立面NA1とNB1との差D1を「中立面段差」と称する。)また、変位素子51単体の幾何学的中央面L1は中立面NA1に対して中立面NB1と反対側にあり、L1とNA1との距離をH1とする。
【0007】
この構成において、変位素子51に電圧を印加すれば、ヘッド支持部材50に長手方向の伸縮が生じ、ヘッドスライダ52が微小変位する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、微小ヘッドアクチュエータに要求される基本的性能は、より低い電圧で大きな変位が得られること、機械的共振周波数が高く広帯域の位置決め制御が可能であることの2点である。
【0009】
しかしながら、前記した従来のヘッドアクチュエータ1200の構成では、変位素子51によって生じたヘッド支持部材50の長手方向の伸縮により生じる変位がヘッド支持部材50のたわみよって損失し、有効な変位が得られない点、機械的共振周波数が主にヘッド支持部材50のたわみ方向の剛性に依存し、共振周波数の高域化が困難である点の2点を課題として有していた。
【0010】
はじめに、変位量に関する課題について説明する。図16(a)から図16(c)は、従来のヘッドアクチュエータの静力学的モデルである。静力学的な観点に立てば、図15に示した従来のヘッドアクチュエータ1200は、図16(a)に示したように、ヘッド支持部材50をその中立面NA1、NB1で代表し、それに変位素子51による力が外力として作用するモデルで表すことができる。いま、図15において、変位素子51が延びる方向に電圧が印加された状態を考える。そのとき変位素子51による伸縮力F1は図16(a)に示したように外向きに作用する。また前述のように変位素子51の単体の中央面L1は中立面NA1に対して偏位しているため、伸縮力F1によって曲げモーメントM1が発生する。曲げモーメントM1は、伸縮力F1に距離H1を乗じた大きさである。中央面L1は中立面NA1に対して紙面上で上側に(H1だけ)偏位しているので、曲げモーメントは中立面NA1が紙面上で上に凸となる向きに作用する。この状態は、伸縮力F1のみが加えられた状態(図16(b))と、曲げモーメントM1のみが加えられた状態(図16(c))との重ね合わせと考えることができる。領域1201の長さ、すなわち点Aと点Bとの距離に着目すると、図16(b)に示すように、伸縮力F1によって点Aは面内に延びる方向に変位量X1だけ変位する。一方、図16(c)に示すように、上に凸となる向きに作用する曲げモーメントM1によって梁の両端にそれぞれたわみ角θA、θBが生じ、たわみ角θA、θBにそれぞれ中立面段差D1を乗じた分の長手方向変位が発生し、点Aは長手方向に縮む方向に変位量X2だけ変位することとなる。図16(b)および図16(c)から明らかなように、変位量X1と変位量X2は逆方向となっており、両者の差が合計の変位量となる。同様に、変位素子51に縮む方向の電圧を印加したときも、変位量X1と変位量X2は逆方向となり、両者の差が合計の変位量となる。すなわち、従来のヘッドアクチュエータの構成では、伸縮力によって生じた面内方向の変位量X1が、たわみ角によって生じた長手方向の変位量X2によって損失するので、ヘッドを位置決めするための十分な変位が得られないといった課題があった。
【0011】
つぎに、機械的共振周波数に関する課題について説明する。図17は、従来のヘッドアクチュエータの動力学的モデルである。図15におけるヘッド支持部材50は、等価的な曲げ剛性を有する梁1401の中央に等価的な質量MA1が集中したモデルで表すことができる。なお、K1はヘッド支持部材50の伸縮方向の等価剛性、MSはヘッドスライダ52を中心とする可動体1402の等価質量である。この動力学的モデルにおいては、可動体1402の自由度φSと梁1401のたわみ方向の自由度φYとが連成した固有振動モードが形成される。すなわち、質量MSのφS方向の振動に起因する慣性力が、中立面段差D1によってモーメントM1Sとして梁1401に作用する。この質量MSのφS方向の振動に起因する慣性力が、梁1401の等価質量MA1のφY方向の振動に起因する慣性力と動的に釣り合った状態で固有振動モードが形成させる。この固有振動モードの固有振動数は主に、可動体1402の質量MSによる慣性力と、梁すなわちヘッド支持部材50のたわみ方向の弾性力により決定される。従って固有振動数を高めるには、梁1401に対応するヘッド支持部材50の剛性を高くすることが必要である。しかしながら、ヘッド支持部材50の剛性を高くすることは、変位素子51の伸縮力に対しても抵抗力を大きくすることになり、変位量の減少につながる。すなわち、変位量と機械的共振周波数とはトレードオフの関係にあり、所定の変位量を確保しようとすると、固有振動数即ち、機械的共振周波数を高くすることができないといった課題を有していた。
【0012】
本発明は前記の課題に鑑みてなされたものであり、より低い電圧で大きなヘッド変位が得られると共に、機械的共振周波数を高くすることで高精度なヘッド位置決め制御を実現するヘッドアクチュエータを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るヘッドアクチュエータは、記録媒体に対して情報の記録あるいは再生を行うヘッドを支持するヘッドスライダと、前記ヘッドスライダを支持するヘッド支持部材とを備え、前記ヘッド支持部材は、基板と、前記基板の少なくとも一方の面に設けられ、外部信号に応じて長手方向に伸縮力を発生する駆動素子とを含み、前記駆動素子に外部信号を与えることで前記ヘッド支持部材を長手方向に伸縮させ、前記記録媒体の半径方向に前記ヘッドを位置決めするヘッドアクチュエータであって、前記ヘッド支持部材は、前記ヘッドスライダが設けられる第1領域と、前記駆動素子が設けられる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを連結する第3領域とを有し、前記駆動素子は、幾何学的中心面を有し、前記ヘッド支持部材は、前記第2領域における第1中立面と前記第3領域における第2中立面とを有し、前記第2中立面は、前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0014】
前記第1中立面は、前記幾何学的中心面に対して前記基板側に存在してもよい。
【0015】
前記ヘッド支持部材は、前記第2中立面を前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位させる中立面偏位手段をさらに含んでもよい。
【0016】
前記中立面偏位手段は、少なくとも前記第3領域に設けられる補強部材を含んでもよい。
【0017】
前記第1中立面は、前記幾何学的中心面に対して前記基板の反対側に存在してもよい。
【0018】
前記ヘッド支持部材は、前記第1中立面を前記幾何学的中心面に対して前記基板の反対側に偏位させる幾何学的中心面偏位手段をさらに含んでもよい。
【0019】
前記幾何学的中心面偏位手段は、前記駆動素子に対して前記基板と同じ側に形成される保持部材を含み、前記保持部材は、前記ヘッド支持部材の撓み方向の剛性を高め、前記ヘッド支持部材の固有振動数を高める機能を有してもよい。
【0020】
前記保持部材は、前記駆動素子上に設けられ、前記駆動素子よりも縦弾性係数が小さい低剛性層と、前記低剛性層上に設けられ、前記低剛性層より前記縦弾性係数が大きい高剛性層とを含んでもよい。
【0021】
前記低剛性層は、ポリイミド樹脂を含み、前記高剛性層は、ステンレス鋼を含んでもよい。
【0022】
前記ヘッド支持部材は、前記第2中立面を前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位させる第1中立面偏位手段をさらに含んでもよい。
【0023】
前記第1中立面偏位手段は、少なくとも前記第3領域に設けられる補強部材を含んでもよい。
【0024】
前記補強部材は、前記基板に対して前記駆動素子と反対側に設けられてもよい。
【0025】
前記駆動素子は、第1伸び剛性を有し、前記基板は、第2伸び剛性を有し、前記第1伸び剛性は、前記第2伸び剛性よりも大きくてもよい。
【0026】
前記駆動素子は、板状の形状を有してもよい。
【0027】
前記駆動素子は、薄膜圧電体に電極が搭載される圧電素子ユニットを含んでもよい。
【0028】
前記駆動素子は、互いに逆方向の電圧が印加される第1駆動素子と第2駆動素子とを含んでもよい。
【0029】
前記基板は、前記第1駆動素子が設けられる第1伸縮部と、前記第2駆動素子が設けられる第2伸縮部と、前記ヘッドスライダが設けられる回動部と、前記回動部と前記第1伸縮部とを連結する第1ヒンジ部と、前記回動部と前記第2伸縮部とを連結する第2ヒンジ部とを含んでもよい。
【0030】
前記ヘッドアクチュエータは、前記ヘッド支持部材を支持するロードビームをさらに備えてもよい。
【0031】
本発明に係る他のヘッドアクチュエータは、記録媒体に対して情報の記録あるいは再生を行うヘッドを支持するヘッドスライダと、前記ヘッドスライダを支持するヘッド支持部材とを備え、前記ヘッド支持部材は、基板と、前記基板の少なくとも一方の面に設けられ、外部信号に応じて長手方向に伸縮力を発生する駆動素子とを含み、前記駆動素子に外部信号を与えることで前記ヘッド支持部材を長手方向に伸縮させ、前記記録媒体の半径方向に前記ヘッドを位置決めするヘッドアクチュエータであって、前記ヘッド支持部材は、前記ヘッドスライダが設けられる第1領域と、前記駆動素子が設けられる第2領域と、前記第1領域と前記第2領域とを連結する第3領域とを有し、前記ヘッド支持部材は、前記第2領域における第1中立面と前記第3領域における第2中立面とを有し、前記第1中立面と前記第2中立面とが実質的に連続しており、そのことにより上記目的が達成される。
【0032】
前記ヘッド支持部材は、前記第1中立面を前記第2中立面と実質的に連続にする連続手段を含んでもよい。
【0033】
前記連続手段は、前記基板と前記駆動素子との間に設けられる中間層を含んでもよい。
【0034】
前記連続手段は、少なくとも前記第3領域に設けられる補強部材を含んでもよい。
【0035】
前記連続手段は、前記駆動素子の周囲に設けられる配線部を含んでもよい。
【0036】
前記駆動素子は、第1伸び剛性を有し、前記基板は、第2伸び剛性を有し、前記第1伸び剛性は、前記第2伸び剛性よりも大きくてもよい。
【0037】
前記駆動素子は、板状の形状を有してもよい。
【0038】
前記駆動素子は、薄膜圧電体に電極が形成される圧電素子ユニットを含んでもよい。
【0039】
前記駆動素子は、互いに逆方向の電圧が印加される第1駆動素子と第2駆動素子とを含んでもよい。
【0040】
前記基板は、前記第1駆動素子が設けられる第1伸縮部と、前記第2駆動素子が設けられる第2伸縮部と、前記ヘッドスライダが設けられる回動部と、前記回動部と前記第1伸縮部とを連結する第1ヒンジ部と、前記回動部と前記第2伸縮部とを連結する第2ヒンジ部とを含んでもよい。
【0041】
前記ヘッドアクチュエータは、前記ヘッド支持部材を支持するロードビームをさらに備えてもよい。
【0042】
本発明に係るハードディスクドライブは、本発明に係るヘッドアクチュエータと、前記記録媒体を回転駆動するモータと、前記ヘッドが前記記録媒体上の所定のデータトラックにアクセスできるように、前記ヘッドアクチュエータを前記記録媒体の表面を横切って半径方向に移動させる駆動手段と、前記ヘッド支持部材を面内方向に伸縮させ、前記記録媒体の前記半径方向に前記ヘッドを位置決めするように、前記駆動素子に前記外部信号を与える制御手段とを備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明によるヘッドアクチュエータの好適な実施の形態として、磁気ディスク装置に用いるヘッドアクチュエータを例にとり、図1〜図14を参照しつつ説明する。
【0044】
(実施の形態1)
本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータについて、図1〜図5を用いて説明する。図1は、本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの要部斜視図である。図1において、ヘッドアクチュエータ100は、記録媒体(図示せず)に情報の記録再生を行う磁気ヘッド1が一端面に設けられたヘッドスライダ11、ヘッドスライダ11が一端に固着されたフレキシャ30、及びフレキシャ30を支持するロードビーム20から構成される。実施形態1の主だった特徴はフレキシャ30にあり、ヘッドスライダ11及びロードビーム20は現在普及している磁気ディスク装置に使用されている一般的なものを用いることができる。
【0045】
図2は、図1におけるK部の分解斜視図である。また図3は、図4における断面GGを示した模式図であり、厚み方向を拡大して示してある。
【0046】
本明細書において長手方向とは、図3において矢印Vによって示される方向および他の図面においてこの方向に対応する方向を意味するものとする。本発明に係るフレキシャは、この長手方向に延伸している。また本明細書において厚み方向とは、図3において矢印Uによって示される方向および他の図面においてこの方向に対応する方向を意味するものとする。さらに本明細書においてたわみ方向とは、厚み方向と実質的に同一の方向を意味するものとする。この厚み方向およびたわみ方向は、長手方向に対して実質的に垂直である。
【0047】
図2及び図3において、フレキシャ30は、フレキシブル基板31と圧電素子ユニット40と補強板32とスペーサ33とバックプレート34とを含む。圧電素子ユニット40は、第1圧電素子ユニット40Aと第2圧電素子ユニット40Bとを含む。フレキシブル基板31は固定部31Dから伸びる2つの梁状の伸縮部31A、31Bを有し、この伸縮部31A、31Bは先端に形成されたヒンジ部31Cで回動部31Eに連結している。フレキシブル基板31は、厚さ約10マイクロメートルのポリイミド樹脂からなる基材の上に銅薄膜で配線パターンが形成されたものである。フレキシブル基板31の回動部31E、ヒンジ部31Cには同様な平面形状を有する厚さ約25マイクロメートルのステンレス鋼からなる補強板32が接着されており、さらにスペーサ33を介してヘッドスライダ11が接着されている。
【0048】
またフレキシブル基板31の伸縮部31A、31Bにはそれぞれ第1、第2圧電素子ユニット40A、40Bが接着されている。第1、第2圧電素子ユニット40A、40Bは厚さ約2.5マイクロメートルのPZTからなる薄膜圧電体の両面に厚さ約0.1マイクロメートルの白金電極を形成したものであり、この白金電極に印加される電圧に応じて、圧電効果により長手方向に伸縮するものである。第1、第2圧電素子ユニット40A、40Bの電極はフレキシブル基板31の配線にボンディングされており、外部のドライバ(図示せず)により電圧が供給される。フレキシブル基板31の固定部31Dには、第1、第2圧電素子ユニット40A、40Bが接着されている面と反対側の面にステンレス鋼からなるバックプレート34が接着されており、バックプレート34はロードビーム20(図1)にスポット溶接によって接合されている。また、フレキシブル基板31の回動部31Eにはディンプル受け31Fが設けられており、その背面にロードビーム20に設けられたディンプル21が当接し、ピボット軸受けを形成している。
【0049】
図3において、フレキシブル基板31の伸縮部31A、31Bを領域301、ヒンジ部31Cを領域302とする。フレキシブル基板31と圧電素子ユニット40との間には両者を接合する僅かな厚さの接着層(図示せず)が形成される。圧電素子ユニット40内のPZTの縦弾性係数と断面積との積は、フレキシブル基板31および接着層それぞれの縦弾性係数と断面積との積を加算したものよりおよそ1.5倍大きい。
【0050】
また図3において、領域301におけるフレキシャ30の中立面NA2はフレキシブル基板31の内部に、領域302におけるフレキシャ30の中立面NB2は補強板32の内部にあり、中立面段差D2は約16マイクロメートルである。また、圧電素子ユニット40の単体の幾何学的中心面L2は領域301の中立面NA2に対して領域302の中立面NB2と同方向にあり、幾何学的中心面L2と中立面NA2との距離H2は約7マイクロメートルである。なお、幾何学的中心面とは、圧電素子ユニット40の断面において幾何学的中心となる面を意味する。
【0051】
以上のように構成された本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータについて、以下その動作を説明する。図4は、本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの変形の様子を示す平面図ある。図4において、実線Eは非動作状態、破線Fは動作状態を示している。動作状態においては、2つの圧電素子ユニット40A、40B(図2)にドライバによって互いに逆方向で絶対値の等しい電圧を印加する。例えば圧電素子ユニット40Aが圧縮する方向、40Bが伸張する方向に電圧を印加した場合、図4に示すように、フレキシブル基板31の伸縮部31Aは矢印P方向に、伸縮部31Bは矢印Q方向に変形し、ヒンジ部31Cでは、それぞれ変位量XA、変位量XBなる長手方向の変位量が発生する。両変位量は向きが反対で絶対値は等しい。従って回動部31Eにはヒンジ部31Cの中点を支点として矢印R方向の回転が生じ、磁気ヘッド位置では矢印P、Qに略垂直な方向にYHなる変位を生じる。ヘッド位置の変位量YHは伸縮部31A、31Bの伸縮量に比例し、従って圧電素子ユニット40A、40Bの印加電圧に比例する。印加電圧とヘッドの変位量との比例定数を既知としておけば、ドライバから供給する電圧を制御することで、ヘッドの位置が制御される。
【0052】
図3に示すように、本実施の形態においては、圧電素子ユニット40に発生した圧電歪みを効率よく長手方向の変位に変換するために、実質的に伸縮の生じる領域301において圧電素子ユニット40をそれより十分に軟らかいフレキシブル基板31でだけで保持し、圧電素子ユニット40内のPZTの縦弾性係数と断面積との積を、フレキシブル基板31および接着層それぞれの縦弾性係数と断面積との積を加算したものよりも大きくしている。一般に材料は縦弾性係数と断面積との積によって伸び剛性が決まる。実施の形態1では、伸縮力を生じる圧電素子ユニット40内のPZTの伸び剛性に対して、伸縮力に抗する部分(フレキシブル基板31および接着層)の伸び剛性を小さくすることにより、PZTに生じた圧電ひずみの大半を長手方向の変位として取り出すことができる。従って、入力電圧を効率よく変位に変換することができるため、より低い電圧で大きなヘッド変位を得ることができる。
【0053】
次に、実施形態1において、長手方向の変位量が増大される作用について説明する。図5(a)〜図5(c)は本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの静力学的モデルである。静力学的な観点に立てば、実施形態1のヘッドアクチュエータは、図5(a)に示したように、フレキシャ30をその中立面NA2、NB2で代表し、それに圧電素子ユニット40によって発生する力が外力として作用するモデルで表すことができる。いま、図3において、圧電素子ユニット40が延びる方向に電圧が印加された状態を考える。そのとき圧電素子ユニット40による伸縮力F2は図5(a)に示したように引っ張り方向に作用する。また前述のように圧電素子ユニット40の単体の幾何学的中心面L2は中立面NA2に対して紙面に向かって上側にH2だけ偏位しているため、伸縮力F2によって曲げモーメントM2が発生する。曲げモーメントM2は、伸縮力F2に距離H2を乗じた大きさである。
【0054】
圧電素子40の中心面L2は上側に偏位しているので、曲げモーメントM2は、紙面に向かって中立面NA2が下向きにたわむ向きに作用する。この状態は、伸縮力F2のみが加えられた状態(図5(b))と、曲げモーメントM2のみが加えられた状態(図5(c))との重ね合わせと考えることができる。点Aの位置に着目すると、図5(b)に示すように、伸縮力F2によって点Aは長手方向に変位量X3だけ変位する。一方、図5(c)に示すように、曲げモーメントM2によって梁の先端にはたわみ角θ2が生じる。それにより、たわみ角θ2に中立面段差D2を乗じた分の長手方向の変位が発生する。即ち、点Aは長手方向に変位量X4だけ変位する。変位量X3と変位量X4の方向は同方向となっている。このため、両変位量を加算したものが合計の変位量となる。同様に、圧電素子ユニット40に縮む方向の電圧を印加したときも、変位量X3と変位量X4は同方向となり、両者の和が実際の変位量となる。
【0055】
実施形態1においては、長手方向の変位量X3は10のマイナス7乗メートルのオーダである。また、たわみ角θ2は10のマイナス2乗ラジアンのオーダ、中立面段差D2は10のマイナス5乗メートルのオーダで、その積である変位量X4も10のマイナス7乗メートルのオーダである。すなわち、実施形態1においては、圧電素子ユニット40の本来の長手方向の変位量X3にたわみ角θ2によって生じる変位量X4が付加されるので、実際の変位量を増大させることができる。
【0056】
なお、実施形態1のように、圧電素子ユニット40の長手方向の変位量X3の方向と、たわみ角θ2による長手方向の変位量X4の方向とが同方向になるための条件は、領域301における中立面NA2に対して、領域302における中立面NB2と圧電素子ユニット40単体の幾何学的中心面L2とが同方向に偏位していることである(以下、「変位加算条件」という)。
【0057】
図15で前述したように、従来のヘッドアクチュエータにおいては、ヘッド支持部材50の表面の一部に変位素子51を固着するだけの構成であったため、必然的に中立面NA1に対して中立面NB1と中央面L1とが反対方向に位置するので、前述した変化加算条件を満足しない。それに対して実施形態1によれば、領域302に補強板32を固着することによって、中立面NB2の位置を補強板32の方向に偏位させ、変位加算条件を満足している。
【0058】
すなわち、従来のヘッドアクチュエータの構成では、図16で前述したように伸縮力F1によって生じた長手方向の変位量X1が、たわみ角θAによって生じた変位量X1の方向とは逆方向の変位量X2によって損失し、ヘッドを位置決めするための十分な変位が得らないといった課題があったのに対して、実施形態1によれば図5で前述したように、伸縮力F2によって生じた長手方向の変位量X3に、たわみ角θ2によって生じた長手方向の変位量X4を付加し、実際の変位量を増大することができるといった効果を奏する。
【0059】
(実施の形態2)
以下、図6〜図8を参照しながら本発明の実施の形態2によるヘッドアクチュエータについて説明する。図6は、本発明による実施の形態2のヘッドアクチュエータの要部分解斜視図である。また図7は、図6の断面の構成を示した模式図であり、厚み方向を拡大して示してある。実施の形態2のヘッドアクチュエータは、図6および図7に示したフレキシャ30の構成が、後述する点において実施の形態1と異なるのを除いて、その他の構成要素および動作は実施の形態1と同様であるので、同一部分には同一の参照符号を付し説明を省略する。
【0060】
図6および図7において、実施形態2のフレキシャ30Aは、以下の3点において実施形態1の構成と異なる。第1の異なる点は、前述した実施の形態では図3に示すように圧電素子ユニット40とスライダ11とがオーバーラップしているけれども、実施の形態2では図7に示すようにオーバーラップしていない点、第2の異なる点は、実施の形態1では図3に示すように補強板32がフレキシブル基板31の圧電素子ユニット40が固着されている面と同じ面に固着されているのに対し、実施の形態2では図7に示すように反対側の面に固着されている点、第3の異なる点は、実施の形態2では図7に示すように圧電素子ユニット40A、40Bの上にそれぞれ保持部材41A、41Bが固着されている点である。図7に示すように保持部材41A、41Bは、厚さ約150マイクロメートルのポリイミド樹脂からなる低剛性層42上に厚さ約10マイクロメートルのステンレス鋼からなる高剛性層43を貼りあわせたものである。
【0061】
図7において、実施の形態1と同様に、フレキシブル基板31の伸縮部31A、31B(図6)を領域401、ヒンジ部31C(図6)を領域402とする。実施の形態2においては、圧電素子ユニット40の上に保持部材41を設け、領域401の中立面NA3が低剛性層42の内部に存在するよう低剛性層42および高剛性層43の材料及び厚さが設定されている。また領域402における中立面NB3はフレキシブル基板31の下面に固着された補強板32の内部にある。実施の形態2において、中立面段差D3は約103マイクロメートルである。また、圧電素子ユニット40の単体の中央面L3と中立面NA3との距離H3は約78マイクロメートルである。以上のように実施の形態2においても、領域401における中立面NA3に対して、領域402における中立面NB3と圧電素子ユニット40単体の中央面L3とが同方向に偏位しており、実施の形態1で述べた変位加算条件を満足している。
【0062】
図8(a)〜図8(c)は、本発明による実施の形態2のヘッドアクチュエータの静力学的モデルである。図8(a)に示した実施形態2のモデルと、図5(a)で前述した実施形態1のモデルとを比較すると、両者は紙面の上下方向に対して鏡面対称の関係になっていることがわかる。従って実施の形態1で説明したのと同様の作用によって、図8(b)、図8(c)に示したように、長手方向の伸縮力F3による変位量X5の方向とたわみ角θ3による変位量X6の方向とが同方向となり、実際の変位量は変位量X5と変位量X6との和となる。
【0063】
すなわち実施形態2によれば、実施の形態1と同様に、伸縮力F3によって生じた長手方向の変位量X5に、たわみ角θ3によって生じた長手方向の変位量X6を付加することで、実際の変位量を増大することができるといった効果を奏する。
【0064】
また、実施形態2においては、図7に示すように中立面段差D3を実施の形態1の中立面段差D2(図3)よりも大きくすることが可能なので、たわみ角をより大きな長手方向の変位に変換することができる。実施形態2は、圧電素子ユニット40A、40Bの上に保持部材41A、41Bを設けているので、実施の形態1に比べ面内の伸縮量は若干低下するが、前述したようにたわみ角による長手方向の変位を十分大きくすることができるので、実際の変位量は実施の形態1よりも増加する。
【0065】
加えて、動的な特性に関して、保持部材41A、41Bはフレキシャ30Aのたわみ方向の剛性を高めるよう作用するので、ヘッドアクチュエータの固有振動数を高くすることができる。従って、ヘッドアクチュエータの機械的共振周波数を向上させ広帯域のヘッド位置決め制御を行うことができるといった効果を有する。
【0066】
特に、実施形態2の保持部材41A、41Bは、圧電素子ユニット40A、40Bと同等の大きさの剛性を有する高剛性層43を、この高剛性層43に比べ十分剛性の低い低剛性層42で隔てて圧電素子ユニット40A、40Bに固着する構成としているため、所定の中立面偏位量を実現するのに必要な部材の厚さを薄く抑えることができる。従って長手方向の伸び剛性をあまり大きくすることなく、たわみ方向の曲げ剛性を高くすることができるので、変位量を増加させることと機械的共振周波数を高くすることの両面において一層の効果を発揮する。
【0067】
(実施の形態3)
以下、図9〜図11を参照しながら本発明の実施の形態3によるヘッドアクチュエータについて説明する。図9は、本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図であり、厚み方向を拡大して示してある。実施の形態3のヘッドアクチュエータは、図9に示したフレキシャ30Bに中間層44を設けた点を除いて、その他の構成要素および動作は実施の形態1と同様であるので、同一部分には同一の参照符号を付し説明を省略する。
【0068】
図9において、圧電素子ユニット40は、厚さ約18マイクロメートルのポリイミド樹脂からなる中間層44を介してフレキシブル基板31に接着されている。実施の形態1と同様に、フレキシブル基板31の伸縮部31A、31B(図2)を領域501、ヒンジ部31C(図2)を領域502とする。実施の形態3においては、領域501の中立面NA4が領域502の中立面NB4に連続するよう中間層44の厚さが選択されている。
【0069】
実施の形態3のヘッドアクチュエータは、前記した構成によって、機械的共振周波数を格段に高くするものである。図17を用いて前述したように、従来のヘッドアクチュエータは、大きな質量を有するヘッドスライダが振動することによる慣性力と、ヘッド支持部材の曲げ方向の弾性力とが釣り合う形の固有振動モードが出現し、それが最も低い機械的共振周波数を決めていた。そして、ヘッド支持部材の曲げ剛性を高めることが困難なことから、機械的共振周波数を高くすることが困難であるという課題を有していた。
【0070】
実施の形態3は、前記したように領域501での中立面NA4と領域502での中立面NB4とが連続し、中立面段差が生じない構成とすることで、フレキシャ30Bが長手方向に垂直な方向、即ちたわみ方向に振動しても、それがヘッドスライダ11に設けられたヘッド1の位置決めに対して影響を及ぼさない第1の固有振動モードが形成されるようにすると共に、大きな質量を有するヘッドスライダ11が長手方向に振動することによって生じる慣性力を、比較的剛性の高いフレクシャ30Bの長手方向の弾性力で受け持つ第2の固有振動モードが形成されるようにすることによって、ヘッドアクチュエータの機械的共振周波数を高くするものである。
【0071】
以下、図10(a)および図10(b)を参照しながら、この2つの振動モードについて順次説明する。図10(a)および図10(b)は本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの動力学的モデルである。フレキシャ30Bは、等価的な曲げ剛性を有する梁1001の中央に等価的な質量MA1が集中したモデルで表すことができる。なお、K1はフレキシャ30Bの伸縮方向の等価剛性、MSはヘッドスライダ11を中心とする可動体1002の等価質量である。
【0072】
本モデルにおける第1の固有振動モードは、図10(a)に示したように、フレキシャ30Bが長手方向に垂直な方向、即ちたわみ方向に振動するモードである。実施の形態3においては中立面段差が生じないように構成されている。従って、フレキシャ30Bが図10(a)に示すようにたわみ方向に振動したとしても、図17で前述した従来技術のようにヘッドスライダ11を中心とする可動体1002に矢印1003の方向に力を及ぼすことはない。このため、可動体1002の質量MSが矢印1003の方向に振動することはない。すなわちフレキシャ30Bのたわみ方向の自由度φYは可動体1002の自由度φSに影響を及ぼさない。従って、第1の固有振動モードが生じても、その振動がヘッドスライダ11に設けられたヘッドで検出されることはないので、ヘッド位置決め制御に影響を及ぼすことはない。なお、実施の形態3において、第1の固有振動モードの固有振動数は20.7kHzである。
【0073】
次に、第2の固有振動モードは、図10(b)に示したように、可動体1002とフレキシャ30Bとが一体で長手方向即ち、矢印1003の方向に振動するモードである。可動体1002の質量MSはたわみ方向の曲げ剛性に比べ剛性の高い長手方向の等価剛性K1によって支持されており、固有振動数は高い。実施の形態3において、第2の固有振動モードの固有振動数は22.9kHzである。
【0074】
図11(a)および図11(b)は、本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの動特性を示したグラフである。図11(a)および図11(b)において、横軸はヘッドアクチュエータへ供給される供給電圧の周波数、縦軸はヘッドの変位量を表す。図11(a)は、前記した中立面段差が生じない構成における動特性を示している。比較のため図11(b)に、中間層44をより厚くして意図的に中立面段差を16マイクロメートル設けた構成における動特性を示している。中間層44の厚さが異なる点を除いて、両者の構成は等しい。図11(b)において、最も低い機械的共振周波数は、15.1kHz(矢印111で示した位置)で、これは図14を用いて説明したのと同様の動力学モデルの固有振動モードによるものである。それに対して、図11(a)においては、最も低い機械的共振周波数は、22.9kHz(矢印112で示した位置)で前述した第2の固有振動モードによるものである。また、第1の固有振動モードは周波数20.7kHz(矢印113で示した位置)に存在するが、振動は検出されず、ヘッド位置決め制御に影響を及ぼすことはない。
【0075】
以上のように、実施形態3のヘッドアクチュエータは、中間層44を設け、領域501と領域502との中立面が連続するように構成することで、機械的共振周波数を格段に高くすることできる。それにより、より広い帯域で高精度なヘッド位置決め制御が可能となるといった効果を奏する。
【0076】
実施形態3においては、中間層44を設けることで、領域501と領域502との中立面を連続させる構成としたが、本発明はそれに限定されるものではなく、例えば実施の形態2の図7で説明したような保持部材41A、41Bを圧電素子ユニット40の上に設けるなどして、領域501と領域502との中立面を連続させる構成であってもよい。
【0077】
図12は、実施の形態3の他のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図である。この図12に示すように、中間層44の代わりに、少なくとも領域502に補強部材32Aを設けることによって、領域501における中立面NA6と領域502における中立面NB6とを連続させる構成にしてもよい。
【0078】
図13(a)は、実施の形態3のさらに他のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図である。図13(b)は、図13(a)における断面SSを示し、また、図4における断面JJでもある。図13(b)に示すように、フレキシブル基板31の伸縮部31Aおよび31B上にそれぞれ設けられた圧電素子ユニット40Aおよび40Bに対し、厚み方向(フレキシブル基板31の伸縮部31Aおよび31Bの表面に対して垂直な方向)で圧電素子ユニット40Aおよび40Bにオーバーラップするように、配線34A、配線34B、配線34C、配線34Dおよび配線34Eを施すと、領域501における中立面NA5を圧電素子ユニット40Aおよび40B側に移動させて、領域501における中立面NA5を領域502における中立面NB5と連続させることができる。つまり、フレキシブル基板31の伸縮部31Aおよび31Bと圧電素子ユニット40Aおよび40Bとのそれぞれの間に前述した中間層44を設けなくても、圧電素子ユニット40Aおよび40Bのそれぞれの周りに配線を施すことによって、領域501における中立面NA5を領域502における中立面NB5と連続させることができる。従って、機械的共振周波数を格段に高くすることでき、それにより、より広い帯域で高精度なヘッド位置決め制御が可能となるといった前述した効果と同様の効果が得られる。
【0079】
なお、領域501の中立面NA4と領域502の中立面NB4とは必ずしも厳密に連続している必要はなく、領域501の中立面NA4と圧電素子ユニットの中央面との間の距離に比べて中立面NA4と中立面NB4との間の中立面段差が十分小さければ、実効的に中立面NA4およびNB4は連続しているのと同等の効果を奏し、この両中立面は実質的に連続しているものと見なすことができる。
【0080】
また、実施の形態1〜3のいずれにおいても、圧電素子ユニットをフレキシブル基板のヘッドスライダ側に設けた構成を例にとって説明したが、ヘッドスライダと反対の面に設けた構成であってもよい。また、フレキシブル基板の両面に設けた構成であってもよい。
【0081】
また、実施の形態1〜3のいずれにおいても、圧電素子ユニットは単層の圧電素子を用いたものを例にとって説明したが、複数の圧電素子を積層したものであってもよい。
【0082】
さらに、実施の形態1〜3のいずれにおいても、磁気ヘッドを設けたヘッドスライダをヘッドアクチュエータに搭載した例を説明したが、磁気ヘッドを設けたヘッドスライダの替わりに光ピックアップ素子を搭載しても良い。
【0083】
図14は、実施の形態1〜3のいずれかに記載のヘッドアクチュエータを搭載したハードディスクドライブ1500の斜視図である。ハードディスクドライブ1500は、ヘッド1が設けられたスライダ11を含むヘッドアクチュエータ1510と、ヘッドアクチュエータ1510を保持するヘッドキャリッジ1501と、ヘッドキャリッジ1501とヘッドアクチュエータ1510とを介してヘッド1を移動させる直線式または回転式のボイスコイルモータ1502と、ディスク1503を回転駆動するスピンドルモータ1504と、ヘッドアクチュエータ1510のフレキシブル基板を長手方向に伸縮させ、ディスク1503の半径方向にヘッド1を位置決めするように、ヘッドアクチュエータ1510に含まれる圧電素子ユニットに信号を与える制御部1505とを備える。
【0084】
スピンドルモータ1504は、ディスク1503を所定の速度で回転駆動する。ボイスコイルモータ1502は、ヘッド1がディスク1503上の所定のデータトラックにアクセスできるように、ヘッド1が設けられたスライダ11を含むヘッドアクチュエータ1510をディスク1503の表面を横切って半径方向に移動させる。圧電素子ユニットは、制御部1505によって与えられた信号に応じてフレキシブル基板を長手方向に伸縮させ、ディスク1503の半径方向にヘッド1を位置決めする。ヘッド1は、ディスク1503に情報を記録再生する。
【0085】
ヘッド1を保持するスライダ11は、例えば空気ベアリングスライダである。この場合には、スライダ11は、ハードディスクドライブ1500の起動・停止動作時にはディスク1503の表面と接触する。ハードディスクドライブ1500の情報記録再生動作時には、スライダ11は回転するディスク1503とスライダ11との間で形成される空気ベアリングによってディスク1503の表面上に維持される。
【0086】
【発明の効果】
以上のように、本発明のヘッドアクチュエータによれば、より低い電圧で大きなヘッド変位が得られると共に、機械的共振周波数を高くすることができる。それにより高精度のヘッド位置決め制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの要部斜視図
【図2】図1におけるA部の分解斜視図
【図3】図2の断面の構成を示した模式図
【図4】本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの変形の様子を示す平面図
【図5】本発明による実施の形態1のヘッドアクチュエータの静力学的モデル
【図6】本発明による実施の形態2のヘッドアクチュエータの要部分解斜視図
【図7】図6の断面の構成を示した模式図
【図8】本発明による実施の形態2のヘッドアクチュエータの静力学的モデル
【図9】本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図
【図10】本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの動力学的モデル
【図11】本発明による実施の形態3のヘッドアクチュエータの動特性を示したグラフ
【図12】本発明による実施の形態3の他のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図
【図13】(a)は、本発明による実施の形態3のさらに他のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図、(b)は、(a)における線SSに沿った断面図。
【図14】実施の形態1〜3のヘッドアクチュエータを搭載したハードディスクドライブの斜視図
【図15】従来のヘッドアクチュエータの断面の構成を示した模式図
【図16】従来のヘッドアクチュエータの静力学的モデル
【図17】従来のヘッドアクチュエータの動力学的モデル
【符号の説明】
1 磁気ヘッド
11 ヘッドスライダ
20 ロードビーム
21 ディンプル
30 フレキシャ
31 フレキシブル基板
31A、31B 伸縮部
31C ヒンジ部
31D 固定部
31E 回動部
31F ディンプル受け
32 補強板
33 スペーサ
34 バックプレート
40A、40B 圧電素子ユニット
41A、41B 保持部材
42 低剛性層
43 高剛性層
44 中間層
50 ヘッド支持部材
51 変位素子
100 ヘッドアクチュエータ

Claims (19)

  1. 記録媒体に対して情報の記録あるいは再生を行うヘッドを支持するヘッドスライダと、
    前記ヘッドスライダを支持するヘッド支持部材とを備え、
    前記ヘッド支持部材は、基板と、
    前記基板の少なくとも一方の面に設けられ、外部信号に応じて長手方向に伸縮力を発生する駆動素子とを含み、
    前記駆動素子に外部信号を与えることで前記ヘッド支持部材を長手方向に伸縮させ、前記記録媒体の半径方向に前記ヘッドを位置決めするヘッドアクチュエータであって、
    前記ヘッド支持部材は、前記ヘッドスライダが設けられる第1領域と、
    前記駆動素子が設けられる第2領域と、
    前記第1領域と前記第2領域とを連結する第3領域とを有し、
    前記駆動素子は、幾何学的中心面を有し、
    前記ヘッド支持部材は、前記第2領域における第1中立面と前記第3領域における第2中立面とを有し、
    前記第2中立面は、前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位しているヘッドアクチュエータ。
  2. 前記第1中立面は、前記幾何学的中心面に対して前記基板側に存在する、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  3. 前記ヘッド支持部材は、前記第2中立面を前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位させる中立面偏位手段をさらに含む、請求項2記載のヘッドアクチュエータ。
  4. 前記中立面偏位手段は、少なくとも前記第3領域に設けられる補強部材を含む、請求項3記載のヘッドアクチュエータ。
  5. 前記第1中立面は、前記幾何学的中心面に対して前記基板の反対側に存在する、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  6. 前記ヘッド支持部材は、前記第1中立面を前記幾何学的中心面に対して前記基板の反対側に偏位させる幾何学的中心面偏位手段をさらに含む、請求項5記載のヘッドアクチュエータ。
  7. 前記幾何学的中心面偏位手段は、前記駆動素子に対して前記基板と同じ側に形成される保持部材を含み、
    前記保持部材は、前記ヘッド支持部材の撓み方向の剛性を高め、前記ヘッド支持部材の固有振動数を高める機能を有する、請求項6記載のヘッドアクチュエータ。
  8. 前記保持部材は、前記駆動素子上に設けられ、前記駆動素子よりも縦弾性係数が小さい低剛性層と、
    前記低剛性層上に設けられ、前記低剛性層より前記縦弾性係数が大きい高剛性層とを含む、請求項7記載のヘッドアクチュエータ。
  9. 前記低剛性層は、ポリイミド樹脂を含み、
    前記高剛性層は、ステンレス鋼を含む、請求項8記載のヘッドアクチュエータ。
  10. 前記ヘッド支持部材は、前記第2中立面を前記第1中立面に対して前記幾何学的中心面と同じ側に偏位させる第1中立面偏位手段をさらに含む、請求項6記載のヘッドアクチュエータ。
  11. 前記第1中立面偏位手段は、少なくとも前記第3領域に設けられる補強部材を含む、請求項10記載のヘッドアクチュエータ。
  12. 前記補強部材は、前記基板に対して前記駆動素子と反対側に設けられる、請求項11記載のヘッドアクチュエータ。
  13. 前記駆動素子は、第1伸び剛性を有し、
    前記基板は、第2伸び剛性を有し、
    前記第1伸び剛性は、前記第2伸び剛性よりも大きい、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  14. 前記駆動素子は、板状の形状を有する、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  15. 前記駆動素子は、薄膜圧電体に電極が搭載される圧電素子ユニットを含む、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  16. 前記駆動素子は、互いに逆方向の電圧が印加される第1駆動素子と第2駆動素子とを含む、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  17. 前記基板は、前記第1駆動素子が設けられる第1伸縮部と、
    前記第2駆動素子が設けられる第2伸縮部と、
    前記ヘッドスライダが設けられる回動部と、
    前記回動部と前記第1伸縮部とを連結する第1ヒンジ部と、
    前記回動部と前記第2伸縮部とを連結する第2ヒンジ部とを含む、請求項16記載のヘッドアクチュエータ。
  18. 前記ヘッドアクチュエータは、前記ヘッド支持部材を支持するロードビームをさらに備える、請求項1記載のヘッドアクチュエータ。
  19. 請求項1に記載のヘッドアクチュエータと、
    前記記録媒体を回転駆動するモータと、
    前記ヘッドが前記記録媒体上の所定のデータトラックにアクセスできるように、前記ヘッドアクチュエータを前記記録媒体の表面を横切って半径方向に移動させる駆動手段と、
    前記ヘッド支持部材を面内方向に伸縮させ、前記記録媒体の前記半径方向に前記ヘッドを位置決めするように、前記駆動素子に前記外部信号を与える制御手段とを備えるハードディスクドライブ。
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