JP4593824B2 - 発熱体、それを用いた定着器および発熱体の製造方法 - Google Patents

発熱体、それを用いた定着器および発熱体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、たとえばプリンタ等の定着器に備えられる発熱体、その定着器、および発熱体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリンタ等においては、熱によりトナーを用紙に定着させるための定着器が具備され、この定着器には、熱を供給するための発熱体が備えられている。図6は、上記発熱体の一例を示す概略断面図である。この発熱体は、たとえばチッ化アルミニウム系セラミックスからなる基板11と、この基板11上に帯状に形成された、たとえば銀・パラジウムからなる抵抗体12と、この抵抗体12を保護するために形成された保護層13とによって大略構成されている。
【0003】
保護層13は、抵抗体12を覆うように形成された結晶化ガラス層14と、結晶化ガラス層14の上面に形成された電気絶縁性および平滑性を有する非晶質ガラス層15とからなる。なお、図6には示されていないが、基板11上には、抵抗体12に対して電力を供給するための電極層が形成されている。
【0004】
このような構成の発熱体では、抵抗体12に上記電極層を介して電力が供給されると、抵抗体12は、所定の発熱量で発熱する。この発熱体では、基板材料に熱応答性に優れたチッ化アルミニウム系セラミックスが用いられているため、基板11全体に熱が広がる。そのため、基板11全体を、たとえばプリンタ等の定着器における発熱体として利用することができる。また、たとえばサーマルプリントヘッドに用いられるアルミナ系セラミックス基板等では、発熱抵抗体の部分でのみしか発熱せず、熱分布が悪いために基板割れが生じることがある。しかし、上記発熱体では、基板11全体に熱が広がるため、上記基板割れは起こりにくいといった利点がある。
【0005】
ところが、その一方で、上記発熱体では、基板11にチッ化アルミニウム系セラミックスが用いられているために、以下に示す不都合が生じる。すなわち、この発熱体では、非晶質ガラス層15を基板11上に接するように形成すると、この非晶質ガラス層15の材料となるガラスペーストを基板11上で印刷焼成するときに、基板11中の窒素とガラス中の酸素とが反応してNOやNO等による気泡を生じる場合がある。そのため、この気泡を生じる部分では、充分な電気絶縁性が得られないことがあった。
【0006】
そこで、そのような気泡を生じさせないように、図6に示したように、非晶質ガラス層15と基板11との間に、結晶化ガラス層14を介在させて、非晶質ガラス層15が基板11と接することが可能な限り少なくなるようにしている。また、この場合、非晶質ガラス層15は、この発熱体の電気絶縁性を確保するために、比較的厚めに形成されている。具体的には、結晶化ガラス層14の厚みはたとえば22μm程度に、非晶質ガラス層15の厚みは40μm程度にそれぞれ形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、結晶化ガラス層14を基板11上に形成するために、ガラスペーストが印刷された基板11を焼成炉に搬入して焼成すると、銀・パラジウムからなる抵抗体12中の銀成分が結晶化ガラス層14中に拡散してしまうことがある。これは、結晶化ガラス層14が多孔質であるためであり、このように、結晶化ガラス層14に銀成分が拡散すると、発熱体としての電気絶縁性が損われることになる。
【0008】
さらに、結晶化ガラス層14は、上記したようにそれ自体が多孔質であるため、その上に非晶質ガラス層15が積層されると、結晶化ガラス層14中にガスが溜まってしまう。このガスは、結晶化ガラス層14内を抜けていこうとするが、結晶化ガラス層14の上に、非晶質ガラス層15が比較的厚く形成されているので、非晶質ガラス層15にガスが徐々にしみ込んで、今度は、非晶質ガラス層15内にそのガスが留まり、比較的大きな気泡を生じさせることがあった。図7は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)によって800倍に拡大したときの発熱体の断面構造を示す写真であるが、この写真によれば、非晶質ガラス層15中に大きな気泡が生じていることがわかる。このように、非晶質ガラス層15中に大きな気泡が存在することによっても、発熱体として電気絶縁性が悪化し、破壊の一因となることがあった。
【0009】
【発明の開示】
本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、結晶化ガラス層における銀の拡散を抑制するとともに、非晶質ガラス層における比較的大きな気泡の発生を防止することにより、電気絶縁性を良好に確保することのできる、発熱体を提供することを、その課題とする。
【0010】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本願発明の第1の側面によって提供される発熱体は、チッ化アルミニウム系セラミックスからなる基板上に形成された抵抗体と、この抵抗体を保護するために形成された保護層とによって構成される発熱体であって、上記保護層は、上記抵抗体を覆うように上記基板の上に形成された第1結晶化ガラス層と、この第1結晶化ガラス層の上に上記第1結晶化ガラス層より薄く形成された第1非晶質ガラス層と、この第1非晶質ガラス層の上に形成された第2結晶化ガラス層と、この第2結晶化ガラス層の上に最上層として形成された第2非晶質ガラス層とを含んで構成されることを特徴としている。この場合、第1非晶質ガラス層は、たとえば8〜12μmに設定されて形成されている。
【0012】
本願発明の構成によれば、抵抗体を保護するための保護層は、結晶化ガラス層および非晶質ガラス層が交互に積層されてなり、抵抗体を覆う最下層としての第1結晶化ガラス層の上に、これより薄く第1非晶質ガラス層が形成されている。ここで、第1結晶化ガラス層においては、それ自体が多孔質であるために、たとえば銀・パラジウムからなる抵抗体の銀成分が拡散することがあるが、第1非晶質ガラス層内では銀の拡散が生じないため、第1結晶化ガラス層の上に、第1非晶質ガラス層を形成すれば、それ以上の銀の拡散を抑制することができる。また、第1非晶質ガラス層は薄く形成されているため、この層において比較的大きな気泡が生じることはない。
【0013】
すなわち、従来の構成では、結晶化ガラス層および非晶質ガラス層の2層構造とされ、抵抗体を保護するのに充分な有効膜厚が確保されるように、非晶質ガラス層が比較的厚く形成されていた。そのため、結晶化ガラス層において溜まっていたガスが非晶質ガラス層にしみ込んで留まり、比較的大きな気泡を生じさせることがあり、電気絶縁性の低下を招いていた。しかし、本願発明のように、第1非晶質ガラス層を薄く形成すれば、ガスは第1非晶質ガラス層に留まることなく抜けてしまい、大きな気泡を生じさせることがない。そのため、この発熱体の電気絶縁性の低下を防止することができる。
【0014】
本願発明の好ましい実施の形態によれば、上記第2非晶質ガラス層は、上記第1結晶化ガラス層および上記第2結晶化ガラス層が外部に露出することのないようにそれらを覆うように形成されている。この構成によれば、多孔質である第1結晶化ガラス層および第2結晶化ガラス層が外部に露出されれば、その外表面から内部に水分が侵入することがあるが、上記第2非晶質ガラス層によってその水分の侵入を防止することができる。
【0015】
本願発明の他の好ましい実施の形態によれば、上記保護層は、その全体厚みが、各ガラス層がそれぞれ所定の厚みに形成されることにより、上記抵抗体を保護するための有効膜厚となるよう形成される。この構成により、抵抗体を保護する目的で形成された保護層において、その有効膜厚を充分に維持でき、良好に電気絶縁性を確保することができる。
【0016】
本願発明の第2の側面によって提供される定着器は、本願発明の第1の側面によって提供される発熱体を用いたことを特徴としている。このように、たとえばプリンタ等に具備され、熱によりトナーを用紙に定着させるための定着器に対して、上記した絶縁性が良好に維持された発熱体を用いれば、信頼性の高い定着器を提供することができる。
【0017】
また、本願発明の第3の側面によって提供される発熱体の製造方法は、チッ化アルミニウム系セラミックスからなる基板上に抵抗体を形成し、この抵抗体の上に結晶化ガラスペーストおよび非晶質ガラスペーストを順次、印刷焼成して積層状に結晶化ガラス層および非晶質ガラス層を形成する工程を含む、発熱体の製造方法であって、上記抵抗体が形成された上記基板上に、結晶化ガラスペーストを印刷焼成することにより第1結晶化ガラス層を形成する工程と、この第1結晶化ガラス層の上に、非晶質ガラスペーストを印刷焼成することにより第1非晶質ガラス層を第1結晶化ガラス層より薄く形成する工程と、この第1非晶質ガラス層の上に、結晶化ガラスペーストを印刷焼成することにより第2結晶化ガラス層を形成する工程と、この第2結晶化ガラス層の上に、非晶質ガラスペーストを印刷焼成することにより、上記第1結晶化ガラス層および第2結晶化ガラス層が外部に露出しないようにそれらを覆うように、最上層としての第2非晶質ガラス層を形成する工程とを含むことを特徴としている。
【0018】
本願発明の第3の側面に係る発熱体の製造方法によれば、本願発明の第1の側面によって提供される発熱体を製造することができ、また、上記第1の側面によって得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0019】
本願発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1は、本願発明に係る発熱体の一例を示す概略断面図である。この発熱体は、プリンタ等に具備された、熱によりトナーを用紙に定着させるための定着器に備えられ、用紙に対して熱を供給するためのものである。上記発熱体は、熱応答性を有する基板1と、この基板1上に形成された抵抗体2と、この抵抗体2を保護するための保護層3とによって大略構成されている。
【0022】
保護層3は、抵抗体2を覆うように基板1の上に形成された第1結晶化ガラス層4と、この第1結晶化ガラス層4の上に形成された第1非晶質ガラス層5と、この第1非晶質ガラス層5の上に形成された第2結晶化ガラス層6と、この第2結晶化ガラス層6の上に最上層として形成された第2非晶質ガラス層7とを備えている。
【0023】
基板1は、たとえばチッ化アルミニウム系セラミックスからなり、略平板状に形成されている。チッ化アルミニウム系セラミックスは、熱応答性に優れているため、基板1の材料にこれを用いることにより基板1全体に熱を広げることができる。そのため、この発熱体では、熱分布に劣るアルミナ系セラミックス等に比べ、それらによって生じる可能性のある基板割れの発生を抑えることができるといった利点を有する。
【0024】
抵抗体2は、基板1上に、図1における紙面と垂直方向に延びて帯状に形成されている。抵抗体2は、たとえば銀・パラジウムからなり、所定幅を有し、かつ厚みが13μm程度に形成されている。なお、図1では、省略されているが、基板1上には、抵抗体2に電力を供給するための電極層が形成されている。この電極層に対して図示しない駆動装置から電力が供給されることにより、抵抗体2が所定の発熱量で発熱する。この場合、発熱体では、基板1に、熱応答性に優れたチッ化アルミニウム系セラミックスが用いられているため、基板1全体に熱が広がる。したがって、この発熱体を、たとえばプリンタ等の定着器に用いれば、基板1全体を利用して、トナーを紙面に対して良好に定着させることができる。
【0025】
第1結晶化ガラス層4は、抵抗体2の上面にそれを覆うようにして形成されている。第1結晶化ガラス層4は、第1非晶質ガラス層5と基板1とが反応してNO等の気泡を発生することを防止する目的で形成される。第1結晶化ガラス層4は、たとえばBaO−Al−SiO系のガラスからなり、多孔性を有している。第1結晶化ガラス層4は、この層の材料となるガラスペーストが印刷焼成されることにより形成され、層の厚みは、22μm程度に設定される。なお、第1結晶化ガラス層4は、後述するように、いわゆる二度塗りされて形成される。
【0026】
第1非晶質ガラス層5は、第1結晶化ガラス層4の上面に形成される。第1非晶質ガラス層5は、第1結晶化ガラス層4において拡散された銀のさらなる拡散を抑制するために形成される。第1非晶質ガラス層5は、たとえばSiO−BaO−B系のガラスからなり、電気絶縁性および平滑性を有しているが、多孔質ではない。そのため、第1非晶質ガラス層5内においては、銀が拡散することはない。
【0027】
第1非晶質ガラス層5は、この層の材料となるガラスペーストを印刷焼成することにより形成され、基板1と接触しないように、第1結晶化ガラス層4の上面を覆うように形成される。第1非晶質ガラス層5の厚みは、8〜12μm程度に、好ましくは10μm程度に設定され、従来の非晶質ガラス層15の厚み(40μm程度)と比較して極端に薄く形成されている。
【0028】
従来では、非晶質ガラス層15の厚みが比較的厚めに形成されていたために、結晶化ガラス層14において発生した気泡が非晶質ガラス層15内にしみ込んで溜まり、大きな気泡となることがあった。しかしながら、本実施形態においては、第1非晶質ガラス層5の厚みを薄く形成しており、第1非晶質ガラス層5は、第1結晶化ガラス層4に比べ、より緻密な分子構造とされるため、気泡は、第1非晶質ガラス層5にしみ込んでいくが、大きなものにはならず、また、留まることなく外部に抜けていく。したがって、比較的大きな気泡が非晶質ガラス層に留まることによる電気絶縁性の低下を防止することができ、信頼性の高い発熱体、およびこれを備えた定着器を提供することができる。
【0029】
第2結晶化ガラス層6は、第1非晶質ガラス層5の上に形成されている。第2結晶化ガラス層6は、第1結晶化ガラス層4と同様の材料からなり、多孔性を有している。第1結晶化ガラス層4は、この層の材料となるガラスペーストを印刷焼成することにより形成され、層の厚みは10μm程度に設定されて形成される。
【0030】
第2非晶質ガラス層7は、第2結晶化ガラス層6上に最上層として積層されている。第2非晶質ガラス層7は、第1非晶質ガラス層5と同様の材料からなり、電気絶縁性および平滑性を有している。第2非晶質ガラス層7は、この層の材料となるガラスペーストを印刷焼成することにより形成され、層の厚みは、20μm程度に設定されている。なお、第2結晶化ガラス層6は、第1結晶化ガラス層4と同様に、後述するように、いわゆる二度塗りされて形成される。このように、最上層に分子構造が緻密な非晶質ガラス層15が形成されれば、発熱体としての表面が滑らかなものとなり、発熱体と接触される用紙等に与える影響を少なくすることができる。
【0031】
図2は、図1の発熱体の断面構造を走査型電子顕微鏡(SEM)によって800倍に拡大した場合の写真である。なお、この写真は、抵抗体2が存在しない部分を示している。このように、第1結晶化ガラス層4および第1非晶質ガラス層5、並びに第2結晶化ガラス層6および第2非晶質ガラス層7が所定の膜圧にそれぞれ形成されることにより、抵抗体2を適切に保護し、かつ必要な電気絶縁性を実現するための有効膜厚を確保することができる。
【0032】
次に、この発熱体の製造方法について、図3および図4を参照して説明する。まず、チッ化アルミニウム系セラミックスの原材料を用いて、これを焼成することにより、平板状の基板1を得る。
【0033】
次いで、基板1上に、図3(a)に示すように、帯状の抵抗体2を形成する。すなわち、銀・パラジウムの抵抗体ペーストを、基板1上の所定位置に塗布し、その後、乾燥し、所定の焼成温度(たとえば850℃)で焼成することにより、抵抗体2をその厚みが13μm程度になるように形成する。
【0034】
続いて、基板1上に、抵抗体2を覆うようにして第1結晶化ガラス層4を形成する。この場合、まず、図3(b)に示すように、第1結晶化ガラス層4の材料となるガラスペーストを塗布し、印刷、乾燥し、所定の焼成温度(たとえば810℃)で焼成することにより、厚みが11μm程度になるように下層4aを形成する。その後、さらに図3(c)に示すように、焼成した下層4aの上にガラスペーストを塗布し、印刷焼成することにより、全体の厚みが22μm程度になるように上層4bを形成する。すなわち、いわゆる二度塗りを行う。これは、一度の印刷焼成では、所定の厚みが形成されにくいためであり、また、層を平滑に形成するためである。
【0035】
次に、第1結晶化ガラス層4の上に、図3(d)に示すように、第1非晶質ガラス層5を形成する。具体的には、第1非晶質ガラス層5の材料となるガラスペーストを基板1と接触しないように、かつ第1結晶化ガラス層4の上面を覆うように印刷する。その後、ガラスペーストを乾燥させ、所定の焼成温度(たとえば810℃)で焼成することにより、第1非晶質ガラス層5を、その厚みが10μm程度になるように形成する。
【0036】
次いで、第1非晶質ガラス層5の上に、図4(e)に示すように、第2結晶化ガラス層6を形成する。具体的には、第2結晶化ガラス層6の材料となるガラスペーストを、第1非晶質ガラス層5の上面を覆うように印刷し、その後、乾燥させ、所定の焼成温度(たとえば810℃)で焼成することにより、第1非晶質ガラス層5を、その厚みが10μm程度になるように形成する。
【0037】
次に、第2結晶化ガラス層6の上に、第2非晶質ガラス層7を形成する。この工程では、第1結晶化ガラス層4と同様に二度塗りが行われる。具体的には、図4(f)に示すように、第2非晶質ガラス層7の材料となるガラスペーストを、第1結晶化ガラス層4および第2結晶化ガラス層6が外部に露出しないように、これらを覆うようにして印刷する。そして、上記ガラスペーストを乾燥させ、所定の焼成温度(たとえば810℃)で焼成することにより、下層7aを、その厚みが10μm程度に形成する。
【0038】
その後、さらに図4(g)に示すように、下層7aの外表面を覆うように、ガラスペーストを塗布し、印刷焼成することにより、上層7bを、その厚みが10μm程度に形成し、第2非晶質ガラス層7の全体の厚みが22μm程度に形成する。このようにして、図1に示したような、第1および第2結晶化ガラス層4,6、並びに第1および第2非晶質ガラス層5,7が交互に積層された保護層3を有する発熱体が得られる。
【0039】
なお、実際の製造においては、所定の大きさの集合基板を準備し、縦割り溝および横割り溝によって区画された個別領域に対して一括して上記した抵抗体2および各層3を形成し、その後、縦割り溝および横割り溝に沿って分割することにより、上記した発熱体が得られる。
【0040】
次に、本実施形態に係る発熱体に対して、本願発明者らが行った絶縁破壊試験および耐電圧試験を説明する。絶縁破壊試験は、本実施形態の発熱体および従来品を試料としてそれぞれ複数準備し、発熱体の抵抗体と最上層の非晶質ガラス層との間に段階的に電圧を印加していき、発熱体の材料が破壊に至る電圧を測定する試験であり、表1に、実際に測定したデータを従来品の測定データとともに示す。
【0041】
また、耐電圧試験は、本実施形態の発熱体および従来品を試料としてそれぞれ複数準備し、図5に示すように、発熱体の抵抗体2と最上層の第2非晶質ガラス層7との間に、たとえば1.6kVを3秒間、印加したときに、どの位の割合で試料が破壊するか、すなわち不良品となるかを調べる試験であり、実施数に対する不良品の割合を不良率として求め、表1に、実際に調べたデータを従来品のデータとともに示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004593824
【0043】
表1によると、絶縁破壊試験において、本実施形態の発熱体における平均値は、4.0kV程度であるのに対し、従来品における平均値は、3.9kV程度であり、それほどの差は見られなかった。ところが、本実施形態の発熱体における最大値と最小値との電圧幅は、最大値が4.2kV程度、最小値が3.8kV程度であって約0.4kVであるのに対し、従来品は、最大値が4.4kV程度、最小値が2.6kV程度であって約1.8kVであった。この結果より、本実施形態の発熱体は、従来品に比べ、最大値と最小値との電圧幅においてばらつきが小さいと言え、電気絶縁性が安定していることがわかる。
【0044】
一方、耐電圧試験において、本実施形態の発熱体における不良率は、0.3%であるのに対し、従来品における不良率は、11.8%であった。この結果より、本実施形態の発熱体の方が従来品に比べ、不良品となる割合が各段に少なく、絶縁耐圧において各段に優れていることがわかる。
【0045】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、保護層3の層数を4層としたが、これ以上の層数によって保護層3が形成されてもよい。また、上記した基板1、抵抗体2、結晶化ガラス層4,6および非晶質ガラス層5,7のそれぞれの材質、形状、および厚み等は上記した実施形態に限るものではない。また、この発明をプリンタ等の定着器だけでなく、サーマルプリントヘッド等の他の電子部品に適用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る発熱体の要部断面図である。
【図2】本願発明に係る発熱体の断面構造を示す写真である。
【図3】発熱体の製造方法を説明するための図である。
【図4】発熱体の製造方法を説明するための図である。
【図5】耐電圧試験を説明するための図である。
【図6】従来の発熱体の要部断面図である。
【図7】従来の発熱体の断面構造を示す写真である。
【符号の説明】
1 基板
2 抵抗体
3 保護層
4 第1結晶化ガラス層
5 第1非晶質ガラス層
6 第2結晶化ガラス層
7 第2非晶質ガラス層

Claims (6)

  1. チッ化アルミニウム系セラミックスからなる基板上に形成された抵抗体と、この抵抗体を保護するために形成された保護層とによって構成される発熱体であって、
    上記保護層は、上記抵抗体を覆うように上記基板の上に形成された第1結晶化ガラス層と、この第1結晶化ガラス層の上に上記第1結晶化ガラス層より薄く形成された第1非晶質ガラス層と、この第1非晶質ガラス層の上に形成された第2結晶化ガラス層と、この第2結晶化ガラス層の上に最上層として形成された第2非晶質ガラス層とを含んで構成されることを特徴とする、発熱体。
  2. 上記第1非晶質ガラス層は、8〜12μmに設定されて形成された、請求項に記載の発熱体。
  3. 上記第2非晶質ガラス層は、上記第1結晶化ガラス層および上記第2結晶化ガラス層が外部に露出することのないようにそれらを覆うように形成された、請求項またはに記載の発熱体。
  4. 上記保護層は、その全体厚みが、各ガラス層がそれぞれ所定の厚みに形成されることにより、上記抵抗体を保護するための有効膜厚となるよう形成される、請求項1ないしに記載の発熱体。
  5. 上記請求項1ないしのいずれかに記載の発熱体を用いたことを特徴とする、定着器。
  6. チッ化アルミニウム系セラミックスからなる基板上に抵抗体を形成し、この抵抗体の上に結晶化ガラスペーストおよび非晶質ガラスペーストを順次、印刷焼成して積層状に結晶化ガラス層および非晶質ガラス層を形成する工程を含む、発熱体の製造方法であって、
    上記抵抗体が形成された上記基板上に、結晶化ガラスペーストを印刷焼成することにより第1結晶化ガラス層を形成する工程と、
    この第1結晶化ガラス層の上に、非晶質ガラスペーストを印刷焼成することにより第1非晶質ガラス層を上記第1結晶化ガラス層より薄く形成する工程と、
    この第1非晶質ガラス層の上に、結晶化ガラスペーストを印刷焼成することにより第2結晶化ガラス層を形成する工程と、
    この第2結晶化ガラス層の上に、非晶質ガラスペーストを印刷焼成することにより、上記第1結晶化ガラス層および第2結晶化ガラス層が外部に露出しないようにそれらを覆うように、最上層としての第2非晶質ガラス層を形成する工程とを含むことを特徴とする、発熱体の製造方法。
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