JP4593507B2 - 電気浸透流ポンプ及び液体供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バイオテクノロジーや分析化学等に用いられるマイクロ流体チップ内部の液体の駆動制御や、携帯型エレクトロニクス機器内の流体の駆動制御に好適な電気浸透流ポンプ及び、この電気浸透流ポンプを用いた液体供給装置に関する。
電気浸透流ポンプは、電気浸透現象を用いて流体を輸送するポンプであり、例えば、キャピラリーやマイクロ流体チップの内部における流体の駆動手段として用いられている。
この場合、前記電気浸透現象が、数百[μm]以下の非常に狭幅の流路において顕著になるという特性を利用して、前記キャピラリーの直径を、例えば、数百[μm]以下にし、あるいは、前記マイクロ流体チップ内の流路を、例えば、数十[μm]以下に設定する一方で、前記キャピラリー又は前記流路内に2つの電極(正極及び負極)を配置することにより、前記キャピラリー又は前記流路自体をポンプとしている。
図38に示す電気浸透流ポンプ200では、電解質溶液が収容されたリザーバ202、204間を電解質溶液が充填されたキャピラリー206で連結し、直流電源208よりリザーバ202、204に各々配置された電極210、212に対して直流電圧を印加することにより、リザーバ202よりキャピラリー206を介してリザーバ204に前記電解質溶液を輸送する。
また、電気浸透流ポンプ200では、(1)前記電解質溶液の駆動時に脈動が発生しない、(2)リザーバ202、204に電極210、212を挿入して直流電圧を印加するだけで前記電解質溶液の駆動が可能であるため操作性が良好である、(3)機械的な可動部分がなく構造が簡単である等の特長があることから、狭幅な流路だけで構成された数[mm]程度のさらにマクロな領域でこれらのポンプを活用することも検討されている。
図39は、電気浸透流ポンプ200(図38参照)を小型化した電気浸透流ポンプ214であり、この電気浸透流ポンプ214は、ポンプ容器216内に形成された流路218に配設された電気浸透材料(以下EO材料ともいう。)からなる電気浸透材220、該電気浸透材220の上流側及び下流側に配置され且つ複数の孔が流路方向に形成された電極222、224で構成される。なお、上記した電極構造は、これに限定されるものではなく、例えば、ワイヤ形状で構成することも可能である。
この場合、前記EO材料として電気浸透現象を示す多孔質体や微細粒子、ファイバー等の充填構造を用いることにより、前述したキャピラリー206(図38参照)や前記マイクロ流体チップ内の流路を用いなくても、[μ/min]〜[m/min]あるいはそれ以上のオーダの流量の電解質溶液を輸送することが可能となる(特許文献1〜3参照)。
また、直流電源208より電極210、212、222、224に印加される直流電圧についても、電気浸透流ポンプ200(図38参照)では数十[kV]必要であるのに対して、電気浸透流ポンプ214では、数[V]程度の直流電圧で電解質溶液を駆動することが可能である。
このように、低電圧で大流量且つ所望の駆動圧力の電解質溶液を輸送することが可能となれば、細径のキャピラリー206やマイクロ流体チップの流路を用いてポンプを構成するという制約がなくなり、電気浸透流ポンプ214の応用範囲を拡大することが可能となる。
例えば、図40に示す本出願人が案出した電気浸透流ポンプ230の場合、この電気浸透流ポンプ230の上部には電解質溶液を収容するリザーバ232が形成され、その下部は、マイクロ流体チップ234の流路236に直接接続されている。ここで、数[V]〜30[V]程度の直流電圧を電極222、224に印加すれば、数十[μ/min]程度の最大流量で且つ100[kPa]以上の最大圧力で前記電解質溶液をリザーバ232より流路236に供給することが可能となる。
米国特許出願公開第2003/0068229号明細書 米国特許第3923426号明細書 米国特許出願公開第2004/0234378号明細書
しかしながら、前述した電気浸透現象は電気化学的現象であるので、直流電源208より電極222、224に直流電圧を印加したときに、該電極222、224の近傍にガスが発生する。発生した前記ガスのうち電解質溶液に溶解しきれないガスは、バブルとして前記電解質溶液内に浮遊し、浮遊する前記バブルは、流路236内での流動の不安定性、電気浸透流ポンプ214の動作不良、該流路236の下流側で行われる各種計測や化学反応や化学分析に大きな影響を及ぼす。
より具体的に説明すると、電気浸透流ポンプ214は、一般に、電解質溶液中でのイオン電気伝導と電極222、224での電子伝導が混在する系であり、該電極222、224では電荷交換の際にガス発生を伴う。
例えば、図39において、駆動液体を水溶液とし、電気浸透材220のゼータ電位を負電位とし、上流側の電極222を正極とする一方で、下流側の電極224を負極とした場合、直流電源208より電極222、224に直流電圧を印加すると、該電極222、224近傍では、電気化学反応によって下記の反応が発生する。
2H2O→2H2+O2 (1)
この結果、電極224(負極)では水素ガスが発生し、一方で、電極222(正極)では酸素ガスが発生する。電極224近傍での水素発生量が前記水溶液の溶解度を越える場合には、前記水素ガスによるバブルが生成され、電気浸透流ポンプ214の下流側の系統に流れていく。
この場合、電気浸透流ポンプ214を用いて下流側に接続されたマイクロ流体チップに対する微小流体の駆動制御を行う際に、前記マイクロ流体チップのチャンネル内に流入したバブルによって、前記微小流体の正確な位置制御が困難になる。
また、前記バブルは、前記系統内に配置されたセンサーやアクチュエータに対しても大きな影響を及ぼす。例えば、熱方式の流量センサーを用いて前記微小流体の流量を制御する際に、前記バブルの混入によって正確な流量計測が困難となり、この結果、前記流量センサーを用いたフィードバック制御を行うことができないという問題がある。
一方、電気浸透材220に形成された貫通孔の直径は、[μm]オーダ以下のサイズであるので、電極222近傍に発生した酸素ガスは、電気浸透材220を通過することなく、電極222あるいは電気浸透材220の表面を覆うことになる。この結果、電極222あるいは電気浸透材220と前記水溶液との接触領域が小さくなって、電気浸透材220内部の電界分布が歪んだり、電気浸透材220内部の電解質水溶液の流れが阻害されるので、流量低下や流量停止等のポンプ性能の劣化が発生する。
さらに、ポンプ流量を増やす目的で電極222、224間の電界強度を高めると、前記電界強度の増大によってバブルの発生がより顕著となる。
また、電気浸透流ポンプ214では、電気浸透現象の安定化を図る目的で、電気伝導度の高い電解質溶液(緩衝溶液等)を駆動液体として用いることが多く、直流電圧を電極222、224に印加したときに電極222、224間を流れる電流は、必然的に大きくなり、この結果、バブルの発生が促進される。
このように、電気浸透流ポンプ214では、バイオロジーや医療、さらにマイクロエレクトロニクス関連機器への応用を考慮した場合、ポンプ性能の安定性やポンプ効率の向上を図るために、前述したガス発生の問題を解決する必要がある。
上述したガス発生に関し、従来より、いくつかの対策が検討されている。すなわち、第1の対策としては、イオン導電性材料を電極として用い、電気浸透流ポンプ214外部で前記イオン導電性材料が電子導体に電気的に接続することにより、ガス発生箇所を電気浸透流ポンプ214の外部とするものである。この場合、電気浸透流ポンプ214の内部におけるガス発生の問題を回避することが可能となるが、電気浸透流ポンプ200、214、230の外部でイオン伝導から電子伝導へ変換する必要があるので、システム全体が複雑となる。
第2の対策としては、電気浸透流ポンプ214の流路を閉ループ流路とし、触媒を用いた再結合器によって発生した酸素ガス及び水素ガスを水に変換するものである。この場合、本発明が対象としている電気浸透流ポンプ214の寸法は、小型の携帯機器に収容可能で且つマイクロ流体チップ上に搭載可能な数[mm]〜数[cm]のサイズであるので、前記再結合器の採用によってポンプの寸法が大型化し且つ構造が複雑化するという問題がある。
一方、電気浸透流ポンプ214の上流側には電解質溶液を電気浸透材220に供給するためのタンクやカートリッジが接続されている。ここで、電気浸透流ポンプ214を汎用機器として幅広く応用する場合には、電気浸透材220に電解質溶液を確実に供給して、該電気浸透材220より前記下流側の各機器に前記電解質溶液を排出できることが必要がある。この場合、前述した電気浸透材220は、浸透性を有する材料であり、駆動液体としての前記電解質溶液が上流側の表面に到達すれば、自発的に前記電解質溶液を吸収して下流側に排出する、いわゆる自己充填性能を有する。
しかしながら、電気浸透流ポンプ214では、上流側より駆動液体が流れてきても、流路218における電気浸透材220の上流側が狭幅である場合(数[mm]以下)には、前記駆動液体が電極222近傍の気体を追い出して完全に前記上流側を充填することは困難であり、前記気体が前記上流側に閉じ込められた状態となる。これにより、電極222や電気浸透材220の表面に前記駆動液体が到達せず、電気浸透流ポンプ214が動作しなかったり、ポンプ性能が低下するという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、電極近傍で発生したガスが下流側に流れることを阻止することが可能な電気浸透流ポンプを提供することを目的とする。
また、本発明は、電気浸透材に駆動液体を確実に供給することを可能とする電気浸透流ポンプを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、より簡単な構成で液体容器内に充填された液体を外部に供給可能な液体供給装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電気浸透流ポンプは、流路内に設けられた電気浸透材の上流側に第1電極を配置し且つ下流側に第2電極を配置し、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加したときに前記電気浸透材を介して前記流路内に駆動液体を流通させる電気浸透流ポンプにおいて、前記流路の下流側には、前記電圧を印加したときに前記第2電極近傍に生成されるガスの前記下流側への通過を阻止し、一方で、前記駆動液体を通過可能な下流側液体通過部材が前記第2電極より下流側に配置されていることを特徴とする。
上記した構成によれば、前記電圧の印加によって前記第2電極近傍に前記ガスが生成しても、前記電気浸透材の下流側に配置された前記下流側液体通過部材は、前記駆動液体を通過させ、一方で、前記ガスの通過を阻止する。これにより、前記下流側に接続されたマイクロ流体チップ等の各種流体機器に前記ガスが流入することを阻止することが可能となり、例えば、前記流体機器内を通過する液体の位置制御を正確に行うことが可能となる。
ここで、前記電気浸透材と前記下流側液体通過部材との間には、前記流路より外部に前記ガスを放出する下流側ガス抜き部材が配置されていることが好ましい。この場合、前記第2電極近傍で発生した前記ガスを前記下流側ガス抜き部材を介して外部に排出するので、前記電気浸透流ポンプを長時間運転した際に、前記第2電極や前記電気浸透材へのバブルの付着によるポンプ性能の低下を抑制することができる。一方、前記第1電極近傍で生成されたガスの一部が、前記電気浸透材を通過しても、前記下流側ガス抜き部材を介して外部に排出することができる。
また、前記流路の上流側には、前記電気浸透材への異物の流入を阻止し、一方で、前記電圧を印加したときに前記駆動液体を通過可能な上流側液体通過部材が前記電気浸透材より上流側に配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材表面への前記異物やバブル等の付着が阻止されるので、前記電気浸透流ポンプのポンプ性能を確保することが可能となる。
さらに、前記電気浸透材と前記上流側液体通過部材との間には、前記電圧を印加したときに前記第1電極の近傍に生成されるガスを外部に放出する上流側ガス抜き部材が配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材の上流側における前記ガスの付着を阻止することができ、前記電気浸透流ポンプのポンプ性能の劣化を抑制することができる。
さらにまた、前記流路の上流側には、前記駆動液体を自己充填可能な上流側液体自己充填機構が前記電気浸透材又は前記第1電極と接触した状態で配置されていることが好ましい。これにより、前記駆動液体を前記電気浸透材に確実に供給することが可能となる。
さらにまた、前記流路の下流側には、前記駆動液体を自己充填可能な下流側液体自己充填機構が前記電気浸透材又は前記第2電極と接触した状態で配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材より排出された前記駆動液体を、前記流路の下流側に接続された各種流体機器に対して確実に供給することが可能となる。
なお、前記上流側液体自己充填機構は、前記電気浸透材及び前記第1電極と接触した状態で配置されている場合でも上述した効果が得られる。また、前記下流側液体自己充填機構は、前記電気浸透材及び前記第2電極と接触した状態で配置されている場合でも上述した効果が得られる。
また、本発明に係る電気浸透流ポンプは、流路内に設けられた電気浸透材の上流側に第1電極を配置し且つ下流側に第2電極を配置し、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加したときに前記電気浸透材を介して前記流路内に駆動液体を流通させる電気浸透流ポンプにおいて、前記流路の上流側には、前記駆動液体を自己充填可能な上流側液体自己充填機構が前記電気浸透材又は前記第1電極と接触した状態で配置されていることを特徴とする。
上記した構成によれば、前記上流側液体自己充填機構と前記電気浸透材とが接触しているので、外部より前記上流側液体自己充填機構に前記駆動液体を充填すると、充填された前記駆動液体が前記上流側液体自己充填機構より前記電気浸透材の内部に速やかに浸透する。この状態で、前記電圧を前記各電極に印加すると、前記電気浸透材より前記流路の下流側に前記駆動液体を確実に排出することが可能となる。この結果、前記第1電極近傍に気体が存在する場合であっても、前記電気浸透流ポンプの自己充填性を確保することが可能となる。
ここで、前記流路の上流側には、前記電気浸透材への異物の流入を阻止し、一方で、前記電圧を印加したときに前記駆動液体を通過可能な上流側液体通過部材が前記電気浸透材より上流側に配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材表面への前記異物やバブル等の付着が阻止され、前記電気浸透流ポンプのポンプ性能を確保することが可能となる。
また、前記電気浸透材と前記上流側液体通過部材との間には、前記電圧を印加したときに前記第1電極の近傍に生成されるガスを外部に放出する上流側ガス抜き部材が配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材の上流側における前記ガスの付着を阻止することができ、前記電気浸透流ポンプのポンプ性能の劣化を防止することが可能となる。
さらに、前記流路の下流側には、前記駆動液体を自己充填可能な下流側液体自己充填機構が前記電気浸透材又は前記第2電極と接触した状態で配置されていることが好ましい。これにより、前記電気浸透材より排出された前記駆動液体を、前記下流側液体自己充填機構を介して前記電気浸透流ポンプの下流側に接続された各種流体機器に確実に供給することが可能となる。この場合、上流側と下流側とに液体自己充填機構がそれぞれ配置されているので、上流側から下流側への前記駆動液体の排出や、下流側から上流側への前記駆動液体の吸入を効率よく行うことができる。
なお、前記上流側液体自己充填機構は、前記電気浸透材及び前記第1電極と接触した状態で配置されている場合でも上述した効果が得られる。また、前記下流側液体自己充填機構は、前記電気浸透材及び前記第2電極と接触した状態で配置されている場合でも上述した効果が得られる。
さらにまた、前記流路の下流側には、前記ガスの前記下流側への通過を阻止し、一方で、前記駆動液体を通過可能な下流側液体通過部材が前記第2電極より下流側に配置されていることが好ましい。これにより、前記電圧の印加によって前記第2電極近傍に前記ガスが生成しても、前記電気浸透材の下流側に配置された前記下流側液体通過部材は、前記駆動液体を通過させ、一方で、前記ガスの通過を阻止する。この結果、前記下流側に接続されたマイクロ流体チップ等の各種流体機器に前記ガスが流入することを防止することが可能となり、例えば、前記流体機器内を通過する液体の位置制御を正確に行うことが可能となる。
さらにまた、前記電気浸透材と前記下流側液体通過部材との間には、前記電圧を印加したときに前記第2電極の近傍に生成されるガスを外部に放出する下流側ガス抜き部材が配置されていることが好ましい。この場合、前記第2電極近傍で発生した前記ガスを前記下流側ガス抜き部材を介して外部に排出するので、前記電気浸透流ポンプを長時間運転した際に、前記第2電極や前記電気浸透材へのバブルの付着によるポンプ性能の低下を抑制することができる。一方、前記第1電極近傍で生成されたガスの一部が、前記電気浸透材を通過しても、前記下流側ガス抜き部材を介して外部に排出することができる。
そして、上述した液体通過部材は、親水性材料からなり、前記液体通過部材内をガスが通過するために必要なガス圧は、1[kPa]以上であり、前記流路の方向に沿った前記液体通過部材の厚みは、3[mm]以下であることが好ましい。
また、前記ガス抜き部材は、前記流路の側部に形成された疎水性材料からなり、前記ガス抜き部材に対する前記駆動液体の通過圧力が、前記駆動液体の運転時の最大圧力よりも大きく、前記ガスの通過方向に沿った前記ガス抜き部材の厚みは、3[mm]以下であることが好ましい。
さらに、前記液体自己充填機構は、前記流路に沿って前記電気浸透材の近傍に配置された自己充填部と、前記自己充填部の側部に形成され且つ前記自己充填部と浸透圧の異なるエア抜き部とから構成され、前記自己充填部は、前記駆動液体を自己充填して前記電気浸透材に供給し、前記エア抜き部は、前記自己充填部及び前記エア抜き部の浸透圧差に基づいて、前記電気浸透材の上流側に残存するエアを外部に排出することが好ましい。
さらにまた、前記自己充填部は、親水性材料からなり、前記エア抜き部は、疎水性材料からなることが好ましい。
さらにまた、前記流路の方向に沿った前記電気浸透材又は前記第1電極と前記上流側液体通過部材との間隔は、3[mm]以下であり、及び/又は、前記流路の方向に沿った前記電気浸透材又は前記第2電極と前記下流側液体通過部材との間隔は、3[mm]以下であることが好ましい。すなわち、前記電気浸透材又は前記第1電極と前記上流側液体通過部材との間隔、及び/又は、前記電気浸透材又は前記第2電極と前記下流側液体通過部材との間隔は、前記電気浸透流ポンプの特性上、重要なパラメータであるが、表面張力が重力に比べて支配的となるときの前記間隔が3[mm]程度であり、一方で、前記流路における流路抵抗が著しく大となる前記間隔が1[μm]未満程度であるので、3[mm]を上限値とし、1[μm]を下限値とした所定の範囲内(1[μm]〜3[mm])で前記間隔を適宜設定することが前記電気浸透流ポンプの特性上好ましいからである。
特に、前記電気浸透材又は前記第1電極に対向して前記上流側液体通過部材や前記上流側ガス抜き部材を配置した場合には、前記電気浸透材又は前記第1電極と前記上流側液体通過部材との間隔や、前記電気浸透材又は前記第1電極と前記上流側ガス抜き部材との間隔を、上述した範囲内に設定することが望ましい。さらに、前記電気浸透材又は前記第2電極に対向して前記下流側液体通過部材や前記下流側ガス抜き部材を配置した場合にも、前記電気浸透材又は前記第2電極と前記下流側液体通過部材との間隔や、前記電気浸透材又は前記第2電極と前記下流側ガス抜き部材との間隔を、上述した範囲内に設定することが望ましい。
さらに、前記上流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第1電極との間には、前記上流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第1電極とに密着可能で、且つ親水性材料からなる駆動液体吸収部材が配置され、及び/又は、前記下流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第2電極との間には、前記下流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第2電極とに密着可能で、且つ親水性材料からなる駆動液体吸収部材が配置されていることが好ましい。
これにより、剛性のある材料を用いて前記上流側液体自己充填機構を構成した場合に、前記上流側液体自己充填機構の表面と前記電気浸透材又は前記第1電極の表面とに対して前記駆動液体吸収部材が密着するので、前記上流側液体自己充填機構に自己充填された前記駆動液体を、前記駆動液体吸収部材で効率よく吸収して、前記電気浸透材に速やかに供給することが可能となる。この場合、前記駆動液体吸収部材として柔軟性及び保水性を有する吸水材を採用し、この駆動液体吸収部材を前記上流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第1電極とで挟み込むことが前記駆動液体吸収部材の密着性を高める上で望ましい。また、前記駆動液体吸収部材は、前記上流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第1電極とに対するクッションとしての機能も果たすので、組み立て性が向上する。
また、前記下流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第2電極との間には、前記駆動液体吸収部材を配置した場合にも、剛性のある材料を用いて前記下流側液体自己充填機構を構成した際に、前記下流側液体自己充填機構の表面と前記電気浸透材又は前記第2電極の表面とに対して前記駆動液体吸収部材が密着するので、前記下流側液体自己充填機構に自己充填された前記駆動液体を、前記駆動液体吸収部材で効率よく吸収して、前記電気浸透材に速やかに供給することが可能となる。この場合も、前記駆動液体吸収部材として柔軟性及び保水性を有する吸水材を採用し、この駆動液体吸収部材を前記下流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第2電極とで挟み込むことが前記駆動液体吸収部材の密着性を高める上で望ましい。また、前記駆動液体吸収部材は、前記下流側液体自己充填機構と前記電気浸透材又は前記第2電極とに対するクッションとしての機能も果たすので、組み立て性が向上する。
またさらに、上述した各発明において、前記流路は、前記電気浸透材、前記第1電極及び前記第2電極を収容するポンプ容器内に形成され、前記ポンプ容器における前記流路の上流側の入口と、前記流路の下流側の出口とは、同一面側に設けられていることが好ましい。これにより、基板等の設置面に対する前記電気浸透流ポンプの取付性が向上すると共に、ポンプ全体の高さを低くすることができる。また、前記同一面に前記入口と前記出口とを設けることにより、その反対面に前記各ガス抜き部材を設けることも可能である。従って、本発明に係る電気浸透流ポンプは、例えば、エレクトロニクス機器における平面実装用の小型ポンプとして好適である。
さらに、本発明に係る液体供給装置は、上述した電気浸透流ポンプと、液体が充填された液体容器とを有し、前記液体容器内の前記液体を前記電気浸透流ポンプを介して外部に供給することを特徴とする。これにより、前記電気浸透流ポンプの第1電極及び第2電極に電圧を印加すれば、前記液体容器に充填された前記液体を前記電気浸透流ポンプを介して外部に供給することができるので、簡単な構成で前記液体を供給することが可能となる。特に、前記液体を前記上流側液体自己充填機構にて自己充填した状態で、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加すれば、前記上流側液体自己充填機構から前記電気浸透材を介して外部に前記液体を供給することができるので、効率よく前記液体を供給することが可能となる。なお、この液体供給装置では、前記液体をメタノールや水で希釈したメタノール水とすれば、燃料電池システムに前記メタノール又は前記メタノール水を供給する液体燃料供給用カートリッジとして好適である。
本発明に係る電気浸透流ポンプによれば、電圧の印加によって第2電極近傍にガスが生成しても、電気浸透材の下流側に配置された下流側液体通過部材は、駆動液体を通過させ、一方で、前記ガスの通過を阻止する。これにより、前記下流側に接続されたマイクロ流体チップ等の各種流体機器に前記ガスが流入することを阻止することが可能となり、例えば、前記流体機器内を通過する液体の位置制御を正確に行うことが可能となる。
また、本発明に係る電気浸透流ポンプによれば、上流側液体自己充填機構と電気浸透材とが接触しているので、外部より前記上流側液体自己充填機構に駆動液体を充填すると、充填された前記駆動液体が前記上流側液体自己充填機構より前記電気浸透材の内部に速やかに浸透する。この状態で、電圧を各電極に印加すると、前記電気浸透材より流路の下流側に前記駆動液体を確実に排出することが可能となる。この結果、第1電極近傍に気体が存在する場合であっても、前記電気浸透流ポンプの自己充填性を確保することが可能となる。
さらに、本発明に係る液体供給装置によれば、電気浸透流ポンプの第1電極及び第2電極に電圧を印加すれば、液体容器に充填された液体を前記電気浸透流ポンプを介して外部に供給することができるので、簡単な構成で前記液体を供給することが可能となる。
本発明に係る電気浸透流ポンプ及びこの電気浸透流ポンプを用いた液体供給装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Aは、バイオテクノロジーや分析化学において用いられるマイクロ流体チップや小型エレクトロニクス機器に搭載可能な数[mm]〜数[cm]程度のサイズの小型ポンプであり、図1に示すように、基本的には、ポンプ容器12と、該ポンプ容器12内に形成された流路14に配置された電気浸透材16、入口側電極(第1電極)18及び出口側電極(第2電極)20とを有する。
ポンプ容器12は、流路14を通過する電解質溶液等の駆動液体に対して耐液性を有するプラスチック材料あるいは、セラミックス、ガラス、表面が電気絶縁処理された金属材料からなり、電気浸透材16、入口側電極18及び出口側電極20が配置される大径部分22と、図示しないマイクロ流体チップ等の流体機器に接続可能な小径部分24とで構成される。なお、前記電解質溶液は、図1の右側(大径部分22側)から左側(小径部分24)の方向に流路14内を通過する。
電気浸透材16は、流路14を仕切るように配設され、この結果、該流路14における電気浸透材16の上流側(図1の右側)は、入口側チェンバー26として形成され、一方で、その下流側は、出口側チェンバー28として形成される。また、電気浸透材16は、多孔質セラミックスやガラス繊維等からなり、入口側チェンバー26に駆動液体が供給された際に、該駆動液体を吸収して内部に浸透し、さらに、浸透した前記駆動液体を出口側チェンバー28に排出可能な親水性を有する部材である。
入口側電極18は、入口側チェンバー26内において電気浸透材16の表面と接触して配置され、複数の孔30が流路14の軸線方向に沿って形成されている。一方、出口側電極20は、出口側チェンバー28内において電気浸透材16の表面と接触して配置され、複数の孔32が流路14の軸線方向に沿って形成されている。そして、入口側電極18と出口側電極20とは直流電源34と電気的に接続されている。
図1では、電気浸透材16が負に帯電すると仮定して入口側電極18を正極とし、一方で、出口側電極20を負極としているが、電気浸透材16が正に帯電する場合には、これに代えて、該入口側電極18を負極とし、一方で、出口側電極20を正極としてもよいことは勿論である。また、図1では、電気浸透材16の表面に電極18、20が配置されているが、このような配置に限定されることはなく、例えば、電極18、20は、電気浸透材16近傍において非接触の状態で配置されていても構わない。さらに、図1では、直流電源34と入口側電極18及び出口側電極20が電気的に各々接続され、各電極18、20に直流電圧が印加されているが、各電極18、20に印加される電圧は直流電圧に限定されることはなく、例えば、直流電源34に代えて図示しないパルス電源を配置し、該パルス電源より各電極18、20にパルス電圧を印加してもよいことは勿論である。
ここで、入口側チェンバー26に供給された駆動液体が孔30を介して電気浸透材16に浸透した状態で、直流電源34より各電極18、20に直流電圧を印加すると、電気浸透材16内の前記駆動液体が入口側電極18より出口側電極20の方向に移動し、孔32を介して出口側チェンバー28に排出される。
また、電気浸透流ポンプ10Aでは、出口側チェンバー28にバブル隔離部材(下流側液体通過部材)40が出口側電極20より下流側に配置され、出口側電極20近傍におけるポンプ容器12の側部にはガス抜き部材(下流側ガス抜き部材)42が配設されている。さらに、入口側電極18近傍におけるポンプ容器12の側部にはガス抜き部材(上流側ガス抜き部材)44が配設されている。
バブル隔離部材40は、例えば、ガラス繊維や親水性ナイロン(登録商標)等のポリアミド系合成高分子材料からなる親水性を有する膜であり、電気浸透材16より孔32を介して下流側に排出された駆動液体を通過可能である一方で、出口側チェンバー28内のガスや異物の通過を阻止する。また、ガス抜き部材42は、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)等の疎水性且つガス透過性を有する膜やシートからなり、出口側チェンバー28内のガスを外部に排出する。さらに、ガス抜き部材44は、ガス抜き部材42と同様の疎水性且つガス透過性を有する膜からなり、入口側チェンバー26内のガスを外部に排出する。
電気浸透流ポンプ10Aでは、電気浸透材16に電解質溶液(水溶液)等の駆動液体が浸透した状態で、直流電源34より各電極18、20に直流電圧を印加すると、前記駆動液体の各電極18、20近傍における電気化学反応によって、出口側電極20近傍では水素ガスが発生し、一方で、入口側電極18近傍では酸素ガスが発生する。例えば、電極18、20間を流れる電流が1[mA]であれば、水素ガスの発生量は、7.86[μ/min]となり、酸素ガスの発生量は、3.93[μ/min]となる。
ここで、前記水溶液(あるいは水)の温度が20[℃]における酸素ガスの溶解度は0.031であり、水素ガスの溶解度は0.018であるので、電気浸透流ポンプ10Aの駆動時における前記水溶液に対する酸素ガス及び水素ガスの溶解量が0である場合でも、前記水溶液流量に対するガス発生量(1気圧における体積)の比率が3.1[%](酸素)及び1.8[%](水素)を越えると、前記水溶液中のガス濃度が溶解度を越え、この結果、入口側電極18近傍の入口側チェンバー26に酸素ガスのバブルが発生し、一方で、電極20近傍の出口側チェンバー28に水素ガスのバブルが発生する。より具体的な数値を示すと、ポンプ流量が100[μ/min]であれば、前記入口側電極18では、790[μA]以上の電流が流れると酸素ガスのバブルが発生し、一方で、前記出口側電極20では、229[μA]以上の電流が流れると、水素ガスのバブルが発生する。
このようなバブルが電極18、20や電気浸透材16の表面に付着すると、電気浸透材16に対する水溶液の供給や排出が妨げられ、さらに、電気浸透材16周辺の電界分布が歪み、この結果、電気浸透流ポンプ10Aのポンプ性能が低下する。また、前記バブルが流路14の下流側に流れると、前記下流側に接続された図示しないマイクロ流体チップ等の各種流体機器に前記バブルが流入し、この結果、該電気浸透流ポンプ10Aによる前記流体機器内部の微小流体の適切な駆動制御を行うことができないか、あるいは、下流側での各種センサの動作に悪影響を及ぼす。
そこで、電気浸透流ポンプ10Aでは、バブル隔離部材40の最低バブルポイントとガス抜き部材42、44の最低ウォーターブレークスルーポイントとを、前記水溶液の駆動圧力と比較して十分に大きく設定している。ここで、前記最低バブルポイントとは、前記水溶液で濡れたバブル隔離部材40に対して前述したバブル(前記水素ガス又は前記酸素ガス)が通り抜けるために必要な最低の圧力値であり、前記バブルは、取り扱う駆動液体の種類によって前記水素ガス又は前記酸素ガスと異なってくることは勿論である。また、最低ウォーターブレークスルーポイントとは、各チェンバー26、28よりガス抜き部材42、44を介して外部に前記水溶液が漏出するために必要な最低の圧力値である。
この場合、ポンプ運転時には、出口側チェンバー28内の圧力は、外部と比較して数[kPa]から数百[kPa]程度の差圧(正圧)を生じている。このため、出口側チェンバー28内に蓄積したバブルはガス抜き部材42を介して電気浸透流ポンプ10Aの外部に排出される。一方、バブル隔離部材40を前記水溶液が通過する際に若干の圧力損失が発生するが、その流路抵抗を適宜設定することにより、前記圧力損失を抑制することが可能である。
これにより、電気浸透流ポンプ10Aの下流側に前述したバブルを通過させることなく、ガス抜き部材42、44よりポンプ外部に排出することが可能となる。
そして、バブル隔離部材40では、ポンプ運転時の出口側圧力とその最低バブルポイント及び流路抵抗との関係において、(1)最低バブルポイントが電気浸透材16から排出される水溶液の最大圧力(電気浸透流ポンプ10Aの出口側最大圧力)よりも大きいこと(最低バブルポイント>水溶液の最大圧力)、(2)前記水溶液の最大流量におけるバブル隔離部材40での圧力損失が電気浸透材16から排出される水溶液の最大圧力と比較して十分に小さいこと(水溶液の圧力損失≪水溶液の最大圧力)の2つの条件を満足するように設計する。
ここで、具体的な構成例を示す。
バブル隔離部材40として親水性ナイロン(登録商標)の膜(孔径:0.2[μm]、膜厚:127[μm])を使用する。その最低バブルポイントは、340[kPa]、前記水溶液の通過量は、170[μl/(min・cm2・kPa)]である。ガス抜き部材42、44としてPTFE膜(孔径:0.2[μm]、膜厚:139[μm])を使用する。そのウォーターブレークスルーポイントは、280[kPa]、ガス通過量は、28[ml/(min・cm2・kPa)]である。
次に、バブル隔離部材40による前記水溶液の圧力損失及び水素ガスの排出に必要なガス抜き部材42の断面積について具体的に説明する。
ここで、電気浸透材16の直径を7[mm]、前記水溶液の流量を200[μ/min]、水素ガスの発生量を100[μ/min]、さらに、出口側チェンバー28内の圧力を50[kPa]と仮定すれば、バブル隔離部材40による前記水溶液の圧力損失は3[kPa]となり、一方で、ガス抜き部材42の断面積は0.007[mm2]となる。
このように、電気浸透流ポンプ10Aにおける前記水溶液の圧力損失は数[kPa]程度であり、電気浸透流ポンプの一般的なポンプ特性から考えても特に問題の無い数値である。
また、ガス抜き部材42は、0.007[mm2]程度の通過断面積で水素ガスを外部に排出することが可能である。この断面積が小さければ、電気浸透流ポンプ10A内部からの水溶液の蒸発による損失を抑制することができる。上述した具体例では、バブル隔離部材40及びガス抜き部材42の厚さは共に150[μm]程度以下であるので、これらの部材を増設しても電気浸透流ポンプ10Aのサイズはほとんど変化しない。
さらに、バブル隔離部材40と電気浸透材16とポンプ容器12の内壁とによって形成された空間(出力側チェンバー28)の直径が2〜3[mm]程度以下になると、前記水溶液に作用する力は、重力よりも表面張力が支配的となる。これにより、電気浸透流ポンプ10Aは、どのような姿勢になっても前記重力の影響を受けないオリエンテーションフリーの状態とすることができる。
さらにまた、バブル隔離部材40は、電気浸透流ポンプ10Aやマイクロ流体チップを含む系統の下流側における前記水溶液の圧力が低下した際に、外部よりガス抜き部材42、44を介して入口側チェンバー26や出口側チェンバー28にエアが逆流することを防止したり、電気浸透流ポンプ10Aに流入した異物を下流側に排出することを防止する役割を果たす。
電気浸透流ポンプ10Aは、前述したように、図示しないマイクロ流体チップや小型エレクトロニクス機器に搭載可能な小型ポンプであり、入口側チェンバー26の内径は、数[mm]程度以下である。そのため、流路14を流通する電解質溶液には表面張力による力が大きく作用するので、単に、電気浸透流ポンプ10Aの入口側(図1の右側)に前記電解質溶液の供給ラインを接続したり、あるいは、予め電解質溶液が充填されたカートリッジやタンクを接続しただけでは、前記電解質溶液の供給時に入口側チェンバー26にエアが残ってしまい、電気浸透流ポンプ10Aを正常に起動することができないことが想定される。
そこで、電気浸透流ポンプ10Aでは、入口側チェンバー26に自己充填機構50を配設している。この自己充填機構50は、先端部が入口側電極18を介して電気浸透材16に接触する液体引込部材(自己充填部)52と、該液体引込部材52側部を囲繞する囲繞部材54とポンプ容器12の内壁との間で形成されたエア抜きパス(エア抜き部)56とから構成される。
液体引込部材52は、電解質溶液に対する透過性能が大きな多孔質セラミックスやガラス繊維等の親水性の材料からなる。また、ポンプ容器12と同じ材料からなる囲繞部材54は、液体引込部材52がガラス繊維からなる場合、該ガラス繊維の形状が崩れないようにするための側壁であり、該液体引込部材52が多孔質セラミックのようにポンプ容器12内に配置しても形状が崩れない材料では不要である。
エア抜きパス56は、液体引込部材52と比較して前記電解質溶液の浸透圧力が小さな通路として構成され、単なるガス抜きの通路であっても、より浸透性の低い親水性材料や疎水性を有する材料を充填しても構わない。
自己充填機構50では、電気浸透流ポンプ10Aの起動時に、外部より液体引込部材52に駆動液体を供給する。これにより、供給された前記駆動液体は、液体引込部材52内を浸透して電極18を介して該液体引込部材52に接触する電気浸透材16の表面を濡らす。この結果、前記駆動液体は毛細管現象によって該電気浸透材16の内部に自発的に浸透し、出口側チェンバー28側の出口側電極20表面にまで浸透する。これにより、電気浸透流ポンプ10Aの起動準備が完了する。
そして、自己充填機構50は、(1)電気浸透材16表面を前記駆動液体で濡らすことができること、(2)入口側チェンバー26内部のエアを外部に排出することができること、(3)(1)及び(2)に要する時間を電気浸透流ポンプ10Aに要求される起動時間以内とすることの3つの条件を満足することが必要である。
図2は、自己充填機構50から電気浸透材16に対する駆動液体の供給原理を説明するための概略断面図であり、ポンプ容器12、入口側電極18、出口側電極20及び囲繞部材54の図示を省略したものである。なお、ここでは、液体引込部材52及びエア抜きパス56の基端部分が、駆動液体としての電解質溶液60で満たされた容器62内に浸漬している場合について説明する。
液体引込部材52及びエア抜きパス56を構成する多孔質媒体における電解質溶液60の浸透特性は、前記多孔質媒体の表面エネルギーγSO、多孔質媒体と電解質溶液60との界面における表面エネルギーγSL、電解質溶液60の表面エネルギーγ及び前記多孔質媒体の内部表面積によって決定される。ここでは、前記多孔質媒体において、電解質溶液60の液面より電気浸透材16に向かう方向に複数の孔(直径D)が一様な密度で形成されているとすれば、液体引込部材52における電解質溶液60の浸透圧力Pは、単位長当りの表面エネルギーの減少量によって決まり、(2)式で与えられる。
P=4γ×(γSL−γSO)/D=4γcosθ/D (2)
ここで、cosθ=(γSL−γSO)である。
水(電解質溶液)の表面張力をγ=73[mN/m]とし、D=10[μm]とし、θ=0とすれば、その浸透圧力Pは、28[kPa]程度になる。また、D=100μmとすれば、P=3[kPa]となる。
図2において、入口側チェンバー26(図1参照)に配置された液体引込部材52をD=10[μm]の孔を有する多孔質体で構成し、一方で、エア抜きパス56をD=100[μm]の孔を有する多孔質体で構成して、これらの多孔質体の下部を電解質溶液60で充填された容器62に浸漬する。
この場合、液体引込部材52及びエア抜きパス56には電解質溶液60が上方に向かって浸透し、浸透によって液体引込部材52及びエア抜きパス56内の圧力が上昇する。ところが、液体引込部材52の浸透圧力(28[kPa])とエア抜きパス56の浸透圧力(3[kPa])との差異によって、液体引込部材52を浸透する電解質溶液60が、エア抜きパス56内を浸透する電解質溶液60をエアを介して押し出す形となり、先に電気浸透材16の表面に到達する。結果として、エア抜きパス56には電気浸透材16表面近傍のエアが流入して、エア抜きパス56内部の圧力は3kPa程度の正圧になる。
従って、自己充填機構50では、自己充填性能及びエアの排出の観点より、(1)浸透圧力Pの大きな液体引込部材52により電気浸透材16における入口側チェンバー26側の表面に電解質溶液60が到達すること、(2)予め入口側チェンバー26内部に存在するエアを浸透圧力P(3[kPa])の小さなエア抜きパス56から入口側チェンバー26外部に排出すること、(3)エア抜きパス56内部を小さい浸透圧力P(3[kPa])で決まる正圧が加わった状態とすることの3つの条件を兼ね備えている。
この場合、(1)によって電気浸透材16に電解質溶液60を供給することが可能となり、電気浸透流ポンプ10Aの運転開始時に電気浸透材16表面に対して継続的に電解質溶液60を供給できる。また、(2)によって入口側チェンバー26内部のエアで電解質溶液60の浸透が阻止されることなく電気浸透材16表面を濡らすことができる。さらに、(3)によって入口側チェンバー26で発生するガス(電極18近傍で発生する酸素ガスを含む)をポンプ容器12外部に排出するために必要な圧力を自己充填機構50により作り出すことが可能となり、電極18で発生した酸素ガスをガス抜き部材44から外部に排出するために必要な圧力が自己充填時に作り出せる。
電気浸透流ポンプ10Aの起動時における自己充填機構50の動作速さについて説明すると、電気浸透材16の入口側チェンバー26側の表面が電解質溶液60で濡れるまでの時間がその目安となる。
ここで、毛細管としての液体引込部材52内の電解質溶液60の運動は、表面張力による駆動力F(F=2πRγcosθ、R:液体引込部材52の直径)、前記毛細管内の粘性摩擦項及び重力により生じる圧力により決まる。前記毛細管中の浸透距離が小さい場合や水平におかれた場合等、重力による圧力項が表面張力による駆動力と比較して十分に小さい場合(浸透圧力を十分に大きく設計した場合)には、重力の項を無視できるので、液体引込部材52の内部における電解質溶液60の移動距離Zと移動時間tとの関係は(3)式で与えられる。
2=γRcosθ×t/(2η) (3)
ここで、tは、液体引込部材52の内部における電解質溶液60の移動時間であり、ηは、液体引込部材52の粘性係数である。
(3)式において、Z=20[mm](電気浸透流ポンプ10Aの上流側の接続口から電気浸透材16表面までの距離とする。)、γ=73[mN/m]、R=10[μm]、θ=0、η=0.001[Pa・s]とすれば、t≒1[s]となる。また、Rを小さくするとtが長くなるので、自己充填機構50の動作速さと液体引込部材52の浸透圧力との間にはトレードオフが必要である。
第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Aは、以上のように構成されるものであり、次に、電気浸透流ポンプ10Aの作用効果について、図1及び図2を参照しながら説明する。
先ず、電気浸透流ポンプ10Aの上流側と図示しないタンク又はカートリッジとを接続し、前記タンク又は前記カートリッジより自己充填機構50に電解質溶液60を供給する。この場合、液体引込部材52の上流側はポンプ容器12よりも突出しているので、前記タンク又は前記カートリッジと電気浸透流ポンプ10Aの上流側とを連結した際に、液体引込部材52の上流側は、前記タンク又は前記カートリッジの電解質溶液60に浸漬される。
これにより、電解質溶液60は、液体引込部材52の内部に浸透し、該液体引込部材52の下流側に進行すると共に、エア抜きパス56にも進入する。液体引込部材52内部の電解質溶液60が、エア抜きパス56内を進行する電解質溶液60よりも先に電極18表面に到達すると、液体引込部材52内の電解質溶液60は、該電極18の孔30を介して電気浸透材16に浸透し、一方で、電解質溶液60によって入口側チェンバー26の圧力が上昇する。この場合、液体引込部材52の浸透圧力がエア抜きパス56の浸透圧力よりも高く設定されているので、電極18近傍のエアがエア抜きパス56に進入し、該エア抜きパス56内の電解質溶液60を押し出しながら外部に排出され、あるいは、ガス抜き部材44を介して外部に排出される。
一方、電気浸透材16に浸透した電解質溶液60は、入口側電極18側より出口側電極20側に速やかに浸透し、該電気浸透材16内部では、電解質溶液60で充填される。
このような状態で、直流電源34より各電極18、20に直流電圧を印加すると、各電極18、20間に形成される電界に基づいて電気浸透材16内の電解質溶液60が電極20側に移動し、電極20の孔32を介して出口側チェンバー28に排出される。
出口側チェンバー28に排出された電解質溶液60は、バブル隔離部材40を介して流路14の下流側に接続された図示しないマイクロ流体チップ等の流体機器に供給される。
また、前記直流電圧を印加した際に、電気化学反応によって電極18近傍で生成された酸素ガスのバブルは、ガス抜き部材44を介して外部に排出され、一方で、電極20近傍で生成された水素ガスのバブルは、ガス抜き部材42を介して外部に排出される。
なお、図1では、液体引込部材52の上流側がポンプ容器12よりも突出しているが、液体引込部材52及びポンプ容器12の上流側が同一位置であっても、該液体引込部材52の上流側が該ポンプ容器12の内方であっても、上記したタンク又はカートリッジより電解質溶液60が供給可能であることは勿論である。
このように、第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Aは、直流電圧の印加によって出口側電極20近傍に水素ガスが生成しても、電気浸透材16の下流側に配置されたバブル隔離部材40が駆動液体や電解質溶液60を通過させる一方で、前記水素ガスの通過を阻止する。これにより、下流側に接続されたマイクロ流体チップ等の各種流体機器に前記水素ガスが混入することを防止することができ、例えば、前記流体機器内を通過する液体の位置制御を電気浸透流ポンプ10Aによって正確に行うことが可能となる。
また、出口側電極20近傍で発生した水素ガスをガス抜き部材42を介して外部に排出するので、電気浸透流ポンプ10Aを長時間運転した際に、出口側電極20や電気浸透材16へのバブルの付着によるポンプ性能の低下を抑制することができる。一方、入口側電極18近傍で生成された酸素ガスの一部が、電気浸透材16を通過しても、ガス抜き部材42を介して外部に排出することができる。
さらに、ガス抜き部材44を配置することにより、電気浸透材16及び入口側電極18の上流側における酸素ガスの付着を阻止することができ、電気浸透流ポンプ10のポンプ性能の劣化を抑制することができる。
また、自己充填機構50の液体引込部材52と電気浸透材16とが接触しているので、外部より液体引込部材52に電解質溶液60を充填すると、充填された電解質溶液60が液体引込部材52より電気浸透材16の内部に速やかに浸透する。この状態で、前記直流電圧を電極18、20に印加すると、電気浸透材16より流路14の下流側に駆動液体や電解質溶液60を確実に排出することが可能となる。この結果、入口側電極18近傍にエアが存在する場合であっても、電気浸透流ポンプ10Aの自己充填性を確保することができる。
上記した説明では、液体引込部材52は、電気浸透材16と接触することが駆動液体(電解質溶液60)の自己充填の観点から望ましいが、電解質溶液60に対する入口側電極18の濡れ性が良好であれば、入口側電極18を介在させる形で電気浸透材16と液体引込部材52とを接触させること、すなわち、液体引込部材52と入口側電極18とを接触させることも可能である。さらに、液体引込部材52に対して電気浸透材16及び入口側電極18を接触させることも可能である。
さらにまた、バブル隔離部材40を親水性材料から構成し、バブル隔離部材40をガスが通過するために必要なガス圧(最低バブルポイント)を1[kPa]以上とし、且つバブル隔離部材40における流路14の軸線方向に沿った厚みを3[mm]以下とすることにより、本実施形態の対象とするポンプ特性(寸法や圧力特性)に照らして、実際的な方法として、電極20近傍で発生する水素ガスの流路14下流側への流出を阻止することができる。
さらにまた、ガス抜き部材42を疎水性材料で構成し、該ガス抜き部材42に対する駆動液体の通過圧力を前記駆動液体の運転時の最大圧力よりも大きく設定し、流路14におけるガスの通過方向に沿ったガス抜き部材42の厚みを3[mm]以下とすることにより、電極20近傍で発生する水素ガスの排出を効率よく行うことができる。
上述した第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Aでは、駆動液体として電解質溶液60を主に説明したが、他の液体を駆動液体として使用してもよいことは勿論である。この場合、直流電圧を電極18、20に印加すると、該電極18、20近傍には、前記他の液体に特有のガス成分のバブルが発生する。
また、電気浸透流ポンプ10Aでは、電極18、20の形状として孔30、32が形成された電極としているが、ワイヤ形状の電極や多孔質体の表面に金属を蒸着して構成された電極を用いてもよいことは勿論である。なお、上記した電極18、20は、白金やカーボンや銀等の導電性材料から構成すると好適である。
さらに、電極18、20では、電極18を正極とし、電極20を負極としているが、これは、電気浸透材16が負に帯電する場合を想定したためであり、該電気浸透材16が正に帯電する場合には、電極18を負極とし、電極20を正極としても上述した作用効果が得られることは勿論である。
さらにまた、電極18、20に対して直流電圧を印加しているが、パルス電圧を印加してもよいことは勿論である。
さらにまた、電気浸透流ポンプ10Aでは、ポンプ容器12が上流側より大径部分22及び小径部分24の順で形成されているが、該ポンプ容器12の形状は、上述した形状に限定されるものではないことは勿論である。例えば、ポンプ容器12を全体的にストレート形状としたり、あるいは、上流側より小径部分及び大径部分の順で構成することも可能である。
次に、第2実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Bについて、図3〜図5を参照しながら説明する。なお、図1及び図2に示した第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Aの各構成要素と同じ構成要素については、同一の符号を付けて説明し、以下同様とする。
第2実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Bは、図3に示すように、バブル隔離部材40が出口側チェンバー28に配置され、ガス抜き部材42、44及び自己充填機構50が配設されていない点で、第1実施形態に係る電気浸透流ポンプ10A(図1及び図2参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Bは、入口側チェンバー26においてガス発生への対策及び上流側の入口径が充分に大きい場合(例えば、5mm以上)であって、短時間運転しても出口側チェンバー28における水素ガスの発生がそれ程顕著とならない場合に用いられる。
電気浸透流ポンプ10Bでは、出口側チェンバー28にバブル隔離部材40を配置することにより、流路14の下流側に接続された各種流体機器へのバブルの流入を回避することができる。この場合、出口側チェンバー28内部にバブルが蓄積することになるが、電気浸透流ポンプ10Bの運転時間が短く且つガスの発生量が少ない場合には、前記ガスがポンプ動作に大きな影響を与えることはない。さらに、バブル隔離部材40は、上記したバブル以外の異物を各種流体機器に流入することを防止する効果も奏する。このように、電気浸透流ポンプ10Bでは、より少ない構成要素で下流側へのバブルや異物の排出を防止することができるので、より低コストで装置を製造することが可能である。
なお、出口側チェンバー28の容積を予測されるバブル発生量と比較して大きくすることにより、電気浸透流ポンプ10Bを確実に動作することができることは勿論である。また、電気浸透流ポンプ10Bでは、直流電圧を電極18、20に印加しても、該電極18、20近傍からガスが顕著に発生しない電気伝導度の低い駆動液体を流路14に流すことも可能であり、このような駆動液体としては、例えば、アルコールや有機溶媒がある。
また、電気浸透流ポンプ10Bでは、図4に示すように、大径部分22と小径部分24とを別体とし、大径部分22と小径部分24とでバブル隔離部材40を狭持した状態で大径部分22と小径部分24とを嵌合させると好適である。この場合、大径部分22と小径部分24との嵌合部分に図示しない疎水性のパッキン、シート又はOリング等を介挿させると、該嵌合部分からの電解質溶液の漏出を防止することができる。
また、図5に示すように、大径部分22と小径部分24とを別体とし、該大径部分22又は小径部分24に対してバブル隔離部材40を固着した状態で、大径部分22と小径部分24とを溶着又は接着しても好適である。
上述した電気浸透流ポンプ10Bでは、ポンプ容器12が上流側より小径部分70、小径部分24及び大径部分22の順で形成されているが、該ポンプ容器12の形状は、上述した形状に限定されるものではないことは勿論である。
次に、第3実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Cについて、図6を参照しながら説明する。
第3実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Cは、入口側チェンバー26における大径部分22と小径部分70とがバブル隔離部材(上流側液体通過部材)72で仕切られている点で、第2実施形態に係る電気浸透流ポンプ10B(図3参照)とは異なる。
バブル隔離部材72は、バブル隔離部材40と略同一の構成を有し、入口側電極18近傍におけるガスの発生及び出口側電極20近傍におけるガスの発生が顕著ではなく、電気浸透流ポンプ10Cの運転時間が短時間である場合に用いられる。
電気浸透流ポンプ10Cでは、第2実施形態に係る電気浸透流ポンプ10B(図3参照)の作用効果に加え、流路14の上流側より電気浸透流ポンプ10Cに異物やバブルが流入しても、バブル隔離部材72において、前記異物や前記バブルの入口側チェンバー26内部への流入を阻止する。この結果、電気浸透流ポンプ10Cのポンプ性能を確保することが可能となる。
次に、第4実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Dについて、図7〜図14を参照しながら説明する。
第4実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Dは、出口側電極20近傍のポンプ容器12の側部にガス抜き部材42が配設されている点で、第2実施形態に係る電気浸透流ポンプ10B(図3参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Dは、入口側チェンバー26においてガスの発生が大きな問題とならない場合や、前記ガスの発生があってもバブルが自重によって入口側チェンバー26より外部に排出可能である場合に用いられる。この場合、電気浸透流ポンプ10Dの上流側には、駆動液体を流路14に供給するリザーバが接続可能である。
電気浸透流ポンプ10Dでは、電極20近傍においてガスが大量に発生しても、該ガスをガス抜き部材42より外部に排出することが可能となるので、流路14の下流側へのバブルの排出を阻止すると共に、電気浸透流ポンプ10Dの長期運転を継続することができる。
また、電気浸透流ポンプ10Dでは、図8に示すように、ポンプ容器12における出口側チェンバー28の側部に外部と連通する複数の孔74を形成し、該ポンプ容器12上で各孔74を閉塞するようにガス抜き部材42を配設しても構わない。
この場合、孔74は、図9及び図10に示すように、ポンプ容器12の円周方向に沿って等間隔に形成すると、電気浸透流ポンプ10Dをどのような姿勢で配置しても出口側チェンバー28内部のガスを孔74及びガス抜き部材42を介して確実に外部へと排出することができるので好適である。なお、図9は、ポンプ容器12の側部に90[°]間隔で4つの孔74を形成した場合を示し、図10は、ポンプ容器12の側部に60[°]間隔で6つの孔74を形成した場合を示している。
また、ガス抜き部材42についても、各孔74に対応して複数個のガス抜き部材42で各々閉塞してもよいし、あるいは、ポンプ容器12側部を巻回して各孔74を閉塞してもよい。
さらに、図7及び図8では、ガス抜き部材42を疎水性を有し且つガスを通過することが可能なプラスチック材料(例えば、PTFEからなるガス透過性の熱収縮チューブ)で構成しているが、図11に示すように、機械的強度がより大きい多孔質セラミックスのブロックを用いてもよい。この場合、前記多孔質セラミックスは、駆動液体に対して十分に大きな最低ウォータブレークスルーポイントを備えるように予め疎水性処理を行った後に、ポンプ容器12の側部に溶着又は接着される。
また、ガス抜き部材42に対する剛性が要求されない場合には、図11に示す多孔質セラミックスのブロックに代えて、図12に示す多孔質材のシート又は膜を用いてもよい。この場合、ポンプ容器12の内側に前記シート又は膜を配置すれば、ポンプ容器12に対する前記シート又は前記膜の固着強度を確保することができる。
さらに、バブル隔離部材40についても、図13及び図14に示すように、出口側電極20と接触させると、バブル隔離部材40、大径部分22及び電極20で仕切られた空間は、電極20近傍で発生したガスをガス抜き部材42を介して外部に排出するためのガス抜き流路となり、前記ガスをガス抜き部材42を介して迅速に外部に排出することが可能となる。また、出口側電極20とバブル隔離部材40とが接触しているので、電気浸透材16より孔32を介して排出された駆動液体をそのままバブル隔離部材40に浸透させて、流路14の下流側に接続された各種流体機器に供給することが可能となる。
次に、第5実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Eについて、図15を参照しながら説明する。
第5実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Eは、入口側チェンバー26にバブル隔離部材72が配置されている点で、第4実施形態に係る電気浸透流ポンプ10D(図7参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Eは、上述した第3及び第4実施形態に係る電気浸透流ポンプ10C、10D(図6及び図7参照)と同様の作用効果を有し、入口側チェンバー26内部でのガスの発生が問題とならない場合に用いられるものであり、流路14の上流側からの異物やバブルの流入をバブル隔離部材72で阻止することができる。
次に、第6実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Fについて、図16を参照しながら説明する。
第6実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Fは、ポンプ容器12における入口側チェンバー26側の側部にガス抜き部材44が配置されている点で、第5実施形態に係る電気浸透流ポンプ10E(図15参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Fは、上述した第1及び第5実施形態に係る電気浸透流ポンプ10A、10E(図1及び図15参照)と同様の作用効果を奏し、入口側電極18からのガスの発生及び出口側電極20からのガスの発生が顕著な場合に用いられるものである。この場合、入口側チェンバー26内の圧力が電気浸透流ポンプ10Eの外部圧力よりも高ければ(電気浸透流ポンプ10の内部圧力>外部圧力)、その圧力差によって前記ガスをガス抜き部材44を介して外部に排出することが可能となる。
次に、第7実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Gについて、図17〜図21を参照しながら説明する。
第7実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Gは、入口側チェンバー26にバブル隔離部材72の代わりに自己充填機構50が配置されている点で、第6実施形態に係る電気浸透流ポンプ10F(図16参照)とは異なる。なお、電気浸透流ポンプ10Gにおいて、自己充填機構50は、液体引込部材52とエア抜きパス56とから構成されている。
電気浸透流ポンプ10Gは、上述した第1及び第6実施形態に係る電気浸透流ポンプ10A、10F(図1及び図16参照)と同様の作用効果を奏し、入口側電極18近傍でのガスの発生及び出口側電極20近傍でのガスの発生が顕著で且つ電気浸透材16に対する自己充填機能が要求される場合に用いられる。
この場合、浸透圧力の大きな液体引込部材52と浸透圧力の小さなエア抜きパス56とを組み合わせることにより、これらの浸透圧力によって入口側チェンバー26内部の圧力を制御することができるので、電気浸透流ポンプ10Gの外部から入口側チェンバー26に対する加圧が不要となり、入口側チェンバー26内のエアや電極18近傍で発生するガスを効率よく外部に排出することが可能となる。
また、図17では、エア抜きパス56を単なる空隙としているが、図18に示すように、液体引込部材52よりも低い浸透圧力を有する多孔質材料(例えば、ガラス繊維)から構成してもよい。この場合、液体引込部材52における駆動液体の浸透力が、エア抜きパス56における前記駆動液体の浸透力よりも大きく設定されているので、液体引込部材52に駆動液体が供給されると、該駆動液体は、液体引込部材52内に速やかに浸透し、さらに、電極18の孔30を介して電気浸透材16に迅速に浸透する。なお、前記多孔質材料は、疎水性であっても、親水性であってもよい。
さらに、エア抜きパス56について、図18に示す浸透圧力の低い材料に代えて、図19に示す疎水性を有し且つガス透過性を有する材料(例えば、プラスチック繊維材料)から構成してもよい。この場合、液体引込部材52に駆動液体が充填されると、入口側チェンバー26内部の圧力が上昇し、該入口側チェンバー26内部のエアは、エア抜きパス56を介して外部に排出される。
さらにまた、図20及び図21に示すように、小径部分70の内壁と接触するように液体引込部材52を配置し、該液体引込部材52内部に流路14の軸線方向に沿って複数のエア抜きパス56を形成してもよい。この場合、エア抜きパス56は、疎水性を有し且つガス透過性を有する材料からなる。これにより、電気浸透流ポンプ10Gの再起動時に液体引込部材52内部が局部的に乾燥していれば、乾燥部分のエアをエア抜きパス56を介して外部に排出することが可能となる。
次に、第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Hについて、図22及び図23を参照しながら説明する。
第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Hは、液体引込部材52の突起76が流路14の上流側と入口側チェンバー26とを仕切っている点で、第7実施形態に係る電気浸透流ポンプ10G(図17参照)とは異なる。
図22では、液体引込部材52の側部に径方向に突出する突起76が形成され、この突起76が入口側チェンバー26における大径部分22と小径部分70とを仕切っている。一方、図23は、小径部分70の内壁に当接するように突起76が突出形成されている。
この場合、液体引込部材52及び突起76は、駆動液体に対する浸透圧力が大きい親水性材料で構成し、バブル隔離部材72(図6及び図15)としての機能も兼ね備えている。換言すれば、液体引込部材52及び突起76は、上流側液体自己充填機構及び上流側液体通過部材として機能する。そのため、電気浸透流ポンプ10内部への異物やバブルの流入を防止すると共に、自己充填機構50の上流側の減圧によって入口側チェンバー26より上流側にエアが逆流することを阻止することが可能となる。
次に、第9実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Iについて、図24を参照しながら説明する。
第9実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Iは、流路14の下流側にも自己充填機構50と同様の自己充填機構(下流側流体自己充填機構)80が形成されている点で、第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10H(図22及び図23参照)とは異なる。
この場合、自己充填機構80は、出口側電極20に接触する液体引込部材82を有し、該液体引込部材82の側部には、出口側チェンバー28を仕切る突起84が形成されている。ここで、液体引込部材82は、液体引込部材52と同様に、駆動液体に対する浸透圧力が大きい親水性材料で構成し、突起84は、バブル隔離部材40(図1、図3、図6、図7、図15〜図17、図22及び図23参照)としての機能も兼ね備えている。換言すれば、液体引込部材82及び突起84は、下流側液体自己充填機構及び下流側液体通過部材として機能する。そのため、流路14の下流側への異物やバブルの流出を防止することが可能となる。また、入口側チェンバー26内部のガスは、ガス抜き部材44を介して外部に排出され、一方で、出口側チェンバー28内部のガスは、ガス抜き部材42を介して外部に排出される。さらに、上流側と下流側とに自己充填機構50、80がそれぞれ配置されているので、上流側から下流側への駆動液体の排出や、下流側から上流側への駆動液体の吸入を効率よく行うことができる。さらにまた、液体引込部材82は、電気浸透材16と接触することが駆動液体の自己充填の観点から望ましいが、駆動液体に対する出口側電極20の濡れ性が良好であれば、出口側電極20を介在させる形で電気浸透材16と液体引込部材82とを接触させること、すなわち、液体引込部材82と出口側電極20とを接触させることも可能である。さらに、液体引込部材52に対して電気浸透材16及び出口側電極20を接触させることも可能である。
次に、第10実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Jについて、図25を参照しながら説明する。
第10実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Jは、液体引込部材52、82に突起76、84が形成されていない点で、第9実施形態に係る電気浸透流ポンプ10I(図24参照)とは異なる。
この場合でも、上流側から下流側への駆動液体の排出や、下流側から上流側への駆動液体の吸入を効率よく行うことができる。
次に、第11実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Kについて、図26を参照しながら説明する。
第11実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Kは、入口側チェンバー26に液体引込部材52が形成されている点で、第4実施形態に係る電気浸透流ポンプ10D(図7参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Kは、第4及び第7実施形態に係る電気浸透流ポンプ10D、10G(図7及び図17参照)と同様の作用効果を有し、入口側電極18近傍で発生したガスを、エア抜きパス56から外部に排出することが可能である。これにより、ポンプ入口側の構成が簡素化される。すなわち、通常のポンプでは、小型化によって駆動液体のリザーバのサイズが小さくなり、この結果、外部より前記駆動液体を充填することが困難となる。これに対して、本実施形態では、駆動液体の浸透性が良好な液体引込部材52を配置することにより、該駆動液体の充填が容易となって、リザーバの小型化を実現することができる。
次に、第12実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Lについて、図27及び図28を参照しながら説明する。
第12実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Lは、ガス抜き部材42が形成されていない点で、第11実施形態に係る電気浸透流ポンプ10K(図26参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10Lは、第11実施形態に係る電気浸透流ポンプ10K(図26参照)と同様の作用効果を有し、ガス抜きが不要の場合に用いられる。
また、液体引込部材52に突起76が形成されていれば、第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10H(図22参照)と同様に、入口側チェンバー26への異物やバブルの流入を確実に阻止することができる。
次に、第13実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Mについて、図29及び図30を参照しながら説明する。
第13実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Mは、バブル隔離部材40が形成されていない点で、第12実施形態に係る電気浸透流ポンプ10L(図27及び図28参照)とは異なる。
電気浸透流ポンプ10M(図29参照)は、第12実施形態に係る電気浸透流ポンプ10L(図27及び図28参照)と同様に、ガス抜きが不要の場合に用いられる。また、液体引込部材52に突起76が形成されていれば(図30参照)、第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10H(図22参照)と同様に、入口側チェンバー26への異物やバブルの流入を確実に阻止することができる。
次に、第14実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Nについて、図31〜図34を参照しながら説明する。
第14実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Nは、出口側チェンバー28にも自己充填機構80が配設されている点で、第13実施形態に係る電気浸透流ポンプ10M(図29及び図30参照)とは異なる。
図31では、第12及び第13実施形態に係る電気浸透流ポンプ10L、10M(図27〜図30参照)と同様に、ガス抜きが不要の場合に用いられる。また、液体引込部材52に突起76が形成されていれば(図32参照)、第8実施形態に係る電気浸透流ポンプ10H(図22参照)と同様に、入口側チェンバー26への異物やバブルの流入を確実に阻止することができる。さらに、液体引込部材82に突起84が形成されていれば(図33参照)、第9実施形態に係る電気浸透流ポンプ10H(図24参照)と同様に、流路14の下流側へのバブルの流出を確実に阻止することができる。
さらにまた、液体引込部材52、82に突起76、84が形成されていれば(図34参照)、入口側チェンバー26への異物やバブルの流入や、流路14の下流側へのバブルの流出を確実に阻止することができる。
次に、第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Oについて、図35を参照しながら説明する。
第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Oは、第11実施形態に係る電気浸透流ポンプ10K(図26参照)のより具体的な構成である。
すなわち、ポンプ容器12は、大径部分22を含む第1部分12aと、小径部分24を含む第2部分12bとで構成され、第1部分12a側は、上流側より第2部分12bに向かって自己充填機構50、入口側電極18、電気浸透材16及び出口側電極20の順番で配置され、第2部分12b側には、電気浸透材16及び出口側電極20に対向して、バブル隔離部材40及びガス抜き部材42が配置されている。この場合、第1部分12aと第2部分12bとを嵌合することにより、電気浸透材16及び出口側電極20と、バブル隔離部材40及びガス抜き部材42と、第1部分12a及び第2部分12bとで区画された閉空間が出口側チェンバー28として形成される。
ここで、自己充填機構50の液体引込部材52と入口側電極18又は電気浸透材16との間には、駆動液体吸収部材86が配置されている。この駆動液体吸収部材86は、液体引込部材52が多孔質セラミックス(例えば、アルミナ)のような剛性を有する材料から構成されている場合に、液体引込部材52にて自己充填された駆動液体を電気浸透材16に速やかに供給できることを目的として設けられている。
すなわち、駆動液体吸収部材86は、親水性のスポンジ状の多孔質体(孔径:10[μm]〜100[μm]程度)、紙パルプのシート又は合成繊維のシートのような、柔軟性、吸水性、親水性及び保水性を有し、電気浸透材16の表面や、液体引込部材52の表面に対する密着性が良好な材料から構成される。この場合、駆動液体吸収部材86は、一例として、1[mm]の厚みを有する親水性のシートを、液体引込部材52(多孔質セラミックスの孔径:数十[μm]程度)と、電気浸透材16(多孔質セラミックスの孔径:数十[nm]〜数[μm]程度)とで挟み込み、該シートを押しつぶすことにより、液体引込部材52の表面に対する前記シートの密着性と、電気浸透材16の表面に対する該シートの密着性とをそれぞれ高め、駆動液体吸収部材86を介して液体引込部材52と電気浸透材16とを確実に接続するようにしている。
これにより、液体引込部材52にて自己充填された前記駆動液体を駆動液体吸収部材86を介して電気浸透材16に速やかに供給することが可能となり、ポンプ性能を向上することができる。
また、駆動液体吸収部材86は、液体引込部材52と電気浸透材16又は入口側電極18とに対するクッションとしての機能も果たすので、組み立て性が向上する。
なお、駆動液体に対する入口側電極18の濡れ性が良好であれば、入口側電極18に対する密着性が良好な材料から駆動液体吸収部材86を構成し、入口側電極18を介在させる形で電気浸透材16と駆動液体吸収部材86とを接触させること、すなわち、入口側電極18と液体引込部材52とで駆動液体吸収部材86を挟み込んで、駆動液体吸収部材86と入口側電極18とを接触させることも可能である。この場合でも、液体引込部材52から駆動液体吸収部材86を介して電気浸透材16に駆動液体を供給することが可能である。
さらに、入口側電極18及び液体引込部材52に対する密着性が良好な材料から駆動液体吸収部材86を構成し、入口側電極18を介在させる形で電気浸透材16及び入口側電極18と駆動液体吸収部材86とを接触させること、すなわち、電気浸透材16及び入口側電極18と液体引込部材52とで駆動液体吸収部材86を挟み込んで、駆動液体吸収部材86と電気浸透材16及び入口側電極18とを接触させることも可能である。この場合でも、液体引込部材52から駆動液体吸収部材86を介して電気浸透材16に駆動液体を供給することが可能である。
また、入口側電極18が、白金担持カーボン、カーボン繊維、ステンレススチール製のメッシュ等の前記駆動液体に対する濡れが良好でない材料から構成されている場合には、入口側電極18の孔30の孔径を大きく取り、該孔30を介して電気浸透材16と駆動液体吸収部材86とを直接接触させることが望ましい。
一方、第2部分12bにおける出口側電極20への対向部分のうち、流路14が形成される中央部分は、該出口側電極20に向かって突出する凸部90として形成され、この凸部90に前述したバブル隔離部材40が配置されている。また、前記対向部分のうち凸部90の隣接部分は、凹部88として形成され、この凹部88にガス抜き部材42が配置されている。さらに、ガス抜き部材42から前記駆動液体の下流側(図35の左側)に向かって複数の孔74が形成されている。
なお、図35では、本来は面一である第2部分12bにおける出口側電極20への対向部分について、その一部を凹部88とすることにより、前記中央部分を凸部90として形成しているが、バブル隔離部材40が配置されている部分の周囲を凹部88として形成し、この凹部88にガス抜き部材42を配置することも可能である。すなわち、バブル隔離部材40が配置される前記中央部分は、少なくとも、凹部88となっていないことが望ましい。
ここで、バブル隔離部材40として、例えば、親水性ポリエーテルスルホン膜(孔径0.2[μm])を採用すると、300[kPa]程度の最低バブルポイントが得られる。この場合、バブル隔離部材40は、出口側チェンバー28と流路14の小径部分24側(流路14の下流側)との間を遮るように、凸部90上に接着されている。
また、ガス抜き部材42として、例えば、PTFE多孔質膜(孔径0.1[μm])を採用すると、300[kPa]以上の最低ウォータブレークスルーポイントが得られる。この場合、ガス抜き部材42は、出口側チェンバー28と複数の孔74とを遮るように、凹部88上に接着されている。
なお、凸部90に対するバブル隔離部材40の接着方法や、凹部88に対するガス抜き部材42の接着方法には、超音波溶着、熱溶着、接着剤、レーザ溶接等がある。
孔74は、出口側チェンバー28からガス抜き部材42を介して排出されるガスが所定量通過できる程度の大きさで十分であり、出口側チェンバー28内の圧力に基づく前記PTFE膜(ガス抜き部材42)の引っ張り荷重が過大とならないように、円形状やスリット状(例えば、孔径0.1[mm]〜2[mm]程度)に加工することが望ましい。また、前記PTFE膜に対するダメージを防止するために、孔74と前記PTFE膜との接触箇所(孔74の上流側)を面取りすることも好ましい。
さらに、流路14の方向に沿った出口側チェンバー28のギャップ、換言すれば、電気浸透材16又は出口側電極20とガス抜き部材42とのギャップ(間隔)や、電気浸透材16又は出口側電極20とバブル隔離部材40とのギャップ(間隔)は、電気浸透流ポンプ10Oの特性上、重要なパラメータであるが、これらのギャップは、1[μm]〜3[mm]とすることが望ましい。すなわち、表面張力が重力に比べて支配的となるときの前記ギャップが3[mm]程度であり、一方で、流路14における流路抵抗が著しく大となる前記ギャップの大きさが1[μm]未満程度であるので、3[mm]を上限値とし、1[μm]を下限値とした前述の範囲内で、前記各ギャップを適宜設定(例えば、1[mm]程度)することが電気浸透流ポンプ10Oの特性上好ましいからである。
このように、前記ギャップを前述した範囲内にて、ある程度小さくすることにより、電気浸透流ポンプ10O内に発生したバブルの大きさを制限することができるので、ポンプ動作が安定化すると共に、出口側チェンバー28からガス抜き部材42及び孔74を介して外部にガスが排出されたときのポンプ流量の変動を抑制することが可能となる。さらに、電気浸透流ポンプ10O内部のデッドボリュームを小さくすることもできる。さらにまた、前記ギャップの大きさを前述した範囲内に設定することにより、ガスの排出に対する重力の影響が小さくなるので、電気浸透流ポンプ10Oをどの方向に向けて配置してもポンプ特性は変化せず、この結果、ポンプ性能に関してオリエンテーションフリーとすることが可能となる。例えば、電気浸透流ポンプ10Oの下流側(小径部分24側)を上向きに配置することも可能である。
また、出口側チェンバー28内にバブルがあると流路14内の駆動液体の流れが閉塞化したり、前記駆動液体の流量が変動するという問題が発生するが、凹部88上にガス抜き部材42を配置することにより、凸部90よりも凹部88に溜まりやすいバブルを効率よくガス抜き部材42から孔74を介して外部に排出することができる。すなわち、前記バブルは、凸部90上のバブル隔離部材40を通り抜けることができないので、該凸部90の側部に設けられた凹部88の領域に移動し、出口側チェンバー28の内圧によりガス抜き部材42から孔74を介して外部に排出される。
従って、第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Oでは、液体引込部材52に自己充填された駆動液体が駆動液体吸収部材86で効率よく吸収されて、電気浸透材16に速やかに供給され、この状態において、直流電源34から入口側電極18及び出口側電極20に直流電圧を印加すると、電気浸透材16内の前記駆動液体が出口側チェンバー28からバブル隔離部材40を介して外部に供給される。また、出口側チェンバー28内のバブルは、ガス抜き部材42から孔74を介して外部に排出される。
なお、上記の第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Oでは、流路14における電気浸透材16又は第1電極18の上流側にて、液体引込部材52と、電気浸透材16及び/又は第1電極18とで駆動液体吸収部材86を挟み込む場合について説明したが、この構成に代えて(あるいは、この構成に加えて)、電気浸透材16又は第2電極20の下流側にて、液体引込部材82(図24、図25、図31〜図34参照)と、電気浸透材16及び/又は第2電極20とで駆動液体吸収部材86を挟み込む場合でも、上述した効果が同様に得られることは勿論である。
また、上記の第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Oでは、流路14の方向に沿った電気浸透材16又は出口側電極20とガス抜き部材42とのギャップや、電気浸透材16又は出口側電極20とバブル隔離部材40とのギャップを、1[μm]〜3[mm]とした場合について説明したが、この構成に代えて(あるいは、この構成に加えて)、電気浸透材16又は入口側電極18とガス抜き部材44(図1、図16、図17及び図22〜図25参照)とのギャップや、電気浸透材16又は入口側電極18とバブル隔離部材72(図6、図15及び図16参照)とのギャップを、1[μm]〜3[mm]とした場合でも、上述した効果が同様に得られることは勿論である。
次に、第16実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Pについて、図36を参照しながら説明する。
第16実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Pは、流路14の上流側(入口87)と、下流側(出口89)とを共に一面91側(図36の右側)に設け、その対向する他面93側(図36の左側)にガス抜き部材42及び複数の孔74を設けた点で、第1〜第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10A〜10P(図1〜図35参照)とは異なる。
これにより、第16実施形態に係る電気浸透流ポンプ10Pでは、基板等の設置面に対する該電気浸透流ポンプ10Pの取付性(接続性)が向上すると共に、ポンプ全体の高さを低くすることができる。従って、電気浸透流ポンプ10Pは、例えば、エレクトロニクス機器における平面実装用の小型ポンプとして好適である。
次に、第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10O(図35参照)が適用された液体供給装置110について、図37を参照しながら説明する。
この液体供給装置110は、底部が閉塞され且つ上部が開放された筒状の液体容器92(例えば、深さ15[cm])内にメタノール又は水で希釈されたメタノール水等の液体燃料94が充填され、前記上部に電気浸透流ポンプ10Oが下流側(小径部分24側)を上向きに配置したものである。この場合、液体容器92内には、液体燃料94に対する吸収性が良好で且つ液体引込部材52に連結された液体燃料吸収部材96が配置されている。
液体燃料吸収部材96は、親水性で且つ気孔率の大きな多孔質材、あるいは、繊維状の材料(例えば、天然パルプ繊維による保水材)であることが望ましいが、液体引込部材52と同一材料で構成してもよいし、該液体引込部材52に採用されている材料よりも保水量の大きな材料で構成することも好ましい。
ここで、液体燃料吸収部材96に吸収された液体燃料94は、該液体燃料吸収部材96を介して液体引込部材52に自己充填され、さらに、駆動液体吸収部材86を介して電気浸透材16に供給される。この状態において、直流電源34から入口側電極18及び出口側電極20に直流電圧を印加すると、電気浸透材16内の液体燃料94が出口側チェンバー28からバブル隔離部材40を介して外部に供給され、出口側チェンバー28内のバブルは、ガス抜き部材42から孔74を介して外部に排出される。
前述したメタノール又はメタノール水等の液体燃料94は、燃料電池システムの燃料として使用されるので、より簡単な構成で、液体容器92内の液体燃料94を前記燃料電池システムに供給することができる。
また、メタノール100[%]の溶液の液体燃料94では、供給時に電気浸透流ポンプ10O内にバルブが発生しても、前記メタノールでの溶解度が大きく全て溶解されてしまうので、前述したガス抜き構造(ガス抜き部材42及び孔74)は特に設けなくても構わない。これに対して、前記メタノール水の液体燃料94では、水の存在によってポンプ電流が大きくなり、また、ガスの溶解度も小さいことから、バブルの発生を回避することはできないが、電気浸透流ポンプ10Oにガス抜き部材42及び孔74のガス抜き構造が設けられているので、発生した前記バブルを効率よく電気浸透流ポンプ10Oから外部に排出することができる。
さらに、電気浸透流ポンプ10Oがオリエンテーションフリーのポンプであるので、どのような姿勢でも液体燃料94の供給が可能であり、モバイル機器等の使用にも適している。また、液体燃料吸収部材96を液体容器92内部に配置することにより、該液体容器92に充填されている液体燃料94を全て外部に供給することができる。
なお、液体容器92に対して電気浸透流ポンプ10O及び液体燃料吸収部材96を着脱可能にしておけば、前記燃料電池システム側に電気浸透流ポンプ10O及び液体燃料吸収部材96に組み込み、液体容器92のみを取り替えることにより、液体燃料94の補充が容易となる。
また、上述した液体供給装置110では、一例として、第15実施形態に係る電気浸透流ポンプ10O(図35参照)を適用した場合について説明したが、第1〜第14、第16実施形態に係る電気浸透流ポンプ10A〜10N、10P(図1〜図34及び図36参照)を用いて、液体容器92内の液体燃料94を外部に供給することも可能であることは勿論である。
なお、本発明に係る電気浸透流ポンプ及び液体供給装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
第1実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図1の自己充填機構による自己充填機能を説明するための要部断面図である。 第2実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図3の大径部分と小径部分との嵌合状態を示す部分拡大断面図である。 図3の大径部分と小径部分との接合状態を示す部分拡大断面図である。 第3実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第4実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図7のガス抜き部材の構成を示す要部断面図である。 図8のIX−IX線に沿った縦断面図である。 図8のX−X線に沿った縦断面図である。 図7のガス抜き部材の他の構成を示す要部断面図である。 図7のガス抜き部材の他の構成を示す要部断面図である。 図7のバブル隔離部材の他の構成を示す要部断面図である。 図7のバブル隔離部材の他の構成を示す要部断面図である。 第5実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第6実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第7実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図17の自己充填機構の他の構成を示す要部断面図である。 図17の自己充填機構の他の構成を示す要部断面図である。 図17の自己充填機構の他の構成を示す要部断面図である。 図20のXXI−XXI線に沿った縦断面図である。 第8実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図22の他の構成を示す断面図である。 第9実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第10実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第11実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第12実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図27の他の構成を示す断面図である。 第13実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図28の他の構成を示す断面図である。 第14実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 図31の他の構成を示す断面図である。 図31の他の構成を示す断面図である。 図31の他の構成を示す断面図である。 第15実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第16実施形態に係る電気浸透流ポンプの断面図である。 第15実施形態に係る電気浸透流ポンプが適用された液体供給装置の断面図である。 従来技術に係る電気浸透流ポンプを示す要部断面図である。 従来技術に係る他の電気浸透流ポンプを示す要部断面図である。 本出願人が案出した電気浸透流ポンプを示す要部断面図である。
符号の説明
10、10A〜10P…電気浸透流ポンプ
12…ポンプ容器 14…流路
16…電気浸透材 18…入口側電極
20…出口側電極 26…入口側チェンバー
28…出口側チェンバー 30、32…孔
34…直流電源 40、72…バブル隔離部材
42、44…ガス抜き部材 50、80…自己充填機構
52、82…液体引込部材 54…囲繞部材
56…エア抜きパス 92…液体容器
96…液体燃料吸収部材 110…液体供給装置

Claims (13)

  1. 流路内に設けられた電気浸透材の上流側に第1電極を配置し且つ下流側に第2電極を配置し、前記第1電極及び前記第2電極に電圧を印加したときに前記電気浸透材を介して前記流路内に駆動液体を流通させる電気浸透流ポンプにおいて、
    前記流路には、毛細管現象に基づいて前記駆動液体を自己充填可能な液体自己充填機構が、前記電気浸透材の上流側又は下流側に配置され、
    前記液体自己充填機構が前記電気浸透材の上流側に配置された場合に、該液体自己充填機構は、前記電気浸透材又は前記第1電極と接触した状態で、前記駆動液体を前記電気浸透材に浸透させ、
    前記液体自己充填機構が前記電気浸透材の下流側に配置された場合に、該液体自己充填機構は、前記電気浸透材又は前記第2電極と接触した状態で、前記駆動液体を前記電気浸透材に浸透させる
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  2. 請求項記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記流路の上流側には、前記電気浸透材への異物の流入を阻止すると共に、前記電圧を印加したときに前記駆動液体を通過可能な上流側液体通過部材が前記電気浸透材より上流側に配置されている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  3. 請求項記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記電気浸透材と前記上流側液体通過部材との間には、前記電圧を印加したときに前記流路内に生成されるガスを外部に放出する上流側ガス抜き部材が配置されている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記流路の下流側には、前記流路内のガスの前記下流側への通過を阻止すると共に、前記駆動液体を通過可能な下流側液体通過部材が前記第2電極より下流側に配置されている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  5. 請求項記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記電気浸透材と前記下流側液体通過部材との間には、前記電圧を印加したときに前記流路内に生成されるガスを外部に放出する下流側ガス抜き部材が配置されている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  6. 請求項2〜5のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記液体通過部材は、親水性材料からなり、
    前記液体通過部材内をガスが通過するために必要なガス圧は、1[kPa]以上であり、
    前記流路の方向に沿った前記液体通過部材の厚みは、3[mm]以下である
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  7. 請求項又は記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記ガス抜き部材は、前記流路の側部に形成された疎水性材料からなり、
    前記ガス抜き部材に対する前記駆動液体の通過圧力が、前記駆動液体の運転時の最大圧力よりも大きく、
    前記ガスの通過方向に沿った前記ガス抜き部材の厚みは、3[mm]以下である
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記液体自己充填機構は、前記流路に沿って前記電気浸透材の近傍に配置された自己充填部と、前記自己充填部の側部に形成され且つ前記毛細管現象に基づく前記自己充填部での前記駆動液体の浸透圧力よりも小さな浸透圧力を有するエア抜き部とから構成され、
    前記自己充填部は、前記駆動液体を自己充填して前記電気浸透材に供給し、前記エア抜き部は、前記自己充填部の浸透圧力と前記エア抜き部の浸透圧力との差に基づいて、前記流路内に残存するエアを外部に排出する
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  9. 請求項記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記自己充填部は、親水性材料からなり、前記エア抜き部は、疎水性材料からなる
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  10. 請求項2〜6のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記流路の方向に沿った前記電気浸透材又は前記第1電極と前記上流側液体通過部材との間隔は、3[mm]以下であり、及び/又は、前記流路の方向に沿った前記電気浸透材又は前記第2電極と前記下流側液体通過部材との間隔は、3[mm]以下である
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記液体自己充填機構と前記電気浸透材、前記第1電極又は前記第2電極との間には、前記液体自己充填機構と前記電気浸透材、前記第1電極又は前記第2電極とに密着可能で、且つ親水性材料からなる駆動液体吸収部材が配置されている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプにおいて、
    前記流路は、前記電気浸透材、前記第1電極及び前記第2電極を収容するポンプ容器内に形成され、
    前記ポンプ容器における前記流路の上流側の入口と、前記流路の下流側の出口とは、同一面側に設けられている
    ことを特徴とする電気浸透流ポンプ。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気浸透流ポンプと、
    液体が充填された液体容器とを有し、
    前記液体容器内の前記液体を前記電気浸透流ポンプを介して外部に供給する
    ことを特徴とする液体供給装置。
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