JP4592990B2 - 基板固定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板固定装置に関し、特に、回路等を実装したプリント基板を筐体内に並設された溝等に押圧固定するための基板固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、図10に示すように、回路等を実装したプリント基板(以下「基板」と略称する)61を筐体62内の溝63に固定するため、図11に示すような基板固定装置64が用いられている。
【0003】
この基板固定装置64は、全体の支軸として機能する第1部材65と、ねじ66の締め付けにより移動する第2部材67〜第5部材70と、第1部材65に固定された第6部材71とで構成される。
【0004】
第1部材65は、固定対象の基板61(図10)に固定される。この固定により、第6部材71の位置も固定される。そして、基板固定装置64を伴う基板61を、溝63を有する筐体62に取り付ける際に、基板固定装置64の前面のねじ66を締め付けることにより、第2部材67〜第5部材70が図11(b)において右側に移動し、かつ、各部材67〜70の接触面に角度が付けられているため、上下方向にも移動する。この部材67〜70の移動により、基板固定装置64が溝63内に拡がり、基板61を固定する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の基板固定装置においては、複数の金属部材の摩擦力を利用して基板を固定するため、振動等の外的荷重により、部材間(例えば、第2部材67と第3部材68の接触面)に大きな摺動摩擦が発生し、その部分が噛みつく可能性がある。この場合、ねじを弛緩しても、部材に力が加わらないため、部材は、そのままの状態で保持される。特に、非常に弱い力の噛みつきが発生した場合でも、その状態が維持されるという問題があった。
【0006】
また、基板固定装置が基板の側面に位置し、筐体内に完全に埋まり込むため、上記噛みつきが発生した場合には、容易に基板固定装置を取り扱うことができず、噛みついた部分を引き放して、噛みつきを解消するのが非常に困難であるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記従来の基板固定装置における問題点に鑑みてなされたものであって、基板の固定に用いる基板固定装置が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって発生する噛みつきを防止するとともに、万が一、噛みつきが発生した場合でも容易に解消することのできる基板固定装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項記載の発明は、一端に斜面を有する固定部材を備えた支軸と、該支軸に挿通され、前記固定部材の前記斜面と摺動可能な斜面を有する可動部材と、該可動部材を前記固定部材側に押圧する押圧手段とを備えた基板固定装置において、該基板固定装置の前記支軸に基板を固定し、該基板と一体になった該基板固定装置を筐体に装着した際に、該筐体の外部から該基板固定装置の前記可動部材を移動させるための操作部を設け、前記操作部は、前記可動部材に螺設された雌ねじであって、前記筐体に穿設された貫通孔を介して挿入される雄ねじと螺合することを特徴とする。
【0012】
請求項記載の発明によれば、操作部を介して、筐体の外部から基板固定装置の可動部材を移動させることができるため、噛みつきが発生しても、可動部材と固定部材との間隔を強制的に変動させ、各部材間に相対変位を生じさせることにより、噛みつき部分には相対変位を拘束する反力が発生し、この反力と押圧手段の押圧力との平衡が崩れることにより、噛みつきが解消される。
【0014】
請求項記載の発明は、一端に斜面を有する固定部材を備えた支軸と、該支軸に挿通され、前記固定部材の前記斜面と摺動可能な斜面を有する可動部材と、該可動部材を前記固定部材側に押圧する押圧手段とを備えた基板固定装置において、前記可動部材を前記固定部材側とは反対側に付勢する付勢手段と、該基板固定装置の前記支軸に基板を固定し、該基板と一体になった該基板固定装置を筐体に装着した際に、該筐体の外部から該基板固定装置の前記可動部材を移動させるための操作部とを設け、前記付勢手段は、前記支軸に固定され、前記可動部材の前記支軸に面する内周面に突設された突起部とその端部が係合する板ばねであり、前記操作部は、前記可動部材に螺設された雌ねじであって、前記筐体に穿設された貫通孔を介して挿入される雄ねじと螺合することを特徴とする。
【0015】
請求項記載の発明によれば、付勢手段によって、可動部材を固定部材側とは反対側に付勢するため、押圧手段によって可動部材を固定部材側に押圧する力を緩めることにより、前記可動部材が固定部材から離れる方向に付勢することができ、両者の間の噛みつきを防止することができる。また、万一、噛みつきが発生しても、操作部を介して、筐体の外部から基板固定装置の可動部材を移動させることができるため、可動部材と固定部材との間隔を強制的に変動させ、各部材間に相対変位を生じさせることにより、噛みつき部分には相対変位を拘束する反力が発生し、この反力と押圧手段の押圧力との平衡が崩れることにより、噛みつきが解消される。
【0016】
請求項記載の発明は、請求項1又は2に記載の基板固定装置において、前記可動部材を複数設け、複数の可動部材の少なくとも1つの可動部材に、該可動部材を前記固定部材側とは反対側に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする。これによって、可動部材を複数備える基板固定装置においても、各部材間の噛みつきを防止することができる。
【0017】
請求項記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の基板固定装置において、前記可動部材を複数設け、複数の可動部材の少なくとも1つの可動部材に、前記操作部を設けたことを特徴とする。これによって、可動部材を複数備える基板固定装置において、噛みつきが発生しても、噛みつきを解消することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる基板固定装置の実施の形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1乃至図3は、本発明にかかる基板固定装置の第1実施例を示し、この基板固定装置1は、回路等を実装した基板を筐体内の溝等に固定するために使用され、この基板固定装置1が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって発生する噛みつきを防止するための構成を備える。
【0020】
この基板固定装置1は、全体の支軸として機能する第1部材2と、押圧手段としてのねじ3の締め付けにより移動する可動部材としての第2部材4〜第5部材7と、第1部材2に固定された第6部材8とを備える点は、従来の基板固定装置64と同様である。
【0021】
本発明にかかる基板固定装置1は、図2に詳細に描かれているように、第1部材2に付勢手段としての板ばね9が保持され、第4部材6の第1部材2に面する内周面に、板ばね9の反力を各部材4〜7に伝達するための突起6aを備えたことを特徴としている。
【0022】
次に、上記構成を有する基板固定装置1の動作について、図3を参照しながら説明する。
【0023】
第1部材2は、図示しない固定対象の基板に固定され、同時に第6部材8の位置も固定される。そして、基板固定装置1を伴う基板を、溝を有する筐体に取り付ける際に、基板固定装置1の前面のねじ3を締め付けると、第2部材4〜第5部材7は、同図で矢印で示すように右方向に移動する。この移動により、第1部材2に設けた板ばね9と、第4部材6に設けた突起6aとが干渉し、板ばね9の変形により、第2部材4〜第5部材7に左方向への反力が発生する。この反力は、ねじ3の弛緩により、各部材4〜7を元に戻すように、言い換えれば、各部材4〜7を引き離す方向に荷重が働くため、噛みつきを防止することができる。
【0024】
図4は、本発明にかかる上記基板固定装置1の噛みつき防止構造の変形例を示し、第1部材2に複数の板ばね9が保持され、第4部材6に、板ばね9の反力を各部材4〜7に伝達するための突起6aを複数設けたことを特徴としている。このように、板ばね9の数を増加させることにより、第2部材4〜第5部材7への左方向への反力を所望の値に調整することができる。
【0025】
また、図5は、本発明にかかる基板固定装置1の噛みつき防止機構のもう一つの変形例を示し、本実施例では、板ばね10をより厚く形成して、ばね定数を変更したものである。もちろん、板ばね9、10の材質を変化させることによってばね定数を調整することもできる。
【0026】
図6乃至図8は、本発明にかかる基板固定装置の第2実施例を示し、この基板固定装置11は、回路等を実装した基板を筐体内の溝等に固定するために使用され、この基板固定装置が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって発生した噛みつきを解消するための構成を備える。
【0027】
この基板固定装置11は、全体の支軸として機能する第1部材2(図8)と、ねじ3の締め付けにより移動する第2部材4〜第5部材7と、第1部材2に固定された第6部材8とを備える点は、上記基板固定装置1と同様である。
【0028】
本発明にかかる基板固定装置11は、図6に示すように、第3部材5乃至第5部材7に噛みつきを解消させるための操作部として雌ねじ12を螺設し、図7に示すように、基板固定装置11を筐体62に着脱するため、雌ねじ12と螺合する雄ねじ13及び座金14を備えたことを特徴としている。尚、図7(b)に示すように、筐体62には、雄ねじ13を貫通させるための貫通孔15が穿設され、この貫通孔15を挿通した雄ねじ13が雌ねじ12と螺合する。
【0029】
次に、上記構成を有する基板固定装置11の動作について、図8を参照しながら説明する。
【0030】
基板固定装置11が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって噛みつきが発生した場合には、筐体62の外部から、貫通孔15に雄ねじ13を挿入する。全箇所(3箇所)に、雄ねじ13を挿入し終えた時点で、任意の順番で、雄ねじ13を締め付けて雌ねじ12と螺合させる。この雄ねじ13の締め付けにより、筐体62と第2部材4〜第5部材7の各部材との間隔が強制的に変動し、各部材間で相対変位が発生する。そして、噛みつき部分には、相対変位を拘束する反力が発生し、この反力と雄ねじ13の締め付けによる軸力の平衡が崩れ、最終的に、雄ねじ13の軸力が大きくなり、噛みつきが解消される。
【0031】
図9は、上記第1実施例と第2実施例の構成を同時に備えた基板固定装置21を示し、基板固定装置21が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって発生する噛みつきを防止することができるとともに、万が一、噛みつきが発生した場合でも、容易に噛みつきを解消することができる。尚、各構成要素については、上記両実施例と同一の参照番号を付し、詳細説明を省略する。
【0032】
尚、上記実施例においては、可動部材(第2部材4〜第5部材7)が複数の場合について説明したが、可動部材を1つしか備えない基板固定装置についても同様に本発明を適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる基板固定装置によれば、基板の固定に用いる基板固定装置が振動等の外部荷重を受けた際に、摺動摩擦等によって発生する噛みつきを防止するとともに、万が一、噛みつきが発生した場合でも容易に解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる基板固定装置の第1実施例を示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図2】図1のB部詳細図である。
【図3】図1の基板固定装置の動作を説明するための図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】図1の基板固定装置の変形例を示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】図1の基板固定装置のもう一つの変形例を示す図であって、図2と同様の箇所を示す断面図である。
【図6】本発明にかかる基板固定装置の第2実施例を示す図であって、(a)は正面、(b)は上面図、(c)は背面図である。
【図7】図6の基板固定装置を筐体に装着する要領を説明するための図であって、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は(a)のE−E線断面図である。
【図8】図6の基板固定装置の動作を説明するための図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図9】本発明にかかる第1実施例と第2実施例の構成を同時に備えた基板固定装置を示す図であって、(a)は背面図、(b)は上面図、(c)は正面図、(d)は(b)のG−G線断面図である。
【図10】従来の基板固定装置の使用方法を説明するための概略斜視図である。
【図11】従来の基板固定装置の一例を示す図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のH−H線断面図である。
【符号の説明】
1 基板固定装置
2 第1部材
3 ねじ
4 第2部材
5 第3部材
6 第4部材
6a 突起
7 第5部材
8 第6部材
9 板ばね
10 板ばね
11 基板固定装置
12 雌ねじ
13 雄ねじ
14 座金
15 貫通孔
21 基板固定装置
61 基板
62 筐体

Claims (4)

  1. 一端に斜面を有する固定部材を備えた支軸と、該支軸に挿通され、前記固定部材の前記斜面と摺動可能な斜面を有する可動部材と、該可動部材を前記固定部材側に押圧する押圧手段とを備えた基板固定装置において、
    該基板固定装置の前記支軸に基板を固定し、該基板と一体になった該基板固定装置を筐体に装着した際に、該筐体の外部から該基板固定装置の前記可動部材を移動させるための操作部を設け
    前記操作部は、前記可動部材に螺設された雌ねじであって、前記筐体に穿設された貫通孔を介して挿入される雄ねじと螺合することを特徴とする基板固定装置。
  2. 一端に斜面を有する固定部材を備えた支軸と、該支軸に挿通され、前記固定部材の前記斜面と摺動可能な斜面を有する可動部材と、該可動部材を前記固定部材側に押圧する押圧手段とを備えた基板固定装置において、
    前記可動部材を前記固定部材側とは反対側に付勢する付勢手段と、
    該基板固定装置の前記支軸に基板を固定し、該基板と一体になった該基板固定装置を筐体に装着した際に、該筐体の外部から該基板固定装置の前記可動部材を移動させるための操作部とを設け
    前記付勢手段は、前記支軸に固定され、前記可動部材の前記支軸に面する内周面に突設された突起部とその端部が係合する板ばねであり、
    前記操作部は、前記可動部材に螺設された雌ねじであって、前記筐体に穿設された貫通孔を介して挿入される雄ねじと螺合することを特徴とする基板固定装置。
  3. 前記可動部材を複数備え、複数の可動部材の少なくとも1つの可動部材に、該可動部材を前記固定部材側とは反対側に付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の基板固定装置。
  4. 前記可動部材を複数備え、複数の可動部材の少なくとも1つの可動部材に、前記操作部を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の基板固定装置。
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