以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるコネクタを示す第1の斜視図でありアクチュエータが第2位置にあるときの斜め上後方から観た図、図2は本発明の実施の形態におけるコネクタを示す第2の斜視図でありアクチュエータが第2位置にあるときの斜め上前方から観た図、図3は本発明の実施の形態におけるコネクタを示す第3の斜視図でありアクチュエータが第1位置にあるときの斜め上前方から観た図、図4は本発明の実施の形態におけるコネクタのアクチュエータを示す斜視図であり斜め下後方から観た図、図5は本発明の実施の形態におけるコネクタのハウジングを示す斜視図であり斜め上前方から観た図である。
図において、1は本実施の形態におけるFPC用コネクタとしてのコネクタであり、平板状ケーブルを電気的に接続するためのコネクタとして使用される。前記平板状ケーブルは、フレキシブル回路基板(FPC:Flexible Printed Circuit)、フレキシブルフラットケーブル(FFC:Flexible Flat Cable)等と称される平板状可撓性ケーブルであるが、導電線を備える平板状のケーブルであれば、いかなる種類のものであってもよい。なお、本明細書においては、一般的にFPCと称されるフレキシブル回路基板だけでなく、FFCと称されるフレキシブルフラットケーブルをも含めた平板状可撓性ケーブル全般のことを「FPC」と言うこととする。
また、本実施の形態において、コネクタ1の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、コネクタ1が図に示される姿勢である場合に適切であるが、コネクタ1の姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジング11と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成され、前記ハウジング11に姿勢変化可能に取付けられたアクチュエータ21とを有する。すなわち、該アクチュエータ21は、姿勢変化して第1位置及び第2位置になるように前記ハウジング11に取付けられている。
そして、該ハウジング11は、下部12、上部15、並びに、前記下部12と上部15との間に形成された前方(図2及び3における左斜め下方)から図示されないFPCの端部を挿入するための開口部である挿入口33を有し、該挿入口33には金属製の端子としての奇数極端子51及び偶数極端子61が装填される端子受入溝34が複数形成されている。該端子受入溝34は、例えば、ピッチ約0.5〔mm〕で70本程度形成され、各端子受入溝34には奇数極端子51及び偶数極端子61のいずれかが1つずつ装填されるようになっている。なお、必ずしもすべての端子受入溝34に端子が装填される必要はなく、FPCの配線の配列に対応させて、端子を適宜省略することができる。また、図においては、端子受入溝34及び端子が多数であるため、ハウジング11の両側近傍を除いて、前記端子受入溝34及び端子の図示が省略されている。
さらに、前記ハウジング11の両側部には、アクチュエータ21に形成された第1係合凸部29b、第2係合凸部29a及び係合当接部29とそれぞれ係合する第1係合凹部37b、第2係合凹部37a及び係合当接部36が形成されている。また、前記ハウジング11の前方(図2及び3における左斜め下方)寄りの両側下部には、金属製の取付補助金具としてのネイル81が取付けられている。そして、該ネイル81は金属板を加工したものであり、ハウジング11の中心方向に突出する係合突出部82を有する。
また、前記アクチュエータ21は、本体部23の前方(図4における左下方)寄りの部分における下面に、アクチュエータ21が第2位置としての閉位置になったときに、前記挿入口33から挿入されたFPCを下方、すなわち、前記端子受入溝34内に装填された奇数極端子51及び偶数極端子61の後述される下腕ビーム53及び63の方向に向けて押圧する複数の押圧部46を有する。また、該押圧部46はアクチュエータ21が開位置となったときにはFPCの挿入を可能にする。なお、前記押圧部46の間には、前記奇数極端子51及び偶数極端子61の後述される上腕ビーム54及び64を収容するための収容溝47が複数形成されている。該収容溝47の数及び位置は、前記端子受入溝34と対応する。また、前記本体部23は、アクチュエータ21が閉位置になったときに前記FPCの挿入方向とほぼ平行になり、アクチュエータ21が開位置になったときに前記FPCの挿入方向とほぼ直角になる。
そして、前記本体部23の後方(図4における右上方)端部には、アクチュエータ21が閉位置になったときに前記ハウジング11の後方(図5における右上方)、すなわち、前記挿入口33と反対側の端部及び奇数極端子51及び偶数極端子61の後述されるテール部52及び62を覆い隠すダストカバー部22が形成されている。該ダストカバー部22は、長方形で表面が平滑な平板状の実装用吸着エリア25、該実装用吸着エリア25の周囲を囲むように形成された凹部であるダストプール部26、該ダストプール部26の上端において後方に突出する指掛け部27を有する。なお、該指掛け部27は、アクチュエータ21が閉位置になったときにダストカバー部22の上縁に沿って実装用吸着エリア25の両側に位置するように形成されることが望ましい。これにより、オペレータが手指で操作して、第2位置としての閉位置にあるアクチュエータ21を第1位置としての開位置にまで姿勢変化させる際に、オペレータの手指を指掛け部27に容易に掛けることができ、前記アクチュエータ21を閉位置から開位置にまで容易に姿勢変化させることができる。
さらに、前記ダストカバー部22にはスライド可能な補助部材41が取付けられている。該補助部材41は、合成樹脂等の絶縁性材料から成る板部材であり、アクチュエータ21が閉位置になったときに上下方向にスライドすることができるように、ダストプール部26に取付けられる。なお、図に示される例において、補助部材41は、左右に2分割されているが、左右一体に形成されていてもよいし、3分割以上に細かく分割されていてもよい。また、左右に分割された部分は、各々略L字状の形状を備え、左右の補助部材41を合せると、ダストプール部26と同様に、実装用吸着エリア25の周囲を囲むような形状を備えているが、いかなる形状を備えるものであってもよく、例えば、左右に延在する帯状の形状を備えるものであってもよい。
左右の補助部材41には、所定数(例えば、左右2つずつ)の係合開口42が形成され、該係合開口42がダストプール部26に所定数(例えば、左右2つずつ)形成された係合突起26aとスライド可能に係合するようになっている。この場合、前記係合開口42は上下に延在する細長い形状を備える。また、前記係合突起26aには、補助部材41を係止するための係止部材としての係止ピン45が固定される。該係止ピン45は、頭部の直径が係合開口42の幅よりも大きく、また、軸部が係合突起26aの中心に形成された挿入孔(こう)に圧入されて固定される。これにより、前記補助部材41は、ダストプール部26から脱落することなく、スライドすることができる。なお、補助部材41を係止するための係止部材は、前記係止ピン45に限定されるものでなく、例えば、頭部の直径が係合開口42の幅よりも大きなビスやボルトであってもよいし、係合開口42と係合突起26aとの係合状態を維持するものであれば、いかなる種類のものであってもよい。
さらに、補助部材41の図4における上縁と指掛け部27との間には、補助部材41を図4における下方に付勢するための付勢部材43が配設される。該付勢部材43は、ばね性を備える部材であれば、いかなる部材であってもよく、例えば、コイルスプリングであってもよいし、リーフスプリングであってもよいし、また、補助部材41又は指掛け部27と一体的に形成されたものであってもよいし、補助部材41又は指掛け部27と別個に形成されたものであってもよい。図に示される例において、付勢部材43は、合成樹脂等の絶縁性材料から成る細長い棒状部材であり、ばね性を発揮するように、「へ」の字状、すなわち、ブーメラン状の形状に形成され、一端が補助部材41の上縁に一体的に接続されるとともに、他端が指掛け部27の下面に当接する。そして、付勢部材43は、図4における上下方向に圧縮されると、弾性的に変形してばね力を発揮し、これにより、補助部材41を下方に付勢する。
また、前記本体部23には、開位置において前記FPCの挿入方向とほぼ平行な方向に貫通する貫通孔24が、複数個形成されている。該貫通孔24の形状、大きさ、数等は任意に設定することができるが、本実施の形態においては、5個形成されている。さらに、前記本体部23の両側部の内壁面には、前記ハウジング11の第1係合凹部37b、第2係合凹部37aと係合する第1係合凸部29b及び第2係合凸部29aが形成され、前記本体部23の前方(図2における左下方)端部の両側部には、前記ハウジング11の係合当接部36と係合する係合当接部29が形成されている。また、前記本体部23の両側部の外壁面には、前記ネイル81の係合突出部82と係合する第3係合凸部28a及び第4係合凸部28bが形成されている。
そして、コネクタ1は、図1に示されるように、コネクタ実装表面としての基板91の面上に実装される。なお、前記基板91は、例えば、プリント回路基板であるが、コネクタ1を実装可能な部材であれば、いかなる部材であってもよい。この場合、前記ネイル81の下面が前記基板91の面上に形成された接続パッドにはんだ付によって接続され、また、前記奇数極端子51及び偶数極端子61の後端に突出するテール部52及び62が前記基板91の面上に形成された配線にはんだ付によって接続される。これにより、ハウジング11が前記基板91の面上に固定されるとともに、奇数極端子51及び偶数極端子61のそれぞれが対応する配線に電気的に接続されて電気的接続部を形成する。
次に、前記構成のコネクタ1の動作について説明する。
図6は本発明の実施の形態におけるアクチュエータが第1位置にあるときのコネクタの内部を示す第1の断面図であり図3のA−A矢視断面図、図7は本発明の実施の形態におけるアクチュエータが第1位置にあるときのコネクタの内部を示す第2の断面図であり図3のB−B矢視断面図、図8は本発明の実施の形態におけるアクチュエータが第2位置にあるときのコネクタの内部を示す第1の断面図であり図2のC−C矢視断面図、図9は本発明の実施の形態におけるアクチュエータが第2位置にあるときのコネクタの内部を示す第2の断面図であり図2のD−D矢視断面図である。
本実施の形態において、端子は金属板を打抜くことによって形成され、2種類の形状のものが使用され、ハウジング11には、2種類の形状の端子がハウジング11の幅方向に交互に配列されるように装填される。ここでは、奇数番目に配列される端子を奇数極端子51(第1の端子)として説明し、偶数番目に配列される端子を偶数極端子61(第2の端子)として説明する。
図6及び8は、偶数極端子61が装填されている部分の断面図である。なお、ネイル81の下面が基板91の面上に形成された図示されない接続パッドにはんだ付によって接続され、テール部62が前記基板91の面上に形成された図示されない配線にはんだ付により接続された状態が示されている。そして、偶数極端子61は、概略U字形状を有し、上腕ビーム64及び下腕ビーム63が端子受入溝34内において前方(図6及び8における左方)に向って延在している。なお、前記偶数極端子61は、ハウジング11の後方(図6及び8における右方)から端子受入溝34内に挿入され、該端子受入溝34の床面及び天井面を構成する下部12の上面及び上部15の下面によって、上下方向から挟まれて固定されている。
ここで、前記下腕ビーム63は、図示されないFPCの配線と電気的に接続するコンタクト片として機能するものであり、その先端(図6及び8における左端)近傍には上方に突出するコンタクト部63aが形成されている。なお、前記FPCは、配線が表面に露出した面が下方を向くようにしてハウジング11の挿入口33に挿入されるものとする。
また、前記上腕ビーム64の先端近傍には、上向きに開放する凹状のストッパーピン係合部65が形成されている。そして、アクチュエータ21の軸部材としてのストッパーピン48aが前記ストッパーピン係合部65内を移動可能となっている。なお、偶数番目の端子受入溝34に対応するアクチュエータ21の収容溝47に配設されたストッパーピン48aは、断面が円形となっている。
一方、図7及び9は、奇数極端子51が装填されている部分の断面図である。奇数極端子51は、概略U字形状を有し、上腕ビーム54及び下腕ビーム53が端子受入溝34内において前方(図7及び9における左方)に向って延在している。なお、奇数極端子51も、前記偶数極端子61と同様に、ハウジング11の後方(図7及び9における右方)から端子受入溝34内に挿入され、該端子受入溝34の床面及び天井面を構成する下部12の上面及び上部15の下面によって、上下方向から挟まれて固定されている。
ここで、前記下腕ビーム53は、図示されないFPCの配線と電気的に接続するコンタクト片として機能するものであり、その先端(図7及び9における左端)近傍には上方に突出するコンタクト部53aが形成されている。
また、前記上腕ビーム54の先端近傍には、下端が直線状のカム受け部55が形成されている。そして、アクチュエータ21が、図9に示されるような閉位置にある状態になると、前記カム受け部55の下端にアクチュエータ21の軸部材としてのカム48bの直線状の縁が当接して係合するようになっている。なお、奇数番目の端子受入溝34に対応するアクチュエータ21の収容溝47に配設されたカム48bは、断面が不定形であり、アクチュエータ21が閉位置にあるときに上方に位置する直線状の縁を備えている。なお、図7に示されるように、アクチュエータ21が第1位置としての開位置にある状態において、カム受け部55とカム48bとは非接触となっている。
さらに、アクチュエータ21が開位置にある状態においては、アクチュエータ21の係合当接部29がハウジング11の係合当接部36に当接して係合した状態になっている。そのため、前記アクチュエータ21は、振動等による不測の外力が付与されても、また、オペレータの手指による操作力が付与されても、開位置から図6及び7における反時計回り方向に姿勢変化することがない。
また、アクチュエータ21が開位置にある状態においては、アクチュエータ21の第1係合凸部29bがハウジング11の第1係合凹部37bに当接して係合した状態になっている。そのため、前記アクチュエータ21は、振動等による不測の外力が付与されても、開位置から図6及び7における時計回り方向に姿勢変化することがない。しかし、前記第1係合凸部29bにおいて第1係合凹部37bと当接する下側の側面は傾斜側面となっていて、かつ、前記第1係合凹部37bにおいて第1係合凸部29bと当接する上側の側面は傾斜側面となっているので、オペレータの手指による操作力程度の強い力が付与された場合には、第1係合凸部29bと第1係合凹部37bとの係合が解除される。
このように、開位置にあるとき、アクチュエータ21のハウジング11に対する姿勢は、安定しており、振動等による不測の外力が付与されても変化することがない。しかし、オペレータの手指による操作力程度の強い力が付与されると、閉位置に向けて姿勢変化するようになっている。すなわち、アクチュエータ21は、開位置にあるとき、オペレータによる操作が行われない限り、振動等による不測の外力が付与されても、閉位置への姿勢変化が防止される。
また、開位置にあるとき、アクチュエータ21のハウジング11に対する姿勢が安定しているので、コネクタ1を実装する際に、ロボットアーム等の先端に装着された図示されない真空吸着ノズルによって実装用吸着エリア25を上方から下向きに押付けても、アクチュエータ21が姿勢変化してしまうことがない。そのため、ロボットアーム等を備える通常の実装装置を使用して、コネクタ1を搬送し、さらに、コネクタ1を基板91に対して仮固定することができる。
そして、図6及び7に示されるように、アクチュエータ21が第1位置としての開位置にある状態において、FPCがハウジング11の挿入口33に挿入される。
続いて、オペレータが前記アクチュエータ21を時計回り方向に姿勢変化させ、図8及び9に示されるような第2位置としての閉位置にある状態とする。これにより、押圧部46が回転し、その押圧面が下方向に移動し、図示されないFPCの上面に当接して下方に向いた力を付与し、FPCを奇数極端子51及び偶数極端子61のコンタクト片としての下腕ビーム53及び63に押付ける。これにより、前記FPCの下側の表面において露出している配線が、表面に露出した面をコンタクト部53a及び63aに当接して電気的接続部が形成され、FPCの配線と奇数極端子51及び偶数極端子61とが電気的に接続される。
また、アクチュエータ21を開位置から閉位置にすると、カム48bの直線状の縁が奇数極端子51のカム受け部55の下端に当接して係合するので、アクチュエータ21のそれ以上の姿勢の変化を急激に停止させる。そのため、前記オペレータに確かなクリック感を与えることができ、FPCの配線と端子とが電気的に接続されたことを前記オペレータに認識させることができる。
このように、前記アクチュエータ21が、図8及び9に示されるような第2位置としての閉位置にある状態になると、ダストカバー部22がハウジング11の後方、すなわち、挿入口33と反対側の端部及び奇数極端子51及び偶数極端子61のテール部52及び62を覆い隠す。そのため、ハウジング11の後方から異物がコネクタ1の内部に進入することがないので、テール部52及び62と基板91の配線との電気的接続部や、コンタクト部53a及び63aとFPCの配線との電気的接続部に異物が進入することを防止することができる。そのため、異物によって隣接する端子同士や配線同士が短絡することがない。
特に、基板91を、図8及び9に示されるような水平な状態でなく、垂直な状態に配置して前記ハウジング11の後方が上を向くようにした場合、空気中のダスト等の異物が落下してきても、前記ダストカバー部22によって異物の進入を防止することができる。また、前記「背景技術」の項において説明したように、基板91を垂直な状態としてタッピングビスを使用してねじ止めすると削りカスが発生し、該削りカスがコネクタ1にハウジング11の後方から、すなわち、上方から降りかかることが考えられるが、このような場合であっても、前記ダストカバー部22によって削りカス等の異物の進入を防止することができる。
なお、前記「発明が解決しようとする課題」の項において説明したように、コネクタ1の有する各部材の寸法公差、コネクタ1を基板91に実装する作業における作業上の誤差、基板91の歪(ゆが)み等に起因して、ダストカバー部22と基板91の表面との間にわずかな隙間が生ずる場合がある。しかし、本実施の形態においては、ダストカバー部22にスライド可能な補助部材41が取付けられているので、図8及び9に示されるように、ダストカバー部22と基板91の表面との間の隙間が補助部材41によって塞がれる。そのため、微小な異物が前記隙間からコネクタ1内に進入することも確実に防止される。
ここで、補助部材41と指掛け部27との間には付勢部材43が配設され、前記補助部材41は、図6及び7に示されるような自由にスライド可能な状態においては、前記付勢部材43によって指掛け部27から離れる方向(図6及び7における右方向)に付勢され、その指掛け部27と反対側の端縁41aがダストカバー部22の端縁22aから突出している。前記付勢部材43の端縁41aがダストカバー部22の端縁22aから突出する突出量は、例えば、係合開口42の位置や大きさを調整することによって任意に調整することができる量であり、前記隙間の予想最大値以上となるように調整されることが望ましい。
この場合、アクチュエータ21が、図8及び9に示されるような閉位置にある状態になると、補助部材41の端縁41a、すなわち、閉位置での下端縁が基板91の表面に当接し、前記隙間は補助部材41によって塞がれる。なお、前記下端縁の突出量が前記隙間の予想最大値以上なので、補助部材41は、前記下端縁が基板91の表面に当接することによって、指掛け部27に接近する方向、すなわち、閉位置での上方向にスライドする。すると、付勢部材43は、図8及び9における上下方向に圧縮され、弾性的に変形してばね力を発揮し、補助部材41を下方、すなわち、コネクタ実装表面に向けて付勢する。そのため、前記下端縁が基板91の表面に押圧された状態となり、前記下端縁と基板91の表面との間は常に閉止された状態となる。したがって、前記隙間は、補助部材41によって確実に塞がれる。
このとき、付勢に要する力は樹脂等で作られた軽量の補助部材41を押す力だけで良く、例えば、コネクタ1を逆さまの状態にしたときに補助部材41が自重で移動しない程度かそれより少し強いものとする。こうすれば、アクチュエータ21を第2の位置にして補助部材41が付勢され、基板91を押圧してもその反力がアクチュエータ21の動作に影響することはない。
なお、該補助部材41は、アクチュエータ21の幅方向に複数に分割され、分割された各部が互いに独立してスライドすることができる。そのため、前記隙間の大きさがアクチュエータ21の幅方向に均一でない場合であっても、すなわち、前記隙間の大きさがアクチュエータ21の幅方向に関して変化していても、補助部材41の各々のスライド量が前記隙間の大きさに対応して変化するので、前記隙間を確実に塞ぐことが可能となる。この分割数が多いと、部品点数が多くなるが、基板91の歪み等の変化によって追従可能となり、隙間を塞ぐ作用がより確実となる。
さらに、前述したように、ダストカバー部22は凹状の部分であるダストプール部26を有する。そして、基板91を垂直な状態とすると、前記ダストプール部26が上を向いた状態となる。そのため、上方から降りかかってきた削りカス等の異物は、前記ダストプール部26内に収容される。さらに、該ダストプール部26が凹状の部分であるので、ダストプール部26内に収容された異物は、ダストプール部26の外へこぼれ出ることがない。そのため、前記ダストカバー部22によってコネクタ1への進入を防止された異物が拡散して他の電気的接続部に進入することも防止することができる。
また、アクチュエータ21が閉位置にあるとき、アクチュエータ21の第2係合凸部29aがハウジング11の第2係合凹部37aに当接して係合した状態になっている。そのため、前記アクチュエータ21は、振動等による不測の外力が付与されても、閉位置から図8及び9における反時計回り方向に姿勢変化することがない。しかし、前記第2係合凸部29aにおいて第2係合凹部37aと当接する上側の側面は傾斜側面となっていて、かつ、前記第2係合凹部37aにおいて第2係合凸部29aと当接する下側の側面は傾斜側面となっているので、オペレータの手指による操作力程度の強い力が付与された場合には、第2係合凸部29aと第2係合凹部37aとの係合が解除される。
このように、閉位置にあるとき、アクチュエータ21のハウジング11に対する姿勢は、安定しており、振動等による不測の外力が付与されても変化することがない。しかし、オペレータの手指による操作力程度の強い力が付与されると、開位置に向けて姿勢変化するようになっている。すなわち、アクチュエータ21は、FPCが接続されて閉位置にあるとき、オペレータによる操作が行われない限り、振動等による不測の外力が付与されても、開位置への姿勢変化が防止されるので、FPCの接続が外れる恐れがない。
このように、本実施の形態において、アクチュエータ21は、閉位置になったときにハウジング11の後方端部及びテール部52及び62を覆い隠すダストカバー部22を備えるとともに、該ダストカバー部22にスライド可能な補助部材41が取付けられている。
そのため、ダストカバー部22と基板91との間に発生する隙間も補助部材41によって塞がれるので、ハウジング11の後方から異物がコネクタ1の内部に進入することが確実に防止される。したがって、テール部52及び62と基板91の配線との電気的接続部や、コンタクト部53a及び63aとFPCの配線との電気的接続部に異物が進入することを確実に防止することができ、異物によって隣接する端子同士や配線同士が短絡することがない。
特に、基板91を垂直な状態に配置して前記ハウジング11の後方が上を向くようにした場合であっても、前記ダストカバー部22によって異物の進入を防止することができる。
また、補助部材41は、閉位置においてFPCの挿入方向とほぼ直交する方向にスライドし、ダストカバー部22と基板91の表面との間の隙間を塞ぐようになっている。そのため、微小な異物が前記隙間からコネクタ1内に進入することも確実に防止される。
さらに、アクチュエータ21は、閉位置において補助部材41を基板91の表面に向けて付勢する付勢部材43を備える。そのため、補助部材41が基板91の表面に押圧された状態となり、前記補助部材41と基板91の表面との間は常に閉止された状態となるので、ダストカバー部22と基板91の表面との間の隙間は、補助部材41によって確実に塞がれる。
さらに、補助部材41は、アクチュエータ21の幅方向に複数に分割され、分割された各部分が互いに独立してスライド可能である。そのため、ダストカバー部22と基板91の表面との間の隙間の大きさがアクチュエータ21の幅方向に均一でない場合であっても、補助部材41の各々のスライド量が前記隙間の大きさに対応して変化するので、前記隙間を確実に塞ぐことが可能となる。
なお、本実施の形態においては、補助部材41がダストカバー部22の外側、すなわち、図6及び7におけるダストカバー部22の上面側に取付けられている例についてのみ説明したが、前記補助部材41は、ダストカバー部22の内側、すなわち、図6及び7におけるダストカバー部22の下面側に取付けられていてもよい。この場合、前述のように、基板91を垂直な状態とすると、上を向いたダストプール部26上に補助部材41が存在しなくなるので、ダストプール部26の面積が増大したのと同様になる。そのため、ダストプール部26内により多量の異物を収容することができ、異物がダストプール部26の外へこぼれ出ることをより確実に防止することができる。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。