JP4592180B2 - 看板装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は看板装置に関し、特に大型の標識体或いはこれに類似する大型の看板装置において、ゆがみを起こし易い例えばアクリル板等からなる表示板の押さえ手段を備える看板装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば横方向又は縦方向に長い大型の看板装置などは、スーパーマーケットをはじめとして多くの店舗で、その出入り口上部の建物壁面に取り付けられている。一般に、この種の大型の看板装置は、横長で、正面側が開放したボックス状の囲い枠本体を店舗である建物壁面に固定し、この囲い枠本体における正面側の開放部に額縁状の開閉枠をヒンジ手段等を用いて開閉可能に取り付けて構成されていた。
【0003】
通常、このような構成の看板装置では、宣伝広告用の文字や図柄を印刷したアクリル板等からなる表示板即ち面板が開閉枠に取り付けられ、他方、囲い枠本体の内部には蛍光灯などの照明器具や、照明器具からの光を前方に反射して有効に活用するための反射板などが取り付けられていた。
【0004】
そして、この看板装置の使用中に囲い枠本体内の照明器具が故障したり、ランプが切れたり、或いは反射板が汚れたりした時に、開閉枠をヒンジ手段を中心として回転して囲い枠本体の正面側開放部をあけ、内部の照明器具の保守点検、ランプ交換、反射板の清掃などを行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような看板装置において、表面に宣伝広告用の文字や図柄が描かれている表示板即ち面板は、一般的には前述したようにアクリル板で形成され、その厚みは比較的に薄くされている。このように、この種の表示板は、比較的に広い面積を備えながらもその厚みが薄いため、非常に軽量ではあるが、樹脂成形後にゆがみを起こし易い、という問題があった。
【0006】
また、ゆがみを起こしやすいという機械的性質を表示板が備えているが故に、これを開閉枠に取り付けて看板装置として使用している時に強い風が吹き付けたりすると風圧に押されて、表示板の中央部に瞬間的なへこみを起こし且つ風圧が無くなると瞬時に復元をするという繰り返し変形が起こり、その結果パタパタと異音を発するという問題があった。
【0007】
更に、このような繰り返し変形が長い期間に亘って起きると、表示板に繰り返し応力が作用して変形疲労が起こり、ひび割れ等の原因となる等種々の問題を生じる。そのため、従来のこの種の看板装置には、風圧等によって表示板がゆがまないように内側から補強した構造のものもあった。
【0008】
風圧等による表示板のゆがみを防止する従来の補強手段としては、表示板を保持した額縁状の枠体が前面開放部に取り付けられている囲い枠本体の内部に、前端部が表示板から多少の隙間をあけるか或いは密着させて位置するように補強棒を表示板の表面に対してほぼ直交するように配置してその後端部を背面板に固定支持する方法が一般的であった。このような補強棒は、看板装置の長手方向に所定の間隔をあけて複数本配置される。
【0009】
しかし、このような補強棒を囲い枠本体の内部に配置してその後端部を背面板に固定支持する従来の耐風圧補強手段では、表示板を保持している枠体が囲い枠本体から開閉できなかったり、囲い枠本体の背面板に設置された照明器具からの光線が補強棒の前端部で邪魔をされて表示板に影を作り、表示板の見栄えが悪くなる等、耐風圧用補強手段設置の影響による種々の別な問題が生じていた。
【0010】
表示板を保持している枠体が囲い枠本体から開閉できなくなると、囲い枠本体の内部に設置されている照明装置の保守点検や反射板の清掃等が、非常に面倒となる。そのため、従来では、表示板を保持している枠体を開閉枠として機能させながらもこの開閉枠に保持されている表示板の風圧等によるゆがみの発生を防止できるような看板装置の開発が望まれていた。
【0011】
この発明の目的は、かかる従来の問題点を解決するためになされてもので、表示板が風圧等で繰り返し変形を起こさないようにすると共にこの表示板を保持している枠体が囲い枠本体に対して開閉できる開閉枠とされ、しかも表示板の見栄えの低下を起こさない看板装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、正面側が開放したボックス状の囲い枠本体と、この囲い枠本体における正面側の開放部にヒンジ手段により開閉可能に取り付けられた額縁状の開閉枠と、この開閉枠の開口部を塞ぐように周囲を当該開閉枠に支持することにより着脱可能に取り付けられ、ゆがみの起こり易い材料で形成された表示板とからなる看板装置において、その内側に位置し、額縁状の開閉枠における少なくとも一対の対向縁部にそれぞれ両端部が取り付けられ、開閉枠の開口部を横切る少なくとも1つの取付け棒と、この取付け棒に設けられた保持部に両端側を係止して支持され、中間部が表示板の方向に突出した押さえ部材とから構成され、押さえ部材が透光性の材料で形成されていると共に中間部の突出部が表示板に接触するか若しくは近接していることを特徴とする。
【0013】
また、この発明の看板装置では、押さえ部材が弾性材で形成され、その両端を取付け棒の保持部に係止させることで弓なりに曲げて突っ張らせ、表示板の方向に突出させることを特徴とする。更に、この発明の看板装置では、表示板を比較的に薄い合成樹脂製の板で形成することが好ましく、更に押さえ部材も合成樹脂製の細長い板材で形成することが好ましい。
【0014】
このように構成されるこの発明の看板装置によると、使用中に表示板に強い風が吹き付けて開閉枠に保持された表示板が外側から風圧で押されても、内側に押さえ部材が配置されているため、表示板がゆがむことはなく、その結果異音の発生もなく、また耐久性も向上する。
【0015】
しかも、このこの押さえ部材は、透光性の材料で形成され、且つその長さ方向中間部が表示板方向に突出した形状をしているため、囲い枠本体の背面板に取り付けられた照明器具からの照明光線は、その一部が押さえ部材の照明器具側表面で反射し、或いはその内部に入射屈折して突出側に導光され、突出部に集光して透過するため、表示板の内面にほぼ接触するか又は近接している突出部の輝度を高めることから、当該部分が影となって表示板に映ることがなく、従って見栄えの悪さを起こすこともない。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の看板装置を図に示される実施形態について更に詳しく説明する。図1はこの発明の一実施形態に係る看板装置1の全体を示す斜視図、図2は図1の看板装置1を2−2線に沿って切断して示す断面図である。
【0017】
更に、図3は図2に示される看板装置1に使用される押さえ部材を示す正面図、図4はこの押さえ部材を支持する取付け棒の正面図、及び図5は取付け棒に押さえ部材をその中間部が突出するように突っ張らせて保持した状態を示す側面図である。
【0018】
図1には、この実施形態に係る看板装置1を一ブロックとして、これを2つ連接して配置することで構成された2連接式の看板装置Aが示されている。これら各ブロックである看板装置1は同一構成であるので一方のブロックについてその構成を説明する。
【0019】
図2の断面図から明らかなように、例えばアルミ材などから形成され、正面側が開放したボックス状の囲い枠本体2と、この囲い枠本体2における正面側の開放部にヒンジ手段3により開閉可能に取り付けられ、同様にアルミ材などから形成された額縁状の開閉枠4とから構成されている。この囲い枠本体2は、その背面板2aを建物壁面に取り付けて固定される。
【0020】
他方、開閉枠4は、アクリル板などのような透光性材料から形成された表示板5の周縁部を収容して保持し得るように内周囲に溝部4aを形成した額縁状の構造とされている。なお、この開閉枠4における溝部4aは、表示板5の周囲表面にがた付き防止と雨水浸入防止のためのスペーサ6を取り付けた状態で緊密に収容可能な大きさ及び形状に設計されている。
【0021】
このような開閉枠4は、着脱可能なヒンジ手段3により囲い枠本体2の正面側開放部に回転可能に取り付けられている。このヒンジ手段3は特開平11−119713号公報に開示されていて既に公知であり、またこの発明にとって特徴的な構造点ではないので、その詳細な説明は省略する。
【0022】
開閉枠4には、前述したように宣伝広告用の文字や図柄等が印刷等で形成されるか又はそのようなフィルムが貼られたアクリル板5が当該開閉枠4の開口部を塞ぐように周縁部を溝部4aに収容し且つスペーサ6を詰めて遊びがないようにしっかりと保持されている。
【0023】
このように表示板5が保持された開閉枠4は、ヒンジ手段3によって囲い枠本体2の開放部側に開閉可能に取り付けられる。この看板装置1の内側において、額縁状の開閉枠4の開口部を上下方向に横切るように金属製の取付け棒7が配置されその両端部が開閉枠4に連結されている。具体的には、この取付け棒7の一端部は開閉枠4の上フレーム部に螺着され、また他端部は下フレーム部に螺着されて支持されている。
【0024】
この取付け棒7は図4に示されているように間隔をあけた2ヶ所に長さの短い係止棒8が当該取付け棒7と直交するように溶接等で固定され、これにより保持部を構成している。この保持部を利用して押さえ部材9が取付け棒7に取り付けられる。
【0025】
すなわち、押さえ部材9は、図3に示されるように透明なアクリル製の帯状板から形成され、その両端部には端縁から長手方向に向かって切欠き部9a、9bが形成されている。この切欠き部9a、9bの幅は取付け棒7の直径より僅かに大きく、従ってこの切欠き部9a、9b内に取付け棒7を相対的に差し入れることができる。
【0026】
また、押さえ部材9は、その一端における切欠き部9aの最深部から他端における切欠き部9bの最深部までの長さL1が取付け棒7の2ヶ所に保持部として形成された係止棒8間の間隔L2より長い寸法となるように形成されている。そして、押さえ部材9の取付け棒7への具体的な取り付けは、次のようにしてなされる。
【0027】
すなわち、図5に示されるように、押さえ部材9の一端に形成された切欠き部9aに、取付け棒7に設けられた一方の係止棒8の下側(2つの係止棒8の間側)で取付け棒7を相対的に挿入するように連結係止し、次に他端に形成された切欠き部9bに、取付け棒7に設けられた他方の係止棒8の上側(2つの係止棒8の間側)で取付け棒7を相対的に挿入するように連結係止する。
【0028】
この時、前述したように押さえ部材9における両端の2つの切欠き部9a、9bにおける最深部間の距離即ち長さL1は、取付け棒7の2ヶ所に保持部として形成された係止棒8間の間隔L2より長いため、押さえ部材9を弓なりにしならせながら他端の切欠き部9b内に取付け棒9を相対的に挿入させ、押さえ部材9の両端が取付け棒7に沿って跳ね上がるのを係止棒8が阻止する。
【0029】
更にその際、押さえ部材9は、その曲がり方向即ち突出部が図2に示されるように開閉枠4に保持された表示板5に向かうように取付け棒7に取り付けられる。このように押さえ部材9が取付け棒7に取り付けられる時、弓なりになって表示板5の方向に突出するが、その突出部即ち最も飛び出た部分9cが表示板5の表面に接触するかしないかの位置にくるようにこれら各部品の寸法は予め設計されている。
【0030】
このような設計は、取付け棒7と表示板4との間隔と、押さえ部材9における両端の2つの切欠き部9a、9bにおける最深部間の距離即ち長さL1と、そして取付け棒7の2ヶ所に保持部として形成された係止棒8間の間隔L2とから計算により容易に得ることができる。
【0031】
もちろん、押さえ部材9を取付け棒7に取り付ける時に強制的に弓なりにしならせなくても、予め弓なり形状の押さえ部材、或いは横V字形の押さえ部材を製造しておき、これを取付け棒7に取り付けて使用してもよいことは言うまでもない。しかし、前述した実施形態のように真っ直ぐな帯状板を弓なりにしならせて取付け棒7に取り付けて押さえ部材9とすると、この押さえ部材9がバネ性を備えることになる。
【0032】
そのため、表示板5が風圧などでゆがんでも押さえ部材9が緩衝的にこれを押さえるので、衝撃音等の発生を防止することができるばかりではなく、表示板自体の耐久性も向上させることができる。このような押さえ部材9の設置は、開閉枠4の長さ方向において所定の間隔で複数設けることが好ましい。一般的ではあるが、通常の店舗の出入口の上部外壁面に設置する大型の看板装置では、おおよそ1mの間隔で1つの押さえ部材9を配置して表示板5を内側から押さえるようにすることが好ましい。
【0033】
しかし、押さえ部材9の配置間隔は、表示板5の風圧などによるゆがみの発生が長手方向に直交する方向の長さや表示板5の厚さによって大きく異なることから、これらの要素を考慮した上で適宜決定することが好ましい。
【0034】
このように構成されるこの発明の看板装置1によると、使用中に表示板5に強い風が吹き付けて開閉枠4に保持された表示板5が外側から風圧で押されても、内側に押さえ部材9が配置されているため、表示板5が内側から押さえ部材9により押されてゆがみの発生が防止され、その結果繰り返し変形により異音の発生も防止することができると共に表示板5の耐久性も向上する。
【0035】
しかも、この押さえ部材9は、透光性の材料で形成され、且つその長さ方向中間部が表示板方向に突出した形状をしているため、囲い枠本体2の背面板2aに取り付けられた照明器具(図示せず)からの照明光線(図5に矢印10で示す)は、その一部が押さえ部材9の表面(囲い枠本体2の内側に面する表面)9dで反射し、或いはその内部に入射屈折して突出側に導光され、突出部9cに集光して透過する。
【0036】
これにより、表示板5の内面にほぼ接触するか又は近接している突出部9cで照明光線の輝度が高まることから、当該部分が影となって表示板5に映ることがなく、従って見栄えの悪さを起こすこともない。
【0037】
また、押さえ部材9は、開閉枠4に取り付けた取付け棒7に保持されているため、開閉枠4を囲い枠本体2に対して開閉することができるため、例えば、この看板装置1の囲い枠本体2内に取り付けられた照明器具のランプ等の交換や保守点検、及び反射板の清掃時なども非常に容易に行うことができる。
【0038】
更に、前述したように開閉枠4に保持された表示板5の表面を看板装置1の内側から押さえ部材9で押さえることにより、表示板5を成型した後に生じることがある歪みなども、看板設置時にこの押さえ部材9により補正することができるため、設置時における表示板5の平坦度を高めることができる。
【0039】
なお、前述した実施形態に係る看板装置1では、押さえ部材9の取付け棒7への連結係止方法として、帯状板からなる押さえ部材9の両端部切欠き部9a、9bを形成し、他方取付け棒7には係止棒8を十字形になるように固定して保持部を形成することで両者を連結係止したが、この発明ではこのような連結構造に限定されるものではなく、例えば取付け棒の2ヶ所に穴を形成し、他方押さえ部材9には両端縁に差込み片を形成し、この両端の差込み片を取付け棒の2ヶ所の穴にそれぞれ差し込んで連結係止してもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の看板装置によれば、開閉枠に取付け棒を取付け、この取付け棒に押さえ部材を保持して表示板を内側から押さえるようにしたことにより、表示板の風圧等による繰り返し変形の発生を防止することができる。
【0041】
しかも、この表示板を保持している開閉枠が、押さえ部材の存在によっても囲い枠本体に対して開閉することができることから囲い枠本体の内部に設置された照明器具や反射板等の保守点検作業も非常に容易に行うことができ、更には押さえ部材が照明光線の影となることもないため表示板の見栄えの低下を起こすこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る看板装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示される実施形態の看板装置を2−2線に沿って切断して示す断面図である。
【図3】図2に示される看板装置に使用される押さえ部材を示す正面図である。
【図4】図3に示される押さえ部材を取り付ける取付け棒を示す正面図である。
【図5】図3に示される押さえ部材を図4に示される取付け棒に保持させた状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 看板装置
2 囲い枠本体
2a 背面板
3 ヒンジ手段
4 開閉枠
4a 表示板周縁部挿入用の溝部
5 表示板
6 スペーサ
7 取付け棒
8 押さえ部材端部係止用の係止棒
9 押さえ部材
9a、9b 係止用の切欠き部
9c 押さえ部材の突出部
9d 押さえ部材の表面
10 照明器具からの照明光線の方向

Claims (3)

  1. 正面側が開放したボックス状の囲い枠本体と、この囲い枠本体における正面側の開放部にヒンジ手段により開閉可能に取り付けられた額縁状の開閉枠と、この開閉枠の開口部を塞ぐように周囲を当該開閉枠に支持することにより着脱可能に取り付けられ、ゆがみの起こり易い材料で形成された表示板とからなる看板装置において、
    この看板装置の内側に位置し、額縁状の前記開閉枠における少なくとも一対の対向縁部にそれぞれ両端部が取り付けられ、前記開閉枠の開口部を横切る少なくとも1つの取付け棒と、この取付け棒に設けられた保持部に両端側を係止して支持され、中間部が前記表示板の方向に突出した押さえ部材とから構成され、前記押さえ部材が透光性の材料で形成されていると共に中間部の前記突出部が前記表示板に接触するか若しくは近接していることを特徴とする看板装置。
  2. 前記押さえ部材が弾性材で形成され、その両端を前記取付け棒の前記保持部に係止させることで弓なりに曲げて突っ張らせ、前記表示板の方向に突出させることを特徴とする請求項1に記載の看板装置。
  3. 前記表示板が比較的に薄い合成樹脂製の板で形成され、更に前記押さえ部材も合成樹脂製の細長い板材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の看板装置。
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