JP4591861B2 - フライバックコンバータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源装置などに適用される自励式または他励式のフライバックコンバータに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
従来のフライバックコンバータの一例を、図6および図8に示す。図6はいわゆるRCC(リンギング・チョーク・コンバータ)と呼ばれる自励式のフライバックコンバータを示しているが、同図において、直流電源101からの直流入力電圧Viが印加される入力端子+Vi,−Viの両端間には、入力コンデンサC1が接続されると共に、トランスT1の一次巻線Np1とMOS型FETからなる主スイッチング素子Q1の直列回路が接続される。トランスT1には、他に二次巻線Ns1と主スイッチング素子Q1の駆動巻線Nd1が設けられており、駆動巻線Nd1のドット側端子は、起動抵抗R1を介して主スイッチング素子Q1の制御端子すなわちゲートに接続され、駆動巻線Nd1の非ドット側端子は、主スイッチング素子Q1のソースに接続される。一方、トランスT1の二次巻線Ns1には、ダイオードD11とコンデンサC12とからなる二次側整流平滑回路が接続されており、コンデンサC12の両端間に接続した出力端子+Vo1,−Vo1から負荷RLに、直流出力電圧Voを供給するようになっている。
【0003】
次に、図7の各波形図を参照して、上記回路の動作を説明する。なお、この図7では、定格負荷(A)時および軽負荷(B)時における主スイッチング素子Q1のドレイン・ソース電圧VDS1と、主スイッチング素子Q1のドレインを流れる電流IQ1がそれぞれ示されている。
【0004】
起動抵抗R1に電流が流れて主スイッチング素子Q1がオンすると、トランスT1の一次巻線Np1に直流入力電圧Viが印加され、駆動巻線Nd1のドット側端子に正極性の電圧が誘起される。この電圧は、主スイッチング素子Q1をさらにオンする正帰還の電圧となる。一方、トランスT1の二次巻線Ns1もドット側端子に正極性の電圧が誘起されるが、ダイオードD11に対し逆方向に加わるため、このダイオードD11はオフする。したがって、主スイッチング素子Q1のオン期間中はトランスT1にエネルギーが蓄えられ、コンデンサC12の放電により負荷RLに負荷電流が供給される。
【0005】
主スイッチング素子Q1がオンすると、トランスT1の一次巻線Np1ひいてはスイッチング素子Q1を流れる電流IQ1は時間に比例して増大する。しかし、ある値に達すると主スイッチング素子Q1の特性によりそれ以上電流は流れなくなり、主スイッチング素子Q1のドレイン・ソース電圧VDS1が増大する。それと同時に、トランスT1の一次巻線Np1ひいては駆動巻線Nd1の電圧が下がって、主スイッチング素子Q1がオフし、それまで一次巻線Np1を流れていた電流の慣性により、今度はトランスT1の一次巻線Np1および二次巻線Ns1の非ドット側端子に正極性の電圧が発生する。これにより、ダイオードD11がオンして、主スイッチング素子Q1のオン期間中に蓄えられたトランスT1のエネルギーが、ダイオードD11を通してコンデンサC12側に送り出される。
【0006】
ところで、上記自励式のリンギングチョークコンバータは、主スイッチング素子Q1の発振周波数が負荷電流に反比例し、図7に示すように軽負荷になる程高くなる。しかし、発振周波数が高くなると、その分だけ主スイッチング素子Q1のオン,オフ切換時における損失(スイッチングロス)が大きくなり、効率の悪化を招くという問題を有していた。
【0007】
一方、図8には、他励式で多出力のフライバックコンバータの回路例が示されている。同図において、トランスT1は2つの二次巻線Ns1,Ns2を有し、二次巻線Ns1にはダイオードD11とコンデンサC12とからなる二次側整流平滑回路が接続され、二次巻線Ns2にはダイオードD21とコンデンサC22とからなる別の二次側整流平滑回路が接続される。そして、コンデンサC12の両端間に接続した出力端子+Vo1,−Vo1から負荷RL1には、第1の直流出力電圧Vo1が供給され、コンデンサC22の両端間に接続した出力端子+Vo2,−Vo2から負荷RL2には、第2の直流出力電圧Vo2が供給される。つまり、ここでは二次巻線Ns1に接続した電力を出力する出力回路11と、二次巻線Ns2に接続した別の出力回路21から、各々異なる出力電圧Vo1,Vo2が供給されるようになっているが、3つ以上の出力電圧を取出せるように構成してもよい。
【0008】
そして、主スイッチング素子Q1がオンして、トランスT1の一次巻線Np1に直流入力電圧Viが印加されると、二次巻線Ns1,Ns2のドット側端子に正極性の電圧が誘起されるが、このときは各整流ダイオードD11,D21がオフするため、一次巻線Np1に流れる励磁電流に見合うエネルギーがトランスT1に蓄えられる。このとき、コンデンサC12,C22の放電により、負荷RL1,RL2に出力電流Io1,Io2が各々供給される。その後、主スイッチング素子Q1がオフすると、今度はトランスT1の一次巻線Np1および二次巻線Ns1,Ns2の非ドット側端子に正極性の電圧が発生し、整流ダイオードD11,D21がオンする。これにより、トランスT1に蓄えられたエネルギーが、整流ダイオードD11,D21を通して各々コンデンサC12,C22や負荷RL1,RL2に供給される。
【0009】
他励式のフライバックコンバータでは、前記主スイッチング素子Q1を駆動するために、前記図6における駆動巻線Nd1や起動抵抗R1の代わりに、独立した発振回路を内蔵した制御回路1を有している。この制御回路1は、いずれか一つの出力電圧Vo2の安定化を図るために、出力電圧Vo2を検出する電圧検出回路2と共に電圧帰還制御ループを形成している。これにより、出力電圧Vo2が上昇すると、制御回路1は主スイッチング素子Q1への駆動信号のパルス導通幅を狭め、逆に出力電圧Vo2が低下すると、主スイッチング素子Q1への駆動信号のパルス導通幅を広げて、出力電圧Vo2を略一定に保つ制御を行なっている。
【0010】
しかし、上記多出力のフライバックコンバータでは、出力回路21からの第2の出力電圧Vo2が制御回路1により略一定の電圧に保たれるものの、電圧制御されていない出力回路11からの出力電圧Vo1は、負荷RL1が軽負荷や無負荷の状態になっても、主スイッチング素子Q1のオン時間は変わらないため、図9に示すように電圧が異常に上昇するという問題を生じる。
【0011】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであって、軽負荷や無負荷の状態になっても、主スイッチング素子のスイッチングロスが大きくならず、しかも、多出力の構成において、電圧制御を行っていない出力回路の出力電圧が異常に上昇しないフライバックコンバータを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載のフライバックコンバータは、主スイッチング素子のオン時にトランスにエネルギーを蓄え、前記主スイッチング素子のオフ時に前記トランスに蓄えたエネルギーを出力側に送り出すフライバックコンバータにおいて、前記トランスの一次側に巻回される補助巻線と、この補助巻線に誘起した電圧を整流平滑する整流素子および平滑コンデンサからなる整流平滑回路とを備え、前記整流素子は前記主スイッチング素子と逆にオン・オフ動作する双方向導通性スイッチ素子であり、前記トランスにドライブ巻線を巻回し、前記主スイッチング素子のオフ時に前記ドライブ巻線に誘起した電圧により前記双方向導通性スイッチ素子をオンさせるように構成したことを特徴とする。
【0013】
軽負荷や無負荷の状態では、主スイッチング素子のオフ時において、トランスに蓄えられたエネルギーが全て出力側に移ると、それまで補助巻線からスイッチ素子を経て平滑コンデンサに一旦蓄えられたエネルギーが、補助巻線に向けて逆向きの電流として流れ、トランスの一次巻線から入力側に戻される。これにより、トランスの補助巻線と一次巻線で逆向きに電流を流す期間が確保され、主スイッチング素子への駆動信号のパルス幅の安定化が図られる。したがって、電圧制御を行なっていない出力回路の出力電圧は、そこに接続する負荷が軽負荷や無負荷の状態であっても異常に上昇せず安定化する。また、自励式のフライバックコンバータにおいては、軽負荷や無負荷の状態において、主スイッチング素子の発振周波数が極端に高くなることを防止でき、主スイッチング素子のスイッチングロスを低減できる。また、ドライブ巻線をトランスに付加するだけで、主スイッチング素子と逆にスイッチ素子をオン,オフ動作させる駆動回路を簡単に形成することが可能になる。
【0014】
【発明の実施形態】
以下、本発明のフライバックコンバータについて添付図面を参照して詳細に説明する。なお、上記従来例で提示した図8と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の詳細な説明は重複するため省略する。
【0015】
図1および図2は、本発明の一実施例を示すものであり、回路構成をあらわした図1において、トランスT1には、一次巻線Np1および二次巻線Ns1,Ns2の他に、補助巻線Np2と、MOS型FETからなる補助スイッチ素子Q2のドライブ巻線Np3が一次側にそれぞれ設けられる。そして、主スイッチング素子Q1のオフ期間に、スイッチ素子Q2がオンするように、ドライブ巻線Np3の非ドット側端子が抵抗R2を介してスイッチ素子Q2のゲートに接続される。なおD1は、抵抗R2の両端間に接続されるバイパス用のダイオードである。スイッチ素子Q2とコンデンサC2は、補助巻線Np2に誘起された電圧を整流平滑する整流平滑回路3を構成しており、コンデンサC2の両端間にはダミー抵抗R3が接続される。それ以外の構成は、図8に示すものと共通である。
【0016】
次に、図2の波形図を参照しながら、上記回路の動作を説明する。なお、図2において、最上段にあるVDS1は主スイッチング素子Q1のドレイン・ソース間の電圧波形であり、以下、VNp1はトランスT1の一次巻線Np1間の電圧波形、VNp3はトランスT1のドライブ巻線Np3間の電圧波形、VGS2はスイッチ素子Q2のゲート・ソース間の電圧波形、IQ1は主スイッチング素子Q1のドレインを流れる電流波形、IQ2はスイッチ素子Q2のドレインを流れる電流波形である。また、実線は負荷RL1が定格負荷の状態の時、破線は負荷RL1が接続されていない無負荷の時の各波形を示している。
【0017】
主スイッチング素子Q1がオンすると、トランスT1の一次巻線Np1に直流入力電圧Viが印加され、二次巻線Ns1,Ns2および補助巻線Np2とドライブ巻線Np3には、いずれもドット側端子に正極性の電圧が誘起される。しかし、この場合はダイオードD11,D21のアノードよりもカソードの電位が高く、各ダイオードD11,D21はオフするので、負荷RL1,RL2が出力端子+Vo1,−Vo1若しくは出力端子+V02,−V02にそれぞれ接続されるならば、コンデンサC12,C22の放電により、出力電流Io1,Io2が各負荷RL1,RL2に供給される。また、スイッチ素子Q2もソースよりもゲートの電位が低くオフするので、結局トランスT1の一次巻線Np1には励磁電流だけが流れ、この励磁電流に見合うエネルギーがトランスT1に蓄積される。
【0018】
一方、主スイッチング素子Q1がオフすると、トランスT1はそれまで一次巻線Np1に流れていた電流の連続性を維持するために、非ドット側端子に正極性の誘導起電力を発生する。これと同時に、二次巻線Ns1,Ns2および補助巻線Np2とドライブ巻線Np3は、いずれも非ドット側端子に正極性の電圧が誘起される。これにより、ダイオードD11,D21がいずれもオンし、それまでトランスT1に蓄えられていたエネルギーが、ダイオードD11,D21を介してコンデンサC12,C22側に供給される。また、スイッチ素子Q2はソースよりもゲートの電位が高くなってオンし、補助巻線Np2からスイッチ素子Q2を介してコンデンサC2に電流IQ2が流れ込む。すなわち、補助巻線Np2に誘起された電圧はスイッチ素子Q2およびコンデンサC2により整流平滑され、抵抗R3で消費される。
【0019】
ここで、抵抗RLが定格負荷の状態の場合は、抵抗RLに見合う電流が二次巻線Ns1からダイオードD11を介してある程度流れ続けるため、定電圧制御を行っていない出力回路11の出力電圧Vo1は特に上昇しない。また、補助巻線Np2からスイッチ素子Q2を介してコンデンサC2に流れ込む電流IQ2は、補助巻線Np2の特性により徐々に低下するが、トランスT1のエネルギーが二次巻線Ns1,Ns2から各出力側に全て移らない限り、主スイッチング素子Q1がオンするまで電流IQ2はゼロのままとなる。
【0020】
ところが、抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態では、トランスT1に蓄えられたエネルギーが、二次巻線Ns1,Ns2から各出力側に全て移ると、今度はコンデンサC2から補助巻線Np2に向けて逆向きの電流IQ2が流れる。その理由は、スイッチ素子Q2であるMOS型FETが、オン時にドレイン・ソース間で双方向に電流IQ2を流せる特性(双方向導通性)を有するからである。補助巻線Np2を逆向きの電流IQ2が流れると、トランスT1の一次巻線Np1および二次巻線Ns1,Ns2のドット側端子に正極性の電圧が誘起され、ダイオードD11,D21はオフする一方で、トランスT1の一次側は、一次巻線Np1→コンデンサC1→主スイッチング素子Q1に内蔵するボディダイオード(図示せず)→一次巻線Np1に至る閉回路が形成さる。したがって、前記逆向きの電流IQ2はトランスT1の一次巻線Np1を介してコンデンサC1に戻される。その後、主スイッチング素子2がオンすると、それまで主スイッチング素子Q1のボディダイオードを流れていた電流が、主スイッチング素子Q1のソースからドレインに向けての逆向きの電流IQ1となる。そして、コンデンサC2に蓄えられたエネルギーがトランスT1を介して全てコンデンサC1側に戻ると、主スイッチング素子Q1のドレインからソースに向けて正方向の電流IQ1が流れる。
【0021】
このように、抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態では、主スイッチング素子Q1のオフ時に、補助巻線Np2からスイッチ素子Q2を経てコンデンサC3に一旦蓄えられたエネルギーが、補助巻線Np2に向けての逆向きの電流IQ2として流れ、トランスT1の一次巻線Np1から入力側のコンデンサC1に戻される。これによって、トランスT1の補助巻線Np2と一次巻線Np1で逆向きに電流を流す期間を確保し、主スイッチング素子Q1への駆動信号のパルス幅の安定化を図るようにしている。したがって、抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態であっても、電圧制御を行なっていない出力回路11の出力電圧Vo1は異常に上昇せず安定化する。
【0022】
また、図1ではいわゆる他励式のフライバックコンバータを示しているが、図6に示す自励式のフライバックコンバータでも、同じようにトランスT1の補助巻線Np2と一次巻線Np1で逆向きに電流を流す期間が確保され、主スイッチング素子Q1の発振周波数が極端に高くなることを防止できる。したがって、主スイッチング素子Q1のスイッチングロスを低減し、消費電力の低減および効率の向上を図ることが可能になる。
【0023】
以上のように本実施例では、主スイッチング素子Q1のオン時にトランスT1にエネルギーを蓄え、主スイッチング素子Q1のオフ時にトランスT1に蓄えたエネルギーを出力側に送り出すフライバックコンバータにおいて、トランスT1の一次側に巻回される補助巻線Np2と、この補助巻線Np2に誘起した電圧を整流平滑する整流素子および平滑コンデンサC3からなる整流平滑回路3とを備え、整流素子は主スイッチング素子Q1と逆にオン・オフ動作する双方向導通性スイッチ素子Q2で構成される。
【0024】
このようにすると、負荷である抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態では、主スイッチング素子Q1のオフ時において、トランスT1に蓄えられたエネルギーが全て出力側に移ると、それまで補助巻線Np2からスイッチ素子Q2を経てコンデンサC3に一旦蓄えられたエネルギーが、補助巻線Np2に向けての逆向きの電流IQ2として流れ、トランスT1の一次巻線Np1から入力側に戻される。これにより、トランスT1の補助巻線Np2と一次巻線Np1で逆向きに電流を流す期間が確保され、主スイッチング素子Q1への駆動信号のパルス幅の安定化が図られる。したがって、電圧制御を行なっていない出力回路11の出力電圧Vo1は、そこに接続する抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態であっても異常に上昇せず安定化する。また、自励式のフライバックコンバータにおいては、軽負荷や無負荷の状態において、主スイッチング素子Q1の発振周波数が極端に高くなることを防止でき、主スイッチング素子Q1のスイッチングロスを低減することが可能になる。
【0025】
また、本実施例では特に、トランスT1にドライブ巻線Np3を巻回し、主スイッチング素子Q1のオフ時にドライブ巻線Np3に誘起した電圧によってスイッチ素子Q2をオンするように構成している。こうすれば、ドライブ巻線Np3をトランスT1に付加するだけで、主スイッチング素子Q1と逆にスイッチ素子Q2を簡単にオン,オフ動作させることが可能になる。
【0026】
スイッチ素子Q2の駆動回路として、その具体例を参考例として図3および図4で説明する。図3においては、主スイッチング素子1に駆動信号を供給する制御回路1とスイッチ素子Q2との間に、スイッチ素子Q2の駆動回路となるNOT回路4を挿入している。
なお、それ以外の構成は図1と共通している。
【0027】
図4は、図3における回路構成の各部の動作を示したものである。なお、VGS1は主スイッチング素子Q1のゲート・ソース間の電圧波形であり、その他は図2と同じ箇所の波形を示している。そして、制御回路1からH(高)レベルの駆動信号を供給するときには、主スイッチング素子Q1をオンにする一方で、スイッチ素子Q2をオフにし、逆に制御回路1からL(低)レベルの駆動信号を供給するときには、主スイッチング素子Q1をオフにする一方で、スイッチ素子Q2をオンにして、実施例と同様に主スイッチング素子Q1とスイッチ素子Q2を交互にオン,オフさせる。そしてこの場合も、抵抗RLが軽負荷や無負荷の状態において、トランスT1の補助巻線Np2と一次巻線Np1で逆向きに電流を流す期間が確保され、主スイッチング素子Q1への駆動信号のパルス幅の安定化が図られることから、電圧制御を行なっていない出力回路11の出力電圧Vo1は、異常に上昇せず安定化する。また、自励式のフライバックコンバータにおいては、軽負荷や無負荷の状態において、主スイッチング素子Q1の発振周波数が極端に高くなることを防止でき、主スイッチング素子Q1のスイッチングロスを低減することが可能になる。
【0028】
さらに、主スイッチング素子Q1に駆動信号を供給する駆動信号ラインとスイッチ素子Q2のゲートすなわち制御端子との間に、NOT回路4を接続するだけで、主スイッチング素子Q1と逆にスイッチ素子Q2を簡単にオン・オフ動作させることが可能になる。
【0029】
図5は、別な参考例におけるフライバックコンバータの回路図を示すものである。この図5においては、スイッチング素子Q2のソースが、前記実施例や参考例のような補助巻線Np2の非ドット側端子ではなく、コンデンサC2の他端に接続する接地ラインに接続されると共に、スイッチング素子Q2のドレインが、コンデンサC2の一端に接続する電圧供給ラインではなく、補助巻線Np2のドット側端子に接続される点が着目される。その他の構成は、前記参考例と共通している。
【0030】
本参考例における各部の動作は前記参考例と共通しているが、前記参考例ではスイッチング素子Q2をオン・オフする際の基準となるソース電位が、補助巻線Np2の非ドット側端子の電圧となり、スイッチング素子Q2にドライブ信号を供給する駆動回路すなわち制御回路1の基準電位である接地レベルと一致しなくなって、制御回路1の構成が複雑になる懸念を生じる。その点、本参考例では、スイッチング素子Q2をオン・オフする際の基準となるソース電位が、制御回路1の基準電位となる接地レベルと一致するため、スイッチング素子Q2にドライブ信号を供給する制御回路1の構成を簡素化することができる。
【0031】
このように本参考例では、双方向導通性スイッチ素子であるスイッチング素子Q2を、補助巻線Np2から整流平滑回路3に至る電圧供給ライン間にではなく、グランドに接続する接地ライン間に挿入接続している。こうすると、スイッチング素子Q2をオン・オフする際の基準となる電位が接地レベルすなわち零になり、スイッチング素子Q2にドライブ信号を供給する上での回路構成を簡素化することが可能になる。
【0032】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲において種々の変形実施が可能である。例えば、主スイッチング素子Q1は例えばバイポーラトランジスタを用いることも可能である。また、スイッチ素子Q2はMOS型FET以外の双方向性導通スイッチ素子を利用してもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載のフライバックコンバータによれば、軽負荷や無負荷の状態になっても、主スイッチング素子のスイッチングロスが大きくならず、しかも、多出力の構成において、電圧制御を行っていない出力回路の出力電圧が異常に上昇せず、ドライブ巻線をトランスに付加するだけで、主スイッチング素子と逆にスイッチ素子を簡単にオン,オフ動作させることが可能なフライバックコンバータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるフライバックコンバータの回路図である。
【図2】同上各部の動作を表す波形図である。
【図3】本発明の参考例におけるフライバックコンバータの回路図である。
【図4】同上各部の動作を表す波形図である。
【図5】本発明の別な参考例におけるフライバックコンバータの回路図である。
【図6】従来例を示す自励式フライバックコンバータの回路図である。
【図7】従来例を示す定格負荷時および軽負荷時における各部の動作を表す波形図である。
【図8】従来例を示す他励式フライバックコンバータの回路図である。
【図9】上記自励式フライバックコンバータの電圧制御していない出力回路の出力電圧と出力電流の関係を示した波形図である。
【符号の説明】
3 整流平滑回路
C3 平滑コンデンサ
Np2 補助巻線
Np3 ドライブ巻線
T1 トランス
Q1 主スイッチング素子
Q2 スイッチ素子(双方向導通性スイッチ素子)
Claims (1)
- 主スイッチング素子のオン時にトランスにエネルギーを蓄え、前記主スイッチング素子のオフ時に前記トランスに蓄えたエネルギーを出力側に送り出すフライバックコンバータにおいて、前記トランスの一次側に巻回される補助巻線と、この補助巻線に誘起した電圧を整流平滑する整流素子および平滑コンデンサからなる整流平滑回路とを備え、前記整流素子は前記主スイッチング素子と逆にオン・オフ動作する双方向導通性スイッチ素子であり、前記トランスにドライブ巻線を巻回し、前記主スイッチング素子のオフ時に前記ドライブ巻線に誘起した電圧により前記双方向導通性スイッチ素子をオンさせるように構成したことを特徴とするフライバックコンバータ。
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