JP2004328948A - スイッチング電源回路およびこれを備えたスイッチングレギュレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】高周波トランスの二次側における容易な回路構成によって負荷の状態に応じて消費電力を抑制することのできるスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】電界効果トランジスタFと、この電界効果トランジスタFに接続された高周波トランスTとを備え、高周波トランスTの二次側に接続された負荷に対して電力を供給するスイッチング電源回路であって、高周波トランスTの二次側には、負荷の状態に基づく電流変化を検知する電流検知用抵抗R4と、第1の電圧とこれよりも低い第2の電圧との間で出力電圧を変更するものであり、かつ電流検知用抵抗R4によって検知された電流が所定値以下になると、出力電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する電圧変更手段とを備える。
【選択図】 図2
【解決手段】電界効果トランジスタFと、この電界効果トランジスタFに接続された高周波トランスTとを備え、高周波トランスTの二次側に接続された負荷に対して電力を供給するスイッチング電源回路であって、高周波トランスTの二次側には、負荷の状態に基づく電流変化を検知する電流検知用抵抗R4と、第1の電圧とこれよりも低い第2の電圧との間で出力電圧を変更するものであり、かつ電流検知用抵抗R4によって検知された電流が所定値以下になると、出力電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する電圧変更手段とを備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源回路およびこれを備えたスイッチングレギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スイッチングレギュレータにおけるスイッチング電源回路では、商用交流電源からの交流電圧を整流、平滑化し、それによって得られた直流電圧を、スイッチング素子によってスイッチングすることにより高い周波数を有する交流電圧に変換している。そして、この交流電圧を高周波トランスを用いて変圧し平滑化することにより所望の直流電圧を生成し、この直流電圧がたとえば電子機器の内部電源電圧として用いられている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−47023号公報
【0004】
図5は、従来のスイッチング電源回路の一例を示す概略構成図である。この図によれば、商用交流電源を整流平滑化する一次側整流平滑化回路41に高周波トランスTを介して二次側整流平滑化回路42が接続され、二次側整流平滑化回路42の後端から直流電圧が出力される。
【0005】
二次側整流平滑化回路42の後端には、直流電圧の出力が定電圧になるように制御するための定電圧制御回路43が接続され、定電圧制御回路43の出力は、たとえばフォトカプラPCを用いた絶縁回路を介してスイッチング制御回路44に接続されている。スイッチング制御回路44の出力は、高周波トランスTの一次側に接続された電界効果トランジスタFのゲート端子に接続されている。
【0006】
この構成によると、定電圧制御回路43において負荷の変動に基づく直流電圧出力が変化したことを検知すると、その旨がスイッチング制御回路44に与えられ、スイッチング制御回路44において、電界効果トランジスタFをオン、オフするためのスイッチング周波数を変化させることにより、二次側整流平滑化回路42から出力される直流電圧を安定化させている(このような制御を一般にフィードバック制御という。)。あるいは、パルス幅変調が用いられたスイッチング電源回路では、電界効果トランジスタFのオン、オフのデューティ比を変化させることにより、直流電圧出力を安定化させている。
【0007】
一方、上記スイッチング電源回路によって出力電圧が供給される負荷では、図示しないモータやマイコンなどを動作させるための第1電圧(たとえば15V)によって駆動される状態と、マイコンのみを動作させるための第1電圧より低い第2電圧(たとえば5V)によって駆動される状態とが存在する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図5に示したスイッチング電源回路および上記特許文献1に開示されたスイッチング電源回路では、単一の出力電圧のみしか生成されておらず、負荷の状態に応じてその出力電圧を変化させるといった構成とはされていない。
【0009】
そのため、マイコンのみを動作させるための第2電圧(たとえば5V)で十分に動作可能であるにもかかわらず、モータなどを駆動させるための第1電圧(たとえば15V)を出力させて、無駄な電力を消費している場合があり、図5に示したスイッチング電源回路および上記特許文献1に開示されたスイッチング電源回路では、消費電力を十分に抑制しているとは言い難かった。
【0010】
【発明の開示】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、高周波トランスの二次側における容易な回路構成によって負荷の状態に応じて消費電力を抑制することのできるスイッチング電源回路を提供することを、その課題としている。
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供されるスイッチング電源回路は、スイッチング素子と、このスイッチング素子に接続されたトランスとを備え、前記トランスの二次側に接続された負荷に対して電力を供給するスイッチング電源回路であって、前記トランスの二次側には、前記負荷の状態に基づく電流変化を検知する電流検知手段と、第1の電圧とこれよりも低い第2の電圧との間で出力電圧を変更するものであり、前記電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、前記出力電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する電圧変更手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態によれば、前記電圧変更手段は、前記出力電圧が所定の目標出力電圧からずれたことを検出する検出手段と、この検出手段の検出信号に基づいて前記スイッチング素子のオン・オフ駆動を制御することにより前記出力電圧を前記目標出力電圧に定電圧制御する駆動制御手段と、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記目標出力電圧を変更する目標電圧変更手段とによって構成されるとよい。
【0014】
さらに、前記検出手段は、前記出力電圧の出力端に接続された可変抵抗と固定抵抗との直列回路によって当該出力電圧を分圧して検出する検出回路からなり、前記目標電圧変更手段は、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記可変抵抗の値を変更することにより前記目標出力電圧を変更するとよい。
【0015】
また、前記電流検知手段は、前記トランスの二次側と前記負荷との間に接続された電流検知用抵抗と、その電流検知用抵抗の両端電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更するように構成するとよい。
【0016】
あるいは、前記電流検知手段は、前記トランスの二次側に設けられ、その二次側に流れる電流を検知するための補助巻線と、その補助巻線に誘起される電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更するように構成してもよい。
【0017】
本発明によれば、電流検知手段によって負荷の状態に基づく電流変化が検知され、その電流変化に基づいて負荷に与える出力電圧を変更するので、負荷の状態に応じた適切な電圧が負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。具体的には、電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、すなわち、負荷が軽負荷の状態になったことが検知されると、出力電圧が第1の電圧からこれよりも低い第2の電圧に変更されるので、負荷が低電圧駆動の可能な状態に変化すると、それに応じて適切な出力電圧が負荷に対して供給されることになり、負荷変動にかかわらず高電圧出力する場合に比して無駄な電力消費を抑制することができる。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供されるスイッチングレギュレータは、本発明の第1の側面によって提供されるスイッチング電源回路が備えられたことを特徴としている。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源回路を示すブロック図である。図2は、スイッチング電源回路に含まれる定電圧制御回路の構成とその周辺回路とを示す図である。このスイッチング電源回路は、安定した電源電圧の出力が可能なスイッチングレギュレータに適用され、このスイッチングレギュレータは、たとえば給湯機能、風呂追い焚き機能および温水暖房機能のうち少なくともいずれか一つを備えた給湯装置などの各種住宅設備機器や、あるいはプロジェクタなどの電気製品の電源として用いられる。
【0022】
スイッチング電源回路は、図1に示すように、一次側整流平滑回路1、高周波トランスT、二次側整流平滑回路2、定電圧制御回路3、およびスイッチング制御回路4を備えている。
【0023】
一次側整流平滑回路1は、整流ダイオードD1および平滑コンデンサC1を有し、このスイッチング電源回路に入力される、たとえば商用電源(たとえばAC100V)を整流平滑化するものである。接続構成を説明すると、入力端子aに整流ダイオードD1のアノード側が接続され、そのカソード側には、平滑コンデンサC1のプラス端子が接続されている。平滑コンデンサC1のマイナス端子は、入力端子bに接続されている。平滑コンデンサC1の両端には、高周波トランスTの一次巻線が接続され、平滑コンデンサC1のマイナス端子と高周波トランスTの一次巻線の一端との間には、スイッチング素子としての電界効果トランジスタF(後述)が介在されている。
【0024】
高周波トランスTは、一次巻線側に入力されたエネルギーを二次巻線側に伝達させるものである。高周波トランスTの二次巻線側には、所定のエネルギーが伝達され、たとえば所定の電圧もしくは電流が図示しない負荷に対して出力される。
【0025】
電界効果トランジスタFは、高周波トランスTの一次巻線側における直流電圧をスイッチングするためのものであり、スイッチング制御回路4に含まれる図示しない発振回路の出力によってオン、オフ動作される。電界効果トランジスタFのソース端子は、入力端子bに接続され、そのドレイン端子は、高周波トランスTの一次巻線の一端に接続され、そのゲート端子は、スイッチング制御回路4に接続されている。
【0026】
高周波トランスTの二次巻線側には、二次側整流平滑回路2が接続されている。二次側整流平滑回路2は、整流ダイオードD2および平滑コンデンサC2を有し、高周波トランスTの二次巻線側に現れる交流電圧を整流平滑化するものである。二次側整流平滑回路2によって整流平滑化された電圧は、直流電圧として負荷に供給される。
【0027】
高周波トランスTの二次巻線側の一端は、整流ダイオードD2のアノード端子に接続され、高周波トランスTの二次巻線側の他端は、平滑コンデンサC2のマイナス端子に接続されるとともに、出力端子dに接続されている。平滑コンデンサC2のプラス端子は、整流ダイオードD2のカソード端子に接続されるとともに、出力端子cに接続されている。この出力端子c,dから直流の出力電圧Voが出力される。
【0028】
定電圧制御回路3は、負荷に対して供給される出力電圧Voの変動を検知して出力電圧Voが一定電圧になるように制御するためのフィードバック信号をスイッチング制御回路4に対して出力するものである。定電圧制御回路3は、その入力側が出力端子c,dに接続されるとともに、その出力側が絶縁回路としてのフォトカプラPCを介してスイッチング制御回路4に接続されている。
【0029】
また、定電圧制御回路3は、高周波トランスTの二次巻線に流れる電流の変化を検知し、その検知電流から負荷が所定の軽負荷の状態に変化したと推定される場合、出力電圧Voを第1電圧Vo1(たとえば15V)から第1電圧Vo1より低い第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更する機能を有する。ここで、第1電圧Vo1とは、図示しないたとえばモータやマイコンなどが動作される、通常の負荷状態のときの駆動電圧であり(請求項に記載の「目標出力電圧」に相当)、第2電圧Vo2とは、たとえばマイコンのみが動作される、負荷が軽負荷になったときの駆動電圧である。なお、この定電圧制御回路3の詳細構成については、後述する。
【0030】
スイッチング制御回路4は、定電圧制御回路3からのフィードバック信号に基づいて、電界効果トランジスタFのオン、オフ動作を制御するものである。たとえば、通常の負荷の状態では、基本周波数(たとえば100kHz)を発振し、電界効果トランジスタFを基本周波数に基づくスイッチング信号によってオン、オフ動作させて出力端子c,dから出力される出力電圧Voを第1電圧Vo1に制御する。また、負荷が変動した場合は、定電圧制御回路3からのフィードバック信号に基づいて基本周波数を変化させることにより出力電圧Voを第1電圧Vo1に保持する。なお、このスイッチング制御回路4においてパルス幅変調が用いられる場合には、電界効果トランジスタFのオン、オフのデューティ比を変化させることにより上述の定電圧制御が行われる。
【0031】
定電圧制御回路3は、シャントレギュレータSR、スイッチングトランジスタQ、コンパレータCP、直流電圧源11、および複数の抵抗R1〜R7などを有している。接続構成を説明すると、出力端子cには、抵抗R1を介してフォトカプラPCのフォトダイオードのアノード端子が接続され、フォトダイオードのカソード端子は、シャントレギュレータSRのカソード端子に接続されている。シャントレギュレータSRのアノード端子は、第1グランドG1に接続されている。
【0032】
また、出力端子cには、抵抗R2の一端が接続され、抵抗R2の他端には、抵抗R3の一端が接続され、抵抗R3の他端は、第1グランドG1に接続されている。シャントレギュレータSRは、そのリファレンス入力端子inが抵抗R2と抵抗R3との接続点kに接続されている。
【0033】
出力端子dには、電流検知用抵抗R4および抵抗R5が接続されている。すなわち、出力端子dには、抵抗R5の一端が接続され、抵抗R5の他端には、抵抗R6の一端が接続され、抵抗R6の他端は、第2グランドG2に接続されている。なお、第2グランドG2は、第1グランドG1と異なる電位とされている。
【0034】
コンパレータCPは、非反転入力端子に入力される電圧と、直流電源11によって与えられ反転入力端子に入力される基準電圧Vrefとを比較するものである。コンパレータCPは、その非反転入力端子が抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続されている。コンパレータCPの反転入力端子には、基準電圧Vrefが入力される。基準電圧Vrefは、負荷が軽負荷になったか否かを判別するための閾値に予め設定されている。
【0035】
コンパレータCPは、たとえば非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧Vrefを越える場合、すなわち負荷の状態が通常の場合、出力端子から「HIGH」レベルを出力する。一方、たとえば非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧Vrefを越えない場合、すなわち負荷の状態が軽負荷になっている場合、出力端子から「LOW」レベルを出力する。
【0036】
また、上述した抵抗R2の両端には、抵抗R7およびpnp型のスイッチングトランジスタQが並列に接続されている。詳細には、抵抗R2の一端には、抵抗R7の一端が接続され、抵抗R7の他端には、スイッチングトランジスタQのエミッタ端子が接続され、スイッチングトランジスタQのコレクタ端子は、抵抗R2の他端に接続されている。なお、抵抗R2および抵抗R7は、請求項に記載の「可変抵抗」に相当する。また、抵抗R3は、請求項に記載の「固定抵抗」に相当する。
【0037】
次に、上記回路における作用について説明する。
【0038】
通常の負荷時においては、図示しないモータやマイコンなどが駆動された状態とされ、出力電圧Voは第1電圧Vo1に制御されている。このとき、高周波トランスTの2次巻線側には比較的高い電流が流れ、その電流が電流検知用抵抗R4に流れるため、負荷が通常の状態である場合には、図3に示す図2のa点電圧波形(時刻Tより以前)に示すように、基準電圧Vrefより電流検知用抵抗R4の両端電圧の方が高くなる。そのため、コンパレータCPの出力は、「HIGH」レベルであり(図3に示す図2のb点電圧波形参照)、スイッチングトランジスタQはオフ状態にあり、端子cと接続点kとの間の抵抗値は抵抗R2となる。したがって、接続点kの電圧、すなわち、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される電圧は、出力電圧Voを抵抗値R2と抵抗値R3とで分圧した電圧(R3・Vo)/(R2+R3)となる。
【0039】
そのため、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比は、後述する軽負荷時の場合と比較して大きくなり、負荷が通常の状態である場合は、図3に示す図2のc点電圧波形(時刻tより以前)に示すように、出力電圧Voは第1電圧Vo1(15V)に定電圧制御される。
【0040】
一方、負荷が通常の状態から軽負荷の状態に変化すると、すなわち、負荷状態が、図示しないモータなどが駆動停止され、たとえばマイコンのみが駆動される状態になると、高周波トランスTの二次巻線側に流れる電流が低下する。この低下した電流が電流検知用抵抗R4に流れると、コンパレータCPでは、図3に示す図2のa点電圧波形(時刻tより以降)に示すように、基準電圧Vrefより電流検知用抵抗R4の両端電圧の方が下回ったことが検出され、コンパレータCPの出力端子からは、「LOW」レベルが出力される(図3に示す図2のb点電圧波形参照)。
【0041】
これにより、スイッチングトランジスタQがオンし、端子cと接続点kとの間の抵抗値は抵抗R2および抵抗R7の並列抵抗の値R2//R7となる。したがって、接続点kの電圧、すなわち、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される電圧は、出力電圧Voを並列抵抗値R2//R7と抵抗値R3とで分圧した電圧(R3・Vo)/(R2//R7+R3)となる。そのため、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比は、上述の通常負荷時の場合と比較して小さくなり、出力電圧Voは、図3に示す図2のc点電圧波形(時刻t時点)に示すように、第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更される。
【0042】
上記のように、本実施形態に係るスイッチング電源回路は、高周波トランスTの二次側に流れる電流を検知し、その検知電流に基づいて負荷が通常の状態か軽負荷の状態に変化したと推定されると、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される、出力電圧Voの分圧電圧の分圧比を変更することにより、当該出力電圧Voを第1電圧Vo1(本実施形態では15V)よりも低い第2電圧Vo2(本実施形態では5V)に変更するようにしているので、負荷が軽負荷の状態になった場合にも出力電圧Voが不必要に高い電圧に制御されることがなく、負荷に適した低い電圧に制御する分、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0043】
また、このスイッチング電源回路によれば、外部からの制御信号に基づいて出力電圧Voを変換するのではなく、自己の回路のみにおいて出力電圧Voを変換している。そのため、たとえば外部からの制御信号に基づいて出力電圧Voを変換する構成のスイッチング電源回路に比べ、外部からの制御信号を必要とせず、すなわち、その制御信号を生成、伝達するための回路構成を必要としない。したがって、部品点数を削減することができるとともに、たとえば本スイッチング電源回路が実装された基板の寸法を縮小することができ、総じてコストの低減化を図ることができる。
【0044】
なお、負荷の状態が、一旦軽負荷になり、再び通常の負荷に戻る場合は、上述した通常の負荷から軽負荷に変化した場合の動作と逆の動作が行われることにより、出力電圧Voは第2電圧Vo2から第1電圧Vo1に変更される。また、このスイッチング電源回路の商用電源投入時において、負荷が軽負荷になっているときは、高周波トランスTの二次巻線側に流れる電流が小さいため、コンパレータCPの出力レベルは「LOW」レベルとなるから、出力電圧Voは第2電圧Vo2に設定される。
【0045】
また、本実施形態においては、高周波トランスTの二次巻線側において流れる電流変化を検知したとき、その検知信号をスイッチング制御回路4に伝達するようにしてもよい。スイッチング制御回路4では、その検知信号に基づいて、たとえば電界効果トランジスタFに対するオン、オフ信号を間欠的に発振させて、電界効果トランジスタFや高周波トランスTにおけるスイッチングロスを低減するようにしてもよい。
【0046】
<第2実施形態>
図4は、本発明にかかる第2実施形態のスイッチング電源回路を示す図である。このスイッチング電源回路は、いわゆるフォワードコンバータ方式が採用されたものである。第1実施形態のスイッチング電源回路では、電流検知用抵抗R4に流れる電流に基づいて負荷が軽負荷になったことを検知していたが、この第2実施形態にかかるスイッチング電源回路では、これに代えて、高周波トランスT′の二次巻線側に設けられたチョークコイルLの補助巻線La(ともに後述)に誘起される電圧に基づいて負荷が軽負荷になったことを検出するようにしている。
【0047】
フォワードコンバータ方式におけるスイッチング電源回路は、高周波トランスT′の一次側巻線および二次側巻線が同極性になるように構成され、高周波トランスT′の二次巻線には、ダイオードD3およびチョークコイルLが出力端子c,dに対してそれぞれ直列に、また、ダイオードD4および平滑用コンデンサC3が出力端子c,dに対してそれぞれ並列に接続されている。
【0048】
具体的には、高周波トランスT′の二次巻線の一端には、ダイオードD3のアノード端子が接続され、ダイオードD3のカソード端子は、出力端子cに接続されるとともに、ダイオードD4のカソード端子および平滑用コンデンサC3のプラス端子に接続されている。また、高周波トランスT′の二次巻線の他端には、ダイオードD4のアノード端子が接続されるとともに、チョークコイルLの一端が接続されている。チョークコイルLの他端は、平滑用コンデンサC3のマイナス端子側に接続されるとともに、出力端子dに接続されている。
【0049】
チョークコイルLには、補助巻線Laが巻回され、図4に示すチョークコイルLおよび補助巻線Laの黒点を付した端子を正極性とし、他端を負極性とする。補助巻線Laの負極性端子は、整流回路15の整流ダイオードD5のアノード端子に接続されている。整流回路15は、整流ダイオードD5および平滑コンデンサC5を有し、補助巻線Laの両端に誘起される電圧を整流平滑化するものである。整流ダイオードD5のカソード端子には、平滑コンデンサC5のプラス端子が接続されている。補助巻線Laの正極性端子には、平滑コンデンサC5のマイナス端子が接続されているとともに、回路グランドに接続されている。
【0050】
そして、整流ダイオードD5のカソード端子は抵抗R5の一端に接続され、補助巻線Laの両端に発生した電圧の分圧がコンパレータCPによって基準電圧と比較されるようになっている。なお、この第2実施形態では、抵抗R7とスイッチングトランジスタQとによって構成される直列回路が抵抗R3に対して並列に接続されている。その他の構成については、上記した第1実施形態と略同様である。
【0051】
この構成においても、補助巻線Laに誘起される電圧は、負荷が軽負荷になったことにともなって小さくなるので、補助巻線Laに誘起される電圧に基づく電圧をコンパレータCPによって基準電圧Vrefと比較することにより、負荷が軽負荷になったことを検出することができる。すなわち、コンパレータCPは、補助巻線Laに誘起される電圧に基づく入力電圧が基準電圧Vrefを下回ったとき、出力端子から「LOW」レベルを出力する。
【0052】
これにより、スイッチングトランジスタQがオフし、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比が通常負荷時よりも小さくなり、当該出力電圧Voが第1電圧Vo1(たとえば15V)よりも低い第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更される。そのため、負荷の状態に応じた適切な出力電圧Voが負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0053】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、本発明に適用されるスイッチング電源回路としては、自励発振タイプあるいは他励発振タイプのいずれであってもよい。また、フライバック方式あるいはフォワード方式のいずれであってもよい。また、定電圧出力電源あるいは定電流出力電源のいずれであってもよい。また、降圧方式あるいは昇圧方式のいずれであってもよい。また、カレントモード制御方式あるいはボルテージモード制御方式のいずれであってもよい。また、PAM制御方式あるいはPWM制御方式のいずれであってもよい。要するに、本発明の範囲を逸脱しないスイッチング電源回路であれば、いかなるタイプまたは方式のものにも適用可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、回路中に採用される、電界効果トランジスタFおよびそれ以外の各種スイッチング素子は、MOSFETやバイポーラトランジスタなどに適宜設計変更可能である。また、上記実施形態におけるその他の回路部品も適宜設計変更可能である。また、コンパレータCPの入出力端子間に抵抗やダイオードなどを適当に接続することにより、コンパレータCPの動作切り替え点にヒステリシスを設けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、第1電圧を15V、および第2電圧を5Vとして説明したが、これらの値は、マイコンなどの動作電圧に合わせて適宜設計変更可能である。上記実施形態で説明したマイコンは、出力電圧Voが上記した第1電圧または第2電圧でも動作する必要があるため、負荷側には、図示しない所定の電圧レギュレータが備えられている。この場合、第2電圧が供給されてもマイコンなどの動作を確保できるような3V出力用の電圧レギュレータが備えられており、マイコンなどはたとえば3Vで動作するタイプとなる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、電流検知手段によって負荷の状態に基づく電流変化が検知され、その電流変化に基づいて負荷に与える出力電圧を変更するので、負荷の状態に応じた適切な電圧が負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。具体的には、電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、すなわち、負荷が軽負荷の状態になったことが検知されると、出力電圧が第1の電圧からこれよりも低い第2の電圧に変更されるので、負荷が低電圧駆動の可能な状態に変化すると、それに応じて適切な出力電圧が負荷に対して供給されることになり、負荷変動にかかわらず高電圧出力する場合に比して無駄な電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源回路を示す図である。
【図2】図1に示すスイッチング電源回路に含まれる定電圧制御回路の構成とその周辺回路を示す図である。
【図3】定電圧制御回路の各点における波形を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるスイッチング電源回路を示す図である。
【図5】従来のスイッチング電源回路を示す図である。
【符号の説明】
3 定電圧制御回路
4 スイッチング制御回路
CP コンパレータ
F 電界効果トランジスタ
L チョークコイル
T 高周波トランス
Q スイッチングトランジスタ
SR シャントレギュレータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチング電源回路およびこれを備えたスイッチングレギュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スイッチングレギュレータにおけるスイッチング電源回路では、商用交流電源からの交流電圧を整流、平滑化し、それによって得られた直流電圧を、スイッチング素子によってスイッチングすることにより高い周波数を有する交流電圧に変換している。そして、この交流電圧を高周波トランスを用いて変圧し平滑化することにより所望の直流電圧を生成し、この直流電圧がたとえば電子機器の内部電源電圧として用いられている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−47023号公報
【0004】
図5は、従来のスイッチング電源回路の一例を示す概略構成図である。この図によれば、商用交流電源を整流平滑化する一次側整流平滑化回路41に高周波トランスTを介して二次側整流平滑化回路42が接続され、二次側整流平滑化回路42の後端から直流電圧が出力される。
【0005】
二次側整流平滑化回路42の後端には、直流電圧の出力が定電圧になるように制御するための定電圧制御回路43が接続され、定電圧制御回路43の出力は、たとえばフォトカプラPCを用いた絶縁回路を介してスイッチング制御回路44に接続されている。スイッチング制御回路44の出力は、高周波トランスTの一次側に接続された電界効果トランジスタFのゲート端子に接続されている。
【0006】
この構成によると、定電圧制御回路43において負荷の変動に基づく直流電圧出力が変化したことを検知すると、その旨がスイッチング制御回路44に与えられ、スイッチング制御回路44において、電界効果トランジスタFをオン、オフするためのスイッチング周波数を変化させることにより、二次側整流平滑化回路42から出力される直流電圧を安定化させている(このような制御を一般にフィードバック制御という。)。あるいは、パルス幅変調が用いられたスイッチング電源回路では、電界効果トランジスタFのオン、オフのデューティ比を変化させることにより、直流電圧出力を安定化させている。
【0007】
一方、上記スイッチング電源回路によって出力電圧が供給される負荷では、図示しないモータやマイコンなどを動作させるための第1電圧(たとえば15V)によって駆動される状態と、マイコンのみを動作させるための第1電圧より低い第2電圧(たとえば5V)によって駆動される状態とが存在する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図5に示したスイッチング電源回路および上記特許文献1に開示されたスイッチング電源回路では、単一の出力電圧のみしか生成されておらず、負荷の状態に応じてその出力電圧を変化させるといった構成とはされていない。
【0009】
そのため、マイコンのみを動作させるための第2電圧(たとえば5V)で十分に動作可能であるにもかかわらず、モータなどを駆動させるための第1電圧(たとえば15V)を出力させて、無駄な電力を消費している場合があり、図5に示したスイッチング電源回路および上記特許文献1に開示されたスイッチング電源回路では、消費電力を十分に抑制しているとは言い難かった。
【0010】
【発明の開示】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであって、高周波トランスの二次側における容易な回路構成によって負荷の状態に応じて消費電力を抑制することのできるスイッチング電源回路を提供することを、その課題としている。
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0012】
本発明の第1の側面によって提供されるスイッチング電源回路は、スイッチング素子と、このスイッチング素子に接続されたトランスとを備え、前記トランスの二次側に接続された負荷に対して電力を供給するスイッチング電源回路であって、前記トランスの二次側には、前記負荷の状態に基づく電流変化を検知する電流検知手段と、第1の電圧とこれよりも低い第2の電圧との間で出力電圧を変更するものであり、前記電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、前記出力電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する電圧変更手段と、を備えることを特徴としている。
【0013】
好ましい実施の形態によれば、前記電圧変更手段は、前記出力電圧が所定の目標出力電圧からずれたことを検出する検出手段と、この検出手段の検出信号に基づいて前記スイッチング素子のオン・オフ駆動を制御することにより前記出力電圧を前記目標出力電圧に定電圧制御する駆動制御手段と、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記目標出力電圧を変更する目標電圧変更手段とによって構成されるとよい。
【0014】
さらに、前記検出手段は、前記出力電圧の出力端に接続された可変抵抗と固定抵抗との直列回路によって当該出力電圧を分圧して検出する検出回路からなり、前記目標電圧変更手段は、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記可変抵抗の値を変更することにより前記目標出力電圧を変更するとよい。
【0015】
また、前記電流検知手段は、前記トランスの二次側と前記負荷との間に接続された電流検知用抵抗と、その電流検知用抵抗の両端電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更するように構成するとよい。
【0016】
あるいは、前記電流検知手段は、前記トランスの二次側に設けられ、その二次側に流れる電流を検知するための補助巻線と、その補助巻線に誘起される電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更するように構成してもよい。
【0017】
本発明によれば、電流検知手段によって負荷の状態に基づく電流変化が検知され、その電流変化に基づいて負荷に与える出力電圧を変更するので、負荷の状態に応じた適切な電圧が負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。具体的には、電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、すなわち、負荷が軽負荷の状態になったことが検知されると、出力電圧が第1の電圧からこれよりも低い第2の電圧に変更されるので、負荷が低電圧駆動の可能な状態に変化すると、それに応じて適切な出力電圧が負荷に対して供給されることになり、負荷変動にかかわらず高電圧出力する場合に比して無駄な電力消費を抑制することができる。
【0018】
本発明の第2の側面によって提供されるスイッチングレギュレータは、本発明の第1の側面によって提供されるスイッチング電源回路が備えられたことを特徴としている。
【0019】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源回路を示すブロック図である。図2は、スイッチング電源回路に含まれる定電圧制御回路の構成とその周辺回路とを示す図である。このスイッチング電源回路は、安定した電源電圧の出力が可能なスイッチングレギュレータに適用され、このスイッチングレギュレータは、たとえば給湯機能、風呂追い焚き機能および温水暖房機能のうち少なくともいずれか一つを備えた給湯装置などの各種住宅設備機器や、あるいはプロジェクタなどの電気製品の電源として用いられる。
【0022】
スイッチング電源回路は、図1に示すように、一次側整流平滑回路1、高周波トランスT、二次側整流平滑回路2、定電圧制御回路3、およびスイッチング制御回路4を備えている。
【0023】
一次側整流平滑回路1は、整流ダイオードD1および平滑コンデンサC1を有し、このスイッチング電源回路に入力される、たとえば商用電源(たとえばAC100V)を整流平滑化するものである。接続構成を説明すると、入力端子aに整流ダイオードD1のアノード側が接続され、そのカソード側には、平滑コンデンサC1のプラス端子が接続されている。平滑コンデンサC1のマイナス端子は、入力端子bに接続されている。平滑コンデンサC1の両端には、高周波トランスTの一次巻線が接続され、平滑コンデンサC1のマイナス端子と高周波トランスTの一次巻線の一端との間には、スイッチング素子としての電界効果トランジスタF(後述)が介在されている。
【0024】
高周波トランスTは、一次巻線側に入力されたエネルギーを二次巻線側に伝達させるものである。高周波トランスTの二次巻線側には、所定のエネルギーが伝達され、たとえば所定の電圧もしくは電流が図示しない負荷に対して出力される。
【0025】
電界効果トランジスタFは、高周波トランスTの一次巻線側における直流電圧をスイッチングするためのものであり、スイッチング制御回路4に含まれる図示しない発振回路の出力によってオン、オフ動作される。電界効果トランジスタFのソース端子は、入力端子bに接続され、そのドレイン端子は、高周波トランスTの一次巻線の一端に接続され、そのゲート端子は、スイッチング制御回路4に接続されている。
【0026】
高周波トランスTの二次巻線側には、二次側整流平滑回路2が接続されている。二次側整流平滑回路2は、整流ダイオードD2および平滑コンデンサC2を有し、高周波トランスTの二次巻線側に現れる交流電圧を整流平滑化するものである。二次側整流平滑回路2によって整流平滑化された電圧は、直流電圧として負荷に供給される。
【0027】
高周波トランスTの二次巻線側の一端は、整流ダイオードD2のアノード端子に接続され、高周波トランスTの二次巻線側の他端は、平滑コンデンサC2のマイナス端子に接続されるとともに、出力端子dに接続されている。平滑コンデンサC2のプラス端子は、整流ダイオードD2のカソード端子に接続されるとともに、出力端子cに接続されている。この出力端子c,dから直流の出力電圧Voが出力される。
【0028】
定電圧制御回路3は、負荷に対して供給される出力電圧Voの変動を検知して出力電圧Voが一定電圧になるように制御するためのフィードバック信号をスイッチング制御回路4に対して出力するものである。定電圧制御回路3は、その入力側が出力端子c,dに接続されるとともに、その出力側が絶縁回路としてのフォトカプラPCを介してスイッチング制御回路4に接続されている。
【0029】
また、定電圧制御回路3は、高周波トランスTの二次巻線に流れる電流の変化を検知し、その検知電流から負荷が所定の軽負荷の状態に変化したと推定される場合、出力電圧Voを第1電圧Vo1(たとえば15V)から第1電圧Vo1より低い第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更する機能を有する。ここで、第1電圧Vo1とは、図示しないたとえばモータやマイコンなどが動作される、通常の負荷状態のときの駆動電圧であり(請求項に記載の「目標出力電圧」に相当)、第2電圧Vo2とは、たとえばマイコンのみが動作される、負荷が軽負荷になったときの駆動電圧である。なお、この定電圧制御回路3の詳細構成については、後述する。
【0030】
スイッチング制御回路4は、定電圧制御回路3からのフィードバック信号に基づいて、電界効果トランジスタFのオン、オフ動作を制御するものである。たとえば、通常の負荷の状態では、基本周波数(たとえば100kHz)を発振し、電界効果トランジスタFを基本周波数に基づくスイッチング信号によってオン、オフ動作させて出力端子c,dから出力される出力電圧Voを第1電圧Vo1に制御する。また、負荷が変動した場合は、定電圧制御回路3からのフィードバック信号に基づいて基本周波数を変化させることにより出力電圧Voを第1電圧Vo1に保持する。なお、このスイッチング制御回路4においてパルス幅変調が用いられる場合には、電界効果トランジスタFのオン、オフのデューティ比を変化させることにより上述の定電圧制御が行われる。
【0031】
定電圧制御回路3は、シャントレギュレータSR、スイッチングトランジスタQ、コンパレータCP、直流電圧源11、および複数の抵抗R1〜R7などを有している。接続構成を説明すると、出力端子cには、抵抗R1を介してフォトカプラPCのフォトダイオードのアノード端子が接続され、フォトダイオードのカソード端子は、シャントレギュレータSRのカソード端子に接続されている。シャントレギュレータSRのアノード端子は、第1グランドG1に接続されている。
【0032】
また、出力端子cには、抵抗R2の一端が接続され、抵抗R2の他端には、抵抗R3の一端が接続され、抵抗R3の他端は、第1グランドG1に接続されている。シャントレギュレータSRは、そのリファレンス入力端子inが抵抗R2と抵抗R3との接続点kに接続されている。
【0033】
出力端子dには、電流検知用抵抗R4および抵抗R5が接続されている。すなわち、出力端子dには、抵抗R5の一端が接続され、抵抗R5の他端には、抵抗R6の一端が接続され、抵抗R6の他端は、第2グランドG2に接続されている。なお、第2グランドG2は、第1グランドG1と異なる電位とされている。
【0034】
コンパレータCPは、非反転入力端子に入力される電圧と、直流電源11によって与えられ反転入力端子に入力される基準電圧Vrefとを比較するものである。コンパレータCPは、その非反転入力端子が抵抗R5と抵抗R6との接続点に接続されている。コンパレータCPの反転入力端子には、基準電圧Vrefが入力される。基準電圧Vrefは、負荷が軽負荷になったか否かを判別するための閾値に予め設定されている。
【0035】
コンパレータCPは、たとえば非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧Vrefを越える場合、すなわち負荷の状態が通常の場合、出力端子から「HIGH」レベルを出力する。一方、たとえば非反転入力端子に入力される電圧が基準電圧Vrefを越えない場合、すなわち負荷の状態が軽負荷になっている場合、出力端子から「LOW」レベルを出力する。
【0036】
また、上述した抵抗R2の両端には、抵抗R7およびpnp型のスイッチングトランジスタQが並列に接続されている。詳細には、抵抗R2の一端には、抵抗R7の一端が接続され、抵抗R7の他端には、スイッチングトランジスタQのエミッタ端子が接続され、スイッチングトランジスタQのコレクタ端子は、抵抗R2の他端に接続されている。なお、抵抗R2および抵抗R7は、請求項に記載の「可変抵抗」に相当する。また、抵抗R3は、請求項に記載の「固定抵抗」に相当する。
【0037】
次に、上記回路における作用について説明する。
【0038】
通常の負荷時においては、図示しないモータやマイコンなどが駆動された状態とされ、出力電圧Voは第1電圧Vo1に制御されている。このとき、高周波トランスTの2次巻線側には比較的高い電流が流れ、その電流が電流検知用抵抗R4に流れるため、負荷が通常の状態である場合には、図3に示す図2のa点電圧波形(時刻Tより以前)に示すように、基準電圧Vrefより電流検知用抵抗R4の両端電圧の方が高くなる。そのため、コンパレータCPの出力は、「HIGH」レベルであり(図3に示す図2のb点電圧波形参照)、スイッチングトランジスタQはオフ状態にあり、端子cと接続点kとの間の抵抗値は抵抗R2となる。したがって、接続点kの電圧、すなわち、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される電圧は、出力電圧Voを抵抗値R2と抵抗値R3とで分圧した電圧(R3・Vo)/(R2+R3)となる。
【0039】
そのため、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比は、後述する軽負荷時の場合と比較して大きくなり、負荷が通常の状態である場合は、図3に示す図2のc点電圧波形(時刻tより以前)に示すように、出力電圧Voは第1電圧Vo1(15V)に定電圧制御される。
【0040】
一方、負荷が通常の状態から軽負荷の状態に変化すると、すなわち、負荷状態が、図示しないモータなどが駆動停止され、たとえばマイコンのみが駆動される状態になると、高周波トランスTの二次巻線側に流れる電流が低下する。この低下した電流が電流検知用抵抗R4に流れると、コンパレータCPでは、図3に示す図2のa点電圧波形(時刻tより以降)に示すように、基準電圧Vrefより電流検知用抵抗R4の両端電圧の方が下回ったことが検出され、コンパレータCPの出力端子からは、「LOW」レベルが出力される(図3に示す図2のb点電圧波形参照)。
【0041】
これにより、スイッチングトランジスタQがオンし、端子cと接続点kとの間の抵抗値は抵抗R2および抵抗R7の並列抵抗の値R2//R7となる。したがって、接続点kの電圧、すなわち、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される電圧は、出力電圧Voを並列抵抗値R2//R7と抵抗値R3とで分圧した電圧(R3・Vo)/(R2//R7+R3)となる。そのため、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比は、上述の通常負荷時の場合と比較して小さくなり、出力電圧Voは、図3に示す図2のc点電圧波形(時刻t時点)に示すように、第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更される。
【0042】
上記のように、本実施形態に係るスイッチング電源回路は、高周波トランスTの二次側に流れる電流を検知し、その検知電流に基づいて負荷が通常の状態か軽負荷の状態に変化したと推定されると、シャントレギュレータSRのリファレンス入力端子inに入力される、出力電圧Voの分圧電圧の分圧比を変更することにより、当該出力電圧Voを第1電圧Vo1(本実施形態では15V)よりも低い第2電圧Vo2(本実施形態では5V)に変更するようにしているので、負荷が軽負荷の状態になった場合にも出力電圧Voが不必要に高い電圧に制御されることがなく、負荷に適した低い電圧に制御する分、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0043】
また、このスイッチング電源回路によれば、外部からの制御信号に基づいて出力電圧Voを変換するのではなく、自己の回路のみにおいて出力電圧Voを変換している。そのため、たとえば外部からの制御信号に基づいて出力電圧Voを変換する構成のスイッチング電源回路に比べ、外部からの制御信号を必要とせず、すなわち、その制御信号を生成、伝達するための回路構成を必要としない。したがって、部品点数を削減することができるとともに、たとえば本スイッチング電源回路が実装された基板の寸法を縮小することができ、総じてコストの低減化を図ることができる。
【0044】
なお、負荷の状態が、一旦軽負荷になり、再び通常の負荷に戻る場合は、上述した通常の負荷から軽負荷に変化した場合の動作と逆の動作が行われることにより、出力電圧Voは第2電圧Vo2から第1電圧Vo1に変更される。また、このスイッチング電源回路の商用電源投入時において、負荷が軽負荷になっているときは、高周波トランスTの二次巻線側に流れる電流が小さいため、コンパレータCPの出力レベルは「LOW」レベルとなるから、出力電圧Voは第2電圧Vo2に設定される。
【0045】
また、本実施形態においては、高周波トランスTの二次巻線側において流れる電流変化を検知したとき、その検知信号をスイッチング制御回路4に伝達するようにしてもよい。スイッチング制御回路4では、その検知信号に基づいて、たとえば電界効果トランジスタFに対するオン、オフ信号を間欠的に発振させて、電界効果トランジスタFや高周波トランスTにおけるスイッチングロスを低減するようにしてもよい。
【0046】
<第2実施形態>
図4は、本発明にかかる第2実施形態のスイッチング電源回路を示す図である。このスイッチング電源回路は、いわゆるフォワードコンバータ方式が採用されたものである。第1実施形態のスイッチング電源回路では、電流検知用抵抗R4に流れる電流に基づいて負荷が軽負荷になったことを検知していたが、この第2実施形態にかかるスイッチング電源回路では、これに代えて、高周波トランスT′の二次巻線側に設けられたチョークコイルLの補助巻線La(ともに後述)に誘起される電圧に基づいて負荷が軽負荷になったことを検出するようにしている。
【0047】
フォワードコンバータ方式におけるスイッチング電源回路は、高周波トランスT′の一次側巻線および二次側巻線が同極性になるように構成され、高周波トランスT′の二次巻線には、ダイオードD3およびチョークコイルLが出力端子c,dに対してそれぞれ直列に、また、ダイオードD4および平滑用コンデンサC3が出力端子c,dに対してそれぞれ並列に接続されている。
【0048】
具体的には、高周波トランスT′の二次巻線の一端には、ダイオードD3のアノード端子が接続され、ダイオードD3のカソード端子は、出力端子cに接続されるとともに、ダイオードD4のカソード端子および平滑用コンデンサC3のプラス端子に接続されている。また、高周波トランスT′の二次巻線の他端には、ダイオードD4のアノード端子が接続されるとともに、チョークコイルLの一端が接続されている。チョークコイルLの他端は、平滑用コンデンサC3のマイナス端子側に接続されるとともに、出力端子dに接続されている。
【0049】
チョークコイルLには、補助巻線Laが巻回され、図4に示すチョークコイルLおよび補助巻線Laの黒点を付した端子を正極性とし、他端を負極性とする。補助巻線Laの負極性端子は、整流回路15の整流ダイオードD5のアノード端子に接続されている。整流回路15は、整流ダイオードD5および平滑コンデンサC5を有し、補助巻線Laの両端に誘起される電圧を整流平滑化するものである。整流ダイオードD5のカソード端子には、平滑コンデンサC5のプラス端子が接続されている。補助巻線Laの正極性端子には、平滑コンデンサC5のマイナス端子が接続されているとともに、回路グランドに接続されている。
【0050】
そして、整流ダイオードD5のカソード端子は抵抗R5の一端に接続され、補助巻線Laの両端に発生した電圧の分圧がコンパレータCPによって基準電圧と比較されるようになっている。なお、この第2実施形態では、抵抗R7とスイッチングトランジスタQとによって構成される直列回路が抵抗R3に対して並列に接続されている。その他の構成については、上記した第1実施形態と略同様である。
【0051】
この構成においても、補助巻線Laに誘起される電圧は、負荷が軽負荷になったことにともなって小さくなるので、補助巻線Laに誘起される電圧に基づく電圧をコンパレータCPによって基準電圧Vrefと比較することにより、負荷が軽負荷になったことを検出することができる。すなわち、コンパレータCPは、補助巻線Laに誘起される電圧に基づく入力電圧が基準電圧Vrefを下回ったとき、出力端子から「LOW」レベルを出力する。
【0052】
これにより、スイッチングトランジスタQがオフし、シャントレギュレータSRの基準電圧に対する出力電圧Voの比が通常負荷時よりも小さくなり、当該出力電圧Voが第1電圧Vo1(たとえば15V)よりも低い第2電圧Vo2(たとえば5V)に変更される。そのため、負荷の状態に応じた適切な出力電圧Voが負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。
【0053】
もちろん、この発明の範囲は上述した実施の形態に限定されるものではない。たとえば、本発明に適用されるスイッチング電源回路としては、自励発振タイプあるいは他励発振タイプのいずれであってもよい。また、フライバック方式あるいはフォワード方式のいずれであってもよい。また、定電圧出力電源あるいは定電流出力電源のいずれであってもよい。また、降圧方式あるいは昇圧方式のいずれであってもよい。また、カレントモード制御方式あるいはボルテージモード制御方式のいずれであってもよい。また、PAM制御方式あるいはPWM制御方式のいずれであってもよい。要するに、本発明の範囲を逸脱しないスイッチング電源回路であれば、いかなるタイプまたは方式のものにも適用可能である。
【0054】
また、上記実施形態においては、回路中に採用される、電界効果トランジスタFおよびそれ以外の各種スイッチング素子は、MOSFETやバイポーラトランジスタなどに適宜設計変更可能である。また、上記実施形態におけるその他の回路部品も適宜設計変更可能である。また、コンパレータCPの入出力端子間に抵抗やダイオードなどを適当に接続することにより、コンパレータCPの動作切り替え点にヒステリシスを設けるようにしてもよい。また、上記実施形態では、第1電圧を15V、および第2電圧を5Vとして説明したが、これらの値は、マイコンなどの動作電圧に合わせて適宜設計変更可能である。上記実施形態で説明したマイコンは、出力電圧Voが上記した第1電圧または第2電圧でも動作する必要があるため、負荷側には、図示しない所定の電圧レギュレータが備えられている。この場合、第2電圧が供給されてもマイコンなどの動作を確保できるような3V出力用の電圧レギュレータが備えられており、マイコンなどはたとえば3Vで動作するタイプとなる。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、電流検知手段によって負荷の状態に基づく電流変化が検知され、その電流変化に基づいて負荷に与える出力電圧を変更するので、負荷の状態に応じた適切な電圧が負荷に対して供給されることになり、無駄な電力消費を抑制することができる。具体的には、電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、すなわち、負荷が軽負荷の状態になったことが検知されると、出力電圧が第1の電圧からこれよりも低い第2の電圧に変更されるので、負荷が低電圧駆動の可能な状態に変化すると、それに応じて適切な出力電圧が負荷に対して供給されることになり、負荷変動にかかわらず高電圧出力する場合に比して無駄な電力消費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源回路を示す図である。
【図2】図1に示すスイッチング電源回路に含まれる定電圧制御回路の構成とその周辺回路を示す図である。
【図3】定電圧制御回路の各点における波形を示す図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるスイッチング電源回路を示す図である。
【図5】従来のスイッチング電源回路を示す図である。
【符号の説明】
3 定電圧制御回路
4 スイッチング制御回路
CP コンパレータ
F 電界効果トランジスタ
L チョークコイル
T 高周波トランス
Q スイッチングトランジスタ
SR シャントレギュレータ
Claims (6)
- スイッチング素子と、このスイッチング素子に接続されたトランスとを備え、前記トランスの二次側に接続された負荷に対して電力を供給するスイッチング電源回路であって、
前記トランスの二次側には、
前記負荷の状態に基づく電流変化を検知する電流検知手段と、
第1の電圧とこれよりも低い第2の電圧との間で出力電圧を変更するものであり、前記電流検知手段によって検知された電流が所定値以下になると、前記出力電圧を第1の電圧から第2の電圧に変更する電圧変更手段と、
を備えることを特徴とする、スイッチング電源回路。 - 前記電圧変更手段は、前記出力電圧が所定の目標出力電圧からずれたことを検出する検出手段と、この検出手段の検出信号に基づいて前記スイッチング素子のオン・オフ駆動を制御することにより前記出力電圧を前記目標出力電圧に定電圧制御する駆動制御手段と、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記目標出力電圧を変更する目標電圧変更手段とからなる、請求項1に記載のスイッチング電源回路。
- 前記検出手段は、前記出力電圧の出力端に接続された可変抵抗と固定抵抗との直列回路によって当該出力電圧を分圧して検出する検出回路からなり、
前記目標電圧変更手段は、前記電流検知手段によって検知された電流に基づいて前記可変抵抗の値を変更することにより前記目標出力電圧を変更するものである、請求項2に記載のスイッチング電源回路。 - 前記電流検知手段は、前記トランスの二次側と前記負荷との間に接続された電流検知用抵抗と、その電流検知用抵抗の両端電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更する、請求項1ないし3のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
- 前記電流検知手段は、前記トランスの二次側に設けられ、その二次側に流れる電流を検知するための補助巻線と、その補助巻線に誘起される電圧と予め定める基準電圧とを比較する比較手段とによって構成され、前記電圧変更手段は、前記比較手段からの出力信号に基づいて前記出力電圧を変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載のスイッチング電源回路が備えられたことを特徴とする、スイッチングレギュレータ。
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-
2003
- 2003-04-28 JP JP2003123160A patent/JP2004328948A/ja active Pending
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