JP4590524B2 - 抗リーシュマニア剤 - Google Patents

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Description

本発明は、チ・シー(Chyi Thee)またはチンウィン(Thinwin)由来で、抗原虫活性または抗リーシュマニア活性を示す物質を有効成分として含有する抗原虫剤または抗リーシュマニア剤に関する。
従来より、リーシュマニア原虫、マラリア原虫、膣トリコモナス、トリパノソーマ、ニューモシスチス・カリニ等の様々な原虫が寄生虫病を引き起こすことが知られている。
中でもリーシュマニア症は、リーシュマニア原虫(Leishmania原虫)により引き起こされる南米を含む熱帯地方特有の寄生虫病で、WHO指定の六大熱帯病の一つである。アフリカ、中近東、中南米およびアジアでの総患者数はおよそ1200万人であり、毎年40万人が感染している。感染経路は、吸血性昆虫であるサシチョウバエであり、このサシチョウバエの体内のリーシュマニア原虫が吸血時に傷口から侵入することにより感染が成立する。原虫は、マクロファージに寄生し、内臓型、皮膚型および粘膜皮膚型の病態を呈する。特に、内臓型は重篤な場合には死に至る危険な病態である。
リーシュマニア原虫には、Leishmania donovani、L. tropica、L. mexicanaおよびL. braziliensisの4つの群(complex)があり、それぞれによって発生する病態は異なるが、基本的には原虫がそれぞれの臓器、局所のマクロファージに寄生することが原因となる。内臓リーシュマニアは、L. donovaniが肝臓、脾臓、骨髄等のマクロファージ、細網内皮系細胞に寄生することで引き起こされる。主症状は、肝臓、脾臓の肥大、貧血、白血球の減少、発熱、リンパ節腫脹である。皮膚リーシュマニアは旧世界型と新世界型に分けられる。旧世界皮膚リーシュマニアは、L. tropicaにより引き起こされるもので、新世界皮膚リーシュマニアは、L. mexicanaにより引き起こされるが、いずれも皮膚のマクロファージに寄生し皮膚潰瘍を形成する。L. braziliensisは、粘膜と皮膚に病変を作る粘膜皮膚リーシュマニアを引き起こすが、皮膚リーシュマニアを引き起こす場合もある。
このようにリーシュマニア原虫は多様性に富んでおり、免疫学的な見地からしても、似たような病態でも地域により抗原性に差がある。このことがワクチン開発を困難にしており、化学療法の必要性が高い。
現在、リーシュマニア症の治療には五価のアンチモン剤(商標名ペントスタム:Pentostam、グルカンタイム:Glucantime)が第一選択薬として用いられており、それらが有効でない場合、ペンタミジン(Pentamidine)、アンフォテリシンB(Amphotericin B)等が用いられる。しかし、これらの薬剤は強い副作用を示すことがあり、使用に関しては医師の注意が必要である。また、アンチモン剤は高価なことも問題点である。
この他の治療薬として、特許文献1は、ゲルマクラノリド型またはグアイアノリド型セスキテルペノイド化合物およびそれを含む医薬について開示しており、特許文献2は、リーシュマニア症の治療に有効なトリアゾール誘導体を開示している。
しかし、現在でも、より安価で副作用が少ない治療薬の開発が望まれている。
チ・シー(Chyi Thee、Semecarpus anacardium L.、英語名Marking Nut Tree)は、ミャンマーに分布するウルシ科の植物である。ミャンマーではチ・シーの果実を、ハンセン病、感染症、乾癬、痔疾、消化不良等の治療に用いているが、その成分や活性の関係等については不明な部分が多い。
また、ミレッティア・ペンヅラ(Millettia pendula)(チンウィン)は、タイとミャンマーに分布するマメ科ナツフジ属に属する樹木である。その心材は濃紫色または褐色を呈しているが、日光に当たると退色することが知られている。チンウィンの用途は主に建材等であり、薬用として用いるという報告はほとんどない。チンウィンの成分として、既に林らによって一部報告されているエクオール(equol)、(-)-マーキアイン((-)-maackiain)、クラウスキノン(claussequinone)、ペンジュロン(pendulone)が知られている(非特許文献1)。このうちペンジュロンは、主に心材から得られる成分である。
特開2001−226369号公報 特開2003−146877号公報 木材学会誌(24巻12号898〜901ページ、1978年、林ら)
本発明は、安価で副作用が少ない抗原虫剤を提供することを目的とする。
本発明は、安価で副作用が少ない抗リーシュマニア剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、チ・シーまたはチンウィン由来の物質が抗原虫活性または抗リーシュマニア活性を示すことを発見した。
上記課題を解決する本発明は、以下の発明を包含する。
(1)チ・シーまたはチンウィン由来で抗原虫活性を示す物質を有効成分として含有する抗原虫剤。
(2)チ・シーまたはチンウィン由来で抗リーシュマニア活性を示す物質を有効成分として含有する抗リーシュマニア剤。
(3)チ・シーまたはチンウィンの抽出物またはその処理物を有効成分として含有する抗リーシュマニア剤。
(4)チ・シーまたはチンウィンの心材の抽出物またはその処理物を有効成分として含有する(3)記載の抗リーシュマニア剤。
(5)ウルシオールを含有する抗リーシュマニア剤。
(6)ウルシオールが次式:
Figure 0004590524
で表されるビラワノールである(5)記載の抗リーシュマニア剤。
(7)次式:
Figure 0004590524
で表されるペンジュロンを含有する抗リーシュマニア剤。
(8)リーシュマニア症の治療に用いる、(1)〜(7)のいずれか1に記載の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤。
(9)チ・シーまたはチンウィンを粉砕する工程、該粉砕したチ・シーまたはチンウィンを抽出する工程、および必要に応じて精製処理を行う工程を含む、抗リーシュマニア剤の製造方法。
本発明の抗原虫剤は、リーシュマニア原虫、マラリア原虫、膣トリコモナス、トリパノソーマ、ニューモシスチス・カリニ等の様々な原虫が引き起こす寄生虫病の治療に有効である。
本発明の抗リーシュマニア剤は、リーシュマニア症の治療に有効である。
本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤は材料が安価であり、製造が容易であるため、安価である。
本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤は、天然成分のチ・シーまたはチンウィン由来の物質を有効成分として含有しており、副作用の問題が少ない。
(1)チ・シー
本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤は、チ・シー由来で、抗原虫活性または抗リーシュマニア活性を示す物質を有効成分として含有する。
本発明で用いるチ・シーの生産地や品種は特に制限されない。チ・シーはその果実を搾汁したもの、破砕、粉砕等により粉末化処理したもの等を用いてもよいが、抽出物またはその処理物として用いることが好ましい。
抽出物として用いる場合、抽出溶媒としては、ヘキサン、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、好ましくはメタノールを使用することができる。通常、チ・シー1kg当り抽出溶媒3〜10Lを使用する。
抽出温度に特に制限はなく、溶媒の融点ないし溶媒の沸点の範囲内であればよく、超臨界抽出をしてもよい。超臨界抽出は、好ましくは炭酸ガスを主溶媒とし、エントレーナーとしてメタノール、エタノール等のアルコール類を添加して行われる。また、抽出は、通常常圧下で行うが、加圧下または減圧下で行ってもよい。抽出時間は、抽出温度や使用量等により異なるが、通常5分間〜1日間である。
前記のようにして得られた抽出液を、布、ステンレスフィルター、濾紙等で濾過して不純物等を取り除くことで、目的の抽出液を得ることができる。また、濾過後の抽出液に、スプレードライ処理、フリーズドライ処理、超臨界処理等の処理を施してもよい。このようにして得られる抽出物は、そのまま本発明の抗リーシュマニア剤の有効成分として用いることができる。
また、さらに当該抽出物をイオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、透析等の各種精製手段により処理し、さらに活性を高めた処理物として用いることもできる。
本発者らはさらにチ・シーの活性成分を検索した。メタノール抽出したチ・シーを、ヘキサン、クロロホルム、ブタノールおよび水により液分配した場合に、ヘキサン画分の抗リューシュマニア活性が特に高いことを発見した。このため、ヘキサン画分について、クロマトグラフィーにより活性成分の分離精製を行ったところ、3種類のウルシオール関連化合物を単離・同定することに成功した。このうち、シリカゲルカラムフラクション中の主化合物は、次式:
Figure 0004590524
で表されるビラワノール(Bhilawanol)であった。ビラワノールの抗リーシュマニア活性は、抗リーシュマニア剤として知られるアンフォテリシンBの抗リーシュマニア活性(IC50;0.2μg/ml)と比較しても、非常に強い。
残りの2種類のウルシオール関連化合物は、アナカルドール(Anacardol)およびカルダノールジエン(Cardanoldiene)であったが、これらの抗リューシュマニア活性は弱かった。
また、本発明者らは、ブタノール画分における主化合物として、ビフラボノイド(Biflavonoid)であるテトラヒドロアメントフラボン(Tetrahydroamentoflavone)を単離・同定したが、この化合物の抗リューシュマニア活性も弱かった。
(2)チンウィン
本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤は、チンウィン由来で、抗原虫活性または抗リーシュマニア活性を示す物質を有効成分として含有する。
本発明で用いるチンウィンの生産地や品種は特に制限されない。チンウィンは、その果実および種子を搾汁したもの、破砕、粉砕等により粉末化処理したもの等を用いてもよいが、抽出物またはその処理物として用いることが好ましい。
抽出物および処理方法は、上記チ・シーで用いた方法に準じる。
本発者らはさらに、チンウィンの活性成分を検索した。メタノール抽出したチンウィンについて、クロマトグラフィーにより活性成分の分離精製を行ったところ、2種類の化合物を単離・同定することに成功した。このうち、次式:
Figure 0004590524
で表されるペンジュロンは強い抗リューシュマニア活性を示した。ペンジュロンの抗リーシュマニア活性は、抗リーシュマニア剤として知られるアンフォテリシンBの抗リーシュマニア活性(IC50;0.2μg/ml)と比較しても、非常に強い。
もう1つの化合物として、2,3-ジメトキシ-9-ヒドロキシプテロカルパンを単離・同定したが、この化合物の抗リューシュマニア活性は弱かった。
(3)製剤化
また、本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤を単独で、または組み合わせて、公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化することができる。
投与形態としては、特に制限はなく、必要に応じ適宜選択されるが、一般には錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、エキス剤等の経口剤、または注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、軟膏剤等の非経口剤として使用される。このうちエキス剤とは、生薬の浸出液を濃縮して得られる剤であり、軟エキス剤、乾燥エキス剤の2種類がある。エキス剤は、通常、有効成分を含有する植物を粉砕後、浸出剤を加えて一定時間冷浸または温浸させるか、あるいはパーコレーション法により浸出させ、この浸出液を濃縮することにより製造する。
本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤の投与量は、患者の年令、体重、疾患の程度、投与経路により異なるが、例えば経口投与では、チ・シーまたはチンウィンの抽出物乾燥粉末として、通常1日10〜3000mgであり、投与回数は、通常、経口投与では1日1〜3回である。
経口剤は、例えばデンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等の賦形剤を用いて常法に従って製造される。
この種の製剤には、適宜前記賦形剤の他に、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料等を使用することができる。
結合剤の具体例としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロWピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
崩壊剤の具体例としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリソルベート、モノステアリン酸グリセリン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロマクロゴールが挙げられる。
滑沢剤の具体例としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
流動性促進剤の具体例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが挙げられる。
また、本発明の抗原虫剤または抗リーシュマニア剤は、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤として投与する場合には、矯味矯臭剤、着色剤を含有してもよい。
本発明の抗原虫剤または抗リューシュマニア剤は、食品、チューインガム、飲料等に添加して、いわゆる特定保健用食品(例えば、抗リューシュマニア食品)等とすることもできる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 チ・シー抽出物の調製
ミャンマーにて入手したChyi Thee 2.6Kgを粉砕後、メタノール5Lを用いて、12時間ずつ、2回抽出を行った。濾紙により抽出液を濾過した後、濾液を減圧濃縮して、メタノール抽出物240gを得た。このメタノール抽出物の最小致死濃度は6.3μg/mlであった。メタノール抽出液をさらにヘキサン、クロロフォルム、ブタノール、水で液々分配し、各画分を得たが、ヘキサン画分に強い抗リーシュマニア活性があった。
実施例2 ビラワノールの単離・同定
実施例1で得られたヘキサン画分について、シリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒によるグラジエント溶出、またはヘキサン−クロロフォルム混合溶媒によるグラジエント溶出)による精製を繰り返し行い、ビラワノール、アナカルドール、カルダノールジエンを単離した。また、ブタノール画分をシリカゲルカラムクロマト(展開溶媒:クロロフォルム−メタノール混合溶媒によるグラジエント溶出)、中圧液体クロマトグラフィー(逆層系シリカゲル、展開溶媒:メタノール−水混合溶媒によるグラジエント溶出またはシリカゲル、展開溶媒:クロロフォルム−メタノール混合溶媒によるグラジエント溶出)を用いて精製し、2量体であるテトラヒドロアメントフラボンを単離した。
ビラワノールデータ:
13C-NMR (δ (ppm) in CDCl3) : 143.0 (s), 141.8 (s), 130.1 (d), 129.9 (d), 129.3 (s), 122.1 (d), 120.1 (d), 112.9 (d), 31.9 (t), 31.8 (t), 29.7 (t), 29.5 (t), 29.4 (t), 29.2 (t), 28.9 (t), 27.2 (t), 26.9 (t), 22.6 (t), 22.3 (t), 14.1 (q).
実施例3 ペンジュロンの精製単離
ミャンマーにて入手したチンウィン68gを粉砕後、メタノール1Lを用いて、12時間ずつ、2回抽出を行った。濾紙により抽出液を濾過した後、濾液を減圧濃縮して、メタノール抽出物4.8gを得た。このメタノール抽出物の最小致死濃度は3.1μg/mlであった。この得られたメタノール抽出物をシリカゲルカラムクロマト(1回目 展開溶媒:クロロフォルム−メタノール混合溶媒:グラジエント溶出、2回目 展開溶媒:クロロフォルム−酢酸エチル混合溶媒 グラジエント溶出)、中圧分取クロマトグラフィー(シリカゲル、展開溶媒:ヘキサン−クロロフォルム=1:3混合溶媒)、セファデックスLH−20(展開溶媒:メタノール)にて精製し、ペンジュロン85mgを得た。
ペンジュロンデータ:
1H-NMR δ (ppm) in CDCl3: 6.87 (1H, d, J =8.3 Hz), 6.38 (1H, dd, J =8.3, 2.5 Hz), 6.34 (1H, d, J =1.1 Hz), 6.29 (1H, d, J =2.5 Hz), 4.21 (1H, ddd, J =9.8, 3.0, 1.1 Hz), 4.01 (1H, dd, J =9.8, 1.2 Hz), 3.99 (3H,s ), 3.98 (3H, s ), 3.40 (1H, dddd, J =6.7, 6.0, 3.0, 1.2 Hz), 2.99 (1H, dd, J =16.0, 6.0 Hz), 2.67 (1H, dd, J =16.0, 6.7 Hz);
13C-NMR (δ (ppm) in CDCl3) : 184.1 (s), 183.5 (s), 155.4 (s), 154.6 (s), 146.6 (s), 145.1 (s), 144.6 (s), 131.0 (d), 130.3 (d), 112.1 (s), 108.8 (d), 103.4 (d), 68.1 (d), 61.3 (q), 61.2 (q), 30.8 (t), 28.9 (d).
実施例4 抗リーシュマニア活性の測定
実施例2で得られたビラワノール、アナカルドールおよびカルダノールジエンおよびビペンジュロンの抗リーシュマニア活性を測定した。
まず、各試料1〜5mgをジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、DMSO溶液(10mg/ml)を作成した。次に、この溶液をMedium 199培地で希釈し(800μg/ml)、メンブレンフィルターを通した。試料溶液を9つの濃度に調整し、マイクロタイタープレートに各濃度の試料溶液50mlと、最終濃度が1×105/mlとなるように調製したリーシュマニア培養液50mlをそれぞれ接種し、培養液の全量を100mlとした。27℃、5%CO2下で72時間インキュベートを行った後、Tetracolor ONE試薬を10μl添加し、6時間インキュベートした後に、マイクロプレートリーダーによりOD値(450−630nm)を測定した。測定は各試料、各濃度について3ウェルずつ行い、平均値および平均誤差を求めて図1に示した。IC50値をグラフより求めた。
図1より、ビラワノール、アナカルドール、カルダノールジエン、テトラヒドロアメントフラボン、ペンジュロンおよびアンフォテリシンBのIC50を求めたところ、ビラワノールのIC50は0.44μg/ml、ペンジュロンのIC50は0.066μg/mlであった。これは、抗リーシュマニア剤として知られるアンフォテリシンBの抗リーシュマニア活性IC50:0.2μg/mlと比較しても、非常に強い活性である。
一方、アナカルドールおよびカルダノールジエンのIC50はそれぞれ68μg/ml、69μg/mlであり、抗リーシュマニア活性は弱かった。
図1は、ビラワノール、アナカルドール、カルダノールジエン、テトラヒドロアメントフラボン、ペンジュロンおよびアンフォテリシンBのIC50を示す。

Claims (3)

  1. 次式:
    Figure 0004590524
    で表されるペンジュロンを含有する抗リーシュマニア剤。
  2. Millettia pendulaを粉砕する工程、該粉砕したMillettia pendulaを抽出する工程を含む請求項1に記載の抗リーシュマニア剤の製造方法。
  3. さらに精製処理を行う工程を含む、請求項2に記載の抗リーシュマニアの製造方法。
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