JP4590300B2 - 免震建物の基礎構造 - Google Patents

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Description

本発明は、地盤上に構築される基礎スラブと、上部構造の架構を形成する柱の直下であって前記基礎スラブと前記上部構造との間に設置される免震装置とを備えた免震建物の基礎構造に関する。
近年、地震時に建物に伝わる地盤の揺れを低減するために、基礎と上部構造の間に低剛性の支承を介在させ、両者を構造的に切り離す免震構造が実用化されている。一般的には、基礎と上部構造との間に積層ゴムやすべり支承等の免震装置を介装し、上部構造に入力する地震時水平力を低減するとともに、上部構造の固有周期を長周期化することで共振現象を回避し、免震効果を上げている。
このような免震建物の基礎構造は、免震層となるピットのスラブと一体にフーチングを繋ぐ基礎梁を縦横に設けるか、あるいはマットのように厚い直接基礎を設けてその上に免震装置を設置し、この免震装置の上に上部構造を水平変位可能に支持するように設計されている。このように免震層を剛強な基礎で構築して免震装置に変形を集中させる方が、必要な減衰や上部構造の固有周期を制御しやすい。
その一方で、施工の合理化とコスト低減を目的として、特許文献1に開示された基礎のように、杭頭部の固定度を下げて免震装置をピンで支承し、薄いスラブを構築しただけで基礎梁を省略した構造も提案されている。
特開平9−273162号公報(段落0007〜0009)
しかしながら、前述した従来の免震建物の基礎構造では、以下に示すような問題があった。
免震層となるピットのスラブと一体にフーチングを繋ぐ基礎梁を縦横に設けた免震建物の基礎構造では、構造が複雑になり、基礎梁の配筋や型枠設置等の施工手間が大幅に増大しコスト高になるとともに、水平移動の妨げとなって、スラブ上での以降の作業が煩雑になってしまうといった問題があった。
マット状の直接基礎を設ける免震建物の基礎構造では、縦横の基礎梁を設けることなく必要な強度を得られるものの、直接基礎が非常に大型且つ大重量のものとなり、コスト高の原因となっていた。
一方、特許文献1に開示された免震建物の基礎構造では、基礎梁をなくして免震層の剛性を落として、杭とスラブとをピン接合して免震装置位置での回転を許容しているので、杭頭部やスラブの変形が大きくなって、免震効果が低下する虞がある。
さらに、基礎スラブを薄くしているので、その曲げ耐力を補うために、プレストレスを入れたり、主筋量を増やしたりしなければならず、コスト高になる。
そこで、本発明は前記の問題を解決すべく、低コストで施工可能で、且つ必要な免震効果を得るための十分な耐力と剛性を有するとともに免震ピットでの作業を行い易い免震建物の基礎構造を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、地盤上に構築される平坦な基礎スラブと、上部構造の架構を形成する柱の直下に位置し前記基礎スラブと前記上部構造との間に設置される免震装置とを備えた免震建物の基礎構造であって、少なくとも前記上部構造の外周部に前記基礎スラブを厚くした臥梁設けられて前記基礎スラブ補剛され、前記上部構造の外周部に設けられた前記臥梁と前記上部構造との間にダンパーが設置されてねじれ振動が抑制されることを特徴とする免震建物の基礎構造である。
ここで、地盤上に構築される平坦な基礎スラブとは、その表面が平坦なものをいい、基礎スラブの下方に臥梁を設けた形状は勿論、外周部が上方にも若干厚くなるように形成されていても、外周部とその内側部とで段差が発生しないように、その境界部分を厚さが徐々に厚くなるテーパ状に形成した形状のものも含む。
また、上部構造の外周部とは、上部構造の外周に沿って設けられた柱の位置をいい、本発明は、臥梁が基礎スラブの外周縁部に形成される場合と、外周縁部から内側へ若干オフセットして臥梁が形成された場合との両方を含む。
請求項1に係る発明によれば、基礎梁のない平坦な基礎スラブのうち、少なくとも上部構造の最外周の柱が配置される外周部に位置する基礎スラブに臥梁を設け、基礎スラブの耐力と剛性とを、面外を固めて、面外と面内ともに高くすることで、免震層に生じる地震時の変形を装置に集中させることができ、必要な免震効果を得ることができる。また、かかる発明によれば、従来の免震ピットを持つ基礎から内部の基礎梁をなくして、基礎スラブの上面を平坦にしたことで、免震ピットでの作業性が改善され作業が行い易くなる。さらに、臥梁を外周部に設けることで、効率的に基礎の剛性を向上させているので、所望の減衰効果を確保し易い。さらに、従来のマット状のスラブと比較して、使用するコンクリート量や鉄筋量を低減することができ、低コストでの施工が可能となる。
請求項2に係る発明は、前記臥梁は、前記上部構造の外周部の柱通り芯に沿って設けられ、かつ前記基礎スラブを矩形状に区画するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の免震建物の基礎構造である。
請求項2に係る発明によれば、複雑な平面形状の建物であっても、周囲を矩形の臥梁で囲まれた矩形スラブを組み合わせて、基礎スラブが構成されるので、基礎スラブの剛性を効果的に高めることができる。
本発明によれば、必要な免震効果を得るための十分な耐力と剛性を有するとともに、作業性の良好な基礎スラブを低コストで施工することができるといった優れた効果を発揮する。
次に、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態では、上部構造と臥梁との間にダンパーを設けたことで減衰効果を多く確保できる点で免震性能上非常に有利となる形態を例に挙げて説明する。なお、鉛入り積層ゴム支承や高減衰ゴムを用いた免震装置を採用して、免震装置のみで必要な減衰を確保できる場合は、別途ダンパーを設ける必要はない。
図1は本発明に係る免震建物の基礎構造を実施するための最良の形態を示した平面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図1のB−B線断面図、図4は杭、補助杭およびダンパーの配置例を示した平面図、図5はダンパー部分の基礎スラブを示した断面図および平面図である。
まず、本実施の形態に係る免震建物の基礎構造の構成を説明する。
図1に示すように、かかる免震建物の基礎構造は、地盤2(図2および図3参照)上に構築される基礎スラブ1と、上部構造3の架構を形成する柱4の直下に位置し前記基礎スラブ1上に構築される架台5(図2および図3参照)と、この架台5と上部構造3との間に設置される免震装置6(図2および図3参照)とを備えている。そして、少なくとも上部構造3の外周部7に基礎スラブ1を厚くした臥梁8を設けて基礎スラブ1を補剛している。
ここで、上部構造3の外周部7とは、上部構造3の最外周に設けられた柱4の位置をいい、図1に示すように、本発明は、臥梁8が基礎スラブ1の外周縁部に形成される場合と、外周縁部から内側へ若干オフセットして臥梁8が形成された場合とを含む。内側へオフセットして臥梁8が形成された場合は、その外側に、外周部7の内側部16の基礎スラブ1と同等の厚さの基礎スラブ1が配置されることとなる。
また、地盤2上に構築される平坦な基礎スラブ1とは、その表面に段差がない形状のものをいう。具体的には、以下に説明する本実施の形態のように、基礎スラブ1の下方に臥梁8を設けて表面が完全に同じ高さとなる形状のものは勿論、外周部が上方にも若干厚くなるように臥梁が形成されていて、外周部とその内側部との境界部分の表面に段差が発生しないように、内側部から外周部に向かって厚さが徐々に厚くなるべく境界部分をテーパ状に形成した形状のものも、平坦な基礎スラブに含む。
本実施の形態の建物は、長方形平面からなるA棟14およびB棟15を雁行状に配置してなる平面形状となっている。図1中、右上に位置するA棟14は、建物の外周四辺に亘って、基礎スラブ1の周縁部(外周部7)の柱通り芯に沿って柱4が所定の間隔で配置されている。これらの柱4は、上部構造3の最外周の柱4である。また、外周部7の内側部16にも柱4´が所定の間隔で配置されている。
一方、図中、左下に位置するB棟15は、建物の外周三辺で、基礎スラブ1の周縁部(外周部7)の柱通り芯に沿って柱4が所定の間隔で配置されており、残りの一辺で、基礎スラブ1の周縁部から所定距離内側にオフセットした柱通り芯の位置(外周部7)で柱4が配置されている。このオフセット配置された柱4は、A棟14の一辺と同じ柱通り芯となっている。これらの柱4は、上部構造3の最外周の柱4である。B棟15の外周部7の内側部16にも柱4´が所定の間隔で配置されている。これら柱4,4´の本数、位置およびサイズは、建物プラン等の各種条件に応じて適宜決定される。
本実施の形態では、図2および図3に示すように、各柱4,4´の下部には、杭17がそれぞれ設けられている。これら杭17の本数、位置およびサイズは、建物プランや地盤2等の各種条件に応じて適宜決定される。
また、図4に示すように、隣接する杭17間の距離が長い場合には、基礎スラブ1の下部の所定の位置に補助杭18が設けられている。ここで、補助杭18を設置する位置は、杭17からの離間距離が長く(例えば、6500mm)、そこに補助杭18を設けることで、基礎スラブ1にかかるせん断力を低減することができる位置である。補助杭18は、外周部7の内側部16に設けられている。補助杭18は、杭17と比較して小型で簡易な構造で且つ施工が容易な沈下抑止杭が採用されている。本実施の形態では、地盤2に掘削された杭穴にH型鋼(図示せず)を挿入して、このH型鋼を中心の骨としてコンクリートを打設することで補助杭18が形成されている。補助杭18は、その外周面と地盤2との摩擦によって荷重を支持する。なお、H型鋼の周囲に鉄筋を配筋すれば、基礎スラブ1にかかるモーメント負担も低減することができる。
ところで、図2および図3に示すように、杭17の上部には、免震装置6が設けられている。免震装置6は、杭17の上部に形成された架台5と上部構造3との間に介装され、地震時の変形を集中させて上部構造3の揺れを低減させるものである。免震装置6は、例えば、鋼板と厚さ数mmのゴムを交互に積み重ねて接着して熱と圧力をかけて形成された積層ゴム19を備えており、鉛直方向に硬く、水平方向に軟らかい支承で上部構造3を支持する。
また、図1および図5に示すように、A棟14およびB棟15の外周部7の所定の位置にはダンパー9が設けられている。ダンパー9は基礎スラブ1と上部構造3との間に介装され、地震時の変形を吸収させて、不整形な上部構造3に生じやすいねじれ振動を抑制するものである。ダンパー9は、例えば、オイルダンパーにて構成され、その一端が基礎スラブ1に接続され、他端が上部構造3に接続されている。ダンパー9は、力の作用速度を和らげ、同じ力積量に対し、時間を延ばして力を減少させて、地震時のエネルギーを吸収する。
図1に示すように、A棟14およびB棟15の外周部7には、これら外周部7に設けられた柱4の設置位置に沿って、臥梁8が帯状に形成されている。A棟14、B棟15ともに、柱4の下部には免震装置6および杭17(図2および図3参照)が設けられており、臥梁8は、柱4、杭17および免震装置6に沿って形成されることとなる。B棟15の内側にオフセットした外周部7と直交する一辺の臥梁8(図1中、B棟15の左側端辺の臥梁8)は、オフセットした外周部7より外側の、臥梁8が形成されていない基礎スラブ1の周縁部(図1中、B棟15の上側端辺)まで延出して形成されている。帯状に形成された臥梁8は、柱4の断面より所定の幅で大きくなるように、例えば、幅2600mmで形成されている。この臥梁8の幅は、建物プランや地盤2等の各種条件に応じて適宜決定される。
外周部7に矩形状に形成された臥梁8で囲まれる内側部16の薄板状の基礎スラブ1は、矩形状に区画される。特に、本実施の形態では、A棟14とB棟15のそれぞれで、臥梁8が矩形状に形成されており、矩形状の臥梁8で囲まれて区画された矩形スラブを組み合わせることで、基礎スラブ1の剛性を効果的に高めている。
臥梁8は、図2に示すように、基礎スラブ1の下面より下方の地中に構築されている。臥梁8は、基礎スラブ1の厚さt1と同等の厚さt2に形成されている。具体的には、本実施の形態では、基礎スラブ1の厚さt1が300mmで、臥梁8の厚さt2も300mmであり、臥梁8が形成された部分の総厚さが600mmとなっている。基礎スラブ1には、所定のコンクリートかぶり厚が得られる位置に、格子状に形成された水平筋21が配筋されている。水平筋21は、基礎スラブ1の上部に設けられる上端筋22と、下部に設けられる下端筋23とで構成されている。上部構造3の最外周の柱4が配置される外周部7に形成された臥梁8と、内側部16に形成された薄板状の基礎スラブ1との境界部分24は、テーパ状の傾斜部25が形成され、基礎スラブ1から臥梁8へ向かって連続的に基礎の厚さが厚くなるように構成されている。なお、図2中右側となる、臥梁8の上部構造3の外方側は、基礎スラブ1の外周縁部まで臥梁8が形成されている。
臥梁8の下部には、ベンド筋26が配筋されている。ベンド筋26は、格子状に配筋されており、臥梁8の下端から傾斜部25に沿って屈曲され、所定のコンクリートかぶり厚が得られる位置に配筋されている。杭頭部と交差する部分のベンド筋26もフラットスラブ配筋のように格子状に配筋されている。ベンド筋26の基礎スラブ1側端部は、基礎スラブ1の水平筋21に対して所定の定着長さを確保できるように、基礎スラブ1の上端筋22と下端筋23との間まで延出されている。ベンド筋26の基礎スラブ1側端部は、上端筋22と下端筋23との間で水平方向に延びるように屈曲され、定着長さを長く確保するように構成されている。ベンド筋26が、臥梁8の下端筋を構成する。一方、基礎スラブ1の上端筋22は、臥梁8上部の基礎スラブ1部分および杭17と交差する部分にも延出して連続的に格子状に形成されている。
前記水平筋21とベンド筋26とは、同時に配筋され、基礎スラブ1と臥梁8と杭頭部とは、同時にコンクリート打設されて、一体的に構築される。
基礎スラブ1の上部構造3の外方側には、立上り部29が形成されており、上部構造3の下部の基礎スラブ1上に雨水等が流れ込むのを防止している。
図3は、基礎スラブ1の外周縁部から所定距離オフセットした外周部7に形成された臥梁8を示した断面図である。この場合、臥梁8の内側(図中左側)と、外側(図中右側)の両側に、薄板状の基礎スラブ1が形成される。この基礎スラブ1と臥梁8との境界部分24には、図2と同様の傾斜部25が形成されている。この傾斜部25には、水平筋21、ベンド筋26が、図2と同様に配筋されている。外側の基礎スラブ1の外方側には、図2と同様の構成の立上り部29が形成されている。
なお、図2および図3中、39は敷砂利、41は捨てコンクリートをそれぞれ示す。
図1に示すように、外周部7の内側部16には、薄板状の基礎スラブ1が形成されている。この内側部16の基礎スラブ1には、基礎スラブ1を部分的に補剛した高剛性部11が形成されている。この高剛性部11は、本実施の形態では、基礎スラブ1を厚くして形成され、外周部7の臥梁8を部分的に形成した構成となっている。この臥梁8も外周部の臥梁8と同等の厚さに形成されている。内側部16には複数の柱4´が配置されているが、臥梁8は、内側部16に設けられた柱4´の位置に個別に設けられている。この場合、臥梁8の周囲に薄板状の基礎スラブ1が位置しており、図2および図3で示した傾斜部25が臥梁8の四方向に形成されている。図2乃至図4に示すように、柱4´の下部には、杭17および免震装置6が設けられており、臥梁8は、柱4´、杭17および免震装置6の位置に形成されている。
また、外周部7よりも内側に位置する内側部16に形成された補助杭18の位置にも、基礎スラブ1を部分的に補剛した高剛性部11が形成されている。この高剛性部11も、本実施の形態では、基礎スラブ1を厚くして形成され、外周部7の臥梁8を部分的に形成した構成となっている。この臥梁8も内側部16に配置された柱4´の部分の臥梁8と同等の構成となっている。
なお、内側部16の柱4´や補助杭18等が位置する部分に形成された臥梁8は、個別で部分的に形成されているが、外周部7の臥梁8と連続させて帯状に形成するようにしてもよい。
ところで、図1に示すように、外周部7に設けられた臥梁8上部で柱4間の所定位置にはダンパー9が設けられている。
図5に示すように、臥梁8の上部の基礎スラブ1のダンパー9の取付部分31には、補強鉄筋32が配筋される。ダンパー9の取付部分31には、基礎スラブ1と一体的に形成され、基礎スラブ1から上部に突出した固定台33が設けられている。ダンパー9の一端が、通しボルト34とナット35等の締結部材を介して固定台33に固定されている。補強鉄筋32は、例えばD16鉄筋が採用され、臥梁8の長手方向に沿って直線状に配置されている。補強鉄筋32は、臥梁8の幅方向に所定ピッチ(例えば100mmピッチ)で平行に複数配設されており、杭17の上部で杭頭部内を通過して交差するように配置されている。補強鉄筋32は、臥梁8上部の基礎スラブ1の上部に一段、臥梁8の下部に二段、それぞれが所定のコンクリートかぶり厚を確保できるように配置されている。補強鉄筋32は、所定長さ(例えば9.0m)に形成され、補強鉄筋32の長手方向中央部が、固定台33の位置となるように配筋されている。前記構成の補強鉄筋32は、杭頭部と臥梁8を同時にコンクリート打設して構築する場合の形態である。杭頭部を臥梁8よりも先にコンクリート打設して構築する場合は、補強鉄筋を、杭頭部を挟むように臥梁8の幅方向両側に配置する。なお、前記補強鉄筋32の径、長さ、配置ピッチは建物プランやダンパー9の種類等の各種条件によって適宜設定される。
図6は本発明に係る免震建物の基礎構造を実施するための最良の他の形態の建物長手方向(図中左右方向)に延びる鉄筋の配筋状態を示した平面図である。なお、建物短手方向(図中上下方向)に延びる鉄筋の配筋状態は、図示を省略する。以下、図6に則して説明する配筋は、スラブの上部と下部に所定のコンクリートかぶり厚をあけてそれぞれ設けられ、上端筋と下端筋の両方を構成する。
なお、図6に示す本実施の形態は、内側部16に設けられる柱4´が位置する部分の基礎スラブ1に形成される高剛性部11は、臥梁8ではなく、厚さは薄板状(300mm)のままで鉄筋の配筋ピッチを短くすることで強度を高めている点で、図1に示した実施の形態と相違する。
図6に示すように、A棟14の外周部7に形成された柱4のうち、建物長手方向(図6中、左右方向)に延びる長辺部37に位置する柱4の周囲(図6中、ハッチングH1にて示す)は、厚さが600mmで、D19鉄筋を100mmピッチの格子状に組み合わせた配筋の高剛性部11となっている。なお、建物のコーナー部の柱4は、長辺部37の柱とする。B棟15の外周部7に形成された柱4のうち、建物長手方向(図6中、左右方向)に延びる長辺部37に位置する柱4の周囲(図6中、ハッチングH1にて示す)は、建物長手方向にD19鉄筋を100mmピッチで配置し、その直行方向にD16鉄筋を200mmピッチで配置した格子状の配筋の臥梁(厚さ600mm)8となっている。そして、長辺部37の柱4間(図6中、ハッチングH2にて示す)の臥梁8は、厚さが600mmで、臥梁8の長手方向(図6中、左右方向)に延びるD19鉄筋と、臥梁8の幅方向(図6中、上下方向)に延びるD16鉄筋とを200mmピッチの格子状に組み合わせた配筋となっている。
A棟14およびB棟15の外周部7に形成された柱4のうち、建物短手方向(図6中、上下方向)に延びる短辺部38に位置する柱4の周囲(図6中、ハッチングH3にて示す)は、厚さが600mmで、D16鉄筋を200mmピッチの格子状に組み合わせた配筋の臥梁8となっている。そして、短辺部38の柱4間(図6中、ハッチングH4にて示す)の臥梁8は、厚さが600mmで、臥梁8の長手方向(図6中、上下方向)に延びるD19鉄筋と、臥梁8の幅方向(図6中、左右方向)に延びるD16鉄筋とを200mmピッチの格子状に組み合わせた配筋となっている。
すなわち、長辺部37に位置する柱4部分の臥梁8は、短辺部38に位置する柱4部分の臥梁8よりも大径の鉄筋を短いピッチで配筋して、強度を高めている。また、柱4間の臥梁8は、臥梁8の長手方向に延びる鉄筋を大径のものとして、帯状に形成された臥梁8の強度を高めている。
外周部7の隣接する柱4間の臥梁8の上部には、部分的にダンパー9が配置され(図1参照)、図5に示す補強鉄筋32を設けて強度を高めているが、補強方法はこれに限られるものではなく、その部分の鉄筋を大径のものにしたり、配置ピッチを小さくしたりする等して強度を高くしてもよい。
薄板状の基礎スラブ1(図6中、ハッチングH6にて示す)は、一様に、厚さが300mmで、D16鉄筋を200mmピッチの格子状に組み合わせた配筋となっている。
内側部16の柱4´が位置する部分の高剛性部(図6中、ハッチングH5にて示す)11は、D16鉄筋を100mmピッチの格子状に組み合わせた配筋の基礎スラブ1となっている。なお、ここでは、基礎スラブ1の厚さは300mmで薄板状に形成されており、基礎スラブ1を厚くせずに鉄筋の配置ピッチを小さくすることで強度を高くしている。この部分は、図1に示すように、基礎スラブ1を厚くして臥梁8を形成して強度を高くしてもよく、さらに基礎スラブ1を厚くするとともに鉄筋の配筋量を増やして強度を高くしてもよい。
一方、内側部16の補助杭18が位置する部分の高剛性部(図6中、ハッチングH4にて示す)11には、厚さが600mmの臥梁8が形成されており、D16鉄筋を200mmピッチの格子状に組み合わせた配筋の臥梁8が形成されている。
なお、以上説明した高剛性部11および基礎スラブ1の配筋およびスラブ厚は一例であって、これに限られるものではない。配筋およびスラブ厚は、建物の平面計画、構造計画および地盤2の状態等の各種条件により適宜設定される。
次に、前記構成に係る免震建物の基礎構造の作用を説明する。
前記構成によれば、基礎スラブ1の少なくとも上部構造3の外周部7に所定の断面性能と配筋を有する臥梁8を設け、基礎スラブ1の耐力と剛性を、面内と面外ともに高くすることで、基礎スラブ1全体の剛性を効率的に向上させることができる。特に、臥梁8は、基礎スラブ1の平面全体を囲むように形成されているので、フレームのように基礎スラブ1を固めて、基礎全体の耐力と剛性を高めることができ、免震層に生じる地震時の変形を免震装置6に的確に集中させることができ、必要な免震効果を得ることができる。
また、臥梁8を基礎スラブ1の下面に設けているので、従来のような基礎梁を基礎スラブ1の上部に設ける必要はなく、基礎スラブ1の表面を凹凸のない平坦な平面形状にすることができる。よって、基礎スラブ1上での作業者の動線が妨げられることはなく、作業性が向上して次工程が非常に行い易くなる。そして、地盤2を臥梁8の型枠として利用できるので、工期および施工コストの低減が図れる。
以上のように効率的に基礎の剛性を向上させて、外周部7の内側部16に薄板状の基礎スラブ1を形成することで、従来のマット状の基礎スラブと比較して、使用するコンクリート量や鉄筋量を大幅に低減することができ、低コストでの施工が可能となる。大規模の建物になるほど、基礎スラブ1の面積が大きくなるので、内側部16を薄板状の基礎スラブ1にできることによるコスト低減効果が大きい。
また、上部構造3と臥梁8との間にダンパー9を設置して、臥梁8で反力を取るようにしているので、不整形な建物に生じやすいねじれ振動を効果的に抑制し、所望の免震効果を確保できるとともに、施工性および経済性が向上する。
さらに、外周部7の柱4、杭17、免震装置6やダンパー9等の設置位置で、荷重が集中的にかかる部分に臥梁8を形成することで、効率的に基礎の剛性を向上でき、合理的な構造設計が可能となり、コンクリート量や鉄筋量を低減できる。特に、ダンパー9の取付部分31では、応力が固定台33に集中するので、補強鉄筋32を配筋することで強度を高めて、変形に対する耐力を高めている。
また、外周部7に形成された臥梁8で囲まれる内側の薄板状の基礎スラブ1が、矩形状となっているので、基礎スラブ1全体が、外周の剛性が高い矩形スラブで構成されて、基礎スラブ1の耐力と剛性を効果的に高めることができる。なお、建物の規模がある程度大きくて平面が複雑な形状をしている場合には、建物を複数のブロックに分けて、そのブロックごとに矩形スラブを形成し、基礎スラブ全体が、複数の矩形スラブを組み合わせて構成されるように、建物の外周以外にも臥梁を形成する。このように、外周以外にも臥梁を形成した形態も本発明の範囲に含まれる。前記構成によれば、複雑な平面形状の建物であっても、基礎スラブの剛性を効果的に高めることができる。
また、基礎スラブ1と臥梁8との境界部分24をテーパ状に形成したことで、臥梁8から基礎スラブ1への応力が一部分に集中することはなく、その伝達がスムーズになる。さらに、地盤2をオープンカットで施工できるので、作業性が良好で施工が比較的容易であり施工コストおよび工期の低減が図れる。
さらに、基礎スラブ1の外周部7のみならず、内側部16の基礎スラブ1も部分的に補剛して、高剛性部11を設けたことによって、基礎スラブ1の耐力と剛性を効果的に高めることができる。
なお、図示はしないが、杭17が位置する部分の臥梁8の底部に杭17との接合性を高めるためのハンチを設けるようにしてもよい。ハンチは、基礎スラブの下部に杭を囲う逆円錐台状または逆四角錘台状に形成され、臥梁8と杭17との接合面積を増大させることで、杭頭部の回転拘束と曲げやせん断耐力を高める。
なお、前記実施の形態では、基礎スラブ1の下面より下方の地中に臥梁8を構築することで、基礎スラブ1の表面を平坦にしているが、これに限られるものではない。例えば、外周部7の基礎スラブ1を厚くする部分を、若干の厚さだけ上方に突出するように構築しても、外周部7と内側部16との境界部分の表面に段差が発生しないように、その境界部分を厚さが徐々に厚くなるテーパ状に形成すればよい。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、前記実施の形態では、杭17が設けられた基礎を例に挙げて説明したが、杭17が設けられていない直接基礎であっても本発明を適用することができるのは勿論である。
本発明に係る免震建物の基礎構造を実施するための最良の形態を示した平面図である。 図1のA−A線断面図である。 図1のB−B線断面図である。 杭、補助杭およびダンパーの配置例を示した平面図である。 ダンパー部分の基礎スラブを示した断面図である。 本発明に係る免震建物の基礎構造を実施するための最良の他の形態の建物長手方向に延びる鉄筋の配筋状態を示した平面図である。
符号の説明
1 基礎スラブ
2 地盤
3 上部構造
4 柱
5 架台
6 免震装置
7 外周部
8 臥梁
9 ダンパー
11 高剛性部

Claims (2)

  1. 地盤上に構築される平坦な基礎スラブと、上部構造の架構を形成する柱の直下に位置し前記基礎スラブと前記上部構造との間に設置される免震装置とを備えた免震建物の基礎構造であって、
    少なくとも前記上部構造の外周部に前記基礎スラブを厚くした臥梁設けられて前記基礎スラブ補剛され、
    前記上部構造の外周部に設けられた前記臥梁と前記上部構造との間にダンパーが設置されてねじれ振動が抑制される
    ことを特徴とする免震建物の基礎構造。
  2. 前記臥梁は、前記上部構造の外周部の柱通り芯に沿って設けられ、かつ前記基礎スラブを矩形状に区画するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の免震建物の基礎構造。
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