JP4589794B2 - オステオポンチンsiRNA - Google Patents
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Description
1.配列番号1、配列番号7又は配列番号21に示す配列からなるDNAに対応するmRNAの、20塩基〜30塩基の連続した任意の部分RNA配列からなるセンスRNA、該センスRNAに相補的な配列からなるアンチセンスRNA、若しくは該センス配列と該アンチセンス配列とからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体であって、オステオポンチンの発現を抑制するRNA。
2.配列番号1に示す配列からなるDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号298〜1140番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、該センスRNAに相補的な配列からなるアンチセンスRNA、若しくは該センス配列と該アンチセンス配列とからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
3.配列番号3、4、5若しくは6に示す配列からなるRNA、配列番号3、4、5若しくは6に示す配列と相補的な配列からなるRNA、若しくは配列番号3、4、5若しくは6に示す配列からなるRNAと配列番号3、4、5若しくは6に示す配列と相補的な配列からなるRNAとからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
4.配列番号28、29若しくは30に示す配列からなるRNA、配列番号28、29若しくは30に示すと相補的な配列からなるRNA、若しくは配列番号28、29若しくは30に示す配列からなるRNAと配列番号28、29若しくは30に示すと相補的な配列からなるRNAとからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
5.配列番号7に示す配列からなるDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号241〜1065番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、該センスRNAに相補的な配列からなるアンチセンスRNA、若しくは該センス配列と該アンチセンス配列とからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
6.配列番号9、10、11若しくは12に示す配列からなるRNA、配列番号9、10、11若しくは12に示す配列と相補的な配列からなるRNA、若しくは配列番号9、10、11若しくは12に示す配列からなるRNAと配列番号9、10、11若しくは12に示す配列と相補的な配列とからなるRNAからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
7.配列番号21に示す配列からなるDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号1〜954番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、該センスRNAに相補的な配列からなるアンチセンスRNA、若しくは該センス配列と該アンチセンス配列とからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
8.配列番号23、24、25、26若しくは27に示す配列からなるRNA、配列番号23、24、25、26若しくは27に示す配列と相補的な配列からなるRNA、若しくは配列番号23、24、25、26若しくは27に示す配列からなるRNAと配列番号23、24、25、26若しくは27に示す配列と相補的な配列からなるRNAとからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体。
9.上記1〜8の何れかに記載のRNAを含む、オステオポンチンの発現を抑制するためのオステオポンチン発現抑制剤。
10.上記1〜8の何れかに記載のRNAを含む、オステオポンチンの発現を抑制するための組成物。
11.上記1〜8の何れかに記載のRNAを有効成分として含む医薬。
12.オステオポンチンの発現を抑制するためのものである上記11記載の医薬。
13.上記1〜8の何れかに記載のRNAを有効成分として含む、オステオポンチンの亢進に起因する疾患の処置のための医薬。
14.上記オステオポンチンの亢進に起因する疾患が、腫瘍、肝炎、動脈硬化、多発性硬化症、関節炎、リウマチ及び/又は肺繊維症である、上記13に記載の医薬。
15.上記1〜8の何れかに記載のRNAを含む、siRNA発現ベクター。
16.被験物質と上記1〜8の何れかに記載のRNAとを接触させることを含む、オステオポンチンと相互作用する物質、又はオステオポンチン及びオステオポンチンと相互作用する物質の相互作用を促進又は阻害する物質をスクリーニングするための方法。
先ず、本明細書で使用する略称について説明する。
Aまたはa:アデニン
Tまたはt:チミン
Uまたはu:ウラシル
Gまたはg:グアニン
Cまたはc:シトシン
RNA:リボ核酸(通常、塩基としてA,U,G,Cを有するリボヌクレオチド単位から構成される。)
DNA:デオキシリボ核酸(通常、塩基としてA,T,G,Cを有するデオキシリボヌクレオチド単位からなる。)
DAPI:4‘,6−ジアミノ−2−フェニルインドール
ELISA:enzyme-linked immunosorbent assay
FACS:蛍光活性化セルソーター
FITC:フルオレセインイソチオシアネート
PE:フィコエリトリン(紅色の色素タンパク質)
Scr. RNA:スクランブルRNA。mRNA特異的なsiRNAとGC含量を揃えた非特異的なRNA。
Scr. cont.:対象となるsiRNAのコントロールとして用いるScr. RNA
「オステオポンチン」とは、分泌性リン酸タンパク質1(secreted phospho protein 1)とも呼ばれ、配列番号2(マウス)、配列番号8(ヒト)又は配列番号22(ラット)に示すアミノ酸配列からなるタンパク質であり、骨のマトリックスに含まれる接着タンパク質の一種である。オステオポンチンは、インテグリンと結合するRGD配列を有し、破骨細胞と骨芽細胞の両方を骨組織周辺に接着させる作用を有する。また、オステオポンチンは、強く負に荷電しており、ヒドロキシアパタイトを沈着させ、骨のカルシウムを保持する作用を有する。以下、オステオポンチンをOPNと略すこともある。
より具体的には本発明は、配列番号1に示す配列からなるマウスDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号298〜1140番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、配列番号7に示す配列からなるヒトDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号241〜1065番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、配列番号21に示す配列からなるラットDNAに対応するmRNAのAAで始まる21塩基のRNA配列であって、該DNAの配列番号1〜954番から選ばれる連続した任意のRNA配列からなるセンスRNA、該センスRNAに相補的な配列からなるアンチセンスRNA、若しくは該センス配列と該アンチセンス配列とからなる二本鎖RNA、又はそれらの誘導体に関する。
なお、OPNの発現を制御するsiRNAは、通常OPN遺伝子の開始コドンから75塩基以上下流の最初の塩基配列AAを見つけ、当該AAを含む21〜23塩基、好ましくは21塩基であって、GC含量が50%前後の、OPNに対して特異的な配列を選択することによって得られる。特異的であるか否かは、例えばNCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLAST-searchにかけることによって確認することができる。
また、本発明の他の具体的な態様としては、上記各DNAの翻訳領域に対応するmRNAの部分配列であって、GCで始まる25塩基の連続した任意のRNA配列からなるセンスRNAと該センスRNAに相補的なアンチセンスRNAとからなる二本鎖RNAの誘導体であって、いわゆるステルス(商標)RNAiの構造を有するsiRNAが挙げられる(Stable plasma membrane levels of hCTR1 mediate cellular copper uptake. J Biol Chem. 2005 Mar 11;280(10):9635-9. Epub 2005 Jan 5. PMID: 15634665およびhttp://www.invitrogen.co.jp/products/molecular_biology/RNAi.shtml参照)。ステルス(商標)RNAiは、上記の21〜23塩基のsiRNAと同様にターゲット遺伝子を抑制し、かつ非特異的なインターフェロンストレス応答を抑制し、血清、細胞質中においても安定性が高いという特長を有する。
また、本発明で誘導体とは、ステルス(商標)RNAi構造を有する誘導体である。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、実施例においてmOPNはマウス・オステオポンチンを、hOPNはヒト・オステオポンチンを、そしてrOPNはラット・オステオポンチンそれぞれ示す。
4種のリボヌクレオシド3’−ホスホロアミダイト(GLENリサーチ)を用いて、DNA自動合成機(Applied Biosystem Model394A)で配列番号3、4、5、6、9、10、11、12、23、24、25、26及び27に示す各配列の各オリゴリボヌクレオチド(RNA断片)を合成した。各RNA断片を1μmolスケールで合成した。合成終了後、合成したオリゴヌクレオチドが結合したCPG(Controlled Pore Glass)を濃アンモニア水:エタノール(3:1v/v)混液で室温2時間処理してオリゴリボヌクレオチドをCPG樹脂から切り出し、更に55℃で16時間加温した。
マウスOPNについて、RNAi designer(http://www.invitrogen.co.jp/primers/rnaidesign/)を用いて決定した配列である、配列番号28、29若しくは30に示す配列について、invitorgenの示す方法にしたがって、ステルス(商標)RNAiを調製した(Stable plasma membrane levels of hCTR1 mediate cellular copper uptake. J Biol Chem. 2005 Mar 11;280(10):9635-9. Epub 2005 Jan 5. PMID: 15634665およびhttp://www.invitrogen.co.jp/products/molecular_biology/RNAi.shtml参照)。
逆相HPLC
カラム:μ−ボンダスフィアー(C−18)カラム、Ф3.9x150mm(ウォーターズ社製)
溶媒:A溶液 5% アセトニトリル/0.1M TEAA(トリエチルアンモニウムアセテート、pH7.0);
B溶液 25% アセトニトリル/0.1M TEAA(pH7.0)。
イオン交換HPLC
カラム:TSKgel DEAE 2SWカラム、4.6×250mm、東ソー(株)製
溶媒:A溶液 20% アセトニトリル;
B溶液 20% アセトニトリルを含む2M ギ酸アンモニウム。
〔方法〕
<培養細胞へのOPN siRNA導入方法>
上記の通り合成された各RNA断片をOPN siRNAとして、Lipofectamine 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いるリポフェクション法により、24穴プレート中で増殖させた対数増殖期の培養細胞に導入した。
ヒトOPN及びマウスOPNのsiRNAのRNAi効果をELISA法、RT−PCR法(逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応法)及びリアルタイムPCR法を用いて検討した。
ヒトOPN、マウスOPNのELISAを用いた解析には、ヒトオステオポンチン測定キット及びマウスオステオポンチン測定キット(共に免疫生物研究所製)を使用した。
RT−PCR及びリアルタイムPCRには以下のプライマーを用いた。リアルタイムPCRは、LightCycler-FastStart DNA Master SYBR Green I(Roche Diagnostics、Mannheim、Germany)により作製したサンプルを用いて行った。定量は、グリセルアルデヒド三リン酸脱水素酵素(G3PDH)を標準とした標準比(Normalized Ratio)で行った。
また、ラットOPNのsiRNA及びマウスOPN stealth(商標)RNAのノックダウン効果を、上記と同様にELISAを用いて解析した。
mOPN-forward: 5'-TCAAAGTCTAGGAGTTTCCAG-3'
mOPN-reverse: 5'-TTAGTTGACCTCAGAAGATGA-3'
hOPN-forward: 5'-CCATGAGAATTGCAGTGATTT-3'
hOPN-reverse: 5'-TTAATTGACCTCAGAAGATGC-3'
G3PDH-forward: 5'-ACCACAGTCCATGCCATCAC-3'
G3PDH-reverse: 5'-TCCACCACCCTGTTGCTGTA-3'
β-actin-forward: 5'-TGGAATCCTGTGGCATCCATGAAAC-3'
β-actin-reverse: 5'-TAAAACGCAGCTCAGTAACAGTCCG-3'
C57BL/6マウスにコンカナバリンA(ConA、Vector laboratories, Burlingame, CA)を尾静脈投与し(200μg/マウス)、肝炎モデルを作出した。ConA投与24時間後に、肝臓を摘出し、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ;GPT)測定、HE(ヘマトキシリン−エオシン)染色、RNA抽出を行った。
上記肝炎モデルにsiRNA50μg(300μl(図8−1)又は500μl(ハイドロダイナミクス法:図8−2))をマウスに尾静脈投与した。
siRNAを、ConA投与24時間前、16時間前及び同時の3回投与した。コントロールとして、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)を上記と同条件で投与した(図8−1、図8−2)。
癌浸潤能のインビトロアッセイは、マトリゲルインベージョンチャンバー(BD Biosciences, Bedford, MA)を用いて行った。マウスルイス肺癌細胞又はHT1080(ヒト線維肉腫細胞)(2.5×104細胞/ウェル)をチャンバー上層に接種し、下層には、5% FCS(ウシ胎仔血清)を含む培地を加え、22時間培養した。綿棒にてフィルター上層をこすり、上層部に残るマトリゲルや非浸潤細胞を取り去った。フィルター下層の浸潤した細胞をメタノールで固定し、ギムザで染色し、蒸留水で洗浄した。
<培養細胞におけるノックダウン効果>
mOPN siRNAのmOPNに対するRNAi効果を、mOPN遺伝子をCHO細胞に高発現させたトランスフェクタントであるmOPN/CHO細胞に種々のsiRNAを導入することにより解析した。RNAi効果の確認は、mOPNに対するELISAとRT−PCRによって行った。ELISAは、siRNA導入後の細胞可溶化物をサンプルとして用いた。その結果、m−siRNA−1、m−siRNA−5、m−siRNA−7及びm−siRNA−16の全てのsiRNAについて、mOPNのノックダウン効果が認められた(図3)。
次に、OPN siRNAを用いたRNAi医薬への可能性について検討するため、肝炎についてOPN機能抑制による治療効果を試験した。治癒効果検討方法の概略を図8−1及び図8−2に示した。すなわち、コンカナバリンA(ConA)200μgをC57BL/6マウスに尾静脈内投与することによって肝炎誘発モデルを作製した。siRNAをConA投与24時間前、16時間前、同時の3回、それぞれ50μgを尾静脈内に投与した。肝炎の評価は、ConA投与24時間後の血清ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)値と肝臓組織のHE染色にて行った。OPNのRNAi効果は、RT−PCRとリアルタイムPCRによって評価した(図8−1)。
さらに、図8−2に示すプロトコールで、肝炎治療実験を行った。5群で実験を行った。すなわち、1群:siRNAの代わりにPBSとConAの代わりにPBS、2群:Scr siRNAとConAの代わりにPBS、3群:OPN siRNA−5とConAの代わりにPBS、4群:OPN siRNA−5とConA、5群:Scr siRNAとConA。ConA肝炎マウスに対してOPN siRNAを投与した4群では有意にALTの減少が見られた(図15)。
以上により、OPNノックダウン効果と浸潤抑制とが相関している結果を得ることができた。
肝炎発症には、NKT細胞から分泌されるOPNが重要ということは既に報告されている(Diao H, Kon S, Iwabuchi K, Kimura C, Morimoto J, Ito D, Segawa T, Maeda M, Hamuro J, Nakayama T, Taniguchi M, Yagita H, Van Kaer L, Onoe K, Denhardt D, Rittling S, Uede T. Osteopontin as a mediator of NKT cell function in T cell-mediated liver diseases. Immunity. 2004 Oct;21(4):539-50.)。以上のことから、OPN siRNAの静脈内投与による肝炎治療効果は、NKT細胞から分泌されるOPNをOPN siRNAが抑制していると推察された。そこで、蛍光siRNAをマウス尾静脈に投与し、肝臓内の白血球のsiRNAの取り込みをFACSを用いて解析したところ、NKT細胞画分にsiRNAが取り込まれている結果を得ることができた。
次にそれぞれの蛍光siRNAの細胞内局在を蛍光顕微鏡を用いて検討した。DAPIは核染色に用いた。その結果、核周囲の細胞質にsiRNAが局在することが分かり(図16、17)、これは報告と一致する(http://www1.qiagen.com/JP/geneXpression/NewsLetter/PDF/1027994_GExClubNL_5J.pdf)。Cy5標識siRNAを図20に示す方法にてマウスに導入し、肝臓内における免疫細胞のsiRNAのターゲット細胞同定を行った。PE標識抗NK1.1抗体とFITC標識抗TCRβ抗体にて展開し、NK細胞、T細胞、NKT細胞画分中の蛍光siRNAをFL4にて検出した。
その結果、siRNAは、特にNKT細胞とT細胞に多く取り込まれていることが分かった。すなわち、OPN siRNAの肝炎治療効果は、NKT細胞とT細胞が発現するOPNをノックダウンすることにより得られていることが示唆された(図21、22)。
<ラットOPN siRNAによるノックダウン効果とステルスsiRNA(invitrogen)によるマウスOPN siRNAのノックダウン効果>
上記と同様の方法によって、ラットOPN siRNAによるノックダウン効果とStealth(商標)siRNA(invitrogen)によるマウスOPN siRNAのノックダウン効果も確認された(図23〜25)。
Claims (4)
- 配列番号3、4、5、6、28、29若しくは30に示す配列からなるRNAと配列番号3、4、5、6、28、29若しくは30に示す配列と相補的な配列からなるRNAとからなる二本鎖RNA。
- 請求項1に記載のRNAを含む、オステオポンチンの発現を抑制するためのオステオポンチン発現抑制剤。
- 請求項2に記載のRNAを含む、医薬組成物。
- 配列番号3、4、5若しくは6に示す配列からなるRNAと配列番号3、4、5若しくは6に示す配列と相補的な配列からなるRNAとからなる二本鎖RNAを有効成分として含む肝炎の処置のための医薬。
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