JP4589630B2 - ダイカスト用マグネシウム合金及びマグネシウムダイカスト製品 - Google Patents

ダイカスト用マグネシウム合金及びマグネシウムダイカスト製品 Download PDF

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Description

本発明は、軽量で比剛性の高いマグネシウム合金に係わり、特に、ダイカスト用マグネシウム合金及びこれを用いたマグネシウムダイカスト製品に関するものである。
大量に使用されている合金の中で、マグネシウム合金は最も軽量で比剛性が高く、ノートPC、携帯電話をはじめ、携帯型電動工具などに用いられている鋳造用Mg合金はほとんどがAZ91合金である。このAZ91合金は、強度、耐食性、成形性などに優れ、バランスのよい鋳造用合金としてダイカスト用に広く使用されているが、伸び、曲げ、耐熱性に関し高い機械特性が要求される自動車・二輪車等の用途には適さない。このため、これらの用途に対しては、通常、Al量を減らして伸びを改善したAM60系合金やAM50系合金が使われる。
近年、自動車部品に対する軽量化要求が高まると共に、エンジンにより近いカバー類もMg合金化するため、耐熱性能を付与した新合金の開発が盛んに行なわれている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術による合金は、AM50合金あるいはAM60合金を改良したものであり、Al:2〜9%、Sr:0.5〜7%をベースとしており、好ましくは、Al:4〜6%、およびAl:4.5〜5.5%かつZn:0.35%以下(AM合金レベル)としている。また、上記従来技術による合金とAZ系合金との比較については、例えば非特許文献1に記載されている。図17は、この文献に記載された比較内容を表す図である。
特表2003-517098号公報 ペグレリューツ、バリル共著「Development of Creep Resistant Mg-Al-SrAlloys」Magnesium Technology 2001(TMS)
しかしながら、上記従来の合金(AM50合金あるいはAM60合金を改良したもの)には、以下の課題が存在する。
図17において、下段が上記従来技術の合金(以下適宜、従来合金という)の一例を表しているが、AZ91合金と比較して、室温(常温)での引張強度が、約15%低下している。175℃での引張強度は、7%程改善されているが、室温、175℃での伸び値は低下している。クリープ特性値などは、確かに改善されているが、実際に材料が使われるときには、室温から175℃程度の高温までさらされるので、室温での物性を無視できない。上記従来技術では、このような点に配慮されておらず、室温における強度の低下を防ぐことはできなかった。
本発明の目的は、室温強度の低下を招くことなく、高温クリープ性能を向上できるダイカスト用マグネシウム合金、及びこれを用いたマグネシウムダイカスト製品を提供することにある。
上記目的を達成するために、第1の発明によるダイカスト用マグネシウム合金は、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%のAZ91系合金に対し、カルシウム及びストロンチウムを結晶微細化剤として添加したことを特徴とする。
本願第1発明においては、ベースとなる合金をアルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%を含むいわゆるAZ91系合金とし、これに対してCa,Srを添加する組成とする。ベースをAZ91系とすることにより、AM60系合金のように室温の強度特性が低下するのを防止できる。そして、このAZ91系合金にCa,Srを結晶微細化剤として添加することにより、合金組織を改良して結晶粒径サイズを微細化し、高温クリープ性能で耐熱性マグネシウム合金として知られるAS21合金と同等の優れた特性を得ることができる。この結果、室温強度の低下を招くことなく、高温クリープ性能を向上した合金を実現することができる。
上記目的を達成するために、第2の発明によるダイカスト用マグネシウム合金は、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%のAZ91系合金に対し、カルシウム1.0〜3.5重量%、ストロンチウム0.1〜1.5重量%を添加し、その他成分は不可避的に含まれることを特徴とする。
本願第2発明においては、ベースとなる合金をアルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%を含むいわゆるAZ91系合金とし、これに対してCa,Srを添加する組成とする。ベースをAZ91系とすることにより、AM60系合金のように室温の強度特性が低下するのを防止できる。そして、このAZ91系合金にCa,Srを結晶微細化剤として添加することにより、合金組織を改良して結晶粒径サイズを微細化できる。このとき特に、カルシウムとストロンチウムの添加量をカルシウム1.0〜3.5重量%、ストロンチウム0.1〜1.5重量%とすることにより、結晶粒径サイズを確実に20μm以下とすることができ、高温クリープ性能で耐熱性マグネシウム合金として知られるAS21合金と同等の優れた特性を確実に得ることができる。この結果、室温強度の低下を招くことなく、高温クリープ性能を向上した合金を確実に実現することができる。
上記目的を達成するために、第3の発明によるマグネシウムダイカスト製品は、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%のAZ91系合金に対しカルシウム及びストロンチウムを結晶微細化剤として添加したダイカスト用マグネシウム合金を用い、ダイカスト鋳造されて構成されたことを特徴とする。
本願第3発明においては、マグネシウムダイカスト製品に用いる合金として、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%を含むいわゆるAZ91系合金に対してCa,Srを添加する組成の合金を用いる。合金のベースをAZ91系とすることにより、AM60系合金のように室温の強度特性が低下するのを防止できる。そして、このAZ91系合金に対し、ダイカストのために再溶解しても効果の損なわれない結晶微細化剤としてCa,Srを添加することにより、湯流れ性を損なうことなく、合金組織を改良して結晶粒径サイズを微細化するとともに、高温クリープ性能で耐熱性マグネシウム合金として知られるAS21合金と同等の優れた特性を得ることができる。この結果、室温強度の低下を招かずかつ高温クリープ性能を向上した合金を用い、成型性よくダイカスト製品を製造することができる。
上記目的を達成するために、第4の発明によるマグネシウムダイカスト製品は、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%のAZ91系合金に対しカルシウム1.0〜3.5重量%、ストロンチウム0.1〜1.5重量%を添加しその他成分は不可避的に含まれるダイカスト用マグネシウム合金を用い、ダイカスト鋳造されて構成されたことを特徴とする。
本願第4発明においては、マグネシウムダイカスト製品に用いる合金として、アルミニウム7.0〜11.0重量%、亜鉛0.1〜2.5重量%、マンガン0.1〜0.5重量%を含むいわゆるAZ91系合金に対してCa,Srを添加する組成の合金を用いる。合金のベースをAZ91系とすることにより、AM60系合金のように室温の強度特性が低下するのを防止できる。そして、このAZ91系合金に対し、ダイカストのために再溶解しても効果の損なわれない結晶微細化剤としてCa,Srを添加することにより、湯流れ性を損なうことなく、合金組織を改良して結晶粒径サイズを微細化できる。このとき特に、カルシウムとストロンチウムの添加量をカルシウム1.0〜3.5重量%、ストロンチウム0.1〜1.5重量%とすることにより、結晶粒径サイズを確実に20μm以下とすることができ、高温クリープ性能で耐熱性マグネシウム合金として知られるAS21合金と同等の優れた特性を確実に得ることができる。この結果、室温強度の低下を招かずかつ高温クリープ性能を確実に向上した合金を用い、成型性よくダイカスト製品を製造することができる。
本発明によれば、AZ91系合金に対してCa,Srを添加する組成とするので室温の強度特性が低下するのを防止し、またCa,Sr添加により合金組織を改良して結晶粒径サイズを微細化し、高温クリープ性能を向上することができる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本願発明者等は、上述したように、従来合金のように室温強度の低下を招くことなく、高温クリープ性能を向上するという観点から、AZ91合金の優れた特性を維持しながら、高温クリープ特性が改善されるダイカスト用マグネシウム合金およびダイカスト製品について種々の検討を行った。以下、その考え方及び検討結果を順を追って説明する。
(1)結晶粒径サイズの微細化
まず、本願発明者等は、AZ91合金ダイカスト品の特性改善を目標に検討を進めた。AZ91合金をダイカスト鋳造した際の結晶粒径サイズはおよそ40μmであり、およそ200から300μmの通常の重力鋳造の場合と比較して、結晶粒は相当微細化している。このため、従来重力鋳造に用いられている結晶微細化剤はダイカスト鋳造には不要なものとされて来た。本願発明者等は、あえてダイカスト合金に微細化剤を添加し、この合金のインゴットによるダイカスト成形を試みた。
文献等には、各種微細化剤のなかには、ヘキサクロロエタンのように、微細化効果が高いにもかかわらず、添加時に塩素ガスが発生するものや、金属Naのようにハンドリング上かなり危険を伴うものがある。ダイカストのために再溶解しても効果がそこなわれることのない微細化剤としてCa,Srを選択し、複合添加の検討を行なった。
最初にAZ91合金とAZ91+Ca1%+Sr0.5%添加した合金につき、炉冷法で融点を測定した。その結果、Ca,Srを添加した合金は、AZ91合金と比較して、若干ながら融点が低いことが判った(図1参照)。両方の湯を再度溶解して、それぞれ鋳型に注湯してみたが、両方とも湯流れ性(ダイカスト製品に適用する場合にはダイカスト成型性に相当する)は全く問題なく良好であることを確認した。
次に、アルミナコーティングした鉄ルツボ中で、AZ91合金3kgを溶解し、680℃に保持後、CaとSrを所定量添加し、100℃に温めておいたパイプ金型(肉厚3mm、内径32mmφ、深さ53mm)中へ、ひしゃくにて100gづつすばやく鋳込み、試料とした。試料は、中間部で横に切断し、結晶粒界を鮮明にするために、410℃、2時間溶体化処理し、鏡面まで研磨後、6%ピクリン酸アルコール溶液でエッチングし、検鏡した。結晶粒径サイズは、鉄鋼JISの結晶粒度測定法の切片法で求めた。
図2に、AZ91合金にCaを添加した場合の結晶粒径の測定結果を、図3には、同じくAZ91合金にCaを1%添加した溶湯中にSrを添加していったときの結果を示した。図4は、AZ91CaSr合金の溶製例である。CaとSrの添加量を変化させて、試料毎に結晶粒径サイズを測定した結果を、図5にまとめて示す。
これら図2、図3、図4、及び図5に示すように、無添加の場合は、40μmとなり、Caあるいは、Srを単独で添加しても20μm以下にはできなかったが、複合添加した時に、点線で囲んだ範囲で20μm以下にできることがわかった。この範囲は、Ca1.0重量%以上、3.5重量%以下、Sr0.1重量%以上、1.5重量%以下の範囲である。
AZ91合金にCaとSrを添加した合金を、ダイカスト成形して、AZ91合金と比較して見たところ、ダイカスト成形品の結晶粒径サイズはパイプ金型に鋳込んだ時の結晶粒径サイズの1.03倍になっており、一方、AZ91合金に対するAZ91CaSr合金の結晶粒径サイズ比は、異なった鋳造・成形条件下においても、0.34で一定の比率で結晶粒が微細化していることが分かった(図6参照)。従来、ダイカスト品については、結晶粒微細化剤は無用のものとされて来たため、これは新しい知見である。
このような結晶粒径サイズの微細化は、粒界のネットワークが肌目細かくなるため、材料の強度が増し、また粒界に析出するβ相の厚さが薄くなり、腐食の原因となる粒界に生成しやすい粗大な金属間化合物が生成しにくくなるため、耐食性を向上させることができる。
(2)室温強度及び伸び特性と湯流れ性
次に、本願発明者等は、上記(1)の結果を踏まえ、上記したようなAZ91合金にCa,Srを添加した合金(以下適宜、単に「Ca,Sr添加合金」のように称する)の室温強度特性及び室温伸び特性を検討した。
図7に示すような合金インゴットを用い、コールドチャンバーダイカスト成形機にて成形温度(溶解炉温度)650℃、1.5mm厚、B5サイズのフラットな試験金型を用いて、金型温度200℃で、各80枚成形した。成形板5枚を横方向3分割、縦方向2分割に等分に切断して、6枚の小片としたものを、水置換法で密度測定を行ない、別に分析した成分値と化学便覧記載の原子の密度表から積算して求めた理論密度から、型内の充填率を計算した。さらに、成形板5枚から、常温引張試験片を切り出し、インストロン引張試験機で、室温での引張強度、伸び値を測定した。
図8は、ダイカスト成形した上記試験板の充填率(本発明組成の平均値)を示したものである。Ca,Srを添加すると、充填率が向上していることがわかる。
図9にはダイカスト成形品の室温引張強度を示している。また併せて、ダイカスト試験片を410℃、2時間溶体化処理した時の測定結果も示した。図示のように、as-castの場合、Ca,Sr添加合金はAZ91合金より7%程度高い値を示していることがわかる。また、AZ91合金は、溶体化処理すると強度が下がったが、試験片観察の結果、気泡が散見され、これが物性を低下させ、充填率を下げた原因と考えられる。Ca,Srを添加した本発明の実施形態による合金(以下適宜、単に「Ca,Sr添加合金」のように称する)では、溶体化処理しても、強度低下はみられず、気泡も見られなかった。
また、図10には伸び値を示したが、Ca,Sr添加合金はほぼAZ91合金並であった。AZ91合金にCaとSrを添加すると、ダイカストにおいて気泡の巻き込みがなく、充填率が向上すると共に引張強度が向上したことから、ダイカスト成形性が改善されていることがわかる。
なお、本願発明者等は、Ca,Srの添加量でなく添加される側のAZ91合金の成分が室温引張強度に与える影響についても別途検討を行い、Alの含まれる割合が7重量%より低いと、上記した室温引張強度の改善効果がされなくなることを知見した。したがって、室温引張強度を改善するためにはAlの含まれる割合が7重量%以上とすることが適切であると判断した。
(3)高温クリープ特性
次に、本願発明者等は、上記(1)(2)の結果を踏まえ、Ca,Sr添加合金の高温クリープ特性を検討した。
ダイカスト成形品5枚から,試験片を切り出し定速式高温クリープ試験機で、175℃でのクリープデータを求めた。なお、比較のため、通常のAZ91合金また、他のAZ系合金についても同様の測定を行なった。
図11、図12、及び図13には、175℃における、定速度法高温クリープ試験の結果を示す。
図11は、ひずみ速度と流動応力の関係を示している。AZ91合金にCa,Srを添加した本実施形態のCa,Sr添加合金は、AZ91合金と比較して各ひずみ速度で10〜20%流動応力が向上し、耐クリープ性が高くなっていることがわかる。
図12は、クリープ伸び値のデータを示している。AZ61合金及びAZ91合金ではクリープ速度によっては25%以下となるのに対し、Ca,Sr添加合金は、いずれのひずみ速度においても29%以上を示している。
図13は、他の合金と比較するため、日本マグネシウム協会のデーターベースのグラフ上に、これらの結果を記入して見たものである。協会の測定法は定応力法である。原理的に、いずれの方法も同じ物性を評価するものである。なお、その他の合金の175℃における文献データも併せて示している。なお、図中、「Mercer」は、文献「W.E.MercerII “Magnesium Die Cast Alloys for Elevated Temperature Applications", SAE Paper No.900788, SAEWarrendale, PA,U.S.A.,1990.」によるデータを示しており、「長岡技大」は、文献「後閑康裕、鎌土重晴、武田秀他著:”Mg-Zn-Al-Ca-RE系合金ダイカスト材のミクロ組織および高温強度特性”軽金属学会第103回秋期大会講演概要集P-16,P.375」によるデータを示している。
図13に示した本願発明者等のクリープ試験と日本マグネシウム協会のクリープ試験の測定条件を図14に示す。
図13中、長岡技大のZACE05411合金は、AS21とクロスして立ちあがっている。その他のデータは、Mercerの基本的な合金についてのデータで、耐熱マグネシウム合金のAS41,AS21,AS42の耐クリープ性がどのレベルにあるかをみてとることができる。
本実施形態によるCa,Sr添加合金は、AS21合金のクリープ特性曲線の延長線上にあり、175℃における耐クリープ性がAS21と同等と考えられる。すなわち、AZ91にCa,Srを添加することで、高温クリープ性の高いAS21と同等の高温クリープ性を有する合金を得られることがわかる。
なお、本願発明者等は、前述と同様、Ca,Srの添加量でなく添加される側のAZ91合金の成分が室温引張強度に与える影響についても別途検討を行い、Alの含まれる割合が11重量%を越えると、伸び値の劣化が1%を越えてしまうため、高温クリープ性を向上するためにはAlの含まれる割合が11重量%以上とすることが適切であると判断した。
また、AS21はSiを、AE42やZACE05411は希土類を添加しており、いずれも成形性に悪い影響のある元素であるのに対し、本実施形態のCa,Sr添加合金は、ダイカスト成形性についても上記(2)で前述したように改善している。
(4)耐食性
AZ91合金はMg合金のなかでも耐食性の優れた合金であるが、本実施形態の合金においては微細化剤として新たな元素Ca,Srを添加している。これによって耐食性が大幅に劣化しては実用に耐えないことになる。そこで、本願発明者等は、本実施形態によるCa,Sr添加合金と通常のAZ91合金とについて塩水噴霧試験によって、耐食性の確認を行った。
塩水噴霧試験の概要は以下のようにして行った。まず、原料インゴットとしては、図15に示す組成のものを使用した。ダイカスト成形については、供試合金A、Bについて、620℃、650℃、680℃の各成形温度(溶解炉温度)でダイカスト成形し、板とした。また、塩水噴霧試験用サンプル形状としては、成形板の厚みは0.7mmとし、これを95mm×130mmに切り出した。前処理条件としては、化成処理なしとし、表面はアセトンでふき取った。
試験方法としては、キャス塩水噴霧試験機(スガ試験機製)を使用し、試験槽内温度は35℃、噴霧圧力は0.098MPa(1kgf/cm)とした。このような条件で2時間連続噴霧の後、流水で試料を洗い流し16時間放置し、腐食発生の程度を目視により5段階評価「ほとんど腐食なし−〜5」「少し腐食あり+〜4」「腐食あり++〜3」「全面に腐食あり+++〜2」「全面に著しい腐食あり〜1」で評価した。
図16は、その結果を示すものである。図16に示すように、本実施形態によるAZ91+Ca1.0%+Sr0.5% 合金では、上記「腐食あり++〜3」であり、通常のAZ91合金でも「腐食あり++〜3」であった。すなわち、耐食性については上記両合金間で大きな差はなく、本実施形態のCa,Sr添加合金も通常のAZ合金とほぼ同等の耐食性を確保できることがわかった。
以上説明したように、本実施形態によれば、良好なダイカスト成形性及び耐食性を確保しつつ、AZ91合金と同等の室温引張強度を備え、高温クリープ性の高いAS21合金と同等の高温クリープ性を備えたダイカスト用マグネシウム合金を得ることができる。特に、本実施形態による合金は、軽量化効果を発揮できるトランスミッションカバーやオイルパン、あるいはカーエアコンピストン部ハウジング、エアバックカバー、エンジンカバー等への用途において室温域から高温域までをカバーするマグネシウムダイカスト製品用として有用である。
AZ91合金にCaとSrを添加した合金の融点特性を表す図である。 AZ91合金にCaを添加した場合の結晶粒径の変化特性を表す図である。 AZ91合金にCaとSrを添加した場合の結晶粒径の変化特性を表す図である。 AZ91CaSr合金の溶製例を表す図である。 本発明の一実施形態における、AZ91合金にCaとSrを添加する割合の範囲を表す図である。 AZ91合金とAZ91CaSr合金の結晶粒径サイズ比の変化挙動を表す図である。 合金インゴットの組成を表す図である。 合金の充填率挙動を表す図である。 合金の室温引張強度の挙動を表す図である。 合金の室温伸び特性の挙動を表す図である。 合金の高温歪み速度と流動応力との関係の挙動を表す図である。 合金の高温歪み速度とクリープ伸び値との関係の挙動を表す図である。 各種マグネシウム合金における高温クリープ速度と応力との関係を表す図である。 クリープ試験の試験条件を表す図である。 耐食性試験で用いた原料インゴットの組成を表す図である。 耐食性試験の結果を表す図である。 公知技術文献に記載された合金特性の比較内容を表す図である。

Claims (4)

  1. アルミニウム7.0〜11.0量%、亜鉛0.1〜2.5量%、マンガン0.1〜0.5量%、カルシウム2.0〜3.5%、ストロンチウム0.1〜1.5量%、残部マグネシウムおよび不可避的に含まれるその他の成分から成ることを特徴とするダイカスト用マグネシウム合金。
  2. 結晶粒径サイズが20μm以下であることを特徴とする請求項1記載のマグネシウム合金。
  3. アルミニウム7.0〜11.0量%、亜鉛0.1〜2.5量%、マンガン0.1〜0.5量%、カルシウム2.0〜3.5%、ストロンチウム0.1〜1.5量%、残部マグネシウムおよび不可避的に含まれるその他の成分から成るダイカスト用マグネシウム合金を用い、ダイカスト鋳造されて構成されたことを特徴とするマグネシウムダイカスト製品。
  4. 結晶粒径サイズが20μm以下であることを特徴とする請求項3記載のマグネシウムダイカスト製品。
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