JP4589586B2 - Dr4抗体とその利用 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、一般的にDR4抗体に関し、アゴニスト、アンタゴニスト、又は阻止抗体でもよい抗体を含む。
【0002】
(発明の背景)
哺乳動物における細胞数のコントロールは、細胞増殖と細胞死のバランスにより部分的に決定されると考えられている。しばしば壊死性細胞死と称される細胞死の一形態は、典型的には、ある種の外傷又は細胞傷害の結果生じる細胞死の病理的形態として特性付けられる。これに対して、通常は規則的又はコントロールされた状態で進行する細胞死の他の「生理的」形態がある。細胞死のこの規則的又はコントロールされた形態は、しばしば「アポトーシス」と称される[例えば、Barrら, Bio/Technology, 12:487-493(1994);Stellerら, Science, 267:1445-1449(1995)を参照]。アポトーシス性細胞死は、免疫系におけるクローン選択と胚の発達を含む多くの生理的プロセスにおいて自然に生じる[Itohら,Cell, 66:233-243(1991)]。アポトーシス性細胞死のレベルの減少は、癌、狼瘡、ヘルペスウイスル感染を含む種々の病理的条件に関連している[Thompson, Science, 267:1456-1462(1995)]。アポトーシス性細胞死のレベルの増加は、エイズ、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、色素性網膜炎、小脳変性、無形成性貧血、心筋梗塞、脳卒中、再灌流傷害、及び毒素誘発性肝疾患を含む様々な他の病理状態に関連している[上掲のThompsonを参照]。
【0003】
典型的には、アポトーシス性細胞死には、細胞内における一又は複数の特徴的な形態学的及び生化学的変化、例えば細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失が伴う。様々な外因的及び内因的シグナルが、このような形態学的及び生化学的な細胞変化を惹起又は誘発すると考えられている[Raff, Nature, 356:397-400(1992);Steller, 上掲;Sachsら, Blood, 82:15(1993)]。例えば、ホルモンの刺激、例えば未成熟胸腺細胞に対する糖質コルチコイドホルモン、並びにある種の成長因子の退薬により惹起され得る[Watanabe-Fukunagaら, Nature, 356:314-317(1992)]。また、幾つかの同定された発癌遺伝子、例えばmyc、rel、及びE1A、及び腫瘍サプレッサー、例えばp53が、アポトーシスの誘発においてある役割を有していることも報告されている。ある種の化学療法薬及びある種の放射線も同様にアポトーシス誘発活性を有していることも見出されている[Thompson, 上掲]。
【0004】
様々な分子、例えば腫瘍壊死因子-α(「TNF-α」)、腫瘍壊死因子-β(「TNF-β」すなわち「リンホトキシン」)、CD30リガンド、CD27リガンド、CD40リガンド、OX-40リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド(Fasリガンド又はCD95リガンドとも称される)、及びApo-2リガンド[トレイル(TRAIL)とも称される]が、サイトカインの腫瘍壊死因子(「TNF」)ファミリーのメンバーとして同定された[例えば、Gruss及びDower, Blood, 85:3378-3404(1995);Wileyら, Immunity, 3:673-682(1995);Pittiら, J. Biol. Chem., 271:12687-12690(1996)]。これらの分子のなかでも、TNF-α、TNF-β、CD30リガンド、4-1BBリガンド、Apo-1リガンド、及びApo-2リガンド(TRAIL)は、アポトーシス性細胞死に関与していることが報告されている。TNF-αとTNF-βの両方とも、感受性腫瘍細胞におけるアポトーシス性死を誘発することが報告されている[Schmidら, Proc. Natl. Acad. Sci., 83:1881(1986);Dealtryら, Eur. J. Immunol., 17:689(1987)]。ゼングらは、TNF-αがCD8ポジティブT細胞のポスト刺激性アポトーシスに関与していることを報告している[Zhengら, Nature, 377:348-351(1995)]。他の研究者は、CD30リガンドが胸腺における自己反応性T細胞の欠失に関与していることを報告している[Amakawaら, プログラム細胞死に関するコールドスプリングハーバー研究所のシンポジウム、要約集、第10巻、(1995)]。
【0005】
マウスのFas/Apo-1レセプター又はリガンド遺伝子(それぞれ1pr及びgldと呼称される)における変異が幾つかの自己免疫疾患に関連しており、Apo-1リガンドが末梢の自己反応性リンパ球のクローン除去の調節においてある役割を担っていることを示している[Krammerら, Curr. Op. Immunol.,6:279-289(1994);Nagataら, Science, 267:1449-1456(1995)]。また、Apo-1リガンドは、CD4ポジティブTリンパ球及びBリンパ球においてポスト刺激性アポトーシスを誘発することが報告されており、それらの機能がもはや必要でなくなった際の活性化リンパ球の除去に関与している[Krammerら, 上掲;Nagataら, 上掲]。Apo-1レセプターと特異的に結合するアゴニストのマウスモノクローナル抗体は、TNF-αに匹敵するか類似する細胞死滅活性を示すことが報告されている[Yoneharaら, J. Exp. Med., 169:1747-1756(1989)]。
【0006】
このようなTNFファミリーのサイトカインが介在する種々の細胞反応誘導は、特異的な細胞レセプターに結合することにより開始されると考えられている。約55-kDa(TNFR1)と75-kDa(TNFR2)の2つの異なるTNFレセプターが同定されており[Hohmanら, J. Biol. Chem., 264:14927-14934(1989);Brockhausら, Proc. Natl. Acad. Sci., 87:3127-3131(1990);1991年3月20日に公開されたEP417563]、双方のレセプター型に対応するヒト及びマウスcDNAが単離され、特徴付けされている[Loetscherら, Cell, 61:351(1990);Schallら, Cell, 61:361(1990);Smithら, Science, 248:1019-1023(1990);Lewisら, Proc. Natl. Acad. Sci., 88:2830-2834(1991);Goodwinら, Mol. Cell. Biol., 11:3020-3026(1991)]。広範な多型性が、双方のTNFレセプター遺伝子に関連している[例えば、Takaoら, Immunogenetics, 37:199-203(1993)を参照]。双方のTNFRは細胞外、膜貫通及び細胞内領域を含む細胞表面レセプターの典型的な構造を共有する。双方のレセプターの細胞外部分はまた可溶性TNF結合タンパク質として天然に見出される[Nophar, Yら, EMBO J., 9:3269(1990);及びKohno, Tら, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 87:8331(1990)]。更に最近になって、組換え体可溶性TNFレセプターのクローニングがヘイル(Hale)らにより報告されている[J. Cell. Biochem. 増補15F, 1991, p.113(P424)]。
【0007】
1型又は2型のTNFR(TNFR1及びTNFR2)の細胞外部分は、NH2末端から出発して、1から4とされる4つのシステインに富んだドメイン(CRD)の反復アミノ酸配列パターンを含む。各CRDは約40のアミノ酸長のものであり、良好に保存された位置に4から6のシステイン残基を含んでいる[Schallら, 上掲;Loetscherら, 上掲;Smithら, 上掲;Nopharら, 上掲;Kohnoら, 上掲]。TNFR1において、4つのCRDのおおよその境界は次の通りである:CRD1−14から約53までのアミノ酸;CRD2−約54から約97までのアミノ酸;CRD3−約98から約138までのアミノ酸;CRD4−約139から約167までのアミノ酸。TNFR2において、CRD1は、17から約54までのアミノ酸を、CRD2は約55から約97までのアミノ酸を;CRD3は約98から約140までのアミノ酸を;CRD4は約141から約179までのアミノ酸を含む[Bannerら, Cell, 73:431-435(1993)]。また、リガンド結合におけるCRDの潜在的な役割は前掲のバナー(Banner)らにより記載されている。
【0008】
CRDの類似の反復パターンが、p75神経成長因子レセプター(NGFR)[Johnsonら, Cell, 47:545(1986);Radekeら, Nature, 325:593(1987)]、B細胞抗原CD40[Stamenkovicら, EMBO J., 8:1403(1989)]、T細胞抗原OX40[Malletら, EMBO J., 9:1063(1990)]及びFas抗原[Yoneharaら, 上掲、及びItohら, 上掲]を含む幾つかの他の細胞表面タンパク質に存在している。また、CRDはショープ(Shope)及び粘液腫ポックスウィルスの可溶型TNFR(sTNFR)様のT2タンパク質にも見出されている[Uptonら, Virology, 160:20-29(1987);Smithら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 176:335(1991);Uptonら, Virology, 184:370(1991)]。これらの配列の最適なアラインメントは、システイン残基の位置が良好に保存されていることを示している。これらレセプターは、しばしば集合的に、TNF/NGFレセプタースーパーファミリーのメンバーと称される。p75NGFRに関する最近の研究では、CRD1の欠失[Welcher, A.A.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:159-163(1991)]又はこのドメインにおける5-アミノ酸の挿入[Yan, H.及びChao, M.V., J. Biol. Chem., 266:12099-12104(1991)]は、NGF結合にはほとんど又は全く影響を持たないことが示されている[Yan, H.及びChao, M.V., 上掲]。p75NGFRはNGF結合に関与せず、そのCRD4と膜貫通領域の間に約60のアミノ酸のプロリンに富んだ伸展を含む[Peetre, C.ら, Eur. J. Hematol.,41:414-419(1988);Seckinger, P.ら, J. Biol. Chem., 264:11966-11973(1989);Yan, H.及びChao, M.V., 上掲]。同様のプロリンに富んだ領域はTNFR2に見出されているが、TNFR1にはない。
【0009】
Itohらは、Apo-1レセプターが55-kDaのTNFR1によりシグナル化されるものと同様のアポトーシス性細胞死をシグナル化し得ることを開示している[Itohら, 上掲]。また、Apo-1抗原の発現は、細胞をTNF-α又は抗Apo-1のマウスモノクローナル抗体で処理した場合に、TNFR1のものと共にダウンレギュレーションされることが報告されている[Krammerら, 上掲;Nagataら, 上掲]。従って、Apo-1及びTNFR1レセプターの双方を同時発現する株化細胞が、共通のシグナル伝達経路を通して細胞死滅を媒介しているとの仮説を唱える研究者もいた[同]。
【0010】
リンホトキシン-αを除き、今日までに同定されているTNFファミリーのリガンドは、II型の膜貫通タンパク質であり、そのC末端は細胞外にある。これに対して、今日までに同定されているTNFレセプター(TNFR)ファミリーのレセプター類はI型の膜貫通タンパク質である。しかしながら、TNFリガンド及びレセプターファミリーの双方において、ファミリーメンバー間で同定された相同性は、主として細胞外ドメイン(「ECD」)において見出されている。TNF-α、Apo-1リガンド及びCD40リガンドを含むTNFファミリーサイトカインのいくつかは、細胞表面においてタンパク分解的に切断され;各場合に得られたタンパク質は、典型的には、可溶性サイトカインとして機能するホモ三量体分子を形成する。また、TNFレセプターファミリーのタンパク質は、通常、タンパク分解的に切断され、同族のサイトカインの阻害剤として機能し得る可溶性レセプターのECDを放出する。
【0011】
最近になって、TNFRファミリーの他のメンバーが同定されている。このような新たに同定されたTNFRのメンバーは、CAR1、HVEM及びオステオプロテゲリン(osteoprotegerin)(OPG)[Brojatschら, Cell, 87:845-855 (1996); Montgomeryら, Cell, 87:427-436 (1996); Marstersら, J.Biol.Chem., 272:14029-14032 (1997); Simonetら, Cell, 89:309-319 (1997)]を含む。シモネット(Simonet)らは、他の周知のTNFR様分子とは異なり、OPGは疎水性の膜貫通−スパンニング配列を含まないと報告している。
【0012】
マースターズ(Marsters)ら、Curr. Biol., 6:750(1996)において、研究者は、細胞外のシステインに富んだ反復についてTNFRファミリーに対して類似性を示し、細胞質死亡ドメイン配列を含む点でTNFR1及びCD95に似ており、Apo-3と称される、ヒトのポリペプチド天然配列の全長を開示している[Marstersら,Curr. Biol., 6:1669(1996)もまた参照されたい]。他の研究者によれば、Apo-3はDR3、wsl-1及びTRAMPとも称されている[Chinnaiyanら, Science, 274:990(1996);Kitsonら, Nature, 384:372(1996);Bodmerら, Immunity, 6:79(1997)]。
【0013】
パン(pan)らは、「DR4」と称される他のTNFレセプターファミリーのメンバーを開示している[Panら, Science, 276:111-113(1997)]。DR4cDNAは細胞表面タンパク質に特徴的な特徴を持つ468アミノ酸のオープンリーディングフレームをコードする。パン等は推定シグナルペプチドが分子の開始部(アミノ酸−23から−1)に存在し、成熟タンパク質はアミノ酸24(Ala)から出発すると記載している。残基108から206は2つのシステインに富む疑似繰り返し部を含み、TNFR-1(4つの繰り返し部)、DR3(4つの繰り返し部)、Fas(3つの繰り返し部)及びCAR1(2つの繰り返し部)の対応する領域に類似している。膜貫通ドメインに続くのは、TNFR1、DR3、Fas、及びCAR1の死亡ドメインに類似性を持つ70アミノ酸伸展を含む細胞内領域である。DR4翻訳物は、脾臓、末梢血液白血球、小腸、及び胸腺で検出されている。さらに、K562赤血白血病細胞、MCF7乳癌細胞及び活性化T細胞においてもDR4の発現が見られた。パン等は、DR4がApo-2リガンド又はTRAILとして知られているリガンドに対するレセプターであると考えられることをさらに開示している。
【0014】
シェリダン(Sheridan)ら, Science, 277: 818-821 (1997)及びパンら, Science, 277: 815-818 (1997)においては、Apo-2リガンド(TRAIL)に対するレセプターと思われる他の分子が記載されている。この分子は、Apo-2と呼ばれる(あるいは、DR5とも呼ばれる)。[1998年11月19日発行のWO98/51793;1998年9月24日発行のWO98/41629を参照のこと]。この分子は、更に、TRALIL−R、TR6、Tango−63、hAPO8、TRICK2又はKILLERに相当するとされている[Screatonら,Curr.Biol., 7:693-696(1997);Walczakら,EMBO J., 16:5386-5387(1997);Wuら,Nature Genetics, 17:141-143(1997);1998年8月20日に発行のWO98/35986;1998年10月14日に発行のEP870,827;1998年10月22日WO98/46643;1999年1月21日に発行のWO99/02653;1999年2月25日発行のWO99/09165;1999年3月11日発行のWO99/11791]。DR4のように、DR5は細胞質死ドメインを含み、アポトーシスのシグナル伝達が可能であると報告されている。Apo−2L/TRAIL及びDR5の間で形成された複合体の結晶構造は、Hymowitzら,Molecular Cell, 4:563-571(1999)に掲載されている。
【0015】
Sheridanら, 上掲,において、DcR1(又はApo-2DcR)と呼ばれるレセプターは、Apo-2リガンド(TRAIL)に対する可能なデコイレセプター(decoy receptor)であるとして開示されている。Sheridanらは、DcR1がApo-2リガンドの機能をインビトロで阻害可能であると報告している。また、TRIDと称されるデコイレセプターの開示については、Panら, 上掲,が参照される。DCR1は、また、LIT又はTRAIL−3に相当するとされている[MacFarlane ら,J.Biol.Chem., 272:25417-25420(1997);Schneiderら,FEBS Letters, 416:329-334(1997);Degli-Espostiら,J.Exp.Med., 186:1165-1170(1997);及びMongkolsapayaら,J.Immunol., 160:3-6(1998)]。
【0016】
マースターズ(Marsters)ら, Curr. Biol., 7: 1003-1006 (1997)には、DcR2と呼ばれるレセプターが開示されている。マースターズらは、DcR2が切断された死亡ドメインを持つ細胞内領域を含み、インビトロで阻害性Apo-2Lレセプターとして機能できることを報告している。
サイトカインのTNFファミリー及びそれらのレセプター類の概説については、上掲のGruss及びDowerを参照されたい。
【0017】
現在理解されているように、細胞死プログラムは、少なくとも3つの重要な要素−活性化因子、阻害剤及びエフェクターを含み;線虫(C. elegans)において、これらの成分はそれぞれ3つの遺伝子、Ced-4、Ced-9及びCed-3によりコードされている[Steller, Science, 267:1445(1995);Chinnaiyanら, Science, 275:1122-1126(1997); Zouら, Cell, 90: 405-413 (1997)]。TNFRファミリーのメンバーの2つ、TNFR1及びFas/Apol(CD95)は、アポトーシス性細胞死を活性化し得る[Chinnaiyan及びDixit, Current Biology, 6:555-562(1996);Fraser及びEvan, Cell, 85:781-784(1996)]。また、TNFR1は転写因子、NF-κBの活性化を媒介することも知られている[Tartagliaら, Cell, 74:845-853(1993);Hsuら, Cell, 84:299-308(1996)]。ある程度のECD相同性に加えて、これら2つのレセプターは、死亡ドメインとして知られているオリゴマー形成界面の細胞内ドメイン(ICD)での相同性を共有する[Tartaglia, 上掲;Nagata, Cell, 88:355(1997)]。また、死亡ドメインはアポトーシスを調節するいくつかの後生動物タンパク質、すなわちFADD/MORT1、TRADD及びRIPと称されるショウジョウバエタンパク質、リーパー(Reaper)及び哺乳動物タンパク質中においても見出されている[Cleaveland及びIhle, Cell, 81:479-482(1995)]。リガンド結合及びレセプターの集団化に際して、TNFR1及びCD95はFADDを死亡誘導シグナル伝達複合体に補充すると考えられる。CD95はFADDに直接結合するとされており、TNFR1はFADDにTRADDを介して間接的に結合する[Chinnaiyanら, Cell, 81: 505-512 (1995); Boldinら, J. Biol. Chem., 270: 387-391 (1995); Hsuら, 上掲; Chynnaiyanら, J. Biol. Chem., 271: 4961-5965 (1996)]。FADDは、Ced-3-関連プロテアーゼ、MACHα/FLICE(カスパーゼ8)を死亡シグナル伝達複合体に補充するアダプタータンパク質として提供されると報告されている[Boldinら, Cell, 85: 803-815 (1996);Muizoら, Cell, 85:817-827(1996)]。MACHα/FLICEは、インターロイキン-1β変換酵素(ICE)及びCPP32/Yamaを含むアポトーシス性プロテアーゼのカスケードを作動させるトリガーであることがわかり、細胞死プログラムの幾つかの重要な側面を実行させ得る[Fraser及びEvan, 上掲]。
【0018】
プログラムされた細胞死が、線虫の細胞死遺伝子、ced-3、及び哺乳動物のIL-1-変換酵素、ICEに関連したシステインプロテアーゼファミリーのメンバーの活性に関与していることが最近開示された。ICE及びCPP32/Yamaプロテアーゼの活性は、牛痘ウイルス遺伝子、crmAの産物により阻害され得る[Rayら, Cell, 69:597-604(1992);Tewariら, Cell, 81:801-809(1995)]。最近の研究では、CrmAがTNFR-及びCD95-誘発細胞死を阻害し得ることが示されている[Enariら, Nature, 375:78-81(1995);Tewariら, J. Biol. Chem., 270:3255-3260(1995)]。
テワリ(Tewari)らにより最近概説されているように、TNFR1、TNFR2及びCD40は、転写因子、NF-KBの活性化を通して、炎症誘発性及び同時刺激性サイトカイン、サイトカインレセプター、及び細胞接着分子の発現を変調する[Tewariら, Curr. Op. Genet. Develop., 6:39-44(1996)]。NF-κBは、そのサブユニットが保存Rel領域を含有する二量体転写因子のファミリーの原型である[Vermaら, Genes Develop., 9:2723-2735(1996);Baldwin, Ann. Rev. Immunol., 14:649-681(1996)]。その潜伏形態において、NF-KBはIKB阻害剤ファミリーのメンバーと複合化しており;所定の刺激に反応してIKBの不活性化の際に、放出されたNF-KBが、特異的DNA配列と結合する核に転座して遺伝子転写を活性化する。
【0019】
(本発明の概要)
本発明は、DR4に特異的に結合できるDR4抗体を提供する。好ましいDR4抗体は、DR4及び/又はApo-2リガンド(TRAIL)に付随する生物学的活性、特にアポトーシスを調節することができ、従って、癌や免疫関連疾患を含む種々の疾患及び病理学的状態の治療において有用である。本発明の一実施態様では、DR4抗体はモノクローナル抗体である。
【0020】
更なる特別な実施態様では、抗DR4キメラ、ハイブリッド又は組み換え体抗体が提供されている。例えば、4H6抗DR4の軽及び/又は重鎖の一つ以上の可変ドメイン(又は一つ以上の超可変ドメイン)を含む軽鎖及び/又は重鎖配列から成るDR4抗体が、ここにおいて開示されている。DR4抗体は軽鎖を含み、その軽鎖はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸20から126を含んでなる可変ドメインを含む。そのようなDR4抗体の軽鎖はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸1から19を含んでなるシグナル配列、又はヒトCH1、例えばFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸127から233を含んでなるCH1ドメインを、場合によっては含んでもよい。その他の任意の実施態様では、DR4抗体は重鎖を含み、その重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸の22から145、又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸を含んでなる可変ドメインを含む。そのようなDR4抗体の重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸1から19を含んでなるシグナル配列、又はヒトCH1、CH2、及び/又はCH3ドメインを場合によっては含んでもよい。更に、その他の任意の実施態様では、DR4抗体は軽鎖と重鎖を含み、その軽鎖はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸20から126を含んでなる可変ドメインを含み、重鎖はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸20から145(又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸22から145)を含んでなる可変ドメインを含む。そのようなDR4抗体の軽鎖は、更に、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸1から19を含んでなるシグナル配列又はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸127から233を含んでなるヒトCH1ドメインを含んでもよく、重鎖は更に、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸1から19又はヒトCH1、CH2、及び/又はCH3ドメインを含んでなるシグナル配列を含んでもよい。
【0021】
抗DR4抗体をコードする単離された核酸も提供されている。一側面では、単離された核酸は抗DR4抗体をコードするDNAを含むか、そのような抗体をコードする核酸配列へ相補的であり、中程度の緊縮又は緊縮条件下においてそれへハイブリッドする。一実施態様では、コード化核酸はポリヌクレオチド配列、例えば:(a)アミノ酸残基20から残基126をコードするFigure18A−18Cの核酸配列(すなわち、ヌクレオチド58から60から376から378;配列番号:7);(b)アミノ酸残基20から残基145をコードするFigure18D−18Hの核酸配列(すなわち、ヌクレオチド58から60から433から435;配列番号:10);又は(c)遺伝子コードの縮重の範囲内の(a)又は(b)の配列と一致する核酸配列を含んでもよい。本発明は、また、ベクターで形質導入又は形質転換された宿主細胞によって認識されるコントロール配列へ作用可能に連結した抗DR4抗体をコードする核酸分子を提供する。ベクター又は核酸分子を含んでなる宿主細胞が、また提供されている。核酸分子を含んでなる宿主細胞の培養、及び宿主細胞培養からタンパク質を回収することを含む抗DR4抗体を製造する方法が、更に提供されている。
【0022】
本発明はまた、DR4モノクローナル抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を提供する。
本発明はまた、一つ以上DR4抗体及び担体、例えば製薬的に許容可能な担体のような担体を含んでなる組成物を提供する。一実施態様では、そのような組成物は、製造品又はキットに含まれていてもよい。
更に、DR4抗体の使用に関する治療及び診断方法が提供されている。
【0023】
(好適な実施態様の詳細な説明)
I.定義
ここで使用される際の「Apo-2リガンド」及び「Apo-2L」(TRAILとしても知られる)という用語は、種々の細胞系譜においてアポトーシスを誘発する腫瘍壊死因子(TNF)の特定のメンバーを意味する[1997年7月17日発行のWO 97/25428; Pittiら, J. Biol. Chem., 271, 12687 (1996); Marstersら, Curr. Biol., 6: 79 (1997); Wiley, S.ら, Immunity, 3: 637 (1995)参照]。
【0024】
Apo-2Lのレセプターが同定され、細胞自殺器を活動させることのできる細胞内「死亡ドメイン」を含むTNFレセプターファミリーのメンバーであるDR4と呼ばれている[Panら, Science, 276: 111 (1997)]。DR4は、また、1998年7月30日に発行のWO98/32856に記載されている。「細胞死レセプター4」又は「DR4」なる用語は、ここで用いられる場合、天然配列DR4及びDR4変異体(ここでさらに定義する)を含む。これらの用語は、ヒトを含む種々の動物で発現されたDR4を包含する。DR4は、種々のヒト組織系列において自然に起こるように内因的に発現されても、あるいは組換え又は合成法によって発現されてもよい。「天然配列DR4」は、自然から誘導したDR4と同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。よって、天然配列DR4は、任意の動物から自然に発生したDR4のアミノ酸配列を有することができる。このような天然配列DR4は、自然から単離することができ、あるいは組換え又は合成法によって作成することもできる。「天然配列DR4」なる用語は、特にDR4の自然に発生する切断又は分泌形態(例えば、細胞外配列を含む可溶化形態など)、自然に発生する変異形態(例えば選択的にスプライシングされた形態)及びDR4の自然に発生する対立遺伝子変異体を含む。本発明の一実施態様では、天然配列DR4は、Fig1(配列番号:1)のアミノ酸1から468を含む成熟又は全長の天然配列DR4である。
【0025】
「細胞外ドメイン」又は「ECD」という用語は、DR4の膜貫通及び細胞質ドメインを実質的に有しないDR4の形態を意味する。通常、DR4ECDは、それらの膜貫通及び/又は細胞質ドメインを1%未満、好ましくはそのようなドメインを0.5%未満しか持たない。場合によっては、DR4ECDは、Fig1(配列番号:1)のアミノ酸残基1から218又は残基24から218を含む。
「DR4変異体」とは、全長天然配列ヒトDR4に対してFig1に示した推定アミノ酸配列(配列番号:1)を有するDR4と少なくとも約80又は85%のアミノ酸配列同一性を有する生物学的に活性なDR4を意味する。このようなDR4変異体には、例えば、Fig1の配列(配列番号:1)の配列のN-又はC-末端において一又は複数のアミノ酸残基が付加、もしくは欠失されたDR4ポリペプチドが含まれる。通常、DR4変異体は、Fig1のアミノ酸配列(配列番号:1)と、少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、さらにより好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有している。
【0026】
ここで同定されているDR4配列(又はDR4抗体配列)に対する「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、配列を整列させ、最大のパーセント配列同一性を得るために必要ならば間隙を導入し、如何なる保存的置換も配列同一性の一部と考えないとした、DR4配列(又はDR4抗体配列)のアミノ酸残基と同一である候補配列中のアミノ酸残基のパーセントとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定する目的のためのアラインメントは、当業者の技量の範囲にある種々の方法、例えばALIGN(商品名)又はMegalign(DNASTAR)、又はALIGN-2(Genentechが権限を持ち、1991年12月10日に米国著作権局、に出願された)のような公に入手可能なコンピュータソフトウエアを使用することにより達成可能である。ALIGN-2プログラムは、UNIXオペレーティングシステム、好ましくはデジタルUNIX V4.0Dでの使用のためにコンパイルされる。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定され変動しない。当業者は、比較される配列の全長に対して最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。
【0027】
「単離された」とは、ここで開示された種々のポリペプチドを記述するために使用するときは、その自然環境の成分から同定され分離され及び/又は回収されたポリペプチドを意味する。その自然環境の汚染成分とは、ポリペプチドの診断又は治療への使用を典型的には妨害する物質であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質様又は非タンパク質様溶質が含まれる。好ましい実施態様において、ポリペプチドは、(1)スピニングカップシークエネーターを使用することにより、少なくとも15のN末端あるいは内部アミノ酸配列の残基を得るのに充分なほど、あるいは、(2)クーマシーブルーあるいは好ましくは銀染色を用いた非還元あるいは還元条件下でのSDS-PAGEによる均一性が得られるように充分なほど精製される。Apo-2DcRの自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離されたポリペプチドには、組換え細胞内のインシトゥーのポリペプチドが含まれる。しかしながら、通常は、単離されたポリペプチドは少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0028】
「単離された」核酸分子は、同定され、ポリペプチド核酸の天然供給源に通常付随している少なくとも1つの汚染核酸分子から分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される形態あるいは設定以外のものである。故に、単離された核酸分子は、天然の細胞中に存在する核酸分子とは区別される。しかし、単離された核酸分子は、例えば、核酸分子が天然の細胞のものとは異なった染色体位置にある核酸を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を含む。
【0029】
ハイブリッド形成反応の「緊縮性」は、当業者によって容易に決定され、一般的にプローブ長、洗浄温度、及び塩濃度に依存する経験的な計算である。一般に、プローブが長くなると適切なアニーリングのための温度が高くなり、プローブが短くなると温度は低くなる。ハイブリッド形成は、一般的に、相補的鎖がその融点に近いがそれより低い環境に存在する場合における変性DNAの再アニールする能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の所望の相同性の程度が高くなると、使用できる相対温度が高くなる。その結果、より高い相対温度は、反応条件をより緊縮性にするが、低い温度は緊縮性を低下させる。さらに、緊縮性は塩濃度に逆比例する。ハイブリッド形成反応の緊縮性の更なる詳細及び説明は、Ausubelら, Current Protocols in Molecular Biology, Wiley Interscience Publishers, (1995)を参照のこと。
【0030】
ここで定義される「緊縮性条件」は、(1)洗浄のために低イオン強度及び高温度、例えば、50℃において0.015Mの塩化ナトリウム/0.0015Mのクエン酸ナトリウム/0.1%のドデシル硫酸ナトリウムを用いるもの;(2)ハイブリッド形成中にホルムアミド等の変性剤、例えば、42℃において50%(vol/vol)ホルムアミドと0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%のポリビニルピロリドン/50mMのpH6.5のリン酸ナトリウムバッファー、及び750mMの塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを用いるもの;(3)42℃における50%ホルムアミド、5xSSC(0.75MのNaCl、0.075Mのクエン酸ナトリウム)、50mMのリン酸ナトリウム(pH6.8)、0.1%のピロリン酸ナトリウム、5xデンハード液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/ml)、0.1%SDS、及び10%のデキストラン硫酸と、42℃における0.2xSSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)中の洗浄及び55℃でのホルムアミド、次いで55℃におけるEDTAを含む0.1xSSCからなる高緊縮性洗浄を用いるものによって同定される。
【0031】
「中程度の緊縮性条件」は、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)に記載されているように同定され、上記の緊縮性より低い洗浄溶液及びハイブリッド形成条件(例えば、温度、イオン強度及び%SDS)の使用を含む。中程度の緊縮性条件は、20%ホルムアミド、5xSSC(150mMのNaCl、15mMのクエン酸三ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5xデンハード液、10%デキストラン硫酸、及び20mg/mLの変性剪断サケ精子DNAを含む溶液中の37℃での一晩インキュベーション、次いで1xSSC中37−50℃でのフィルターの洗浄といった条件である。当業者であれば、プローブ長などの因子に適合させる必要に応じて、どのようにして温度、イオン強度等を調節するかを認識するであろう。
【0032】
「コントロール配列」という表現は、特定の宿主生物において作用可能に結合したコード配列を発現するために必要なDNA配列を指す。例えば原核生物に好適なコントロール配列は、プロモーター、場合によってはオペレータ配列、及びリボソーム結合部位を含む。真核生物の細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル及びエンハンサーを利用することが知られている。
【0033】
核酸は、他の核酸配列と機能的な関係にあるときに「作用可能に結合し」ている。例えば、プレ配列あるいは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に参画するプレタンパク質として発現されているなら、そのポリペプチドのDNAに作用可能に結合している;プロモーター又はエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作用可能に結合している;又はリボソーム結合部位は、もしそれが翻訳を容易にするような位置にあるなら、コード配列と作用可能に結合している。一般的に、「作用可能に結合している」とは、結合したDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合には近接していて読みフェーズにあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも近接している必要はない。結合は簡便な制限部位でのライゲーションにより達成される。そのような部位が存在しない場合は、従来の手法に従って、合成オリゴヌクレオチドアダプターあるいはリンカーが使用される。
【0034】
「アミノ酸」という用語及び「アミノ酸類」は、すべての自然発生L-アルファ-アミノ酸類に相当する。この定義は、ノルロイシン、オルニチン、及びホモシスチンを含むとことを意味する。アミノ酸は、一又は三文字略語のどちらかで同定される:
Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン
Thr T スレオニン Leu L ロイシン
Ser S セリン Tyr Y チロシン
Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン
Pro P プロリン His H ヒスチジン
Gly G グリシン Lys K リジン
Ala A アラニン Arg R アルギニン
Cys C シスチン Trp W トリプトファン
Val V バリン Gln Q グルタミン
Met M メチオニン Asn N アスパラギン
【0035】
配列リスト化及びFigureでは、配列中の与えられた二つ以上のアミノ酸又はヌクレオチドを引用及び同定するために、ある他の一又は三文字略語が用いられる。例えば、配列番号:12のアミノ酸残基20では、位置20のアミノ酸残基を同定するために三文字略語「Xaa」が用いられ、アミノ酸は場合によってグルタミン又はグルタミン酸でありうる。実施例16及びFigure18Dのヌクレオチド配列では、表記「w」は[a」又は「t」であろうヌクレオチドを表し;「k」は、「g」又は「t」であろうヌクレオチドを表し;「b」は、「g」又は「t」又は「c」であろうヌクレオチドを表し;「y」は、「c」又は「t」であろうヌクレオチドを表し;「r」は、「a」又は「g」であろうヌクレオチドを表し;「s」は、「g」又は「c」であろうヌクレオチドを表し;「m」は、「a」又は「c」であろうヌクレオチドを表し;及び「n」は、「a」又は「t」又は「c」又は「g」であろうヌクレオチドを表す。
【0036】
ここで用いられる場合の「アゴニスト」及び「アゴニスト性」という用語は、直接的又は間接的に、実質的にDR4の生物学的活性又は活性化を含む、促進する又は向上させることのできる分子を意味し又は記述する。場合によっては、「アゴニストDR4抗体」は、Apo−2リガンド(TRAIL)として知られるDR4のリガンドと匹敵する活性を有する抗体である。
【0037】
ここで用いられる場合の「アンタゴニスト」及び「アンタゴニスト性」という用語は、直接的又は間接的に、実質的にDR4の生物学的活性又は活性化を妨げる、低下させる又は阻害することのできる分子を意味し又は記述する。
【0038】
「抗体」という用語は最も広い意味において使用され、特に単一の抗DR4モノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニスト及び中和又は阻止抗体を含む)、及び多エピトープ特異性を持つ抗DR4抗体組成物を包含している。ここで使用される「抗体」は、無傷の免疫グロブリン又は抗体分子、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(即ち、少なくとも2つの無傷の抗体から形成される二重特異性抗体)、及びそれらがここに記載した所望のアゴニスト特性を有する限り免疫グロブリン断片(例えばFab、F(ab')2及びFv)を含む。
【0039】
抗体は、典型的には、特定の抗原に結合特異性を示すタンパク質又はポリペプチドである。天然抗体は、通常はヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一な軽(L)鎖と2つの同一な重(H)鎖とからなる。典型的には、各軽鎖は共有ジスルフィド結合によって重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖の間で変化する。また各重鎖及び軽鎖は、規則的に離間した鎖間ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一端に多数の定常ドメインに続く可変ドメイン(VH)を持つ。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(VL)を、他端に定常ドメインを有し;軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと合わされ、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと合わされる。特定のアミノ酸残基が軽鎖と重鎖の可変ドメイン間の界面を形成すると考えられている[Chothiaら, J. Mol. Biol., 186: 651-663 (1985); Novotny及びHaber, Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82: 4592-4596 (1985)]。任意の脊髄動物種からの抗体の軽鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(6)及びラムダ(8)と呼ばれる2つの明確に区別される型に分けることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは異なるクラスに分けられる。免疫グロブリンの5つの大きなクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、そのうちの幾つかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG-1、IgG-2、IgG-3、及びIgG-4;IgA-1及びIgA-2に更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、各々、アルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと呼ばれる。
【0040】
抗体断片は無傷の抗体の一部、一般的には無傷の抗体の抗原結合性又は可変ドメインを含む。抗体断片の例は、Fab、Fab'、F(ab')2及びFv断片、ダイアボディ(diabodies)、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体を含む。
【0041】
ここで「可変」という用語は、抗体間で配列が異なり各特定の抗体のその抗原に対する結合性及び特異性の使用される可変ドメインの或る一部を記述するのに用いられる。しかしながら、可変性は抗体の可変ドメインを通して常に均一に分布しているわけではない。典型的には、軽鎖と重鎖の両方の可変ドメインにおいて相補性決定領域(CDR)又は超可変ドメインと呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存される部分はフレームワーク(FR)と呼ばれる。天然重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々4つのFR領域を含み、これは大きくβ-シート配置をとり、3つのCDRに結合してループ状結合を形成するが、β-シート構造の一部を形成する場合もある。各鎖のCDRは、FR領域の直近に保持され、他の鎖からのCDRとともに抗体の抗原結合部位の形成に寄与する[Kabat, E.A.ら, Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1987)参照]。定常ドメインは抗体の抗原への結合には直接含まれないが、抗体依存的細胞毒性における抗体の関与といった様々なエフェクター機能を示す。
【0042】
ここで使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を称する、すなわち、集団を構成する個々の抗体が、少量存在しうる自然に生じる可能な突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、一つの抗原部位に指向する。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対応する異なる抗体を典型的に含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは異なり、各モノクローナル抗体は抗原の単一の決定基に指向する。
【0043】
ここで、抗体は、起源の種又は免疫グロブリンクラス又はサブクラスの命名に拘わらず、キメラ、定常ドメインを有する抗DR4抗体の可変(高頻度可変を含む)ドメインをスプライシングすることによって生産されるハイブリッド及び組換え抗体(例えば「ヒト化」抗体)、又は重鎖を有する軽鎖、又は異種タンパク質との融合体、並びにそれが所望の生物的活性を有する限り抗体断片(例えばFab、F(ab')2及びFv)を特に含む。例えば、米国特許第4,816,567号、及びMageら, Monoclonal Antibody Productuon Techniques and Applications, pp.79-97(Marcel Dekker, Inc.:ニューヨーク, 1987)を参照。
【0044】
従って、「モノクローナル」との形容は、実質的に均一な抗体集団から得られたという抗体の性質を示し、抗体を何か特定の方法で生産しなければならないことを意味するものではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、最初にKohler及びMilsteinによって、Nature, 256:495 (1975)に記載されたハイブリドーマ法によって作ることができ、あるいは例えば米国特許第4,816,567号に記載された組換えDNA法によって作ることができる。「モノクローナル抗体」は、例えば、McCaffertyら, Nature, 348:552-554(1990)に記載された技術を用いてファージライブラリから単離することができる。
【0045】
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、あるいはそれらの断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の他の抗原結合サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。大部分においてヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。これらの修飾は抗体の特性を更に洗練し、最適化するために行われる。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン共通配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域又はドメイン(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域又はドメインの少なくとも一部を含んでなる。
【0046】
「ヒト抗体」は、ヒトによって生産される抗体のアミノ酸配列に一致するアミノ酸配列を有するもの、及び/又はここにおいて開示されたヒト抗体を製造するいずれかの技術を使用して製造されたものである。ヒト抗体この定義は、特に非ヒト抗原結合残基を含んでなるヒト化抗体を除く。ヒト抗体は、この分野で知られている種々の技術を使用することによって生産することが可能である。
一実施態様では、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリーから選択される(Vaughanら, Nature Biotechnology 14:309-314 (1996):Sheetsら. PNAS, (USA)95:6157-6162(1998);Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381 (1991);Marksら, J. Mol. Biol., 222:581 (1991))。同様に、ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン座位をトランスジェニック動物、例えば内在性免疫グロブリン遺伝子が部分的又は完全に不活性化されたマウスに導入することにより産生することができる。この試みでは、ヒト抗体の生産が観察され、遺伝子再構成、構築(ジーンアセンブリ)及び抗体レパートリーを含む、あらゆる点でヒトに見られるものと密接に類似しているヒト抗体の産生が観察される。このアプローチ法は、例えば米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号、及び次の科学文献:Marksら, Bio/Technology 10:779-783 (1992);Lonbergら, Nature 368: 856-859 (1994);Morrisonら, Nature 368: 812-13 (1994);Fishwildら, Nature Biotechnology 14: 845-51 (1996);Neuberger, Nature Biotechnology 14:826 (1996); Lonberg及びHuszar, Intern. Rev. Immunol. 13:65-93 (1995)。あるいは、ヒト抗体は、標的抗原に対する抗体を生産するヒトBリンパ球の固定化によって調製されてもよい(そのようなBリンパ球は、個々から回収されてもよいし、インビトロで免疫化してもよい)。例えば、Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss. p.77(1985)及びBoernerら, J. Immunol., 147(1):86-95(1991);及び米国特許第5,750,373号を参照のこと。
【0047】
「Fc領域」という用語は、無傷の抗体のパパイン消化で生じることがあるIgG重鎖のC末端領域を定義するために使用される。Fc領域は、天然配列Fc領域又は変異体Fc領域である。IgG重鎖のFc領域の境界は極めて僅かに変化するかも知れないが、ヒトIgG重鎖Fc領域はCys226の位置のアミノ酸残基、又は約位置Pro230からカルボキシル末端まで伸展すると定義される(ここにおいては、Kabatら,上掲に記載の番号方式を使用)。免疫グロブリンのFc領域は、一般的に、二つの定常ドメイン、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含み、場合によってはCH4ドメインを含む。
個々における「Fc領域鎖」とは、Fc領域の二つのポリペプチドのうちの一つを意味する。
【0048】
ヒトIgGFc領域の「CH2ドメイン」(「Cγ2」ドメインとも呼ばれる)は通常アミノ酸残基で約231からアミノ酸残基で約340まで伸展する。CH2ドメインは、他のドメインと密接には対をなさないという点で独特である。むしろ、二つのN-結合分岐炭水化物鎖が未変性の天然IgG分子の二つのCH2ドメインの間に介在されている。炭水化物はドメイン−ドメイン対形成に対する代替物を提供し、CH2ドメインを安定化させるのに役立つと推測されてきた。Burton, Molec. Immunol. 22:161-206 (1985)。ここにおけるCH2ドメインは、天然配列CH2ドメイン又は変異体CH2ドメインであってもよい。
【0049】
「CH3ドメイン」は、残基C末端からFc領域のCH2ドメインへの一続きを含む(すなわち、IgGのアミノ酸残基で約位置341からアミノ酸残基で約位置447)。ここにおけるCH3領域は、天然配列CH3ドメイン又は変異体CH3ドメインでもよい(例えば、その一つの鎖の導入された「突出部」ともなうCH3ドメイン、及びその他の鎖の相当する導入された「空洞」;米国特許第5,821,333号を参照のこと)。そのような変異体CH3ドメインは、ここにおいて記載の多特異性(例えば、二重特異性)抗体を作製するために使用されうる。
【0050】
「ヒンジ領域」は、ヒトIgG1のGlu216、又は約Cys226から約Pro230の伸展として一般に定義されている(Burton, Molec. Immunol. 22:161-206 (1985))。他のIgGアイソタイプのヒンジ領域は、重鎖間S-S結合を形成する最初と最後のシステイン残基を同じ位置に配することにより、IgG1と整合させられうる。ここにおけるヒンジ領域は、天然配列ヒンジ領域又は変異体ヒンジ領域であってもよい。変異体ヒンジ領域の二つのポリペプチド鎖は、一般的に、少なくともポリペプチド鎖当たり少なくとも一つのシステイン残基を保持し、変異体ヒンジ領域の二つのポリペプチド鎖は、二つの鎖の間でジスフィルド結合を形成できる。ここにおける好ましいヒンジ領域は、天然配列ヒトヒンジ領域で、例えば天然配列ヒトIgG1ヒンジ領域である。
【0051】
「機能的Fc領域」は、少なくとも天然配列Fc領域の一つの「エフェクター機能」を有する。模範的な「エフェクター機能」は、C1q結合を含む;補体依存性細胞障害性(CDC);Fcレセプター結合;抗体依存性細胞障害活性(ADCC);ファゴサイトーシス(食作用);細胞表層レセプターの下方制御(例えば、B細胞レセプター;BCR)、など。このようなエフェクター機能は、一般的に、結合ドメインと結合するFc領域を必要とし(例えば、抗体可変ドメイン)、そのような抗体エフェクター機能を評価するための分野で知られた種々のアッセイを使用して評価できる。
【0052】
「天然配列Fc領域」は、天然に見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。「変異体Fc領域」は、少なくとも一つのアミノ酸修飾によって天然配列Fc領域のアミノ酸配列とは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異体Fc領域は、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域と比較し、少なくとも一つの一アミノ酸置換を有する、例えば、天然配列Fc領域又は親ポリペプチドのFc領域において、約1から約10アミノ酸置換、及び好ましくは約1から約5アミノ酸置換である。ここにおける変異体Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/又は親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%配列同一性、及びそれと同時に最も好ましくは少なくとも約90%配列同一性、それと同時にさらに好ましくは少なくとも約95%配列同一性を有する。
【0053】
「抗体依存性細胞障害活性」及び「ADCC」は、Fcレセプター(FcRs)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)を発現する非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、続いて標的細胞の溶解を生じさせる細胞性反応に相当する。ADCC、NK細胞を媒介する一次細胞は、FCγRIIIのみを発現し、一方で単球はFCγRI、FCγRII及びFCγRIIIを発現する。造血性細胞でのFcR発現は、Ravetch及びKinet, Annu.Rev.Immunol., 9:457-92(1991)の464ページの表3に要約されている。対象分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は第5,821,337号に記載されているようなインビトロADCCアッセイがおこなわれてもよい。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー細胞(NK)細胞を含む。あるいは、又は付加的には、対象分子のADCC活性は、インビボで評価されてもよい、例えばClynesら.PNAS(USA), 95:652-656(1998)に開示されたような動物モデルにおいて。
【0054】
「ヒトエフェクター細胞」は、一つ以上のFcRsを発現する白血球であり、エフェクター機能を果たす。好ましくは、細胞は、少なくともFCγRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を果たす。ADCCを媒介するヒト白血球の例は、末梢血単核細胞(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞及び好中球を含む;PBMC類及びNK細胞が好まれる。エフェクター細胞は、その天然ソースより単離されてもよい;例えばここにおいて記載の血液又はPBMC類である。
【0055】
「Fcレセプター」又は「FcR」という用語は、抗体のFc領域に結合するレセプターを記述するために使用される。好適なFcRは、天然配列ヒトFcRである。さらに好適なFcRは、IgG抗体(γレセプター)に結合し、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIサブクラスのレセプターを含むものであり、これらのレセプターの対立遺伝子変異体及び選択的スプライシング型を含む。FcγRIIレセプターは、FcγRIIA(「活性化レセプター」)及びFcγRIIB(「阻害レセプター」)を含み、それらは、主としてその細胞質ドメインにおいて異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化FcγRIIAは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース活性化モチーフ(ITAM)を有する。阻害レセプターFcγRIIBは、その細胞質ドメインに、免疫レセプターチロシン−ベース活性化モチーフ(ITAM)を有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol., 15:203-234(1997)に概説されている)。FcRsはRavetch及びKinet, Annu. Rev. Immunol 9:457-92 (1991); Capelら, Immunomethods 4:25-34 (1994);及びde Hasら, J. Lab. Clin. Med. 126:330-41 (1995)において概説されている。将来同定されるものも含む他のFcRsが、ここにおける「FcR」なる用語によって包含される。この用語は胎児への母性IgGsの移動の原因である新生児レセプター、FcRnもまた含む(Guyerら, J. Immumol. 117:587 (1976)及びKimら, J. Immunol. 24:249 (1994))。
【0056】
「補体依存性細胞傷害性」及び「CDC」は、補体存在下における標的の溶解に関する。補体活性化経路は、同系の抗原と複合化した分子(例えば抗体)へ補体系(C1q)の最初の構成物の結合によって開始される。補体の活性化を評価するために、補体依存性細胞毒性(CDC)アッセイを、例えばGazzano-Santoroら, J. Immunol. Methods 202:163 (1996)に記載されているように実施することができる。
【0057】
「親和性成熟」抗体とは、一つ以上のCDRにおける変化を有しない親抗体と比較し、抗原に対する抗体の親和性に改良を生じせしめる、抗体の一つ以上のCDRにおける一つ以上の改良をともなうものである。好ましい親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモル又はピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該分野において知られる方法によって生産される。Marksら. Bio/Technology, 10:779-783(1992)は、VH及びVLドメイン混合による親和性成熟について記載している。CDR及び/又はフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbasら, Proc Nat Acad. Sci, USA 91: 3809-3813(1994); Schier ら, Gene, 169:147-155(1995);Yeltonら, J. Immunol., 155:1994-2004(1995);Jacksonら, J. Immunol., 154(7):3310-9(1995);及びHawkinsら, J. Mol. Biol., 226:889-896(1992)に記載されている。
【0058】
ここにおける目的のための「生物活性」及び「所望する生物活性」は、例えば、少なくともインビボ又はエキソビボ或いはApo−2リガンド(TRAIL)へ結合した一型の哺乳類細胞におけるアポトーシス(アゴニスト又は刺激方式、或いはアンタゴニスト又は遮断方式)を通してを含めた、DR4活性又はDR4活性化を調節する能力を有していることを意味する。
【0059】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」という用語は広義に使用され、典型的には、細胞質の凝結、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解又はミトコンドリア機能の喪失を含む一又は複数の特徴的な細胞変化を伴う、哺乳動物における細胞死の規則的又はコントロールされた形態を指す。この活性は、例えば細胞生死判別アッセイ、FACS分析又はDNA電気泳動法等、全て従来から知られている方法により決定し測定することができる。
【0060】
「癌」及び「癌性」という用語は、典型的には調節されない細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的状態を指すか記述する。癌の例には、これらに限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病が含まれる。このような癌のより特定の例には、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、胃腸癌、Hodgkin's及び非Hodgkin'sリンパ腫、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頚癌、神経膠腫、卵巣癌、、肝癌及び肝臓癌のような肝臓癌、膀胱癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮体又は子宮癌、唾液腺癌、腎臓細胞癌及びWilms'腫瘍のような腎臓癌、基底細胞癌、黒色腫、前立腺癌、産卵口癌、甲状腺癌、精巣癌、食道癌、及び様々な種類の頭部及び頸部の癌が含まれる。
【0061】
「免疫関連疾患」とは、哺乳動物の免疫系の構成成分が哺乳動物において病的な状態をを引き起こし、仲介し、または寄与するような疾患を意味する。また、免疫反応の促進又は処置が、疾患の進行に対して改善的な効果を有するような疾患をも含む。この用語には、自己免疫疾患、免疫媒介炎症誘発性疾患、非免疫媒介炎症誘発性疾患、感染性疾患、および免疫不全性疾患が含まれる。免疫関連炎症誘発性疾患の例として、そのいくつかは免疫又はT細胞媒介であり、全身性エリトマトーデス、間接リウマチ、若年性慢性関節炎、脊椎関節症、全身性硬化症(強皮症)、特発性炎症誘発性筋疾患、(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血、(免疫性汎血球減少症、発作性夜間血色素尿)、自己免疫性血小板減少症(特発的血小板減少性紫斑病、免疫媒介血小板減少症)、甲状腺炎(グレーブ疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、真性糖尿病、免疫性腎臓疾患(糸状体腎炎、尿細管間質性腎炎)、特発性脱髄性多発神経障害、Guillain-Barre症候群、及び慢性炎症誘発性脱髄性多発神経障害のような中枢及び抹消神経系の脱髄性疾患、感染性肝炎(A、B、C、D、E型肝炎及び他の非肝炎性ウィルス)のような肝胆道疾患、自己免疫性慢性活性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫性肝炎、及び硬化性胆管炎、炎症誘発性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン疾患)のような炎症誘発性及び線維性肺疾患、グルテン感受性腸疾患、及びフィップル疾患、水泡性ヒス疾患を含む自己免疫性又は免疫媒介性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触皮膚炎、乾癬、喘息のようなアレルギー性疾患、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及びジンマシン、好酸球性肺炎のような肺の免疫学的疾患、特発性肺線維症及び高感受性間質性肺炎、移植片拒絶及び移植片対宿主の疾患を含む、移植関連疾患である。感染性疾患にはエイズ(HIV感染)、肝炎A、B、C、D及びE、細菌性感染症、真菌性感染症、原生動物感染症、寄生虫感染症が含まれる。
【0062】
ここで用いられる「自己免疫性疾患」という用語は、広く、一般的な意味で用いられ、正常又は健康な組織の破壊が個々の哺乳動物の彼もしくは彼女自身の組織成分に対する体液性又は細胞内免疫反応から発症する哺乳動物における疾患又は状態のことをいう。例としては、限定されるものではないが、エリトマトーデス、甲状腺炎、リウマチ性関節炎、乾癬、多発性硬化症、自己免疫糖尿病、及び炎症誘発性腸疾患(IBD)である。
【0063】
ここで使用される場合の「成長阻害剤」とは、インビトロ、インビボにおいて細胞の成長を阻害する化合物又は組成物のことを称する。従って、成長阻害剤の例には、S期の遺伝子を過発現させる細胞の割合を著しく減少させるようなものである。成長阻害剤の例には、細胞周期の進行をブロックする薬剤(S期以外の時点において)、例えばG1停止及びM相停止を誘発する薬剤が含まれる。伝統的なM期ブロッカーには、ビンカス(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、トポIIインヒビター、例えばドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。G1を停止させるこれらの薬剤、例えばDNAアルキル化剤、例えばタモキシフェン、プレドニソン、ダカーバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5-フルオロウラシル、及びara-CがS相停止に溢流する。更なる情報は、Murakamiらにより「細胞分裂周期の調節、オンコジーン、及び抗新生物薬」と題された、癌の分子的基礎、Mendelsohn及びIsrael編、第1章(WB Saunders;Philadelphia, 1995)、特に13頁に見出すことができる。
【0064】
本出願で使用される「プロドラッグ」という用語は、親薬物に比べて、腫瘍細胞に対する細胞毒性が低く、より活性な親形態に、酵素的に活性化又は転換され得る製薬的に活性な物質の先駆体又は誘導体形態を意味する。例えば、Wilman, 「Prodrugs in Cancer Chemotherapy」, Biochemical Society Transactions, 14, pp.375-382, 615th Meeting Belfast(1986)及びStellaら,「Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery」, Directed Drug Delivery, Borchardtら,(編), pp.247-267, Humana Press(1985)を参照。 限定するものではないが、本発明のプロドラッグには、ホスファート含有プロドラッグ、チオホスファート含有プロドラッグ、スルファート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸変性プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、任意に置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は任意に置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞毒のない薬剤に転換可能な5-フルオロシトシン及び他の5-フルオロウリジンプロドラッグが含まれる。限定するものではないが、本発明で使用されるプロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞障害剤の例には、下記の化学療法剤が含まれる。
【0065】
ここで用いられる「細胞傷害性薬剤」という用語は、細胞の機能を阻害し又は妨害し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質のことをいう。この用語は放射活性アイソトープ(例えばAt211,I131,I125,Y90,Re186,Re188,Sm153,Bi212,P32,及びLuの放射性アイソトープ)、化学療法剤、及び細菌性、真菌性、植物又は動物起源、又はそれらのフラグメントの酵素的に活性な毒素のようなものを含むことが意図されている。
【0066】
「化学療法剤」は、癌の治療に有用な化合物である。化学療法剤の例には、チオテパ及びシクロホスファミド(CYTOXAN(商品名))のようなアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファンのようなスルホン酸アルキル類、;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa)のようなアジリジン類;ウレドーパ(uredopa);アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド(triethylenethiophosphaoramide)及びトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)及びブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカン(topotecan)を含む);ブリオスタチン;カリスタチン(callystatin);CC−1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)及びバイゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン(cryptophycin)(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin );デユカロマイシン(duocarmycin )(合成類似体、KW-2189及びCBI-TMIを含む); エレトロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin );サルコデイチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin );クロランブシル、クロロナファジン(chlornaphazine)、チョロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン、メクロレタミン、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;エネジイン(enediyne) 抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1 I及びカリケアマイシンθI 1、例えば、Agnew Chem Intl. Ed. Engl., 33:183-186(1994)を参照のこと;ダイネミシンA(dynemicinA)を含むダイネミシン(dynemicin);エスペラマイシン(esperamicin); 同様にネオカルチノスタチン発光団及び関連色素蛋白エネジイン(enediyne) 抗生物質発光団)、アクラシノマイシン(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン、ブレオマイシン(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カリミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトロビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルフォリノ−ドキソルビシン、シアノモルフォリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン、マセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシン(mitomycins)、マイコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin)などの抗生物質;メトトレキセート及び5−フルオロウラシル(5−FU)のような抗-代謝産物;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)のような葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンのようなプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン(enocitabine)、及びフロキシウリジン(floxuridine)、5−FUのようなピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン(testolactone)のようなアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンのような抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)のような葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン;アルドホスファミド;グリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)及びアンサマイトシン(ansamitocin )のようなメイタンシノイド(maytansinoid);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン;モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PKS(登録商標);ラゾキサン(razoxane);シゾフィラン;スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecenes)(特に、T−2トキシン、ベラキュリンA(verracurin A)、ロリデンA(roridin A)及びアングイデン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカーバジン;マンノムスチン(mannomustine);ミトブロニトール;ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);シトシンアラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えばパクリタキセル(タキソール(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)、及びドキセタキセル(タキソテア(登録商標)、Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロランブシル;ゲンシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン、カルボプラチンのようなプラチナ類似体;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP−16);イフォスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantron);テニポシド;ダウノマイシン;カルミノマイシン;アミノプテリン;キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CTP-11;トポイソメラーゼインヒビターRFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラマイシン;カペシタビン(capecitabine);並びに上述したものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。また、この定義には、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように働く抗ホルモン剤、例えばタモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、4(5)-イミダゾール類を阻害するアロマターゼ、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストーン(onapristone)、及びトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;及び抗アンドロゲン、例えばフルタミド(flutamide)及びニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びに上記のものの製薬的に許容可能な塩類、酸類又は誘導体が含まれる。
【0067】
「サイトカイン」という用語は、一つの細胞集団から放出されるタンパク質であって、他の細胞に対して細胞間メディエータとして作用するものの包括的な用語である。そのようなサイトカインの例としては、リンフォカイン、モノカイン、及び伝統的なポリペプチドホルモンを挙げることができる。サイトカインには、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N−メチオニルヒト成長ホルモン、及びウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;リラクシン;プロリラクシン;卵胞刺激ホルモン(FSH)のような糖タンパク質;副甲状腺刺激ホルモン(TSH)、及び黄体形成ホルモン(LH);肝臓成長因子;繊維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤ラクトゲン;腫瘍壊死因子−α及び−β;マレリアン(mullerian)阻害物質;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮成長因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);NGF−β、NT−3、NT−4、NT−6、BDNF、CNTF、GDNF、AL−1あるいは他のeph受容体ファミリーのリガンド等の神経因子あるいは神経成長因子;血小板成長因子;TGF−αあるいはTGF−βのようなトランスフォーミング成長因子(TGF);インスリン様成長因子I及びII;エリスロポイエチン(EPO);オステオインダクティブ因子;インターフェロンα、β、γのようなインターフェロン;マクロファージ−CSF(M−CSF)のようなコロニー刺激因子(CSF);顆粒球−マクロファージ−CSF(GM−CSF)及び顆粒球−CSF(G−CSF);IL−1、IL−1α、IL−2、IL−3、 IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、 IL−8、IL−9、IL−11、IL−12等のインターロイキン(IL);TNF−α又はTNF−βのような腫瘍壊死因子;及びLIF及びキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において、サイトカインなる用語は天然源由来あるいは組換え細胞培養由来のタンパク質及び天然配列サイトカインの生物的に活性な等価物を含む。
【0068】
ここで使用される「治療する」、「治療」及び「治療法」とは、治癒的療法、予防的療法及び防護的療法を称する。
「治療的有効量」という用語は、哺乳類の疾病や疾患の治療のために有効な薬剤の量に相当する。癌の場合は、治療的有効量の薬剤は、癌細胞の数を減少させ;腫瘍の大きさを小さくし;癌細胞の周辺器官への浸潤を阻害(すなわち、ある程度に遅く、好ましくは止める)し;腫瘍の転移を阻害(すなわち、ある程度に遅く、好ましくは止める)し;腫瘍の成長をある程度阻害し;及び/又は疾患に関連する一つ或いはそれ以上の症状をある程度和らげることが可能である。ある程度、薬剤は、成長を妨げ及び/又は現存の癌細胞を殺すことが可能で、細胞分裂停止性及び/又は細胞障害性である。癌治療に対しては、効力は、例えば病状の進行時間(TTP)の評価、又は応答速度(RR)の決定及び/又は全生存を評価することにより測定される。
【0069】
「哺乳類」という用語は、ヒト、家畜、農場飼育動物、犬、ウマ、ネコ、などを含む哺乳類と分類される全ての動物に相当する。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0070】
II.本発明の方法及び組成物
A.DR4抗体
本発明の一実施態様ではDR4抗体が提供される。抗体の例としては、ポリクローナル、モノクローナル、ヒト化、二重特異性及びヘテロ抱合体抗体が含まれる。これらの抗体はアゴニスト、アンタゴニスト又は阻止抗体であってよい。
【0071】
1.ポリクローナル抗体
本発明の抗体はポリクローナル抗体を含んでよい。ポリクローナル抗体の調製方法は当業者に知られている。ポリクローナル抗体は、哺乳動物において、例えば免疫化剤、及び所望するのであればアジュバントを、一又は複数回注射することで発生させることができる。典型的には、免疫化剤及び/又はアジュバントを複数回皮下又は腹腔内注射することにより哺乳動物に注射する。免疫化剤は、DR4ポリペプチド(又はDR4ECD)又はその融合タンパク質を含みうる。免疫化剤を、免疫化される哺乳動物で免疫原性が知られたタンパク質に抱合させるのが有用である。そのような免疫原性タンパク質の例は、限定するものではないが、キーホール・リンペット(keyhole limpet)ヘモシアニン、血清アルブミン、ウシサイログロブリン及び大豆トリプシンインヒビターが含まれる。使用され得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコラート)が含まれる。免疫化プロトコールは、過度の実験なく当業者により選択されるであろう。哺乳動物から採血し、血清を検定してDR4抗体価を求める。望まれるならば、抗体価が増加又は平坦化するまで哺乳動物に追加免疫を施す。
【0072】
2.モノクローナル抗体
あるいは、本発明の抗体はモノクローナル抗体であってもよい。モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein, Nature, 256: 495 (1975)に記載されているようなハイブリドーマ法を使用することで調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター又は他の適切な宿主動物を、典型的には免疫化剤により免疫化することで、免疫化剤に特異的に結合する抗体を生成するかあるいは生成可能なリンパ球を誘発する。また、リンパ球をインビトロで免疫化してもよい。
免疫化剤は、典型的にはDR4ポリペプチド(又はDR4ECD)又はその融合タンパク質、例えばCR4ECD-IgG融合タンパク質を含む。あるいは、免疫化剤は、Apo-2LのDR4への結合に参加する一又はそれ以上のアミノ酸を有するDR4の断片又は一部を含んでもよい。好ましい実施態様では、免疫化剤は、実施例1に記載するようなIgG配列に融合したDR4の細胞外ドメイン配列を含む。
【0073】
一般に、ヒト由来の細胞が望まれる場合には末梢血リンパ球(「PBL」)が使用され、あるいは非ヒト哺乳動物源が望まれている場合は、脾臓細胞又はリンパ節細胞が使用される。次いで、リンパ球をポリエチレングリコール等の適当な融合剤を用いて不死化株化細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する[Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, Academic Press, (1986) pp. 59-103]。不死化株化細胞は、通常は、形質転換した哺乳動物細胞、特に齧歯動物、ウシ、及びヒト由来の骨髄腫細胞である。通常、ラット及びマウスの骨髄腫細胞が使用される。ハイブリドーマ細胞は、好ましくは、未融合の不死化細胞の生存又は成長を阻害する一又は複数の物質を含有する適切な培地で培養される。例えば、親細胞が、酵素のヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠いていると、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサチン、アミノプチリン及びチミジンを含み(「HAT培地」)、この物質がHGPRT欠乏細胞の増殖を阻止する。
【0074】
好ましい不死化株化細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体発現を支援し、HAT培地のような培地に対して感受性であるものが望ましい。より好ましい不死化株化細胞はマウス骨髄腫株であり、これは例えばカリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerやバージニア州マナッサスのアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションより入手可能である。このようなマウスミエローマ株化細胞は、下記実施例2に記載するP3X63AgU.1である。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒト異種骨髄腫株化細胞も開示されている[Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984)、Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, Marcel Dekker, Inc., New York, (1987) pp. 51-63]。
【0075】
ハイブリドーマ細胞が培養される培地を、DR4に対するモノクローナル抗体の存在について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降あるいはラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫測定法(ELISA)等のインビトロ結合検定法によって測定する。このような技術及びアッセイは、当該分野において公知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えばMunson及びPollard, Anal. Biochem., 107:220 (1980)によるスキャッチャード分析法によって測定することができる。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンを制限希釈工程を経てサブクローニングし、標準的な方法で増殖させることができる[Goding, 上掲]。この目的のための適当な培地には、例えば、ダルベッコの改変イーグル培地及びRPMI-1640培地が含まれる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は哺乳動物においてインビボで腹水として成長させることもできる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えばプロテインA−セファロース法、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー法、ゲル電気泳動法、透析法又はアフィニティークロマトグラフィー等の従来の免疫グロブリン精製方法によって培地又は腹水液から分離又は精製される。
【0076】
また、モノクローナル抗体は、組換えDNA法、例えば米国特許第4,816,567号に記載された方法により作成することができる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、常套的な方法によって(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドプローブを使用して)、容易に単離し配列決定することができる。本発明のハイブリドーマ細胞はそのようなDNAの好ましい供給源となる。ひとたび単離されたら、DNAは発現ベクター内に配することができ、これが宿主細胞、例えばサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、あるいは免疫グロブリンタンパク質を生成しない骨髄腫細胞内に形質移入され、組換え宿主細胞内でモノクローナル抗体の合成をすることができる。また、DNAは、例えば相同マウス配列に換えてヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより[米国特許第4,816,567号;Morrisonら, 上掲]、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の一部又は全部を共有結合することにより修飾することができる。このような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに置換するか、本発明の抗体の一つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに置換し、キメラ性二価抗体を産生することができる。
【0077】
下記の実施例に記載するように、種々の抗DR4抗体が同定され調製されている。これらの抗体の、ここで4E7.24.3及び4H6.17.8、1H5.25.9、4G7.18.8、及び5G11.17.1と呼ばれるものは、ATCCに寄託された。一実施態様では、本発明のモノクローナル抗体は、ATCCの下に寄託されたハイブリドーマ細胞系によって分泌されたモノクローナル抗体と同じ生物学的特性を有する。「生物学的特性」という用語は、モノクローナル抗体のインビトロ及び/又はインビボ活性又は特性、例えばDR4に特異的に結合する、あるいはDR4活性化(又はDR4関連活性)を阻止する、誘発する又は促進する能力を意味するように用いられる。例によると、阻止抗体は、DR4へのApo−2の結合又は哺乳類細胞(例えば癌細胞)でのApo−2リガンド誘発アポトーシスを阻止する。本明細書に開示するように(Figure 6を参照のこと)、モノクローナル4E7.24.3はDR4への特異的結合性(Apo-2へは幾分の交差反応性を持つ)、アポトーシスを誘発できること、及びDR4を阻止できないことで特徴付けられる。モノクローナル抗体4H6.17.8は、DR4への特異的結合性(Apo-2へは幾分の交差反応性を持つ)、アポトーシスを誘発できること、及びDR4を阻止できることで特徴付けられる。ここに開示されているように、インビボ腫瘍モデルにおいて、4H6.17.8抗体は、4E7.24.3抗体よりもさらに協力な抗癌活性を示す。更に、4E7.24.3抗体は、DR4へのApo−2リガンドの結合を阻止できなかったにも関わらず抗腫瘍活性を示した。この知見は、DR4上のと同じか、代わってDR4上のApo−2リガンド結合部位と重なる、或いはApo−2リガンドをDR4への結合を妨げる立体構造を形成するかどちらかのエピトープを有する抗DR4抗体は、アポトーシス又は抗腫瘍活性の為に必須又は必要ではないことを示唆している。しかしながら、そのようなエピトープ又は立体構造を有するDR4抗体は、そのようなアポトーシス又は抗腫瘍活性の増大した能率又は効力を示す可能性がある。1H5.25.9、4G7.18.8及び5G11.17.1抗体の特性及び活性はまた、下記の実施例に記載されている。場合によっては、本発明のモノクローナル抗体は、ここに開示した4E7.24.3及び4H6.17.81H5.25.9、4G7.18.8及び/又は5G11.17.1抗体と同じエピトープに結合する。このことは、ここ及び実施例に記載するような種々のアッセイを実施することにより決定できる。例えば、モノクローナル抗体が、ここにおいて特別に言及したDR4抗体と同じ特異性を有するか否かを決定するために、下記の実施例に記載するもののようなDR4阻止アッセイ又はアポトーシス誘発アッセイにおいて、その活性を比較することができる。
【0078】
下記の実施例に記載されているように、マウス4H6.17.8モノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインは配列が決定され、4H6.17.8抗体のキメラ型が構築された(ここにおいて、「キメラ4H6抗体」と呼ばれる)。本発明は、抗DR4キメラ抗体の種々の型が、ここに記載されているような治療的及び/又は診断上の有用性を有することを考慮している。キメラ、ハイブリッド又は組み換え体抗DR4抗体(例えば、さらに下記に記載のダイアボディー(diabodies)、トリアボディ(triabodies)と同様の)は、全長重鎖及び軽鎖(例えば、Figure18A−18Hに示されている軽鎖及び重鎖)又はその断片、例えばFab、Fab'、F(ab')2又はFv断片、その軽鎖又は重鎖の単体又は二量体、その重又は軽鎖がリンカー分子で結合している又はさらに他の型の抗体ドメインで結合している軽又は重鎖の可変ドメイン(超可変ドメイン)を有する単鎖Fvを含む。
【0079】
一つの任意の実施態様では、DR4抗体は軽鎖を有し、その軽鎖は、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸20から126を含んでなる可変ドメインを含む。そのようなDR4抗体の軽鎖は、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸1−19を含んでなるシグナル配列、又はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸127−233を含んでなるヒトCH1ドメインを任意に含んでもよい。その他の任意の実施態様では、DR4抗体は重鎖を含み、その重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸20から145又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸22から145を含んでなる可変ドメインを含む。そのようなDR4抗体の重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸1−19を含んでなるシグナル配列、又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸146−476を含んでなるヒトCH1、CH2、CH3ドメインを任意に含んでもよい。更なるその他の任意の実施態様では、DR4抗体は軽鎖及び重鎖を有し、その軽鎖は、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸20から126を含んでなる可変ドメインを含み、その重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸20から145(又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸22から145)を含んでなる可変ドメインを含む。そのDR4抗体の軽鎖は、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸1−19を含んでなるシグナル配列、又はFigure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸127−233を含んでなるヒトCH1ドメインをさらに含んでもよく、重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸1−19を含んでなるシグナル配列、又はFigure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸146−476を含んでなるヒトCH1、CH2、CH3ドメインを任意に含んでもよい。
【0080】
更なる任意の実施態様では、DR4抗体は、Figure18A−18Hに示されている、4H6抗体軽鎖又は重鎖の一つ以上のCDRドメイン又はフレームワークドメインを含む。例えば、DR4ドメイン抗体は、Figure18A−18CのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3の一つ以上、又はFigure18D−18HのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3の一つ以上を含んでもよい。DR4ドメイン抗体は、Figure18A−18CのFR1、FR2、FR3及び/又はFR4の一つ以上を含んでもよい。
【0081】
マウス4H6モノクローナル抗体の軽鎖及び/又は重鎖の可変ドメイン(又は超可変領域)配列(Figure18A−18Hにて同定)を含む、ここにおいて記載の抗体配列の種々の領域又はドメインが、アミノ酸組成に関して改変されてもよいことが考慮されている。例えば、アミノ酸の一つ以上の保存的な置換は、Figure18A−18C又はFigure18D−18Hに提供されている可変ドメインにおいて作製されてもよいこよが考慮されている。また、アミノ酸修飾は、Figure18A−18Hに示されている可変ドメインにおいて同定されているCDR又はフレームワーク領域のいずれか一つ以上において作製が可能である。
【0082】
ここに記載の抗体のアミノ酸配列修飾は、例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改良することが望ましい。抗体のアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変化を抗体DNAに導入することにより、又はペプチド合成により調製される。そのような変異体は、例えば、ここの例の抗体のアミノ酸配列内の残基の欠失、及び/又は挿入及び/又は置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせは、最終構造物に達するまでなされるが、その最終構造物は所望の特徴を有する。また、アミノ酸変化は、グリコシル化部位の数の変化などの変異抗体の翻訳後過程を変更しうる。そのような改変は、親ペプチドで作製される、及び/又は配列が決定されている際に修飾抗体アミノ酸配列へ導入される。
【0083】
突然変異誘発に適した抗体の或る残基又は領域の同定のために有用な方法は、Cunningham及びWells(Science 244: 1081-1085 (1989))に記載されているように「アラニンスキャンニング突然変異誘発」と呼ばれる。ここで、標的残基の残基又は基が同定され(例えば、arg, asp, his, lys,及びglu等の荷電残基)、中性又は負荷電アミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリペプチドアニリン)に置換され、アミノ酸と抗原との相互作用に影響を及ぼす。次いで置換に対する機能的感受性を示すこれらのドメインは、置換部位において又はそれに対して更なる或いは他の変異体を導入することにより精密にされる。即ち、アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決定されるが、変異自体の性質は予め決める必要はない。例えば、与えられた部位における性能を分析するために、alaスキャンニング又はランダム突然変異誘発を標的コドン又は領域で実施し、発現された抗体を所望の活性についてスクリーニングする。
【0084】
アミノ酸配列挿入は、1残基から100以上の残基を含むポリペプチドの長さの範囲のアミノ-及び/又はカルボキシル末端融合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入物を含む。末端挿入物の例は、N-末端メチオニル残基を持つ抗体又は細胞傷害性薬剤に融合した抗体を含む。抗体分子の他の挿入変異体は、抗体の血清半減期を向上させる酵素(例えば、ADEPTのための)又はポリペプチド又はPEGの抗体のN-又はC-末端への融合物を含む。
【0085】
他の型の変異体はアミノ酸置換変異体である。これらの変異体は、抗体分子において少なくとも一つのアミノ酸残基が除去され、その位置に異なる残基が挿入されている。置換突然変異について最も興味深い部位は高頻度可変領域を含むが、FR交互変化も考慮される。保存的置換は、「好ましい置換」と題して表1に示す。これらの置換が生物学的活性の変化をもたらす場合、表1に「例示的置換」と名前を付けた又はアミノ酸の分類を参照して以下に更に記載するような、より実質的な変化を導入し、、生成物をスクリーニングしてよい。
【0086】
【0087】
抗体の生物学的活性における実質的な改変は、(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造、例えばシート又は螺旋配置、(b)標的部位の電荷又は疎水性、又は(c)側鎖の嵩を維持しながら、それらの効果において実質的に異なる置換基を選択することにより達成される。天然発生残基は共通の側鎖特性に基づいて群に分けることができる:
(1)疎水性:ノルロイシン, met, ala, val, leu, ile;
(2)中性の親水性:cys, ser, thr;
(3)酸性:asp, glu;
(4)塩基性:asn, gln, his, lys, arg;
(5)鎖配向に影響する残基:gly, pro; 及び
(6)芳香族:trp, tyr, phe。
非保存的置換は、これらの分類の一つのメンバーを他の分類に交換することを必要とするであろう。
変異抗体の正しい配置の維持に含まれない任意のシステイン残基は、一般的にセリンで置換し、分子の酸化的安定性を向上させて異常な架橋を防止する。逆に、抗体にシステイン結合を付加して、その安定性を向上させてもよい。
【0088】
特に好ましい型の置換変異体は、親抗体(例えば、ヒト化又はヒト抗体)の一又は複数の高頻度可変領域残基の置換を含む。一般的に、さらなる発展のために得られた変異体は、それらが生成された親抗体に比較して向上した生物学的特性を有している。そのような置換変異体を生成する簡便な方法は、この分野で公知の方法を用いるファージを使用する親和性突然変異である。簡潔に言えば、高頻度可変領域部位(例えば、6−7部位)を突然変異させて各部位における全ての可能なアミノ酸置換を生成させる。このように生成された抗体変異体は、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合物として表示される。ファージ表示変異体は、次いで、ここに開示されるようなそれらの生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。改変の候補となる高頻度可変領域部位を同定するために、アラニンスキャンニング突然変異誘発を実施し、抗原結合に有意に寄与する高頻度可変領域残基を同定することができる。あるいは、又はそれに加えて、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して抗体と抗原との接点を同定するのが有利である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、ここに述べた技術に従う置換の候補である。そのような変異体が生成されたら、変異体のパネルにここに記載するようなスクリーニングを施し、一又は複数の関連アッセイにおいて優れた特性を持つ抗体を更なる開発のために選択する。
【0089】
一実施態様では、DR4抗体は、4H6抗体のためにここにおいて同定された可変ドメイン、超可変ドメイン、又はフレームワーク配列の一つ以上に対して、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、及びさらに好ましくは少なくとも95%アミノ酸配列同一性を有する可変ドメイン配列を含んでなる軽鎖及び/又は重鎖を含んでもよい。
【0090】
本発明の抗体は、「架橋」DR4抗体を含む。ここにおいて使用されている「架橋」という用語は、一(又は単)分子を形成するための、少なくとも二つのIgG分子の結合を意味する。DR4抗体は種々のリンカー分子を使用して架橋されてもよく、好ましくはDR4抗体は、抗IgG分子、補体、化学修飾又は分子工学を使用して架橋される。一度抗体が表層膜へ結合すると、補体が抗体分子に対して比較的に高い親和性を有することは、当該分野において熟練した者にとっては歓迎されることである。従って、細胞表層膜へ結合している二つ以上の抗DR4抗体を連結するための架橋分子に、補体を使用してもよいと考えられる。種々のマウスIgアイソタイプの中で、IgM、IgG2a及びIgG2b(例えば、1H5、4G7、及び5G11抗体)は、補体を固定することが知られている。従って、マウスIgG2クラスへ属する、下記の実施例において記載されている抗体は、ウサギ補体の存在下におけるアポトーシス活性のために試験された。インビトロにおける、架橋抗体(Apo−2Lに匹敵する)のアポトーシス活性は、補体又はIgG−Fcクロスリンカーが、例えば癌細胞のアポトーシスのためのDR4抗体のオリゴマー形成の誘導に有用であることを示唆する。また、種々の他の抗DR4抗体の架橋は、ヤギ抗マウスIgG Fc又はヤギ抗ヒトIgG Fcのどちらかを使用した実施例に記載されている。実施例に記載されているインビボ研究では、投与の前に投与されたDR4抗体が架橋しなかった場合でさえ、アポトーシス活性がなお観察されたことが示されている。
【0091】
本発明の抗体は、抗体の多価型と同様に、二量体抗体を任意に含むことができる。当該分野の熟練者は、当該分野で知られている技術及びここにおけるDR4抗体を使用して、そのような二量体又は多価型を組み立てることができる。
本発明の抗体は一価抗体であってもよい。一価抗体の調製方法は当該分野においてよく知られてる。例えば、一つの方法は免疫グロブリン軽鎖と修飾重鎖の組換え発現を含む。重鎖は一般的に、重鎖の架橋を防止するようにFc領域の任意のポイントで切断される。あるいは、関連したシステイン残基を他のアミノ酸残基で置換するか欠失させて架橋を防止する。
【0092】
一価抗体の調製にはインビトロ法がまた適している。抗体の消化による、その断片、特にFab断片の調製は、当該分野において知られている慣用的技術を使用して達成できる。例えば、消化はパパインの使用により行うことができる。パパイン消化の例は、94/12/22に公開された国際特許出願第WO94/29348号、及び米国特許第4,342,566号に記載されている。抗体のパパイン消化は、典型的には、Fab断片と呼ばれ、各々が単一の抗原結合部位を有する2つの同一の抗原結合断片と、残りのFc断片を生成する。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、抗原の架橋が尚も可能なF(ab')2断片が得られる。
【0093】
また、抗体の消化により生産されたFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1定常ドメイン(CH1)を含む。Fab'断片は、抗体のヒンジ領域から一又は複数のシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に幾つかの残基が付加されているということで、Fab断片とは異なっている。Fab'-SHとは、定常ドメインのシステイン残基が遊離のチオール基を担持しているFab'に対するここでも命名である。F(ab’)2抗体断片は、本来は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として生産された。抗体断片の他の化学的結合もまた知られている。
【0094】
また、Iliadesら, FEBS Letters, 409: 437-441 (1997)に記載されているように、一本鎖Fv断片も産生されうる。このような一本鎖断片の種々のリンカーを用いた結合は、Korttら, Protein Engineering, 10: 423-433 (1997)に記載されている。
上記に記載の抗体に加えて、キメラ又はハイブリッド抗体が、架橋剤を含む合成タンパク質化学における周知の方法を用いてインビトロで調製されうると考えられる。例えば、免疫毒素はジスルフィド交換反応を用いて、又はチオエーテル結合の形成により作成することができる。この目的に好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデートが含まれる。
【0095】
本発明のDR4抗体は、さらにヒト化抗体又はヒト抗体を含む。非ヒト(例えばマウス)抗体のヒト化形とは、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖あるいはその断片(例えばFv、Fab、Fab'、F(ab')2あるいは抗体の他の抗原結合性サブ配列)であって、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むものである。ヒト化抗体はレシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット又はウサギのような所望の特異性、親和性及び能力を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基によって置換されたヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)を含む。ある場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基によって置換されている。また、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも、移入されたCDRもしくはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでいてもよい。一般に、ヒト化抗体は、全てあるいはほとんど全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、全てあるいはほとんど全てのFR領域がヒト免疫グロブリン共通配列のものである、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含む。ヒト化抗体は、最適には免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にはヒトの免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含んでなる[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986); Riechmann ら, Nature, 332:323-329 (1988); 及びPresta, Curr. Op Struct. Biol., 2:593-596 (1992)]。
【0096】
非ヒト抗体をヒト化する方法はこの分野で良く知られている。一般的に、ヒト化抗体には非ヒト由来の一又は複数のアミノ酸残基が導入されている。これら非ヒトアミノ酸残基は、しばしば、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は基本的にウィンター(Winter)及び共同研究者の方法[Jonesら, Nature, 321:522-525 (1986)、Riechmannら, Nature, 332:323-327 (1988)、Verhoeyenら, Science, 239:1534-1536 (1988)]に従って、齧歯動物のCDR又はCDR配列でヒト抗体の対応する配列を置換することにより実施される。よって、このような「ヒト化」抗体は、無傷のヒト可変ドメインより実質的に少ない分が非ヒト種由来の対応する配列で置換されたキメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際には、ヒト化抗体は典型的には幾つかのCDR残基及び場合によっては幾つかのFR残基が齧歯類抗体の類似部位からの残基によって置換されたヒト抗体である。
【0097】
抗原性を軽減するには、ヒト化抗体を作成するために使用するヒトの軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方の選択が非常に重要である。「ベストフィット法」に従うと、齧歯動物抗体の可変ドメインの配列を既知のヒト可変ドメイン配列ライブラリ全体に対してスクリーニングする。齧歯動物のものと最も近いヒトの配列を次にヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れる[Simsら, J. Immunol., 151:2296 (1993);Chothia及びLesk, J. Mol. Biol., 196:901 (1987)]。他の方法では、軽鎖又は重鎖の特定のサブグループのヒト抗体全てのコンセンサス配列から誘導される特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークを幾つかの異なるヒト化抗体に使用できる[Carterら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992);Prestaら, J. Immunol., 151:2623 (1993)]。
【0098】
さらに、抗体は、抗原に対する高親和性や他の好ましい生物学的性質を保持してヒト化することが重要である。この目標を達成するべく、好ましい方法では、親及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び様々な概念的ヒト化産物の分析工程を経てヒト化抗体を調製する。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に入手可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推測三次元立体配座構造を図解し、表示するコンピュータプログラムは入手可能である。これら表示を見ることで、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の役割の分析、すなわち候補免疫グログリンの抗原と結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能となる。このようにして、例えば標的抗原に対する親和性を高めるといった、望ましい抗体特徴が得られるように、FR残基を共通及び移入配列から選択し、組み合わせることができる。一般的に、CDR残基は、直接かつ最も実質的に抗原結合性に影響を及ぼしている[1994年、3月3日に公開されたWO 94/04679を参照]。
【0099】
ヒトモノクローナル抗体は、ヒトBリンパ球を融合パートナーとして使用する、Kohler及びMilsteinによって最初に記載されたハイブリドーマ法を適応によって作製することができる。対象抗体を生産するBリンパ球は、例えば、インフォームド・コンセントを得た後に、ヒト個人から単離される。例えば、個人は、全身性紅斑性狼瘡(Shoenfeldら,J.Clin. Invest., 70:205(1982))、免疫媒介血小板新生紫斑病(ITP)(Nugentら,Blood, 70(1):16-22(1987))、又は癌のようなある疾患とともに生じる自己抗原に対する抗体を生産している。或いは、又は付加的に、リンパ球はインビトロで免疫化される。例えば、単離されたヒト末梢血リンパ球をlysomotrophic agent(例えばL−ロイシン-−O−メチル エステル、 L−グルタミン酸ジメチルエステル又はL−ロイシル−L−ロイシン−O−メチル エステル)(米国特許第5,567,610号、Borrebaeckら,)へ曝露する;及び/又はインビトロでT細胞欠損ヒト末梢血リンパ球を8−メルカプトグアノシン及びサイトカインのような補助剤で処理する(米国特許第5,229,275号、Goroffら.)してもよい。
【0100】
被検者より回収されたかインビトロで免疫化されたBリンパ球は、次には通常、ヒトモノクローナル抗体を生成するために不死化される。限定されるものではないが、Bリンパ球を不死化する技術は、(a)ヒトBリンパ球とヒト、マウスミエローマ又はマウス−ヒトヘテロミエローマ細胞との融合;(b)ウイルスによる形質転換(例えば、エプスタイン・バーウイルス(EBウイルス);例えば、Nugentら,上掲,を参照のこと);(c)リンパ芽球腫細胞株との融合;又は(d)リンパ腫細胞との融合、を含む。
【0101】
リンパ球を、ポリエチレングリコールのような適当な融剤を用いて骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,590-103頁[Academic Press, 1986])。このようにして調製されたハイブリドーマ細胞を、融合していない親の骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する一又は複数の物質を好ましくは含む適当な培地に蒔き、増殖させる。例えば、親の骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニジンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠失するならば、ハイブリドーマのための培地は、典型的には、HGPRT欠失細胞の増殖を妨げる物質であるヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含有するであろう(HAT培地)。適切なヒトミエローマ及びマウス−ヒトミエローマ細胞株が記載されている(Kozbor, J. Immunol., 133:3001 (1984)、Brodeurら, Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications, pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。ハイブリドーマ細胞が生育している培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について検定する。好ましくは、ハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降又はインビトロ結合検定、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)又は酵素結合免疫吸着検定(ELISA)によって測定する。
【0102】
所望の特異性、親和性、及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が確定された後、クローンを限界希釈法によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させることができる(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, 59-103頁(Academic Press, 1986))。この目的に対して好適な培地は、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地を包含する。サブクローンにより分泌されたモノクローナル抗体は、例えばプロテインA-クロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、又はアフィニティークロマトグラフィーのような常套的な免疫グロブリン精製法により、培地、腹水、又は血清から好適に分離される。
【0103】
また、ヒト抗体は、ヒト抗体を生産することのできるマウスのような非ヒト抗体を使用して生成してもよい。上記に記したように、免疫化することで、内在性免疫グロブリンが生成されない状態でもヒト抗体の完全リパートリを生成することができるトランスジェニック動物(例えばマウス)を使用することが可能である。例えば、キメラ及び生殖系列変異マウスにおいて抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子をホモ接合的に欠失させると内在性抗体生産の完全な阻害が生じることが記述されている。このような生殖系列変異マウスにヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子配列を移すと、抗原投与時にヒト抗体の生成が生じる。例えば、Jakobovitsら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551-255 (1993);Jakobovitsら, Nature, 362:255-258 (1993);Bruggermanら, Year in Immuno., 7:33 (1993);米国特許第5,591,669号;米国特許第5,589,369号;及び米国特許第5,545,807号を参照のこと。また、ヒト抗体は、SCID−huマウス(Duchosalら,Nature 355: 258-262(1992))を使用して作製してもよい。
【0104】
その他の実施態様では、ヒト抗体は、ヒト抗体ファージディスプレイライブラリより選択してもよい。抗体又はその断片のライブラリの調製は、当該分野で良く知られており、宿主細胞へ導入可能な形質転換ベクターのファミリーの構築のためには、いずれの既知の方法を使用してもよい。ファージ中の抗体軽鎖及び重鎖(Huseら,Science, 246:1275(1989))、又はファージ或いはファージミド中の融合タンパク質のライブラリは、既知の方法によって調製が可能である。例えば、Vaughanら, Nature Biotech 14:309 -314(1996);Barbasら,Proc. Nalt. Acad. Sci., USA, 88:7978-7982(1991);Marksら, J.Mol.Biol., 222:581-597(1991);Hoogenboom及びWinter, J. Mol. Biol., 227:381-388 (1992);Barbasら,Proc. Nalt. Acad. Sci., USA, 89:4457-4461(1991);Griffithsら, EMBO Journal, 13: 3245-3260(1994);de Kruifら,J. Mol. Biol., 248:97-105(1995);WO 98/05344;WO 98/15833;WO 97/47314;WO 97/44491;WO 97/35196;WO 95/34648;米国特許第5,712,089号;米国特許第5,702,892号;米国特許第5,427,908号;米国特許第5,403,484号;米国特許第5,432,018号;米国特許第5,270,170号;WO 92/06176;WO 99/06587;米国特許第5,514,548号;WO 97/08320;及び米国特許第5,702,892号。対象抗原は、標的抗原と結合するファージ抗体を選択するための分野において既知の方法を使用し、ファージライブラリに対して選別される。
【0105】
ここにおけるDR4抗体は、場合によっては一つ以上の所望する生物活性又は特性を有する。そのようなDR4抗体は、限定されないが、キメラ、ヒト化、ヒト、及び親和性成熟抗体を包含してもよい。記載されているように、DR4抗体は、これらの所望する活性又は特性を達成するための種々の技術を使用して構築又は設計される。一実施態様では、DR4抗体は、少なくとも105M−1、好ましくは106M−1から107M−1の範囲、さらに好ましくは少なくとも108M−1から1012M−1の範囲、及びよりさらに好ましくは少なくとも109M−1から1012M−1の範囲のDR4レセプター結合親和性を有する。DR4抗体の結合親和性は、スキャッチャード分析法(Munsonら、上掲を参照のこと)及びKinExAアッセイ(商品名)(実施例9を参照のこと)を包含する当該分野において既知の技術に従ったDR4抗体の試験による過度の実験なしに測定することができる。場合によっては、実施例9に記載のように、実施例9に記載のKinExAアッセイ(商品名)を使用しての結合親和性のため、及びDR4−IgGレセプター構成物へのDR4抗体の結合親和性の測定のために、DR4抗体をアッセイすることができる。
【0106】
その他の実施態様では、本発明のDR4抗体は、Apo−2Lが結合するDR4上の同じエピトープ、又はApo−2Lが結合するDR4上のエピトープと一致又は重複するDR4上のエピトープと結合する。また、Apo−2リガンドがDR4抗体へ結合することを妨げる立体構造を作り出すように、DR4抗体は相互作用する。本発明のDR4抗体のエピトープ結合特性は、当該分野において知られている技術で決定されてもよい。例えば、DR4抗体は、競争阻害アッセイのような、DR4へのApo−2Lの結合をブロック又は阻害するDR4抗体の能力を測定するためのインビトロアッセイにおいて試験されてもよい。場合によっては、DR4−IgG構成物(実施例1に記載のような)へApo−2Lポリペプチド(実施例17に記載のような)の結合を阻害するDR4抗体の能力を測定するために、DR4抗体は競争阻害アッセイにおいて試験されてもよい。場合によっては、DR4抗体は、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%近く、及びなおさらに好ましくは少なくとも90%近く、DR4へのApo−2Lの結合を遮断又は阻害することができ、これは一例として、Apo−2リガンド(TRAIL)の可溶型及びDR4 ECD−IgG(実施例1に記載のような)を使用するインビトロ競争阻害アッセイにおいて測定されてもよい。また、DR4抗体のエピトープ結合特性は、Apo−2誘導アポトーシスをブロックするDR4抗体の能力を試験するためのインビトロアッセイを使用して決定してもい。例えば、DR4抗体は、9D細胞(又は、DR4レセプターを発現している他の癌細胞)におけるApo−2誘導アポトーシスをブロックするDR4抗体の能力を測定する実施例4に記載のアッセイにおいて試験してもよい。場合によっては、DR4抗体は、選択された哺乳類癌細胞型におけるApo−2誘導アポトーシスを、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%近く、及びよりさらに好ましくは少なくとも90%又は95%近くブロック又は阻害することが可能であり、これは例えば、実施例4に記載のインビトロアッセイにおいて測定されてもよい。
【0107】
さらなる実施態様では、DR4抗体は、Apo−2リガンド(TRAIL)に匹敵する活性を有するアゴニスト抗体を含む。好ましくは、そのようなアゴニスDR4ト抗体は、少なくとも一種類の癌又は腫瘍細胞株或いは原発腫瘍においてアポトーシスを誘導する。アゴニスDR4ト抗体のアポトーシス活性は、既知のインビトロ又はインビボアッセイを使用して測定してもよい。そのようなインビトロ又はインビボアッセイの例は、下記の実施例部分に詳細に記載されている。インビトロでは、アポトーシス活性は、アネキシンV結合(AnnexinV binding)のような既知の技術を使用して測定することが可能である。インビボでは、アポトーシス活性は、例えば、腫瘍の負担又は容積の減少を測定することで測定してもよい。
【0108】
3.二重特異性抗体
二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナル抗体、好ましくはヒトもしくはヒト化抗体である。本発明の場合において、結合特異性の一方はDR4に対してであり、他方は任意の他の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質又はレセプター又はレセプターサブユニットに対してである。
二重特異性抗体を生成する方法は当該技術分野において周知である。伝統的には、二重特異性抗体の組換え生成方法は、二つの重鎖が異なる特異性を持つ二つの免疫グロブリン重鎖/軽鎖対の同時発現に基づく[Milstein及びCuello, Nature, 305:537-539 (1983)]。免疫グロブリンの重鎖と軽鎖を無作為に取り揃えたため、これらハイブリドーマ(クアドローマ)は10種の異なる抗体分子の潜在的混合物を作成でき、その内一種のみが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、アフィニティークロマトグラフィー工程によって通常達成される。同様の手順が1993年5月13日公開の国際特許出願第 WO 93/08829号、及びTrauneckeら, EMBO J.,10:3655-3656 (1991)に開示されている。
【0109】
所望の結合特異性(抗体-抗原結合部位)を有する抗体可変ドメインを免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合することができる。融合は、好ましくは少なくともヒンジ部、CH2及びCH3領域の一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとのものである。少なくとも一つの融合には軽鎖結合に必要な部位を含む第一の重鎖定常領域(CH1)が存在することが望ましい。免疫グロブリン重鎖融合をコードするDNA、及び望むのであれば免疫グロブリン軽鎖を、別々の発現ベクターに挿入し、適当な宿主生物に同時形質移入する。二重特異性抗体を生成するための更なる詳細については、例えばSureshら, Methods in Enzymology, 121:210(1986)を参照されたい。
【0110】
4.ヘテロ抱合体抗体
ヘテロ抱合抗体もまた本発明の範囲に入る。ヘテロ抱合抗体は、2つの共有的に結合した抗体からなる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に対して標的化させるため[米国特許第4,676,980号]及びHIV感染の治療のために[WO 91/00360; WO 92/200373; EP 03089]提案された。本抗体は、架橋剤に関連したものを含む合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製することができると考えられる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用するか又はチオエーテル結合を形成することにより免疫毒素を作成することができる。この目的に対して好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチリミデート、及び例えば米国特許第4,676,980号に開示されているものが含まれる。
【0111】
5.トリアボディ(triabodies)
トリアボディも本発明の範囲内である。このような抗体は、例えば上掲のIliadesら及び上掲のKorttらに記載されている。
【0112】
6.他の修飾
DR4抗体の他の修飾は、ここにおいて考慮されている。また、本発明の抗体は、プロドラッグ(例えばペプチジル化学療法剤、国際公開81/01145号を参照)を活性な抗癌剤に転化させるプロドラッグ活性化酵素に抗体をコンジュゲートさせることにより、ADEPTにおいて使用することができる。例えば国際公開88/07378及び米国特許第4975278号を参照されたい。また、この技術は、「抗体依存性酵素媒介性プロドラッグ治療法」(ADEPT)と呼ばれている。
【0113】
ADEPTに有用な免疫コンジュゲートの酵素成分には、より活性な細胞毒形態に転化するように、プロドラッグに作用し得る任意の酵素が含まれる。限定するものではないが、この発明の方法に有用な酵素には、ホスファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアルカリ性ホスファターゼ;スルファート含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性5-フルオロシトシンを抗癌剤5-フルオロウラシルに転化するのに有用なシトシンデアミナーゼ;プロテアーゼ、例えばセラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ及びカテプシン(例えば、カテプシンB及びL)で、ペプチド含有プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なもの;D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグの転化に有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;炭水化物切断酵素、例えばグリコシル化プロドラッグを遊離の薬剤に転化するのに有用なノイラミニダーゼ及びβガラクトシダーゼ;βラクタムで誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化させるのに有用なβラクタマーゼ;及びペニシリンアミダーゼ、例えばそれぞれフェノキシアセチル又はフェニルアセチル基で、それらのアミン性窒素において誘導体化された薬剤を遊離の薬剤に転化するのに有用なペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼが含まれる。あるいは、「アブザイム」としてもまた公知の酵素活性を有する抗体を、遊離の活性薬剤に本発明のプロドラッグを転化させるために使用することもできる(例えば、Massey, Nature 328:457-458[1987]を参照)。抗体-アブザイムコンジュゲートは、ここで記載されているようにして、腫瘍細胞個体群にアブザイムを送達するために調製することができる。
【0114】
この酵素は、当該分野においてよく知られている技術、例えば上で検討したヘテロ二官能性架橋試薬を使用することにより、抗体に共有的に結合させることができる。あるいは、本発明の抗体の少なくとも結合領域を本発明の酵素の少なくとも機能的に活性な部位に結合せしめてなる融合タンパク質を、当該技術においてよく知られている組換えDNA技術を使用して作成することができる(Neubergerら, Nature 312:604-608[1984])。
【0115】
さらなる抗体の他の修飾が考察されている。例えば、アンタゴニストは種々の非タンパク質様ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーに結合してもよい。また抗体は、例えばコアセルベーション法又は界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセル)にコロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)又はマクロエマルションに捕捉することができる。このような技術はRemington's Pharmaceutical Sciences, 16th edition, A. Osol編(1980)に開示されている。抗体の血清半減期を増大させるために、米国特許5,739,277に記載されているように抗体(特に抗体断片)へサルベージレセプター結合エピトープを組み込んでもよい。ここで使用される「サルベージレセプター結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボでの血清半減期を増加させる原因となるIgG分子(例えばIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)のFc領域のエピトープを意味する。
【0116】
7.組み換え体方法
本発明はまたここに開示したDR4抗体をコードしている単離された核酸、該核酸を含むベクター及び宿主細胞、及びポリペプチド変異体の生産に対する組換え方法を提供する。
ポリペプチド変異体の組換え生産のために、それをコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(DNAの増幅)又は発現のために、複製可能なベクター内に挿入される。ポリペプチド変異体をコードするDNAは直ぐに単離され、通常の手法(例えば、ポリペプチド変異体をコードする遺伝子に特異的に結合可能なオリゴヌクレオチドを使用するもの)を用いて配列決定される。多くのベクターが入手可能である。ベクター成分としては、一般に、これらに制限されるものではないが、次のものの一又は複数が含まれる:シグナル配列、複製開始点、一又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列である。
ここにおける方法は、抗DR−4抗体軽鎖又は重鎖(又は両軽鎖及び重鎖の両方)をコーするDNA配列を含んでなるベクターを提供する、宿主をベクターでトランスフェクト又は形質転換する、及び組み換え体抗DR4抗体産物を生産するのに十分な条件下で宿主細胞を培養する段階を含む、キメラ又は組み換え体抗DR4抗体の生産のための方法を包含する。一実施態様では、組み換え的に生産された抗体の軽鎖及び/又は重鎖は、ここに開示されたマウス4H6抗体の可変ドメインのすべて又は一部を含んでもよい。
【0117】
(i)シグナル配列成分
本発明の抗DR4抗体は直接的に組換え手法によって生産されるだけではなく、シグナル配列あるいは成熟タンパク質あるいはポリペプチドのN末端に特異的切断部位を有する他のポリペプチドである異種性ポリペプチドとの融合ペプチドとしても生産される。好ましく選択された異種シグナル配列は宿主細胞によって認識され加工される(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断される)ものである。天然ポリペプチド変異体シグナル配列を認識せずプロセシングしない原核生物宿主細胞に対しては、シグナル配列は、例えばアルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、lppあるいは熱安定なエンテロトキシンIIリーダーの群から選択される原核生物シグナル配列により置換される。酵母の分泌に関しては、天然シグナル配列は、酵母インベルターゼリーダー、アルファ因子リーダー(酵母菌属(Saccharomyces)及びクルイベロマイシス(Kluyveromyces)α因子リーダーを含む)、又は酸ホスフォターゼリーダー、白体(C.albicans)グルコアミラーゼリーダー、又は国際特許出願第WO90/13646号に記載されているシグナルにより置換されうる。哺乳動物細胞の発現においては、哺乳動物のシグナル配列並びにウイルス分泌リーダー、例えば単純ヘルペスgDシグナルが利用できる。
このような前駆体領域のDNAは、好ましくは、抗体をコードするDNAにリーディングフレームが結合される。
【0118】
(ii)複製開始点成分
発現及びクローニングベクターは共に一又は複数の選択された宿主細胞においてベクターの複製を可能にする核酸配列を含む。一般に、この配列はクローニングベクターにおいて、宿主染色体DNAとは独立にベクターが複製することを可能にするものであり、複製開始点又は自律的複製配列を含む。そのような配列は多くの細菌、酵母及びウイルスに対してよく知られている。プラスミドpBR322に由来する複製開始点は大部分のグラム陰性細菌に好適であり、2μプラスミド開始点は酵母に適しており、様々なウイルス開始点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV又はBPV)は哺乳動物細胞におけるクローニングベクターに有用である。一般には、哺乳動物の発現ベクターには複製開始点成分は不要である(SV40開始点が典型的には初期プロモーターを有しているため用いられる)。
【0119】
(iii)選択遺伝子成分
発現及びクローニングベクターは、典型的には、選べるマーカーとも称される選択遺伝子を含む。典型的な選択遺伝子は、(a)アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキセートあるいはテトラサイクリンのような抗生物質あるいは他の毒素に耐性を与え、(b)栄養要求性欠陥を補い、(c)例えばバシラス菌に対する遺伝子コードD-アラニンラセマーゼのような、複合培地から得られない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。
選択技術の一例においては、宿主細胞の成長を抑止する薬物が用いられる。異種性遺伝子で首尾よく形質転換した細胞は、抗薬物性を付与し、選択工程を生存するタンパク質を生産する。このような優性選択の例としては、薬物ネオマイシン、ミコフェノール酸又はハイグロマイシンが使用される。
哺乳動物細胞に適切な選択可能なマーカーの他の例は、ポリペプチド変異体核酸を捕捉することのできる細胞成分を同定することのできるもの、例えばDHFR、チミジンキナーゼ、メタロチオネインI及びII、好ましくは、霊長類メタロチオネイン遺伝子、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼ等々である。
【0120】
例えば、DHFR選択遺伝子によって形質転換された細胞は、先ず、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトリキセート(Mtx)を含む培地において形質転換物の全てを培養することで同定される。野生型DHFRを用いた場合の好適な宿主細胞は、DHFR活性に欠陥のあるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)株化細胞である。
あるいは、RTDをコードするDNA配列、野生型DHFRタンパク質、及びアミノグリコシド3'-ホスホトランスフェラーゼ(APH)のような他の選べるマーカーで形質転換あるいは同時形質転換した宿主細胞(特に、内在性DHFRを含む野生型宿主)は、カナマイシン、ネオマイシンあるいはG418のようなアミノグリコシド抗生物質のような選択可能マーカーの選択剤を含む培地における細胞増殖により選択することができる。米国特許第4,965,199号を参照。
【0121】
酵母中での使用に好適な選択遺伝子は酵母プラスミドYRp7に存在するtrp1遺伝子である(Stinchcombら, Nature, 282:39(1979))。trp1遺伝子は、例えば、ATCC第44076号あるいはPEP4-1のようなトリプトファン内で成長する能力に欠ける酵母の突然変異株に対する選択マーカーを提供する。Jones, Genetics, 85:12 (1977)。酵母宿主細胞ゲノムにtrp1破壊が存在することは、トリプトファンの不存在下における増殖による形質転換を検出するための有効な環境を提供する。同様に、Leu2欠陥酵母株(ATCC 20,622あるいは 38,626)は、Leu2遺伝子を有する既知のプラスミドによって補完される。
さらに、1.6μmの円形プラスミドpKD1由来のベクターは、クルイヴェロマイシス(Kluyveromyces)酵母の形質転換に用いることができる。あるいは、組換え子ウシのキモシンの大量生産のための発現系がK.ラクティス(lactis)に対して報告されている。Van den Berg, Bio/Technology, 8:135 (1990)。クルイヴェロマイシスの工業的な菌株からの、組換えによる成熟したヒト血清アルブミンを分泌する安定した複数コピー発現ベクターも開示されている。Fleer ら, Bio/Technology,9:968-975 (1991)。
【0122】
(iv)プロモーター成分
原核生物宿主での使用に好適なプロモーターはβラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系[Cahng ほか, Nature, 275:615 (1978), Goeddel ほか, Nature, 281:544 (1979)]、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターを含む。しかし、他の既知の細菌プロモーターも好適である。細菌系で使用するプロモータもまたRTDをコードするDNAと作用可能に結合したシャイン・ダルガーノ(S.D.)配列を有する。
真核生物に対してもプロモーター配列が知られている。実質的に全ての真核生物の遺伝子は、転写開始部位からおよそ25ないし30塩基上流に見出されるAT富化領域を有する。多数の遺伝子の転写開始位置から70ないし80塩基上流に見出される他の配列は、Xが任意のヌクレオチドであるCXCAAT領域である。大部分の真核生物遺伝子の3'末端には、コード配列の3'末端へのポリA尾部の付加に対するシグナルであるAATAAA配列がある。これらの配列は全て真核生物の発現ベクターに適切に挿入される。
【0123】
酵母宿主と共に用いて好適なプロモーター配列の例としては、3-ホスホグリセラートキナーゼ又は他の糖分解酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセレートムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオセリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼが含まれる。
他の酵母プロモーターとしては、成長条件によって転写が制御される付加的効果を有する誘発的プロモーターであり、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロムC、酸ホスファターゼ、窒素代謝と関連する分解性酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、及びマルトース及びガラクトースの利用を支配する酵素のプロモーター領域がある。酵母の発現に好適に用いられるベクターとプロモータはEP 73657に更に記載されている。また酵母エンハンサーも酵母プロモーターと共に好適に用いられる。
【0124】
哺乳動物の宿主細胞におけるベクターからの抗DR4抗体転写は、例えば、ポリオーマウィルス、伝染性上皮腫ウィルス、アデノウィルス(例えばアデノウィルス2)、ウシ乳頭腫ウィルス、トリ肉腫ウィルス、サイトメガロウィルス、レトロウィルス、B型肝炎ウィルス及び最も好ましくはサルウィルス40(SV40)のようなウィルスのゲノムから得られるプロモーター、異種性哺乳動物プロモーター、例えばアクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーター、ヒートショックプロモーターによって、提供されるこのようなプロモーターが宿主細胞系に適合し得る限り、調節される。
SV40ウィルスの初期及び後期プロモーターは、SV40ウイルスの複製起点をさらに含むSV40制限断片として簡便に得られる。ヒトサイトメガロウィルスの最初期プロモーターは、HindIIIE制限断片として簡便に得られる。ベクターとしてウシ乳頭腫ウィルスを用いて哺乳動物宿主でDNAを発現する系が、米国特許第4,419,446号に開示されている。この系の変更例は米国特許第4,601,178号に開示されている。また、単純ヘルペスウイルス由来のチミジンキナーゼプロモーターの調節下でのマウス細胞におけるヒトβインターフェロンcDNAの発現について、Reyesら, Nature, 297:598-601(1982)を参照されたい。あるいは、ラウス肉腫ウィルス長末端反復をプロモーターとして使用することができる。
【0125】
(v)エンハンサーエレメント成分
より高等の真核生物による本発明の抗DR4抗体をコードしているDNAの転写は、ベクター中にエンハンサー配列を挿入することによって増強され得る。哺乳動物の遺伝子由来の多くのエンハンサー配列が現在知られている(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン及びインスリン)。しかしながら、典型的には、真核細胞ウィルス由来のエンハンサーが用いられるであろう。例としては、複製起点の後期側のSV40エンハンサー(100-270塩基対)、サイトメガロウィルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側のポリオーマエンハンサー及びアデノウィルスエンハンサーが含まれる。真核生物のプロモーターの活性化のための増強要素については、Yaniv, Nature, 297:17-18 (1982)もまた参照のこと。エンハンサーは、抗体コード配列の5'又は3'位でベクター中にスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5'位に位置している。
【0126】
(vi)転写終結成分
真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)に用いられる発現ベクターは、また転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列を含む。このような配列は、真核生物又はウィルスのDNA又はcDNAの5'、時には3'の非翻訳領域から一般に取得できる。これらの領域は、多価抗体をコードしているmRNAの非翻訳部分にポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含む。一つの有用な転写終結成分はウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。国際公開WO 94/11026とここに開示した発現ベクターを参照されたい。
【0127】
(vii)宿主細胞の選択及び形質転換
ここに記載のベクターにDNAをクローニングあるいは発現するために適切な宿主細胞は、上述の原核生物、酵母、又は高等真核生物細胞である。この目的にとって適切な原核生物は、限定するものではないが、真正細菌、例えばグラム陰性又はグラム陽性生物体、例えばエシェリチアのような腸内菌科、例えば大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア(Erwinia)、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例えばネズミチフス菌、セラチア属、例えばセラチア・マルセスキャンス及び赤痢菌属、並びに桿菌、例えば枯草菌及びバシリ・リチェフォルミス(licheniformis)(例えば、1989年4月12日に公開された DD 266,710に開示されたバシリ・リチェニフォルミス41P)、シュードモナス属、例えば緑膿菌及びストレプトマイセス属を含む。一つの好適な大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31446)であるが、他の大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31537)及び大腸菌W3110(ATCC27325)のような株も好適である。これらの例は限定するものではなく例示的なものである。
【0128】
原核生物に加えて、糸状菌又は酵母菌のような真核微生物は、ポリペプチド変異体をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロミセス・セレヴィシア、又は一般的なパン酵母は下等真核生物宿主微生物のなかで最も一般的に用いられる。しかしながら、多数の他の属、種及び菌株も、一般的に入手可能でここで使用でき、例えば、シゾサッカロマイセスポンベ;クルイベロマイセス宿主、例えばK.ラクティス、K.フラギリス(ATCC12424)、K.ブルガリカス(ATCC16045)、K.ウィッケラミイ(ATCC24178)、K.ワルチイ(ATCC56500)、K.ドロソフィラルム(ATCC36906)、K.サーモトレランス、及びK.マルキシアナス;ヤローウィア(EP402226);ピチアパストリス(EP183070);カンジダ;トリコデルマ・リーシア(EP244234);アカパンカビ;シュワニオマイセス、例えばシュワニオマイセスオクシデンタリス;及び糸状真菌、例えばパンカビ属、アオカビ属、トリポクラジウム、及びコウジカビ属(Aspergillus)宿主、例えば偽巣性コウジ菌(Aspergillus nidulans)及びクロカビ(Aspergillus niger)が使用できる。
【0129】
グリコシル化抗体の発現に適切な宿主細胞は、多細胞生物から誘導される。このような宿主細胞は、複雑なプロセシング及びグリコシル化活動が可能である。原則的には、脊椎動物であろうと無脊椎動物培養であろうと、任意のより高等の真核生物細胞培養が使用できる。無脊椎動物細胞の例としては植物及び昆虫細胞が含まれる。多数のバキュロウィルス株及び変異体及び対応する許容可能な昆虫宿主細胞、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、アエデス・アエジプティ(蚊)、アエデス・アルボピクトゥス(蚊)、ドゥロソフィラ・メラノガスター(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリが同定されている。トランスフェクションのための種々のウィルス株、例えば、オートグラファ・カリフォルニカNPVのL-1変異体とボンビクス・モリ NPVのBm-5株が公に利用でき、そのようなウィルスは本発明においてここに記載したウィルスとして使用でき、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞の形質転換に使用できる。
綿花、コーン、ジャガイモ、大豆、ペチュニア、トマト、及びタバコのような植物細胞培養を宿主として利用することができる。
【0130】
しかしながら、脊椎動物細胞におけるものが最も興味深く、培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は常套的な手順になった。有用な哺乳動物宿主株化細胞の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株 (COS-7, ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株[293又は懸濁培養での増殖のためにサブクローン化された293細胞、Grahamほか, J. Gen Virol., 36:59 (1977)];ハムスター乳児腎細胞(BHK, ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO, Urlaub及びChasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216 (1980));マウスのセルトリ細胞[TM4, Mather, Biol. Reprod., 23:243-251 (1980)];サルの腎細胞 (CVI ATCC CCL 70); アフリカミドリザルの腎細胞(VERO-76, ATCC CRL-1587); ヒト子宮頸癌細胞 (HELA, ATCC CCL 2); イヌ腎細胞 (MDCK, ATCC CCL 34); バッファローラット肝細胞 (BRL 3A, ATCC CRL 1442); ヒト肺細胞 (W138, ATCC CCL 75); ヒト肝細胞 (Hep G2, HB 8065); マウス乳房腫瘍細胞 (MMT 060562, ATTC CCL51);TRI細胞[Motherほか, Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68 (1982)];MRC5細胞;FS4細胞;及びヒト肝癌株(HepG2);ミエローマ又はリンパ腫(例えば、Y0, J558L, P3及びNS0細胞)(米国特許第5,807,715号を参照のこと)である。
宿主細胞は、抗体生成のための発現又はクローニングベクターで形質転換し、プロモーターを誘導し、形質転換体を選択し、又は所望の配列をコードしている遺伝子を増幅するために適当に修飾された常套的栄養培地で培養する。
【0131】
(viii)宿主細胞の培養
本発明の抗体を生成するために用いられる宿主細胞は種々の培地において培養することができる。市販培地の例としては、ハム(Ham)のF10(シグマ)、最小必須培地(「MEM」,シグマ)、RPMI-1640(シグマ)及びダルベッコの改良イーグル培地(「DMEM」,シグマ)が宿主細胞の培養に好適である。また、Hamら, Meth. Enz. 58:44 (1979), Barnesら, Anal. Biochem. 102:255 (1980), 米国特許第4,767,704号;同4,657,866号;同4,927,762号;4,560,655号;又は同5,122,469号;国際公開WO 90/03430;国際公開WO 87/00195;又は米国特許再発行第30,985号に記載された任意の培地も宿主細胞に対する培地として使用できる。これらの培地はいずれも、ホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は表皮成長因子)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩)、バッファー(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン(商品名)薬)、微量元素(最終濃度がマイクロモル範囲で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコース又は同等のエネルギー源を必要に応じて補充することができる。任意の他の必要な補充物質もまた当業者に知られている適当な濃度で含むことができる。培養条件、例えば温度、pH等々は、発現のために選ばれた宿主細胞について以前から用いられているものであり、当業者には明らかであろう。
【0132】
組換え技術を使用する場合、抗体は細胞内、細胞膜周辺腔内に生成されるか、又は培地に直接分泌され得る。抗体が細胞内に生成される場合、第1段階として、粒状屑、宿主細胞又は溶菌断片を、例えば遠心分離又は超遠心分離にかけて取り除く。培地又は溶菌物を遠心分離にかけ、粒状屑、例えば宿主細胞又は溶菌断片を取り除く。Carterら, Bio/Technology 10:163-167(1992)は、大腸菌の細胞膜周辺腔に分泌されるタンパク質を単離するための手順について記載している。簡単に述べると、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフロリド(PMSF)の存在下で、30分以上かけて解凍する。細胞屑は遠心分離により除去することができる。抗体が培地へ分泌されている場合、そのような発現系からの上清は、一般的には第1に市販のタンパク質濃縮フィルター、例えばAmicon又はMillipore Pelliconの限外濾過ユニットを用いて濃縮する。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を上記の任意の工程に含めてタンパク質分解を阻害してもよく、抗生物質を含めて外来性の汚染物の成長を防止してもよい。
【0133】
細胞から調製した抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及びアフィニティクロマトグラフィを用いて精製でき、アフィニティクロマトグラフィが好ましい精製技術である。アフィニティリガンドとしてのプロテインAの適合性は、ポリペプチド変異体に存在する免疫グロブリンFc領域の種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、又はγ4重鎖に基づくポリペプチド変異体の精製に用いることができる(Lindmarkら, J. immunol. Meth. 62: 1-13 (1983))。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプ及びヒトγ3に推奨されている(Gussら, EMBO J. 5: 16571575 (1986))。アフィニティリガンドが結合されるマトリクスはアガロースであることが最も多いが、他の材料も使用可能である。孔制御ガラスやポリ(スチレンジビニル)ベンゼン等の機械的に安定なマトリクスは、アガロースで達成できるものより早い流速及び短い処理時間を可能にする。ポリペプチド変異体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商品名)樹脂(J.T. Baker, Phillipsburg, NJ)が精製に有用である。イオン交換膜での分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、アニオン又はカチオン交換樹脂(ポリアスパラギン酸カラム)上でのヘパリンSEPHAROSE(商品名)クロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS−PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿などの他の技術も、回収される抗体に応じて利用可能である。
【0134】
B.DR4抗体の用途
本発明のDR4抗体は種々の有用性を有している。例えば、DR4アゴニスト抗体は、癌や免疫関連疾患などの病理学的状態の治療方法の用いることができる。そのような状態の診断は医療従事者又は臨床家の日常的技量の範囲内である。この方法において、DR4抗体、好ましくはDR4アゴニスト抗体は、哺乳動物へ単独又はさらに他の治療薬又は技術と組み合わせて投与される。
ここに記載の種々の病理学的状態の哺乳類の診断は、熟練した実務者によって行うこよが可能である。診断技術は、例えば、哺乳類の癌又は免疫関連疾患の診断と検知を考慮する技術分野において入手可能である。例えば、癌は、限定されるものではないが、触診(法)、血液分析、X線、NMR及びその類似を包含する技術を通して同定され得る。また、免疫関連疾患は容易に同定できる。全身性エリテマトーデスでは、疾患の中心媒介物は自己タンパク質/組織に対する自己反応性抗体、及び引き続き起こる免疫媒介炎症である。腎臓、肺、骨格筋系、皮膚と粘膜、眼、中枢神経系、心臓血管系、胃腸管、骨髄及び血液を包含する複数の臓器と系が、臨床的に影響を受けた。
【0135】
リウマチ様関節炎(RA)は、主に複数の関節の滑膜に係る慢性全身性自己免疫疾患であり、結果として関節軟骨に傷害が生じる。病原はTリンパ球依存であり、リウマチ因子、自己IgGに指向する自己抗体の生成を付随し、結果として関節体液及び血液において高レベルに達する免疫複合体が形成される。関節におけるこれらの複合体は、滑膜へのリンパ球及び単球の顕著な浸潤と、続いての顕著な滑膜変化を誘発しうる;多数の好中球の添加により同様の細胞で浸潤されるならば関節空間/体液でもである。影響を受けている組織は、多くの場合対照的なパターンで主に関節である。しかしながら、2つの主な形態の関節外疾患も生じる。一方の形態は進行中の進行性関節疾患及び肺線維症の局部的障害、血管炎、及び皮膚潰瘍を伴う関節外障害の発達である。関節外疾患の第2の形態はいわゆるフェルティー症候群であり、RA疾患経路の末期、時々は関節疾患が鎮静した後に生じ、好中球減少、血小板減少及び脾肥大の存在に関与する。これは、梗塞、皮膚潰瘍及び壊疽の形成を伴う多数の器官及び血管炎に付随する。多くの場合、患者では、発病している関節上にある皮下組織にリウマチ様小結節が発達し;小結節は、混合炎症細胞浸潤に包囲された壊死性中心を有する。RAで生じる可能性のある他の徴候には:心外膜炎、胸膜炎、冠動脈炎、肺線維症を伴う間質性肺炎、乾性角結膜炎、及びリウマチ様小結節が含まれる。
【0136】
若年性慢性関節炎は、多く場合16才以下で発症する慢性特発性炎症疾患である。その表現型はRAといくつかの類似点があり;リウマチ因子がポジティブである患者の中には若年性リウマチ様関節炎に分類されるものもいる。この疾患は主な3つのカテゴリー:小関節(pauarticular)、多関節(polyarticular)及び全身性ものに亜分類される。関節炎は重度で局所的な破壊が生じ、関節強直症及び遅延成長に至るおそれもある。他の徴候には慢性前ブドウ膜炎及び全身性アミロイド症が含まれる。
【0137】
脊椎関節症は、一般的にHLA-B27遺伝子生成物の発現に関連した、いくつかの共通した臨床的特徴を有する疾患のグループである。疾患には:強直症、脊椎炎(sponylitis)、ライター症候群(反応性関節炎)、炎症性大腸疾患に関連した関節炎、乾癬に関連した脊椎炎、若年発生脊椎関節症及び未分化脊椎関節症が含まれる。区別する特徴には、脊椎炎を伴うか伴わない仙腸関節炎;HLA-B27(血清学的には、クラスI MHCのHLA-B座位にある定義された対立遺伝子)を伴う炎症非対称性関節炎;眼の炎症、及び他のリウマチ疾患に関連した自己抗体の不在が含まれる。疾患の誘導における鍵として関わるほとんどの細胞はCD8+Tリンパ球であり、クラスI MHC分子により付与される抗原を標的としている細胞である。CD8+T細胞は、MHCクラスI分子により発現した外来ペプチドであるかのように、クラスI MHC対立遺伝子HLA-B27と反応する。HLA-27のエピトープが細菌性又は他の微生物の抗原エピトープを模倣し、よってCD8+細胞の反応が誘発されると仮定されている。
【0138】
全身性硬化症(強皮症)は病因がよく知られていない。疾患の特徴は皮膚の硬化であり;これは活性化炎症プロセスにより誘発される。強皮症は局部的又は全身的であり:血管障害が一般的で、微小血管系における内皮細胞傷害は全身性硬化症の発達における初期の重要な事象であり;血管傷害は免疫媒介されうる。免疫学的基準では、皮膚障害における単核細胞浸潤の存在、多くの患者において抗細胞核抗体の存在を意味する。多くの場合、ICAM-1は皮膚障害における線維芽細胞の細胞表面をアップレギュレーションし、これらの細胞と相互作用するT細胞が疾患の病因における役割を担っていることが示唆される。関連する他の器官には:胃腸管:萎縮症及び線維症があり、結果として異常なぜん動/運動性となっている平滑筋:腎臓:小弓形及び小葉間動脈に影響を及ぼし、結果として腎皮質の血流が低下し、タンパク尿、高窒素血尿及び高血圧になる同心性内皮下内膜増殖:骨格筋:萎縮、間質性線維症:炎症:肺:間質性肺炎及び間質性線維症:及び心臓:収縮バンド壊死、瘢痕/線維症が含まれる。
【0139】
皮膚筋炎、多発性筋炎及び他のものを含む特発性炎症ミオパシーは病因がよく知られていない慢性筋肉炎症疾患であり、筋肉の弱化に至る。筋肉損傷/炎症は多くの場合対称的で進行性である。自己抗体は多くの形態と関連している。これらの筋炎特異的自己抗体は、タンパク質合成に係る成分、タンパク質及びRNAに対して産生されてその機能を阻害する。
【0140】
シェーグレン症候群は、免疫媒介炎症、続く涙腺及び唾液腺の機能破壊によるものである。この疾患は炎症結合組織疾患を伴うか又は伴わない。この疾患は、双方ともが小RNA-タンパク質複合体であるRo及びLa抗原に対する抗体産出に関連している。障害により、結果として乾性角結膜炎、bilary硬変を含む他の徴候又は会合を伴う口内乾燥、末梢又は感覚ニューロパシー、及び明白な紫斑病に至る。
【0141】
全身性血管炎症症は主な障害が炎症で、続いて血管にダメージを受け、結果として影響を受けた脈管により供給される組織に虚血/壊死/変性が生じ、最終的な末端器官ではいくつかのケースで機能障害になるといった疾患である。また、第2の障害として血管炎(vasculitides)、又は他の免疫炎症媒介疾患、例えばリウマチ様関節炎、全身性硬化症等、特に免疫複合体の形成に関連した疾患等の続発症が生じるおそれがある。主な全身性血管炎症症グループの疾患には:全身壊死性血管炎:多動脈炎結節(polyarteritis nodosa)、アレルギー性脈管炎、及び肉芽腫症、多脈管炎:ヴェゲナー肉芽腫症;リンパ腫様肉芽腫症:及び巨細胞動脈炎が含まれる。種々の血管炎には:粘膜皮膚リンパ節症候群(MLNS又は川崎病)、単離したCNS血管炎、ベヘット(Behet's)病、閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)及び皮膚壊死性細静脈炎(venulitis)が含まれる。列挙した血管炎のほとんどの種類の病原メカニズムは、主に脈管壁に免疫グロブリン複合体が付着し、続いてADCC、補体活性又は双方を介して炎症反応が誘発されることによると考えられている。
【0142】
サルコイドーシスは、体内のほとんど任意の組織中に類上皮細胞肉芽腫が存在し、肺ではほとんど一般的に包含されることにより特徴付けられる、病因がよく知られていない病状である。病原には疾患部位に活性マクロファージ及びリンパ球が残留していることに関連しており、続いてこれらの細胞種より放出される局部的又は全身的活性物質の放出の結果として慢性続発症が生じる。
【0143】
自己免疫性溶血性貧血、免疫再生不良性貧血、発作性夜間血色素尿を含む自己免疫性溶血性貧血は、赤血球細胞(いくつかのケースにおいは、血小板を含む他の血液細胞)表面で発現する抗原と反応する抗体が産出される結果によるものであり、補体媒介溶解及び/又はADCC/Fc-レセプター-媒介メカニズムを介して、その抗体被覆細胞の除去に反映される。
【0144】
他の臨床的セッティング(setting)における血小板減少性紫斑病及び免疫仲介血小板減少を含む自己免疫性血小板減少では、抗体又は補体が血小板に接合し、続いて補体溶解、ADCC又はFc-レセプター-媒介メカニズムによる除去の結果として生じる。
グレーブス疾患、ハシモト甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎を含む甲状腺炎は、甲状腺内に多くの場合特異的に存在するタンパク質と反応する抗体の産出を伴う、甲状腺抗原に対する自己免疫反応の結果によるものである。実験用モデルには:内在的モデルラット(BUF及びBBラット)及びチキン(肥満チキン種);誘導性モデル:チログロブリン、甲状腺ミクロソーム抗原(甲状腺ペルオキシダーゼ)を用いた動物の免疫化が含まれる。
I型真性糖尿病又はインシュリン依存性糖尿病は膵臓小島β細胞の自己免疫破壊であり;この破壊は自己抗体及び自己反応性T細胞により媒介される。また、インシュリン又はインシュリン様レセプターに対する抗体は、インシュリン-非-反応性の表現型を産出することができる。
【0145】
糸球体腎炎及び尿細管間質性腎炎を含む免疫仲介腎疾患は、腎抗原に対する自己反応性抗体又はT細胞が産出される結果により直接的に、又は他の非腎抗原に対して反応する、腎臓における抗体及び/又は免疫複合体の沈着の結果により間接的に、腎組織に抗体又はT細胞媒介傷害が生じることによるものである。よって、免疫複合体の形成の結果生じる他の免疫媒介疾患により、間接的続発症等の免疫媒介腎疾患が誘発される。直接的及び間接的免疫メカニズムの双方により、結果として腎組織における障害発達が産出/誘発されるといった炎症反応が生じ、器官機能が損なわれ、いくつかのケースでは腎臓機能不全が進行する。体液及び細胞免疫メカニズムに双方が障害の病原に関与している。
【0146】
多発性硬化症のような中枢及び末梢神経系の脱髄疾患、特発性脱髄性多発神経障害、又はギラン-バレー症候群;及び慢性炎症脱髄性多発神経障害は、自己免疫基準であり、神経脱髄が生じて、オリゴデンドロサイト又はミエリンに直接的に起因するダメージの結果によるものと考えられている。MSにおいて、疾患の誘発及び進行はTリンパ球に依存すると示唆される証拠がある。多発性硬化症は、Tリンパ球依存性であり、再発性弛緩経路又は慢性進行経路のいずれかを有する脱髄疾患である。病因はよく知られていないが、ウイルス感染、遺伝的素因、環境及び自己免疫性の全てが寄与している。障害はT細胞媒介小膠細胞の優先的湿潤、及びマイクロファージの浸潤を含み;CD4+Tリンパ球は障害において優先的な細胞型であった。オリゴデンドロサイトの細胞死及び続く脱髄のメカニズムはよく知られていないが、Tリンパ球の駆動によると思われる。
【0147】
好球性肺炎;特発性肺線維症及び過敏性肺炎のような炎症及び線維症の肺疾患には、調節されない免疫炎症反応が関連している。反応を阻害することは治療的に有益なことである。
水疱性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎を含む自己免疫又は免疫媒介皮膚疾患は自己抗体により媒介され、Tリンパ球に依存して発生する。
乾癬はTリンパ球媒介炎症疾患である。障害はTリンパ球、マクロファージ及び抗原プロセシング細胞及びある種の好中球の浸潤が含まれる。
喘息;アレルギー性鼻炎;アトピー性皮膚炎;食物過敏症及び蕁麻疹等を含むアレルギー性疾患はT細胞依存性である。この疾患は炎症により誘発されるTリンパ球、及びIgE媒介炎症、又は双方の組合せにより主に媒介される。
拒絶反応及び移植片対宿主疾患(GVHD)を含む移植関連疾患は、Tリンパ球依存性であり;Tリンパ球の機能を阻害することで改善される。
【0148】
免疫及び/又は炎症反応への介在が有益である他の疾患には、限定するものではないがウイルス感染(限定するものではないがAIDS、A型、B型、C型、D型及びE型肝炎、ヘルペス)、細菌感染、真菌感染、原生動物感染及び寄生虫感染(MLRを刺激する分子(又は誘導体/アゴニスト)を治療に利用し、感染要因に対する免疫反応性を増強することができる)、MLRを刺激する(分子/誘導体/アゴニスト)を治療に利用し、受け継ぎ、獲得し、感染誘発された(例えばHIV感染)又は医原性(例えば化学療法)免疫欠損疾患の病状に対する免疫反応増強することができる免疫欠損疾患、及び異常増殖が含まれる。
【0149】
抗体は好ましくは担体;好ましくは製薬的に許容されうる担体中で哺乳動物に投与される。適切な担体とそれらの製剤は、Osloらにより編集された、Remington's Pharmaceutical Sciences, 16th ed., 1980, Mack Publishing Co.,に記載されている。典型的には、適量の製薬的に許容可能な塩が、製剤を等浸透圧にするために製剤において使用される。担体の例には、生理食塩水、リンガー液及びデキストロース液が含まれる。溶液のpHは、好ましくは約5から8、さらに好ましくは約7から7.5である。さらに担体には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックス等の徐放性製剤が含まれ、このマトリックスは、例えばフィルム状、リポソーム状又はマイクロ粒子状等の成形物の形態をしている。例えば投与される抗体の投与経路及び濃度によっては、ある種の担体がより好ましくなることは、当業者には明らかである。
【0150】
抗体は、注射(例えば、静脈、腹腔内、皮下、筋内、門脈内)、又は例えば点滴のように、有効な形態で血流への送達を確実にする他の方法で哺乳動物に投与することができる。抗体は、また、単離された組織灌流などの単離された灌流技術で投与されて、局所的治療効果を発揮する。局所的又は静脈注射が好ましい。
【0151】
抗体を投与するための有効な用量とスケジュールは経験的に決定することができ、そのような決定は当業者の技量の範囲に含まれる。当業者であれば、投与されなければならない抗体の用量が、抗体を受入れる哺乳動物、投与経路、使用される抗体の特定の種類、及び哺乳動物に投与されている他の薬剤に依存して変わりうることは理解できるであろう。抗体の適切な投与量の選択における指針は、抗体の治療的用途に関する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies, Ferroneら, eds., Noges Publications, Park Ridge, N.J., (1985)ch.22及びpp.303-357;Smithら, Antibodies in Human Diagnosis and Therapy, Haberら, eds., Raven Press, New York(1977)pp.365-389に見出される。単独で使用される抗体の典型的な一日の投与量は、上述の要因に依存し、1日当たり約1μg/kg体重から100mg/kg体重又はそれ以上の範囲である。
【0152】
また、抗体は、有効量の一又は複数の他の治療薬と組合せて哺乳動物に投与してもよい。一又は複数の治療薬又は治療には、限定されないが、化学療法(化学療法剤)、放射線治療、イムノアジュバント、成長阻害剤、細胞障害性剤、及びサイトカインが含まれる。哺乳動物細胞においてアポトーシスを誘発する他の薬剤も用いられ、そのような薬剤にはアポトーシスを誘導する抗体とともにTNF-アルファ、TNF-ベータ、CD30リガンド、4-1BBリガンド及びApo-2リガンドが含まれる。一つ又はそれ以上の治療は治療的抗体(DR4抗体以外)を含んでもよく、そのような抗体は抗-Herレセプター抗体(例えばHerceptin(商品名))、抗-VEGF抗体、及び抗−Apo−2(DR5)抗体のようなApo−2リガンドに対する他の抗体を含んでもよい。
【0153】
本発明において考慮される化学療法には、当該分野において既知であって市販されている化学物質又は薬剤、例えばドキソルビシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、ロイコボリン、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、タキソール、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン及びカルボプラチンが含まれる。このような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールは、製造者の指示に従って使用されるか、熟練した実務家により経験的に決定される。そのような化学療法に対する調製法及び用量スケジュールはまた、化学療法サービス(Chemotherapy Cervice), M.C.Perry編, Williams & Wilkins, Baltimore, MD に記載されている。
化学療法剤は、好ましくは上述したような製薬的に許容可能な担体中で投与される。化学療法剤の投与形態は、DR4抗体に用いたものと同じでもよく、あるいは異なる形態で哺乳動物に投与してもよい。例えば、DR4抗体を注射し、化学療法剤を経口で哺乳動物に投与してもよい。
【0154】
放射線治療は、この分野で通常用いられ当業者に知られたプロトコールに従って哺乳動物に施される。このような治療は、セリウム、イリジウム、ヨウ素又はコバルト照射であってよい。放射線治療は、全身照射でも、又は身体の特定部位又は組織を局所的に指向してもよい。典型的には、放射線治療は、約1から約2週間の期間に渡ってパルス状に施される。しかし、放射線治療は、より長い時間に渡って施してもよい。場合によっては、放射線治療は、単独線量、多重又は続発的線量として施してもよい。
抗体は、一又は複数の他の治療薬と連続して又は同時に投与してもよい。抗体及び治療薬の量は、例えば、使用される薬剤の種類、治療される病理学的状態、及び投与スケジュールと経路に依存するが、各々が個々に使用される場合よりも一般に少ない。
【0155】
哺乳動物に抗体を投与した後、哺乳動物の生理学的状態を、当業者によく知られている種々の方法でモニターすることができる。
また、DR4阻止抗体も治療において使用すると考えられる。例えば、DR4阻止抗体は、Apo-2Lのレセプター結合を阻止するために(上記したように)哺乳動物に投与し、よってApo-2Lのアポトーシスを誘発する生物学的利用能を増大させることができる。
【0156】
発明のDR4抗体の治療的効果は、インビトロアッセイ及びインビトロ動物アッセイで使用することで調べられる。例えば免疫関連疾患又は癌の発生及び原因におけるここで同定されたDR4抗体の役割を更に理解するために、そして候補治療剤の有効性を試験するために、種々の良く知られた動物モデルが使用できる。これらモデルのインビボの性質によって、ヒト患者における反応を予測できる。免疫関連疾患の動物モデルは、非組換え及び組換え(トランスジェニック)動物の両方を含む。非組換え動物モデルは、例えば、齧歯類、例えばマウスモデルを含む。このようなモデルは、標準的な技術、例えば、皮下注射、尾部静脈注射、脾臓移植、腹膜内移植、腎被膜下移植等により、細胞を同系マウスに導入することにより作成される。
【0157】
例えば、移植片対宿主疾患のための動物モデルが知られている。移植片対宿主疾患は、免疫担当細胞が免疫抑制又は寛容患者に移植されたときに起こる。ドナー細胞が宿主抗原を認識して反応する。反応は生命を脅かす重篤な炎症から下痢又は体重減少の軽い場合まで変わり得る。移植片対宿主疾患モデルはMHC抗原及び少数の移植抗原に対するT細胞の反応性を評価する手段を提供する。好適な手法は、上記のCurrent Protocols in Immunology, unit 4.3に詳細に記載されている。
【0158】
皮膚移植片拒絶の動物モデルは、T細胞がインビボ組織破壊を媒介する能力を試験する手段であり、移植片拒絶におけるそれらの役割の基準である。最も普通で許容されるモデルは、マウスの尾の皮膚移植である。繰り返し実験により、皮膚同種移植片拒絶はT細胞、ヘルパーT細胞尾キラー効果T細胞に媒介され、抗体ではないことが示された。Auchincloss, H. Jr.及びSachs, D.H., Fundamental Immunology, 2版, W.E. Paul編, Raven Press, NY, 1989, 889-992。好適な手法は、上記のCurrent Protocols in Immunology, unit 4.4に詳細に記載されている。本発明の化合物の試験に使用できる他の移植片拒絶モデルは、Tanabe, M.ら, Transplantation (1994) 58: 23及びTinubu, S.A.ら, J. Immunol. (1994) 4330-4338に記載されている同種心臓移植モデルである。
【0159】
遅延型過敏症の動物モデルは、同様に細胞媒介免疫機能のアッセイ法を提供する。詳細な型の過敏症反応は、抗原負荷後時間が経過するまでピークに達しない炎症を特徴とするT細胞媒介免疫反応である。これらの反応はまた、組織特異的自己免疫疾患、例えば多発性硬化症(MS)及び実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE、MSのモデル)を起こす。好適な手法は、上記のCurrent Protocols in Immunology, unit 4.5に詳細に記載されている。
【0160】
関節炎の動物モデルはコラーゲン誘発関節炎である。このモデルは、ヒトの自己免疫性慢性関節リウマチと臨床的、組織学的及び免疫学的特徴を共有し、ヒトの自己免疫性関節炎の許容されるモデルである。マウス及びラットモデルは、滑膜炎、軟骨及び肋軟骨下骨の浸食を特徴とする。本発明のDR4抗体は、上記のCurrent Protocols in Immunology, unit 15.5に記載されているプロトコールを用いて、自己免疫性関節炎に対する活性について試験できる。また、Issekutz, A.C.ら, Immunology (1996) 88: 569に記載されているCD18及びVLA-4インテグリンに対するモノクローナル抗体を用いたモデルも参照のこと。
【0161】
喘息のモデルは記載され、そこでは抗原誘発気道過剰反応性、肺性好酸球増加症及び炎症が、動物をオボアルブミンで感作し、次いで動物にエアロゾルで運ばれる同じタンパク質を負荷することにより誘発される。幾つかの動物モデル(モルモット、ラット、非ヒト霊長類)は、エアロゾル抗原で負荷した際にヒトのアトピー性喘息に似た徴候を示す。マウスモデルは、ヒト喘息の多くの特徴を持つ。本発明の化合物の喘息治療における活性及び有効性を試験するための好適な方法は、Wolyniec, W.W.ら, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., (1998) 18: 777 及びその引用文献に記載されている。
【0162】
さらに、本発明の化合物は、乾癬様疾患の動物モデルでも試験できる。証拠は、乾癬についてのT細胞病原を示唆している。本発明の化合物は、Schon, M.P.ら, Nat. Med. (1997)3: 183によって記載された、マウスが乾癬に類似する組織病原学的皮膚疾患を示すscid/scidマウスモデルでも試験できる。他の好適なモデルは、Nickoloff, B.J.ら, Am . J. Path. (1995) 146: 580に記載されたように調製されるヒト皮膚/scidマウスキメラである。
候補治療組成物の抗癌活性の試験のための種々の動物モデルが知られている。これらは、胸腺欠損マウス又はscid/scidマウス、或いはp53ノックアウトマウスのような遺伝的マウス腫瘍モデルへ異種移植するヒト腫瘍を含む。
【0163】
組換え(トランスジェニック)動物モデルは、ここに同定された遺伝子のコード部分を、トランスジェニック動物作成のための標準的技術を用いて、対象とする動物のゲノムに導入することにより加工できる。トランスジェニック操作の標的として提供できる動物は、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ヒツジ、ヤギ、ブタ、及び非-ヒト霊長類、例えばヒヒ、チンパンジー及びサルを含む。これらの動物に導入遺伝子を導入するのにこの分野で知られた技術は、全核マイクロインジェクション(Hoppe及びWanger, 米国特許第4,873,191号);胚系列へのレトロウイルス媒介遺伝子転移(例えば、Van der Puttenら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82, 6148-615 [1985]);胚性肝細胞での遺伝子標的化(Thompsonら, Cell 56, 313-321 [1989]);胚のエレクトロポレーション(Lo, Mol. Cel. Biol. 3, 1803-1814 [1983]);精子媒介遺伝子転移(Lavitranoら, Cell 57, 717-73 [1989])を含む。概説のためには、例えば、米国特許第4,736,866号を参照のこと。
【0164】
本発明の目的のために、トランスジェニック動物は、その一部にのみ導入遺伝子を有するもの(「モザイク動物」)を含む。導入遺伝子は、単一の導入遺伝子として、又はコンカテマー、例えば頭部と頭部又は頭部と尾部の直列型として組み込まれる。特定の細胞型への導入遺伝子の選択的導入も、例えば、Laskoら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 6232-636 (1992)の技術に従って可能である。トランスジェニック動物における導入遺伝子の発現は、標準的技術によって監視できる。例えば、導入遺伝子の組み込みの確認にサザンブロット分析又はPCR増幅が用いられる。次いで、mRNA発現のレベルは、インサイツハイブリッド形成、ノーザンブロット分析、PCR、又は免疫組織化学などの技術を用いて分析できる。動物は、例えば、免疫細胞の特定組織への浸潤を決定する組織学的試験により、或いは免疫疾患病理の徴候について更に試験してもよい。
【0165】
あるいは、動物の胚性細胞に導入されたポリペプチドをコードする変更ゲノムDNAと、同じポリペプチドをコードする内在性遺伝子との間の相同的組換えによって、ここに同定するポリペプチドをコードする欠陥又は変更遺伝子を有する「ノックアウト」動物を作成することができる。例えば、特定のポリペプチドをコードするcDNAは、確立された技術に従い、そのポリペプチドをコードするゲノムDNAのクローニングに使用できる。特定のポリペプチドをコードするゲノムDNAの一部を欠失したり、組み込みを監視するために使用する選択可能なマーカーをコードする遺伝子等の他の遺伝子で置換することができる。典型的には、ベクターは無変化のフランキングDNA(5'と3'末端の両方)を数キロベース含む[例えば、相同的組換えベクターについてはThomas and Capecchi, Cell, 51: 503 (1987)を参照のこと]。ベクターは胚性幹細胞に(例えばエレクトロポレーションによって)導入し、導入されたDNAが内在性DNAと相同的に組換えられた細胞を選択する[例えば、Liら, Cell,69:915 (1992)参照]。選択された細胞は次に動物(例えばマウス又はラット)の胚盤胞内に注入され、集合キメラを形成する[例えば、Bradley, Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach, E. J. Robertson, ed. (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152参照]。その後、キメラ性胚を適切な偽妊娠の雌性乳母に移植し、「ノックアウト」動物を作ると言われる。胚細胞に相同的に組換えられたDNAを有する子孫は標準的な技術により同定され、それらを利用して動物の全細胞が相同的に組換えられたDNAを含む動物を繁殖させることができる。ノックアウト動物は、そのポリペプチドが不在であることによるある種の病理的状態及び病理的状態の進行に対して防御する能力によって特徴付けられる。
【0166】
本発明の他の実施態様では、診断アッセイにおける抗体の利用方法が提供される。例えば、抗体は、特定細胞及び組織におけるDR4の過剰発現を検出するための診断アッセイに用いてもよい。当該分野において知られている様々な診断アッセイ技術、例えば、インビボ画像アッセイ、インビトロ競合的結合アッセイ、直接的又は間接的サンドイッチアッセイ及び不均一又は均一相の何れにおいても実施される免疫沈降検定を使用することができる[Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques,CRC Press,Inc.,(1987) pp.147-158]。診断アッセイ法に使用されるアゴニストは、検出可能部分で標識することができる。検出可能部分は、直接的に又は間接的に検出可能なシグナルをつくりだすことができなければならない。例えば、検出可能部分は、3H、14C、32P、35S又は125I等の放射性同位体、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン又はルシフェリン等の蛍光又は化学発光化合物、もしくはアルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ又はセイヨウワサビペルオキシダーゼ等の酵素であってもよい。Hunterら, Nature, 144: 945 (1962)、Davidら, Biochemistry,13:1014(1974)、Painら, J. Immunol. Meth.,40:219 (1981)及びNygrenら, J. Histochem. and Cytochem.,30:407 (1982)などに記載されている方法を含み、検出可能部分に抗体を抱合させるための当該分野において知られている任意の方法を使用することができる。
【0167】
また、DR4抗体は天然供給源又は組換え細胞培養からのDR4のアフィニティー精製にも有用である。この方法においては、DR4に対する抗体を、当該分野でよく知られている方法を使用して、セファデックス樹脂や濾紙のような適当な支持体に固定化する。次に、固定化された抗体を、精製するDR4を含有する試料と接触させ、次いで、固定化された抗体に結合したDR4以外の試料中の物質を実質的に全て除去する適当な溶媒で支持体を洗浄する。最後に、DR4を抗体から離脱させる他の適当な溶媒で支持体を洗浄する。
【0168】
本発明のさらなる実施態様においては、病理学的状態の治療又はDR4の検出又は精製に有用な物質を含む製造品が提供される。製造品にはラベルが付された容器が含まれる。適切な容器には、例えばボトル、バイアル、及び試験管が含まれる。容器はガラス又はプラスチックのような種々の材料から作製できる。容器は、病理学的状態の治療又はDR4の検出又は精製に有効な活性剤を有する組成物を収容する。組成物中の活性剤は、DR4抗体であり、好ましくはDR4に特異的なモノクローナル抗体を含む。容器のラベルには、組成物が病理学的状態の治療又はDR4の検出又は精製に使用されることが示され、また上述のもののような、インビボ又はインビトロのいずれかの使用の指示が示されている。
【0169】
本発明のキットは、上述の容器と、バッファーを収容した第2の容器を具備する。それは、商業上及び使用者の観点から望まれる、他のバッファー、希釈剤、フィルター、針、注入器及び使用説明が記されたパッケージ挿入物を含む他の材料をさらに含んでもよい。
【0170】
以下の実施例は例示するためにのみ提供されるものであって、本発明の範囲を決して限定することを意図するものではない。
本明細書で引用した全ての特許及び参考文献の全体を、出典明示によりここに取り込む。
【0171】
(実施例)
実施例で言及されている全ての他の市販試薬は、特に示していない限りは、製造者の使用説明に従い使用した。ATCC登録番号により次の実施例及び明細書全体を通して特定している細胞の供給源はアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,マナサス,バージニア(American Type Culture Collection, Mannasas, Virginia)である。
【0172】
(実施例1)
イムノアドヘシンとしてのDR4ECDの発現
可溶性のDR4ECDイムノアドヘシン作成物を調製した。成熟DR4 ECD配列(Fig1に示すアミノ酸1-218)を、pCMV−1Flagベクター(Kodak)のFlagシグナル配列の下流にクローニングし、既に記載されているようにして[Aruffoら,Cell, 61:1303-1313(1990)]ヒト免疫グロブリンG1重鎖のCH1、ヒンジ及びFc領域に融合した。イムノアドヘシンは、ヒト293細胞に一過性形質移入して発現させ、前掲のAshkenaziら,により記載されたプロテインAアフィニティークロマトグラフィーにより細胞上清から精製した。
【0173】
(実施例2)
DR4に特異的なモノクローナル抗体の調製
0.5μg/50μlのDR4ECDイムノアドヘシンタンパク質(上記実施例1に記載)(Ribi Immunochemical Research Inc., Hamilton, MTから購入したMPL-TDMアジュバントで希釈)を、各々の後足の裏の柔らかい部分に、3−4日間隔で11回注射することで、Balb/cマウス(チャールズリヴァー研究所から得たもの)を免疫化した。
最終の追加免疫から3日後に、膝窩リンパ節をマウスから取り出し、単細胞懸濁液を、1%のペニシリン-ストレプトマイシンが補われたDMEM培地(Biowhitakker Corp.から得たもの)中で調製した。次いで、リンパ節細胞を35%のポリエチレングリコールを使用してマウス骨髄腫細胞P3X63AgU.1(ATCC CRL 1597)と融合させ、96-ウェル培養プレートで培養した。融合の結果得られたハイブリドーマをHAT培地において選択した。融合から10日後に、ハイブリドーマ培養の上清をELISAでスクリーニングし、DR4ECDイムノアドヘシンタンパク質(実施例1に記載)に結合するモノクローナル抗体の存在を試験した。
【0174】
ELISAでは、各々のウェルに、PBS中に2μg/mlのヤギ抗ヒトIgGFc(Cappel Laboratoriesから購入)が入ったものを50μl添加して、96-ウェルマイクロタイタープレート(Maxisorb; Nunc, Kamstrup, Denmark)をコートし、4℃で一晩インキュベートした。次いでプレートを洗浄用バッファー(0.05%のトゥイーン20を含有するPBS)で3回洗浄した。次いで、マイクロタイタープレートのウェルを、2.0%のウシ血清アルブミン(BSA)50μlでブロックし、室温で1時間インキュベートした。次いで、プレートを洗浄用バッファーで再度3回洗浄した。
洗浄工程後、アッセイ用バッファー中の0.4μg/mlのDR4ECDイムノアドヘシンタンパク質50μlを各ウェルに添加した。プレートを振盪装置上で、室温で1時間インキュベートし、続いて洗浄用バッファーで3回洗浄した。
【0175】
洗浄工程に続いて、100μlのハイブリドーマ上清又はプロテインG−セファロースカラム精製抗体(10μg/ml)を指定ウェルに添加した。100μlのP3X63AgU.1骨髄腫細胞条件培地を他の指定ウェルに対照として添加した。プレートを振盪装置上で、室温で1時間インキュベートし、続いて洗浄用バッファーで3回洗浄した。
次に、アッセイ用バッファー(0.5%のウシ血清アルブミン、0.05%のトゥイーン20(Tween-20)がPBS中に入ったもの)で、1:1000に希釈されたHRP-抱合ヤギ抗マウスIgG Fc(Cappel Laboratories社から購入)の50μlを各々のウェルに添加し、プレートを振盪装置上で、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄用バッファーで3回洗浄し、次いで各々のウェルに50μlの基質(TMBマイクロウェルペルオキシダーゼ基質;Kirkegaard & Perry, Gaithersburg, MD)を添加し、室温で10分間インキュベートした。50μlのTMB1−成分終止溶液(ジエチルグリコール;Kirkegaard & Perry)を各々のウェルに添加して反応を終了させ、450nmでの吸光度を自動マイクロタイタープレート読取装置で読み取った。
【0176】
最初にELISAでスクリーニングしたハイブリドーマ上清は、CD4−IgGではなくDR4−IgGに結合するそれらの能力について考慮した。ELISAで陽性とされた上清は、9D細胞(DR4を発現するヒトB細胞系;Genentech, Inc.)及びFITC抱合ヤギ抗マウスIgGを用いたFACS分析でさらに分析した。この分析のために、セルソーター用バッファー(1%のFCS及び0.02%のNaN3を含むPBS)中の細胞懸濁物(4x106細胞/ml)の25μlを、U字底のミクロタイターウェルに添加し、100μl培養上清又はセルソーター用バッファー中の精製抗体(10μg/ml)と混合し、氷上で30分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、100μlのFITC抱合ヤギ抗マウスIgGとともに4℃で30分間インキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、150μlのセルソーター用バッファーに再懸濁し、FACScan(Becton Dickinson, Mountain View, CA)によって分析した。
Fig2は、9D細胞のFACS染色を示す。2つの特定の抗体、4E7.24.3及び4H6.17.8は、9Dは細胞上のDR4レセプターを認識した。
【0177】
(実施例3)
DR4抗体のアゴニスト的にアポトーシスを誘発する能力のアッセイ
ハイブリドーマ上清及び精製抗体(上記実施例2に記載)を、DR4に媒介された9D細胞のアポトーシスを誘発する能力について試験した。9D細胞(5x105細胞/0.5ml)を1μgのDR4mAb(4E7.24.3又は4H6.17.8は、9D;上記実施例2参照)又はIgG対照抗体とともに200μl完全RPMI培地中、4℃で15分間インキュベートした。次いで、細胞を、10μgのヤギ抗マウスIgGFc抗体(ICN Pharmaceuticals)共なう又は共なわない、300μlの完全RPMI培地中、37℃で5分間インキュベートした。この時点で、細胞を7%のCO2存在下、37℃で一晩インキュベートした。次いで細胞を回収し、PBSで1回洗浄した。細胞の生存を、製造者の推奨(Clontech)に従ってホスファチジルセリンに結合するFITC−アネキシンVの染色によって決定した。細胞をPBS中で洗浄し、200μlの結合バッファー中に再懸濁させた。10μlのアネキシン-V−FITC(1μg/ml)及び10μlのヨウ化プロピジウムを細胞に添加した。暗中で15分間インキュベートした後、9D細胞をFACSで分析した。
【0178】
Fig3に示したように、どちらのDR4抗体も(ヤギ抗マウスIgGFc無しで)対照抗体に比較して9D細胞のアポトーシスを誘発した。しかし、両方のDR4抗体のアゴニスト活性は、、ヤギ抗マウスIgGFc存在下でのDR4レセプター交差結合によって促進された(Fig4参照)。両方のDR4抗体によるこの促進されたアポトーシス(Fig4)は、9D細胞におけるApo-2Lのアポトーシス活性に匹敵した(データは示さず)。
【0179】
(実施例4)
DR4抗体のApo-2Lに誘発された9Dアポトーシスを阻止する能力のアッセイ
ハイブリドーマ上清及び精製抗体(上記実施例2に記載)を、Apo-2リガンドに誘発された9D細胞アポトーシスを阻止する能力について試験した。
9D細胞(5x105細胞/0.5ml)を完全RPMI培地(RPMIプラス10%のFCS、グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム)中に懸濁させ、個々のファルコン2052管に蒔いた。0.5mlのApo-2L(1μg/ml;WO 97/25428に記載されたように調製した可溶性His-タグApo-2L)を完全RPMI培地に懸濁させ、連続的に希釈した抗体(4H6.17.8)及び/又はApo-2抗体(mAb3F11、Genentech, Inc.)とともにプレインキュベートし、次いで9D細胞を含む管に添加した。9D細胞を氷上で15分間インキュベートし、次いで7%のCO2存在下、37℃で一晩インキュベートした。次いでインキュベートした細胞を回収し、PBSで1回洗浄した。細胞の生存を、製造者の推奨(Clontech)に従ってホスファチジルセリンに結合するFITC−アネキシンVの染色によって決定した。特に、細胞をPBSで洗浄し、200μlの結合バッファーに再懸濁した。10mlのアネキシン-V−FITC(1μg/ml)及び10μlのヨウ化プロピジウムを細胞に添加した。暗中で15分間インキュベートした後、9D細胞をFACSで分析した。
【0180】
結果をFig5に示す。9D細胞はApo-2Lに一以上のレセプターを発現するので、Apo-2Lは9D細胞においてDR4又はApo-2と呼ばれるレセプターのいずれかとの相互作用によってアポトーシスを誘発できる。よって、DR4抗体の阻止活性を検出するために、Apo-2とApo-2Lとの相互作用を阻止する必要があった。抗Apo-2抗体、3F11と組み合わせることにより、DR4抗体4H6.17.8は、Apo-2に誘発されたアポトーシスの約50%を阻止することができた。残りの約50%のアポトーシス活性は、Fig5に示したように、DR4抗体単独のアゴニスト活性によると考えられる。従って、4H6.17.8はDR4抗体を阻止していると考えられる(同じ様に行われたアッセイでは、出願人は、実施例7に記載の1H5抗体がApo−2Lによる9D細胞のアポトーシスをブロックすることを見出した)。
【0181】
(実施例5)
抗体アイソタイピング
(上記に記載したような)4H6.17.8及び4E7.24.3のアイソタイプは、アイソタイプ特異的約抗マウスIg(Fisher Biotech, Pittsburgh, PA)でコートしたミクロタイタープレートにより4℃で一晩測定された。次いでプレートを洗浄用バッファー(上記実施例2に記載)で洗浄した。次いでミクロタイタープレートのウェルを200μlの2%ウシ血清アルブミンでブロックし、室温で1時間インキュベートした。プレートは、再度洗浄用バッファーで3回洗浄した。
次に、100μlの5μg/mlの精製DR4抗体又は100μlのハイブリドーマ培地上清を指定ウェルに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートし、次いで50μlのHRP-抱合ヤギ抗マウスIgG(上記に記載)を各ウェルに添加した。プレートを室温で30分間インキュベートした。プレートに結合したHRPのレベルを上記のHRP基質を用いて検出した。
アイソタイピング分析は、4E7.24.3および4H6.17.8抗体がIgG1抗体であることを示した。
【0182】
(実施例6)
DR4抗体の他のApo-2Lレセプターへの結合を試験するためのELISAアッセイ
実施例2に記載した2つのDR4抗体がDR4以外の知られたApo-2Lレセプターに結合できるか否かを決定するためにELISAを実施した。特に、DR4抗体をApo-2[例えば、Sheridanら, Science, 277: 818-821 (1997)参照]、DcR1[Sheridanら, 上掲]、及びDcR2[Marstersら, Curr. Biol., al., 7: 1003-1006 (1997)]に対する結合性について試験した。ELISAは、基本的に上記実施例2に記載したように実施した。
結果をFig6に示す。DR4抗体4E7.24.3及び4H6.17.8はDR4に結合するし、Apo-2、DcR1、又はDcR2に対して幾分の交差反応性を示した。
【0183】
(実施例7)
DR4に特異的なモノクローナル抗体の調製
DR4に対するモノクローナル抗体が実施例2に記載されたように原則的に作製された。実施例2に記載の捕捉ELISAを使用し、1H5.24.9、1H8.17.5、3G1.17.2、4G7.18.8、4G10.20.6及び5G11.17.1と呼ばれるさらなる抗DR4抗体が同定された(Figure17の表を参照のこと)。FACS(実施例2に記載の技術を使用)による更なる分析は、DR4を発現する9D細胞へこれらの抗体が結合することを確かなものにした(データは示されていない)。
【0184】
(実施例8)
抗体アイソタイピング
1H5.24.9、1H8.17.5、3G1.17.2、4G7.18.8、4G10.20.6及び5G11.17.1抗DR4抗体のアイソタイプ(実施例7に記載)は、実施例5に記載のように決定された。
アイソタイピング分析は、1H8.17.5、3G1.17.2、及び4H10.20.6抗体がIgG1抗体であることを示した。抗DR4抗体1H5.24.9及び4G7.18.8は、IgG2a抗体であり、抗体5G11.17.1はIgG2b抗体である。
【0185】
(実施例9)
モノクローナル抗体親和性の決定
種々のDR4抗体(上記の実施例に記載)の平衡解離及び結合定数速度は、修正をともなうBlakeら,Journal of Biological Chemistry, 271:27677-685(1996);及びCraigら,Journal of Molecular Biology, 281:183-201(1998)によって記載された自動化免疫アッセイ系(Sapidyne Instruments, Inc., Boise ID)であるKinExA(商品名)を使用して決定された。要約すると、1.0mlの抗ヒトIgGアガロースビーズ(56μm、Sigma, St Louis, MO)は、室温で1時間に渡って緩やかに混合されることによって、PBS中の20μgのDR4−IgG(実施例1に記載)で被膜された。PBS洗浄後、非特異的結合部位は、室温で1時間に渡ってPBS中の10%ヒト血清でインキュベートすることによってブロックされた。
【0186】
ビーズパック(〜4mmの高さ)は、KinExA(商品名)機器により観察フローセルの中でつくられた。ブロックされたビーズは、30mlのアッセイバッファー(0.01%BSA/PBS)で希釈された。希釈ビーズ(500μl)は、次に20μmスクリーンでフローセル中を通して流され、1mlのランニングバッファー(0.01%BSA;PBS中の0.05%Tween20)で洗浄された。次に、ビーズはランニングバッファーの短いバッグフラッシュによって緩やかに破壊され、次に均一で再現性のあるビーズパックを作るための20秒設定期間が続いた。平衡測定のために、選択されたDR4(0.01%BSA/PBS中の5ng/ml)はDR4−IgG(2.5nMから開始し、5.0pMまで)の連続希釈で混合され、室温で2時間に渡ってインキュベートされた。一度平衡に達すると、4.5mlのこの混合物はビーズ中を流され、その次に250μlのラニングバッファーで非結合抗体が洗い流された。ビーズに結合した一次抗体は、1.5mlのヤギ抗マウスIgGでラベルされたフィコエリトリン(Jackson Immunoresearch)で検出された。非結合物質は、4.5mlの0.5M NaClを、3分間に渡ってビーズパック中を流すことによって取り除いた。平衡定数は、製造者(Sapidyne, Inc.)によって提供されたソフトウエアを使用して計算された。
【0187】
DR4抗体のための親和性決定は、Figure7に示されている。Apo−2L、そしてDR5抗体、3F11、DR5のIg構成物に対するDR4及びDR5レセプターのイムノアドヘシン構成物の親和性決定は、比較されて示されている。4E7.24.3、4H6.17.8及び5G11抗体の親和性(Kd−1)は、それぞれ2pM、5pM、及び22pMであり、これらのモノクローナル抗体がDR4−IgGに対して強い親和性を有していることを示している。(4G7及び3G1抗体の親和性(Kd−1)は、それぞれ20pM、40pMであるが、Figure7にはデータが示されていない)
【0188】
(実施例10)
DR4抗体を使用したリンパ球腫瘍細胞のアポトーシスアッセイ
抗DR4モノクローナル抗体によって誘導されるヒト9DBリンパ球腫瘍細胞のアポトーシスが検査された。
ヒト9D細胞(5x105)を100マイクロリッターの完全RPMI培地(RPMIプラス10%のFCS、グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム)に懸濁し、24ウェルのミクロタイタープレート(5x105細胞/0.5ml/ウェル)に配した。10マイクログラム/mlの精製DR4抗体の100マイクロリッター、又は培地上澄みの100マイクロリッターを次に9D細胞を含むウェルへ添加した。次に、マクロタイタープレートを7%CO2の存在下で一晩37℃でインキュベートした。
インキュベーションの終わりには、細胞をPBSで洗浄した。洗浄された細胞は、200マイクロリッター結合バッファー(Clontech)中に再懸濁され、10マイクロリッターのFITCアネキシンV-FITC(Clontech)及び10マイクロリッターのヨウ化プロオピジウムが細胞に添加された(Mooreら,Meth. In Cell Biol., 57:265(1998))。暗中15分のインキュベーションの後、細胞をFACScanで分析した。
結果はFigure8Aに示されている。Figure8Aのグラフは、1H5、4G7、及び5G11抗体自身がある程度(弱い)のアポトーシスを9D細胞内に誘導するが、各抗体のアポトーシス活性は、これらのモノクローナル抗体がヤギ抗マウスIgGFc又は補体のどちらかによって交差結合した時に顕著に増加したことを示している(下記の実施例11に記載)。
【0189】
(実施例11)
交差結合DR4抗体を使用した9D細胞のアポトーシスアッセイ
9D細胞における、交差結合DR4抗体のアポトーシス活性も検査した。9D細胞(5x105)を100マイクロリッターの完全RPMI培地(RPMIプラス10%のFCS、グルタミン、非必須アミノ酸、ペニシリン、ストレプトマイシン、ピルビン酸ナトリウム)に懸濁し、氷上で15分間、1マイクログラムのDR4抗体/100マイクロリッターでインキュベートした。細胞は、300マイクロリッター完全培地中の1:10の最終希釈のウサギ補体(Cedar Lane)又は100マイクログラム/mlのヤギ抗マウスIgG−Fc(Cappel Laboratories)で、7%CO2の存在下で一晩37℃でインキュベートした。
【0190】
インキュベーションの終わりには、細胞をPBSで洗浄し、200マイクロリッター結合バッファー(Clontech)中に再懸濁した。次に、10マイクロリッターのFITC-アネキシンV(Clontech)及び10マイクロリッターのヨウ化プロオピジウムが細胞に添加された(Mooreら,Meth. In Cell Biol., 57:265(1998))。暗中15分のインキュベーションの後、細胞をFACScanで分析した。
結果はFigure8A及び8Bに示されている。結果は、補体をリンカーとして使用し誘導されたアポトーシスの程度は、ヤギ抗マウスIgG−Fcリンカーの使用と比較して同じ程に強力ではないが、4G7.17.8、5G11.17.1及び1H5.24.9抗DR4抗体が9D細胞のアポトーシスを誘導したことを示す。しかしながら、交差DR4抗体のアポトーシス活性(約1−2マイクログラム/mlの濃度)は、同じような濃度のApo−2Lのアポトーシス活性に対して匹敵する。
【0191】
(実施例12)
ヒト肺及び結腸腫瘍細胞株のアポトーシス活性
モノクローナル抗体のアポトーシス活性は、抗体又はApo−2Lで処理した後の癌細胞の細胞生存度を決定するアッセイにで更に検定した。
SKMES−1細胞(ヒト肺腫瘍細胞株;ATCC)及びHCT−116細胞(ヒト結腸腫瘍細胞株;ATCC)は、組織培地プレート中の、グルタミン、ペニシリン及びスプレプトマイシンで補充した完全高グルコース50:50培地に4x104細胞/ウェルで播種され、一晩37℃で付着された。その後、培地はウェルから取り除かれ、0.1mlの抗体(完全培地で0.001−10マイクログラム/mlに希釈された抗DR4抗体)が選択ウェルへ添加された。抗体を含まないコントロールウェルは、Apo−2Lを含む或いは含まない培地変換が行われた。そして、プレートは、室温で一時間に渡ってインキュベートされた。
【0192】
培養上清は試験抗体を含むウェルから取り除かれ、10マイクログラム/mlヤギ抗マウスIgG−Fc(Cappel Laboratories)又はウサギ補体(Cedar Lane;1:10へ培地中で希釈)がウェルへ添加された。コントロールウェルにおいて培地が変えられた。プレートは、一晩37℃でインキュベートされた。コントロールとして、Apo−2L(実施例4に記載)(リン酸カリウムバッファー、pH7.0で)は2マイクログラム/mlへ希釈された。0.1mlの希釈Apo−2L溶液が選択ウェルへ添加され、そして次に連続
三倍希釈がプレートを残した。
次に、吸引によって培養上清をウェルから取り除き、プレートはメタノール溶液中の0.5%クリスタルバイオレット溶液で浸された。15分後、クリスタルバイオレット溶液は、プレートを流水中の水道水で浸すことで取り除かれた。そして、プレートを一晩乾燥させた。
【0193】
光学密度は、SLT 340 ATCプレートリーダー(Salzburg, Austria)を用いて540nmで測定した。Excel macro 及び4pfit を使用してデータを分析した。SKMES細胞のDR4抗体の活性を示した結果は、Figure9及び10に示されている。
Figure9及び10Aは、細胞が1H8.17.5、4E7.24.3、4G7.17.8、4H6.17.8、4G10.20.6、及び5G11.17.1抗体の各々とヤギ抗マウスIgG Fcを加えたものとインキュベートした際に、1H8.17.5、4E7.24.3、4G7.17.8、4H6.17.8、4G10.20.6、及び5G11.17.1抗体がSKMES細胞の細胞死を誘導したことを示す(1H5抗体もまた、SKMES細胞の細胞死を誘導することが見出された。データはFigure9及び10Aに示されていない)。対照的に、3G1.17.2抗体は、IgG Fc架橋剤の存在下でさえも、細胞に細胞死を誘導しなかった。Figure10Bは、ウサギ補体存在下での、SKMES細胞上の4G7(IgG2aアイソタイプ)及び5G11(IgG2bアイソタイプ)抗体のアポトーシス活性を示している。
Figure11に示された結果は、HCT116結腸癌細胞のDR4抗体の活性を示している。IgG2アイソタイプDR4抗体、4G7及び5G11は、IgG Fc又は補体の存在下において、結腸癌細胞にアポトーシスを誘導する。DR4抗体、4E7(IgG1アイソタイプ)は、ヤギ抗マウスIgG Fcの存在下で強力なアポトーシス活性を示したが、補体の存在下でアポトーシスを誘導しなかった。
【0194】
(実施例13)
他のApo−2LレセプターへのDR4抗体の結合を試験するELISAアッセイ
DR4に加えて、他のApo−2LレセプターへのDR4抗体の結合を測定するために、ELISAアッセイが(実施例2及び6に記載)行われた。
5G11.17.1抗体は、DR4及びApo−2へ結合し、DcR1及びDcR2に対してある程度(弱い)の交差反応性を示した。4G10.20.6抗体はDR4へ結合し、Apo−2に対してある程度(弱い)の交差反応性を示した。他の抗体、1H8.17.5、4G7.18.8、1H5.24.9、及び3G1.17.2はDR4へ結合するが、Apo−2、DcR1,又はDcR2レセプターのいずれへも結合しない。
【0195】
(実施例14)
ポリADP−リボース ポリメラーゼ(PARP)アッセイ
IgG2抗DR4抗体によって誘導された活性が、アポトーシスによって又は通常の補体溶解によって達成されたのかを決定するために、PARPアッセイが行われた。
9D細胞(100マイクロリッターの完全RPMI培地中の5x105(実施例11に記載)を100μgの抗体(4G7又は5G11)とともに氷上で15分間でインキュベートした。そして、300μlのウサギ補体(Cedar Lane;1.0mlの冷蒸留水で希釈し、2.0mlの培地を添加)を細胞へ加えた。次いで、細胞を一晩37℃でインキュベートした。インキュベーシュンの終了時には、細胞は超遠近分離にかけられ、集められ、そして細胞洗浄バッファー(50mM Tris−HCl,pH7.5,0.15M NaCl,1mM CaCl2,1mM MgCl2)で一度洗浄された。次に、細胞ペレットをプロテアーゼインヒビターを含む50μlの細胞溶解バッファー(細胞洗浄バッファーに1%のNP40を加えた)で溶解し、氷上で30分間インキュベートし、そして13,000rpmで10分間遠心分離にかけた。
【0196】
細胞溶解物は、等量の2xSDS還元バッファーで混合された。2分間の煮沸の後、タンパク質は7.5%SDS PAGEゲルで分離され、イムノブロットPVDF膜(Gelman)へ移された。ブロッキングバッファー(Boehringer Mannheim)によって非特異的結合部位をブロックした後、HRP−ウサギ抗−ポリ(ADP−リボース)−ポリメラーゼ(Boehringer Mannheim)を使用してポリ−(ADP−リボース) ポリメラーゼが検出された。この抗体は、アポトーシスの初期段階で生成された分解(85kd)PARPのみならず無傷(116kd)PARPも検出する。結合抗−HRP−ウサギ抗−ポリ(ADP−リボース)−ポリメラーゼは、製造者指示書(Amersham, Arlington Heights, IL)に従って化学発光免疫アッセイシグナル試薬を使用することで検出された。
結果はFigure12に記載されている。補体へ4G7又は5G11のどちらかを加えたもので処理した細胞は、分解85kd PARPの存在を示し、これは、それぞれの抗体によって誘導された9D細胞死のメカニズムがアポトーシスによるものであることを示した。アッセイへ添加された補体が、56℃で30分間インキュベートすることによって熱熱失活した場合、PARPの85kd分解断片は検出されない。この結果は、ウサギ血清の補体が細胞へ結合している抗DR4抗体のオリゴマー化を誘導し、それが9D細胞のアポトーシスとなったことを示唆している。
【0197】
(実施例15)
DR4抗体のインビトロ活性
補体の存在下で、クラスIgG2 DR4抗体がアポトーシスを誘導することから(上記の実施例に記載)、動物に存在する天然補体分子の存在下で、これらの抗体がインビボで腫瘍細胞のアポトーシスを誘導すことが可能かどうかを決定するためにインビボアッセイが行われた。
HCT116細胞(ヒト結腸腫瘍細胞株;ATCC)又はColo205細胞(ヒト結腸腫瘍細胞株;ATCC)は、10%FCS、2mMグルタミン、100μg/mlのペニシリン、及び100μg/mlのストレプトマイシンで補充された高グルコースF−12:DMEM(50:50)培地で生育された。細胞は、5分間、細胞分離培地(Sigma, IAC)で処理した後に収集された。PBSで洗浄後、腫瘍細胞を3x107細胞/mlの濃度でPBSに懸濁した。
ヌードマウスの背側へ、3−5x106の細胞を0.1mlの容量で皮下注射した。HCT腫瘍を産する動物の腫瘍のサイズが所望のサイズになった際、マウスは、週3回、100μgのPBS中の単量体抗DR4抗体を腹腔内に注射され、腫瘍サイズは3回/週測定された。Colo205腫瘍を産する動物は、種々の濃度のDR4抗体、4G7及び4H6を腹腔内に注射された(Figure 15及び16に示したように)。HCT116腫瘍の調べる実験の終了時には、マウスが犠牲にされ、各腫瘍の重さが測定された。
【0198】
Figure13及び14に図示されている結果は、4G7及び5G11の両方がHCT116腫瘍の成長を阻害したことを示している。抗体5G11及び4G7による処理後、それぞれおおよそ35−40%そして50%のHCT116腫瘍の成長阻害があった。
Figure15及び16に図示されている結果は、4G7及び5G11の両方がColo205腫瘍の成長を阻害したことを示している。Fig.15は、腫瘍のサイズが小さいほど、抗体治療がさらに効果的であることを図示している。Fig.16は、25−200マイクログラムの4G7で治療されたマウス(週に三回注射)、4G7の50マイクログラム投与を受けたマウスがColo205腫瘍成長の最大阻害(70%)に達したことを示している。4H6抗体は、10日の治療の後、Colo205腫瘍成長をゼロ付近まで減少させた。10日目の4H6(100マイクログラム/注射)による治療の終了時には、4/8マウスはColo205腫瘍成長を示さなかった(データは示されていない)。関連した実験では、出願人は、週一度の5mg/kgの4H6による治療で、腫瘍退行が同じように達成されたことを見出した。4H6抗体の投与後に再出現した幾つかの腫瘍が静止することは知られており、これは、幾つかの腫瘍細胞が治療中に完全に除去されなかったことを示唆している。5mg/kgの4H6抗体の一本の腹腔内注射の三日後、Colo205腫瘍の組織学的切片は、広範なアポトーシスを示した(4G7抗体のコントロール抗体で処理したマウスは、ほんの僅かなアポトーシスを示した)。対照的に、腫瘍における細胞浸潤物の広がりと組成物は、4H6抗体及びコントロール抗体で処理された動物と同じようにみえた。このデータは、4H6抗体が、免疫エフェクター機能を補充することで間接的に抗腫瘍活性を発揮するよりも、腫瘍細胞においてアポトーシスを誘導することを通して抗腫瘍活性を発揮することを示唆している。
【0199】
Colo205腫瘍を産するヌードマウスを使用することで、実行された更に類似のインビボ実験では、マウスは、1H5及び3G1抗体を含む前記の抗DR4抗体の2.5mg/kgで、週3回、4日目から治療された。22日目には、腫瘍のサイズが測定され、%成長阻害が、4H6モノクローナル抗体の抗腫瘍活性を100%阻害としたことを基礎に計算された。PBS(コントロール)及び4H6抗体で処理された動物の腫瘍サイズは、それぞれ498±322m3及びm3であった。3G1、4E7、及び4H6抗体(すべてIgG1アイソタイプ抗体)は、IgG2アイソタイプ抗体、1H5、4G7、及びmIgG2a−4H6アイソタイプスイッチ変異体(下記に記載)よりも強い抗癌活性を示した。IgG1抗体及びIgG2a抗体による腫瘍成長阻害の範囲は、それぞれ42−100%及び27−30%であった。3G1抗体は、インビトロ交差結合において比較的に弱いアゴニストの活性を示したにもかかわらず、3G1抗体は、インビトロにおいて42%のColo205腫瘍の成長を阻害した。これらの結果は、DR4レセプターを通しての抗腫瘍活性の媒介において、mIgG1アイソタイプはmIgG2aアイソタイプよりもより効果的である可能性がることを示唆している。
【0200】
本研究はまた、外因性リンカー又は修飾因子の非存在下で投与されたこれらのDR4抗体は、活性抗癌剤に成り得ることを示唆している。すべてが理解されたのではないが、内在的メカニズムを通してのオリゴマー化、例えばFc領域と動物に存在する天然補体、又はエフェクター細胞のFcガンマーレセプターとの相互作用、或いは自発的自己Fc−Fc凝集を通しての相互作用によって、投与された抗体がアポトーシスを誘導することは可能である。IgG1、IgG2、又はIgG3(補体を固定できる)のようなヒトIgアイソタイプの抗DR4抗体が、補体を使用して交差結合すること及びアポトーシスを誘導することが同様に可能であり得ると考えられている。
上記の二つの抗DR4抗体の活性の相対的相違をさらに調べるために、4H6マウスモノクローナル抗体のマウスIgG2aアイソタイプスイッチ変異体が作製され、そのインビボとインビトロ活性、及び親4H6マウスモノクローナル抗体の間で比較が行われた。
【0201】
VH及びVL遺伝子は、Carterら, Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 89:4285 -4289(1992)に記載されているようにTaq ポリメラーゼを使用することで、相当する4H6ハイブリドーマからのmRNAをPCR増幅することで単離された。抗センスPCRプライマーが4H6の軽鎖及び重鎖の各鎖のマウスフレームワーク4のコンセンサス配列に基づいているのに対して、4H6の軽鎖及び重鎖のN末端アミノ酸配列はセンス鎖PCRプライマーの設計に使用された。増幅DNA断片は、軽鎖については制限酵素Nsi及びRsrII、重鎖についてはMluI及びApaIで消化された(更なる詳細は、下記の実施例16を参照のこと)。軽鎖及び重鎖の可変ドメインcDNAは、プラスミド発現ベクターにおいてマウスCk及びIgG2 CH1−CH2−CH3ドメインと別々に組み合わせられた。軽及び重鎖cDNAベクターは、7日間に渡って293細胞へ同時トランスフェクションされ、培地は収集され、分泌IgG2a−4H6型はプロテインGを使用したアフィニテイー精製によって回収された。
【0202】
インビトロの実施例12に記載の通りに行われたアッセイ(HCT116細胞に代わって、Colo205細胞が使用されたことを除いて)では、ヤギ抗マウスIgGとの交差結合において、二つの異なる4H6アイソタイプが同じような活性を示した。対照的に、インビボの実施例15に記載の通りに行われたアッセイ(2.5mg/kgで週二回の抗体の投与で動物を治療したことを除いて)では、4H6のIgG1アイソタイプは、そのIgG2a対応物よりもかなり活性があった。2.5mg/kgの週二回の投与で、22日目までに、IgG1−4H6及びIgG2a−4H6は、Colo205腫瘍の成長をそれぞれ96%、35%阻害した。IgG2a−4G7抗体の抗腫瘍活性は、IgG2a−4H6抗体のそれに類似していた。従って、少なくともこれら二つの抗体については、インビボ活性にためには、抗体のアイソタイプが標的エピトープよりも重要であると思われる。
【0203】
(実施例16)
4H6.17.8キメラ抗体の調製
重及び軽鎖のN末端アミノ酸を得るために、精製4H6.17.8抗体(実施例2を参照のこと)の配列が決定された。N末端配列のデータは、軽及び重鎖の可変領域の5'末端に対して特異的なPCRプライマーを設計するために使用され、3'末端プライマーは、各鎖のコンセンサスフレームワーク4へアニールするように設計された(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest,5版, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.(1991))。手短に言うと、抗体のためのすべての潜在的なフレームワーク4を表す3'縮重プライマーが設計された。クローニングのための制限酵素部位が加えられるようにプライマーは設計された;特に軽鎖のためのNsiI及びRsrII、及び重鎖のためのMluI及びApaI(位置は下記に太字で示されている)。
3'縮重プライマー:
w=a/t,k=g/t,b=g/t/c,y=c/t,r=a/g,s=g/c,
m=a/c,n=a/g/t/c
5'特異的プライマー
上記の下線部コドンは、Figure18A−C(配列番号:9)に示されているアミノ酸21−26をコードする4H6抗体軽鎖の天然配列のコドン(Figure18A)に相当する。
上記の配列番号:6の下線部コドンは、重鎖可変ドメインの最初の6アミノ酸をコードする4H6抗体重鎖の天然配列のコドンに相当する。天然配列4H6可変ドメインの最初の2アミノ酸はグルタミン(Q)及びバリン(V)で、それぞれコドンcag及びgtgでコードされていることが知られている。対照的に、Figure18D−18Hでは、重鎖可変ドメインの最初の2アミノ酸(シグナル配列に続く位置20及び21に現れる)は、それぞれコドンgaa及びgttでコードされているグルタミン酸(E)及びバリン(V)として示されている。重鎖可変ドメインの最初の二つのアミノ酸をコードするコドンの交換は、使用されたベクター構築物のためである;そして、Figure18Dでは、可変ドメインの最初の二つのアミノ酸(及び相当するコドン)(位置20及び21に現れる)は、実際にベクター由来のアミノ酸を反映している。
【0204】
Stratagene RNA単離キット(200345)によって、108細胞のハイブリドーマ4H6.17.8(実施例2を参照のこと)から抽出した全RNAは、RT−PCRの基質として使用された。フレームワーク4縮重プライマー及びSuperscript II RNase H-Reverse Transcriptase(スーパースクリプトII リボヌクレアーゼH−逆転写酵素)(Gibco 18064-014)を使用する標準的条件(Kawasaki,E.S. in PCR Protocols: A Guide to Method and Applications, Innis, M.A., ら,eds. pp21-27, Academic Press, Inc., San Diego, 1990)の下で、逆転写は行われた。PCR増幅には、2%DMSOが反応混合液に含まれていたことを除いて、記載されていたように(Kawasaki, E.S., 上掲)Taqポリメラーゼを用いた。増幅されたDNA断片は、制限酵素NsiI及びRsrII(軽鎖)又はMluI及びApaI(重鎖)で消化され、ゲルで精製され、ベクターss.vegf4chimeraへクローンされた(Prestaら, Cancer Research, 57: 4593-4599(1997))。軽及び重鎖マウス可変ドメインcDNAは、上流及びフレーム単位でヒトカッパ及びIgG1CH1ドメインへ挿入された。F(ab')2生成の過程でジスルフィド架橋を形成するpAK19の重鎖のC末端システイン(Carterら,Bio/Technology, 10:163(1992))は、抗体のFab型の発現を可能にするために取り除かれた。Fabタンパク質が特にその同系のレセプターDR4−IgGへ結合することが、捕獲ELISA(HRP−ヒツジ親和性精製IgG及び抗ヒトIgG F(ab)'2(Capplel Laboratories)を1:2500で使用したを除いて実施例2に記載の通りに行った)によって確められた。一度特異性が確かめられると、4H6.17.8のマウス重鎖可変ドメインが制限酵素PvuII及びApaIで消化され、ゲルで精製され、Carterら., Proc. Natl. Acad. Sci., 89: 4285(1992)に記載のヒトIgG1ベクター構成物へクローンされた(4D5抗体のヒト化との関連で)。重鎖の最初アミノ酸はベクター由来で、上記に記載したような4H6.17.8の基の又は天然配列からはQがEへ変化したものであった。天然配列の2番目のアミノ酸は、異なったコドンでコードされ、上記に記載のようにベクター由来であるにもかかわらず、VでありVのままである。マウス軽鎖及び重鎖cDNAの可変ドメインは、上流及びフレーム単位でヒトカッパ及びIgG1 CH1−CH2−CH3ドメインへ挿入された。軽及び重鎖キメラcDNAベクターは、標準的技術を使用してCHO細胞へ同時トランスフェクションされ、次に分泌抗体はプロテインGカラムを使用したアフィニティ精製によって回収された。
【0205】
4H6.17.8抗体の軽鎖及び重鎖それぞれに対するコード化ヌクレオチド配列及び推定上のアミノ酸配列がFigure18A−18Hに示されている。軽鎖は、Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸20から126を含んでなる可変ドメインを含んだ。Figure18A−18Cはまた、シグナル配列(Figure18A−18C(配列番号:9)のアミノ酸1から19)及びアミノ酸127から233(Figure18A−18C;配列番号:9)を含んでなるヒトCH1ドメインを示す。重鎖は、Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸20から145を含んでなる可変ドメインを含んだ。Figs.18D−18Hはまた、シグナル配列(Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸1から19)及びヒトCH1、CH2、及びCH3ドメイン(Figure18D−18H(配列番号:12)のアミノ酸146から476)を示す。
【0206】
(実施例17)
キメラ4H6抗体のインビトロ活性
SK−MES−1細胞の生存度に関する抗DR4キメラ4H6抗体(実施例16を参照のこと)の効力は、クリスタルバイオレット染色によって測定される。SK−MES−1細胞(ヒト肺腫瘍細胞;ATCC)(4x104細胞/100ul/ウェル)は、ヤギ抗マウスIgG Fc(10μg/ml)又はヤギ抗ヒトIgG Fc(10μg/ml)を共なうか共なわないモノクローナル抗体の連続希釈物を共なって一晩インキュベートされた(10%FCS、2mMグルタミン及び抗生物質を補充したDMEM/F−12(50:50)培地中で)。試験されたモノクローナル抗体は、マウス4H6.17.8、精製マウス4H.17.8抗体(実施例2に記載)、及びキメラ4H6抗体(実施例16に記載)からのF(ab)'2調製物を含んだ。最終容量が100μlに調製されたApo2L/TRAILの連続希釈物(WO97/25428に開示された大腸菌で発現されたApo2L/TRAIL配列のアミノ酸114−281;また、Ashkenaziら,J. Clin. Invest., 104:155-162(1999)を参照のこと)は、正のコントロールとして各プレートへ添加された。37℃で一晩のインキュベーションの後、培地は取り除かれ、Flickら, J. Immunol. Methods, 68:167-175(1984)に記載されているようにクリスタルバイオレットを使用して、生細胞を染色した。プレートは、SLTプレートリーダーで540nMで読み取られた。
【0207】
結果はFigure19に示されている。交差結合キメラ4H6抗体の活性をなくすSK−MES−1細胞は、マウスモノクローナル4H6.17.8に匹敵する。
インビトロにおいて、キメラ4H6抗体が抗体依存性細胞障害活性(ADCC)を誘導するのかどうかを調べるために、その他のアッセイが行われた。
エフェクター細胞のソースとして、51Cr−ラベル化Colo205細胞(ヒト結腸腫瘍細胞株;ATCC)(10%FCS、1%L−グルタミン、1%ペニシリン−ストレプトマイシンを補充したRPMI培地中の2x104細胞/ウェル)を最初にキメラ4H6抗体(5μg/ml)と、次にヒトPBLと一晩インキュベートすることで、実験は行われた。PBLは、フィコール・ハイパック遠心分離 (Ficoll-Hypaque centrifugation)によってヒト全血液から精製された。正のコントロールとして、キメラ4H6抗体にヤギ抗ヒトIgG (10μg/ml)を加えたもの(ICN Pharmaceuticalsより購入した)で処理した 51Cr−Colo205細胞を含めた。負のコントロールとして、抗ヒトIgE抗体("2E5";Genentech)が加えられた。Figure20に示されているように、キメラ4H6抗体にヤギ抗ヒトIgG で処理した51Cr−Colo205細胞は、52%の51Crを遊離する結果となった。エフェクターの標的への比率が40:1では、40%の51Crを遊離があり、これは、キメラ4H6抗体が顕著なレベルのADCCを誘導することを示唆した。パーセント51Cr遊離は、1%トライトンX-100(Triton X-100)処理後の51Cr−Colo205細胞の51Crを遊離を基礎として計算された。
【0208】
(実施例18)
キメラ4H6抗体のインビボ活性
実験は、実施例15に記載の通りに行われた。Colo205腫瘍細胞は、10%FCS、2mM グルタミン、及び抗生物質で補充されたDMEM/F−12(50:50)培地中で生育された。メス胸腺欠損ヌードマウス(4−6週齢、グループ当たり7−8マウス)の背側部分へ、0.2mlPBS中の5x106のColo205細胞を皮下注射した。一度、腫瘍のサイズが50−100m3に達すると、マウスはランダムにグループ分けされ、モノクローナル抗体(精製マウス4H6.17.8抗体(実施例2を参照のこと);キメラ4H6抗体(実施例16を参照のこと);及びコントロールIgG1抗体)は、5mg/kg、0.1mlの容量で週1回、腹腔内に与えられた。
Fig.21に示されているように、キメラ4H6抗体の抗腫瘍活性がマウス4H6.17.8モノクローナル抗体ほどに強力でないにもかかわらず、キメラ4H6抗体は、異種移植片ヌードモデルにおいて抗腫瘍活性を示した。キメラ4H6抗体のより弱い抗腫瘍活性は、インビボ研究のために使用された異種システムが原因であると考えられている。
【0209】
材料の寄託
次の材料をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション,10801 University Blvd., Manassas, Virginia, USA(ATCC)に寄託した:
材料 ATCC寄託番号 寄託日
4E7.24.3 HB−12454 1998年1月13日
4H6.17.8 HB−12455 1998年1月13日
1H5.25.9 HB−12695 1999年4月 1日
4G7.18.8 PTA−99 1999年5月21日
5G11.17.1 HB−12694 1999年4月 1日
【0210】
この寄託は、特許手続き上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約及びその規則(ブダペスト条約)の規定に従って行われた。これは、寄託の日付から30年間、寄託の生存可能な培養が維持されることを保証するものである。寄託物はブダペスト条約の条項に従い、またジェネンテク社とATCCとの間の合意に従い、ATCCから入手することができ、これは、どれが最初であろうとも、関連した米国特許の発行時又は任意の米国又は外国特許出願の公開時に、寄託培養物の後代を永久かつ非制限的に入手可能とすることを保証し、米国特許法第122条及びそれに従う特許庁長官規則(特に参照番号886OG638の37CFR第1.14条を含む)に従って権利を有すると米国特許庁長官が決定した者に後代を入手可能とすることを保証するものである。
【0211】
本出願の譲受人は、寄託した培養物が、適切な条件下で培養されていた場合に死亡もしくは損失又は破壊されたならば、材料は通知時に同一の他のもの即座に取り替えることに同意する。寄託物質の入手可能性は、特許法に従いあらゆる政府の権限下で認められた権利に違反して、本発明を実施するライセンスであるとみなされるものではない。
【0212】
上記の文書による明細書は、当業者に本発明を実施できるようにするために十分であると考えられる。寄託した態様は、本発明のある側面の一つの説明として意図されており、機能的に等価なあらゆる作成物がこの発明の範囲内にあるため、寄託された作成物により、本発明の範囲が限定されるものではない。ここでの物質の寄託は、文書による説明が、そのベストモードを含む、本発明の任意の側面の実施を可能にするために不十分であることを認めるものではないし、それが表す特定の例証に対して請求の範囲を制限するものと解釈されるものでもない。実際、ここに示し記載したものに加えて、本発明を様々に改変することは、前記の記載から当業者にとっては明らかなものであり、添付の請求の範囲内に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【Fig1】 ヒトDR4に関するcDNAのヌクレオチド配列(配列番号:2)及びそれより派生するアミノ酸配列(配列番号:1)を示す。ヒトDR4に関するそれぞれのヌクレオチド及びアミノ酸配列はまた、Panら,Science, 276:111(1997)に報告されている。
【Fig2】 IgGコントロール(点線)と比較した二つの抗DR4抗体、4E7.24.3("4E7")及び4H6.17.8("4H6")(太い線によって例示)によるDR4結合のFACS分析を示す。両抗体は、ヒト9D細胞に発現されたDR4レセプターを認識した。
【Fig3】 抗DR4抗体、4E7.24.3及び4H6.17.8によって9D細胞内に誘導されたパーセント(%)アポトーシスを示すグラフ。
【Fig4】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体の存在又は非存在下における、抗DR4抗体、4E7.24.3及び4H6.17.8によって9D細胞内に誘導されたパーセント(%)アポトーシスをApo−2Lとの比較で示す棒グラフ。
【Fig5】 9D細胞でのApo−2Lによって誘導されたアポトーシスを阻止する抗DR4抗体4H6.17.8の能力を図解する棒線図。
【Fig6】 DR4及びApo−2、DcR1、及びDcR2に相当する他の既知のApo−2LレセプターへのDR4抗体、4E7.24.3及び4H6.17.8の結合を試験したELISAの結果を示すグラフ。
【Fig7】 KinExA(商品名)アッセイで測定されたような、DR4−IgGへのDR4抗体、4E7、4H6、及び5G11.17.1("5G11")の結合親和性を示す。例えばApo−2LへのDR4及びDR5イムノアドヘシンの免疫接着結合親和性が比較として示されている。
【Fig8A】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体又はウサギ補体の非存在或いは存在下における、DR4抗体1H5.25.9("1H5")、4G7.18.8("4G7")、及び5G11の種々の濃度によって9D細胞内に誘導されるパーセント(%)アポトーシス(FACS分析によって測定されるような)を図解するグラフを示す。
【Fig8B】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体又はウサギ補体の存在下における、9D細胞でのDR4抗体4G7及び5G11のアポトーシス活性(FACS分析によって測定されるような)を図解するグラフを示す。
【Fig9】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体の存在下における、SKMES−1肺腫瘍細胞でのDR4抗体、4H6、4E7、4G7、4G10.20.6(4G10)、3G1.17.2(3G1)、5G11、1H8.17.5(1H8)、及び1H5.24.9(1H5)のアポトーシス活性を示す。
【Fig10A】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体の存在下又は非存在下における、SKMES−1肺腫瘍細胞でのDR4抗体、4G7、及び5G11のアポトーシス活性を示す。
【Fig10B】 ウサギ補体の存在下又は非存在下における、SKMES−1肺腫瘍細胞でのDR4抗体、4G7、及び5G11のアポトーシス活性を示す。
【Fig11A】 ヤギ抗マウスIgG Fc抗体の存在下における、HCT116結腸腫瘍細胞でのDR4抗体、4G7及び5G11のアポトーシス活性を示す。
【Fig11B】 ウサギ補体の存在下又は非存在下における、HCT116結腸腫瘍細胞でのDR4抗体、4G7、及び5G11のアポトーシス活性を示す。
【Fig12】 PARPアッセイの結果を示す。
【Fig13】 腫瘍容積で測定された、胸腺欠損ヌードマウスのHCT116結腸腫瘍の成長に対するDR4抗体、4G7及び5G11の影響を示す。
【Fig14】 腫瘍重量で測定された、胸腺欠損ヌードマウスのHCT116結腸腫瘍の成長に対するDR4抗体、4G7及び5G11の影響を示す。
【Fig15&16】 腫瘍重量で測定された、胸腺欠損ヌードマウスの結腸205結腸腫瘍の成長に対するDR4抗体、4G7及び4H6の影響を示す。
【Fig17】 DR4抗体1H5.24.9;1H8.17.5;3G1.17.2;4E7.24.3;4G7.18.8;4H6.17.8;4G10.20.6;及び5G11.17.1の各抗体について同定された種々の性質及び活性と同じく、それぞれの抗体について同定した表を提供する。
【Fig18A−18C】 キメラ4H6抗DR4抗体の軽鎖、及びポリヌクレオチドコード化配列(配列番号:7)及びその相補的DNA配列(配列番号:8)を含み、シグナル配列(ベクター由来)(配列番号:9のアミノ酸残基1から19として同定)を含む推定上のアミノ酸配列(配列番号:9);軽鎖の可変ドメイン(配列番号:9のアミノ酸残基20から126として同定);及びヒトカッパCH1定常ドメイン(配列番号:9のアミノ酸残基127から233として同定)を示す。それぞれのフレームワーク(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(CDR1、CDR2、CDR3)領域も示されている;各領域は、下線が引かれている。
【Fig18D−18H】 キメラ4H6抗DR4抗体の重鎖、及びポリヌクレオチドコード化配列(配列番号:10)及びその相補的DNA配列(配列番号:11)を含み、シグナル配列(ベクター由来)(配列番号:12のアミノ酸残基1から19として同定)を含む推定上のアミノ酸配列(配列番号:12);重鎖の可変ドメイン(配列番号:12のアミノ酸残基20から145として同定);及びヒトIgG1CH1、CH2、及びCH3定常ドメイン(配列番号:12のアミノ酸残基146から476として同定)を示す。位置20のアミノ酸(4H6マウス重鎖可変ドメインの最初のアミノ酸に一致)は、グルタミン酸残基であると示されている。4H6.17.8ハイブリドーマより配列が決定された天然4H6マウス重鎖可変ドメインにおいては、最初のアミノ酸はグルタミン残基であり、グルタミン酸ではないことは知られている。それぞれのフレームワーク(FR1、FR2、FR3、及びFR4)及びCDR(CDR1、CDR2、CDR3)領域も示されている;各領域は、下線が引かれている。
【Fig19】 クリスタルバイオレット染色によって決定された、キメラ4H6抗体(Ch4H6)(ヤギ抗ヒトIgG Fcを加えた)の影響(SK−MES−1のインビボ細胞死滅)を示す。マウス4H6モノクローナル抗体(4H6)、F(ab)'2 4H6及びApo2Lも示されている。
【Fig20】 51Cr放出アッセイで測定された、結腸205細胞でのキメラ4H6抗体(c4H6)(ヤギ抗ヒトIgG Fcを加えた)のADCC効果を示す。
【Fig21】 腫瘍重量で測定された、胸腺欠損ヌードマウスの結腸205結腸腫瘍の成長に対するキメラ4H6抗体(ch−4H6)の影響を示す。マウスモノクローナル抗体(4H6)及びIgG1の影響も示されている。
【配列表】
Claims (15)
- (a)配列番号:9のアミノ酸残基20から126を含んでなる軽鎖可変ドメイン;
(b)配列番号:9のアミノ酸残基127から233を含んでなる軽鎖CH1ドメイン;
(c)配列番号:12のアミノ酸残基20から145、もしくは22から145を含んでなる重鎖可変ドメイン;及び、
(d)配列番号:12の146から476を含んでなる重鎖CH1、CH2、及びCH3ドメイン
を含んでなる、単離されたキメラ抗DR4抗体。 - 配列番号:9のアミノ酸残基1から19を含んでなる軽鎖シグナル配列を更に含んでなる、請求項1に記載のキメラ抗DR4抗体。
- 少なくとも一種の哺乳動物細胞において、アポトーシスを誘導するアゴニスト抗体である、請求項1又は2に記載のキメラ抗DR4抗体。
- 前記アゴニスト抗体が、少なくとも一種の哺乳動物癌細胞において、アポトーシスを誘導する、請求項3に記載のキメラ抗DR4抗体。
- 少なくとも109M−1から1012M−1の結合親和性でDR4レセプターと結合する、請求項1ないし4の何れか一項に記載のキメラ抗DR4抗体。
- 細胞傷害性薬剤もしくはプロドラッグ活性化酵素と結合した請求項1ないし5の何れか一項に記載のキメラ抗DR4抗体。
- 請求項1ないし6の何れか一項に記載のキメラ抗DR4抗体をコードする単離された核酸。
- 請求項7に記載の単離された核酸を含んでなるベクター。
- 請求項8に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 大腸菌である請求項9に記載の宿主細胞。
- チャイニーズハムスター卵巣細胞である請求項9に記載の宿主細胞。
- 酵母細胞である請求項9に記載の宿主細胞。
- 請求項9ないし12の何れか一項に記載の宿主細胞を培養すること、及び宿主細胞培養物より抗体を回収することを含む、キメラ抗DR4抗体を生産する方法。
- 哺乳動物癌細胞にアポトーシスを誘導するための医薬の製造における、請求項1ないし6の何れか一項に記載のキメラ抗DR4抗体の使用。
- 前記哺乳動物癌細胞が結腸癌細胞、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、肺腺癌、もしくは肺扁平上皮癌を含む、請求項14に記載の使用。
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