JP4588654B2 - 位相調整回路および整合回路 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロ波帯あるいはミリ波帯における位相調整回路および整合回路に関するものである。
マイクロ波帯における位相調整回路として、例えば下記特許文献1などが存在する。この文献では、誘電体基板上にマイクロストリップ線路でU字形のパターンを形成し、そのU字形をした向かい合う線路間をボンディングワイヤなどの接続線路で接続して位相を調整する位相調整器において、マイクロストリップ線路で第1のU字形のパターンおよび第2のU字形のパターンを具備し、それらU字形のパターンをオープンスタブとして、ほぼ1/4波長あるいはそれ以下の間隔で設けるようにして所望の位相調整を実現している。
特開平05−327305号公報
しかしながら、上記特許文献1などに代表される従来の位相調整回路では、位相調整可能な範囲はパターン化されているオープンスタブ長に制限されるので、位相調整範囲が十分に確保できないといった問題点があった。
逆に、十分な位相調整範囲を確保しようとすると、U字形パターンのパターン長の増加を余儀なくされ、位相調整回路自身のサイズが増大するといった問題点があった。このため、この種の位相調整回路を具備する整合回路においても、接続する負荷のインピーダンス特性に応じた十分な整合範囲を確保するためには、整合回路自身のサイズを増大せざるを得なかった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、位相調整範囲やインピーダンス整合範囲を十分に確保し、装置規模の増大を抑制した位相調整回路および整合回路を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる位相調整回路は、設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路と、前記1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端を入力端とするときの他端に接続される第1のオープンスタブと、前記1/4波長結合線路を構成し、前記一方の線路とは電気的に絶縁された他方の線路の一端を出力端とするときの他端に接続される第2のオープンスタブと、を備え、前記第1、第2のオープンスタブのスタブ長が前記設計中心周波数に応じて適宜調整されていることを特徴とする。
本発明にかかる位相調整回路によれば、設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路の入力端側の線路に接続される第1のオープンスタブおよび出力端側の線路に接続される第2のオープンスタブの各スタブ長が、前記設計中心周波数に応じて適宜調整されているので、位相調整範囲が十分に確保され、装置規模の増大が抑制されるという効果が得られる。
以下に、本発明にかかる位相調整回路および整合回路の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
まず、実施の形態1では、位相調整回路について説明する。図1は、本発明の実施の形態1にかかる位相調整回路の構成を示す図である。同図に示す位相調整回路は、空間あるいは誘電体等を介して結合する結合部分の長さが設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する結合線路3と、結合線路3を構成する一方および他方の線路にそれぞれ接続されるオープンスタブ4a,4bとを備えて構成される。
また、その接続構成等はつぎのとおりである。図1において、結合線路3を構成する一方の線路の一端は入力端1とされ、その他端(開放端)にはオープンスタブ4bが接続されている。一方、結合線路3を構成する他方の線路の一端は出力端2とされ、その他端(開放端)にはオープンスタブ4aが接続されている。
つぎに、図1に示した位相調整回路の機能/動作について説明する。入力端1から入力された例えばマイクロ波信号は、結合線路3の一方の線路から他方の線路に結合(伝達)され、出力端2から出力される。ここで、入力端1から出力端2に伝達されるマイクロ波信号に関し、当該信号の波長に対する結合線路3の電気長を無視することができない。したがって、入力端1から出力端2に伝達される信号には位相変化が生ずることになる。そこで、オープンスタブ4a,4bの長さを適宜調整することで、入力信号と出力信号との間の位相が所望の位相(位相差)となるような位相調整が行われる。
すなわち、この実施の形態の位相調整回路は、オープンスタブ4a,4bの長さを調整することによって、出力信号の位相を調整する位相調整機能を有していることになる。なお、上述のように、入出力信号を電気的に絶縁された一方および他方の線路を具備する結合線路3を用いて伝達する構成としているので、直流阻止(DCカット)を行うための回路要素を別途準備する必要がない。したがって、この実施の形態の位相調整回路は、回路の小型化および低損失化が自動的に図られている。
以上説明したように、この実施の形態にかかる位相調整回路によれば、設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路と、1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端を入力端とするときの他端に接続される第1のオープンスタブと、1/4波長結合線路を構成する他方の線路の一端を出力端とするときの他端に接続される第2のオープンスタブとが具備され、第1、第2のオープンスタブの各スタブ長が、設計中心周波数に応じて適宜調整されているので、位相調整範囲が十分に確保され、装置規模の増大が抑制されるという効果が得られる。
なお、この実施の形態では、結合線路3を構成する一方および他方の線路の結合部分の長さを設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さとしているが、装置のサイズや許容される損失の程度如何によってその長さを変更してもよいことは勿論である。
実施の形態2.
つぎに、実施の形態2では、整合回路について説明する。図2は、本発明の実施の形態2にかかる整合回路の構成を示す図である。同図に示す整合回路は、図1に示した位相調整回路において、入力端1に接続される結合線路3の一端に接続されるオープンスタブ5をさらに備えるように構成されている。なお、その他については、図1に示した実施の形態1の構成と同一または同等であり、これらの共通の構成部には、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2において、出力端2にトランジスタなどの負荷が接続される場合、入力端1から見たインピーダンスが変化する。なお、出力端2には、様々な特性を有する負荷が接続されるので、それらの特性に応じた整合機能を付加する必要がある。そこで、この実施の形態では、入力端1側にオープンスタブ5を接続するようにしている。
つぎに、図2に示した整合回路の動作について、図2および図3を参照して説明する。なお、図3は、図2に示した整合回路におけるインピーダンス整合の概念を示す図であり、当該概念を同図のスミスチャート上に示している。
図3のスミスチャートにおいて、同図のA点がトランジスタの入力インピーダンスを表している。このとき、まず、実施の形態1で説明した位相調整回路で位相調整を行う。この場合、入力端1から見たインピーダンスは、スミスチャートの中心であるC点を中心としA点までを半径とする円上を移動することになる。したがって、オープンスタブ4a,4bの長さを調整することによって、入力端1から見たインピーダンスをA点からB点まで移動することができる。なお、このB点は、インピーダンスの実部(虚部は任意)が整合インピーダンス値(例えば50Ω)に一致する点である。
つぎに、この実施の形態の整合回路において追加したオープンスタブ5の長さを適宜調整することで、インピーダンスの整合を行う。この場合、入力端1から見たインピーダンスは、スミスチャートの中心であるC点とB点とを含む円上(等コンダクタンス線上)を移動することになる。したがって、オープンスタブ5の長さを調整することによって、入力端1から見たインピーダンスをB点からC点まで移動することができ、整合回路の入力インピーダンスと負荷のインピーダンスとを整合させることができる。
なお、この実施の形態では、結合線路3を構成する一方の線路の一端にオープンスタブを接続するようにしているが、オープンスタブに代えてショートスタブを接続するようにしてもよい。例えば、図3のスミスチャートにおいて、位相調整した後の位相調整点Bが下半分の円内に位置するような場合には、ショートスタブを使用することによって、スタブ長を不必要に長くすることなく整合をとることができる。
以上説明したように、この実施の形態にかかる整合回路によれば、設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路と、1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端を入力端とするときの他端に接続される第1のオープンスタブと、1/4波長結合線路を構成する他方の線路の一端を出力端とするときの他端に接続される第2のオープンスタブと、1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端側に接続される第3のオープンスタブまたはショートスタブのいずれかのスタブとが具備され、設計中心周波数に応じて第1、第2のオープンスタブのスタブ長が適宜調整されるとともに、出力端に接続される負荷のインピーダンス特性に応じて第3のオープンスタブまたはショートスタブのスタブ長が適宜調整されているので、インピーダンス整合範囲が十分に確保され、装置規模の増大が抑制されるという効果が得られる。
以上のように、本発明にかかる位相調整回路および整合回路は、マイクロ波帯あるいはミリ波帯における当該回路または当該同種回路のコンパクト化、低損失化などに有用である。
本発明の実施の形態1にかかる位相調整回路の構成を示す図である。 本発明の実施の形態2にかかる整合回路の構成を示す図である。 図2に示した整合回路におけるインピーダンス整合の概念を示す図である。
符号の説明
1 入力端
2 出力端
3 結合線路
4a,4b,5 オープンスタブ

Claims (2)

  1. 設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路と、
    前記1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端を入力端とするときの他端に接続される第1のオープンスタブと、
    前記1/4波長結合線路を構成し、前記一方の線路とは電気的に絶縁された他方の線路の一端を出力端とするときの他端に接続される第2のオープンスタブと、
    を備え、
    前記第1、第2のオープンスタブのスタブ長が前記設計中心周波数に応じて適宜調整されていることを特徴とする位相調整回路。
  2. 設計中心周波数に対応する波長の略1/4の長さを有する1/4波長結合線路と、
    前記1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端を入力端とするときの他端に接続される第1のオープンスタブと、
    前記1/4波長結合線路を構成し、前記一方の線路とは電気的に絶縁された他方の線路の一端を出力端とするときの他端に接続される第2のオープンスタブと、
    前記1/4波長結合線路を構成する一方の線路の一端側に接続される第3のオープンスタブまたはショートスタブのいずれかのスタブと、
    を備え、
    前記第1、第2のオープンスタブのスタブ長が前記設計中心周波数に応じて適宜調整されるとともに、前記第3のオープンスタブまたは前記ショートスタブのスタブ長が前記出力端に接続される負荷のインピーダンス特性に応じて適宜調整されていることを特徴とする整合回路。
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