JP4588555B2 - 熱収縮性筒状ラベル - Google Patents

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Description

本発明は、生分解性樹脂フィルムで構成された熱収縮性筒状ラベルに関する。
従来より、飲料容器、調味料容器、医薬品容器などの各種の容器等に、熱収縮により装着される熱収縮性筒状ラベル(シュリンクラベル、シュリンクフィルムなどとも呼ばれる)が広く用いられている。
かかる熱収縮性筒状ラベルは、通常、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製の熱収縮性フィルムの(上下縁部を除く)中央領域に、商品名、絵柄などのデザイン表示のため意匠印刷が施され、このフィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより作製されている。
そして、従来より、ポリエチレンテレフタレートからなる熱収縮性筒状ラベルの上下縁部に、意匠印刷が施されないのは、次の理由による。
一般に、意匠印刷を施す場合、デザイン表示などを綺麗に見せるべく、背面に白ベタ印刷を施すため、該意匠印刷層の設けられた領域に於けるフィルムはその熱収縮が低下する。他方、筒状ラベルの上下縁部(特に上縁部)は、容器の径差の大きい部分に装着されることが多いので、大きく熱収縮しなければならない。それ故、筒状ラベルの上下縁部(特に上縁部)に意匠印刷(白ベタ印刷)が施されていると、本来大きく熱収縮しなければならない部分が意匠印刷層の存在によって収縮阻害される。従って、該筒状ラベルは、その上縁部の1〜3mm程度が外側に湾曲して容器に十分に密着せず、外観不良を生じるので、一般に、熱収縮性筒状ラベルの上下縁部は、意匠印刷が施されないのである。また、熱収縮性筒状ラベルは、通常、複数のラベルが連続的に繋がった長尺状のラベル連続体の形態で供給され、容器などに装着する際に、切断することにより個々のラベルに形成される。このラベル連続体に於いて、個々のラベルの境界部分に意匠印刷のない部分を設けておくと、この部分は、ラベリング装置が切断位置を認識する目印として利用できる。従って、この意匠印刷のない部分で切断される筒状ラベルは、上下縁部に意匠印刷を有しないのである。
このような理由から、熱収縮性筒状ラベルの上下縁部は、一般に、透明になっている。
ところで、従来の熱収縮性筒状ラベルを構成するフィルムは、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムが用いられている。しかし、近年注目されているポリ乳酸などの生分解性樹脂フィルムを熱収縮性筒状ラベルとして用いることが環境保護の観点から好ましいと言える。
このような生分解性樹脂フィルムからなる熱収縮性筒状ラベルとして、例えば、特開2001−171059、特開2002−194112、特開2002−128918などが知られている。
生分解性樹脂フィルムを用いる場合も同様に、上記理由から、フィルムの少なくとも上縁部を除く中央領域に意匠印刷層を設け、これを筒状に成形することにより、生分解性の筒状ラベルが作製される。
しかしながら、上記生分解性樹脂フィルムからなる熱収縮性筒状ラベルは、図8に示すように、容器10等に熱収縮装着した際、意匠印刷層11の設けられていない領域、或いはその近傍で、フィルム12に皺14(腰折れ)が生じるという問題がある。
特開2001−171059公報 特開2002−194112公報 特開2002−128918公報
そこで、本発明は、熱収縮時に皺の発生を防止して美麗に装着できる生分解性樹脂製の熱収縮性筒状ラベルを提供することを課題とする。
本発明者らは、皺が発生するという問題点について鋭意研究した結果、生分解性樹脂からなるフィルムは、ポリエチレンテレフタレートなどのフィルムに比して、加熱時に柔らかくなり易いことに着目した。そして、加熱時に、生分解性樹脂フィルムが腰折れし易くなることが上記問題点の原因と考えられる。特に、収縮応力が5MPa以下の生分解性樹脂フィルムからなる筒状ラベルをスチームによって熱収縮させた際に皺が生じ易い傾向にある。
そこで、本発明は、生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの所定領域に意匠印刷層が設けられ、且つこのフィルムを筒状に形成してなる熱収縮性筒状ラベルであって、生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムは、85℃における収縮応力が5MPa以下で、且つガラス転移温度が60℃以下であり、熱収縮性フィルムの意匠印刷層が設けられていない領域に、耐熱性を有する樹脂を含み且つ透明又は艶消の塗工層が設けられており、塗工層は、70℃に加熱後の剥離強度が0.1N/15mm以下であり、且つそのガラス転移温度が熱収縮性フィルムのガラス転移温度よりも高い熱収縮性筒状ラベルを提供する。
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、熱収縮させるべくこれを加熱した際、意匠印刷層の設けられていない領域に於けるフィルムが柔らかくなり、いわゆる腰折れし易い状態となっても、この領域に耐熱性を有する樹脂を含む塗工層が設けられているので、該塗工層がフィルムを補強して皺の発生を防止できる。また、意匠印刷層の設けられていない領域に設けられる上記塗工層は、透明又は艶消(半透明と言われる場合もある)であるため、意匠印刷層のデザインの一体性を損ねる虞がなく、デザイン的に従来品と変わらない筒状ラベルを提供できる。
また、本発明の好ましい態様では、上記塗工層が、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂の少なくとも何れかを含む上記熱収縮性筒状ラベルを提供する。
さらに、本発明の好ましい態様では、上記生分解性樹脂製フィルムが、ポリ乳酸を主成分とするフィルムである上記熱収縮性筒状ラベルに係り、ポリ乳酸を主成分とする樹脂は生分解性樹脂の中でも比較的ガラス転移温度が高いことから、該筒状ラベルは、加熱した際にフィルム自体の腰折れを低減でき、より皺の発生を防止できる。
本発明の熱収縮性筒状ラベルは、生分解性樹脂製のフィルムで構成されているので、リサイクルされずに廃棄されても、自然界で分解され、環境保護の点から好ましい。
さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、容器などに熱収縮させた際、意匠印刷の施されていない領域に於いて皺の発生を防止できる。従って、従来の非生分解性樹脂フィルムからなる筒状ラベルと同様に、装着外観が美麗となる熱収縮性筒状ラベルを提供できる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2の両側端部を重ね合わせ、センターシールすることにより筒状に形成された熱収縮性筒状ラベルを示す。
該筒状ラベル1は、例えば、容器の胴部からこれに続く肩部(胴部に対して次第に小径となる部分)にかけて装着できる大きさに形成されている。
この生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2の裏面には、熱収縮性フィルム2の上下縁部を除いて、意匠印刷層3が設けられている。従って、熱収縮性フィルム2の上下縁部は、その幅方向に広がる帯状領域が、意匠印刷層3の設けられていない領域2aとされている。
さらに、熱収縮性フィルム2の表裏面全体には、透明又は艶消の塗工層5が設けられている。この塗工層5は、耐熱性のある樹脂を含むものが好ましく、又、熱収縮性フィルム2の生分解性樹脂のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の樹脂を含むものが好ましい。
本発明に於いて、生分解性の樹脂は、土中に埋めるなどして自然界に放置しておくだけでバクテリア、酵素などの作用によって自然に分解されるポリマーである。本発明の熱収縮性フィルム2を構成する生分解性樹脂は、このような性質の樹脂であれば特に限定されず、化学合成法、微生物産生法、天然物利用法などで得られる樹脂などを用いることができる。化学合成法による生分解性樹脂としては、ポリ乳酸系、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートなどのポリアルキレンサクシネート系、ポリカプロラクトン系、脂肪族ポリエステル系などが挙げられる。微生物産生法による生分解性樹脂としては、ポリヒドロキシブチレート/バリレート系などが挙げられる。天然物利用法による生分解性樹脂としては、酢酸セルロースなどのセルロース系、澱粉系、澱粉/脂肪族ポリエステル系などが挙げられる。本発明では、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。また、生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2は、1層又は2層以上の積層体で構成されていてもよい。
尚、ポリ乳酸系などの種類によっては、自然分解されるのに長時間を必要とするものもあるが、このような分解に比較的長時間要するものも生分解性樹脂である。
生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2は、通常、走査型示差熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が、60℃以下であり、例えば、ポリ乳酸系の生分解性樹脂フィルム2は、同ガラス転移温度が55〜60℃程度である。
本発明の熱収縮性フィルム2は、生分解性樹脂の中でガラス転移温度が比較的高いことから、ポリ乳酸系を含む生分解性樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。ポリ乳酸系の熱収縮性フィルムとしては、例えば、特開2001−171059公報、特開2002−194112公報、特開2002−128918公報に開示されているようなフィルムを用いることができる。その一例を挙げると、D−乳酸とL−乳酸の構成比が重量比で97:3〜85:15の範囲からなる重量平均分子量5万〜40万程度のポリ乳酸と、芳香族脂肪族ポリエステルなどの他の生分解性樹脂とを含み、ポリ乳酸が60重量%以上含まれている混合樹脂(例えば、ポリ乳酸を60重量%以上含み、且つポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトン系の生分解性樹脂を含む混合樹脂など)を製膜した熱収縮性フィルム(特開2002−194112公報)を用いることができる。
生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2は、従来公知の方法により作製できる。例えば、上記生分解性樹脂に必要に応じて適宜添加剤を加え、Tダイ法やインフレーション法などで製膜し、延伸処理することにより得ることができる。延伸処理は、少なくとも幅方向(筒状ラベルとした場合に周方向。以下同様)に施されるが、縦方向(幅方向と直交する方向。以下同様)にも若干延伸処理を施してもよい。
尚、ポリ乳酸系の熱収縮性フィルムの製法は、例えば、特開2002−128918号公報などに開示されている。簡単に説明すると、重量平均分子量6〜70万程度のポリ乳酸に、芳香族脂肪族ポリエステル(50重量%以下)及び必要に応じて他の生分解性樹脂や各種添加剤を加え、押出機で溶融混合して押し出し製膜し、テンター法、チューブラー法等により、少なくとも一軸方向に延伸する。延伸温度や延伸倍率は、一般に約70〜95℃、約1.5〜6倍の範囲に適宜設計される。
本発明の熱収縮性フィルム2の厚みは、概ね30〜100μm程度が好ましく、40〜80μm程度がより好ましい。
また、熱収縮性フィルム2は、幅方向に於ける熱収縮率が、例えば90℃の温水中に10秒間浸漬した際、約30%以上、好ましくは約40%以上、特に好ましくは50%以上のものが用いられる。尚、縦方向の熱収縮率は、−3〜10%、好ましくは−1〜6%程度のものが例示される。
但し、熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)−(幅方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
また、上記熱収縮性フィルム2は、通常、85℃に於ける幅方向の収縮応力が、5MPa以下のものである。このようにフィルムの収縮応力が低いと、熱収縮させた際、意匠印刷層の設けられた領域と意匠印刷層の設けられていない領域の境界付近に於いて皺が生じ易い。この点、本発明は筒状ラベル1は、意匠印刷層3の設けられていない領域2aに塗工層5が設けられているので、上記のような比較的収縮応力の低いフィルムでも熱収縮時に於ける皺の発生を防止できる。
但し、この収縮応力とは、フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、この幅方向の両端部を応力測定器(例えば(株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離50mm)、これを85℃の温水中に10秒間浸漬した際、幅方向に於ける収縮応力の最大値をいう。
意匠印刷層3は、商品名、商標、絵柄などの所望のデザインが表されたデザイン表示層と、白ベタ印刷などのベタ印刷層と、を有し、公知の印刷インキにて設けられる。意匠印刷層3は、例えば、熱収縮性フィルム2の裏面に多色刷りなどによって所望のデザイン表示を印刷した後、それに重ねるように白色ベタ印刷(酸化チタンを含有する白インキなど)などのベタ印刷を施すことにより形成される。印刷法は、グラビア印刷など公知の印刷法で行えばよい。
意匠印刷層3は、上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2の一部分を除いた領域に設けられている。具体的には、意匠印刷層3は、熱収縮性フィルム2の裏面の中央領域、すなわち、熱収縮性フィルム2の裏面の上下縁部(例えば、上下縁から2〜20mm程度の範囲)を除いて設けられている。意匠印刷層3の厚みは、2〜10μm程度に形成される。
塗工層5は、透明な層又は艶消(マット)の層からなり、例えば、透明インキ又は艶消インキなどの塗工液を塗工することにより形成される。
透明インキは、樹脂成分を含み、必要に応じて溶剤、滑剤、その他添加剤の混合されたものを用いることができる。艶消インキは、樹脂成分及び体質顔料(例えば、シリカ、アクリルビーズ、炭酸カルシウム、アルミナなど)を含み、必要に応じて溶剤、滑剤、その他添加剤の混合されたものを用いることができる。
塗工層5を構成する樹脂(以下、熱収縮性フィルムの樹脂と区別するために「塗工樹脂」という場合がある)としては、一般的なインキの樹脂成分として使用されるものを用いることができる。もっとも、熱収縮性フィルム2の皺発生防止効果を十分に発揮させるため、塗工樹脂は、耐熱性を有する樹脂及び/又は上記熱収縮性フィルム2よりもガラス転移温度の高い樹脂を主成分として含むことが好ましい。
このように塗工層がフィルムよりもガラス転移温度が高い樹脂を含むことにより、加熱した際、塗工層が生分解性樹脂製フィルムと共に腰折れし難く、上記塗工層によるフィルムの補強効果を十分に発揮し得る。
上記耐熱性を有する樹脂としては、例えば、アクリル樹脂系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリウレタン系などの1種又は2種以上の混合物や、二液硬化型などの樹脂などが挙げられる。
耐熱性の指標は、70℃に加熱後の剥離強度が0.1N/15mm以下の樹脂を用いることが好ましい。
ここで、上記剥離強度は、JIS K 6854−3に準じたT型剥離試験により測定されたものを言い、具体的な測定方法は、次のとおりである。15mm×100mm(幅×長さ)に形成した基材に、測定対象である耐熱性樹脂を含む塗工層を形成し、同様にして、計2枚の塗工層付き基材を作製する。次に、この2枚の基材の塗工層の表面同士を重ね合わせ、70℃の下、両基材の裏面から、0.38MPaの力で180秒間加圧した後、両基材を180度方向に剥離(剥離速度200mm/分)する際の両塗工層間の剥離強度を測定する。
次に、上記ガラス転移温度の高い樹脂としては、例えば、アクリル樹脂系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、ポリウレタン系などの1種又は2種以上の混合物や、二液硬化型などの樹脂などが挙げられる。
かかる樹脂のガラス転移温度(DSCによる測定)は、熱収縮性フィルム2よりもガラス転移温度の高ければよく、例えば、60℃よりも高く、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上のものが挙げられる。
該ガラス転移温度の樹脂は、例えば、樹脂の分子量を調整したり、異なる2種以上の樹脂を適宜選択混合するなどにより調製できる。
また、塗工樹脂として、耐熱性を有する樹脂及び/又はフィルム2よりもガラス転移温度の高い樹脂であると共に、生分解性をも有する樹脂を用いれば、フィルム2のみならず塗工層5も自然に分解されるので好ましい。このような塗工樹脂としては、耐熱性を有し及び/又はガラス転移温度が高い樹脂であって、例えば、上記したようなポリ乳酸系、ポリエチレンサクシネートなどのポリアルキレンサクシネート系、ポリカプロラクトン系、脂肪族ポリエステル系、ポリヒドロキシブチレート/バリレート系、酢酸セルロースなどのセルロース系、澱粉系、澱粉/脂肪族ポリエステル系などが挙げられる。塗工樹脂は、上記生分解性樹脂の1種若しくは2種以上を混合し、又は生分解性樹脂と非生分解性樹脂を混合したものなどを使用できる。耐熱性などを有する生分解製樹脂は、例えば、樹脂の分子量を調整したり、異なる2種以上の樹脂を適宜選択混合するなどにより調製できる。。
上記塗工樹脂を含む透明インキ又は艶消インキなどの塗工液は、例えば適当な溶剤にて粘度調整を行い、熱収縮性フィルム2に塗工される。尚、塗工液は、上記の通り、透明又は艶消のものが用いられるが、透明性を損なわない程度であれば、必要に応じて顔料などの着色剤、滑剤その他の添加剤を混合してもよい。また、塗工液は、溶剤揮発によって固化するものの他、二液反応により固化するもの、紫外線照射などの光重合によって固化するものなどでも良い。
上記塗工液の塗工は、特に限定されないが、所定範囲に簡易に塗工できることから、グラビア印刷、フレキソ印刷などの公知の印刷法で行うことが好ましく、特に、意匠印刷層3と同じ印刷法で行うことがより好ましい。また、塗工液は、同一範囲に重ね塗りしてもよい。
上記塗工液を、熱収縮性フィルム2の意匠印刷層3の設けられていない領域2aを含む表裏面全体に塗工することにより、図1に示すような塗工層5が形成される。
塗工層5の厚み(乾燥厚)は、概ね0.5〜10μm程度、好ましくは0.8〜5μmに形成することが好ましい。熱収縮性フィルム2との関係では、熱収縮性フィルム2の厚み:塗工層5の厚み=50:1〜10:1程度が好ましい。余りに塗工層5が薄いとフィルムの皺防止効果が十分に得られず、一方、余りに厚いとフィルム2の熱収縮を阻害する虞があり、例えば、筒状ラベルの上縁部が容器外面に十分に密着せず、容器との間に隙間を生じるからである。
本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、従来と同様に、飲料容器、化粧品容器などの各種容器などに外嵌され、加熱することで熱収縮し、容器などに密着装着される。容器の形状は特に限定されず、図3に示すような胴部81とこれに続く次第に小径となる肩部82を有するボトル型容器8、その他図示しないが、四角柱状の容器、略楕円又は円柱状の容器など公知のものに装着できる。特に、本発明の熱収縮性筒状ラベル1は、径差の大きい肩部を有する容器にも、皺を生じさせずに良好に装着することができる。
加熱方法は、熱風、スチームなど従来公知の方法で行うことができる。加熱温度は、熱風の場合、80〜250℃程度で、スチーム(蒸気及び湯気が充満した雰囲気)の場合、80〜95℃程度、好ましくは、80〜90℃程度である。加熱処理時間としては、3〜30秒程度である。
上記熱収縮性筒状ラベル1は、加熱した際、フィルム自体が柔らかく腰折れし易い状態となるが、少なくとも意匠印刷層3の設けられていない領域2aに塗工層5が設けられているので、意匠印刷層3の設けられていない領域2aに於けるフィルムが該塗工層5によって補強される。従って、熱収縮時、意匠印刷層3の設けられていない領域2a及びその近傍に於いてフィルム皺の発生を防止できる。
また、塗工層5は、透明又は艶消であるため、意匠印刷層3のデザインの一体性を損ねる虞がなく、デザイン的に従来品と変わらない筒状ラベルを提供できる。
次に、本発明の変形例を示す。以下、主として上記第1実施形態と異なる部分について説明し、同様の構成については用語及び図番を援用し、その説明を省略することがある。
上記実施形態では、塗工層5は、フィルム2の表裏面に設けられているが、塗工層5は、図4(a)、(b)に示すように、表面又は裏面の何れか一方面のみに設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、フィルム2の裏面に意匠印刷層3を設け、その意匠印刷層3の上から塗工層5が設けられているが、先ず、フィルム2に塗工層5を設け、その上から意匠印刷層3を設けることもできる。尚、意匠印刷層3は、フィルム2の裏面側に設ける場合に限られず、フィルム2の表面側に設けることもできる。
さらに、上記実施形態では、塗工層5は、表面又は裏面の全体に設けられているが、例えば、図5(a)〜(c)に示すように、意匠印刷層3の設けられていない領域2aにのみ設けることもできる。
また、上記実施形態では、意匠印刷層3が、上下縁部を除くフィルム2の中央領域全体に設けられているが、例えば、上縁部のみを除いてフィルム2に設けられていてもよい。
また、例えば、図6(a)〜(c)に示すように、デザインの関係で、フィルムの中央領域の一部に意匠印刷層3が設けられていない領域2aを有するように意匠印刷を施すこともできる。この場合には、該中央領域に形成された意匠印刷層3が設けられていない領域2aに重なるように塗工層5を設けることが好ましい。
本発明では、意匠印刷層3の設けられていない領域2aの全てに塗工層5を設けなければならないわけではないが、意匠印刷層3の設けられていない領域2aのうち、少なくともフィルム2の上縁部に塗工層5を設けることが好ましい。
さらに、意匠印刷層3は、上記の通り、デザイン表示層と白ベタ印刷などのベタ印刷層の重ね塗りからなるが、例えば、図7に示すように、デザイン表示層31が設けられた領域の一部分に、ベタ印刷層32を設けないように意匠印刷層3を形成することもできる。
この場合、同図に示すように、ベタ印刷層32が設けられていない領域に、塗工層5を設けることが好ましい。
以下、本発明の実施例を示し、本発明をより具体的に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
(使用した生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム)
厚み50μmの生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:エコロージュS)(ガラス転移温度:56.4℃、収縮応力:1.75MPa、幅方向の熱収縮率:58%)の裏面のうち、上下縁から3mm幅を除き、顔料として酸化チタンを含有する白色印刷インキ(大日精化工業(株)製、商品名:OS−M)により意匠印刷(ベタ印刷)を施した(乾燥厚約3μm)。
(各種測定法)
A.ガラス転移温度:走査型示差熱量計(セイコーインスツルメント(株)製、商品名:DSC6200)を用いて測定した。
B.収縮応力:フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、この幅方向の両端部を応力測定器((株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離50mm)、これを85℃の温水中に10秒間浸漬し、その間に於ける応力測定器で測定された収縮応力の最大値を収縮応力とした。
C.幅方向に於ける熱収縮率:フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、90℃の温水中に10秒間浸漬し、浸漬前後の幅方向長さから、次式により求めた。熱収縮率(%)={(幅方向の元の長さ)−(幅方向の浸漬後の長さ)}/(幅方向の元の長さ)×100。
実施例1
上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの裏面全体(意匠印刷の施されていない上下縁部を含む裏面全体)に、下記組成の透明塗工液をベタ印刷した(乾燥厚約1μm)。このフィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより、実施例1に係る筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールGR5508。ガラス転移温度90℃、固形分50%)50重量部、酢酸エチル48重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
実施例2
下記組成の艶消塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(艶消塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールGR5508。ガラス転移温度90℃、固形分50%)50重量部、酢酸エチル45重量部、体質顔料シリカ(東ソーシリカ(株)製、商品名:ニップジェルBY−200)5重量部の混合液。
実施例3
下記組成の透明塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールLR943。ガラス転移温度46℃、固形分45%)50重量部、セルロース系樹脂(旭化成(株)製、商品名:LIG1/8。ガラス転移温度150℃以上)2重量部、酢酸エチル23重量部、イソプロピルアルコール23重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
実施例4
下記組成の透明塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールLR943。ガラス転移温度46℃、固形分45%)50重量部、酢酸エチル48重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
比較例1
上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより、比較例1に係る筒状ラベルを作製した。
(装着試験)
上記実施例1〜4及び比較例1の各筒状ラベルを、市販のPETボトルの胴部から肩部にかけて外嵌し、雰囲気温度90℃の(株)フジアステック製のスチームトンネルに10秒間曝し、筒状ラベルを装着させた。
装着した後のフィルムの外観を目視で確認したところ、実施例1〜3のラベルには、皺が発生しておらず、上下縁も容器に密着し、良好な外観を呈していた。実施例4のラベルは、意匠印刷の境界付近で、小さな皺が発生していたが、注意して観察しなければ発見できない程度の皺であり、商品として使用できる範囲内のものであった。
一方、塗工層を設けなかった比較例1では、上縁部に於ける意匠印刷の境界に於いて、商品として使用できない程の明確な皺が生じていた。
本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの一実施形態を示す正面斜視図。 図1のA−A線縦端面図。 容器の一例を示す正面図。 本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの他の実施形態を示す縦方向で切断した端面図。 本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの他の実施形態を示す縦方向で切断した端面図。 本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの他の実施形態を示す縦方向で切断した端面図。 本発明に係る熱収縮性筒状ラベルの他の実施形態を示す縦方向で切断した端面図。 装着時に皺が発生した筒状ラベルを示す一部縦方向断面を含む正面図。
符号の説明
1…熱収縮性筒状ラベル、2…生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム、2a…意匠印刷層が設けられていない領域、3…意匠印刷層、31…デザイン表示層、32…ベタ印刷層、5…塗工層

Claims (3)

  1. 生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの所定領域に意匠印刷層が設けられ、且つ前記フィルムを筒状に形成してなる熱収縮性筒状ラベルであって、
    前記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムは、85℃における収縮応力が5MPa以下で、且つガラス転移温度が60℃以下であり、
    前記熱収縮性フィルムの意匠印刷層が設けられていない領域に、耐熱性を有する樹脂を含み且つ透明又は艶消の塗工層が設けられており、
    前記塗工層は、70℃に加熱後の剥離強度が0.1N/15mm以下であり、且つそのガラス転移温度が前記熱収縮性フィルムのガラス転移温度よりも高いことを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。
  2. 前記塗工層が、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂の少なくとも何れかを含む請求項1記載の熱収縮性筒状ラベル。
  3. 前記生分解性樹脂製フィルムが、ポリ乳酸を主成分とするフィルムである請求項1又は2記載の熱収縮性筒状ラベル。
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