JP4588555B2 - 熱収縮性筒状ラベル - Google Patents
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Description
かかる熱収縮性筒状ラベルは、通常、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製の熱収縮性フィルムの(上下縁部を除く)中央領域に、商品名、絵柄などのデザイン表示のため意匠印刷が施され、このフィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより作製されている。
そして、従来より、ポリエチレンテレフタレートからなる熱収縮性筒状ラベルの上下縁部に、意匠印刷が施されないのは、次の理由による。
一般に、意匠印刷を施す場合、デザイン表示などを綺麗に見せるべく、背面に白ベタ印刷を施すため、該意匠印刷層の設けられた領域に於けるフィルムはその熱収縮が低下する。他方、筒状ラベルの上下縁部(特に上縁部)は、容器の径差の大きい部分に装着されることが多いので、大きく熱収縮しなければならない。それ故、筒状ラベルの上下縁部(特に上縁部)に意匠印刷(白ベタ印刷)が施されていると、本来大きく熱収縮しなければならない部分が意匠印刷層の存在によって収縮阻害される。従って、該筒状ラベルは、その上縁部の1〜3mm程度が外側に湾曲して容器に十分に密着せず、外観不良を生じるので、一般に、熱収縮性筒状ラベルの上下縁部は、意匠印刷が施されないのである。また、熱収縮性筒状ラベルは、通常、複数のラベルが連続的に繋がった長尺状のラベル連続体の形態で供給され、容器などに装着する際に、切断することにより個々のラベルに形成される。このラベル連続体に於いて、個々のラベルの境界部分に意匠印刷のない部分を設けておくと、この部分は、ラベリング装置が切断位置を認識する目印として利用できる。従って、この意匠印刷のない部分で切断される筒状ラベルは、上下縁部に意匠印刷を有しないのである。
このような理由から、熱収縮性筒状ラベルの上下縁部は、一般に、透明になっている。
このような生分解性樹脂フィルムからなる熱収縮性筒状ラベルとして、例えば、特開2001−171059、特開2002−194112、特開2002−128918などが知られている。
しかしながら、上記生分解性樹脂フィルムからなる熱収縮性筒状ラベルは、図8に示すように、容器10等に熱収縮装着した際、意匠印刷層11の設けられていない領域、或いはその近傍で、フィルム12に皺14(腰折れ)が生じるという問題がある。
さらに、本発明の熱収縮性筒状ラベルは、容器などに熱収縮させた際、意匠印刷の施されていない領域に於いて皺の発生を防止できる。従って、従来の非生分解性樹脂フィルムからなる筒状ラベルと同様に、装着外観が美麗となる熱収縮性筒状ラベルを提供できる。
図1及び図2に於いて、1は、生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2の両側端部を重ね合わせ、センターシールすることにより筒状に形成された熱収縮性筒状ラベルを示す。
該筒状ラベル1は、例えば、容器の胴部からこれに続く肩部(胴部に対して次第に小径となる部分)にかけて装着できる大きさに形成されている。
さらに、熱収縮性フィルム2の表裏面全体には、透明又は艶消の塗工層5が設けられている。この塗工層5は、耐熱性のある樹脂を含むものが好ましく、又、熱収縮性フィルム2の生分解性樹脂のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度の樹脂を含むものが好ましい。
尚、ポリ乳酸系などの種類によっては、自然分解されるのに長時間を必要とするものもあるが、このような分解に比較的長時間要するものも生分解性樹脂である。
本発明の熱収縮性フィルム2は、生分解性樹脂の中でガラス転移温度が比較的高いことから、ポリ乳酸系を含む生分解性樹脂製のフィルムを用いることが好ましい。ポリ乳酸系の熱収縮性フィルムとしては、例えば、特開2001−171059公報、特開2002−194112公報、特開2002−128918公報に開示されているようなフィルムを用いることができる。その一例を挙げると、D−乳酸とL−乳酸の構成比が重量比で97:3〜85:15の範囲からなる重量平均分子量5万〜40万程度のポリ乳酸と、芳香族脂肪族ポリエステルなどの他の生分解性樹脂とを含み、ポリ乳酸が60重量%以上含まれている混合樹脂(例えば、ポリ乳酸を60重量%以上含み、且つポリブチレンサクシネートとポリカプロラクトン系の生分解性樹脂を含む混合樹脂など)を製膜した熱収縮性フィルム(特開2002−194112公報)を用いることができる。
尚、ポリ乳酸系の熱収縮性フィルムの製法は、例えば、特開2002−128918号公報などに開示されている。簡単に説明すると、重量平均分子量6〜70万程度のポリ乳酸に、芳香族脂肪族ポリエステル(50重量%以下)及び必要に応じて他の生分解性樹脂や各種添加剤を加え、押出機で溶融混合して押し出し製膜し、テンター法、チューブラー法等により、少なくとも一軸方向に延伸する。延伸温度や延伸倍率は、一般に約70〜95℃、約1.5〜6倍の範囲に適宜設計される。
また、熱収縮性フィルム2は、幅方向に於ける熱収縮率が、例えば90℃の温水中に10秒間浸漬した際、約30%以上、好ましくは約40%以上、特に好ましくは50%以上のものが用いられる。尚、縦方向の熱収縮率は、−3〜10%、好ましくは−1〜6%程度のものが例示される。
但し、熱収縮率(%)=[{(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)−(幅方向(又は縦方向)の浸漬後の長さ)}/(幅方向(又は縦方向)の元の長さ)]×100。
但し、この収縮応力とは、フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、この幅方向の両端部を応力測定器(例えば(株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離50mm)、これを85℃の温水中に10秒間浸漬した際、幅方向に於ける収縮応力の最大値をいう。
意匠印刷層3は、上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム2の一部分を除いた領域に設けられている。具体的には、意匠印刷層3は、熱収縮性フィルム2の裏面の中央領域、すなわち、熱収縮性フィルム2の裏面の上下縁部(例えば、上下縁から2〜20mm程度の範囲)を除いて設けられている。意匠印刷層3の厚みは、2〜10μm程度に形成される。
透明インキは、樹脂成分を含み、必要に応じて溶剤、滑剤、その他添加剤の混合されたものを用いることができる。艶消インキは、樹脂成分及び体質顔料(例えば、シリカ、アクリルビーズ、炭酸カルシウム、アルミナなど)を含み、必要に応じて溶剤、滑剤、その他添加剤の混合されたものを用いることができる。
塗工層5を構成する樹脂(以下、熱収縮性フィルムの樹脂と区別するために「塗工樹脂」という場合がある)としては、一般的なインキの樹脂成分として使用されるものを用いることができる。もっとも、熱収縮性フィルム2の皺発生防止効果を十分に発揮させるため、塗工樹脂は、耐熱性を有する樹脂及び/又は上記熱収縮性フィルム2よりもガラス転移温度の高い樹脂を主成分として含むことが好ましい。
このように塗工層がフィルムよりもガラス転移温度が高い樹脂を含むことにより、加熱した際、塗工層が生分解性樹脂製フィルムと共に腰折れし難く、上記塗工層によるフィルムの補強効果を十分に発揮し得る。
耐熱性の指標は、70℃に加熱後の剥離強度が0.1N/15mm以下の樹脂を用いることが好ましい。
ここで、上記剥離強度は、JIS K 6854−3に準じたT型剥離試験により測定されたものを言い、具体的な測定方法は、次のとおりである。15mm×100mm(幅×長さ)に形成した基材に、測定対象である耐熱性樹脂を含む塗工層を形成し、同様にして、計2枚の塗工層付き基材を作製する。次に、この2枚の基材の塗工層の表面同士を重ね合わせ、70℃の下、両基材の裏面から、0.38MPaの力で180秒間加圧した後、両基材を180度方向に剥離(剥離速度200mm/分)する際の両塗工層間の剥離強度を測定する。
かかる樹脂のガラス転移温度(DSCによる測定)は、熱収縮性フィルム2よりもガラス転移温度の高ければよく、例えば、60℃よりも高く、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上のものが挙げられる。
該ガラス転移温度の樹脂は、例えば、樹脂の分子量を調整したり、異なる2種以上の樹脂を適宜選択混合するなどにより調製できる。
上記塗工液の塗工は、特に限定されないが、所定範囲に簡易に塗工できることから、グラビア印刷、フレキソ印刷などの公知の印刷法で行うことが好ましく、特に、意匠印刷層3と同じ印刷法で行うことがより好ましい。また、塗工液は、同一範囲に重ね塗りしてもよい。
塗工層5の厚み(乾燥厚)は、概ね0.5〜10μm程度、好ましくは0.8〜5μmに形成することが好ましい。熱収縮性フィルム2との関係では、熱収縮性フィルム2の厚み:塗工層5の厚み=50:1〜10:1程度が好ましい。余りに塗工層5が薄いとフィルムの皺防止効果が十分に得られず、一方、余りに厚いとフィルム2の熱収縮を阻害する虞があり、例えば、筒状ラベルの上縁部が容器外面に十分に密着せず、容器との間に隙間を生じるからである。
加熱方法は、熱風、スチームなど従来公知の方法で行うことができる。加熱温度は、熱風の場合、80〜250℃程度で、スチーム(蒸気及び湯気が充満した雰囲気)の場合、80〜95℃程度、好ましくは、80〜90℃程度である。加熱処理時間としては、3〜30秒程度である。
また、塗工層5は、透明又は艶消であるため、意匠印刷層3のデザインの一体性を損ねる虞がなく、デザイン的に従来品と変わらない筒状ラベルを提供できる。
上記実施形態では、塗工層5は、フィルム2の表裏面に設けられているが、塗工層5は、図4(a)、(b)に示すように、表面又は裏面の何れか一方面のみに設けられていてもよい。
また、上記実施形態では、フィルム2の裏面に意匠印刷層3を設け、その意匠印刷層3の上から塗工層5が設けられているが、先ず、フィルム2に塗工層5を設け、その上から意匠印刷層3を設けることもできる。尚、意匠印刷層3は、フィルム2の裏面側に設ける場合に限られず、フィルム2の表面側に設けることもできる。
また、上記実施形態では、意匠印刷層3が、上下縁部を除くフィルム2の中央領域全体に設けられているが、例えば、上縁部のみを除いてフィルム2に設けられていてもよい。
また、例えば、図6(a)〜(c)に示すように、デザインの関係で、フィルムの中央領域の一部に意匠印刷層3が設けられていない領域2aを有するように意匠印刷を施すこともできる。この場合には、該中央領域に形成された意匠印刷層3が設けられていない領域2aに重なるように塗工層5を設けることが好ましい。
本発明では、意匠印刷層3の設けられていない領域2aの全てに塗工層5を設けなければならないわけではないが、意匠印刷層3の設けられていない領域2aのうち、少なくともフィルム2の上縁部に塗工層5を設けることが好ましい。
この場合、同図に示すように、ベタ印刷層32が設けられていない領域に、塗工層5を設けることが好ましい。
(使用した生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム)
厚み50μmの生分解性樹脂製の熱収縮性フィルム(三菱樹脂(株)製、商品名:エコロージュS)(ガラス転移温度:56.4℃、収縮応力:1.75MPa、幅方向の熱収縮率:58%)の裏面のうち、上下縁から3mm幅を除き、顔料として酸化チタンを含有する白色印刷インキ(大日精化工業(株)製、商品名:OS−M)により意匠印刷(ベタ印刷)を施した(乾燥厚約3μm)。
A.ガラス転移温度:走査型示差熱量計(セイコーインスツルメント(株)製、商品名:DSC6200)を用いて測定した。
B.収縮応力:フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、この幅方向の両端部を応力測定器((株)島津製作所製、商品名:オートグラフ)のチャックに保持し(チャック間距離50mm)、これを85℃の温水中に10秒間浸漬し、その間に於ける応力測定器で測定された収縮応力の最大値を収縮応力とした。
C.幅方向に於ける熱収縮率:フィルムを幅方向に80mm、縦方向に15mmに切り取り、90℃の温水中に10秒間浸漬し、浸漬前後の幅方向長さから、次式により求めた。熱収縮率(%)={(幅方向の元の長さ)−(幅方向の浸漬後の長さ)}/(幅方向の元の長さ)×100。
上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの裏面全体(意匠印刷の施されていない上下縁部を含む裏面全体)に、下記組成の透明塗工液をベタ印刷した(乾燥厚約1μm)。このフィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより、実施例1に係る筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールGR5508。ガラス転移温度90℃、固形分50%)50重量部、酢酸エチル48重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
下記組成の艶消塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(艶消塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールGR5508。ガラス転移温度90℃、固形分50%)50重量部、酢酸エチル45重量部、体質顔料シリカ(東ソーシリカ(株)製、商品名:ニップジェルBY−200)5重量部の混合液。
下記組成の透明塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールLR943。ガラス転移温度46℃、固形分45%)50重量部、セルロース系樹脂(旭化成(株)製、商品名:LIG1/8。ガラス転移温度150℃以上)2重量部、酢酸エチル23重量部、イソプロピルアルコール23重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
下記組成の透明塗工液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして筒状ラベルを作製した。
(透明塗工液の組成)
アクリル系樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名:ダイヤナールLR943。ガラス転移温度46℃、固形分45%)50重量部、酢酸エチル48重量部、ポリエチレンワックス(クラリアントジャパン社製、商品名:ceridust3620)2重量部の混合液。
上記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの両側端部を重ね合わせて接着することにより、比較例1に係る筒状ラベルを作製した。
上記実施例1〜4及び比較例1の各筒状ラベルを、市販のPETボトルの胴部から肩部にかけて外嵌し、雰囲気温度90℃の(株)フジアステック製のスチームトンネルに10秒間曝し、筒状ラベルを装着させた。
装着した後のフィルムの外観を目視で確認したところ、実施例1〜3のラベルには、皺が発生しておらず、上下縁も容器に密着し、良好な外観を呈していた。実施例4のラベルは、意匠印刷の境界付近で、小さな皺が発生していたが、注意して観察しなければ発見できない程度の皺であり、商品として使用できる範囲内のものであった。
一方、塗工層を設けなかった比較例1では、上縁部に於ける意匠印刷の境界に於いて、商品として使用できない程の明確な皺が生じていた。
Claims (3)
- 生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムの所定領域に意匠印刷層が設けられ、且つ前記フィルムを筒状に形成してなる熱収縮性筒状ラベルであって、
前記生分解性樹脂製の熱収縮性フィルムは、85℃における収縮応力が5MPa以下で、且つガラス転移温度が60℃以下であり、
前記熱収縮性フィルムの意匠印刷層が設けられていない領域に、耐熱性を有する樹脂を含み且つ透明又は艶消の塗工層が設けられており、
前記塗工層は、70℃に加熱後の剥離強度が0.1N/15mm以下であり、且つそのガラス転移温度が前記熱収縮性フィルムのガラス転移温度よりも高いことを特徴とする熱収縮性筒状ラベル。 - 前記塗工層が、アクリル系樹脂又はセルロース系樹脂の少なくとも何れかを含む請求項1記載の熱収縮性筒状ラベル。
- 前記生分解性樹脂製フィルムが、ポリ乳酸を主成分とするフィルムである請求項1又は2記載の熱収縮性筒状ラベル。
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