JP4588193B2 - エアフィルタ用濾材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエアフィルタ用濾材、特に半導体、液晶、バイオ・食品工業関係のクリーンルーム、クリーンベンチ等あるいはビル空調用エアフィルタ、空気清浄機用途などに使用されるエアフィルタ用濾材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体工場等のクリーンルームで使用されるエアフィルタ用濾材には通常必要に応じ、撥水性が付与される。ここで本発明における撥水性とは、MIL-STD-282の測定法で規定されるものである。
【0003】
濾材に撥水性を付与する目的としては、濾材をエアフィルタユニットに加工する際に使用するシール剤やホットメルト等のしみ込みを防ぐことや、濾材面に水がかかったり、温度変化により水分が結露したりした場合でも、そのまま濾材を利用できるようにすることなどが挙げられる。また、海塩粒子が多く存在するような環境下においては、捕集された塩分の潮解を防ぐため高撥水性を有する濾材が必要とされている。
【0004】
MIL規格においては、HEPA濾材の撥水性は508mmH2O以上と規定されている。ただし、HEPA濾材全てがこの規格に準拠しているわけではなく、その使用状況により、適切な撥水性が設定される。また、1次側フィルタやビル空調用に使用される中性能濾材については特に撥水性の規定は無いが、前記の理由で撥水性が必要とされる場合があることは言うまでもない。
【0005】
従来ガラス繊維を主体繊維とするエアフィルタ濾材への撥水性付与の方法としては、シリコン樹脂の使用(特開平2-175997号公報)、あるいはフッ素樹脂とシリコン樹脂の併用(特開平2-41499号公報)などの方法が行われてきた。
【0006】
一方、近年の半導体製造工程ではLSIの集積度向上に伴い、クリーンルームを構成するエアフィルタやその他構成部材から発生するng/mオーダーの微量ガス成分(以下アウトガスという)がシリコンウエハーやガラス基板上に付着し、半導体製品の歩留を下げる原因となり、大きな問題となっている。ここで問題とされるアウトガスの成分は、シリコンウエハーに付着しやすい極性物質一般であるが、この中でも特に低分子環状シロキサン類、可塑剤等に使用されるフタル酸エステル化合物、難燃剤等に使用されるリン酸エステル化合物、酸化防止剤等に使用されるフェノール系化合物などが問題視されている。
【0007】
ところが、シリコン系樹脂で構成される撥水剤、あるいはフッ素系樹脂で構成される撥水剤は、製造時の未反応物、反応副生物、添加物等の低分子量成分、前記の問題成分が多く含まれており、これらが濾材から通風使用時にアウトガスとして発生するため、その改善が要望されていた。
【0008】
この問題を解決する手段として、非シリコン系のパラフィンワックス系撥水剤を使用する方法(WO97/04851)が提案されているが、パラフィンワックスはかなり疎水性の強い物質であり、親水性のガラス繊維を湿式抄紙した濾材に付着させようとする場合、濾材上に均一に分布させることが難しく、撥水性を付与させるためにはかなり多くの量が必要となる。また、ここで撥水性の向上を目的に、撥水剤の使用量を多くした場合には、バインダー樹脂のガラス繊維の接着を阻害することによる濾材の強度低下等の問題が発生する。さらに、パラフィンワックス系撥水剤においても炭化水素類がガスとして発生するため、前記問題成分に比べシリコンウエハーへの付着率が低いとはいえ、付着すれば半導体の製品歩留を低下させるため、その量の低減が望まれていた。
【0009】
また、特開平10-244112号公報においては、撥水剤を併用せずソープフリーエマルジョンを濾材のバインダーとする方法が提案されている。しかし、界面活性剤を樹脂に含まないかあるいは2%以下としたとしてもバインダー樹脂そのものは完全に疎水性ではないため、濾材の撥水性レベルが低いものとなってしまう。このことから、実使用レベルの撥水性を有し、かつアウトガス量の少ない濾材が望まれていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、ガラス繊維を主体繊維とする濾材において、通風使用時に発生するアウトガス量が少なく、かつ、ビル空調用、半導体工場等用途を問わず、高い撥水性と十分な強度を有する濾材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、(1)シール剤やホットメルト等の濾材のしみ込みを防ぎ、濾材面に水がかかったり温度変化により水分が結露した場合でもそのまま濾材を利用でき、(2)または海塩粒子が多く存在するような環境下においても捕集された塩分の潮解を防ぐことができる高撥水性を有する濾材を提供するため、(3)さらには通風使用時に発生するアウトガス量が少なく十分な強度を有する濾材を提供するため鋭意研究を行った結果、ガラス繊維を主体繊維とした濾材において、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂が前記ガラス繊維の繊維表面を被覆するとともに繊維間を結合してなることにより従来品と比較して極めて特徴的なエアフィルタ用濾材が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂は、繊維間を結合させるバインダー効果を有すると同時に繊維表面を被覆させることで繊維表面が疎水性となり濾材に撥水性を付与できること、並びに撥水剤成分を含まないため濾剤の強度低下を引き起こさないこと及びアウトガス量が極めて少ないという特徴を有する。
【0013】
本発明のエアフィルタ濾材は、ガラス繊維を主体繊維としたエアフィルタ用濾材において、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂前記ガラス繊維の繊維表面を被覆するとともに繊維間を結合してなり、かつ、バインダー樹脂が併用されていないことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で主体繊維として使用するガラス繊維は、必要とされる濾過性能やその他物性に応じて、種々の繊維径や繊維長を有する極細ガラス繊維やチョップドガラス繊維の中から自由に選ぶことができる。また、半導体工程の金属汚染を防止する目的で、ローボロンガラス繊維やシリカガラス繊維を使用することもできる。さらに副資材として、天然繊維や有機合成繊維などをガラス繊維中に配合しても差し支えない。
【0015】
本発明で使用するバーサティック酸ビニル重合物樹脂は、構造式(1)に示したモノマーを重合させたものであり、重合物は構造式(2)で示される。このモノマーは別名VeoVa(ベオバ)とも呼ばれるものである。
【0016】
以下余白
【構造式1】
Figure 0004588193
【構造式2】
Figure 0004588193
【0017】
バーサティック酸ビニルは、その基本骨格に −CR(R)(R)の疎水成分を有するため、この重合物を繊維濾材のバインダーとして付着させると、繊維間を結合させるバインダー効果と同時に、繊維表面を被覆するため、繊維表面が疎水性となり、結果的に濾材に撥水性を付与できることを発明者らは見出した。
【0018】
バーサティック酸ビニル重合物を単独でバインダーとして使用しても、本発明の目的は達成されるが、バーサティック酸ビニルは比較的高価なため、廉価で汎用なバインダー樹脂と併用しても目的は十分達成できる。
【0019】
この併用するバインダー樹脂は、アクリル系樹脂、SBR(スチレン−ブタジエン系)樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン系)樹脂、MBR(メチルメタクリレート−ブタジエン系)樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂など、様々な樹脂の中から選択される。特にアクリル系樹脂は耐候性が高く、エアフィルタ濾材のバインダーとしても実績があるので、最も望ましい。
【0020】
バインダー樹脂との併用の方法としては、第1に一般のバインダー樹脂とバーサティック酸ビニル重合物樹脂を混合してガラス繊維を主体とした濾材に付着形成させる方法が挙げられる。
【0021】
一般のアクリル系樹脂にバーサティック酸ビニル重合物樹脂を混合してバインダーとして使用する際のアクリル系樹脂としては、アクリル酸エステル単独樹脂、およびアクリル酸エステルとメタクリル酸エステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸などとの共重合物など様々なタイプがあるが、これらの濾材物性への影響、及び問題微量有機成分を含まないことを考慮した上で選択されるべきである。またこの際の、アクリル系樹脂に対するバーサティック酸ビニル重合物樹脂の混合割合は、90/10(重量比)以上が望ましい。これ以下であると濾材の撥水性は実用レベルに適さないものとなる。
【0022】
バインダー樹脂との併用の方法としては、第2に上記に挙げたバインダー樹脂の重合過程においてバーサティック酸ビニルモノマーを共重合させた共重合物樹脂をガラス繊維を主体とした濾材に付着形成させる方法が挙げられる。
【0023】
この方法では濾材バインダーとして使用した際、各々の成分を濾材中に偏在させず、より均一に分布させ、濾材の撥水性を発現させやすいという点で、なお好ましい。特に前記均一分散による撥水性発現性及び共重合のしやすさの点から、一般的にアクリル系樹脂の重合に使用されるモノマー(以下、アクリル系樹脂用モノマーとする)とバーサティック酸ビニルモノマーを共重合させたアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂が、濾材バインダーとしては最も望ましい。
【0024】
ここでこの共重合に使用されるアクリル系樹脂用モノマーとしては、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルである、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)、メチルアクリレート(MA)、エチルアクリレート(EA)、n−ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、などが挙げられるが、これに加えてこれらと共重合させるためによく用いられる、アクリロニトリル(AN)、スチレン、酢酸ビニル(VAc)、1,3−ブタジエン(BD)なども含まれ、これらの中から1〜数種選択されたものと、バーサティック酸ビニルモノマーを混合して重合を行う。
【0025】
重合の際のモノマー組成比としては、アクリル系樹脂用モノマー/バーサティック酸ビニルモノマー=90/10(重量比)以上が望ましく、これ以下であると濾材の撥水性は実用レベルに適さないものとなる。
【0026】
重合方法は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などの中から選ばれるが、特に乳化重合で樹脂製品を製造する方法は、接着剤樹脂用途としては一般的であること、製品が水分散体となるため後述する濾材製造の際に取り扱い易いこと、などの利点がある。
【0027】
なお重合の際に使用する重合開始剤、乳化剤、pH調整剤、消泡剤などの副資材も、問題微量有機成分の観点から厳選して使用する必要がある。
【0028】
これまで、ガラス繊維濾材への撥水性付与のために、シリコン樹脂またはフッ素樹脂が広く用いられてきた理由として、それら樹脂の化学構造に由来する撥水性能の高さが挙げられるが、本発明の方法によれば、バーサティック酸ビニル重合樹脂のような炭化水素類でも基材へより均一に分布させることにより、シリコン樹脂やフッ素樹脂と同等の撥水性を付与させることが可能であることが明らかとなった。また、バインダー中に撥水剤成分の含有量が多くなると濾材の強度低下を起すが、本発明は撥水剤成分を含まないため、より高い濾材強度が期待できる。
【0029】
本発明のエアフィルタ用濾材は以下のようにして製造される。まず、ガラス繊維を主とする原料繊維を水中にパルパー等を用いて分散させスラリーとする。ここで、ガラス繊維の分散性を向上するために硫酸や塩酸を添加しpHを2〜4程度に調製する、あるいは、中性条件下においては分散剤を添加することが好ましい。このスラリーを抄紙機において抄紙し、湿紙を形成させる。
【0030】
次にバーサティック酸ビニル重合物樹脂若しくはバーサティック酸ビニル重合物樹脂−アクリル系樹脂混合物又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂をバインダーとしてガラス繊維を主体繊維とした濾材に付着形成させる。この方法としては、(1)スラリー中にあらかじめバインダーを添加する方法(内添法)、(2)湿紙を形成後、このシートにバインダーを添加する方法(外添法)、または(3)湿紙を形成後、一旦乾燥したシートにバインダーを添加する方法(外添法)、などがあり、製造装置の仕様に応じて選択できる。
【0031】
なお外添方法としては、バインダー液をシートに対して浸漬し付与する方法、シートに対して塗布や霧吹きすることにより付与する方法等が挙げられる。
【0032】
以上の処理を施した後、熱風乾燥機やロータリードライヤー等を用いシートを乾燥させ、濾材を得る。ここで、十分な撥水性発現のためには、乾燥温度を110℃以上とすることが望ましい。
【0033】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
【0034】
〔アクリル−バーサティック酸ビニル共重合樹脂の合成〕
モノマー組成比をスチレンモノマー/エチルアクリレートモノマー/バーサティック酸ビニルモノマー=20/65/15 として、1Lの反応容器内で乳化重合を行い、アクリル−バーサティック酸ビニル共重合生成物の水分散体を得た。なお、バーサティック酸ビニルモノマーとしては、側鎖の炭素数合計が9であるもの(VeoVa9)を使用した。
【0035】
[実施例1]
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維70重量%、平均繊維径2.70μmの極細ガラス繊維25重量%、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維5重量%を、濃度0.5%、硫酸酸性pH2.5でパルパーで離解した。次いで手抄筒を用いて抄紙して湿紙を得た。次に、前記のアクリル−バーサティック酸ビニル共重合樹脂の水分散体を固形分3%となるよう水で希釈したバインダー液を湿紙に含浸付与し、その後130℃のドライヤーで乾燥し、目付重量73g/m、バインダー付着量5.4%のHEPA濾材を得た。
【0036】
[実施例2]
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維25重量%,平均繊維径2.70μmの極細ガラス繊維55重量%、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維20重量%を、実施例1と同様に抄紙し、以下同様にして、実施例1と同じバインダー液を付与、乾燥し、目付重量70g/m、バインダー付着量5.5%の中性能濾材を得た。
【0037】
[比較例1]
バインダー液として、ソープフリーアクリル系ラテックス(商品名:AD−57,製造元:日本エヌエスシー(株))を使用した以外は、実施例1と同様にして、目付重量72g/m、バインダー付着量5.4%のHEPA濾材を得た。
【0038】
[比較例2]
バインダー液組成が、アクリル系ラテックス(商品名:ボンコートAN−155,製造元:大日本インキ化学工業(株))とパラフィンワックス系撥水剤(商品名:ペトロックスP−200,製造元:明成化学工業(株))を固形分比100/50となるように混合したバインダー液を用いて、その他は実施例1と同様にして、目付重量73g/m、バインダー付着量5.6%のHEPA濾材を得た。
【0039】
[比較例3]
バインダー液組成が、アクリル系ラテックス(商品名:ボンコートAN−155,製造元:大日本インキ化学工業(株))とシリコン系撥水剤(商品名:SM7025,製造元:東レダウコーニングシリコーン(株))を固形分比100/10となるように混合したバインダー液を用いて、その他は実施例1と同様にして、目付重量73g/m、バインダー付着量5.5%のHEPA濾材を得た。
【0040】
[比較例4]
バインダー液組成が、アクリル系ラテックス(商品名:ボンコートAN−155,製造元:大日本インキ化学工業(株))とフッ素系撥水剤(商品名:ライトガードFRG−1,製造元:共栄社化学(株))を固形分比100/10となるように混合したバインダー液を用いて、その他は実施例1と同様にして、目付重量74g/m、バインダー付着量5.4%のHEPA濾材を得た。
【0041】
[比較例5]
バインダー液組成が、アクリル系ラテックス(商品名:ボンコートAN−155,製造元:大日本インキ化学工業(株))とパラフィンワックス系撥水剤(商品名:ペトロックスP−200,製造元:明成化学工業(株))を固形分比100/10となるように混合したバインダー液を用いて、その他は実施例と同様にして、目付重量72g/m、バインダー付着量5.6%の中性能濾材を得た。
【0042】
【表1】
Figure 0004588193
【0043】
以下余白
【表2】
Figure 0004588193
【0044】
実施例および比較例の分析は下記の方法で行った。撥水性は、MIL-STD-282に準拠して測定した。
【0045】
引張強度は、JIS P8113に準拠して測定した。
【0046】
層間剥離強度は、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.18に準拠して測定した。
【0047】
圧力損失は、マノメーターを用いて、有効面積100cm2の濾紙に面風速5.3cm/秒で通過させた時の差圧を測定した。
【0048】
DOP捕集効率は、レーザーパーティクルカウンターを用いて、ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気を有効面積100cm2の濾紙に面風速5.3cm/秒で通過させた時のDOP捕集効率を測定した。なお、対象粒径は0.3〜0.4μmとした。
【0049】
アウトガス発生量は、試料約1gを不活性ガス気流中で、80℃×1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤で捕集濃縮した後、GC-MSで測定した。この時のアウトガス発生量をトルエン検量線によって相対的に評価した。
【0050】
実施例1及び比較例1〜4のHEPA濾材での評価結果は、表1の通りとなった。
ソープフリーアクリル系樹脂を付着させた比較例1においては、アクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂を付着させた実施例1に比べ、撥水性レベルが非常に低い。
【0051】
パラフィンワックス系撥水剤を付着させた比較例2においては、実施例1レベルの撥水性となっているが、アクリル系樹脂のバインダー効果を阻害するため引張強度と層間剥離強度が大きく低下している。このような強度物性の低下が起こると、通風時の破れやプリーツ加工時の層間剥離を引き起こす原因となる。またアウトガス発生量も実施例1に比べ多い。
【0052】
シリコン系撥水剤を添加した比較例3、およびフッ素系撥水剤を添加した比較例4においては、ともに物性面においては十分な濾材が得られたが、撥水剤から発生するアウトガス量が非常に多く、半導体工程のクリーンルーム用途では、製品歩留りを低下させる原因となる可能性がある。
【0053】
実施例2および比較例5の中性能濾材での評価結果は、表2の通りとなった。
アクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂を付着させた実施例2においては、パラフィンワックス系撥水剤を付着させた比較例5に比べ、撥水性が非常に高い結果となった。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、撥水剤を使用しないため、通風時に発生するアウトガス量が極めて少ないエアフィルタ用濾材を提供することができた。
【0055】
また、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂をガラス繊維を主体繊維とした濾材に均一に分布付着形成させたことによって、シリコン樹脂やフッ素樹脂と同等の高い撥水性を付与させることができた。この高い撥水性によってシール剤やホットメルト等の濾材のしみ込みを防ぎ、濾材面に水がかかったり温度変化により水分が結露した場合でもそのまま濾材を利用でき、または海塩粒子が多く存在するような環境下においても捕集された塩分の潮解を防ぐことができた。
【0056】
さらに、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂は、バインダー効果もあること及び濾材の強度低下を起す撥水剤成分を含有しないことからガラス繊維を主体繊維とした濾材に高強度を持たせることが出来た。

Claims (1)

  1. ガラス繊維を主体繊維としたエアフィルタ用濾材において、バーサティック酸ビニル重合物樹脂又はアクリル−バーサティック酸ビニル共重合物樹脂前記ガラス繊維の繊維表面を被覆するとともに繊維間を結合してなり、かつ、バインダー樹脂が併用されていないことを特徴とするエアフィルタ用濾材。
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