JP4769508B2 - アウトガスの少ないエアフィルタ用濾材 - Google Patents

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Description

本発明はエアフィルタ用濾材、特に半導体、液晶、バイオ・食品工業関係のクリーンルーム、クリーンベンチ等あるいはビル空調用エアフィルタ、空気清浄機用途などに使用されるエアフィルタ用濾材に関するものである。
従来、空気中のサブミクロン、あるいはミクロン単位の粒子を効率的に捕集するために、エアフィルタ用濾材が用いられている。濾材はその捕集性能により、中性能フィルタ用、HEPAフィルタ用、ULPAフィルタ用に大別される。このうちHEPAフィルタ用については、米軍仕様MIL-スペックにおいて、有効面積100cm2の濾材に面風速5.3cm/秒で通風した時の0.3μmDOP捕集効率が99.97%以上と規定されている。ULPAフィルタ用については、明確な規定は無いが、IES(Institute of Environmental Sciences 米国環境科学協会)のRP-21において、面風速2.5cm/秒で通風した時の0.1〜0.2μmの捕集効率が99.999%以上と定義づけされている。
さらに半導体工場等のクリーンルームで使用されるエアフィルタ用濾材には通常必要に応じ、撥水性が付与される。なお、本発明における撥水性とは、MIL-STD-282の測定法で規定されるものである。
濾材に撥水性を付与する目的としては、濾材をエアフィルタユニットに加工する際に使用するシール剤やホットメルト等のしみ込みを防ぐ、海塩粒子が多く存在するような環境下においては、捕集された塩分の潮解を防ぐため高撥水性を有する濾材が必要とされている、濾材面に水がかかったり、結露したりしてもすぐに再使用できるようにする、などが挙げられる。MIL仕様においては、HEPA濾材の撥水性は508mmH2O以上と規定されている。ただし、HEPA濾材全てがこの規格に準拠しているわけではなく、その使用状況により、適切な撥水性が設定される。また、一次側フィルタやビル空調用に使用される中性能濾材については特に撥水性の規定は無いが、前記の理由で撥水性が必要とされる場合があることは言うまでもない。
従来ガラス繊維を主体繊維とするエアフィルタ濾材への撥水性付与の方法として、シリコーン系樹脂で構成される撥水剤の使用(例えば、特許文献1)、あるいはフッ素系樹脂で構成される撥水剤の使用(例えば、特許文献2)が行われてきた。
一方、近年の半導体製造工程ではLSIの集積度向上に伴い、クリーンルームを構成するエアフィルタやその他構成部材から発生するppt〜ppbオーダーの微量ガス成分がシリコンウエハーやガラス基板上に付着し、半導体製品の歩留を下げる原因となり、大きな問題となっている。この微量ガス成分としては、シリコンウエハーに付着しやすい極性物質一般であるが、特に低分子環状シロキサン類、可塑剤等に使用されるフタル酸エステル化合物、難燃剤等に使用されるリン酸エステル化合物、酸化防止剤等に使用されるフェノール系化合物などが問題視されている。
ところが、シリコーン系樹脂で構成される撥水剤、あるいはフッ素系樹脂で構成される撥水剤は、製造時の未反応物、反応副生物、添加物等の低分子量成分、前記の問題成分が多く含まれており、これら撥水剤を付与された濾材から通風使用時に微量ガスとして発生するため、その改善が要望されていた。特にシリコーン系樹脂は、不純物、製造過程の副生成物として、-(CH)2Si-O-単位が環を巻いた低分子環状シロキサン、特に3量体(D3)、4量体(D4)、5量体(D5)、6量体(D6)等を含有しているため、半導体用途のエアフィルタ濾材には使用できない状況であった。
この問題を解決する手段として、非シリコーン系のパラフィンワックス系撥水剤を使用する方法(例えば、特許文献3)が提案されているが、通常のパラフィンワックス系撥水剤は疎水性であるために、親水性のガラス繊維を湿式抄紙した濾材に付着させる場合、濾材上に均一に分布させることが難しく、撥水性を付与させるためにはかなり多くの量が必要となる。また、ここで撥水性の向上を目的に、撥水剤の使用量を多くした場合には、バインダー樹脂のガラス繊維の接着を阻害することによる濾材の強度低下等の問題が発生する。さらに、パラフィンワックス系撥水剤においても炭化水素類のガスが発生するため、前記問題成分に比べシリコンウエハーへの付着率が低いとは言え、付着すれば半導体の製品歩留に影響を与えるので、その量の低減が望まれていた。
本発明者らは、過去にこれを解決するものとして、特許文献4にて、ガラス繊維を主体繊維とするエアフィルタ濾材を製造する際に、撥水剤としてステアリン酸やパルミチン酸を原料として製造されたアルキルケテンダイマーを使用することを提案してきたが、これとは別の撥水剤についても同様な効果あるいはそれ以上の効果を達成することも求められている。
また、アルコキシシランをエアフィルタ濾材に使用した従来技術としては、高温状態での使用に耐える強度付与を目的とし本願発明者らが提案したもの(例えば、特許文献5)、濾材に高撥水性、高集塵性能を付与する目的としたもの(例えば、特許文献6)、濾材に紫外線暴露後の強度保持付与を目的としたもの(例えば、特許文献8)があった。特に特許文献6は、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシラン以外の様々なオルガノシランを耐水性付与のため使用しているが、これらはアウトガス発生の原因となるものであり、アウトガスの少ないエアフィルタ濾材を得るにそぐわないものであった。
また、特許文献5、6、8では、アルコキシシランの濾材への付与方法として、有機溶媒の溶液を含浸や、気相の化学修飾法が使用されているが、前出の環境問題や防爆設備、真空設備が必要となる点で、工業化に難点があり、コストアップになっていた。
さらに、本願発明者らは、以前、濾材を構成するガラス繊維にバインダー樹脂と25℃純水中に添加した際の最低表面張力が20mN/m以下であるフッ素系界面活性剤を付着させたエアフィルタ用濾材を提案した特許文献7が、フッ素系界面活性剤の付着にともない、バインダー樹脂表面の濡れ性をより高めてしまい、濾材の撥水性の低下を起こす問題があった。
特開平2−41499号公報 特開昭62−090395号公報 WO 97/04851公報 PCT/JP01/06009(WO 02/16005 A1公報) 特開平5−64712公報 特開平7−328355公報 特開平10−156116公報 特開平2005−138078公報
本発明の課題は、ガラス繊維を主体繊維とする濾材において、通風使用時に発生する有機アウトガス成分が少なく、かつ、ビル空調用、半導体工場等用途を問わず、高い撥水性と捕集性能、および十分な強度を有する濾材を提供することである。
この課題は、ガラス繊維を主体繊維とした濾材において、前記ガラス繊維はローボロンガラス繊維であり、前記濾材はガラス繊維接着のために該濾材当たり1〜10重量%の付与率で、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂の中から選択されるバインダー樹脂を含有し、且つ該バインダー樹脂の固形分重量100に対して、低分子環状シロキサンを主とした有機アウトガスを発生させない撥水剤として、分子内に少なくとも3つ以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランを水性加水分解溶液として加水分解したのち縮合した縮合物を1〜30の固形分比で前記ガラス繊維表面に付着形成させて使用することにより解決される。
本発明によれば、撥水剤として本発明のアルコキシシラン縮合物を使用することにより、通風時に発生する有機アウトガス成分が少なく、かつ高い撥水性、捕集性能で、強度の強いエアフィルタ用濾材を提供することができる。特に、本発明は、水溶液で付与ができるので、濾材製造の従来設備がそのまま使用でき、工業化が容易である。さらに、本発明のアルコキシシラン縮合物を付着させた場合、フッ素系界面活性剤を併用して付着させても撥水性の低下を少なく抑えることができ、濾材の撥水性の低下を起こす問題を解決できた。
本発明で使用するアルコキシシランは分子内に少なくとも3つ以上のアルコキシ基を有するものであり、アルコキシ基としては、メトキシ基CH3O-、エトキシ基CH3CH2O-などがあり、これが3つ結合したトリアルコキシシランR-Si(-OR’)3、4つ結合したテトラアルコキシシランSi(-OR’)4がある。ここでR’-は、メチル基CH3- あるいはエチル基 CH3CH2-である。また、トリアルコキシシランのR-は例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基や、フェニル基、あるいはフルオロ基などが挙げられる。これらアルコキシシランは、水あるいはアルコール溶液中で加水分解されると、
R-Si(-OR’)3 + 3H2O → R-Si(-OH)3 + 3R’-OH
あるいは、
Si(-OR’)4+ 4H2O → Si(-OH)4 + 4R-OH
のような加水分解物を形成する。
本発明では、この状態でガラス繊維上に付着させ、加熱するなどにより脱水縮合させると、
(−H20)
R-Si(-OH)3 → R-Si(-O-)3
あるいは、
(−H20)
Si(-OH)4 → 2Si(-O-)4
の反応で出来たR-Si(-O-)3 単位やSi(-O-)4単位が3次元的に結合して縮合物が形成され、樹脂皮膜化する。
本発明者らは、アウトガスの問題で使用されなくなったシリコーン系撥水剤、シリコーン樹脂類について改めて注目し、エアフィルタ濾材の撥水剤として使用した場合の、濾材からの発生アウトガスと濾材特性について鋭意調査した。
その結果、ほとんどのシリコーン系撥水剤、シリコーン樹脂類については、多かれ少なかれ低分子環状シロキサンガスが発生してエアフィルタ濾材の撥水剤として使用できなかったが、本発明のアルコキシシランの縮合物を使用した場合のみ、同アウトガスを発生しないことを新規に見出した。また、同時にエアフィルタ濾材として、撥水性、フィルタ集塵特性などが従来品レベル、あるいはこれ以上であることを見出した。
これまでは、エアフィルタ濾材の撥水剤として使用された従来のシリコーン系撥水剤、シリコーン樹脂類は、その反応製造過程で副反応生成物としての低分子環状シロキサンが生じることからは逃れることはできなかったため、これをエアフィルタ濾材の撥水剤として用いると、濾材からのアウトガスが発生する原因の由来となっていた。
一方、本発明のアルコキシシラン縮合物は、純原料を出発物質として樹脂化の反応を行うことで、縮合反応条件を正しく制御すればほぼ100%樹脂化が行われ、副反応生成物が生じることはほとんど無い。
同じアルコキシシランでもジアルコキシシランは低分子環状シロキサンを生じやすく使用できない。モノアルコキシシランは、2量体しかできないため、本撥水剤用途には適さない。
アルコキシシランは、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランそれぞれ単独でも、混合して使用しても良い。ただし、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランに前述のモノアルコキシシラン、ジアルコキシシランを混合すると、低分子環状シロキサン生成の原因となるので、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシランを極力含有させないようにしなければならない。
縮合反応条件としては、加熱温度が上がるほど反応が促進される。ガラス繊維濾材にアルコキシシラン加水分解物を付着させた後の加熱温度は120℃以上、好ましくは140℃以上である。これ以下であると、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランにおいても未反応の低分子シロキサンや、分子量400以下の縮合物が濾材からアウトガスとして発生する可能性がある。
また、アルコキシシランの加水分解の際は、アルコール溶液よりも、水溶液とするほうがより望ましい。アルコール溶液を用いると、同液を濾材に付着〜加熱製造過程で防爆設備が必要となり、コスト的にも環境的にも好ましくないからである。
本発明のアルコキシシラン縮合物の付着量としては、使用するバインダー樹脂の固形分重量100に対し、100/1〜100/30の範囲内が望ましい。100/1以下では撥水効果が上がらず、100/30以上では撥水効果が高いものの、アルコキシシラン縮合物が濾材の目を塞ぎ、圧力損失を高めたり、透過率を悪化させたりしてしまう。さらに縮合物が硬く皮膜化するため、濾材が硬く脆くなり、濾材のプリーツ加工など二次加工で折り割れなどのトラブル発生の原因となり得る。
なお、エアフィルタ用濾材のガラス繊維基材上にバインダー樹脂を付与するのは、濾材にプリーツ加工などの二次加工に耐えるだけの強度を持たせるためである。使用されるバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等挙げられるが、目的を阻害するものでなければ、これに限定するものではない。
エアフィルタ用濾材基材に対するバインダー樹脂の付与率は、1〜10重量%が望ましく、1重量%未満の添加では濾材加工、実使用に耐える濾材強度が出ず、10重量%以上ではバインダーが濾材の目詰まりを起すため、圧力損失の上昇が起こり、濾過性能が低下してしまう。また、可燃物であるバインダー量が多いと濾材の難燃性を悪化させてしまう。
さらに、トリアルコキシシラン、テトラアルコキシシランを反応制御してエアフィルタ濾材の撥水剤として付着させた場合、濾材から発生する低分子環状シロキサンを代表とした有機アウトガスが極めて少ないことがわかったのは、従来知見では見出せなかったことであり、全く新規な発見であった。
また、本願発明は、水溶液で付与ができるので、濾材製造の従来設備がそのまま使用でき、工業化が容易である。
本発明で主体繊維として使用するガラス繊維は、必要とされる濾過性能やその他物性に応じて、種々の繊維径や繊維長を有する極細ガラス繊維やチョップドガラス繊維の中から自由に選ぶことが出来る。特に、極細ガラス繊維は火焔延伸法やロータリー法で製造されるウール状のガラス繊維であり、濾材の圧力損失を所定の値に保ち、適正な捕集効率とするための必須成分である。繊維径が細くなるほど捕集効率は高くなるため、高性能の濾材を得るためには平均繊維径の細かい極細ガラス繊維を配合する必要がある。ただし、繊維径が細くなると圧力損失が上昇しすぎる場合があるので、この範囲内で適正な繊維径のものを選択すべきである。なお、数種の繊維径のものをブレンドして配合しても構わない。また、半導体工程の汚染を防止する目的で、ローボロンガラス繊維やシリカガラス繊維を使用することも出来る。更に副資材として、天然繊維や有機合成繊維などをガラス繊維中に配合しても差し支えない。このうち、ローボロンガラス繊維は、通常のガラス繊維と異なり表面の水濡れ性が高いため、通常の撥水剤では撥水効果が上がりにくい問題がある。しかし、本発明のアルコキシシラン縮合物を付着させた場合、通常のガラス繊維と同様に撥水効果を上げることが可能である。恐らく、他の撥水剤に比べ繊維の被覆効果が高いためと推定される。
さらに、本発明のアルコキシシラン縮合物を付着させた場合、濾材を構成するガラス繊維にバインダー樹脂と25℃純水中に添加した際の最低表面張力が20mN/m以下であるフッ素系界面活性剤を併用して付着させても撥水性の低下を少なく抑えることができ、濾材の撥水性の低下を起こす問題を解決できる。
本発明のエアフィルタ用濾材は以下の製造方法等を用いて得ることができる。すなわち、濾材を構成するガラス繊維をパルパーなどの分散機を用いて水中に分散させ、このスラリーを抄紙機で湿式抄紙して湿紙を得る。次に、本発明のアルコキシシランの加水分解液を単独、あるいはバインダー樹脂と混合してこの混合液を前述の湿紙に付着させ、その後乾燥させる方法である。また、湿紙をいったん乾燥した乾紙に、これら処理液を単独あるいは混合して付与してもその効果は変わらない。なお、前述のフッ素系界面活性剤を使用した場合、バインダー樹脂とフッ素系界面活性剤はそれぞれ単独で付着させても効果は無く、これらを混合した液を付着させなければならない。
原料繊維の分散工程では分散性を良くするために、硫酸酸性でpH2〜4の範囲で調整する方法を取るが、pH中性域で分散剤などの界面活性剤を使用しても良い。また、撥水性や難燃性を付与するため、本発明の目的の範囲内でバインダー液に撥水剤や難燃剤を添加することも可能である。
バインダー液の付与方法としては特に限定されるものではないが、湿紙又は乾紙を付着液に浸漬する方法、湿紙又は乾紙にスプレーで吹き付ける方法、ロールに付着液を付着させ湿紙又は乾紙に転写する方法が挙げられる。
乾燥方法としては、熱風乾燥機、ロールドライヤーなどを利用し、120℃以上、好ましくは140℃以上の乾燥温度が望ましい。
実施例:
次に、実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
メチルトリメトキシシラン加水分解液の調成
試薬のメチルトリメトキシシラン200gを、触媒としての2%塩酸3.2gとともに、 純水39.8gに少しずつ添加し、1時間攪拌したものを加水分解溶液とした(固形分34.9%液)。
ジメチルジメトキシシラン加水分解液の調成
試薬のジメチルジメトキシシラン200gを、触媒としての2%塩酸3.2gとともに、 純水30gに少しずつ添加し、1時間攪拌したものを加水分解溶液とした(固形分46.9%液)。
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維85重量%、平均繊維径2.70μmの極細ガラス繊維10重量%、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維5重量%を、濃度0.5%、硫酸酸性pH2.5の水中にて、2Lミキサーを用い離解した。次いで手抄装置にて抄紙を行い、28cm×28cmの大きさの湿紙を得た。次に、バインダー液組成が、アクリル酸エステルエマルジョン(商品名:ボンコートAN−155,製造元:大日本インキ化学工業(株))と前述のメチルトリメトキシシラン加水分解液を、固形分比100/10となるように予め混合したバインダー液を湿紙に付与し、その後140℃のロールドライヤーで乾燥し、目付重量70g/m、バインダー付着量5.5%の濾材を得た。
実施例1において、バインダー液組成のうち、アクリル酸エステルエマルジョンに対するメチルトリメトキシシラン加水分解液の固形分比を100/25とした以外は実施例1と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
実施例1において、ガラス繊維組成を、平均繊維径0.65μmの極細ローボロンガラス繊維85重量%、平均繊維径2.70μmの極細ローボロンガラス繊維15重量%とした以外は実施例1と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.6重量%の濾材を得た。
実施例3において、バインダー液組成のうち、さらに濾材を構成するガラス繊維にバインダー樹脂と25℃純水中に添加した際の最低表面張力が20mN/m以下であるフッ素系界面活性剤(商品名:メガファックF120、製造元:大日本化学工業(株))を、アクリル酸エステルエマルジョンに対する固形分比100/2の割合で添加した以外は実施例3と同様にして、目付重量71g/m、バインダー付着量5.4重量%の濾材を得た。
[比較例1]
実施例1において、バインダー液組成のうち、メチルトリメトキシシラン加水分解液を添加しないとした以外は実施例1と同様にして、目付重量71g/m、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
[比較例2]
実施例1において、バインダー液組成のうち、アクリル酸エステルエマルジョンに対し、メチルトリメトキシシラン加水分解液の代わりにジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーン系撥水剤(商品名:SM7025、製造元:東レダウコーニングシリコーン(株))を固形分比100/10の割合で添加した以外は実施例1と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
[比較例3]
実施例1において、バインダー液組成のうち、アクリル酸エステルエマルジョンに対し、メチルトリメトキシシラン加水分解液の代わりに、前述のジメチルジメトキシシラン加水分解液を固形分比100/10の割合で添加した以外は実施例1と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.6重量%の濾材を得た。
[比較例4]
実施例4において、バインダー液組成のうち、アクリル酸エステルエマルジョンに対し、メチルトリメトキシシラン加水分解液の代わりにジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーン系撥水剤(商品名:SM7025、製造元:東レダウコーニングシリコーン(株))を固形分比100/10の割合で添加した以外は実施例4と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.4重量%の濾材を得た。
[比較例5]
実施例1において、バインダー液組成のうち、アクリル酸エステルエマルジョンに対するメチルトリメトキシシラン加水分解液の固形分比を100/35とした以外は実施例1と同様にして、目付重量70g/m、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
実施例及び比較例の分析は下記の方法で行った。
・ 圧力損失
自製の装置を用いて、有効面積100cmの濾紙に面風速5.3cm/secで通風した時の圧力損失を微差圧計で測定した。
(2)DOP透過率(%)
ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気を、有効面積100cmの濾紙に面風速5.3cm/secで通風した時の上流および下流の個数比からDOPの透過率を、リオン(株)社製レーザーパーティクルカウンターを使用して測定した。なお、対象粒径は0.1〜0.15μmとした。なお、DOP捕集効率(%)は、下記数式1より求められる。
[数式1]
DOP捕集効率=100−(DOP透過率)
(3)PF値
濾紙のフィルタ性能の指標となるPF値は、下記数式2より求めた。PF値が高いほど、同一圧力損失で低透過率(高捕集効率)を示す。
[数式2]
Log10{(0.1〜0.15μm透過率)/100}
PF値=────────────────────────×(−100)
{(圧力損失)/9.81}
※ 数式2中の圧力損失は、濾材に対し5.3cm/sの面風速で空気を通過させた
際のもの。(単位:Pa)
(4)撥水性
MIL−STD−282に準拠して測定した。
(5)折り割れ評価
折り割れ評価は目視で行い、濾材を折り曲げた時の山部が折り割れないものを○で表示し、折り割れて亀裂の入ったものを×で示した。
(6)アウトガス発生速度および環状シロキサンの有無
いわゆるダイナミックヘッドスペース法を用いた。発生ガス濃縮導入装置(ジーエルサイエンス社製 MSTD−258)を用い、試料約0.2gを99.999%の不活性Heガス気流中(流量50ml/分)で、80℃、1時間加熱し、試料から発生したアウトガスを吸着剤(TENAX TA)で捕集濃縮し、270℃で再脱離させたガスをクライオフォーカスユニットでサンプルバンドを狭めた後、ガスクロマトグラフ質量分析計(島津製作所製GCMS-QP5050A)に導入して測定した。キャピラリーカラムは、TC-1(ジーエルサイエンス社製;0.25mm×60m、膜圧0.25μm)を用いた。質量分析計の装置のイオン化法は電子衝撃法(イオン化電圧70eV)である。このときの時間あたりのアウトガス発生量をアウトガス発生速度として、n−ヘキサデカン検量線によって相対評価した。また、アウトガスのマススペクトルを同定することにより、環状シロキサンの存在有無を調べた。
Figure 0004769508
表1からは、アルコキシシラン縮合体を付与したエアフィルタ用濾材の場合にはアウトガス中に環状シロキサンが存在せず、且つ圧力損失、DOP透過率、PF値、撥水性および折り割れ評価も適性であることがわかる。これに対して、撥水剤を使用していない比較例1の場合には、撥水性が全くなく、撥水剤としてシリコーン系を使用した比較例2および4の場合にはアウトガス中に環状シロキサンが存在し、アルコキシシランとしてジメチルジメトキシシランを使用した比較例4の場合にも、同様にアウトガス中に環状シロキサンが存在している。
Figure 0004769508
表2からは、アルコキシシラン縮合体の付与量が100/10〜100/30の範囲内にある実施例1および2の場合には、良好な折り割れ評価が得られたのに、100/35の場合には折り割れが生じることが判る。

Claims (3)

  1. ガラス繊維を主体繊維としたエアフィルタ用濾材において、前記ガラス繊維はローボロンガラス繊維であり、前記濾材はガラス繊維接着のために該濾材当たり1〜10重量%の付与率で、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂の中から選択されるバインダー樹脂を含有し、且つ該バインダー樹脂の固形分重量100に対して、低分子環状シロキサンを主とした有機アウトガスを発生させない撥水剤として、少なくとも分子内に3つ以上のアルコキシ基を有するアルコキシシランを水性加水分解溶液として加水分解したのち縮合した、該縮合物を1〜30の固形分比で前記ガラス繊維表面に付着形成させたことを特徴とするアウトガスの少ないエアフィルタ用濾材。
  2. 前記アルコキシシランが、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランの中から1つ以上選択されるものであることを特徴とする、請求項第1項記載のアウトガスの少ないエアフィルタ用濾材。
  3. 前記濾材を構成するガラス繊維に、バインダー樹脂と、前記アルコキシシランの縮合物、および25℃純水中に添加した際の最低表面張力が20mN/m以下であるフッ素系界面活性剤を付着させることを特徴とする、請求項第1又は2項に記載のアウトガスの少ないエアフィルタ用濾材。
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